(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103835
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】服薬カレンダー及びこれに用いる吊下げ保持体
(51)【国際特許分類】
A61J 7/04 20060101AFI20220701BHJP
B42D 15/00 20060101ALI20220701BHJP
B42D 5/04 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
A61J7/04 A
B42D15/00 331E
B42D5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218720
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】719003396
【氏名又は名称】川村 典康
(72)【発明者】
【氏名】川村 典康
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047NN02
(57)【要約】
【課題】 服用したかどうかを容易に確認しながら薬を服用できる服薬カレンダーを提供すること。
【解決手段】 シート本体1と、薬剤を収容した薬分包b1を切断線b2を介して複数帯状に連続させた帯状分包体Bの上端部を保持するための吊下げ保持部4とを備えた服薬カレンダー。シート本体1の前面に、例えば「1」から始まる連続する7つの数字が上下方向に順に表示された表示部2が設けられている。吊下げ保持部4を用いて帯状分包体Bを吊り下げた状態では、吊り下げられた帯状分包体Bによりシート本体1の表示部が覆われ、帯状分包体Bの薬分包b1を下方から切り離して取り除くごとに、表示部2における取り除いた薬分包b1の下側の数字又は曜日文字が露呈する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体と、
薬剤を収容した薬分包を切断線を介して複数帯状に連続させた帯状分包体の上端部を保持して前記シート本体の前面側に吊り下げるための吊下げ保持部とを備え、
前記シート本体の前面に「1」から始まる連続する7つの数字、「a」から始まる連続する7つの記号、「一つ」から始まる連続する7つまでの個数又は1週間の曜日文字が上下方向に順に表示された表示部が設けられ、
前記吊下げ保持部を用いて前記帯状分包体を吊り下げた状態では、吊り下げられた前記帯状分包体により前記シート本体の前記表示部が覆われ、前記帯状分包体の前記薬分包を下方から切り離して取り除くごとに、前記表示部における取り除いた前記薬分包の下側の前記数字、前記記号、前記個数又は前記曜日文字が露呈することを特徴とする服薬カレンダー。
【請求項2】
前記シート本体の左右方向に、複数の表示部が並列に設けられ、前記複数の表示部の上側に薬の服用時間帯が表示されていることを特徴とする請求項1に記載の服薬カレンダー。
【請求項3】
前記シート本体の前記表示部に、薬を収容できるポケット部が設けてなることを特徴とする請求項1に記載の服薬カレンダー。
【請求項4】
前記吊下げ保持部は、前記シート本体に固定的に又は着脱自在に設けられたフック部と、前記フック部に着脱自在に装着されるホルダ部から構成され、前記ホルダ部が前記帯状分包体の上端部を保持することを特徴とする請求項1に記載の服薬カレンダー。
【請求項5】
シート本体と、
前記シート本体の前面に上下方向に間隔をおいてに設けられた、薬を収容するための複数のポケット部から構成された薬収容ポケット列部と、
薬剤を収容した薬分包を切断線を介して複数帯状に連続させた帯状分包体の上端部を保持して前記シート本体の前面側に吊り下げるための吊下げ保持部とを備え、
前記吊下げ保持部を用いて前記帯状分包体を吊り下げた状態では、吊り下げられた前記帯状分包体により前記シート本体の前記薬収容ポケット列部が覆われ、前記帯状分包体の前記薬分包を下方から切り離して取り除くごとに、前記薬収容ポケット列部における取り除いた前記薬分包の下側のポケット部が露呈することを特徴とする服薬カレンダー。
【請求項6】
前記吊下げ保持部が、前記シート本体の上端部に着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項5に記載の服薬カレンダー。
【請求項7】
前記吊下げ保持部は、前記シート本体に固定的に又は着脱自在に設けられたフック部と、前記フック部に着脱自在に装着されるホルダ部から構成され、前記ホルダ部が前記帯状分包体の上端部を保持することを特徴とする請求項5又は6に記載の服薬カレンダー。
【請求項8】
前記吊下げ保持部は、更に、前記フック部に対して前記ホルダ部を上下方向に位置調整自在に保持する位置調整手段を含んでいることを特徴とする請求項7に記載の服薬カレンダー。
【請求項9】
前記薬収容ポケット列部を有する前記シート本体が既存の服薬カレンダーでなることを特徴とする請求項5に記載の服薬カレンダー。
【請求項10】
