(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103712
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】広告分析サーバ、広告分析方法、および広告分析プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220701BHJP
【FI】
G06Q30/02 382
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218507
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】513204850
【氏名又は名称】株式会社 E-Grant
(74)【代理人】
【識別番号】100131853
【弁理士】
【氏名又は名称】澤邉 由美子
(72)【発明者】
【氏名】向 徹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】広告掲載の効果を商品・サービスの購入に基づいて分析することができる広告分析サーバ、広告分析方法、および広告分析プログラムを提供する。
【解決手段】注文を一意に識別する注文IDと、注文日時と、顧客を一意に識別する顧客IDと、広告を掲載する媒体を一意に識別する媒体IDと、商品またはサービスの購入金額と、を対応付けた注文情報を記憶する注文情報記憶部130を備え、送受信部101は、注文情報記憶部130に記憶する注文情報をフィルタリングする条件である検索条件を受信し、LTV算出部102は、受信した検索条件に応じ、注文情報記憶部130に記憶する注文情報をフィルタリングしてLTVを算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注文を一意に識別する注文IDと、注文日時と、顧客を一意に識別する顧客IDと、広告を掲載する媒体を一意に識別する媒体IDと、商品またはサービスの購入金額と、を対応付けた注文情報を記憶する注文情報記憶手段と、
前記注文情報記憶手段に記憶する前記注文情報をフィルタリングする条件である検索条件を受信する検索条件受信手段と、
前記検索条件受信手段によって受信した前記検索条件に応じ、前記注文情報記憶手段に記憶する前記注文情報をフィルタリングして前記媒体ごとのLTVを算出するLTV算出手段と、を備えることを特徴とする広告分析サーバ。
【請求項2】
前記LTV算出手段は、前記顧客ごとに、前記媒体の広告掲載による初回注文が発生した場合に、前記初回注文以降の購入金額を加算し、加算した前記顧客ごとの金額を合計した金額を前記媒体のLTVとして算出すること、を特徴とする請求項1に記載の広告分析サーバ。
【請求項3】
前記検索条件は、広告の掲載開始日を含む期間であり、
前記LTV算出手段は、前記期間に初回注文が発生した場合に、前記初回注文以降の購入金額を加算し、加算した前記顧客ごとの金額を合計した金額を算出すること、を特徴とする請求項2に記載の広告分析サーバ。
【請求項4】
前記検索条件は、注文が発生した日である広告注文日を含む期間であり、
前記LTV算出手段は、前記期間に初回注文が発生した場合に、前記初回注文以降の購入金額を加算し、加算した前記顧客ごとの金額を合計した金額を算出すること、を特徴とする請求項2または請求項3に記載の広告分析サーバ。
【請求項5】
前記LTV算出手段によって算出した前記LTVを含む、前記媒体ごとの広告分析結果を生成する分析結果生成手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の広告分析サーバ。
【請求項6】
前記注文情報記憶手段に記憶する前記注文情報に、注文ごとに利用した利用ポイントを記憶し、
前記分析結果生成手段は、前記媒体ごとの広告分析結果として、前記媒体ごとの利用ポイントの合計を算出すること、を特徴とする請求項5に記載の広告分析サーバ。
【請求項7】
前記媒体IDと、年月と、原価とを対応付けて記憶する媒体原価情報記憶手段、をさらに備え、
前記分析結果生成手段は、前記媒体ごとの広告分析結果として、前記LTVの算出に関わる前記注文情報に含まれる前記媒体IDおよび前記注文日時に対応する前記原価を前記媒体原価情報記憶手段から取得し、取得した前記原価を算出すること、を特徴とする請求項5および請求項6に記載の広告分析サーバ。
【請求項8】
前記顧客IDと、注文を受付けるサーバで顧客を一意に識別する顧客コードと、を対応付けて記憶する顧客情報記憶手段と、
前記媒体IDと、媒体サーバそれぞれで定めた媒体を示すコードである媒体コードと、を対応付けて記憶する媒体情報記憶手段と、
前記サーバで商品またはサービスを購入する際の、前記サーバで注文を一意に識別する注文番号と、前記注文日時と、前記顧客コードと、商品単価と、商品数量と、を含む、1または複数の注文ログデータを前記サーバから受信し、受信した前記注文ログデータを注文ログデータ記憶部に格納する注文ログデータ受信手段と、
