IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社レイメイ藤井の特許一覧

特開2022-103689棺用ペーパーフラワー及びそのセット
<>
  • 特開-棺用ペーパーフラワー及びそのセット 図1
  • 特開-棺用ペーパーフラワー及びそのセット 図2
  • 特開-棺用ペーパーフラワー及びそのセット 図3
  • 特開-棺用ペーパーフラワー及びそのセット 図4
  • 特開-棺用ペーパーフラワー及びそのセット 図5
  • 特開-棺用ペーパーフラワー及びそのセット 図6
  • 特開-棺用ペーパーフラワー及びそのセット 図7
  • 特開-棺用ペーパーフラワー及びそのセット 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103689
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】棺用ペーパーフラワー及びそのセット
(51)【国際特許分類】
   A61G 17/04 20060101AFI20220701BHJP
   A41G 1/00 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
A61G17/04 Z
A41G1/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218473
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】591287864
【氏名又は名称】株式会社レイメイ藤井
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】藤井 章生
(57)【要約】      (修正有)
【課題】棺内で大きさの異なるご遺体に対してバランスのよい設置が容易で、香りを発生させ、焼却した場合に環境に悪影響を及ばすことがない棺用ペーパーフラワー及びそのセットを提供する。
【解決手段】棺内のご遺体の上に設置される棺用のペーパーフラワーであって、紙製の縦長の土台と、土台に接着される造花を備え、その造花が、香料を発散させる複数のループ形状の芯部と、当該芯部を囲むように少なくとも二重に形成される複数の花弁と、当該花弁の裏側に取り付けられ、外周を装飾する装飾部とを有し、そのペーパーフラワーを用いたセットである。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棺内のご遺体の上に設置される棺用のペーパーフラワーであって、
紙製の縦長の土台と、前記土台に接着される造花とを備え、
前記造花は、香料を発散させる複数のループ状の芯部と、当該芯部を囲むように少なくとも二重に形成される複数の花弁と、当該花弁の裏側に取り付けられ、外周を装飾する装飾部とを有することを特徴とする棺用ペーパーフラワー。
【請求項2】
芯部は、長方形の紙において、短辺に平行に複数の切れ込みが中央に入っており、前記短辺の中央で折って巻き、前記切れ込みのない側を固定したものであることを特徴とする請求項1記載の棺用ペーパーフラワー。
【請求項3】
芯部は、新だん紙で形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の棺用ペーパーフラワー。
【請求項4】
ご遺体の顔と左右に配置される顔用部分の請求項1記載の棺用ペーパーフラワーと、
前記ご遺体の胴の左右に配置され、前記顔用部分の土台より長い土台を備えた胴用部分の請求項1記載の棺用ペーパーフラワーと、を有することを特徴とする棺用ペーパーフラワーセット。
【請求項5】
胸の部分に配置するブーケ形状の造花を有することを特徴とする請求項4記載の棺用ペーパーフラワーセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葬儀における棺用のペーパーフラワーに係り、特に、設置が容易で、香りを発生させ、焼却した場合に環境に悪影響を及ばすことがない棺用ペーパーフラワー及びそのセットに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来、棺内のご遺体の周りに生花を添えるようになっている。
しかしながら、生花の場合、日持ちさせるためには、茎の切り口部分に湿った脱脂綿を巻いて、更に水分が逃げないように、アルミホイルで覆うようになっている。
そのため、ご遺体の焼却の際にアルミホイルが焼け残って環境によくないものとなっていた。
