(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103800
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】クレンジング化粧料の評価方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/15 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
G01N33/15 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218652
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006884
【氏名又は名称】株式会社ヤクルト本社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 俊方
(57)【要約】
【課題】クレンジング化粧料の評価方法の提供。
【解決手段】クレンジング化粧料の評価方法であって、
(1)ろ材に指標物質を添加する工程;
(2)前記工程(1)で得られたろ材にクレンジング化粧料を添加して前記指標物質と前記クレンジング化粧料を接触させる工程;及び
(3)前記工程(2)で得られたろ材に前記クレンジング化粧料の除去のための溶媒を添加し、ろ過を行う工程、
を含む、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレンジング化粧料の評価方法であって、
(1)ろ材に指標物質を添加する工程;
(2)前記工程(1)で得られたろ材にクレンジング化粧料を添加して前記指標物質と前記クレンジング化粧料を接触させる工程;及び
(3)前記工程(2)で得られたろ材に前記クレンジング化粧料の除去のための溶媒を添加し、ろ過を行う工程、
を含む、方法。
【請求項2】
前記工程(3)の後に、さらに(4)前記工程(3)で得られたろ材に残存する前記指標物質を測定する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記工程(3)の後に、さらに(4’)前記工程(3)で得られたろ液に含まれる前記指標物質を測定する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記工程(3)、(4)又は(4’)の後に、さらに(5)前記工程(3)で得られたろ液に含まれる前記クレンジング化粧料の乳化粒子径を測定する工程を含む、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記ろ材がろ紙である、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ろ材の保持粒子径が0.1~30μmである、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2種のクレンジング化粧料の相対評価に用いるものである、請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレンジング化粧料の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレンジング化粧料の洗浄力は、実際の肌又は人工の皮膚上に紫外線吸収剤等の指標物質を一定量塗布し、さらにクレンジング化粧料を塗布してなじませ、水で洗浄して肌又は人工皮膚に残存する指標物質の量を計測することで評価していた。しかしながら、この方法では、指標物質及びクレンジング化粧料の塗布を手動で行うことによる塗り斑が発生し、また、なじませる行為も力の加減により誤差が生じる可能性があった。さらに、塗布にヘラを使うため、ヘラに指標物質及びクレンジング化粧料が付着し、また、人工皮膚には紫外線吸収剤等の指標物質が染み込む恐れがあり、残存する指標物質を測定するためにエタノールで抽出しても全てを回収できない可能性があった。よって、複数回同じ行為を行って平均をとる必要があり、作業が非常に煩雑であった。
【0003】
一方、クレンジング化粧料の洗浄後のすすぎやすさ、洗い流し後の肌のさっぱり感といった使用感については、クレンジング化粧料に水を添加し、形成されるO/W型乳化粒子の粒子径を測定することにより評価する手法が知られている(特許文献1及び2)。一般に、乳化粒子の平均粒子径が小さい程、洗浄後のすすぎやすさ、洗い流し後の肌のさっぱり感に優れ、平均粒子径が大きい程、べたつき、ヌルつきが生じ、肌に油性感が残るとされている。特許文献2では、平均乳化粒子径が0.3μm以下であれば、クレンジング化粧料を素早くすっきりと洗い流すことができると報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-029758号公報