前記媒体サーバそれぞれから送信される、前記注文番号と、前記媒体コードと、を含む、1または複数の媒体ログデータを受信し、受信した前記媒体ログデータを媒体ログデータ記憶部に格納する媒体ログデータ受信手段と、
前記注文ログデータ記憶部に記憶する前記注文ログデータに含まれる前記注文番号と一致する注文番号を含む、前記媒体ログデータが存在するか否かを判断する媒体判断手段と、
前記媒体判断手段によって前記注文番号が一致する前記媒体ログデータが存在すると判断した場合、前記媒体ログデータに含まれる前記媒体コードに対応付けられた前記媒体IDを含む前記注文情報を生成し、生成した前記注文情報を前記注文情報記憶手段に格納する注文情報生成手段と、を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の広告分析サーバ。
【請求項9】
前記注文情報生成手段は、前記媒体判断手段によって前記注文番号が一致する前記媒体データが存在しないと判断した場合、前記媒体IDに無を格納した前記注文情報を生成し、生成した前記注文情報を前記注文情報記憶手段に格納すること、を特徴とした請求項8に記載の広告分析サーバ。
【請求項10】
注文を一意に識別する注文IDと、注文日時と、顧客を一意に識別する顧客IDと、広告を掲載する媒体を一意に識別する媒体IDと、商品またはサービスの購入金額と、を対応付けた注文情報を記憶する注文情報記憶手段、を備える広告分析サーバで実行される広告分析方法であって、
前記注文情報記憶手段に記憶する前記注文情報をフィルタリングする条件である検索条件を受信する検索条件受信ステップと、
前記検索条件受信ステップによって受信した前記検索条件に応じ、前記注文情報記憶手段に記憶する前記注文情報をフィルタリングしてLTVを算出するLTV算出ステップと、を含むことを特徴とする広告分析方法。
【請求項11】
前記顧客IDと、注文を受付けるサーバで顧客を一意に識別する顧客コードと、を対応付けて記憶する顧客情報記憶手段と、前記媒体IDと、を対応付けて記憶する媒体情報記憶手段と、をさらに備える広告分析サーバで実行される、請求項10に記載する方法であって、
前記サーバで商品またはサービスを購入する際の、前記サーバで注文を一意に識別する注文番号と、前記注文日時と、前記顧客コードと、商品単価と、商品数量と、を含む、1または複数の注文ログデータを前記サーバから受信し、受信した前記注文ログデータを注文ログデータ記憶部に格納する注文ログデータ受信ステップと、
前記媒体サーバそれぞれから送信される、前記注文番号と、前記媒体コードと、を含む、1または複数の媒体ログデータを受信し、受信した前記媒体ログデータを媒体ログデータ記憶部に格納する媒体ログデータ受信ステップと、
前記注文ログデータ記憶部に記憶する前記注文ログデータに含まれる前記注文番号と一致する注文番号を含む、前記媒体ログデータが存在するか否かを判断する媒体判断ステップと、
前記媒体判断ステップによって前記注文番号が一致する前記媒体ログデータが存在すると判断した場合、前記媒体ログデータに含まれる前記媒体コードに対応付けられた前記媒体IDを含む前記注文情報を生成し、生成した前記注文情報を前記注文情報記憶手段に格納する注文情報生成ステップと、を含むことを特徴とする広告分析方法。
【請求項12】
請求項10および請求項11に記載した広告分析方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告分析サーバ、広告分析方法、および広告分析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品やサービスを提供する企業は、顧客の購入頻度や購入金額を最大化することを目的として、効果的な広告掲載を実施するための広告分析を行なっており、さまざまな評価方法が開発されている。その一例として、EC(electronic commerce)サイトで、顧客によるコンバージョン、より具体的には商品・サービスを購入するまでに、顧客に対して広告を掲載した広告媒体と広告のクリック数から、広告媒体の評価値を算出する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載した技術は、最初の広告掲載から購入が発生するまでの期間において、初回、中間、最終に広告を掲載した媒体に対し、それぞれ重み付けして媒体ごとの評価値を算出するものであり、最後に広告を掲載した媒体では商品・サービスの購入が発生しているものの、最初、中間での広告掲載では購入がなく、これらの広告が実際に最終的な商品・サービスの購入にどの程度の影響を与えたのかを判断することは難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