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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103658
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20220701BHJP
   B66F 9/075 20060101ALI20220701BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20220701BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B66F9/075 A
B66F9/075 C
H01M2/10 S
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218420
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋場 亨
(72)【発明者】
【氏名】中澤 慶一
【テーマコード(参考)】
3D235
3F333
5H040
【Fターム(参考)】
3D235AA18
3D235BB32
3D235CC15
3D235DD35
3D235EE63
3D235FF37
3F333AA02
3F333CA06
3F333CA09
3F333DA02
5H040AA02
5H040AS06
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC33
5H040CC57
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】限られたスペースにバッテリを配置すること。
【解決手段】作業車両であるフォークリフト1は、動力源であるバッテリ50と、バッテリ50が配置された車体10のフレーム11と、を備え、車体10のフレーム11の後方に配置されたバッテリ50は、車体10のフレーム11の前方に配置されたバッテリ50より高く位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源であるバッテリと、
前記バッテリが配置された車体フレームと、
を備え、
前記車体フレームの後方に配置された前記バッテリは、前記車体フレームの前方に配置された前記バッテリより高く位置する、
作業車両。
【請求項2】
前記バッテリの底面において、前方が低く後方が高く配置されている、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記バッテリは、前記車体フレームの後方の後輪の上方に配置されているバッテリが、前記車体フレームの前方に配置された前記バッテリと離間して配置されている、請求項1又は2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記車体フレームの前方に配置された前記バッテリと、前記車体フレームの後方に配置された前記バッテリとは、一体に形成されたバッテリケースに収容されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の作業車両。
【請求項5】
前記バッテリは、前方の下端部が運転席の下方に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の作業車両。
【請求項6】
前記バッテリは、後方の下端部が後輪の上方に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリが搭載された作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、走行用に用いる電動機を搭載し、この電動機にバッテリから電力の供給をして走行させる作業車両が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/137582号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のバッテリ式のフォークリフトでは、運転席の下方にバッテリケースが配置されている。バッテリケースの配置場所を確保させるために、後輪のタイヤ径はエンジン式フォークリフトと比較して小径のものが採用されている。そのため、屋外での使用を想定した場合、轍やくぼみ等の悪路を通過する際に後輪がはまり込んでしまうおそれがある。そこで、後輪のタイヤ径を大径にして、走行性を向上することが望まれる。
【0005】