【特許文献2】特開2018-070481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のクレンジング化粧料の洗浄力の評価方法では、手技の影響が排除できず、かかる方法による評価は、クレンジング化粧料そのものの本質的な洗浄力の評価と必ずしも一致するとは限らない。
よって、本発明は、手技の影響が抑制されたクレンジング化粧料の評価方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、検討を重ねた結果、指標物質を添加したろ材にクレンジング化粧料を添加し、溶媒の添加及びろ過によりろ材からクレンジング化粧料を除去し、その後、ろ材に残存する指標物質またはろ液に含まれる指標物質の量を測定することで、手技による誤差を抑制しながらクレンジング化粧料の洗浄力を評価できること、また、ろ液に含まれるクレンジング化粧料の乳化粒子径を測定することで、クレンジング化粧料の使用感を評価できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の〔1〕~〔7〕を提供するものである。
〔1〕クレンジング化粧料の評価方法であって、
(1)ろ材に指標物質を添加する工程;
(2)前記工程(1)で得られたろ材にクレンジング化粧料を添加して前記指標物質と前記クレンジング化粧料を接触させる工程;及び
(3)前記工程(2)で得られたろ材に前記クレンジング化粧料の除去のための溶媒を添加し、ろ過を行う工程、
を含む、方法。
〔2〕前記工程(3)の後に、さらに(4)前記工程(3)で得られたろ材に残存する前記指標物質を測定する工程を含む、〔1〕の方法。
〔3〕前記工程(3)の後に、さらに(4’)前記工程(3)で得られたろ液に含まれる前記指標物質を測定する工程を含む、〔1〕の方法。
〔4〕前記工程(3)、(4)又は(4’)の後に、さらに(5)前記工程(3)で得られたろ液に含まれる前記クレンジング化粧料の乳化粒子径を測定する工程を含む、〔1〕~〔3〕のいずれかの方法。
〔5〕前記ろ材がろ紙である、〔1〕~〔4〕のいずれかの方法。
〔6〕前記ろ材の保持粒子径が0.1~30μmである、〔1〕~〔5〕のいずれかの方法。
〔7〕少なくとも2種のクレンジング化粧料の相対評価に用いるものである、〔1〕~〔6〕のいずれかの方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の方法によると、手技による誤差を抑制しつつ、クレンジング化粧料の本質的な洗浄力を評価することができる。また、クレンジング化粧料の使用感もあわせて評価することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のクレンジング化粧料の評価方法は、
(1)ろ材に指標物質を添加する工程;
(2)前記工程(1)で得られたろ材にクレンジング化粧料を添加して前記指標物質と前記クレンジング化粧料を接触させる工程;及び
(3)前記工程(2)で得られたろ材に前記クレンジング化粧料の除去のための溶媒を添加し、ろ過を行う工程、
を含む方法である。
【0010】
本発明において、「クレンジング化粧料」とは、メイクアップ化粧料等の油性汚れを肌から除去する作用を有する皮膚洗浄用化粧料を意味する。クレンジング化粧料としては、特に制限されず、例えば、クレンジングオイル、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングジェル、クレンジングローション等が挙げられる。また、本発明の方法は、特に液状またはクリーム状のクレンジング化粧料に好適に用いられ、ろ材への添加のしやすさ、指標物質との接触のしやすさから、クレンジング化粧料の粘度は100000cP未満であることが好ましく、10000cP未満であることがより好ましく、1000cP未満であることがさらに好ましい。ここで、粘度は、公知の方法で測定すればよく、例えば、20℃において回転粘度計(例えば、回転粘度計<BM型、東京計器株式会社製>)を使用して測定することができる。
【0011】
本発明において、「クレンジング化粧料の評価」とは、クレンジング化粧料の性能の評価を意味し、クレンジング化粧料の肌なじみ、クレンジング化粧料の洗浄力(メイクの落ちやすさ)、クレンジング化粧料の洗い流しやすさ、クレンジング化粧料の洗い流し後の肌のさっぱり感等の評価を包含する。
【0012】
本発明のクレンジング化粧料の評価方法の工程(1)は、ろ材に指標物質を添加する工程である。
【0013】
本発明で用いる「ろ材」とは、ろ過に用いられる多孔性の材料を意味する。ろ材は、クレンジング化粧料及び指標物質を保持し得るものである限り特に制限されず、例えば、ろ紙、不織布、織布、メンブレンフィルター、粒子等が挙げられる。ろ材の材質としては、セルロース、セルロースアセテート、セルロース混合エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ナイロン、活性炭、綿等の有機材料、及びガラス、シリカゲル、アルミナ、ステンレス、砂等の無機材料が挙げられる。ろ材は、添加する指標物質及びクレンジング化粧料の保持性、溶媒の透過性等を考慮して適宜選択すればよく、好ましくはろ紙又は綿であり、より好ましくはろ紙であり、さらに好ましくはセルロースろ紙である。これらのろ材は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
