(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103742
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】入電対応業務管理システム、及び入電対応業務管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20220701BHJP
H04M 3/51 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
G06Q50/06
H04M3/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218562
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】兼田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】白石 香
(72)【発明者】
【氏名】沖本 秀夫
【テーマコード(参考)】
5K201
5L049
【Fターム(参考)】
5K201BA13
5K201BA14
5K201CC01
5K201CC08
5K201DC04
5K201EE08
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】電気の利用料金の滞納者からの入電に対応する業務を行うオペレータの配置を適切に計画する。
【解決手段】入電対応業務管理システムは、滞納者について送電を中止する予定の日時である送電中止予定日時を管理し、滞納者の属性情報と当該滞納者の入電履歴とを含む情報である滞納者情報を管理し、滞納者の属性情報と送電中止予定日時とを説明変数として入力することにより、当該滞納者からの入電が予測される日時である入電予測日時を目的変数として出力する機械学習モデルである入電日時予測モデルにより入電予測日時を予測し、滞納者情報と送電中止予定日時とを含む学習データに基づき入電日時予測モデルを学習し、入電日時予測モデルにより予測される各滞納者の入電予測日時に基づき、日毎時間帯毎の入電数を求める。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気料金の滞納者からの入電に対応する業務である入電対応業務を管理する情報処理システムであって、
滞納者について送電を中止する予定の日時である送電中止予定日時を管理する送電中止予定日時管理部と、
滞納者の属性情報と当該滞納者の入電履歴とを含む情報である滞納者情報を管理する滞納者情報管理部と、
滞納者の前記属性情報と前記送電中止予定日時とを説明変数として入力することにより、当該滞納者からの入電が予測される日時である入電予測日時を目的変数として出力する機械学習モデルである入電日時予測モデルにより前記入電予測日時を予測する入電日時予測部と、
前記滞納者情報と前記送電中止予定日時とを含む学習データに基づき前記入電日時予測モデルを学習する入電日時予測モデル学習部と、
前記入電日時予測モデルにより予測される各滞納者の入電予測日時に基づき、日毎時間帯毎の入電数を求める日毎時間帯毎入電数算出部と、
を備える、入電対応業務管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の入電対応業務管理システムであって、
前記属性情報は、滞納者が受ける給与等の金銭の支給の態様に関する情報を含み、
滞納者の属性が所定の属性に該当する場合に、前記入電予測日時を次回の金銭の支給日以降に調整する入電日時調整部を更に備え、
前記送電中止予定日時管理部が、前記入電予測日時を調整した滞納者の前記送電中止予定日時を、調整後の入電日以降の日時に変更する
入電対応業務管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の入電対応業務管理システムであって、
前記調整に用いるパラメータである入電日時調整パラメータを設定する入電日時調整パラメータ設定部と、
入電に対応するオペレータの配置に関する情報であるオペレータ配置予定情報を管理するオペレータ配置予定管理部と、
前記日毎時間帯毎入電数算出部が求めた前記日毎時間帯毎の入電数と前記オペレータ配置予定情報とを対照することにより、オペレータの対応可能量を超える時間帯である超過時間帯の有無を判定する超過時間帯有無判定部と、
を更に備え、
前記超過時間帯有無判定部が前記超過時間帯が存在すると判定した場合に、
前記入電日時調整パラメータ設定部が、前記入電日時調整パラメータを再設定し、
前記送電中止予定日時管理部が、前記送電中止予定日時を再設定し、
前記入電日時予測部が、前記滞納者情報と再設定した前記送電中止予定日時とを説明変数として前記入電日時予測モデルに入力することにより入電日時を予測し直し、
前記入電日時調整部が、再設定された前記入電日時調整パラメータに基づき、前記入電日時予測部が予測した各滞納者の入電日時を再調整し、
前記送電中止予定日時管理部が、前記入電日時を調整した前記滞納者の前記送電中止予定日時を、調整後の入電日以降の日時に再設定し、
前記日毎時間帯毎入電数算出部が、前記入電日時予測モデルにより予測される各滞納者の入電日時に基づき日毎時間帯毎の入電数を求め直す、
入電対応業務管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の入電対応業務管理システムであって、
前記滞納者の電気設備への送電を遠隔制御する送電中止実施処理部を備え、
前記送電中止実施処理部は、前記送電中止予定日時に従って前記滞納者の電気設備への送電を中止する制御を行う、
入電対応業務管理システム。
【請求項5】
請求項3に記載の入電対応業務管理システムであって、
前記入電日時調整パラメータと前記送電中止予定日時を設定するためのユーザインタフェースを備える、
入電対応業務管理システム。
【請求項6】
電気料金の滞納者からの入電に対応するための業務である入電対応業務を管理する方法であって、