後輪のタイヤ径を大径にした場合、後輪とバッテリケースの底面とが干渉しないように、バッテリケースの底面の高さを高くすることを要する。ところが、オペレータの昇降のしやすさ及び操作性から、運転席の高さは制限される。そこで、限られたスペースにバッテリを配置することが望まれる。
【0006】
本発明は、バッテリを適切に配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従えば、動力源であるバッテリと、前記バッテリが配置された車体フレームと、を備え、前記車体フレームの後方に配置された前記バッテリは、前記車体フレームの前方に配置された前記バッテリより高く位置する、作業車両が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、バッテリを適切に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係るフォークリフトを左方から見た側面図である。
図2図2は、本実施形態に係るフォークリフトを左前方から見た斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係るフォークリフトを左後方から見た斜視図である。
図4図4は、本実施形態に係るフォークリフトに配置されたバッテリを左方から見た模式図である。
図5図5は、収容部を示す斜視図である。
図6図6は、収容部に配置されたバッテリを示す斜視図である。
図7図7は、収容部に配置されたバッテリを示す平面図である。
図8図8は、バッテリケースを示す斜視図である。
図9図9は、バッテリを示す斜視図である。
図10図10は、区画板を示す斜視図である。
図11図11は、バッテリセルを示す斜視図である。
図12図12は、従来のフォークリフトに配置されたバッテリを左方から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0011】
[フォークリフト]
図1は、本実施形態に係るフォークリフト1を左方から見た側面図である。図2は、本実施形態に係るフォークリフト1を左前方から見た斜視図である。図3は、本実施形態に係るフォークリフト1を左後方から見た斜視図である。図1ないし図3に示すように、本実施形態においては、作業車両がフォークリフト1であることとする。本実施形態において、フォークリフト1は、バッテリ50からの電力で駆動されるバッテリ式のフォークリフトである。フォークリフト1は、作業車両用バッテリとしてのバッテリ50及びこのバッテリ50から供給される電力によって駆動される少なくとも1個の図示しない電動機を備える、バッテリ式の作業車両である。少なくとも1個の電動機は、例えば、フォークリフト1を走行させるための電動機である。
【0012】
以下において、フォークリフト1は、フォーク31が配置された側が前方であり、カウンタウエイト20が配置された側が後方である。本実施形態においては、左右とは前方に対する左右をいうものとする。左右方向は、フォークリフト1の本体としての車体10の幅方向である。上方は、前輪21及び後輪22の4個と接地する平面(接地平面)に直交し、かつ接地平面から前輪21又は後輪22の回転中心軸に向かう側である。下方は、前輪21又は後輪22の回転中心軸から接地平面に向かう側である。なお、前輪21及び後輪22の数は限定されず、例えば、後輪22が車体10の中央部に1個配置されているものもある。
【0013】
車体10の前後方向に向かい、かつ車体10の幅方向中心を通る軸を前後軸といい、前後軸に直交し、設置平面と平行かつ車体10の車幅方向に向かう軸を左右軸という。車体10の上下方向に向かう軸を上下軸という。上下軸は、前後軸と左右軸との両方に直交する。前後軸はX軸であり、上下軸はY軸であり、左右軸はZ軸である。
【0014】
車体10は、フレーム(車体フレーム)11と、フレーム11に支持される運転室40と、同じくフレーム11に支持されるバッテリ50が収容されるバッテリ室を形成する収容部12と、収容部12の前方に配置されているフロアプレート13と、フロアプレート13より車幅方向外側に配置された昇降ステップ14と、フロアプレート13より前方における上方に配置されたダッシュボード15とを有する。フレーム11には、バッテリ50が配置されている。
【0015】
図4は、本実施形態に係るフォークリフト1に配置されたバッテリ50を左方から見た模式図である。図12は、従来のフォークリフト1Xに配置されたバッテリ50Xを左方から見た模式図である。図4に示すように、フレーム11と接地面との距離、言い換えると最低地上高をh1とする。なお、図12に示す従来のフォークリフト1Xの最低地上高をh5とすると、h1>h5である。最低地上高h1は、図示しないエンジン式のフォークリフトと同程度の例えば150mm以上200mm以下程度の範囲である。
