(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103678
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/30 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
B60N2/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218452
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】目黒 司
(72)【発明者】
【氏名】冨田 佳弘
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087DE09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】乗物用シートにおいて、シートの動作を妨げない位置に電子制御装置を配置する。
【解決手段】乗物用シート1であって、フロア4に対するシートバック3の回動を選択的に規制するロック装置5と、ロック装置を駆動する、第1電動モータを備えた第1駆動装置41と、第1電動モータを制御する電子制御装置42とを有する。シートバックは、シートバックフレーム16を有する。第1駆動装置及び電子制御装置は、シートバックフレームの左右方向における一側に上下に並んで配置されている。シートバックフレームは、板部材24を有する。板部材は、平面部24Bと、平面部から隆起した複数の隆起部24Cとを有する。板部材に直交する方向から見て平面部及び隆起部に重なるように、平面部及び隆起部の少なくとも一方に第1ブラケットが結合されている。電子制御装置は、第1ブラケットに結合されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッション及びシートバックを有する乗物用シートであって、
フロアに対する前記シートバックの回動を選択的に規制するロック装置と、
前記ロック装置を駆動する、第1電動モータを備えた第1駆動装置と、
前記第1電動モータを制御する電子制御装置とを有し、
前記シートバックは、シートバックフレームを有し、
前記第1駆動装置及び前記電子制御装置は、前記シートバックフレームの左右方向における一側に上下に並んで配置されている乗物用シート。
【請求項2】
前記シートバックフレームは、板部材を有し、
前記板部材は、平面部と、前記平面部から隆起した複数の隆起部とを有し、
前記板部材に直交する方向から見て前記平面部及び前記隆起部に重なるように、前記平面部及び前記隆起部の少なくとも一方に第1ブラケットが結合され、
前記電子制御装置は、前記第1ブラケットに結合されている請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記シートバックフレームは、上下に延び、前記板部材に結合された左右のサイドメンバと、左右に延び、左右の前記サイドメンバの上端に結合したアッパメンバとを有し、
前記電子制御装置は、左右の前記サイドメンバの一方と前記アッパメンバによって画定される隅部に配置されている請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記アッパメンバには、ヘッドレストを支持するための左右のヘッドレスト支持部が設けられ、
前記電子制御装置の少なくとも一部は、左右において対応する前記サイドメンバと前記ヘッドレスト支持部との間に配置されている請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記第1駆動装置は、前記電子制御装置の下方に配置されている請求項4に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記シートバックフレームは、前記第1駆動装置と前記電子制御装置との間を通過して左右に延び、左右の前記サイドメンバに結合されたクロスメンバを有する請求項5に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記電子制御装置は、左右において対応する前記サイドメンバ及び前記ヘッドレスト支持部と、前記アッパメンバと、前記クロスメンバとによって画定される空間に配置されている請求項6に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記第1駆動装置は、前記サイドメンバに結合された第2ブラケットに結合され、
前記クロスメンバの端部は、前記第2ブラケットと相反する側に屈曲され、前記サイドメンバに結合されている請求項6又は請求項7に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記シートバックは、前記ロック装置を介して前記フロアに設けられたベースに回動可能に結合され、
前記シートクッションは、前記シートバックに回動可能に結合され、
前記シートバックが前方に回動することによって前記シートクッションが下降する請求項3~請求項8のいずれか1つの項に記載の乗物用シート。
【請求項10】
左右の前記サイドメンバの下端は、前記ロック装置を介して前記フロアに設けられたベースに回動可能に結合され、
前記ロック装置は、前記サイドメンバの回動軸線に沿って延び、前記サイドメンバを貫通して前記サイドメンバの左右内方に突出する操作軸を有し、前記操作軸が回転することによって前記フロアに対する前記サイドメンバの回転を許容又は規制し、
前記操作軸の端部には径方向に延び、伝達部材を介して前記第1駆動装置に接続された操作レバーが設けられ、
前記サイドメンバの下端には、前記操作レバーの位置を検出するセンサが設けられている請求項3~請求項9のいずれか1つの項に記載の乗物用シート。
【請求項11】
前記シートクッションは、左右の前記サイドメンバに回動可能に支持された左右のリンクを有し、
前記シートバックが着座位置にあるときに、前記センサは対応する前記サイドメンバと前記リンクとの間に配置される請求項10に記載の乗物用シート。
【請求項12】
左右に延び、左右の前記サイドメンバの下部のそれぞれに結合されたロアメンバと、
