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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103809
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】ブラシユニット
(51)【国際特許分類】
   A46B 7/04 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
A46B7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218663
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(72)【発明者】
【氏名】林 孝彦
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA34
3B202AB13
3B202BA01
3B202BC01
(57)【要約】
【課題】 製造時に毛材部に与えるダメージを軽減させることができると共に、ブラシ体の交換作業を容易に行うことができるブラシユニットを提供する。
【解決手段】 ブラシユニット10は、複数の毛材が集束された毛材部1と、毛材部1の一方の端部に形成された基部2とを有し、毛材部1と基部2とが一体的に結合されたブラシ体3と、リング形状の基台部4と、基台部4の外周面から放射状に延びる腕部5、5・・とを有し、ブラシ体3を固定する固定部材6と、底板7と、側板8とを有するカップ形状のブラシ台9とを有しており、固定部材6は、ブラシ台9と結合するものであって、隣り合う腕部5、5の対向する両側面に、連続する溝5cを有し、ブラシ体3の基部2は、固定部材6の腕部の溝5cとブラシ台の底板7との間に挟持されると共に、ブラシ台の側板8の内面と当接して、固定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の毛材が集束された毛材部と、該毛材部の一方の端部に形成された基部と、を有し、前記毛材部と前記基部とが一体的に結合されたブラシ体と、
円盤形状又はリング形状の基台部と、該基台部の外周面から放射状に延びる腕部と、を有し、前記ブラシ体を固定する固定部材と、
底板と、側板と、を有するカップ形状のブラシ台と、を有するブラシユニットにおいて、
前記固定部材は、前記ブラシ台と結合するものであって、隣り合う腕部の対向する両側面に、連続する溝を有し、
前記ブラシ体の基部は、前記固定部材の腕部の溝と前記ブラシ台の底板との間に挟持されると共に、前記ブラシ台の側板の内面と当接して、固定されていることを特徴とするブラシユニット
【請求項2】
固定部材の腕部の端面は、ブラシ台の側板の内面に当接していることを特徴とする請求項1に記載のブラシユニット
【請求項3】
ブラシ体の基部は、固定部材の腕部の先端側から溝に沿って挿入可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラシユニット
【請求項4】
固定部材はブラシ台の底板から上方へスライド可能に固定手段にて固定されており、前記固定部材を前記ブラシ台から離した状態で、ブラシ体の基部を固定部材の腕部の溝に挿入可能であることを特徴とする請求項3に記載のブラシユニット
【請求項5】
ブラシユニットを側面視した際に、ブラシ台の側板の高さは、固定部材の腕部の溝より高く、固定部材の腕部の上面を超えない高さであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のブラシユニット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転装置に取り付けてバリ取り研磨等の作業や、洗浄機械に取り付けて洗浄作業を行うために使用するブラシユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワークの研磨や床磨きを行うための回転装置に装着され、円環状の基台に着脱可能に取り付けられたブラシを備えたブラシ台や回転ブラシが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の電動床磨機用ブラシ台は、外周と内方との間に切欠きを複数設けた円形の基台と、基端側を直列に向き合わせた上、その両先端開口部間にブラシ毛材の束を入れて突出させた2個の筒状の支持体とからなり、ブラシ毛材の束を折り曲げる個所とした支持体の基端側を切欠きに取り付ける手段を設け、その取り付け手段を介して基台にブラシ毛材の束を立てて取り付けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-289962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のブラシ台は、基台の切欠きに支持体を取り付ける際には、基台の外周側から取り付けるものであるため、回転装置の部材が基台の外周側に位置する場合には、ブラシ台を回転装置から取り外した後に支持体の交換作業を行う必要があった。