情報処理装置が、
滞納者について送電を中止する予定の日時である送電中止予定日時を管理するステップと、
滞納者の属性情報と当該滞納者の入電履歴とを含む情報である滞納者情報を管理するステップと、
滞納者の前記属性情報と前記送電中止予定日時とを説明変数として入力することにより、当該滞納者からの入電が予測される日時である入電予測日時を目的変数として出力する機械学習モデルである入電日時予測モデルにより前記入電予測日時を予測するステップと、
前記滞納者情報と前記送電中止予定日時とを含む学習データに基づき前記入電日時予測モデルを学習するステップと、
前記入電日時予測モデルにより予測される各滞納者の入電日時に基づき、日毎時間帯毎の入電数を求めるステップと、
を実行する、入電対応業務管理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の入電対応業務管理方法であって、
前記属性情報は、滞納者が受ける給与等の金銭の支給の態様に関する情報を含み、
前記情報処理装置が、
滞納者の属性が所定の属性に該当する場合に、前記入電予測日時を次回の受給日又は支給日以降に調整するステップと、
前記入電日時を調整した滞納者の前記送電中止予定日時を、調整後の入電日以降の日時に変更するステップと、
を更に実行する、入電対応業務管理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の入電対応業務管理方法であって、
前記情報処理装置が、
前記調整に用いるパラメータである入電日時調整パラメータを設定するステップと、
入電に対応するオペレータの配置に関する情報であるオペレータ配置予定情報を管理するステップと、
求めた前記日毎時間帯毎の入電数と前記オペレータ配置予定情報とを対照することにより、オペレータの対応可能量を超える時間帯である超過時間帯の有無を判定するステップと、
前記超過時間帯が存在すると判定した場合に、
前記送電中止予定日時を再設定し、前記入電日時調整パラメータを再設定し、前記滞納者情報と再設定した前記送電中止予定日時とに基づく説明変数を入力とし、滞納者からの入電が予測される日時を目的変数として、前記入電日時予測モデルにより滞納者の入電日時を予測し直すステップと、
再設定された前記入電日時調整パラメータに基づき、予測した各滞納者の入電日時を再調整するステップと、
前記入電日時を調整した前記滞納者の前記送電中止予定日時を、調整後の入電日以降の日時に変更するステップと、
前記入電日時予測モデルにより予測される各滞納者の入電日時に基づき日毎時間帯毎の入電数を求め直すステップと、
を更に実行する、入電対応業務管理方法。
【請求項9】
請求項6に記載の入電対応業務管理方法であって、
前記情報処理装置が、
前記滞納者の電気設備への送電を遠隔制御するステップと、
前記送電中止予定日時に従って前記滞納者の電気設備への送電を中止する制御を行うステップと、
を更に実行する、入電対応業務管理方法。
【請求項10】
請求項8に記載の入電対応業務管理方法であって、
前記情報処理装置が、前記入電日時調整パラメータと前記送電中止予定日時を設定するためのユーザインタフェースを提供するステップ、
を更に実行する、入電対応業務管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入電対応業務管理システム、及び入電対応業務管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客からの電話に対応する業務を行うコールセンターの運用に際しては、顧客満足度の向上と人件費等の運用コストの低減を両立させるために、日毎や時間毎のオペレータの配置を適切に管理することが肝要である。
【0003】
特許文献1には、コールセンターシステムにおけるオペレータの時間単位毎の人数の最適な配置を算出することを目的として構成された要員計画システムについて記載されている。要員計画システムは、過去の着信の履歴に基づき、オペレータが応答できなかったためにかけ直しをしたことによる着信を除いた過去の時間単位毎の補正着信数を算出し、上記過去の補正着信数に基づき時間単位毎の着信数を予測し、予測した上記時間単位毎の着信数に基づき、その時間単位毎において必要なオペレータ人数を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力会社においては、例えば、電気料金の支払いが遅延している者(以下、「滞納者」と称する。)について、支払い期限(例えば、検針日から30日)を過ぎた場合に滞納扱いとし、支払い期限から所定日数(例えば、20日)を過ぎても支払いが確認できない場合は督促状や送電中止のお知らせを滞納者に送付し、支払い期限から所定日数(例えば、2ヶ月)が経過すると滞納者の施設(以下、「滞納者宅」と称する。)への送電を中止するようにしている。
【0006】
また、電力会社は、例えば、滞納者宅への送電を中止する前に滞納者からいつまでに料金を支払うかについての申し出(連絡)があった場合、送電を中止する期日を延長する措置を講じており、上記申し出の電話連絡(以下、「入電」とも称する。)に対応するための電話窓口(以下、「カスタマーセンター」と称する。)を設けている。
【0007】
上記のカスタマーセンターにおいては、呼損の低減と人件費等の運用コストの低減との両立を図るべく、日毎や時間毎のオペレータの配置を適切に管理する必要がある。しかし呼損の数と運用コストとはトレードオフの関係にあるため、オペレータの要員管理は必ずしも容易ではない。また、申し出のための入電数は、滞納者の属性にも大きく影響され、例えば、滞納者は給与等の入金がある日の午前中に申し出をすることが多い傾向がある。また、申し出のための入電数は、送電の中止を行うタイミングにも影響され、送電を中止する直前や直後に申し出の数が増える傾向がある。更に、申し出の数は気温によっても大きく影響され、例えば、気温が高い日や気温が低い日には空調設備を利用する必要があるため入電数が増える傾向がある。