請求項1又は請求項5の服薬カレンダーの吊下げ保持部として機能し、帯状分包体の上端部を保持してシート本体の前面側に吊り下げることを特徴とする吊下げ保持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調剤された薬剤を一包化した複数の薬分包を帯状に連続させた帯状分包体の服用を間違いなくでき、服用の確認を確実にできる服薬カレンダー及びこれに用いる吊下げ保持体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、薬局や医院では、薬剤を一包化した複数の薬分包を帯状に連続させた帯状分包体でもって患者に提供している。このような帯状分包体では、各薬分包間に切断線(切断破線)が設けられており、薬剤を服用する際には、長い帯状分包体から薬分包を切断線で一つ一つ切り離して服用している。
薬剤を服用するに当たって、高齢者では、例えば朝昼夕に一日3回服用するときなどにおいては服用を忘れやすく、また例えば薬包を切り離した状態で保管したときには服用する薬剤自体を間違えたりする問題がある。
そこで、帯状分包体から切り離した各薬分包を、カレンダー式に区分けしたボックスに仕分けできるようにした薬剤収容ボックスが実用化されているが、このような薬剤収容ボックスでは、比較的大きな置きスペースを必要とし、またその薬剤収容ボックス自体をひっくり返すおそれがあった。
また、このような薬剤収容ボックスに代えて、長い帯状分包体を折り畳んで詰めるようにした薬剤収容箱体も実用化されているが、このような薬剤収容箱体では、薬剤が潰れやすく、またカプセルの薬剤の場合には折り畳まれているため、取り出し口にひっかかって取り出しにくいなどの問題があった。
近年、薬の服用を容易にするために、カレンダー式の吊り下げタイプのもの(一般的に「服薬カレンダー」と称されている。)が幾種類販売されている。この服薬カレンダーの一例として、例えば色分けされた薬収納ポケットに薬を収納するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この服薬カレンダーでは、各薬収容ポケットに1回分のヒートの薬剤(錠剤・カプセル・粉薬など)を収納するため、服薬に際しての面倒臭い、分からないことによる飲み忘れや、服用の際の薬剤の間違いをかなり減らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような投薬カレンダーでは、その薬を収納するそれぞれの薬収容ポケットに、服用する薬剤の1回分を収納する手間がかかるものであり、またヒートの薬剤と薬包の薬剤をポケットに一緒に入れた場合は、これらの取り出しが容易でなく、取り出す際に薬剤自体を落とすことがあり、また薬剤の量が多くて入りきらないことも起こり、このようなことから薬剤の収容量が多くなるように工夫したダブルポケットタイプのものも提案されている。
【0005】
本発明の目的は、シンプルで使いやすい帯状分包体のよいところを活用して、服用する際に、間違いがなく確実に服用でき、服用した後に服用したか否かを確認することが容易にできる服薬カレンダーを提供することである。
本発明の他の目的は、服薬カレンダーに好都合に用いることができる吊下げ保持体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の服薬カレンダーは、シート本体と、薬剤を収容した薬分包を切断線を介して複数帯状に連続させた帯状分包体の上端部を保持して前記シート本体の前面側に吊り下げるための吊下げ保持部とを備え、前記シート本体の前面に「1」から始まる連続する7つの数字、「a」から始まる連続する7つの記号、「一つ」から始まる連続する7つまでの個数又は1週間の曜日文字が上下方向に順に表示された表示部が設けられ、前記吊下げ保持部を用いて前記帯状分包体を吊り下げた状態では、吊り下げられた前記帯状分包体により前記シート本体の前記表示部が覆われ、前記帯状分包体の前記薬分包を下方から切り離して取り除くごとに、前記表示部における取り除いた前記薬分包の下側の前記数字、前記記号、前記個数又は前記曜日文字が露呈することを特徴とする。
【0007】
本発明の他の服薬カレンダーは、シート本体と、前記シート本体の前面に上下方向に間隔をおいてに設けられた、薬を収容するための複数のポケット部から構成された薬収容ポケット列部と、薬剤を収容した薬分包を切断線を介して複数帯状に連続させた帯状分包体の上端部を保持して前記シート本体の前面側に吊り下げるための吊下げ保持部とを備え、前記吊下げ保持部を用いて前記帯状分包体を吊り下げた状態では、吊り下げられた前記帯状分包体により前記シート本体の前記薬収容ポケット列部が覆われ、前記帯状分包体の前記薬分包を下方から切り離して取り除くごとに、前記薬収容ポケット列部における取り除いた前記薬分包の下側のポケット部が露呈することを特徴とする。
また、本発明の吊下げ保持体は、請求項1又は請求項5の服薬カレンダーの吊下げ保持部として機能し、帯状分包体の上端部を保持してシート本体の前面側に吊り下げることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の服薬カレンダーによれば、シート本体の前面側に、例えば1週間分を切らずに帯状分包体を吊るすことが可能となり、薬分包がバラバラになるリスクをなくすことができるとともに、帯状分包体の下方の薬分包を切り離して薬を服用した後には、下側の表示部の一部が露呈することから、薬を服用したことが確実にわかり、残薬、飲み忘れの確認がしやすく、そして家族や介護の関係者などの周りの人に服用したかしていないかの確実に分かり、情報を共有できるという利点がある。