そこで、生花の代わりに容易に焼却できる造花を用いることがある。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2002-113055号公報「葬儀方法とこれに用いる造花」(特許文献1)、実用新案登録第3061188号公報「エコー・フラワー」(特許文献2)、実用新案登録第3207332号公報「遺体に添える香が良い造花」(特許文献3)、実用新案登録第3218038号公報「納棺用造花」(特許文献4)、実開昭54-042234号公報「遺体と共に棺に納める供養香華」(特許文献5)、実開平01-164800号公報「棺型に形成した脱臭紙」(特許文献6)がある。
【0004】
特許文献1には、開花時期に関係ない造花を用いることで、仏教的に意味を持つ蓮の花の造花を棺内に添えることができる葬儀方法が示されている。
特許文献2には、葬儀において、生花の代わりに天然素材の和紙・洋紙を用いた造花を使用することで、ダイオキシンの発生を低減することが示されている。
【0005】
特許文献3には、棺内に、ラベンダー、バラ、百合、桜などの香が良い造花を添えることが示されている。
特許文献4には、棺内に、蘭、椿、ダリアなどの造花を添えるもので、造花には金属ワイヤーを用いず、液体の香り成分をスポイトで定着させることが示されている。
【0006】
特許文献5には、造花内部に香木を配置し、棺内にその造花を納めることで、芳香をもたらし、火葬後には残香により消臭されることが示されている。
特許文献6には、特殊セラミックの粉末パルプと紙とを混合した新素材の脱臭紙を棺桶の形に合わせて造形したものであり、安価に脱臭を行うことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-113055号公報
【特許文献2】実用新案登録第3061188号公報
【特許文献3】実用新案登録第3207332号公報
【特許文献4】実用新案登録第3218038号公報
【特許文献5】実開昭54-042234号公報
【特許文献6】実開平01-164800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の棺用の造花では、効果的に香りを発生させるものではなく、更に棺内の大きさの異なるご遺体に対してバランスよく容易に配置できる工夫が為されていないという問題点があった。
【0009】
尚、特許文献1~6には、造花において効果的に香りを発生させ、棺内の大きさが異なるご遺体にバランスよく容易に配置できる構成についての記載がない。
【0010】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、棺内で大きさの異なるご遺体に対してバランスのよい設置が容易で、香りを発生させ、焼却した場合に環境に悪影響を及ばすことがない棺用ペーパーフラワー及びそのセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、棺内のご遺体の上に設置される棺用のペーパーフラワーであって、紙製の縦長の土台と、土台に接着される造花とを備え、造花が、香料を発散させる複数のループ状の芯部と、当該芯部を囲むように少なくとも二重に形成される複数の花弁と、当該花弁の裏側に取り付けられ、外周を装飾する装飾部とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記棺用ペーパーフラワーにおいて、芯部が、長方形の紙において、短辺に平行に複数の切れ込みが中央に入っており、前記短辺の中央で折って巻き、前記切れ込みのない側を固定したものであることを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記棺用ペーパーフラワーにおいて、芯部が、新だん紙で形成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明は、棺用ペーパーフラワーのセットであって、ご遺体の顔と左右に配置される顔用部分の上記棺用ペーパーフラワーと、ご遺体の胴の左右に配置され、顔用部分の土台より長い土台を備えた胴用部分の上記棺用ペーパーフラワーと、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記棺用ペーパーフラワーセットにおいて、胸の部分に配置するブーケ形状の造花を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、紙製の縦長の土台と、土台に接着される造花とを備え、造花が、香料を発散させる複数のループ状の芯部と、当該芯部を囲むように少なくとも二重に形成される複数の花弁と、当該花弁の裏側に取り付けられ、外周を装飾する装飾部とを有する棺用ペーパーフラワーとしているので、中央に形成される複数のループ状の芯部にアロマオイルを染み込ませれば、香料を効果的に拡散させることができる効果がある。