、広告掲載の効果を商品・サービスの購入に基づいて分析することができる広告分析サーバ、広告分析方法、および広告分析プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明では、注文を一意に識別する注文IDと、注文日時と、顧客を一意に識別する顧客IDと、広告を掲載する媒体を一意に識別する媒体IDと、商品またはサービスの購入金額と、を対応付けた注文情報をフィルタリングする条件である検索条件を受信し、受信した検索条件に応じ、注文情報記憶手段に記憶する注文情報をフィルタリングしてLTVを算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上述したように構成した本発明によれば、広告掲載の効果を商品・サービスの購入に基づいて分析することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施例にかかる広告分析システム10の構成を示すブロック図である。
【
図2】注文ログデータ記憶部110および媒体ログデータ記憶部120のデータ構成の一例を示す説明図である。
【
図3】注文情報記憶部130のデータ構成の一例を示す説明図である。
【
図4】顧客情報記憶部140、媒体情報記憶部150および媒体原価情報記憶部160のデータ構成の一例を示す説明図である。
【
図5】広告分析サーバ100が実行する注文情報生成処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】広告分析サーバ100が実行する広告分析処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】検索条件設定画面の一例を示す説明図である。
【
図9】掲載開始日を指定した場合のLTV算出の一例を示す説明図である。
【
図10】広告注文期間を指定した場合のLTV算出の一例を示す説明図である。
【
図11】広告分析結果表示画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照し本発明の実施例を説明する。なお、以下の説明は、実施の形態の一例であり、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0010】
図1は、本実施例にかかる広告分析システム10の構成を示すブロック図である。広告分析システム10は、広告分析サーバ100と、ECサーバ200と、媒体サーバ300-1~n(以下、媒体サーバ300と示す)と、情報端末装置400とを備え、広告分析サーバ100、ECサーバ200、媒体サーバ300、情報端末装置400は、
図1に示すように、ネットワークNを介して互いに通信可能に接続する。ネットワークNは、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、移動体通信網等の通信ネットワークである。
【0011】
広告分析サーバ100は、ECサーバ200から受信した注文ログデータおよび媒体サーバ300から受信した媒体ログデータを用いて注文情報を生成し広告分析を実行するサーバである。広告分析サーバ100は、注文ログデータ記憶部110と、媒体ログデータ記憶部120と、注文情報記憶部130と、顧客情報記憶部140と、媒体情報記憶部150と、媒体原価情報記憶部160と、送受信部101と、LTV算出部102と、分析結果生成部103と、媒体判断部104と、注文情報生成部105と、入出力部106とを備える。
【0012】
図2は、注文ログデータ記憶部110および媒体ログデータ記憶部120のデータ構成の一例を示す説明図である。(a)注文ログデータ記憶部110は、注文ログデータを格納するテーブルである。注文ログデータは、ECサイトを構成するECサーバ200において顧客が商品またはサービスを購入する際の注文内容を示す。注文ログデータ記憶部110は、注文番号と、注文日時と、顧客コードと、単価と、数量と、その他の情報とを対応付けて記憶する。注文番号は、ECサーバ200において注文を一意に識別する情報である。注文日時は、ECサーバ200で注文が確定した日時(例えば、決済された日時等)である。顧客コードは、ECサーバ200において顧客を一意に識別する情報である。単価は、ECサーバ200で注文した商品またはサービスの対価の金額であり、数量は、ECサーバ200で注文した商品またはサービスの数量である。その他の情報として、顧客氏名や電話番号等の顧客に関する情報、商品の発送日時等の商品またはサービスに関する情報、決済時に利用した利用ポイント等を含めてもよい。
【0013】