【0008】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、電気料金の滞納者からの入電の傾向を精度よく予測し、入電に対応する業務を効率よく行うことが可能な、入電対応業務管理システム及び入電対応業務管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明のうちの一つは、電気料金の滞納者からの入電に対応する業務である入電対応業務を管理する入電対応業務管理システムであって、滞納者について送電を中止する予定の日時である送電中止予定日時を管理する送電中止予定日時管理部と、滞納者の属性情報と当該滞納者の入電履歴とを含む情報である滞納者情報を管理する滞納者情報管理部と、滞納者の前記属性情報と前記送電中止予定日時とを説明変数として入力することにより、当該滞納者からの入電が予測される日時である入電予測日時を目的変数として出力する機械学習モデルである入電日時予測モデルにより前記入電予測日時を予測する入電日時予測部と、前記滞納者情報と前記送電中止予定日時とを含む学習データに基づき前記入電日時予測モデルを学習する入電日時予測モデル学習部と、前記入電日時予測モデルにより予測される各滞納者の入電予測日時に基づき、日毎時間帯毎の入電数を求める日毎時間帯毎入電数算出部と、を備える。
【0010】
このように本発明の入電対応業務管理システムは、滞納者情報と送電中止予定日時とを含む学習データに基づき学習した入電日時予測モデルにより滞納者の入電日時を予測するので、滞納者からの入電の傾向を精度よく予測することができる。そのため、入電対応業務を行うオペレータの要員管理を適切に行うことができ、入電対応業務を効率よく行うことができる。
【0011】
本発明の他の一つは、上記入電対応業務管理システムであって、前記属性情報は、滞納者が受ける給与等の金銭の支給の態様に関する情報を含み、滞納者の属性が所定の属性に該当する場合に、予測する前記入電日時を次回の金銭の支給日以降に調整する入電日時調整部を更に備え、前記送電中止予定日時管理部が、前記入電日時を調整した滞納者の前記送電中止予定日時を、調整後の入電日以降の日時に変更する。
【0012】
このように本発明の入電対応業務管理システムは、滞納者の属性が所定の属性に該当する場合に、入電日時予測モデルにより予測される入電日時を、滞納者が入電する可能性の高い、当該滞納者が次回の金銭の支給日以降に調整し、入電日時を調整した滞納者の前記送電中止予定日時を、調整後の入電日以降の日時に変更するので、送電中止日時が滞納者が入電してくる可能性の高い日以降に延長され、滞納者の生活に与える影響の大きい送電の中止に至るケースを減少させることができる。
【0013】
本発明の他の一つは、上記入電対応業務管理システムであって、前記調整に用いるパラメータである入電日時調整パラメータを設定する入電日時調整パラメータ設定部と、入電に対応するオペレータの配置に関する情報であるオペレータ配置予定情報を管理するオペレータ配置予定管理部と、前記日毎時間帯毎入電数算出部が求めた前記日毎時間帯毎の入電数と前記オペレータ配置予定情報とを対照することにより、オペレータの対応可能量を超える時間帯である超過時間帯の有無を判定する超過時間帯有無判定部と、を更に備え、前記超過時間帯有無判定部が前記超過時間帯が存在すると判定した場合に、前記送電中止予定日時管理部が、前記送電中止予定日時を再設定し、前記入電日時調整パラメータ設定部が、前記入電日時調整パラメータを再設定し、前記入電日時予測部が、前記滞納者情報と再設定した前記送電中止予定日時とに基づく説明変数を入力とし、滞納者からの入電が予測される日時を目的変数として、前記入電日時予測モデルにより滞納者の入電日時を予測し直し、前記入電日時調整部が、再設定された前記入電日時調整パラメータに基づき、前記入電日時予測部が予測した各滞納者の入電日時を再調整し、前記送電中止予定日時管理部が、前記入電日時を調整した前記滞納者の前記送電中止予定日時を、調整後の入電日以降の日時に変更し、前記日毎時間帯毎入電数算出部が、前記入電日時予測モデルにより予測される各滞納者の入電日時に基づき日毎時間帯毎の入電数を求め直す。
【0014】
このように本発明の入電対応業務管理システムは、予測した入電日時を用いて求めた日毎時間帯毎の入電数がオペレータの対応可能量を超える時間帯が存在する場合に、入電日時調整パラメータと送電中止予定日時を再設定して各滞納者の入電日時を再調整し、日毎時間帯毎の入電数を求め直すので、オペレータ数の調整を可能な限り回避しつつ、効率よくオペレータの配置計画を立案することができる。
【0015】
本発明の他の一つは、上記入電対応業務管理システムであって、前記滞納者の電気設備への送電を遠隔制御する送電中止実施処理部を備え、前記送電中止実施処理部は、前記送電中止予定日時に従って前記滞納者の電気設備への送電を中止する制御を行う。
【0016】
本発明の入電対応業務管理システムによれば、送電中止予定日時に従って遠隔制御により効率よく滞納者の電気設備への送電を中止することができる。
【0017】
本発明の他の一つは、上記入電対応業務管理システムであって、前記入電日時調整パラメータと前記送電中止予定日時を設定するためのユーザインタフェースを備える。
【0018】
本発明の入電対応業務管理システムによれば、ユーザは調整された送電中止予定日時を簡便に参照することができる。
【0019】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電気料金の滞納者からの入電の傾向を精度よく予測し、入電に対応する業務を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】入電対応業務管理システムの概略的な構成を示す図である。
【
図2】入電対応業務管理システムの実現に用いる情報処理装置のハードウェアの一例である。
【
図3】入電日時予測処理を説明するフローチャートである。
【
図5】オペレータ配置予定情報生成処理を説明するフローチャートである。
