(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103786
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】ミスト発生装置
(51)【国際特許分類】
F24F 6/16 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
F24F6/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218633
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】小川 洸太
(72)【発明者】
【氏名】笹川 亜也果
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055BB03
(57)【要約】
【課題】効率よく多量の微細水滴を発生させることが可能なミスト発生装置を提供する。
【解決手段】水飛散用円筒23の周囲に配置された送風ガイド15に水飛散用円筒23へ向けて延びる邪魔板16を設置したので、水飛散用円筒23の突起23aで掻き揚げた貯水室12の水が送風ガイド15へ向けて飛散し、凸状の邪魔板16に衝突することで飛散した水が微細化されるため、効率よく多量の微細水滴を発生させることができ、多量の微細水滴で構成されたミストを含む加湿空気を室内へ送風することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と送風口とを有した器具本体と、
当該器具本体内にあり水を貯める貯水室と、
前記貯水室に設置され外周に前記貯水室の水を掻き揚げて飛散させ微細水滴を発生させる複数の突起を有した水飛散用円筒と、
前記吸気口から取り込んだ空気を前記貯水室へ案内し前記突起で発生した微細水滴を含む加湿空気を前記送風口から送風する送風ファンと、
前記水飛散用円筒を軸支する回転軸を回転させるモーターと、
前記水飛散用円筒の周囲に設置され前記加湿空気を前記送風口へ案内する送風ガイドと、を備え、
前記送風ガイドには、前記水飛散用円筒に向けて延びる邪魔板が設置されたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
前記邪魔板は、前記水飛散用円筒の前記突起と近接するように設置されたことを特徴とする請求項1記載のミスト発生装置。
【請求項3】
前記邪魔板は、前記水飛散用円筒の回転中心位置より上方に位置する前記送風ガイドに設置されたことを特徴とする請求項2記載のミスト発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミストを含む加湿空気を室内に放出して室内を加湿するミスト発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、ケーシング内にカートリッジ式の給水タンクの水が補給されることで一定の水位を保持する貯水室があり、当該貯水室の水面に接する複数の突起を有した水飛散用円筒が回転することで、突起により掻き揚げられた水が周囲に飛散し水飛散用円筒の周囲に設置された送風ガイドに衝突することで微細水滴を発生させ、送風ファンにより送風口から微細水滴からなるミストを含む加湿空気を送風して室内の加湿を行うミスト発生装置があった。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、水飛散用円筒により周囲に飛散した水が送風ガイドに衝突した後、他の箇所に衝突することなく送風口へ案内されることから、多量の微細水滴を発生させることができなかったため、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、吸気口と送風口とを有した器具本体と、
当該器具本体内にあり水を貯める貯水室と、
前記貯水室に設置され外周に前記貯水室の水を掻き揚げて飛散させ微細水滴を発生させる複数の突起を有した水飛散用円筒と、
前記吸気口から取り込んだ空気を前記貯水室へ案内し前記突起で発生した微細水滴を含む加湿空気を前記送風口から送風する送風ファンと、
前記水飛散用円筒を軸支する回転軸を回転させるモーターと、
前記水飛散用円筒の周囲に設置され前記加湿空気を前記送風口へ案内する送風ガイドと、を備え、
前記送風ガイドには、前記水飛散用円筒に向けて延びる邪魔板が設置されたことを特徴としている。
【0006】
また、請求項2では、前記邪魔板は、前記水飛散用円筒の前記突起と近接するように設置されたことを特徴としている。
【0007】
また、請求項3では、前記邪魔板は、前記水飛散用円筒の回転中心位置より上方に位置する前記送風ガイドに設置されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、送風ガイドには、水飛散用円筒に向けて延びる邪魔板が設置されたので、水飛散用円筒の突起で掻き揚げることで送風ガイドへ飛散した水が邪魔板に衝突し、水が微細化することから、多量の微細水滴を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態のミスト発生装置を説明する。
【0011】
図1を参照する。1はこの実施形態の器具本体で、家庭用のエアコンや暖房機に組み込んだり、単独で使用される。2は器具本体1の外枠を形成するケーシングで、上面に空気の吸気口3と、ミストを含んだ加湿空気を吹出す送風口4とを有している。