ろ材の保持粒子径は、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、かつ30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。また、0.1~30μmが好ましく、0.1~20μmがより好ましく、0.5~20μmがさらに好ましい。保持粒子径が0.1μm未満では、ろ材が目詰まりを起こす可能性があり、保持粒子径が30μmを超えると、指標物質がろ材に留まらずに液だれを生じやすい。ここで、保持粒子径とは、JIS Z 8901で規定された7種粉体分散水を自然ろ過したときに90%以上を保持できる粒子径を意味する。
【0015】
ろ材の厚みは、添加する指標物質及びクレンジング化粧料の液だれが生じない限りにおいて特に制限されず、ろ材の種類及び材質に応じて適宜選択できる。かかる厚みとしては、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、かつ10cm以下が好ましく、5cm以下がより好ましく、1cm以下がさらに好ましく、3mm以下がさらに好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。また、0.05mm~10cmが好ましく、0.05mm~5cmがより好ましく、0.05mm~1cmがさらに好ましく、0.05~3mmがさらに好ましく、0.05~2.5mmがさらに好ましく、0.1~2.5mmがさらに好ましい。例えば、ろ紙等の平面状のろ材を用いる場合の厚みは、0.05~3mmが好ましく、0.05~2.5mmがより好ましく、0.1~2.5mmがさらに好ましく、綿、砂等の容器に充填するろ材を用いる場合の厚みは、0.05mm~10cmが好ましく、0.05mm~5cmがより好ましく、0.1mm~1cmがさらに好ましい。厚みの合計が上記範囲内であれば、2種類以上のろ材を積層して用いてもよい。
【0016】
ろ材の吸水度は、特に制限されないが、0.5cm以上が好ましく、1cm以上がより好ましく、かつ25cm以下が好ましく、20cm以下がより好ましい。また、0.5~25cmが好ましく、0.5~20cmがより好ましく、1~20cmがさらに好ましい。ここで、吸水度とは、細長いろ材(例えば、幅1.5cm程度、長さ20cm程度のろ材)を20℃の水中に立てたときに10分間に上昇する水の高さを意味する。
【0017】
ろ材のサイズや形状は、特に制限されないが、例えば円形の場合、直径として10mm以上が好ましく、25mm以上がより好ましく、かつ600mm以下が好ましく、300mm以下がより好ましい。また、10~600mmが好ましく、25~300mmがより好ましく、50~150mmがさらに好ましい。
【0018】
本発明で用いる「指標物質」は、クレンジングにおける洗浄対象とされ得る物質、特に化粧料に配合され得る物質であれば特に限定されない。指標物質の例としては、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(310nm、以下、括弧内に各物質の分光光度計での測定波長を示す)、オキシベンゾン(288nm)、t‐ブチルメトキシジベンゾイルメタン(358nm)等の紫外線吸収剤;パラオキシ安息香酸エステル類(例えば、メチルパラベン(254nm))、フェノキシエタノール(254nm)等の防腐剤;アスコルビン酸グルコシド(254nm)、グリチルリチン酸ジカリウム(254nm)等の水溶性基剤;テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル(254nm)、グリチルレチン酸ステアリル(254nm)、酢酸トコフェロール(284nm)等の油溶性基剤等が挙げられる。これらのうち、紫外線吸収剤、防腐剤及び油溶性基剤が好ましい。
【0019】