【0016】
図5は、収容部12を示す斜視図である。車体10の後方の下方には、バッテリ50を収容したバッテリ室である収容部12が配置されている。収容部12は、バッテリ50を収容する。収容部12は、フレーム11の後方に配置されている。収容部12は、支持部121と、支持部122とを有する。支持部121は、バッテリ50の後方の底面を支持する。支持部121は、上方を向いた平面状の板材で形成されている。支持部121は、収容部12の後方に、左右に離間して配置されている。支持部122は、上方を向いた平面状の板材で形成されている。支持部122は、収容部12の前方に、左右に離間して配置されている。支持部122は、支持部121より下方に配置されている。支持部122は、バッテリ50の前方の底面を支持する。バッテリ50が収容部12に固定される。
【0017】
図1ないし図3に示すように、フロアプレート13は、前後方向において収容部12とダッシュボード15との間に配置されている。フロアプレート13には、運転室40の運転席41に着座したオペレータの足が配置されている。
【0018】
昇降ステップ14は、フロアプレート13の車幅方向両側に配置されている。車幅方向において、昇降ステップ14は、フロアプレート13の隣に配置されている。オペレータは、車幅方向左方の昇降ステップ14を昇降する。オペレータは、車幅方向左方の昇降ステップ14を経由して、運転室40に乗車したり、運転室40から降車したりする。本実施形態では、運転席41と昇降ステップ14との相対的な位置関係は、図12に示す従来のフォークリフト1Xと同じとする。
【0019】
車体10の後端部には、カウンタウエイト20が配置されている。フォークリフト1は、カウンタバランス型のフォークリフトとして説明するが、これに限定されない。カウンタウエイト20は、フォーク31が荷物を支持した場合に釣り合いをとるためのウエイトである。
【0020】
車体10の前方の左端部及び右端部に前輪21が配置され、車体10の後方の左端部及び右端部に後輪22が配置されている。
【0021】
図1に示す後輪22のタイヤ径d1は、図12に示す従来のフォークリフト1Xの後輪22Xのタイヤ径d2に比べて大径である。後輪22のタイヤ径d1は、図示しないエンジン式のフォークリフトの後輪のタイヤ径と同程度である。後輪22のタイヤ径d1を大径にすることは、フォークリフト1が、屋外において轍やくぼみ等の悪路を通過する際に後輪22がはまる可能性を低減するためである。後輪22のタイヤ径d1は、例えば500mm以上610mm以下である。後輪22のタイヤ径d1は、前輪21のタイヤ径に比べて小径である。
【0022】
図1に示すフォークリフト1の前輪21及び後輪22の接地面からホイールベースAの中心の車体10のフレーム11の底面を通る直線がなす角度のうちの小さい方をランプブレークオーバーアングルθという。ランプブレークオーバーアングルθは、図示しないエンジン式のフォークリフトと同程度の例えば23°以上26°以下程度の範囲とする。車体10のフレーム11の底面から路面までの距離、いわゆる最低地上高が低いほど、ランプブレークオーバーアングルθが小さくなる。ランプブレークオーバーアングルθが小さい場合、登坂時に、傾斜面の終端の傾斜角度が大きい場合、車体10のフレーム11の底板が傾斜面に干渉するおそれがある。そこで、最低地上高は所定の高さを有することが望ましい。
【0023】
車体10の前方には、荷物の積み降ろし又は移動を行うためのフォーク31が配置されている。フォーク31は、上下方向に沿って配置されたマスト32に支持される。フォーク31は、マスト32との間に配置されたリフトシリンダ33が駆動することによって、マスト32に沿って昇降する。マスト32は、下端部が、左右軸回りに回転可能に車体10に取り付けられる。マスト32は、車体10との間に配置された、ティルトシリンダ34が駆動することによって、車体10に対して前傾姿勢又は後傾姿勢をとることが可能である。
【0024】
[バッテリ]
バッテリ50は、フォークリフト1の動力源である。バッテリ50は、充電式バッテリである。バッテリ50は、充電時における水素の発生が抑制される、メンテナンスが容易なバッテリである。バッテリ50は、例えば、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等である。バッテリ50の充電作業は、定期的に又は必要に応じて実施される。
【0025】