また、ブラシ毛材の束を筒状の支持体に挿入する際には、ブラシ毛材の折れや切れが発生し易く、ブラシ毛材が支持体の外側に広がるクセがつきやすいという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、製造時に毛材部に与えるダメージを軽減させることができると共に、ブラシ体の交換作業を容易に行うことができるブラシユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明は、複数の毛材が集束された毛材部と、該毛材部の一方の端部に形成された基部と、を有し、前記毛材部と前記基部とが一体的に結合されたブラシ体と、円盤形状又はリング形状の基台部と、該基台部の外周面から放射状に延びる腕部と、を有し、前記ブラシ体を固定する固定部材と、底板と、側板と、を有するカップ形状のブラシ台と、を有するブラシユニットにおいて、前記固定部材は、前記ブラシ台と結合するものであって、隣り合う腕部の対向する両側面に、連続する溝を有し、前記ブラシ体の基部は、前記固定部材の腕部の溝と前記ブラシ台の底板との間に挟持されると共に、前記ブラシ台の側板の内面と当接して、固定されていることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明では、ブラシ体の基部を固定部材の腕部の溝とブラシ台の底板とブラシ台の側板の内面との間に挟持する構成としたことで、ブラシ体を簡単に装着できると共に、毛材に負荷がかからず、毛材の切れや折れが発生し難くなり、製造時に毛材に与えるダメージを軽減させることができる。また、ブラシ体の交換作業は、固定部材に対してブラシ体を着脱すればよいため、ブラシユニットの外周側に十分なスペースがない場合においてもブラシユニットを機器等に装着した状態でブラシ体の交換作業を行うことができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、固定部材の腕部の端面は、ブラシ台の側板の内面に当接していることを特徴としている。したがって、固定部材をブラシ台に固定する際の位置決めを容易に行うことができる。また、固定部材とブラシ台との間に隙間が生じないため、ブラシ台を強固に固定することができると共に、毛材の毛先が広がるのを防止することができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、ブラシ体の基部は、固定部材の腕部の先端側から溝に沿って挿入可能であることを特徴としている。したがって、毛材に負荷がかからず、毛材の切れや折れが発生し難くなり、製造時に毛材に与えるダメージを軽減させることができる。また、ブラシ体の交換作業は、固定部材に対してブラシ体を着脱すればよいため、ブラシ体の交換作業を容易に行うことができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、固定部材はブラシ台の底板から上方へスライド可能に固定手段にて固定されており、前記固定部材を前記ブラシ台から離した状態で、ブラシ体の基部を固定部材の腕部の溝に挿入可能であることを特徴としている。したがって、ブラシ体の交換作業は、固定部材とブラシ台が連結された状態で、ブラシ体を着脱することができるので、ブラシ体の交換作業を一層容易に行うことができる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1~4のいずれかの発明において、ブラシユニットを側面視した際に、ブラシ台の側板の高さは、固定部材の腕部の溝より高く、固定部材の腕部の上面を超えない高さであることを特徴としている。したがって、ブラシ体の基部をブラシ台の側板で覆うことができ、ブラシ体をブラシ台に確実に固定することができる。また、ブラシ台の側板の高さが低いため、ブラシ体の交換作業時に、ブラシ体の基部を固定部材の腕部の溝に容易に挿入することができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1及び3のブラシユニットの発明は、毛材の切れや折れが発生し難くなり、製造時に毛材に与えるダメージを軽減させることができる。また、ブラシ体の交換作業を容易に行うことができる。また、請求項2の発明は、固定部材をブラシ台に固定する際の位置決めを容易に行うことができる。また、ブラシ台を強固に固定することができると共に、毛材の毛先が広がるのを防止することができる。