【0012】
図1を参照する。5は所定の容量だけ内部に水を保持する給水タンク6が収納されるタンク収納室である。
【0013】
図2、及び
図3を参照する。10はケーシング2内を前後に仕切る仕切板であり、当該仕切板10で仕切られたケーシング2の前方側に吸気口3から吸い込まれた室内空気が通過する空気導入路11、後方側に所定量の水が貯められる貯水室12が形成される。
また、仕切板10の略中央には、円形に開口し空気導入路11を通過した空気を貯水室12へ案内する吸込孔13を有している。
【0014】
図2、及び
図3を参照する。14は貯水室12の下流側にあり貯水室12で発生したミストを含む加湿空気が通過する空気排出路であり、当該空気排出路14を通過した加湿空気が送風口4から室内へ送風される。
【0015】
図3を参照する。15は貯水室12内にあり水飛散用円筒23の周囲に配置され空気排出路14と接続する送風ガイドである。当該送風ガイド15は、水飛散用円筒23の円周に沿うよう左右に配置されていることで、水飛散用円筒23により発生した微細水滴を含む加湿空気を送風ファン25の駆動により空気排出路14方向へ案内し、送風口4から加湿空気を送風可能とする。
【0016】
また、右側に位置する送風ガイド15には、所定位置に邪魔板16が設置されている。当該邪魔板16は、下方邪魔板16aと上方邪魔板16bとで構成されている。下方邪魔板16aと上方邪魔板16bの詳細な設置場所は後述する。
【0017】
図2を参照する。20は回転軸21に回転可能となるよう軸支された回転体、22は当該回転体20の後方に形成された空間に固定された回転体側磁石である。
【0018】
図2を参照する。30はモーター31を支持する箱状のモーターケースである。当該モーターケース30内には、モーター31により回転可能となるよう一端側がモーター31に軸支されたモーター軸32と、当該モーター軸32の他端側に設置された磁石支持体33と、当該磁石支持体33により支持固定されたモーター側磁石34と、が配置されている。
【0019】
回転体20は、モーター側磁石34の磁力を回転体側磁石22が受けることで回転駆動可能なマグネットカップリングで構成される。よって、操作部70により運転開始指示が出されると、モーター31が所定の回転数で駆動しモーター側磁石34が回転することで、磁力により回転体20がモーター31と同一の所定の回転数で回転する。
【0020】
このように回転体20の回転駆動機構をマグネットカップリングで構成すると、モーター31が貯水室12と分離して配置可能なため、貯水室12内の水がモーター軸32内に侵入し、モーター31が故障するのを未然に阻止することができる。
【0021】
図3を参照する。給水タンク6がタンク収納室5へ収納されると、給水タンク6を閉止するタンク蓋40がタンク設置面45上に載置される。給水タンク6がタンク設置面45上に載置されると、タンク蓋40の略中央に配置された開閉弁41が、タンク設置面45から上方へ延びる凸部42により上方へ押し上げられ、給水タンク6内の水がタンク収納室5の給水タンク6下方にあるタンク側水槽43へ供給される。
【0022】
タンク側水槽43へ供給された水は、タンク側水槽43の下方にある連絡通路44を通過して貯水室12内へ供給される。タンク側水槽43と貯水室12の水位高さは同一となる。
【0023】
図2を参照する。50は空気導入路11の下方かつ貯水室12の前方側に位置する水位検知室である。当該水位検知室50は、仕切板10により貯水室12と仕切られており、仕切板10の下方にある通過口51から水が供給されることで、貯水室12と同一の水位高さとなる。
【0024】
52は水位検知室50内に設置されたフロート式の水位センサであり、水位高さの変化に応じてフロートが上下することで水位高さを検知可能である。水位高さが所定の水位より高い所定幅にあるときは、水位センサ52内にある図示しないリードスイッチがON状態になって運転継続可能とし、水位高さが所定の水位以下になったら、リードスイッチがOFF状態に切り替わる。
【0025】
図5を参照する。60はマイコンで構成された制御部であり、マイコン基板上にブザー、あるいは音声での報知が可能な報知手段61が設置されている。
制御部60は、水位センサ52のリードスイッチがON状態からOFF状態へ切り替わり、貯水室12内の水位高さが所定の水位より高い状態から所定の水位以下になったと判断したら、モーター31の運転を停止させ、報知手段61からブザー、あるいは音声により給水タンク6の水切れを報知する。
これにより、ユーザーに対して給水タンク6内への補水を促すことができる。
【0026】
また、70はモーター31を駆動させてミストを含む加湿空気を送風する加湿運転の開始、及び停止を指示可能な図示しない運転スイッチを有した操作部である。
【0027】
次に、回転体20の詳細構造について説明する。
図3、及び
図4を参照する。回転体20は、水飛散用円筒23、及び送風ファン25が一体化した構成である。
【0028】
図3、及び
図4を参照する。水飛散用円筒23は、送風ファン25の後方に位置しており、外周端に外周方向へ延びる複数の突起23aが形成されている。水飛散用円筒23が回転すると貯水室12内の水を突起23aで掻き揚げて周囲に飛散させ、周囲に飛散した水が送風ガイド15に衝突することで微細水滴が発生し、微細水滴で構成されたミストを含む加湿空気の送風が可能となる。