(b)媒体ログデータ記憶部120は、媒体ログデータを格納するテーブルである。媒体ログデータは、ECサーバ200で顧客が商品またはサービスを購入する際に掲載した広告の媒体に関する情報を示す。媒体ログデータ記憶部120は、注文番号と、媒体コードと、媒体名と、その他の情報とを対応付けて記憶する。注文番号は、ECサーバ200において注文を一意に識別する情報であり、同一の注文に対応する媒体ログデータであれば、注文ログデータの注文番号と同一の番号となる。媒体コードは、媒体サーバ300それぞれで定めた媒体を示すコードである。媒体名は、媒体の名称である。
【0014】
図3は、注文情報記憶部130のデータ構成の一例を示す説明図である。注文情報記憶部130は、注文ログデータと媒体ログデータから生成した注文情報を格納するテーブルである。注文情報記憶部130は、注文IDと、注文番号と、注文日時と、顧客IDと、媒体IDと、購入金額と、その他の情報とを対応付けた注文情報を記憶する。注文IDは、広告分析システム10内で注文を一意に識別する情報である。注文番号、注文日時は、上述した通りである。顧客IDは、広告分析システム10内で顧客を一意に識別する情報である。媒体IDは、広告分析システム10内で媒体を一意に識別する情報である。購入金額は、注文ログデータの単価と数量を積算した金額で、1つの注文で顧客が決済した購入金額である。その他の情報として、注文ログデータから取得できる、商品の発送日時等の商品またはサービスに関する情報、利用ポイント等を記憶してもよい。
【0015】
図4は、顧客情報記憶部140、媒体情報記憶部150および媒体原価情報記憶部160のデータ構成の一例を示す説明図である。(a)顧客情報記憶部140は、顧客IDと、顧客コードと、その他の情報とを対応付けて記憶する。ECサーバ200から送信された注文ログデータに新たな顧客コードが含まれていると判断した場合は、広告分析システム10内で一意となる顧客IDを採番し、顧客情報記憶部140に、顧客IDと、顧客コードと、その他の情報とを対応付けて記憶する。その他の情報としては、発注ログデータから取得できる、顧客氏名や電話番号等の顧客に関する情報等を記憶してもよい。
【0016】
(b)媒体情報記憶部150は、媒体IDと、媒体コードと、媒体名と、その他の情報とを対応付けて記憶する。媒体サーバ300から送信された、媒体ログデータに新たな媒体コードが含まれていると判断した場合に、広告分析システム10内で一意となる媒体IDを採番し、媒体情報記憶部150に、媒体IDと、媒体コードと、媒体名と、その他の情報とを対応付けて記憶する。
【0017】
(c)媒体原価情報記憶部160は、媒体それぞれにおいて各月ごとに広告掲載で発生する1件あたりの原価を記憶する。媒体原価情報記憶部160は、媒体IDと、年月と、原価と、その他の情報とを対応付けて記憶する。媒体原価情報記憶部160に記憶する原価は、予め定められた原価を入力しても、ECサーバ200または媒体サーバ300と連携し、ECサーバ200または媒体サーバ300から送信された原価を格納するようにしてもよい。
【0018】
送受信部101は、ECサーバ200、媒体サーバ300および情報端末装置400との間でデータを送受信する。送受信部101は、ECサーバ200から送信された注文ログデータを受信し、受信した注文ログデータを注文ログデータ記憶部110に格納する。送受信部101は、媒体サーバ300から送信された媒体ログデータを受信し、受信した媒体ログデータを媒体ログデータ記憶部120に格納する。送受信部101は、情報端末装置400から送信された検索条件を受信し、分析結果を情報端末装置400に送信する。
【0019】
LTV算出部102は、注文情報記憶部130に記憶する注文情報と検索条件に基づいてLTV(Life Time Value/顧客生涯価値)を算出する。ここでのLTVは、ECサーバ200での、広告を掲載した媒体ごとの顧客の購入金額の合計であり、この場合の購入金額の合計には、媒体の広告が初回に掲載され、かつ、注文が発生した後に、他の媒体の広告掲載で発生した注文での購入金額や広告掲載なく(例えば、定期購入や電話注文での購入等)発生した注文での購入金額も含む。なお、他の媒体や広告掲載なく発生した注文の購入を含めず、媒体ごとの購入金額の合計をLTVとして算出してもよい。
【0020】
さらに、検索条件設定において「掲載開始日」を設定した場合は、広告を介した初回注文が設定期間内であるか否かでフィルタリングした注文情報からLTVを算出する。また、検索条件設定において「広告注文期間」を設定した場合は、広告を介した注文が指定期間内であるか否か(指定日付まで、指定日付以降を含む)でフィルタリングした注文情報からLTVを算出する。処理の詳細は、後述する。
【0021】
分析結果生成部103は、LTV算出部102によって算出するLTVやLTV算出の際にカウントする顧客数、注文情報記憶部130に記憶する注文情報等に基づき、分析結果を生成する。
【0022】
媒体判断部104は、注文ログデータ記憶部110に記憶する注文ログデータと、媒体ログデータ記憶部120に記憶する媒体ログデータから、注文ログデータで示す注文が発生したときにクリックした広告を掲載した媒体を判断する。または、媒体判断部104は、注文ログデータに示す注文の発生に関連して広告が掲載されていないことを判断する。