【0017】
本発明によれば、ご遺体の顔と左右に配置される顔用部分の上記棺用ペーパーフラワーと、ご遺体の胴の左右に配置され、顔用部分の土台より長い土台を備えた胴用部分の上記棺用ペーパーフラワーと、を有する棺用ペーパーフラワーセットとしているので、顔用部分と胴用部分をご遺体のサイズに合わせて容易に配置できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本フラワーの断面説明図である。
図2】1枚の花弁の平面説明図である。
図3】カップ形状となった花弁を示す概略図である。
図4】芯部の型紙の概略図である。
図5】芯部の完成概略図である。
図6】造花部分と装飾部とを分離した外観図である。
図7】造花部分と装飾部とを一体化した外観図である。
図8】本セットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る棺用ペーパーフラワー(本フラワー)は、棺内のご遺体の上に設置される棺用のペーパーフラワーであり、紙製の縦長の土台と、土台に接着される造花を備え、その造花が、香料を発散させる複数のループ状の芯部と、当該芯部を囲むように少なくとも二重に形成される複数の花弁と、当該花弁の裏側に取り付けられ、外周を装飾する装飾部とを有するものであり、中央に形成される複数のループ状の芯部にアロマオイルを染み込ませれば、香料を効果的に拡散させることができるものである。
【0020】
また、本発明の実施の形態に係る棺用ペーパーフラワーセット(本セット)は、ご遺体の顔の左右に配置される顔用部分の上記棺用ペーパーフラワーと、ご遺体の胴の左右に配置され、顔用部分の土台より長い土台を備えた胴用部分の上記棺用ペーパーフラワーと、を有する棺用ペーパーフラワーセットとしているので、顔用部分と胴用部分をご遺体のサイズに合わせて容易に配置できるものである。
【0021】
[本フラワー:図1
本フラワーの基本形について、図1を参照しながら説明する。図1は、本フラワーの断面説明図である。
本フラワーは、図1に示すように、土台1と、装飾部2と、大きいサイズの花弁3と、小さいサイズの花弁4と、芯部5と、固定部6とを基本的に有している。
【0022】
[土台1]
土台1は、複数の造花を搭載するもので、幅約5cm程度で長さが30cm以上である。
本セットでは、顔用で約30cm程度、胴用でその2倍以上の長さとなるものである。
土台1は、紙を巻いて形成するもので、例えば、白厚紙にカラーペーパー2枚で膨らみを持たせて包むように巻く。巻き終わりはボンドで固定する。
【0023】
[装飾部2]
装飾部2は、造花の裏側に取り付けられて、造花の外周部分を飾るものである。従って、大きいサイズの花弁3が配置された外周より広くなっている。
装飾部2は、例えば、長さ22cm、幅20cmのカラーペーパーの白を6枚重ねて、それらを1.5cm幅の山谷折りにし、中央をゴムでしばり、両端を山形に鋭角に切り落とす。そして、ゴムでしばった部分を中心に円形に開くと、完成する。
装飾部2の一方の面に、造花が貼り付けられ、他方の面は土台1に取り付けられる。
【0024】
[固定部6]
固定部6は、円形の硬い紙で形成されており、花弁3、花弁4が接着されると共に、中心には芯部5が搭載されて接着される。造花の作り方については後述する。
この固定部6の裏面が、装飾部2にグルーガンで取り付けられる。
【0025】
[花弁3:図2,3]
花弁3は、花弁4より大きいサイズであり、図2に示す形状をしている。図2の花弁3の下側に縦方向のスリット3aが形成されており、そのスリット3aの部分を重ねてボンドで固定することで、図3のカッブ形状を形成できる。
そのカップ形状の花弁4を固定部6の外周部分にボンドで貼り付けると、立体的な花弁となる。
ここで、図2は、1枚の花弁の平面説明図であり、図3は、カップ形状となった花弁を示す概略図である。
【0026】
[花弁4]
花弁4は、花弁3より小さいサイズであり、花弁3と同様にスリットが形成されており、小型のカップ形状を形成して、花弁3の内側に円を描くようにボンドで貼り付ける。
これにより、複数の花弁3と複数の花弁4で二重構造の花弁が形成される。
【0027】
[芯部5:図4,5]
芯部5は、「めしべ」と呼ばれるもので、本フラワーでは新だん紙を用いて形成されている。
新だん紙は、和紙のような風合いを持つ紙であり、紙全体に細かい皺が形成されている。そのため、表面積が大きく、アロマオイルを十分吸収できるものである。
【0028】
図4に示すように、芯部5は、型紙の中央に短辺に平行に多数のスリット5aが形成されている。但し、長辺の端部にまでは、スリット5aは形成されていない。