前記ベースに設けられ、前記ベースに対して前記シートバックフレームを回動させる第2駆動装置と、
前記電子制御装置と前記第2駆動装置とを接続するハーネスとを有し、
前記ハーネスの一部は、前記ロアメンバに支持されている請求項10又は請求項11に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、シートバックをシートクッション側に回転させてシートバックとシートクッションとを重ね合わせるリクライニング機構と、重ね合わされたシートバック及びシートクッションを後方に回転させ、フロアに形成された凹部に収納するシート揺動機構とを有するシートシステムを開示している。リクライニング機構及びシート揺動機構のアクチュエータを制御する電子制御装置は、シートクッションフレームに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートクッションに電子制御装置を設けた場合、シートクッションの厚みが大きくなるという問題がある。特に、シートの収納形態においてシートクッションがフロア側に移動するダイブダウンシートでは、シートクッションの厚みが大きくなるとシートクッションの下降ストロークが小さくなり、シートの収納形態が大型化するという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、乗物用シートにおいて、シートの動作を妨げない位置に電子制御装置を配置することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、シートクッション(2)及びシートバック(3)を有する乗物用シート(1)であって、フロア(4)に対する前記シートバックの回動を選択的に規制するロック装置(5)と、前記ロック装置を駆動する、第1電動モータ(41A)を備えた第1駆動装置(41)と、前記第1電動モータを制御する電子制御装置(42)とを有し、前記シートバックは、シートバックフレーム(16)を有し、前記第1駆動装置及び前記電子制御装置は、前記シートバックフレームの左右方向における一側に上下に並んで配置されている。
【0007】
この態様によれば、乗物用シートにおいて、シートの動作を妨げない位置に電子制御装置を配置することができる。また、電子制御装置及び電動モータが乗員の背部に与える影響を抑制することができる。
【0008】
上記の態様において、前記シートバックフレームは、板部材(24)を有し、前記板部材は、平面部(24B)と、前記平面部から隆起した複数の隆起部(24C)とを有し、前記板部材に直交する方向から見て前記平面部及び前記隆起部に重なるように、前記平面部及び前記隆起部の少なくとも一方に第1ブラケット(44)が結合され、前記電子制御装置は、前記第1ブラケットに結合されているとよい。
【0009】
この態様によれば、第1ブラケットを板状部材の剛性が高い部分に配置して、第1ブラケットの安定性を高めることができる。
【0010】
上記の態様において、前記シートバックフレームは、上下に延び、前記板部材に結合された左右のサイドメンバ(17)と、左右に延び、左右の前記サイドメンバの上端に結合したアッパメンバ(18)とを有し、前記電子制御装置は、左右の前記サイドメンバの一方と前記アッパメンバによって画定される隅部に配置されているとよい。
【0011】
この態様によれば、アッパメンバ、サイドメンバ、及び板部材によって形成される空間を有効利用して電子制御装置を配置することができる。また、電子制御装置が乗員の背部に与える影響を抑制することができる。
【0012】
上記の態様において、前記アッパメンバには、ヘッドレストを支持するための左右のヘッドレスト支持部(26)が設けられ、前記電子制御装置の少なくとも一部は、左右において対応する前記サイドメンバと前記ヘッドレスト支持部との間に配置されているとよい。
【0013】
この態様によれば、サイドメンバとヘッドレスト支持部によって形成される空間を有効利用して電子制御装置を配置することができる。また、電子制御装置が乗員の背部に与える影響を抑制することができる。
【0014】
上記の態様において、前記第1駆動装置は、前記電子制御装置の下方に配置されているとよい。
【0015】
この態様によれば、電子制御装置と第1駆動装置とをシートバックにスペース効率良く配置することができる。
【0016】
上記の態様において、前記シートバックフレームは、前記第1駆動装置と前記電子制御装置との間を通過して左右に延び、左右の前記サイドメンバに結合されたクロスメンバ(21)を有するとよい。
【0017】
この態様によれば、電子制御装置及び第1駆動装置が取り付けられる部分のシートバックフレームの剛性を向上させることができる。
【0018】
上記の態様において、前記電子制御装置は、左右において対応する前記サイドメンバ及び前記ヘッドレスト支持部と、前記アッパメンバと、前記クロスメンバとによって画定される空間に配置されている。
【0019】
この態様によれば、アッパメンバ、サイドメンバ、ヘッドレスト支持部、クロスメンバ、及び板部材によって形成される空間を有効利用して電子制御装置を配置することができる。また、電子制御装置が乗員の背部に与える影響を抑制することができる。
【0020】
上記の態様において、前記第1駆動装置は、前記サイドメンバに結合された第2ブラケット(46)に結合され、前記クロスメンバの端部(21A)は、前記第2ブラケットと相反する側に屈曲され、前記サイドメンバに結合されているとよい。
【0021】
この態様によれば、第2ブラケットとの干渉を避けつつ、クロスメンバをサイドメンバに結合させることができる。
【0022】
上記の態様において、前記シートバックは、前記ロック装置を介して前記フロアに設けられたベース(7)に回動可能に結合され、前記シートクッションは、前記シートバックに回動可能に結合され、前記シートバックが前方に回動することによって前記シートクッションが下降するとよい。
【0023】
この態様によれば、シートをコンパクトに収納することができる。また、電子制御装置がシートバックに設けられているため、シートクッションをフロア上にコンパクトに収納することができる。
【0024】