【
図7】入電日時調整パラメータ設定画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明を実施するための形態について説明する。尚、以下の説明において、同一の又は類似する構成について共通の符号を付して説明を省略することがある。
【0023】
図1に本発明の一実施形態として説明する情報処理システム(以下、「入電対応業務管理システム1」と称する。)が備える主な機能を示している。入電対応業務管理システム1は、電力会社において行われる、滞納者からの電力料金をいつまでに支払うかについての「申し出」のための入電に対応する業務(以下、「入電対応業務」と称する。)を支援する。電力会社は、上記申し出のための入電に対応するために必要な数の回線と、入電に対応するオペレータ(コミュニケータ)が業務を行うためのブースとを設けている。入電対応業務管理システム1は、機械学習モデルを用いて日毎時間帯毎の入電数を予測し、予測した入電数に対応するために必要な日毎時間帯毎のオペレータの数(オペレータ要員数)を予測する。
【0024】
同図に示すように、入電対応業務管理システム1は、記憶部110、契約者情報管理部120、滞納者情報管理部125、送電中止予定日時管理部130、気象情報取得部135、入電日時予測モデル学習部140、入電日時予測部150、入電日時調整部155、オペレータ配置予定管理部160、日毎時間帯毎入電数算出部170、入電日時調整パラメータ設定部180、送電中止予定日時情報出力部190、及び送電中止実施処理部195の各機能を有する。
【0025】
記憶部110は、契約者情報111、滞納者情報112、気象情報113、送電中止予定日時114、入電日時予測モデル115、入電日時調整パラメータ116、及びオペレータ配置予定情報117等を記憶する。
【0026】
契約者情報111は、電力会社との間で電気の利用契約を行っている者(顧客(お客様)や需要家。以下、「契約者」と称する。)に関する情報を含む。契約者情報111は、例えば、電力会社の顧客管理情報のマスターデータベースから提供される。
【0027】
滞納者情報112は、契約者情報111から抽出される情報であり、電気料金を現在滞納している契約者(以下、「滞納者」と称する。)に関する情報を含む。滞納者情報112は、滞納者の属性情報(例えば、後述する契約者ID、地域ID、滞納月数、滞納者が受ける金銭の支給の態様(給与等の金銭の支給日等))、滞納者の滞納履歴、滞納者が過去に行った行動(申し出や電気料金の支払い等)の履歴に関する情報等を含む。
【0028】
気象情報113は、電力会社が電力の供給を管轄する地域(契約者が電気を利用する地域)における、現在、過去、及び未来における、日毎時間帯毎の気象情報(気温、湿度、風向/風力、気圧、天気、降水量、積雪量等)を含む。
【0029】
送電中止予定日時114は、電力会社が地域毎に設定する、滞納者の施設(以下、「滞納者宅」と称する。)への送電の中止を実施する予定の日時(以下、「送電中止予定日時」と称する。)に関する情報が管理される。電力会社は、例えば、管轄する各地域の送電中止予定日時を前月中に設定する。送電中止予定日時114には、過去に設定された送電中止予定日時の情報も保持される。尚、本例では、特定の日に入電が集中するのを避けるために地域毎に送電中止予定日時が異なるようにしているが、送電中止予定日時は必ずしも地域毎に設定されるものでなくてもよい。また、本例では、地域毎に複数の滞納者の送電中止予定日時を一括して設定しているが、送電中止予定日時は滞納者毎に設定してもよい。また、送電中止予定日時は、例えば、オペレータの手配のし易さ(午後よりも午前中のほうがオペレータを手配し易い等)を考慮して決定してもよい。
【0030】
入電日時予測モデル115は、滞納者が入電してくる日時を目的変数として出力(予測)する機械学習モデルである。入電日時予測モデル115には、滞納者情報112と送電中止予定日時114の他、例えば、契約者情報111や気象情報113に基づく情報が説明変数として入力される。尚、入電日時予測モデル115に入力する説明変数として、コールセンター等の電話対応窓口における公知の業務量予測手法において用いられる各種の説明変数を導入してもよい。入電日時予測モデル115は、例えば、勾配ブースティング(GBDT(Gradient Boosting Decision Tree))や深層学習(DNN(Deep Neural Network))により実現される。但し、入電日時予測モデル115の実現方法は必ずしも限定されない。
【0031】
入電日時調整パラメータ116は、入電日時予測モデル115により予測される、もしくは、予測された入電日時の調整に用いるパラメータである。入電日時調整パラメータ116は、例えば、入電対応業務を行うユーザによって設定される。入電日時調整パラメータ116は、例えば、入電日を調整する情報や入電時間帯を調整する情報である。
【0032】
オペレータ配置予定情報117は、日毎時間帯毎のオペレータの配置予定人数を示す情報を含む。オペレータ配置予定情報117は、例えば、電力会社においてオペレータの配置を管理するユーザによって設定される。
【0033】
図1に示す機能のうち、契約者情報管理部120は、契約者情報111を管理する。また、滞納者情報管理部125は、滞納者情報112を管理する。滞納者情報管理部125は、契約者情報111に基づき滞納者情報112を生成する。また、滞納者情報管理部125は、ユーザから滞納者情報112の登録や編集を受け付ける場合もある。
【0034】
送電中止予定日時管理部130は、送電中止予定日時114を管理する。送電中止予定日時管理部130は、例えば、ユーザから送電中止予定日時114の設定を受け付ける。
【0035】
気象情報取得部135は、気象情報113を管理する。気象情報取得部135は、例えば、インターネットを介して気象情報113を取得する。
【0036】