図6は、収容部12に配置されたバッテリ50を示す斜視図である。図7は、収容部12に配置されたバッテリ50を示す平面図である。図8は、バッテリケース51を示す斜視図である。図9は、バッテリ50を示す斜視図である。図6及び図8において、バッテリケース51に設けられたファン、吸気口及び排気口は図示を省略している。図7においては、バッテリセル59が見えるように、バッテリケース51の一部を図示していない。図8においては、バッテリケース51の内部が見えるように、バッテリケース51の一部を図示していない。図6ないし図9に示すように、バッテリ50は、バッテリケース51と、複数のバッテリセル59とを備える。バッテリ50は、バッテリケース51内に、複数のバッテリセル59が収納されている。
【0026】
バッテリケース51は、箱形状に形成されている。バッテリケース51は、第1バッテリケース52と、第2バッテリケース53とを含む。本実施形態では、第1バッテリケース52と第2バッテリケース53とは、一体に形成されている。第1バッテリケース52と第2バッテリケース53との内部の空間は、つながっている。
【0027】
第1バッテリケース52は、バッテリ50のうち前方のバッテリセル59であるセルユニット59FU及びセルユニット59FDを収容する。第1バッテリケース52は、収容部12の前方に配置されている。図4に示すように、第1バッテリケース52は、運転席41の下方に配置されている。本実施形態では、第1バッテリケース52は、図12に示す従来のフォークリフト1Xのバッテリケース51Xと同程度の高さXに配置されている。図6ないし図8に示すように、第1バッテリケース52は、壁部521、壁部522、壁部523、壁部524、壁部525、及び壁部526を含む。
【0028】
壁部521、壁部522、壁部523、壁部524、壁部525、及び壁部526は、板状の材料で形成されている。壁部521は、上下方向に面している。壁部521は、バッテリケース51の底面の一部である。壁部521は、壁部531より下方に配置されている。壁部521は、支持部122に支持される。壁部522は、壁部521の前方の端部から上方に立設されている。壁部522は、前後方向に面している。壁部522は、バッテリケース51の側面の一部である。壁部523は、壁部521の左方の端部から上方に立設されている。壁部523は、左右方向に面している。壁部523は、バッテリケース51の側面の一部である。壁部523は、壁部533と同一平面に配置されている。壁部524は、壁部521の右方の端部から上方に立設されている。壁部524は、左右方向に面している。壁部524は、バッテリケース51の側面の一部である。壁部524は、壁部534と同一平面に配置されている。壁部525は、壁部521の後方の端部から上方に立設されている。壁部525は、前後方向に面している。壁部525は、第2バッテリケース53の壁部532と重ねた状態で固定される。壁部526は、壁部521と向かい合って配置されている。壁部526は、上下方向に面している。壁部526は、バッテリケース51の上面の一部である。壁部526は、壁部536より下方に配置されている。
【0029】
図9に示すように、壁部521の上面には、凸部529が配置されている。凸部529の上面529aに、セルユニット59FDが配置される。凸部529は、壁部521から上方に凸状に形成されている。凸部529の上面529aは、壁部521と平行な平面状である。本実施形態では、凸部529は、左右方向に延在する。本実施形態では、2つの凸部529は、前後方向に離間して配置されている。
【0030】
第1バッテリケース52の壁部521、壁部522、壁部523、壁部524、及び壁部526で囲まれた空間に、セルユニット59FU及びセルユニット59FDを収容する。セルユニット59FU及びセルユニット59FDは、凸部529の上面529aに配置されている。これにより、セルユニット59FU及びセルユニット59FDと壁部521との間に熱がこもることが抑制される。
【0031】
図6ないし図8に示すように、第2バッテリケース53は、バッテリ50のうち後方のバッテリセル59であるセルユニット59RU及びセルユニット59RDを収容する。第2バッテリケース53は、収容部12の後方で、第1バッテリケース52の後方に配置されている。第2バッテリケース53は、運転席41の後方の下側に配置されている。第2バッテリケース53は、第1バッテリケース52と段差を有する。本実施形態では、第2バッテリケース53は、第1バッテリケース52より高い位置に配置されている。より詳しくは、第2バッテリケース53の底面は、第1バッテリケース52の底面より高い位置に配置されている。本実施形態では、第2バッテリケース53の上面は、第1バッテリケース52の上面より高い位置に配置されている。第2バッテリケース53は、車体10の後方寄りに配置されている。第2バッテリケース53は、壁部531、壁部532、壁部533、壁部534、壁部535、及び壁部536を含む。