指標物質は、そのまま、適当な溶媒に溶解若しくは懸濁させた溶液若しくは懸濁液、又は適当な基剤に均一に練合させた半固形剤(例えば、軟膏、クリーム等)としてろ材に添加すればよい。溶媒は、指標物質の種類に応じて適宜選択でき、例えば、水;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;アセトニトリル等のニトリル類;トリオクタン酸グリセリル、イソプロピルミリステート、ペンタエリスリトールテトラ-2-エチルヘキサノエート、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、ラウリン酸エステル、リノール酸エステル、オクタン酸エステル、オレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、乳酸エステル、リンゴ酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、コハク酸エステル、クエン酸エステル、多価アルコールエステル、ラノリン等のエステル油;パラフィン、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油;メチルフェニルシリコン、ジメチルシリコン、環状シリコン等のシリコン油等が挙げられる。これらの溶媒は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。半固形剤の基剤としては、ワセリン、流動パラフィン、プラスチベース、シリコン、単軟膏、白色軟膏、植物油、ろう等の油脂性基剤;親水ワセリン、精製ラノリン、オイセリン、ネオセリン、吸水軟膏、加水ラノリン、親水プラスチベース、コールドクリーム等の乳剤性基剤;マクロゴール類、ソルベース、マクロゴール軟膏等の水溶性基剤;ヒドロゲル、リオゲル等の懸濁性基剤が挙げられる。これらの基剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。指標物質の溶液、懸濁液又は半固形剤における濃度は、0.01質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、かつ20質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。また、0.01~20質量%が好ましく、0.01~5質量%が好ましく、0.5~3質量%がさらに好ましい。また、半固形剤の粘度は100000cP未満であることが好ましく、10000cP未満であることがより好ましく、1000cP未満であることがさらに好ましい。ここで、粘度は、上記のクレンジング化粧料の場合と同様に、公知の方法で測定することができる。
【0020】
指標物質の別の例として、上記指標物質を含む化粧料をそのまま使用することもできる。指標物質として化粧料を用いる場合、ろ材への浸透性及びクレンジング化粧料との接触性の観点から、該化粧料は液状、乳液状、又はクリーム状であることが好ましく、該化粧料の粘度は100000cP未満であることが好ましく、10000cP未満であることがより好ましく、1000cP未満であることがさらに好ましい。ここで、粘度は、上記のクレンジング化粧料の場合と同様に、公知の方法で測定することができる。
【0021】
ろ材への指標物質の添加の態様は、特に制限されないが、例えば、ピペット等の器具を用いてろ材の中央部に指標物質を載置すればよい。指標物質の添加量は、指標物質の種類、用いるろ材等を考慮して適宜設定すればよい。例えば、ろ材が直径55mmのろ紙の場合、添加量は5~100μLが好ましく、10~50μLがより好ましい。指標物質を添加したろ材は静置してもよく、添加した指標物質は、ろ材上に留まるか、その一部又は全部がろ材に浸透する。静置時間は、1分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、かつ96時間以下が好ましく、24時間以下がより好ましい。また、1分~96時間が好ましく、1分~24時間がより好ましく、5分~24時間がさらに好ましい。なお、指標物質が化粧料である場合は、ろ材上での化粧料の変質を避けるため、静置時間は、1分以上が好ましく、5分以上が好ましく、かつ3時間以下が好ましく、1時間以下がより好ましい。また、1分~3時間が好ましく、1分~1時間がより好ましく、5分~1時間がさらに好ましい。
【0022】
本発明の方法の工程(2)は、工程(1)で得られたろ材にクレンジング化粧料を添加して指標物質とクレンジング化粧料とを接触させる工程である。
【0023】
ろ材へのクレンジング化粧料の添加の態様は、特に制限されないが、例えば、ピペット等の器具を用いてろ材上の工程(1)で指標物質を添加した領域を覆うようにクレンジング化粧料を載置するのが好ましい。クレンジング化粧料の添加量は、指標物質の種類や添加量、用いるろ材等を考慮して適宜設定すればよく、指標物質の添加量と同じかそれ以上であることが好ましい。例えば、ろ材が直径55mmのろ紙の場合、添加量は5~100μLが好ましく、10~50μLがより好ましい。クレンジング化粧料を添加したろ材は静置してもよく、添加したクレンジング化粧料は、ろ材上に留まるか、その一部又は全部がろ材に浸透する。静置時間は、ろ材上でのクレンジング化粧料の変質を避けるため、1分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、かつ3時間以下が好ましく、1時間以下がより好ましい。また、1分~3時間が好ましく、1分~1時間がより好ましく、5分~1時間がさらに好ましい。