入電日時予測モデル学習部140は、入電日時予測モデル115の学習や予測精度の検証に関する処理を行う。入電日時予測モデル学習部140は、前述した説明変数と目的変数とを対応づけた学習データ(もしくは検証データ)を用いて入電日時予測モデル115の学習(もしくは予測精度の検証)を随時行うことにより入電日時予測モデル115を生成(もしくは更新)する。入電日時予測モデル学習部140は、例えば、説明変数となる情報が更新される度に上記の学習と検証を行い入電日時予測モデル115を更新する。
【0037】
入電日時予測部150は、各契約者が入電する日時を入電日時予測モデル115を用いて予測する。入電日時予測部150は、滞納者の属性情報と滞納者について設定されている送電中止予定日時の他、例えば、滞納者の滞納履歴や入電日時、入電を予測しようとする日時における気象情報(例えば、気温)等を、入電日時予測モデル115に説明変数として入力する。
【0038】
入電日時調整部155は、入電日時調整パラメータ116を用いて入電日時予測部150が予測した入電日時の調整に関する処理を行う。本処理の詳細については後述する。
【0039】
オペレータ配置予定管理部160は、日毎時間帯毎のオペレータの配置予定をオペレータ配置予定情報117に管理する。オペレータ配置予定管理部160は、例えば、ユーザから日毎時間帯毎のオペレータの配置予定を受け付ける。
【0040】
日毎時間帯毎入電数算出部170は、入電日時予測モデル115によって予測された各契約者の入電日時に基づき、日毎時間帯毎の入電数を求める。
【0041】
入電日時調整パラメータ設定部180は、入電日時調整パラメータ116を管理する。入電日時調整パラメータ設定部180は、例えば、ユーザから入電日時調整パラメータ116の設定を受け付ける。
【0042】
送電中止予定日時情報出力部190は、送電中止予定日時114を提示する画面を生成してユーザに提示(出力)する。
【0043】
送電中止実施処理部195は、送電中止予定日時114の内容に従い、滞納者宅への送電の中止に関する処理を行う。例えば、送電中止実施処理部195は、送電中止予定日時が到来した滞納者について、当該滞納者宅に設けられているスマートメータを遠隔制御し、当該滞納者宅への送電を中止する。また、送電中止実施処理部195は、例えば、遠隔制御ができない滞納者宅の送電を停止する作業を行う要員を現場に派遣するための処理(要員への作業指示等)を行う。
【0044】
図2に、入電対応業務管理システム1の実現に用いる情報処理装置のハードウェアの一例を示す。例示する情報処理装置10は、プロセッサ11、主記憶装置12、補助記憶装置13、入力装置14、出力装置15、及び通信装置16を備える。尚、例示する情報処理装置10は、その全部または一部が、例えば、クラウドシステムによって提供される仮想サーバのように、仮想化技術やプロセス空間分離技術等を用いて提供される仮想的な情報処理資源を用いて実現されるものであってもよい。また、情報処理装置10によって提供される機能の全部または一部は、例えば、クラウドシステムがAPI(Application Programming Interface)等を介して提供するサービスによって実現してもよい。また、情報処理装置10によって提供される機能の全部又は一部は、例えば、SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)等を利用して実現されるものであってもよい。また、入電対応業務管理システム1は、通信可能に接続された複数の情報処理装置10を用いて構成してもよい。
【0045】
同図において、プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、AI(Artificial Intelligence)チップ等を用いて構成されている。
【0046】
主記憶装置12は、プログラムやデータを記憶する装置であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ(NVRAM(Non Volatile RAM))等である。
【0047】
補助記憶装置13は、例えば、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ、光学式記憶装置(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等)、ストレージシステム、ICカード、SDカードや光学式記録媒体等の記録媒体の読取/書込装置、クラウドサーバの記憶領域等である。補助記憶装置13には、記録媒体の読取装置や通信装置16を介してプログラムやデータを読み込むことができる。補助記憶装置13に格納(記憶)されているプログラムやデータは主記憶装置12に随時読み込まれる。
【0048】
入力装置14は、外部からの入力を受け付けるインタフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カードリーダ、ペン入力方式のタブレット、音声入力装置等である。
【0049】
出力装置15は、処理経過や処理結果等の各種情報を出力するインタフェースである。出力装置15は、例えば、上記の各種情報を可視化する表示装置(液晶モニタ、LCD(Liquid Crystal Display)、グラフィックカード等)、上記の各種情報を音声化する装置(音声出力装置(スピーカ等))、上記の各種情報を文字化する装置(印字装置等)である。尚、例えば、情報処理装置10が通信装置16を介して他の装置との間で情報の入力や出力を行う構成としてもよい。
【0050】
入力装置14及び出力装置15は、ユーザとの間で情報の受け付けや情報の提示を行うユーザインタフェースを構成する。
【0051】
通信装置16は、他の装置との間の通信を実現する装置である。通信装置16は、インターネット等の通信ネットワークを介して他の装置との間の通信を実現する、有線方式または無線方式の通信インタフェースであり、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USBモジュール等である。また、通信装置16は、需要家宅に設置されているスマートメータの制御を行う配電制御システム等の情報処理システムと通信する。