【0032】
壁部531、壁部532、壁部533、壁部534、壁部535、及び壁部536は、板状の材料で形成されている。壁部531は、上下方向に面している。壁部531は、バッテリケース51の底面の一部である。壁部531は、壁部521より上方に配置されている。壁部531は、支持部121に支持される。壁部532は、壁部531の前方の端部から上方に立設されている。壁部532は、前後方向に面している。壁部532は、第1バッテリケース52の壁部525と重ねた状態で固定される。壁部533は、壁部531の左方の端部から上方に立設されている。壁部533は、左右方向に面している。壁部533は、バッテリケース51の側面の一部である。壁部533は、壁部523と同一平面に配置されている。壁部534は、壁部531の右方の端部から上方に立設されている。壁部534は、左右方向に面している。壁部534は、バッテリケース51の側面の一部である。壁部534は、壁部524と同一平面に配置されている。壁部535は、壁部531の後方の端部から上方に立設されている。壁部535は、前後方向に面している。壁部535は、バッテリケース51の側面の一部である。壁部536は、壁部531と向かい合って配置されている。壁部536は、上下方向に面している。壁部536は、バッテリケース51の上面の一部である。壁部536は、壁部526より上方に配置されている。
【0033】
図9に示すように、壁部531の上面には、凸部539が配置されている。凸部539の上面539aに、セルユニット59RDが配置される。凸部539は、壁部531から上方に凸状に形成されている。凸部539の上面539aは、壁部531と平行な平面状である。本実施形態では、凸部539は、左右方向に延在する。本実施形態では、2つの凸部539は、前後方向に離間して配置されている。
【0034】
第2バッテリケース53の壁部531、壁部532、壁部533、壁部534、及び壁部536で囲まれた空間に、セルユニット59RU及びセルユニット59RDを収容する。セルユニット59RU及びセルユニット59RDは、凸部539の上面539aに配置されている。これにより、セルユニット59RU及びセルユニット59RDと壁部531との間に熱がこもることが抑制される。
【0035】
図10は、区画板56を示す斜視図である。図11は、バッテリセル59を示す斜視図である。バッテリケース51には、上下方向の中間部に区画板56が配置されている。区画板56は、バッテリケース51内においてバッテリセル59を支持する。区画板56は、板状の部材である。区画板56は、壁部561と、壁部562と、段差部563とを含む。壁部561は、第1バッテリケース52に配置されている。壁部561は、複数の開口部564を有する。壁部562は、壁部561より上方に配置されている。壁部562は、第2バッテリケース53に配置されている。壁部562の面積は、壁部561の面積より広い。壁部562は、複数の開口部565及び複数の開口部566を有する。段差部563は、壁部561の後方の端部と壁部562の前方の端部とを接続する。
【0036】
本実施形態では、複数の開口部564は、左右方向に間隔を空けて配置されている。開口部564は、前後方向に沿って延在する。本実施形態では、複数の開口部565は、左右方向に間隔を空けて配置されている。開口部565は、前後方向に沿って延在する。本実施形態では、複数の開口部566は、左右方向に間隔を空けて配置されている。開口部566は、左右方向に沿って延在する。開口部564、開口部565、開口部566及び開口部567は、バッテリケース51の内部の空気の通り道となる。これにより、バッテリセル59の間に熱がこもらず、適切に冷却可能になる。
【0037】
壁部562と段差部563との接続部に開口部567が配置されている。本実施形態では、開口部567は、左右方向に沿って延在する。開口部567は、バッテリセル59を接続するケーブル等が通される。
【0038】
壁部568は、壁部561の前方の端部から上方に立設されている。壁部568は、セルユニット59FUの前面と接触しセルユニット59FUを位置決めする。壁部568は、セルユニット59FUのストッパである。
【0039】
壁部569は、壁部562の前方の端部から上方に立設されている。壁部569は、セルユニット59RUの前面と接触しセルユニット59RUを位置決めする。壁部569は、セルユニット59RUのストッパである。
【0040】