工程(2)により、指標物質とクレンジング化粧料とがろ材上又はろ材中で接触することができる。このとき、指標物質とクレンジング化粧料の相溶性を目視することで、クレンジング化粧料の肌なじみを評価することができる。相溶性が良好であるほど、クレンジング化粧料の肌なじみがよいと判断できる。
なお、添加したクレンジング化粧料又は指標物質及びクレンジング化粧料が、ろ材に浸透せずにろ材上に留まるものであった場合は、工程(2)の後かつ以下に述べる工程(3)の前に、ろ材上にさらに新たなろ材を積層し、指標物質とクレンジング化粧料の接触面積を増加させてもよい。
【0024】
本発明の方法の工程(3)は、工程(2)で得られたろ材にクレンジング化粧料の除去のための溶媒を添加し、ろ過を行う工程である。
【0025】
本発明で用いる「クレンジング化粧料の除去のための溶媒」とは、これをろ材に添加してろ過することによりクレンジング化粧料をろ材より分離せしめる溶媒を意味する。かかる溶媒としては、実際の洗顔の態様を考慮すると、水性媒体が好ましく、水又はふき取り化粧料がより好ましく、水がさらに好ましい。ここで、水としては、蒸留水、イオン交換水等の精製水、水道水等を使用することができ、評価の精度の観点から、精製水がさらに好ましい。
【0026】
ろ材へのクレンジング化粧料の除去のための溶媒の添加の態様は、特に制限されない。例えば、ろ材をろ過装置に設置し、該ろ材の全体に行き渡るようにクレンジング化粧料の除去のための溶媒をピペット等の器具を用いて添加すればよい。溶媒の添加量は、ろ材からクレンジング化粧料を除去するのに十分な量であればよく、クレンジング化粧料の種類や添加量、用いるろ材、ろ過手法等を考慮して適宜設定すればよいが、例えば、クレンジング化粧料の添加量の1~100000倍程度が好ましく、10~30000倍程度がより好ましく、5000~25000倍程度が特に好ましい。例えば、ろ材が直径55mmのろ紙で、クレンジング化粧料の添加量が10~50μLで、吸引ろ過する場合、添加量は100~300mLが好ましく、150~250mLがより好ましい。ろ過の手法としては、自然ろ過、吸引ろ過、加圧ろ過、遠心ろ過等の公知の手法を用いることができる。このうち、ろ過速度の速さの観点から、吸引ろ過が好ましい。ろ過装置は、ろ過手法に応じて常用される装置を用いればよい。また、ろ過条件は、ろ材及びろ過装置の性能を考慮して適宜決定すればよい。
工程(3)により、クレンジング化粧料で洗浄されなかった指標物質はろ材上又はろ材中に残存し、洗浄された指標物質はクレンジング化粧料とともにろ液に含まれることになる。よって、ろ材に残存する指標物質を測定する、あるいはろ液に含まれる指標物質を測定することで、クレンジング化粧料の洗浄力を評価することができる。
【0027】
ろ材に残存する指標物質、具体的にはろ材上及びろ材中に残存する指標物質は、例えば、ろ材自体に適当な抽出溶媒を添加して該指標物質を含有する抽出液を得、該抽出液を用いて公知の測定法により測定すればよい。抽出溶媒は、指標物質の種類に応じて適宜選択でき、例えば、水;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;アセトニトリル等のニトリル類;トリオクタン酸グリセリル、イソプロピルミリステート、ペンタエリスリトールテトラ-2-エチルヘキサノエート、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、ラウリン酸エステル、リノール酸エステル、オクタン酸エステル、オレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、乳酸エステル、リンゴ酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、コハク酸エステル、クエン酸エステル、多価アルコールエステル、ラノリンエステル等のエステル油;パラフィン、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油;メチルフェニルシリコン、ジメチルシリコン、環状シリコン等のシリコン油等が挙げられる。これらのうち、指標物質を溶解又は懸濁した溶媒と同じ溶媒を用いるのが好ましい。これらの溶媒は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。抽出溶媒の使用量は、ろ材が抽出溶媒に完全に浸漬する限り特に制限されないが、例えば、3~30mLが好ましく、5~15mLがより好ましい。抽出時間は、特に制限されないが、例えば、1分~1時間が好ましく、10分~1時間がより好ましく、10~30分がさらに好ましい。指標物質の量の測定法は、指標物質の種類に応じて公知の手法より適宜選択すればよく、例えば、分光光度計を用いて所定波長における吸光度を測定する方法が挙げられる。
【0028】
クレンジング化粧料の洗浄力は、より詳細には、指標物質のろ材からの除去率で表すことができる。除去率は、例えば、下記式(1)で算出することができる。
【0029】
【0030】