上記の態様において、左右の前記サイドメンバの下端は、前記ロック装置を介して前記フロアに設けられたベース(7)に回動可能に結合され、前記ロック装置は、前記サイドメンバの回動軸線に沿って延び、前記サイドメンバを貫通して前記サイドメンバの左右内方に突出する操作軸(5A)を有し、前記操作軸が回転することによって前記フロアに対する前記サイドメンバの回転を許容又は規制し、前記操作軸の端部には径方向に延び、伝達部材を介して前記第1駆動装置に接続された操作レバー(5B)が設けられ、前記サイドメンバの下端には、前記操作レバーの位置を検出するセンサ(57)が設けられているとよい。
【0025】
この態様によれば、センサによってロック装置の状態を検出することができる。
【0026】
上記の態様において、前記シートクッションは、左右の前記サイドメンバに回動可能に支持された左右のリンク(37)を有し、前記シートバックが着座位置にあるときに、前記センサは対応する前記サイドメンバと前記リンクとの間に配置されるとよい。
【0027】
この態様によれば、センサがリンクに干渉することを避けることができる。
【0028】
上記の態様において、左右に延び、左右の前記サイドメンバの下部のそれぞれに結合されたロアメンバ(19)と、前記ベースに設けられ、前記ベースに対して前記シートバックフレームを回動させる第2駆動装置(61)と、前記電子制御装置と前記第2駆動装置とを接続するハーネス(67)とを有し、前記ハーネスの一部は、前記ロアメンバに支持されているとよい。
【0029】
この態様によれば、ハーネスを安定性良く配置することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一態様は、シートクッション(2)及びシートバック(3)を有する乗物用シート(1)であって、フロア(4)に対する前記シートバックの回動を選択的に規制するロック装置(5)と、前記ロック装置を駆動する、第1電動モータ(41A)を備えた第1駆動装置(41)と、前記第1電動モータを制御する電子制御装置(42)とを有し、前記シートバックは、シートバックフレーム(16)を有し、前記第1駆動装置及び前記電子制御装置は、前記シートバックフレームの左右方向における一側に上下に並んで配置されている。
【0031】
この態様によれば、乗物用シートにおいて、シートの動作を妨げない位置に電子制御装置を配置することができる。また、電子制御装置及び電動モータが乗員の背部に与える影響を抑制することができる。
【0032】
上記の態様において、前記シートバックフレームは、板部材(24)を有し、前記板部材は、平面部(24B)と、前記平面部から隆起した複数の隆起部(24C)とを有し、前記板部材に直交する方向から見て前記平面部及び前記隆起部に重なるように、前記平面部及び前記隆起部の少なくとも一方に第1ブラケット(44)が結合され、前記電子制御装置は、前記第1ブラケットに結合されているとよい。
【0033】
この態様によれば、第1ブラケットを板状部材の剛性が高い部分に配置して、第1ブラケットの安定性を高めることができる。
【0034】
上記の態様において、前記シートバックフレームは、上下に延び、前記板部材に結合された左右のサイドメンバ(17)と、左右に延び、左右の前記サイドメンバの上端に結合したアッパメンバ(18)とを有し、前記電子制御装置は、左右の前記サイドメンバの一方と前記アッパメンバによって画定される隅部に配置されているとよい。
【0035】
この態様によれば、アッパメンバ、サイドメンバ、及び板部材によって形成される空間を有効利用して電子制御装置を配置することができる。また、電子制御装置が乗員の背部に与える影響を抑制することができる。
【0036】
上記の態様において、前記アッパメンバには、ヘッドレストを支持するための左右のヘッドレスト支持部(26)が設けられ、前記電子制御装置の少なくとも一部は、左右において対応する前記サイドメンバと前記ヘッドレスト支持部との間に配置されているとよい。
【0037】
この態様によれば、サイドメンバとヘッドレスト支持部によって形成される空間を有効利用して電子制御装置を配置することができる。また、電子制御装置が乗員の背部に与える影響を抑制することができる。
【0038】
上記の態様において、前記第1駆動装置は、前記電子制御装置の下方に配置されているとよい。
【0039】
この態様によれば、電子制御装置と第1駆動装置とをシートバックにスペース効率良く配置することができる。
【0040】
上記の態様において、前記シートバックフレームは、前記第1駆動装置と前記電子制御装置との間を通過して左右に延び、左右の前記サイドメンバに結合されたクロスメンバ(21)を有するとよい。
【0041】
この態様によれば、電子制御装置及び第1駆動装置が取り付けられる部分のシートバックフレームの剛性を向上させることができる。
【0042】
上記の態様において、前記電子制御装置は、左右において対応する前記サイドメンバ及び前記ヘッドレスト支持部と、前記アッパメンバと、前記クロスメンバとによって画定される空間に配置されている。
【0043】
この態様によれば、アッパメンバ、サイドメンバ、ヘッドレスト支持部、クロスメンバ、及び板部材によって形成される空間を有効利用して電子制御装置を配置することができる。また、電子制御装置が乗員の背部に与える影響を抑制することができる。
【0044】
上記の態様において、前記第1駆動装置は、前記サイドメンバに結合された第2ブラケット(46)に結合され、前記クロスメンバの端部(21A)は、前記第2ブラケットと相反する側に屈曲され、前記サイドメンバに結合されているとよい。
【0045】
この態様によれば、第2ブラケットとの干渉を避けつつ、クロスメンバをサイドメンバに結合させることができる。
【0046】
上記の態様において、前記シートバックは、前記ロック装置を介して前記フロアに設けられたベース(7)に回動可能に結合され、前記シートクッションは、前記シートバックに回動可能に結合され、前記シートバックが前方に回動することによって前記シートクッションが下降するとよい。
【0047】
この態様によれば、シートをコンパクトに収納することができる。また、電子制御装置がシートバックに設けられているため、シートクッションをフロア上にコンパクトに収納することができる。
【0048】