図6図9図11に示すように、複数のバッテリセル59は、区画板56の上方と下方とに配置されている。より詳しくは、壁部561と壁部521との間に、セルユニット59FDが配置されている。壁部562と壁部531との間に、セルユニット59RDが配置されている。壁部526と壁部561との間に、セルユニット59FUが配置されている。壁部536と壁部562との間に、セルユニット59RUが配置されている。セルユニット59FDとセルユニット59RD、セルユニット59FUとセルユニット59RUは、前後方向に離間して配置されている。
【0041】
図6に示すように、バッテリケース51の第2バッテリケース53の上方に、安全回路等を収納する収納ケース57が配置されている。収納ケース57は、箱形状に形成されている。収納ケース57には、例えば、図示しないヒューズ及びコンタクタ等が収容されている。
【0042】
図7図11に示すように、本実施形態では、バッテリセル59は、上下方向に2段に18個ずつ配列されている。前方の下段の8個のバッテリセル59を、セルユニット59FDとする。前方の上段の8個のバッテリセル59を、セルユニット59FUとする。後方の下段の10個のバッテリセル59を、セルユニット59RDとする。後方の上段の10個のバッテリセル59を、セルユニット59RUとする。バッテリセル59は、前方より後方に数多く配置されている。
【0043】
セルユニット59FU、セルユニット59FD、セルユニット59RU及びセルユニット59RDの各バッテリセルは、図示しないケーブルを介して直列に接続されている。セルユニット59FU、セルユニット59FD、セルユニット59RU及びセルユニット59RD同士は、図示しないバスバーを介して並列に接続されている。
【0044】
運転席41の下に配置されている、図9に示すセルユニット59FU、セルユニット59FDは、図12に示す従来のフォークリフト1Xのバッテリ50Xの高さXと同じである。後輪22の上に配置されているセルユニット59RU、セルユニット59RDは図12に示す従来のフォークリフト1Xのバッテリ50Xより高い位置に配置されている。セルユニット59RUはセルユニット59FUより高い位置に配置され、セルユニット59RDはセルユニット59FDより高い位置に配置されている。より詳しくは、セルユニット59RUの底面はセルユニット59FUの底面より高い位置に配置され、セルユニット59RDの底面はセルユニット59FDの底面より高い位置に配置されている。セルユニット59RUの上面はセルユニット59FUの上面より高い位置に配置され、セルユニット59RDの上面はセルユニット59FDの上面より高い位置に配置されている。本実施形態では、バッテリ50は、後輪22の上方に配置されているセルユニット59RU、セルユニット59RDは、フレーム11の前方に配置されたバッテリ50であるセルユニット59FU及びセルユニット59FDより後方寄りに前後方向に離間して配置されている。
【0045】
このように、車体10のフレーム11の後方に配置されたバッテリ50は、車体10のフレーム11の前方に配置されたバッテリ50より高く位置する。バッテリ50は、前方の下端部が運転席41の下方に配置されている。バッテリ50は、後方の下端部が後輪22の上方に配置されている。本実施形態では、バッテリ50の底面において、前方が低く後方が高く配置されている。
【0046】
図示しない吸気口からバッテリケース51内に導入された気体は、凸部529と壁部521との隙間、凸部539と壁部531との隙間、開口部564、開口部565及び開口部567を通過して、排気口から排出される。これにより、バッテリケース51内の空気が、各バッテリセル59の上面、底面、側面に触れ、バッテリセル59を冷却する。
【0047】
[効果]
本実施形態は、セルユニット59RUはセルユニット59FUより高い位置に配置されている。本実施形態は、第2バッテリケース53は、第1バッテリケース52より高い位置に配置されている。これらにより、本実施形態は、車体10のフレーム11の後方に配置された、言い換えると、後輪22の上方に配置されたバッテリ50は、車体10のフレーム11の前方、言い換えると、運転席41の下方に配置されたバッテリ50より高く位置する。本実施形態によれば、バッテリ50が、後輪22に干渉しないように配置できる。また、本実施形態によれば、運転席41が高くなることを抑制できる。
【0048】
本実施形態は、バッテリケース51の前方の底面である第1バッテリケース52の底面を低い位置に、バッテリケース51の後方の底面である第2バッテリケース53の底面を高い位置に配置する。本実施形態では、運転席41の下方に配置されているバッテリ50は従来のバッテリ式のフォークリフト1Xと同じ高さXとし、後輪22の上方に配置されているバッテリ50が高い位置に配置されている。本実施形態によれば、第1バッテリケース52を低く配置することにより、運転席41の高さを抑制することができる。本実施形態によれば、昇降ステップ14と運転席41との間隔が拡がることを抑制し、乗降性を保つことができる。