【0023】
注文情報生成部105は、媒体判断部104によって判断した、広告を掲載した媒体または広告が掲載されていないことを用いて、広告を掲載した媒体の媒体IDまたは広告を掲載した媒体がない旨を媒体IDの値として格納した注文情報を生成し、生成した注文情報を注文情報記憶部130に格納する。
【0024】
入出力部106は、入力部と出力部を備え、入力部はキーボード、マウス等の入力装置および入力制御部、出力部はディスプレイ等の出力装置および出力制御部、または入出力を合わせた装置および制御部、例えばタッチパネル等である。入力部は、検索条件の入力を受付ける。出力部は、分析結果生成部103で生成した分析結果を表示画面に表示する。
【0025】
ECサーバ200は、顧客が使用するスマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ(以下、PCと示す)等の情報端末装置との間で電子商取引を行なうウェブサーバであり、一例として通信販売サイトやオンラインショッピングモール等のウェブサーバである。ECサーバ200は、顧客が商品またはサービスを購入し決済するごとに注文ログデータを生成し、その度または所定の期間ごとに、注文ログデータを広告分析サーバ100に送信する。ECサーバ200は、注文ログデータを記録媒体に書込み、記録媒体を介し広告分析サーバ100に注文ログデータを受け渡してもよい。広告ログデータは、CSV形式、その他の形式で生成してもよい。なお、ECサーバ200は、ECサイトでの取引に限らず、他の方法で注文を受付けた場合の注文ログデータを広告分析サーバ100に送信してもよい。
【0026】
媒体サーバ300は、顧客が使用する情報端末装置からの要求に応じて、予め広告主から配信された広告を情報端末装置で表示させるため、広告を送信するサーバである。広告主である、ECサイトの運営者は、通常複数の広告媒体と契約し、媒体それぞれの媒体サーバ300が顧客の情報端末装置に広告を掲載する。媒体サーバ300は、顧客が掲載された広告をクリックして商品やサービスを購入した場合には、購入ごとまたは所定の期間ごとに媒体ログデータを広告分析サーバ100に送信する。
【0027】
情報端末装置400は、分析担当者が使用するPC等の情報端末装置であり、広告分析サーバ100の入出力部106での検索条件の入力の受付や分析結果の表示に代えて、または加えて、ネットワークNを介して広告分析サーバ100と接続し、入力を受付けた検索条件を広告分析サーバ100に送信し、分析結果を広告分析サーバ100から受信し表示する。
【0028】
上述のように構成された広告分析サーバ100で実行する注文情報生成処理について説明する。
図5は、広告分析サーバ100が実行する注文情報生成処理手順を示すフローチャートである。
【0029】
送受信部101は、注文ログデータをECサーバ200から受信する(ステップS501)。送受信部101は、ECサーバ200がECサーバ200での注文が確定するごとに注文ログデータを送信する場合は、注文ログデータが送信されるごとに受信する。また、ECサーバ200が所定期間ごとに、注文ログデータをまとめて送信する場合は、注文ログデータをまとめて受信する。送受信部101は、受信した注文ログデータを注文ログデータ記憶部110に格納する(ステップS502)。なお、注文ログデータの顧客コードが、顧客情報記憶部140に既に記憶された顧客コードではない、新たな顧客コードの場合は、広告分析システム10内で一意となる顧客IDを採番し、顧客IDと顧客コードを対応付けて顧客情報記憶部140に格納する。
【0030】
送受信部101は、媒体ログデータを媒体サーバ300それぞれから受信する(ステップS503)。送受信部101は、媒体サーバ300それぞれがECサーバ200での注文が確定した旨と注文番号を受信するごとに媒体ログデータを送信する場合は、媒体サーバ300が送信するたびに媒体ログデータを受信する。また、媒体サーバ300が所定期間ごとに、媒体ログデータをまとめて送信する場合は、媒体サーバ300ごとの媒体ログデータをまとめて受信する。送受信部101は、受信した媒体ログデータを媒体ログデータ記憶部120に格納する(ステップS504)。なお、媒体ログデータの媒体コードが、媒体情報記憶部150に既に記憶された媒体コードではない、新たな媒体コードの場合は、広告分析システム10内で一意となる媒体IDを採番し、媒体IDと媒体コードと媒体名とを対応付けて媒体情報記憶部150に格納する。
【0031】