上記の態様において、左右の前記サイドメンバの下端は、前記ロック装置を介して前記フロアに設けられたベース(7)に回動可能に結合され、前記ロック装置は、前記サイドメンバの回動軸線に沿って延び、前記サイドメンバを貫通して前記サイドメンバの左右内方に突出する操作軸(5A)を有し、前記操作軸が回転することによって前記フロアに対する前記サイドメンバの回転を許容又は規制し、前記操作軸の端部には径方向に延び、伝達部材を介して前記第1駆動装置に接続された操作レバー(5B)が設けられ、前記サイドメンバの下端には、前記操作レバーの位置を検出するセンサ(57)が設けられているとよい。
【0049】
この態様によれば、センサによってロック装置の状態を検出することができる。
【0050】
上記の態様において、前記シートクッションは、左右の前記サイドメンバに回動可能に支持された左右のリンク(37)を有し、前記シートバックが着座位置にあるときに、前記センサは対応する前記サイドメンバと前記リンクとの間に配置されるとよい。
【0051】
この態様によれば、センサがリンクに干渉することを避けることができる。
【0052】
上記の態様において、左右に延び、左右の前記サイドメンバの下部のそれぞれに結合されたロアメンバ(19)と、前記ベースに設けられ、前記ベースに対して前記シートバックフレームを回動させる第2駆動装置(61)と、前記電子制御装置と前記第2駆動装置とを接続するハーネス(67)とを有し、前記ハーネスの一部は、前記ロアメンバに支持されているとよい。
【0053】
この態様によれば、ハーネスを安定性良く配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図3】シートのフレームを後下方から見た斜視図であって、板部材を除いた状態を示す
【
図7】ロアメンバと第2駆動装置との接続部を示す断面図
【
図9】コントロールケーブル及びハーネスの接続構造を示す説明図
【
図10】シートの(A)使用形態、(B)使用形態から収納形態への遷移状態、(C)収納形態を示す側面図
【
図11】変形実施形態に係るロアメンバと第2駆動装置との接続部を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、図面を参照して、本発明に係る乗物用シートを自動車の後部座席(2列目及び3列目を含む)に適用した一実施形態を説明する。乗物用シートは後述するように使用形態(着座形態)と収納形態との間で形態が変化する。乗物用シートの各構成の形状及び向きは、特に明記しない限り、使用形態を基準として説明する。また、各部材が結合されていると記載した場合、特に明記しない限り、その結合態様は溶接及び締結を含むものとする。
【0056】
図1及び
図10に示すように、シート1は、シートクッション2及びシートバック3を有する。シートバック3はフロア4に回動可能に支持され、シートクッション2はシートバック3に回動可能に支持されている。シートバック3とフロア4との間には、フロア4に対するシートバック3の回動を選択的に規制するロック装置5が設けられている。シート1の使用形態では、シートバック3がフロア4に対して起立し、かつシートクッション2がフロア4から上方に離れている。シート1の使用形態から、シートバック3が前方に回動することによってシート1は収納形態になる。シート1が使用形態から収納形態に変化することによって、シートクッション2は下方に移動し、フロア4と近接する。シート1の収納形態では、シートバック3は略水平に延び、シートクッション2の上方に重なる。
【0057】
図1及び
図2に示すように、フロア4には、ベース7が設けられている。ベース7は、フロア4の上面上を前後に延び、フロア4に結合されたる左右のベースサイドメンバ11と、左右のベースサイドメンバ11の後端から上方に延びる左右のベースピラー12と、左右に延び、左右のベースサイドメンバ11に結合されたベースクロスメンバ13とを有する。ベースサイドメンバ11、ベースピラー12、ベースクロスメンバ13のそれぞれは板金によって形成されている。
【0058】
図1~
図3に示すように、左右のベースサイドメンバ11は、面が上下を向き、フロア4に結合される底壁部11Aと、底壁部11Aの側縁から上方に延びる縦壁部11Bとを有する。ベースピラー12とベースサイドメンバ11とは、共通の板金によって形成されてもよく、互いに独立した板金によって形成されてもよい。本実施形態では右側のベースピラー12は、ベースサイドメンバ11と一体に形成されている。左側のベースピラー12は、ベースサイドメンバ11に対して独立した板金によって形成され、ベースサイドメンバ11に結合されている。ベースピラー12は、面が左右を向く板状のピラー本体部12Aと、ピラー本体部12Aの前縁及び後縁から左右外方に延びるピラー縁壁部12Bとを有する。
【0059】
ベースクロスメンバ13は、上方に向けて開口した断面溝形の下側チャンネル材13Aと、下方に向けて開口した断面溝形の上側チャンネル材13Bとを有する。上側チャンネル材13Bの左右方向における長さは、下側チャンネル材13Aの左右方向における長さよりも短い。上側チャンネル材13Bと下側チャンネル材13Aとは、協動して閉断面構造を形成する。上側チャンネル材13Bは、下側チャンネル材13Aの内部に嵌合しているとよい。下側チャンネル材13Aの左右の端部は、対応するベースサイドメンバ11の縦壁部11Bに結合されている。上側チャンネル材13Bの左端部は左側の縦壁部11Bに結合されている。上側チャンネル材13Bの右端部は、下側チャンネル材13Aの左右方向における中央よりも左方に配置されている。下側チャンネル材13A及び上側チャンネル材13Bの底部には、剛性を高めるためにビート等の凹凸構造が設けられているとよい。
【0060】
図1及び
図4に示すように、シートバック3は、シートバックフレーム16を有する。シートバックフレーム16にはパッド(不図示)が支持され、パッド及びシートバックフレーム16は表皮材(不図示)によって覆われている。シートバックフレーム16は、左右のバックサイドメンバ17、アッパメンバ18、ロアメンバ19、第1クロスメンバ21、第2クロスメンバ22、第3クロスメンバ23、及び板部材24を有する。左右のバックサイドメンバ17は、左右に互いに間隔をおいて上下に延びている。アッパメンバ18は、左右に延び、左右のバックサイドメンバ17の上端に結合している。ロアメンバ19は、アッパメンバ18の下方を左右に延び、左右のバックサイドメンバ17の下部に結合している。第1~第3クロスメンバ21~23は、アッパメンバ18とロアメンバ19との間を左右に延び、左右のバックサイドメンバ17の中間部に結合している。