【0049】
本実施形態は、後輪22の上方に配置されているバッテリ50は、運転席41の下方に配置されているバッテリ50より後方寄りに離間して配置する。本実施形態によれば、車体10の重心位置が後方寄りになるので、車体10の安定性を保つことができる。
【0050】
本実施形態は、第1バッテリケース52と第2バッテリケース53とは、一体に形成されている。本実施形態では、車体10のフレーム11の前方に配置されたバッテリ50と、車体10のフレーム11の後方に配置されたバッテリ50とは、一体に形成されたバッテリケース51に収容されている。本実施形態によれば、部品点数が削減されるので、バッテリ50を車体10から容易に着脱できる。
【0051】
本実施形態は、後輪22のタイヤ径d1を、エンジン式のフォークリフトの後輪のタイヤ径と同程度の大きさにできる。本実施形態によれば、轍やくぼみ等の悪路を通過する際に後輪22がはまり込んでしまうおそれを低減できる。本実施形態によれば、悪路での操作性を向上できる。
【0052】
以上、本実施形態を説明したが、上述した内容により本実施形態が限定されるものではない。また、上述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、上述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0053】
上記では、第1バッテリケース52と第2バッテリケース53とは、一体に形成されているものとして説明したが、これに限定されない。第1バッテリケース52と第2バッテリケース53とは、分離されていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…フォークリフト(作業車両)、10…車体、11…フレーム(車体フレーム)、12…収容部、13…フロアプレート、14…昇降ステップ、15…ダッシュボード、20…カウンタウエイト、21…前輪、22…後輪、31…フォーク、32…マスト、33…リフトシリンダ、34…ティルトシリンダ、50…バッテリ、51…バッテリケース、52…第1バッテリケース、53…第2バッテリケース、56…区画板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2022-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源であるバッテリと、
前記バッテリが配置された車体フレームと、
前記バッテリを上下方向及び前後方向に区画して支持し、前方が低く後方が高い段差部を有する区画板と、
を備え、
前記車体フレームの後方に配置された前記バッテリは、前記車体フレームの前方に配置された前記バッテリより高く位置し、
前記区画板上には、前記車体フレームの前方かつ上下方向の上段に配置された前記バッテリ及び前記車体フレームの後方かつ上下方向の上段に配置された前記バッテリを支持し、
前記区画板より上下方向の下方に、前記車体フレームの前方かつ上下方向の下段に配置された前記バッテリ及び前記車体フレームの後方かつ上下方向の下段に配置された前記バッテリが配置され、
前記区画板は、前記バッテリを支持する壁部及び前記段差部に、複数の開口部を有する、
作業車両。
【請求項2】
前記バッテリの底面において、前方が低く後方が高く配置されている、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記バッテリは、前記車体フレームの後方の後輪の上方に配置されているバッテリが、前記車体フレームの前方に配置された前記バッテリと離間して配置されている、請求項1又は2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記車体フレームの前方に配置された前記バッテリと、前記車体フレームの後方に配置された前記バッテリとは、一体に形成されたバッテリケースに収容されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の作業車両。
【請求項5】
前記バッテリは、前方の下端部が運転席の下方に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の作業車両。
【請求項6】
前記バッテリは、後方の下端部が後輪の上方に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の作業車両。