この型紙を中央横方向(長辺に平行な方向)で折り目を付けないよう緩く折り曲げて、長辺端部同士を重ね、一方の短辺側から鉛筆等の棒に巻き付け、巻き付けた端部をボンドで固定する。緩く折り曲げることで、折り重ねた2枚の紙の間に空間ができる。
【0029】
これにより、スリット5aが形成された側には、複数のループ5bが形成される。
この複数のループ5bは、アロマオイルを染み込ませた場合に、表と裏が露になって表面積が広くなり、芯部5の内部空間も形成されるので、アロマの香りが拡散しやすく、更にアロマの香りの保有効果も高いものである。
芯部5の完成図を図5に示す。
ここで、図4は、芯部の型紙の概略図であり、図5は、芯部の完成概略図である。
【0030】
[本フラワーの製造方法:図6,7]
本フラワーは、まず、造花の製造方法として、花弁3,4のスリット3a部分を重ね合わせてカップ形状を作成し、固定部6に大きいサイズの花弁3から外周に円を描くように貼り付ける。更に、花弁3の内側に同様に小さいサイズの花弁4を固定部6に円を描くように貼り付ける。
【0031】
そして、固定部6の中央に完成させた芯部5を搭載して固定し、固定部6の裏面に装飾部2を取り付ける。これにより、造花部分が形成される。
更に、造花部分が取り付けられていない装飾部2の反対側の面(装飾部2の裏面)を土台1に貼り付ける。このようにして、本フラワーが製造される。
図6に、造花部分と装飾部2を分離した外観を、図7に、造花部分と装飾部2とを一体化した外観を示す。図6は、造花部分と装飾部とを分離した外観図であり、図7は、造花部分と装飾部とを一体化した外観図である。
【0032】
[本セット:図8
次に、本セットについて図8を参照しながら説明する。図8は、本セットの概略図である。
本セットは、本フラワーを基本とし、土台1に複数の造花を取り付けている。
具体的には、顔用部分10と、胴用部分20と、お手元用部分30とから成り、顔用部分10と胴用部分20は、ご遺体の左右に設けるようにしている。
【0033】
顔に比べて胴の方が長いため、土台1も顔用部分10に比べて胴用部分20の方が長くなっている。
図6では、顔用部分10として造花が2つ又は3つ程度、胴用部分20として造花が4つ又は5つ程度、土台1に固定されている。
【0034】
また、お手元用部分30として、大きめのブーケが配置されるようになっている。
ブーケは、本フラワーとは異なり、芯部が小型の装飾部となっており、更に、リボンが取り付けられている。ブーケを本フラワーと異なる構成としたことで、ブーケを際立たせ、お手元用としてアクセントとなっている。
【0035】
本セットでは、ご遺体に合わせて、お手元用部分30の位置を決めると、顔用部分10、胴用部分20をバランスよく配置することが可能で、容易に本セットを設置できるものである。
また、本フラワーの芯部5へのアロマオイルの付着(染み込ませ)は、斎場に本セットを搬入する前に行ってもよく、搬入された後に行ってもよい。
【0036】
[実施の形態の効果]
本フラワーによれば、棺内のご遺体の上に設置される棺用のペーパーフラワーであって、紙製の縦長の土台1と、土台1に接着される造花を備え、その造花が、香料を発散させる複数のループ5bの形状の芯部5と、当該芯部5を囲むように少なくとも二重に形成される複数の花弁3,4と、当該花弁3,4の裏側に取り付けられ、外周を装飾する装飾部2とを有するものであり、中央に形成される複数のループ5bの芯部5にアロマオイルを染み込ませれば、香料を効果的に拡散させることができる効果がある。
【0037】
本セットによれば、ご遺体の顔と左右に配置される顔用部分10の上記棺用ペーパーフラワーと、ご遺体の胴の左右に配置され、顔用部分10の土台1より長い土台1を備えた胴用部分20の上記棺用ペーパーフラワーと、お手元用部分30とを有する棺用ペーパーフラワーセットとしているので、顔用部分10と胴用部分20をご遺体のサイズに合わせて容易に配置できるものである。
【0038】
また、本セットをお手元用部分30を中心に、顔用部分10と胴用部分20を配置すれば、斎場での設置が非常に容易にできる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、棺内で大きさの異なるご遺体に対してバランスのよい設置が容易で、香りを発生させ、焼却した場合に環境に悪影響を及ばすことがない棺用ペーパーフラワー及びそのセットに好適である。
【符号の説明】
【0040】
1…土台、 2…装飾部、 3…花弁、 3a…スリット、 4…花弁、 5…芯部、 6…固定部、 10…顔用部分、 20…胴用部分、 30…お手元用部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8