【0061】
左右のバックサイドメンバ17は、サイドメンバ上部17Aと、サイドメンバ上部17Aに結合されたサイドメンバ下部17Bとを有する。左右のサイドメンバ上部17Aと、アッパメンバ18とは、連続したパイプ材を屈曲することによって形成されている。左右のサイドメンバ下部17Bは、板金によって形成され、面が左右を向く本体部17Cと、本体部17Cの縁から左右内方に曲げ起こされた縁壁部17Dとを有する。
【0062】
アッパメンバ18には、左右のヘッドレスト支持部26が設けられている。左右のヘッドレスト支持部26は、互いに間隔をおいてアッパメンバ18の左右方向における中央部の前面に結合されている。左右のヘッドレスト支持部26は、筒状に形成され、アッパメンバ18から下方に延びている。
【0063】
図4~
図7に示すように、ロアメンバ19は、前方に向けて開口した断面溝形の後側チャンネル材19Aと、前方に向けて開口した断面溝形の前側チャンネル材19Bとを有する。前側チャンネル材19Bの左右方向における長さは、後側チャンネル材19Aの左右方向における長さよりも短い。後側チャンネル材19Aと前側チャンネル材19Bとは、協動して閉断面構造を形成する。前側チャンネル材19Bは、後側チャンネル材19Aの内部に嵌合しているとよい。後側チャンネル材19Aの左右の端部は、左右において対応するサイドメンバ下部17Bの縁壁部17Dの内側に配置され、縁壁部17Dに溶接されている。サイドメンバ下部17Bの縁壁部17Dの端部が、後側チャンネル材19Aの後面に溶接されているとよい。後側チャンネル材19Aの端部は、サイドメンバ下部17Bの縁壁部17Dとの接触面積を拡大するために延長部19Cを有する。延長部19Cは、後側チャンネル材19Aの溝形を形成する側壁部の先端に設けられているとよい。
【0064】
前側チャンネル材19Bの左端部は左側のサイドメンバ下部17Bの本体部17Cに結合されている。前側チャンネル材19Bの右端部は、後側チャンネル材19Aの左右方向における中央よりも左方に配置されている。後側チャンネル材19A及び前側チャンネル材19Bの底部には、剛性を高めるためにビード等の凸部19Dが設けられているとよい。凸部19Dは、前側チャンネル材19B側に膨出し、前側チャンネル材19Bに当接しているとよい。また、凸部19Dは、後側チャンネル材19Aに沿って左右に延びているとよい。
【0065】
図1及び
図4に示すように、第1クロスメンバ21及び第2クロスメンバ22は、断面円形の棒状部材によって形成されている。第1クロスメンバ21は、アッパメンバ18の下方かつロアメンバ19の上方を左右に延びている。第1クロスメンバ21の左右の端部21Aは、中央部に対して上方に屈曲され、対応するサイドメンバ上部17Aに溶接されている。第2クロスメンバ22は、第1クロスメンバ21の下方かつロアメンバ19の上方を左右に延びている。第2クロスメンバ22の左右の端部は、中央部に対して上方に屈曲され、対応するサイドメンバ上部17Aに溶接されている。
【0066】
第3クロスメンバ23は、第2クロスメンバ22の下方かつロアメンバ19の上方を左右に延び、左右のサイドメンバ下部17Bに溶接されている。第3クロスメンバ23は、複数の板金部材から形成されているとよい。第3クロスメンバ23は、面が前後を向く本体部23Aと、本体部23Aの下縁から前方かつ上方に延びた後、更に屈曲して下方に延びる屈曲部23Bとを有する。第3クロスメンバ23の下縁には前方に向けて突出するアンカー23Cが設けられている。アンカー23Cは、チャイルドシートのフックを係止するために使用される。
【0067】
板部材24は、面が前後を向き、左右のバックサイドメンバ17、アッパメンバ18、ロアメンバ19、及び第3クロスメンバ23に溶接されている。板部材24の上縁は、アッパメンバ18より上方に位置し、左右に延びている。板部材24の下縁は、ロアメンバ19より下方に位置し、左右に延びている。板部材24の左右の側縁は、左右のバックサイドメンバ17よりも左右外方に位置し、上下に延びている。板部材24の各縁部には、弧状に湾曲した湾曲部24Aが設けられている。湾曲部24Aは、前方に向けて凸となる半円形の断面を有し、各縁部に沿って延びている。各湾曲部24Aには、複数のビード等の凹凸構造が設けられているとよい。各凹凸構造は、湾曲部24Aの延在方向と直交する方向に延びているとよい。各湾曲部24A及び各凹凸構造は、板状部の剛性を向上させる。
【0068】
板部材24は、面が前後を向く平面部24Bと、平面部24Bから隆起した複数の隆起部24Cとを有する。隆起部24Cは平面部24Bに対して前方又は後方に隆起しているとよい。各隆起部24Cは、板状部を前方又は後方に押し出すことによって形成されている。隆起部24Cは、板部材24の剛性を向上させる。
【0069】
図4及び
図6に示すように、ロアメンバ19の後側チャンネル材19A及び前側チャンネル材19Bには、前後に貫通する透孔19Eが少なくとも1つ形成されている。前側チャンネル材19Bの透孔19Eは後側チャンネル材19Aの透孔19Eと前後において重なる位置に配置されている。板部材24には、ロアメンバ19との位置を合わせるための標識が設けられている。標識は、孔、凸部、凹部、及び図柄等であってよい。板部材24がロアメンバ19に対して適切な位置に配置されると、標識は透孔19Eを通して前方に露出する。
【0070】
他の実施形態では、左右のバックサイドメンバ17、アッパメンバ18、及びロアメンバ19は、板部材24と一体に形成されてもよい。例えば、板部材24をプレス成形することによって立体形状を形成し、この立体形状がバックサイドメンバ17、アッパメンバ18、及びロアメンバ19を構成してもよい。
【0071】
図1及び
図4に示すように、左右のサイドメンバ下部17Bは、左右において対応するベースピラー12にロック装置5を介して回動可能に支持される。左右のサイドメンバ下部17Bの回動軸線は、左右に延び、互いに同軸に配置されている。ロック装置5は、サイドメンバ下部17Bの回動軸線と同軸に配置されている。