【0029】
図3、及び
図4を参照する。25は遠心ファン型の送風ファンで、円周方向に複数の羽根25aが設置されている。回転体20が回転することで送風ファン25が回転し、羽根25aにより吸込孔13から空気を吸込み、ミストを含む加湿空気を空気排出路14へ送って送風口4から送風することができる。
【0030】
次に、送風ガイド15にある邪魔板16について詳述する。
【0031】
図3を参照する。下方邪魔板16aは、回転軸21の中心から水飛散用円筒23の突起23aの外周端が最も高く位置する箇所までの範囲A内にあり、送風ガイド15から水飛散用円筒23に向けて延びるように設置されている。
そして、下方邪魔板16aは、先端が微細水滴で構成されたミストを含む加湿空気が通過可能となる範囲で突起23aと近接している。
【0032】
送風ガイド15に下方邪魔板16aが設置されたことで、回転体20が回転すると、水飛散用円筒23の突起23aで掻き揚げられた水が下方邪魔板16aに衝突し微細化される。凹凸面がない送風ガイド15に水が衝突した場合と比較し、凸状の下方邪魔板16aに衝突した方がより水を微細化することができるため、多量の微細水滴を発生させることができる。
【0033】
また、水飛散用円筒23の突起23aで掻き揚げられ下方邪魔板16aに衝突した水が水飛散用円筒23側へ落下して突起23aに衝突する。回転する水飛散用円筒23の突起23aに水滴が衝突することで水滴がより微細化されるため、多量の微細水滴を発生させることができる。
【0034】
図3を参照する。上方邪魔板16bは、水飛散用円筒23の突起23aの外周端が最も高く位置する箇所から送風ガイド15の上端までの範囲B内にあり、送風ガイド15から水飛散用円筒23に向けて延びるように設置されている。つまり、上方邪魔板16bは下方邪魔板16aよりも上方に位置する。
【0035】
送風ガイド15に上方邪魔板16bが設置されたことで、水飛散用円筒23の突起23aで掻き揚げられ、下方邪魔板16aに衝突して水飛散用円筒23へ向かって落下し、突起23aで再度破砕された水が上方邪魔板16bに向かって飛散し、上方邪魔板16bに衝突する。
これにより、邪魔板16への水の衝突回数が増加するため、より多量の水滴を微細化することができるため、多量の微細水滴を発生させることができる。
【0036】
また、上方邪魔板16bの先端と水飛散用円筒23の突起23aの先端との間は、下方邪魔板16aの先端と突起23aの先端との間程、近接せずに離れていることが好ましい。上方邪魔板16bの設置場所は下方邪魔板16aの設置場所よりも送風口4に近いことから、送風ガイド15を通過する加湿空気の通風抵抗とならないよう、上方邪魔板16bと突起23a間を離して十分な通過風量を確保する必要がある。よって、上方邪魔板16bと突起23a間の距離は、下方邪魔板16aと突起23a間の距離よりも大きくすることが好ましい。
【0037】
次に、本発明の効果を説明する。
【0038】
水飛散用円筒23の周囲に配置された送風ガイド15に水飛散用円筒23へ向けて延びる邪魔板16を設置したので、水飛散用円筒23の突起23aで掻き揚げた貯水室12の水が送風ガイド15へ向けて飛散し、凸状の邪魔板16に衝突することで飛散した水が微細化されるため、効率よく多量の微細水滴を発生させることができ、多量の微細水滴で構成されたミストを含む加湿空気を室内へ送風することができる。
【0039】
また、下方邪魔板16aは、水飛散用円筒23の突起23aと近接するように設置されたので、水飛散用円筒23の突起23aから飛散し下方邪魔板16aに衝突した水滴を水飛散用円筒23方向へ戻し、突起23aに衝突させることができるため、水滴が下方邪魔板16aと突起23aとで複数回衝突して水滴の微細化が促進され、効率よく多量の微細水滴を発生させることができる。
【0040】
また、邪魔板16は、水飛散用円筒23の回転中心位置より上方に位置する送風ガイド15に設置されたので、水飛散用円筒23の突起23aで掻き揚げられ飛散した水が邪魔板16に衝突した後、貯水室12へ落下することなく水飛散用円筒23へ戻し、水滴を破砕することができるため、効率よく多量の微細水滴を発生させることができる。
【0041】
なお、本実施形態では2つの邪魔板16を送風ガイド15に設置したもので説明したが、これに限られない。下方邪魔板16aのみを設置したものであってもよく、下方邪魔板16aと上方邪魔板16bとの間に邪魔板16を設置したものであってもよい。
【0042】
また、本実施形態では水飛散用円筒23の円周上に等間隔の突起23aを形成したもので説明したが、これに限られない。例えば、不均一な間隔で突起23aを形成したものや、千鳥状に突起23aを形成したものであってもよい。つまり、水飛散用円筒23が回転することで水を掻き揚げて微細化することが可能な突起状のものであれば、本発明の範疇に含まれる。
【0043】
また、本実施形態はマグネットカップリングによりモーター31に軸支されたモーター軸32とは別に設置した回転軸21に回転体20を軸支させているが、マグネットカップリングをせずモーター軸32に直接回転体20を軸支する形態であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 器具本体
3 吸気口
4 送風口
6 給水タンク
12 貯水室
15 送風ガイド
16 邪魔板
21 回転軸
23 水飛散用円筒
23a 突起
25 送風ファン
31 モーター