【0052】
情報処理装置10には、例えば、オペレーティングシステム、ファイルシステム、DBMS(DataBase Management System)(リレーショナルデータベース、NoSQL等)、KVS(Key-Value Store)等が導入されていてもよい。
【0053】
入電対応業務管理システム1が備える前述の各機能は、情報処理装置10のプロセッサ11が、主記憶装置12に格納されているプログラムを読み出して実行することにより、もしくは、入電対応業務管理システム1を構成するハードウェア(FPGA、ASIC、AIチップ等)によって実現される。入電対応業務管理システム1は、前述した各種の情報(データ)を、例えば、データベースのテーブルやファイルシステムが管理するファイルとして記憶する。
【0054】
続いて、入電対応業務管理システム1が行う主な処理について説明する。
【0055】
図3は、入電対応業務管理システム1が、各滞納者の入電日時を予測する際に行う処理(以下、「入電日時予測処理S300」と称する。)を説明するフローチャートである。以下、同図とともに入電日時予測処理S300について説明する。尚、入電日時予測処理S300の開始時において、入電日時予測モデル115は、入電日時予測モデル学習部140によって予め学習/検証済みであるものとする。
【0056】
まず滞納者情報管理部125が、契約者情報111に基づき滞納者情報112を生成する(S311)。尚、滞納者情報管理部125は、当該処理を随時(定期的、契約者情報111が更新されたタイミング等)行う。
【0057】
図4Aに滞納者情報112の一例を示す。例示する滞納者情報112は、契約者ID1120、地域ID1121、滞納月数1122、送電状態1123、給与等支給日1126、滞納履歴1127、入電履歴1128、及び入電予測日時1129の各項目を有する一つ以上のレコード(エントリ)で構成されている。滞納者情報112のレコードの一つは一人の滞納者に対応している。
【0058】
上記項目のうち、契約者ID1120には、滞納者(契約者でもある)の識別子である契約者IDが設定される。
【0059】
地域ID1121には、当該滞納者が電力の供給を受けている滞納者(需要家宅)が存在する地域の識別子である地域IDが設定される。
【0060】
滞納月数1122には、当該滞納者が電力料金の支払いの滞納を現在継続している期間を示す情報が設定される。尚、電力会社は、例えば、検針日の翌日から50日(猶予期間20日を含む)が経過すると送電を中止する。
【0061】
送電状態1123には、当該滞納者の滞納者宅への現在の送電状態を示す情報が設定される(現在送電中であれば「送電中」が、現在送電を中止中であれば「中止」が設定される)。
【0062】
給与等支給日1126には、当該滞納者が給与等の金銭の支給を受ける日を示す情報が設定される。尚、給与等支給日1126に有意な情報が設定されていれば、当該滞納者は給料生活者であるものとする。
【0063】
滞納履歴1127には、当該滞納者が、過去(例えば、過去1年以内)に電気料金の支払いを滞納したことがあるか否かや、滞納に関する各種情報(滞納を継続した期間と日時、申し出を行った日時、支払い日時)等、当該滞納者の過去の滞納に関する履歴情報が設定される。
【0064】
入電履歴1128には、当該滞納者の入電履歴(一つ以上)が設定される。
【0065】
入電予測日時1129には、当該滞納者について入電日時予測部150が予測した入電予測日時が設定される。
【0066】
送電制御方法1130には、当該滞納者の滞納者宅への送電を中止する際の制御方法を示す情報(スマートメータにより遠隔制御する場合は「スマートメータ」が、現地に要員を派遣して対応する場合は「要員派遣」)が設定される。
【0067】
図3に戻り、続いて、入電日時予測部150が、滞納者情報112から、滞納者を一人選択(滞納者情報112のレコードを一つ選択)する(S312)。
【0068】
続いて、入電日時予測部150が、選択したレコードの内容から取得される情報(属性情報、滞納履歴、入電履歴等)、滞納者について設定されている送電中止予定日時、予測しようとする日時における気象情報等を説明変数として入電日時予測モデル115に入力することにより、選択中の滞納者の入電日時を予測する(S313)。尚、入電日時予測部150は、送電中止予定日時114と滞納者情報112とに基づき、滞納者について設定されている送電中止予定日時を取得する。
【0069】
図4Bは、送電中止予定日時114の一例である。送電中止予定日時114は、地域IDごとの、現在の送電中止予定日時や過去に設定された送電中止予定日時を示す情報を含む。同図に示すように、送電中止予定日時114は、地域ID1141、日付1142、及び時間1143の各項目を有する一つ以上のレコード(エントリ)で構成されている。上記項目のうち、地域ID1141には、地域IDが設定される。日付1142及び時間1143には送電中止予定日時が設定される。入電日時予測部150は、地域IDをキー項目として送電中止予定日時114と滞納者情報112とを対照することにより、各滞納者についての、現在の送電中止予定日時や過去に設定された送電中止予定日時を取得する。
【0070】
続いて、入電日時調整部155が、選択中の滞納者が、S313で予測した入電日時の調整対象候補者であるか否かを判定する(S314)。入電日時調整部155は、選択中の滞納者が、予め設定された、調整対象候補者であるか否かの判定条件を満たせば、選択中の滞納者は調整対象候補者であると判定し、上記判定条件を満たさなければ、選択中の滞納者は調整対象候補でないと判定する。上記判定条件は、例えば、ユーザインタフェースを介してユーザが設定する。ユーザは、例えば、所定の属性の滞納者を調整対象候補者と判定するように上記判定条件を設定する。入電日時調整部155が、選択中の滞納者が調整対象候補者であると判定した場合(S314:YES)、処理はS315に進み、選択中の滞納者が調整対象候補者でないと判定した場合(S314:NO)、処理はS318に進む。