【0072】
図8に示すように、ロック装置5は、バックサイドメンバ17の回動軸線に沿って延び、バックサイドメンバ17を貫通してバックサイドメンバ17の左右内方に突出する操作軸5Aを有し、操作軸5Aが回転することによってフロア4に対するサイドメンバの回転を許容又は規制する。ロック装置5は、公知のリクライニング機構を適用することができる。ロック装置5は、例えば、ベースピラー12に結合される第1部分と、サイドメンバ下部17Bに結合され、第1部分に回転可能に支持された第2部分と、第2部分に設けられ、第1部分に結合する結合位置と第1部分から離れた解除位置との間で移動可能なロック爪と、ロック爪を結合位置に付勢するばねと、第1部材に対する第2部材の回転軸線と同軸に配置され、第2部材に対して回転可能な操作軸5Aと、操作軸5Aに結合され、回転することによってロック爪をばねの付勢力に抗して解除位置に移動させるカムとを有するとよい。操作軸5Aに外部から操作力が加わっていないとき、操作軸5Aはばねの付勢力によって初期位置に戻る。操作軸5Aがバックサイドメンバ17に対して回転すると、シートバック3がフロア4に対して回動可能になる。各操作軸5Aの端部には径方向に延びた操作レバー5Bがそれぞれ設けられている。
【0073】
図1に示すように、シートクッション2は、シートクッションフレーム31を有する。シートクッションフレーム31にはパッドが支持され、パッド及びシートクッションフレーム31は表皮材によって覆われている。シートクッションフレーム31は、左右のクッションサイドメンバ32、フロントメンバ33、リアメンバ34、及びセンタープレート35を有する。左右のクッションサイドメンバ32は、左右に互いに間隔をおいて前後に延びている。フロントメンバ33は、左右に延び、左右のクッションサイドメンバ32の前端に結合している。リアメンバ34は、左右に延び、左右のバックサイドメンバ17の後端に結合している。センタープレート35は、前後に延びてフロントメンバ33とリアメンバ34とに結合されている。
【0074】
左右のクッションサイドメンバ32の後端には、後方かつ上方に延びる左右の後リンク37が結合されている。左右の後リンク37は、左右のクッションサイドメンバ32と一体に移動する。左右の後リンク37の後端は、左右のサイドメンバ下部17Bに左右に延びる軸線を中心として回動可能に支持されている。これにより、シートクッション2はシートバック3に回動可能に結合されている。
【0075】
左右のクッションサイドメンバ32の前端は、左右の前リンク38を介してベースサイドメンバ11の前端に結合されている。前リンク38の一端はクッションサイドメンバ32の前端に左右に延びる軸線を中心として回動可能に結合されている。前リンク38の他端はベースサイドメンバ11の前端に左右に延びる軸線を中心として回動可能に結合されている。
【0076】
図1に示すように、シートバックフレーム16には、ロック装置5を駆動する第1駆動装置41と、第1駆動装置41を制御する電子制御装置42とが設けられている。電子制御装置42は、CPU、不揮発性メモリ(ROM)、及び、揮発性メモリ(RAM)等から構成されている。第1駆動装置41及び電子制御装置42は、シートバックフレーム16の左右方向における一側に上下に並んで配置されている。本実施形態では、第1駆動装置41及び電子制御装置42は、シートバックフレーム16の右側の側部に上下に並んで配置されている。
【0077】
図4に示すように、電子制御装置42は、第1ブラケット44を介して板部材24に結合されている。第1ブラケット44は、板部材24に溶接されてもよく、ボルト及びナット等の締結部材によって板部材24に締結されてもよい。第1ブラケット44は、板部材24に直交する方向から見て、平面部24B及び隆起部24Cに重なるように、平面部24B及び隆起部24Cの少なくとも一方に結合されている。第1ブラケット44は、平面部24Bに結合された第1部分44Aと、第1部分44Aに対して前方にオフセットして配置され、隆起部24Cに当接した第2部分44Bとを有する。第2部分44Bは、隆起部24Cに結合されてもよい。電子制御装置42は、ボルト及びナット等の締結部材によって第2部分44Bに締結されている。第1部分44Aは、平面部24Bに加えて、バックサイドメンバ17に結合されてもよい。
【0078】
電子制御装置42及び第1ブラケット44は、左右のバックサイドメンバ17の一方とアッパメンバ18によって画定される隅部に配置されている。本実施形態では、電子制御装置42及び第1ブラケット44は、右側のサイドメンバとアッパメンバ18によって画定される隅部に配置されている。また、電子制御装置42の少なくとも一部は、左右において対応するバックサイドメンバ17とヘッドレスト支持部26との間に配置されている。本実施形態では、電子制御装置42の上部は、右側のバックサイドメンバ17上部と右側のヘッドレスト支持部26との間に配置されている。また、電子制御装置42及び第1ブラケット44は、第1クロスメンバ21の上方に配置されている。電子制御装置42は、左右において対応するバックサイドメンバ17及びヘッドレスト支持部26と、アッパメンバ18と、第1クロスメンバ21とによって画定される空間に配置されている。
【0079】
図1及び
図4に示すように、第1駆動装置41は、第1電動モータ41Aと、第1電動モータ41Aの駆動に応じて変位する出力部41Bとを有する。第1駆動装置41は、第2ブラケット46を介してバックサイドメンバ17に結合されている。本実施形態では、第2ブラケット46は、第1駆動装置41が締結される本体部46Aと、本体部46Aから右方に突出し、サイドメンバ上部17Aに結合された少なくとも1つの第1突片部46Bと、本体部46Aから左方に突出し、板部材24の平面部24B又は隆起部24C部に結合された少なくとも1つの第2突片部46Cとを有する。本体部46A、第1突片部46B、第2突片部46Cは、互いに別部材から形成され、互いに結合されてもよい。また、本体部46A、第1突片部46B、第2突片部46Cは、1つの板部材24から形成されてもよい。
【0080】