【0014】
請求項4の発明は、ブラシ体の交換作業を一層容易に行うことができる。また、請求項5の発明は、ブラシ体をブラシ台に確実に固定することができる。また、ブラシ体の交換作業時に、ブラシ体の基部を固定部材の腕部の溝に容易に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)本発明に係るブラシユニットをブラシ体側から視た斜視図(b)本発明に係るブラシユニットをブラシ台側から視た斜視図
図2】本発明に係るブラシユニットの分解図
図3】ブラシユニットを構成するブラシ体の斜視図
図4】ブラシユニットを構成する固定部材の斜視図
図5】ブラシ体を装着している状態を示す斜視図
図6】本発明に係るブラシユニットの使用状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施 の形態によって本発明が限定されるものではない。図1(a)は、本発明に係るブラシユニットをブラシ体側から視た斜視図であり、図1(b)は、本発明に係るブラシユニットをブラシ台側から視た斜視図である。図2は、ブラシユニットの分解図である。図3は、本発明に係るブラシユニットを構成するブラシ体の斜視図であり、図4は、本発明に係るブラシユニットを構成する固定部材の斜視図である。これらの図を用いて本発明に係るブラシユニットについて以下に説明する。
【0017】
本発明に係るブラシユニット10は、複数の毛材1aが集束された毛材部1と、毛材部1の一方の端部に形成された基部2とを有し、毛材部1と基部2とが一体的に結合されたブラシ体3と、リング形状の基台部4と、基台部4の外周面から放射状に延びる腕部5、5・・とを有し、ブラシ体3を固定する固定部材6と、底板7と、側板8とを有するカップ形状のブラシ台9とを有している。尚、基台部4の形状は、リング形状の他に、円盤形状であってもよく、これも本発明に含まれる。
【0018】
固定部材6は、ブラシ台9と結合するものであって、隣り合う腕部5、5の対向する両側面に、連続する溝5cを有し、ブラシ体3の基部2は、固定部材6の腕部の溝5cとブラシ台の底板7との間に挟持されると共に、ブラシ台の側板8の内面8aと当接して、固定されている。これにより、ブラシ体を簡単に装着できると共に、毛材に負荷がかからず、毛材1aの切れや折れが発生し難くなり、製造時に毛材1aに与えるダメージを軽減させることができる。また、ブラシ体3の交換作業は、固定部材6に対してブラシ体3を着脱すればよいため、ブラシユニット10の外周側に十分なスペースがない場合においてもブラシユニット10を機器等に装着した状態でブラシ体3の交換作業を行うことができる。尚、シャフト14は、ブラシユニット10を回転装置等に装着する場合に使用されるものである。
【0019】
固定部材6とブラシ台9の結合は、固定手段であるねじ11がブラシ台の底板7に形成されている貫通孔7aに挿入された後、固定部材6の腕部5に形成されているねじ孔5dに螺合することによりなされる。貫通孔7aは、円盤形状の底板7を4分割する均等な位置であって、側板8の近傍に形成されている。また、ねじ孔5dは、固定部材6の8個の腕部5の中の対向する2組の腕部5であって、腕部の端面5a近傍の上面5bに形成されている。そして、固定部材の腕部5の端面5aは、ブラシ台の側板8の内面8aに当接している。これにより、固定部材6をブラシ台9に固定する際の位置決めを容易に行うことができる。また、固定部材6とブラシ台9との間に隙間が生じないため、ブラシ台9を強固に固定することができると共に、毛材1aの毛先が広がるのを防止することができる。尚、ねじ11を固定部材の腕部5側から取り付けるようにしてもよく、その場合には貫通孔7aは、ねじ孔に変更される。また、固定部材の腕部5とブラシ台の底板7のそれぞれ に貫通孔を形成し、一方側からねじ11を挿入し、他方側からナット(図示せず)を嵌めて、固定することもできる。
【0020】
ブラシユニット10は、側面視した際に、ブラシ台の側板8の高さは、固定部材の腕部5の溝5cより高く、固定部材の腕部5の上面5bを超えない高さとしている。これにより、ブラシ体の基部2をブラシ台の側板8で覆うことができ、ブラシ体3をブラシ台9に確実に固定することができる。また、ブラシ台の側板8の高さが低いため、ブラシ体3の交換作業時に、ブラシ体の基部2を固定部材の腕部5の溝5cに容易に挿入することができる。