ここで、対照における指標物質量とは、上記工程(1)及び(3)のみ実施後のろ材に残存する指標物質量、すなわち、クレンジング化粧料を添加しない場合にろ材に残存する指標物質量を、試験における指標物質量とは、上記工程(1)、(2)及び(3)実施後のろ材に残存する指標物質量をさす。指標物質の除去率が高い程、クレンジング化粧料の洗浄力は高いと評価できる。
【0031】
ろ液に含まれる指標物質は、ろ液を用いて公知の測定法により測定すればよい。測定法としては、ろ材に残存する指標物質の量の測定法と同様の方法が挙げられる。また、必要に応じて、ろ液をクレンジング化粧料の除去のための溶媒でさらに希釈して測定してもよい。
【0032】
クレンジング化粧料の洗浄力は、より詳細には、指標物質のろ材からの除去率で表すことができる。除去率は、例えば、下記式(2)で算出することができる。
【0033】
【0034】
ここで、試験における指標物質量とは、上記工程(1)、(2)及び(3)実施後のろ液に含まれる指標物質量をさす。対照における指標物質量とは、上記工程(1)及び(3)のみ実施後のろ液に含まれる指標物質量をさす。指標物質の除去率が高い程、クレンジング化粧料の洗浄力は高いと評価できる。
【0035】
クレンジング化粧料の洗浄力の評価にあたっては、指標物質以外の物質による測定系への影響を低減する観点から、ろ材上又はろ材中に残存する指標物質の量を測定することが好ましい。
【0036】
また、工程(2)で添加するクレンジング化粧料として、予め一定量の水を添加したクレンジング化粧料を使用すれば、顔が水で濡れた状態若しくは濡れた手でクレンジングした場合のクレンジング化粧料の洗浄力を評価することができる。水の添加量としては、クレンジング化粧料に対して3~30質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましい。
【0037】
クレンジング化粧料は、クレンジング化粧料の除去のための溶媒の添加により、O/W型の乳化粒子を形成し、メイクアップ化粧料等の油性汚れを水中に分散することで汚れを落とす。よって、工程(3)で得られるろ液には、クレンジング化粧料の乳化粒子が含まれる。前述の如く、クレンジング化粧料の乳化粒子の粒子径は、クレンジング化粧料の洗浄後のすすぎやすさ、洗い流し後の肌のさっぱり感といった使用感を評価する指標となり得る(特許文献1及び2)。したがって、ろ液中のクレンジング化粧料の乳化粒子の粒子径を測定することで、クレンジング化粧料の使用感を評価することができる。乳化粒子径は、後記実施例に示すように、粒子径分布測定装置(例えば、LA-350、株式会社堀場製作所製)を使用して測定することが可能である。平均乳化粒子径が小さい程、洗浄後のすすぎやすさ、洗いあがりのさっぱり感に優れ、平均乳化粒子径が大きい程、べたつき、ヌルつきが生じ、肌に油性感が残ると評価することができる。また、平均乳化粒子径以外にも、乳化粒子のモード径やメジアン径を指標としてもよく、この場合も径が小さい程洗浄後のすすぎやすさ、洗いあがりのさっぱり感に優れると評価することができる。モード径やメジアン径は、粒子径分布測定装置(例えば、LA-350、株式会社堀場製作所製)を使用して測定することが可能である。
【0038】
後記実施例に示すように、本発明のクレンジング化粧料の評価方法によれば、手技のばらつきによる影響を抑制して、クレンジング化粧料そのものの本質的な洗浄力を評価することができる。また、クレンジング化粧料の使用感も評価することができる。
本発明の方法によるクレンジング化粧料の評価結果は、後記実施例に示すように、ヒトによるクレンジング化粧料の官能評価結果と一致しており、本発明の方法は、クレンジング化粧料の評価系として非常に有用である。
【0039】
本発明のクレンジング化粧料の評価方法は、少なくとも2種のクレンジング化粧料の洗浄力及び/又は使用感の相対評価に好適に使用できる。
あるいは、本発明の方法は、少なくとも2種の指標成分に対するクレンジング化粧料の洗浄力の評価に好適に使用できる。例えば、クレンジング化粧料により除去したい指標成分と残存させたい指標成分を用い、除去したい指標成分のみを選択洗浄可能かを評価することができる。
【0040】
本発明の方法においては、さらに、工程(3)で得られたろ材に水性の汚れを落とすウォッシング剤を添加し、その後、該ウォッシング剤の除去のための溶媒を添加し、ろ過を行うことで、クレンジング化粧料の評価に加えてダブル洗顔の効果を評価することもできる。ウォッシング剤の添加、ウォッシング剤の除去のための溶媒、ろ過の詳細は、上述したクレンジング化粧料の添加、クレンジング化粧料の除去のための溶媒、ろ過と同様である。ダブル洗顔の効果は、クレンジング化粧料の洗浄力の評価と同様に、ろ材に残存する指標物質又はろ液に含まれる指標物質を測定することで、評価可能である。
【実施例0041】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0042】