第1突片部46Bは、半円形に湾曲し、サイドメンバ上部17Aの外周に沿って延びている。本実施形態では、第1突片部46Bは、上下に間隔をおいて2つ配置されている。上側の第1突片部46Bは、第1クロスメンバ21の端部よりも下方に配置されている。第1クロスメンバ21の端部は、第2ブラケット46と相反する側に屈曲されている。2つの第1突片部46Bは、サイドメンバ上部17Aに溶接されてもよく、締結されてもよい。また、第2突片部46Cは、板部材24に溶接されてもよく、締結されてもよい。
【0081】
第2突片部46C及び第1駆動装置41は、電子制御装置42の下方に配置されている。また、第2突片部46C及び第1駆動装置41は、第1クロスメンバ21の下方に配置されている。すなわち、第1クロスメンバ21は、第1駆動装置41と電子制御装置42との間を通過して左右に延びている。
【0082】
図4に示すように、板部材24の左側部であって、左側のバックサイドメンバ17の右側には、中継レバー51が回動可能に設けられている。中継レバー51は、図示しないばねによって初期位置に付勢されている。第1駆動装置41は、第1コントロールケーブル52(伝達部材)を介して中継レバー51と接続されている。中継レバー51は、第2コントロールケーブル53(伝達部材)を介して左側のロック装置5の操作レバー5Bに接続され、第3コントロールケーブル54(伝達部材)を介して右側のロック装置5の操作レバー5Bに接続されている。
【0083】
右側の操作レバー5Bの基端には、操作レバー5Bの回転軸の径方向に突出した凸部5Cが設けられている。バックサイドメンバ17の下端には、操作レバー5Bの位置を検出するセンサ57が設けられている。センサ57は、右側のサイドメンバ下部17Bの右側面であって、操作レバー5Bの周囲に配置されている。センサ57は、操作レバー5Bの凸部5Cに押されて回動するリミットスイッチであるとよい。シートバック3が着座位置にあるときに、センサ57は対応するバックサイドメンバ17と後リンク37との間に配置される。すなわち、センサ57は右側のバックサイドメンバ17と右側の後リンク37との間に配置される。操作レバー5Bはばね5Dを介してサイドメンバ下部17Bに接続され、初期位置に向けて付勢されている。
【0084】
図4及び
図5に示すように、ベース7には、ベース7に対してシートバックフレーム16を回動させる第2駆動装置61が設けられている。第2駆動装置61は、ベース7とシートバック3とを連結し、伸縮することによってベース7に対してシートバック3を回動させる。第2駆動装置61は、ケース61Aと、ケース61Aに回動可能に支持されたボールねじナット61Bと、ボールねじナット61Bに螺合したボールねじ軸61Cと、ケース61Aに結合され、ボールねじナット61Bを回転させる電動モータ61Dとを有する。ケース61Aは、ヒンジ63を介してベースクロスメンバ13に左右に延びる軸線を中心として回動可能に接続されている。ヒンジ63は、ベースクロスメンバ13の上側チャンネル材13Bに締結される下側ヒンジブラケット63Aと、下側ヒンジブラケット63Aに左右に延びる軸線を中心として回動可能に結合され、かつケース61Aに締結された上側ヒンジブラケット63Bとを有する。ベースクロスメンバ13の下側チャンネル材13Aの底部には、貫通孔である作業孔13Cが形成されている。上側チャンネル材13Bと下側ヒンジブラケット63Aとを締結するボルト13Dは、作業孔13Cを通して下方に露出している。これにより、作業者は、作業孔13Cを通して上側チャンネル材13Bと下側ヒンジブラケット63Aとの締結作業を行うことができる。
【0085】
シートバックフレーム16のロアメンバ19には、下方に延びるブラケット64が溶接されている。ブラケット64は、ロアメンバ19の後側チャンネル材19Aの下側の側壁の外面に溶接されているとよい。ボールねじ軸61Cの先端は、ブラケット64に左右に延びる軸線を中心として回動可能に結合されている。他の実施形態では、
図11に示すように、ボールねじ軸61Cの先端に、上方に向けて屈曲した屈曲部61Eが設けられているとよい。屈曲部61Eは、後側チャンネル材19Aに一体に形成された結合部19Fに左右に延びる軸線を中心として回動可能に結合されているとよい。結合部19Fは、例えば後側チャンネル材19Aを切り起こすことによって形成されているとよい。
【0086】
図4及び
図9に示すように、電子制御装置42は、第1ハーネス66によって第1駆動装置41と接続され、第2ハーネス67によって第2駆動装置61と接続され、第3ハーネス68によってセンサ57と接続されている。第1~第3ハーネス66~68は、一部において互いに結束されている。第2ハーネス67の一部は、複数の樹脂製のファスナ69によってロアメンバ19に締結され、ロアメンバ19に沿って配置されている。他の実施形態では、第2ハーネス67の一部は、複数の樹脂製のファスナによって第3クロスメンバ23に締結され、第3クロスメンバ23に沿って配置されてもよい。
【0087】
また、電子制御装置42は、第4ハーネス71によって操作スイッチ72に接続され、第5ハーネス74によって電源75に接続されている。操作スイッチ72は、乗員の第1操作に応じて第1信号を出力し、第2操作に応じて第2信号を出力する。第1信号はシート1を使用形態から収納形態に変化させる動作に対応した信号であり、第2信号はシート1を収納形態から使用形態に変化させる動作に対応した信号である。
【0088】
次に、シート1の作動について説明する。
図10(A)に示すように、シート1が使用形態であるとき、シートバック3はフロア4に対して起立し、ロック装置5はシートバック3の回動を規制する。シートクッション2は略水平に延在し、フロア4から間隔をおいて配置される。シート1が使用形態であるときに、乗員が操作スイッチ72に対して第1操作を行うと第1信号が電子制御装置42に出力される。電子制御装置42は、第1信号に基づいて第1駆動装置41を駆動制御する。これにより、第1駆動装置41が第1コントロールケーブル52によって中継レバー51を初期位置から駆動位置に移動させる。中継レバー51が初期位置から駆動位置に移動すると、第2コントロールケーブル53及び第3コントロールケーブル54が左右の操作レバー5Bを引っ張り、左右の操作レバー5Bがロック位置から解除位置に移動する。これにより、左右のロック装置5が解除され、ベース7に対してシートバック3が回動可能になる。