媒体判断部104は、注文ログデータ記憶部110に記憶する注文ログデータの注文番号と媒体ログデータ記憶部120に記憶する媒体ログデータの注文番号を比較し、注文ログデータの注文番号と注文番号が一致する媒体ログデータが存在するか否かを判断する(ステップS505)。注文ログデータの注文番号と注文番号が一致する媒体ログデータが存在すると判断した場合(ステップS505:Yes)、注文情報生成部105は、媒体ログデータに含まれる媒体コードに対応する媒体IDを媒体情報記憶部150から取得し、取得した媒体IDを含む注文情報を生成する(ステップS506)。これにより、どの媒体で掲載された広告によって、顧客が商品またはサービスが購入したかを判断することができる。
【0032】
注文ログデータの注文番号と注文番号が一致する媒体ログデータが存在しないと判断した場合(ステップS505:No)、注文情報生成部105は、媒体IDとして広告を掲載した媒体がない旨を示す「無」を格納した注文情報を生成する(ステップS507)。これにより、顧客が商品またはサービスを購入する際に広告が掲載されていないことを判断することができる。注文情報生成部105は、生成した注文情報を注文情報記憶部130に格納する(ステップS508)。
【0033】
このように、ECサーバ200から送信した注文ログデータと媒体サーバ300から受信した媒体ログデータに基づいて、注文がどの媒体に掲載された広告によって発生したかを判断することができ、その情報を含む注文情報を生成することができる。また、注文ログデータに対応する媒体ログデータがない場合は、注文が広告掲載によって発生していないと判断することができる。
【0034】
次に、広告分析サーバ100で実行する広告分析処理について説明する。
図6は、広告分析サーバ100が実行する広告分析処理手順を示すフローチャートである。
【0035】
送受信部101は、検索条件を情報端末装置400から受信する(ステップS601)。
図7は、検索条件設定画面の一例を示す説明図である。検索条件設定画面71には、掲載開始日、広告注文期間、分析の軸となる媒体を選択する広告選択の入力を受付ける。その他にも、以前に設定した検索条件テンプレート一覧を表示する表示ボタンや、設定した検索条件をテンプレートとして名前を付けて保存する保存ボタン、分析基準日を注文日と発送日のいずれにするかを選択するラジオボタン、LTV算出対象を注文日または発送日が計測期間に含まれるか否かでフィルタリングするLTV計測期間の指定、広告カテゴリ選択等の入力を受付けることができる。
【0036】
LTV算出部102は、検索条件に応じたLTVを算出する(ステップS602)。
図8は、LTV算出の一例を示す説明図である。
図8に示すグラフのうち、「顧客Xの注文情報」は、注文情報記憶部130に記憶する注文情報のうち、顧客IDが顧客Xを示す注文情報を抽出し、グラフ化したものである。「顧客Yの注文情報」は、注文情報記憶部130に記憶する注文情報のうち、顧客IDが顧客Yを示す注文情報を抽出し、グラフ化したものである。媒体を示すAやBのうち、「’」のついたA’やB’は初回購入を示す。
【0037】
「顧客Xの広告LTV」は、分析の軸となる媒体を媒体Aと指定した場合のLTV算出結果81と、分析の軸となる媒体を媒体Bと指定した場合のLTV算出結果82を示す。LTV算出結果81は、媒体Aの広告掲載に基づく初回注文以降の購入金額すべて、すなわち媒体Aに加え、媒体A以外の媒体Bの購入金額を加算して、顧客Xの媒体AのLTVを算出する。LTV算出結果82では、媒体Bの広告掲載に基づく初回注文以降の購入金額すべて、媒体Bに加え、媒体B以外の媒体Aを含めた購入金額を加算した金額を顧客Xの媒体BのLTVとして算出する。
【0038】
また、「顧客Yの広告LTV」は、分析の軸となる媒体を媒体Aと指定した場合のLTV算出結果83と、分析の軸となる媒体を媒体Bと指定した場合のLTV算出結果84を示す。LTV算出結果83は、媒体Aの広告掲載に基づく初回注文以降の購入金額すべて、この場合は、媒体Aの1件のみなので、媒体Aの購入金額を顧客Yの媒体AのLTVとして算出する。LTV算出結果84では、媒体Bの広告掲載に基づく初回注文以降の購入金額すべて、媒体Bに加え、媒体B以外の媒体Aおよび広告掲載によらない注文を含めた購入金額を加算した金額を顧客Yの媒体BのLTVとして算出する。
【0039】
上述のように顧客ごと媒体ごとのLTVを算出したうえで、媒体ごとに、顧客ごとのLTVを合計することによって媒体ごとのLTVを算出する。上述の例では、顧客Xの媒体AのLTVと顧客Yの媒体AのLTVを合計することによって媒体AのLTVを算出し、顧客Xの媒体BのLTVと顧客Yの媒体BのLTVを合計することによって媒体BのLTVを算出する。このように、対象媒体のLTVを算出する際に、顧客の情報端末装置に対象媒体による広告が掲載され、かつ、その広告によって初回注文が発生した場合に、初回注文以降のすべての購入金額を加算して対象媒体のLTVとして算出することによって、対象媒体の広告の影響を他の媒体での広告掲載による注文や広告掲載によらない注文も含めて計測することができる。