実施例1 クレンジング化粧料の評価系
指標物質であるメトキシケイヒ酸エチルヘキシルのエタノール溶液(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル濃度1%)を、ろ紙(定性ろ紙No.1、保持粒子径6μm、直径55mm、厚さ0.2mm、吸水度9.0cm、ADVANTEC社製)の中央部にピペットで10μL添加し、15時間静置させた。その後、さらに、ピペットで試験品1のクレンジング化粧料(クレンジングオイル、粘度:330cP(測定条件:B型粘度計、20℃、No.2、60rpm、1分))を、ろ紙の指標物質の添加箇所の上から10、20、30、又は40μL添加し10分静置させた。吸引ろ過装置に前述のろ紙を設置し、200mLの精製水を流しこみ、吸引ろ過を行った。吸引ろ過は、アスピレーターを設置し、試験ごとに水道の蛇口を一定の角度に開放することで行った。得られたろ紙を10mLのエタノールに浸してろ紙に残存するメトキシケイヒ酸エチルヘキシルを抽出し、分光光度計(U-5100、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて抽出液の吸光度(310nm)を測定した。対照として、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルのエタノール溶液(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル濃度1%)をピペットで10μL添加し15時間静置させたろ紙を吸引ろ過装置に設置し、同様のろ過処理および抽出処理を行い、吸光度(310nm)を測定した。下記式(3)を用いて、指標物質の除去率を求めた。それぞれの操作は3回ずつ行った。指標物質の除去率の平均値を表1に示す。
【0043】
【0044】
【0045】
表1から明らかなように、クレンジング化粧料の量依存的に、指標物質の除去率が上昇しており、また、操作間の除去率のばらつきは小さかった。よって、本実施例のクレンジング化粧料の評価系は、クレンジング化粧料の洗浄力を評価できること、操作間のばらつきが小さいことが示された。
【0046】
参考例1 クレンジング化粧料の評価系の比較
参考例として、指標物質であるメトキシケイヒ酸エチルヘキシルのエタノール溶液(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル濃度1%)を、ろ紙(定性ろ紙No.1、保持粒子径6μm、直径55mm、厚さ0.2mm、吸水度9.0cm、ADVANTEC社製)の中央部にピペットで10μL添加し、15時間静置させた。その後、得られたろ紙を10mLのエタノールに浸してろ紙に残存するメトキシケイヒ酸エチルヘキシルを抽出し、分光光度計(U-5100、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて抽出液の吸光度(310nm)を測定した。比較例(従来法)として、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルを2.5%配合した市販のクリームファンデーション15μLを、4cm×5cmの人工皮革(ウレタン)にピペットで添加し、ヘラを用いて手動で塗り広げた。その後、人工皮革を縦横2等分の4区画に分け、各区画を10mLのエタノールに浸して人工皮革に残存するメトキシケイヒ酸エチルヘキシルを抽出し、分光光度計を用いて区画毎の抽出液の吸光度(310nm)を測定した。それぞれの操作は3回ずつ行った。参考例の吸光度測定の結果を表2に、比較例の吸光度測定の結果を表3に示す。
【0047】
【0048】
【0049】
比較例(従来法)では、区画間で指標物質の大きな塗り斑が認められた。クレンジング化粧料の評価においては、指標物質の塗り斑だけでなく、クレンジング化粧料の塗布の段階でも同様の塗り斑が発生し、それらが評価結果に相乗的に影響することが懸念される。従来法は、評価に対しての手技のばらつきの影響が排除できておらず、クレンジング化粧料そのものの性能評価には十分でないことが明らかとなった。一方、本発明の方法の工程(1)に相当する参考例では、操作間のばらつきは非常に小さかった。
【0050】
実施例2 クレンジング化粧料の洗浄力の評価