【0021】
ブラシユニット10の使用時は、シャフト14を軸として回転又は回動し、ブラシ体3は外方に向かう遠心力が発生するが、ブラシ台の側壁8は底板7と一体的に形成されているため、側壁8の空回りや撓みが抑制され、ブラシ体3を強固に支えて、固定することができる。また、固定部材6に対してブラシ台9の材質を、より強度や剛性の高い材質とすることで、耐久性の高いブラシユニットを製造することができる。
【0022】
尚、毛材部1は、複数の毛材1aを集束させて形成されているが、毛材1aの断面形状は、特に限定するものではなく、円形であっても四角形であってもよい。また、直線状の毛材や波状の毛材を採用することができる。さらに、砥粒入りのナイロン毛材や金属毛材を採用する場合も本発明に含まれる。
【0023】
基部2は、毛材部1の底面から外側面の一部を覆うように連続して形成されている(図示せず)。また、基部2の上端面2aと溝の上面5eとが当接している。これにより、毛材部1の下端が直接、溝5cに当接することがないので毛材1aが切れるのを防止することができる。また、基部2の上端面2aと溝の上面5eとが当接していることから、外力を受けたブラシ体3がブラシ台9から外れるのを防止することができる。
【0024】
基部2は、毛材部1と同材質であって、溶融結合により毛材部1と一体的に形成されている。これにより、基部2に金属製金具を使用した場合と比較して軽量化が図られると共に、製造時及び廃棄時の工程を短縮することができ、コストを削減することができる。また、一体的に形成されているため、毛材1aの抜け及び折れを防止することができる。
【0025】
また基部2は、底面が台形形状であり、固定部材6の隣り合う腕部5、5の連続する溝5cは、腕部5の底面側に、基部2の短辺及び両側辺の外形と略同形状の溝が形成されている。従って、ブラシ体3を固定部材6に装着する際は、毛材部1を腕部5の上面5b側に向けた状態で、基部2を腕部5の先端側から挿入固定する方法と、基部2を腕部5の底面側から挿入固定する方法の、どちらも選択することができ、ブラシ体を簡単に装着できると共に、毛材に負荷がかからず、ブラシ体の交換作業を簡略化することができる。尚、本発明は、基部2の底面形状を特に限定するものではなく、円形や四角形であってもよい。
【0026】
図5は、ブラシ体を装着している状態を示す斜視図であり、ねじ11を調節することによって、固定部材6の底面がブラシ台9の底板7に当接していない状態(離れた状態)を示している。この状態では、腕部5の溝5cがブラシ台9の側板8よりも高い位置にあるので、ブラシ体3の基部2を、固定部材6の腕部5の先端側から溝5cに沿って挿入することができる。これにより、ブラシ体を簡単に装着できると共に、毛材に負荷がかからず、毛材1aの切れや折れが発生し難くなり、製造時に毛材1aに与えるダメージを軽減させることができる。また、ブラシ体3の交換作業は、固定部材6に対してブラシ体3を着脱すればよいため、ブラシ体3の交換作業を容易に行うことができる。
【0027】
また、固定部材6は、ブラシ台9の底板7から上方へスライド可能に固定手段であるねじ11にて固定されており、固定部材6をブラシ台9から離した状態で、ブラシ体3の基部2を固定部材の腕部5の溝5cに挿入できるので、ブラシ体3の交換作業を一層容易に行うことができる。
【0028】
図6は、本発明に係るブラシユニットの使用状態を示す斜視図である。ブラシユニット10は、矢印方向に回転してワーク12のバリ取り及び研磨を行うバリ取り研磨装置13に装着されている。ワーク12は、タイヤに設置されるホイールの例を示しており、回転するブラシユニット10によってワーク12の表面の研磨と角部のバリ取りがなされる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係るブラシユニットは、回転装置に取り付けてバリ取り研磨等の作業や、洗浄機械に取り付けて洗浄作業を行うために利用される。
【符号の説明】
【0030】
1 毛材部
1a 毛材
2 基部
2a 上端面
3 ブラシ体
4 基台部
5 腕部
5a 端面
5b 上面
5c 溝
5d ねじ孔
5e 溝の上面
6 固定部材
7 底板
7a 貫通孔
8 側板
8a 内面
9 ブラシ台
10 ブラシユニット
11 ねじ(固定手段)
12 ワーク
13 バリ取り研磨装置
14 シャフト
図1
図2
図3
図4
図5
図6