【0040】
次に、検索条件として、掲載開始日を指定した場合のLTV算出について説明する。
図9は、掲載開始日を指定した場合のLTV算出の一例を示す説明図である。
図9の91は、ある顧客の注文とその注文の際に掲載された媒体を時系列に示す。
図7の検索条件設定画面71において「掲載開始日」に掲載開始日指定期間92を入力した場合に、A’93は、その期間内に含まれないため、LTV算出の対象外となり、LTVはなし、すなわち0となる(95)。一方、B’94は、掲載開始日指定期間92内であるため、LTVを算出する。LTV算出では、B’94以降の注文が購入金額を加算する対象となりLTVが算出される(96)。このように、掲載開始日期間を設定してフィルタを掛けることにより、広告掲載開始による広告の効果をより正確に計測することができる。
【0041】
検索条件として、広告注文期間を指定した場合について説明する。
図10は、広告注文期間を指定した場合のLTV算出の一例を示す説明図である。
図10は、ある顧客の注文とその注文の際に掲載された媒体を時系列に示すとともに、指定した広告注文期間とそれぞれの広告注文期間に対するLTV算出結果を示す。
図7の検索条件設定画面71において「広告注文期間」に日付が入力されなかった場合、すなわち(1)広告注文期間指定なしの場合であって、分析の軸となる媒体を媒体Aと指定した場合は、全期間の媒体Aの初回購入11以降のすべての購入金額を合計した金額が、ある顧客の媒体AのLTVとして算出される。また、(1)広告注文期間指定なしの場合であって、分析の軸となる媒体を媒体Bと指定した場合は、全期間の媒体Bの初回購入12以降の購入金額を合計した金額が、ある顧客の媒体BのLTVとして算出される。なお、全期間は、LTV計測期間が指定されている場合は、LTV計測期間となる。
【0042】
図7の検索条件設定画面71において「広告注文期間」に開始と終了の日付が入力された場合、すなわち(2)広告注文期間を設定した場合であって、分析の軸となる媒体を媒体Aと指定した場合は、(2)広告注文期間の媒体Aの初回購入13以降のすべての購入金額を合計した金額が、ある顧客の媒体AのLTVとして算出される。また、分析の軸となる媒体を媒体Bと指定した場合は、(2)広告注文期間の媒体Bの初回購入14とそれ以降の購入金額を合計した金額が、ある顧客の媒体BのLTVとして算出される。
【0043】
図7の検索条件設定画面71において「広告注文期間」に終了の日付が入力された場合、すなわち(3)広告注文期間を設定した場合であって、分析の軸となる媒体を媒体Aと指定した場合は、(3)広告注文期間の媒体Aの初回購入11以降のすべての購入金額を合計した金額が、ある顧客の媒体AのLTVとして算出される。また、分析の軸となる媒体を媒体Bと指定した場合は、(3)広告注文期間に媒体Bの注文が存在しないため、ある顧客の媒体BのLTVはなし、すなわち0と算出される。
【0044】
図7の検索条件設定画面71において「広告注文期間」に開始の日付が入力された場合、すなわち(4)広告注文期間を設定した場合であって、分析の軸となる媒体を媒体Aと指定した場合は、(4)広告注文期間の媒体Aの初回購入13以降のすべての購入金額を合計した金額が、ある顧客の媒体AのLTVとして算出される。また、分析の軸となる媒体を媒体Bと指定した場合は、(4)広告注文期間の媒体Bの初回購入14以降の購入金額を合計した金額が、ある顧客の媒体BのLTVとして算出される。
【0045】
図6のステップS602に戻り、LTV算出部102は、上述したように、顧客ごと媒体ごとのLTVを算出した後に、顧客ごと媒体ごとのLTVを媒体ごとに合計することによって、媒体ごとのLTVを算出する。その際に、媒体ごとにLTV算出の対象となった顧客数もカウントする。
【0046】
分析結果生成部103は、LTV算出部102によって算出した媒体ごとのLTVおよび顧客数等を用いて分析結果を生成する(ステップS603)。
図11は、分析結果を示す分析結果表示画面の一例を示す説明図である。分析結果表示画面21で示す分析結果は、掲載開始日や広告注文期間を設定することで、掲載開始日や広告注文期間でフィルタリングした顧客ごとのLTVを算出し、算出した顧客ごとのLTVを合計することによって、媒体ごとのLTV22を算出する。また、LTV22を算出する際に対象となった顧客数23でLTV22を割ることによって 1人あたりの平均LTVを算出することができる。総利用ポイント数24は、注文ログデータに顧客が利用したポイントを含む場合に、注文情報に利用ポイントを記憶し、注文ごとの利用ポイントを合計することによって算出することができる。原価25は、注文情報に含まれる媒体IDに応じた、媒体原価情報記憶部160に記憶する、媒体IDごとの各月の1件あたりの原価を合計することによって、媒体ごとの総原価を算出することができる。また、媒体ごとの総原価である原価25を顧客数23で割ることによって、1人あたりの原価を算出することができる。