【0071】
S315では、入電日時調整部155が、S313で予測した入電日が、選択中の滞納者の直近の未来の給与等の金銭の支給日前N日以内か否かを判定する。入電日時調整部155は、S313で予測した入電日が給与等の金銭の支給日前N日以内であると判定すると(S315:YES)、S313で予測した入電日を、選択中の滞納者の直近の未来の給与等の金銭の支給日からM日以内のいずれかの日まで延長する(S316)。その後、処理はS318に進む。尚、N日やM日は、例えば、ユーザによって設定される。N日やM日は、例えば、給与等の金銭の支給の態様に応じて個別に設定してもよい。N日及びM日は、いずれも入電日時調整パラメータ116となる。
【0072】
S315において、入電日時調整部155が、S313で予測した入電日が直近の未来の金銭の支給日前N日以内でないと判定した場合(S315:NO)、処理はS318に進む。
【0073】
S317では、送電中止予定日時管理部130が、S316で調整した入電日以降になるように(入電日当日から所定日数以内の日時になるように)選択中の滞納者の送電中止予定日時を変更する。送電中止予定日時の変更は、例えば、当該滞納者を他の地域の送電中止予定日時に設定することにより行ってもよいし、当該滞納者の送電中止予定日時を別途管理することにより行ってもよい(例えば、滞納者情報112に項目を設けて管理する等)。このように、送電中止予定日時管理部130は、S316で調整した入電日以降になるように選択中の滞納者の送電中止予定日時を変更するので、送電中止日時が滞納者が入電してくる可能性の高い日以降に延長され、滞納者の生活に与える影響の大きい送電の中止に至るケースを減少させることができる。また、送電の中止を実施する回数が減少することで、電力会社は、送電の中止のためにかかる経費(送電制御や現場への要員派遣に要する人件費等)を抑えることができる。
【0074】
S318では、入電日時予測部150が、以上により予測した選択中の滞納者の入電予測日時を、当該契約者IDと対応づけて滞納者情報112(入電予測日時1129)に記憶する。
【0075】
続いて、入電日時予測部150が、S312において滞納者情報112から全ての滞納者を選択済であるか否かを判定する(S319)。入電日時予測部150が、S312において滞納者情報112から全ての滞納者を選択済でないと判定した場合(S319:NO)、処理はS312に戻る。一方、入電日時予測部150が、S312において滞納者情報112から全ての滞納者を選択済であると判定した場合(S319:YES)、入電日時予測処理S300は終了する。
【0076】
図5は、入電日時予測処理S300により各滞納者の入電日時を予測した後、入電対応業務管理システム1が、日毎時間帯毎の入電数を求め、求めた入電数に基づきオペレータ配置予定情報117を生成する処理(以下、「オペレータ配置予定情報生成処理S500」と称する。)を説明するフローチャートである。以下、同図とともにオペレータ配置予定情報生成処理S500について説明する。尚、オペレータ配置予定情報生成処理S500は、例えば、予測月の前月以前に実行される。また、本例では、滞納者宅への送電の中止は電力会社の営業日に実施されるものとする。また、オペレータ配置予定情報生成処理S500の開始時において、デフォルトのオペレータ配置予定情報117の内容が予め設定されているものとする。
【0077】
同図に示すオペレータ配置予定情報生成処理S500において、オペレータ配置予定管理部160は、予測対象となる月(以下、「予測月」と称する。)の営業日を順次選択しつつ、S511~S518の処理を繰り返し行う。
【0078】
繰り返し行われる処理のうち、S512~S514において、オペレータ配置予定管理部160は、選択した営業日(以下、「選択日」と称する。)における各時間帯を順次選択し(S512)、各時間帯における入電数を、各時間帯に対応する滞納者情報112のレコード(入電予測日時1129が各時間帯に含まれるレコード)の数を集計することにより求める。
【0079】
S515では、オペレータ配置予定管理部160は、求めた各時間帯の入電数と、オペレータ配置予定情報117とを対照し、入電数がオペレータの対応可能量を超える時間帯(以下、「超過時間帯」と称する。)があるか否かを判定する(S515)。尚、オペレータ配置予定管理部160は、例えば、対応可能なオペレータの人数や各オペレータの処理能力等を考慮して対応可能量を求める。
【0080】
図6に、オペレータ配置予定情報117の一例を示す。オペレータ配置予定情報117には、予測月の各営業日のオペレータの配置予定人数が管理されている。同図は、オペレータ配置予定情報117におけるある営業日1170の内容を示している。例示するオペレータ配置予定情報117には、時間帯1171毎に配置されるオペレータの人数1172と配置されるオペレータの識別子(オペレータID1173)が管理されている。
【0081】
図5に戻り、S515において、オペレータ配置予定管理部160が、超過時間帯があると判定した場合(S515:YES)、処理はS516に進む。一方、オペレータ配置予定管理部160が、超過時間帯がないと判定した場合(S515:NO)、処理はS518に進む。
【0082】
S516では、オペレータ配置予定管理部160は、超過時間帯におけるオペレータの数を調整可能か否かを判定する。ここでこの判定は、例えば、ユーザによって予め設定され記憶しておいた各時間帯に融通(他の時間帯からの移動や待機要員の投入等)可能なオペレータの数を参照することにより行ってもよいし、例えば、ユーザに調整可能か否かをユーザインタフェースを介して問い合わせることにより行ってもよい。オペレータ配置予定管理部160が、超過時間帯におけるオペレータの数を調整可能と判定した場合(S516:YES)、処理はS517に進む。一方、オペレータ配置予定管理部160が、超過時間帯におけるオペレータの数を調整不可能と判定した場合(S516:NO)、処理はS531に進む。