指標物質であるメトキシケイヒ酸エチルヘキシルのエタノール溶液(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル濃度1%)を、ろ紙(定性ろ紙No.1、保持粒子径6μm、直径55mm、厚さ0.2mm、吸水度9.0cm、ADVANTEC社製)の中央部にピペットで10μL添加し、1時間静置させた。その後、さらに、実施例1で用いた試験品1のクレンジング化粧料又は試験品2のクレンジング化粧料(クレンジングオイル、粘度:32.5cP(測定条件は実施例1に同じ))(どちらも加水前のクレンジング化粧料)を、ピペットでろ紙の指標物質の添加箇所の上から20μL添加し10分静置させた。吸引ろ過装置に前述のろ紙を設置し、200mLの精製水を流しこみ、吸引ろ過を行った。吸引ろ過は、アスピレーターを設置し、試験ごとに水道の蛇口を一定の角度に開放することで行った。得られたろ紙を10mLのエタノールに浸してろ紙に残存するメトキシケイヒ酸エチルヘキシルを抽出し、分光光度計(U-5100、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて抽出液の吸光度(310nm)を測定した。また、加水前のクレンジング化粧料にかえて、クレンジング化粧料に対して10質量%の水を添加した試料(加水後のクレンジング化粧料)を用い、上記同様に処理した。対照として、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルのエタノール溶液(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル濃度1%)をピペットで10μL添加し1時間静置させたろ紙を吸引ろ過装置に設置し、同様のろ過処理および抽出処理を行い、吸光度(310nm)を測定した。その後、実施例1と同様にして、式(3)により指標物質の除去率を求めた。加水前のクレンジング化粧料を用いた試験ではそれぞれの操作を5回ずつ行い、加水後のクレンジング化粧料を用いた試験ではそれぞれの操作を3回ずつ行った。指標物質の除去率の平均値を表4に示す。
【0051】
【0052】
「加水前」とは、乾いた手でクレンジング化粧料を使用する場合のモデルであり、「加水後」とは、顔が水で濡れた状態又は濡れた手でクレンジング化粧料を使用する場合のモデルである。
試験品1のクレンジング化粧料では、加水前及び加水後ともに指標物質の除去率が同等であった。これは、試験品1は、顔が水で濡れた状態又は濡れた手で使用しても洗浄力が低下しないことを示している。一方、試験品2のクレンジング化粧料では、試験品1のクレンジング化粧料に比べて指標物質の除去率が加水前で10%程度、加水後で50%低下しており、また、加水前に比べて加水後では指標物質の除去率が40%程度低下していた。これは、試験品2の洗浄力が、試験品1より低く、顔が水で濡れた状態又は濡れた手で使用すると洗浄力が大きく低下してしまうことを示している。
【0053】
実施例3 クレンジング化粧料の使用感の評価
実施例2のろ過処理で得られたろ液中の乳化粒子について、粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、LA-350)を用いて粒子径を測定した。
その結果、試験品1のクレンジング化粧料を用いた場合には平均粒子径は0.1μmであった一方、試験品2のクレンジング化粧料を用いた場合には平均粒子径は7.8μmであった。クレンジング化粧料の粒子径が小さくなると、クレンジング化粧料の洗い流しやすさ、洗い流し後の肌のさっぱり感を感じられることが知られていることから、上記結果は、試験品2より試験品1の方が使用感に優れることを示している。
【0054】
参考例2 ヒトによるクレンジング化粧料の評価
実施例2及び3で使用した試験品1及び2のクレンジング化粧料について、パネラー29名による官能評価を行った。市販のメイクアップ化粧料を塗布した皮膚(顔全体)に、乾いた手で試験品1又は2をまんべんなくのばし、なじませた後、水又はぬるま湯でぬるつきがなくなるまですすぎ、「メイクの落ちやすさ」、「クレンジング化粧料(試験品)の洗い流しやすさ」、「洗い流し後のさっぱり感」について評価を行った。評価点は3日間使用して決定した。また、「メイクの落ちやすさ」については、濡れた手でも同様の操作を行い、評価を行った。評価項目と評価点は以下のとおりである。パネラー29人の評価点及び平均点を表5及び6に示す。
【0055】
「メイクの落ちやすさ」
かなり落ちやすい:2点
やや落ちやすい:1点
わからない:0点
やや落ちにくい:-1点
かなり落ちにくい:-2点
【0056】
「クレンジング化粧料の流しやすさ」
かなり流しやすい:2点
やや流しやすい:1点
わからない:0点
やや流しにくい:-1点
かなり流しにくい:-2点
【0057】
「洗い流し後のさっぱり感」
かなりさっぱりする:2点
ややさっぱりする:1点
わからない:0点
ややさっぱりしない:-1点
かなりさっぱりしない:-2点
【0058】
【0059】
【0060】
パネラーによる評価結果は、全ての評価項目において試験品2と比較して試験品1が高得点となった。メイクの落ちやすさに関しては、試験品1では、乾いた手で使用しても濡れた手で使用しても評価は同等であった。一方、試験品2では、濡れた手で使用すると乾いた手で使用するよりも評価は大きく低下した。これらのヒトによる評価結果は、本発明のクレンジング化粧料の評価方法によるクレンジング化粧料の洗浄力の評価(実施例2)及び使用感の評価(実施例3)の結果と一致していた。よって、本発明の方法は、クレンジング化粧料の評価方法として有用であることが確認された。