【0047】
送受信部101は、分析結果生成部103によって生成した分析結果を情報端末装置400に送信する(ステップS604)。情報端末装置400では、
図11に示したような分析結果表示画面を表示部に表示する。上述した実施例では、情報端末装置400から検索条件を受信し、分析結果を情報端末装置400に送信したが、広告分析サーバ100の入出力部106から検索条件の入力を受付け、分析結果を入出力部106の表示部に表示してもよい。
【0048】
このように、注文が発生した広告掲載での購入金額だけでなく、それ以降に発生した注文の購入金額を加えたLTVを算出するとともに、さまざまな検索条件でフィルタリングした媒体ごとのLTVを算出することによって、さまざまな視点で広告掲載した媒体それぞれの効果を計測することができ、分析することができる。
【0049】
なお、上述した実施例では、ECサイトでの商品またはサービスの購入に基づくLTVを算出したが、LTV算出をECサイトでの商品やサービスの購入に限る必要はなく、新聞広告やチラシ広告、テレビ広告等を行なって商品やサービスを販売する通信販売企業や店舗等での購入に基づくLTVを算出することもできる。例えば、上述したECサーバ200または他のサーバが、電子商取引以外での注文を受付ける場合、ECサーバ200または他のサーバで受付けた注文から注文ログデータを生成し、生成した注文ログデータを広告分析サーバ100に送信する。広告分析サーバ100の送受信部101は、注文ログデータを受信し、注文情報生成部105は、受信した注文ログデータ等に基づいて注文情報を生成し注文情報記憶部130に記憶したうえで、上述した処理を実行することによって媒体ごと(例えば、A新聞、B新聞、C新聞等のそれぞれ)のLTVを算出することができ、分析結果を生成することができる。
【0050】
このように、ECサイトでの販売と、新聞広告やチラシ広告、テレビ広告等での販売のどちらも行なっている場合であっても、または、ECサイトでの販売を行わず、新聞広告やチラシ広告、テレビ広告等での販売のみを行なっている場合であっても、顧客の注文から注文情報を生成し、上述したLTV算出処理を実行することによって、媒体ごとのLTVを算出することができ、分析結果を生成することができる。
【0051】
他の実施例として、
図7の検索条件設定画面71で、媒体を選択する「広告選択」に加え、または代えて、「広告カテゴリ選択」を指定することによって掲載する広告のカテゴリで絞り込んだLTVを算出し、さまざまなカテゴリでのLTVを比較することによって、カテゴリによる広告の効果を計測することができ、より効果的な広告を出稿することができる。
【0052】
上述した実施例にかかる広告分析サーバ100のハードウェア構成は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置、通信制御装置等を備えた通常のコンピュータであり、ROMやRAM、HDD等に記憶されたプログラムをCPUが読み出し動作させることによって、上述した構成や機能を実現する。
【0053】
広告分析サーバ100で動作するプログラムは、インターネット等のネットワークNに接続されたコンピュータ上に格納しておき、ネットワークN経由でダウンロードさせることにより提供したり、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、DVD、USBメモリ、SDカード等のコンピュータで読取り可能な記録媒体に記録し提供してもよい。また、上述した機能や処理を実現するプログラムは、API(Application Programming Interface)やSaaS(Software as a Service)、またはクラウドコンピューティングでのASP(Application Service Provider)サービスの1機能という形態で提供してもよい。
【0054】
なお、本発明は、上述した実施例そのままに限定されるものではなく、必ずしも物理的に図示のように構成されている必要はない。また、本発明は、実施例で説明した構成要素の全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じ、任意の単位で機能的または物理的に分割、統合、入替、変形または削除して構成することができる。
【符号の説明】
【0055】
N…ネットワーク、10…広告分析システム、100…広告分析サーバ、101…送受信部、102…LTV算出部、103…分析結果生成部、104…媒体判断部、105…注文情報生成部、106…入出力部、110…注文ログデータ記憶部、120…媒体ログデータ記憶部、130…注文情報記憶部、140…顧客情報記憶部、150…媒体情報記憶部、160…媒体原価情報記憶部、200…ECサーバ、300…媒体サーバ、400…情報端末装置