【0083】
S517では、オペレータ配置予定管理部160は、超過時間帯におけるオペレータの数を調整し、調整後の内容をオペレータ配置予定情報117に反映する。ここで超過時間帯におけるオペレータの数の調整は、予め設定されたアルゴリズムにより自動的に行ってもよいし、ユーザインタフェースを介してユーザから受け付けてもよい。また、超過時間帯におけるオペレータの数を調整するとともに他の時間帯におけるオペレータの数を調整するようにしてもよい。その後、処理はS518に進む。
【0084】
S531では、オペレータ配置予定管理部160は、入電日時調整パラメータ116(例えば、前述したM日やN日)の再設定をユーザから受け付ける。
【0085】
S532では、送電中止予定日時管理部130が、送電中止予定日時114を再設定する。
【0086】
図7にオペレータ配置予定管理部160が、S531~S532における再設定に際してユーザに提示する画面(以下、「入電日時調整パラメータ設定画面700」と称する。)の一例を示す。例示する入電日時調整パラメータ設定画面700は、金銭の支給日の調整に関する設定を行う欄710と、送電中止予定日時の設定を行う欄720とが設けられている。
【0087】
ユーザは、入電日時調整パラメータ設定画面700の支給日の調整に関する設定を行う欄710において、前述したN日やM日を設定することができる。尚、N日やM日は、本例のように複数のユーザについて一括して設定してもよいし、ユーザ毎に個別に設定してもよい。また、入電日時調整パラメータ設定画面700の送電中止予定日時の設定を行う欄720において、ユーザは、送電中止予定日時を設定することができる。
【0088】
図5に戻り、続いて、オペレータ配置予定管理部160は、再設定された入電日時調整パラメータ116と再設定された送電中止予定日時114とを用いて、入電日時予測部150により前述した入電日時予測処理S300を再実行し、入電日時を予測し直す。その後、オペレータ配置予定管理部160はS511からの処理を実行する。
【0089】
S518では、オペレータ配置予定管理部160が、S511において予測月の全ての営業日を選択済であるか否かを判定する。オペレータ配置予定管理部160が、S511において予測月の全ての営業日を選択済でないと判定した場合(S518:NO)、処理はS512に戻る。一方、オペレータ配置予定管理部160が、S511において予測月の全ての営業日を選択済であると判定した場合(S518:YES)、処理はS519に進む。
【0090】
S519では、オペレータ配置予定管理部160は、オペレータ配置予定情報117の内容(例えば、
図6の内容)を出力してユーザに提示する。
【0091】
以上に説明したように、本実施形態の入電対応業務管理システム1は、滞納者情報と送電中止予定日時とを含む学習データに基づき学習した入電日時予測モデルにより滞納者の入電日時を予測するので、日毎時間帯毎の入電数を精度よく求めることができる。そのため、入電対応業務を行うオペレータの要員管理を適切に立案することができ、入電対応業務を効率よく行うことができる。
【0092】
また、入電対応業務管理システム1は、予測した入電日時を用いて求めた日毎時間帯毎の入電数がオペレータの対応可能量を超える時間帯が存在する場合、入電日時調整パラメータと送電中止予定日時を再設定して各滞納者の入電日時を再調整し、日毎時間帯毎の入電数を求め直すので、オペレータ数の調整を可能な限り回避しつつ、効率よくオペレータの配置計画を立案することができる。
【0093】
また、入電対応業務管理システム1は、滞納者が所定の属性を有する場合、入電日時予測モデルにより予測される入電日時を、滞納者が入電する可能性の高い、当該滞納者が給与等の金銭の支給を受ける次回の金銭の支給日以降に調整し、入電日時を調整した滞納者の送電中止予定日時を、調整後の入電日以降の日時に変更するので、送電中止日時が滞納者が入電してくる可能性の高い日以降に延長され、滞納者の生活に与える影響の大きい送電の中止に至るケースを減少させることができる。
【0094】
また、入電対応業務管理システム1は、送電中止予定日時が到来した滞納者について、当該滞納者宅に設けられているスマートメータの遠隔制御や、作業を行う要員を現場に派遣するための処理(要員への作業指示等)を行うので、効率よく送電中止のための対応を取ることができる。
【0095】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、以上の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれる。
【0096】
例えば、以上に説明した入電対応業務管理システム1の適用対象は必ずしも電力会社が管理する電力設備に限られず、本実施形態の入電対応業務管理システム1は、例えば、ガス会社や電話会社等、滞納者の管理が必要となる、社会インフラを提供する事業を行っている組織における様々なタイプの入電対応業務に適用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 入電対応業務管理システム、110 記憶部、111 契約者情報、112 滞納者情報、113 気象情報、114 送電中止予定日時、115 入電日時予測モデル、116 入電日時調整パラメータ、117 オペレータ配置予定情報、120 契約者情報管理部、125 滞納者情報管理部、130 送電中止予定日時管理部、135 気象情報取得部、140 入電日時予測モデル学習部、150 入電日時予測部、155 入電日時調整部、160 オペレータ配置予定管理部、170 日毎時間帯毎入電数算出部、180 入電日時調整パラメータ設定部、190 送電中止予定日時情報出力部、195 送電中止実施処理部、S300 入電日時予測処理、S500 オペレータ配置予定情報生成処理、700 入電日時調整パラメータ設定画面