【0089】
右側の操作レバー5Bが解除位置に到達すると、センサ57が操作レバー5Bの凸部5Cに押され、検出信号を電子制御装置42に出力する。電子制御装置42は、センサ57からの信号に基づいて操作レバー5Bが解除位置に到達した、すなわちロック装置5が解除されたと判定する。電子制御装置42は、ロック装置5の解除を判定すると、第2駆動装置61の電動モータ61Dを駆動制御して第2駆動装置61を伸長させる。電動モータ61Dが回転すると、ケース61Aに対してボールねじナット61Bが回転し、ボールねじ軸61Cがケース61Aに対して後方に突出する。これにより、
図10(B)に示すように、第2駆動装置61によってシートバック3の下端部が後方に押され、シートバック3の上部が前方に回動する。同時に、シートクッション2はシートバック3に押されて前方かつ下方に移動する。これにより、シート1が収納形態になる。電子制御装置42は、第2駆動装置61の電動モータ61Dの駆動電流に基づいてボールねじ軸61Cが最長位置に到達したことを検出し、第2駆動装置61の駆動を停止させる。また、電子制御装置42は、ロック装置5が解除されたと判定したときからの経過時間を計測し、経過時間が所定時間に到達したときに第1駆動装置41の駆動を停止させる。これにより、左右のロック装置5のばねの付勢力によって、ロック装置5は解除状態からロック状態になる。これにより、
図10(C)に示すように、シート1は収納形態に維持される。
【0090】
シート1が収納形態であるときに、乗員が操作スイッチ72に対して第2操作を行うと第2信号が電子制御装置42に出力される。電子制御装置42は、第2信号に基づいて第1駆動装置41を駆動制御する。これにより、第1駆動装置41が第1コントロールケーブル52、中継レバー51、第2コントロールケーブル53、及び第3コントロールケーブル54を介して左右の操作レバー5Bをロック位置から解除位置に移動させる。これにより、左右のロック装置5が解除され、ベース7に対してシートバック3が回動可能になる。
【0091】
電子制御装置42は、センサ57からの信号に基づいて操作レバー5Bが解除位置に到達した、すなわちロック装置5が解除されたと判定する。電子制御装置42は、ロック装置5の解除を判定すると、第2駆動装置61の電動モータ61Dを駆動制御して第2駆動装置61を収縮させる。電動モータ61Dが回転すると、ケース61Aに対してボールねじナット61Bが回転し、ボールねじ軸61Cがケース61Aに対して前方に移動する。これにより、
図10(B)に示すように、第2駆動装置61によってシートバック3の下端部が前方に引っ張られ、シートバック3の上部が後方に回動する。同時に、シートクッション2はシートバック3に引っ張られて後方かつ上方に移動する。これにより、シート1が使用形態になる。電子制御装置42は、第2駆動装置61の電動モータ61Dの駆動電流に基づいてボールねじ軸61Cが最短位置に到達したことを検出し、第2駆動装置61の駆動を停止させる。また、電子制御装置42は、ロック装置5が解除されたと判定したときからの経過時間を計測し、経過時間が所定時間に到達したときに第1駆動装置41の駆動を停止させる。これにより、左右のロック装置5のばねの付勢力によって、ロック装置5は解除状態からロック状態になる。これにより、
図10(A)に示すように、シート1は使用形態に維持される。
【0092】
実施形態に係るシート1によれば、シート1の動作を妨げない位置に電子制御装置42を配置することができる。電子制御装置42をシートバック3に配置することによって、シートクッション2の厚みを小さくすることができる。また、シートクッション2の下方にシートクッション2が移動するためのスペースを確保することができる。また、電子制御装置42及び第1駆動装置41が乗員の背部に与える影響を抑制することができる。
【0093】
電子制御装置42を支持する第1ブラケット44が、板部材24において平面部24B及び隆起部24Cと重なるように配置されている。これにより、第1ブラケット44が板部材24において剛性が高い部分に配置され、第1ブラケット44及び電子制御装置42が安定性良くシートバックフレーム16に支持される。
【0094】
電子制御装置42がアッパメンバ18、バックサイドメンバ17によって画定される隅部に配置されている。また、電子制御装置42がアッパメンバ18、サイドメンバ、第1クロスメンバ21、及びヘッドレストピラーによって画定される空間に配置されている。そのため、アッパメンバ18、サイドメンバ、及び板部材24によって形成される空間を有効利用して電子制御装置42を配置することができる。また、電子制御装置42が乗員の背部に与える影響を抑制することができる。
【0095】
第1駆動装置41が電子制御装置42の下方に配置されているため、電子制御装置42と第1駆動装置41とをシートバック3にスペース効率良く配置することができる。また、電子制御装置42と第1駆動装置41との間に第1クロスメンバ21が配置されているため、電子制御装置42及び第1駆動装置41が取り付けられる部分のシートバックフレーム16の剛性を向上させることができる。バックサイドメンバ17に結合した第1クロスメンバ21の端部は上方に屈曲しているため、バックサイドメンバ17に結合した第2ブラケット46との干渉が避けることができる。
【0096】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 :シート
2 :シートクッション
3 :シートバック
4 :フロア
5 :ロック装置
5A :操作軸
5B :操作レバー
5C :凸部
7 :ベース
16 :シートバックフレーム
17 :バックサイドメンバ
18 :アッパメンバ
19 :ロアメンバ
21 :第1クロスメンバ
21A :端部
24 :板部材
24B :平面部
24C :隆起部
26 :ヘッドレスト支持部
37 :後リンク
41 :第1駆動装置
41A :第1電動モータ
42 :電子制御装置
44 :第1ブラケット
46 :第2ブラケット
57 :センサ
61 :第2駆動装置
67 :第2ハーネス