シート本体の表示部における1週間分の表示としては、「1」から始まる連続する7つの数字(例えば、アラビア数字、ローマ数字、漢数字など)、「a」から始まる連続する7つの記号、「一つ」から始まる連続する7つまでの個数又は1週間の曜日文字(例えば、日本語文字、英語文字など)を用いることができる。
このような服用カレンダーにおいて、例えば、吊り下げられた帯状分包体の上側に服用時間帯の表示を設けることにより、どの時間帯の薬を服用するのかが一目でわかるという利点がある。
【0009】
本発明の他の服薬カレンダーによれば、帯状分包体の下方の薬分包を切り離した際に、下側に隠れていたポケット部(服薬すべき薬剤が収容されている)が露呈されることから、薬分包以外の薬剤の飲み忘れがなく、薬を服用したことが確実にわかるという利点がある。
また、本発明の吊下げ保持体によれば、服薬カレンダーの吊下げ保持部として好都合に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1発明の服薬カレンダーの実施例を示す正面図である。
【
図2】第1発明の服薬カレンダーの実施例の斜視図である。
【
図3】第1発明の服薬カレンダーにおける他の実施例の吊下げ保持部のフック部の拡大斜視図である。
【
図4】第2発明の服薬カレンダーの実施例の正面図である。
【
図5】第2発明の服薬カレンダーの吊下げ保持部の拡大斜視図である。
【
図6】第1及び第2発明の服薬カレンダーに用いる他の実施例の吊下げ保持部の側面図である。
【
図7】
図6の実施例の吊下げ保持部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の服薬カレンダーの実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0012】
図1~3は、第1発明の服薬カレンダーの一実施例であり、
図1~
図3において、Aは服薬カレンダー、1はシート本体、2は表示部、3は数字表示部、4は吊下げ保持部、5は服用時間帯の表示部、6はポケット部、Bは帯状分包体、b1は薬分包、b2は切断線である。帯状分包体Bは、調剤された薬剤を一包化した薬分包b1、b1、・・・を帯状に連続して配置したものである。切断線b2は、薬分包b2同士を切り離すために、これら薬分包b1間に設けられ、例えばミシン目、薄肉線などで形成される。
【0013】
服薬カレンダーAは、例えば樹脂製の薄いシート本体1で形成されており、シート本体1は、持ち運びをよくするために折り畳むことや丸めることができる素材から形成するのが望ましく、紙製などであってもよい。シート本体1の表面(前面)には、
図1及び
図2に示すように、例えば「1」から始まる連続する7つの数字、換言すると「1」から「7」までの数字が上下方向に所定間隔において連続して順に表示した表示部2が設けられている。この実施例では、上から順に「1」から「7」までの数字を表示する数字表示部3であっても、反対に下から順に「1」から「7」までの数字を表示してもよい。これららの数字としては、一般的なアラビア数字(算用数字)、ローマ数字、漢数字などを用いることができる。
数字を表示する数字表示部3の代わりに、1週間の曜日文字、即ち「月火水木金土日」と「月」から始まるように各曜日文字を下から所定間隔において連続して順に表示してもよく、この曜日文字は「日月火水木金土」と「日」から始まるように各曜日の文字を下から順に表示するようにしてもよい。この曜日文字については、日本語の漢字表記に代えて、英語のアルファベット表記などであってもよい。また、各数字表示部3の数字表示(又は曜日表示)自体の色を変化させてもよく、色を変えることにより視認性をよくすることができる。
数字、曜日表示に代えて、例えば「a」から始まる連続する7つの記号、即ち「a」、「b」、「c」、「d」、「e」、「f」、「g」などであってもよく、或いは「一つ」から始まる7つまでの連続する個数、例えば星印(又は○印、◎印、□印など)を用いる場合、「一つの星印」、「二つの星印」、「三つの星印」、「四つの星印」、「五つの星印」、「六つの星印」、「七つの星印」などであってもよく、かかる場合、上から順に「a」(又は「一つの星印」)から「g」(又は「七つの星印))までの記号(又は個数)を表示するようにしてもよく、これとは反対に、下から順に「a」(又は「一つの星印」)から「g」(又は「七つの星印」)までの記号(又は個数)を表示するようにしてもよい。
【0014】
表示部2に表示されている数字表示部3の所定間隔は、帯状分包体Bの一つの薬分包b1の長さに対応する長さであるのが好ましい。薬分包b1に一包化する薬剤の量によりその長さを変更して、例えば、6cm、8cm、10cmなどの長さに合わして、それに対応する数字表示部3の所定間隔になる服薬カレンダーAを数種類作成すればよく、この場合、薬分包b1の長さに対応する数字表示部3を備えたシート本体1を選んで使用するようになる。
【0015】
シート本体1の表示部2の上方には、帯状分包体Bを吊り下げ保持するための吊下げ保持部4が設けられている。吊下げ保持部4にて、1週間分(7日分)の帯状分包体Bの上端部を保持することによって、帯状分包体Bが表示部2の前面側に吊下げられ、このように吊り下げた状態では、この帯状分包体Bは表示部2における1週間分の数字表示部3の全体を覆うようになる。そして、薬剤を服用する際に、帯状分包体Bの下方の薬分包b1を切り離すことによって、
図1に示すように、表示部2の一部(切り離した薬分包1bにより覆われていた数字表示部3)が前面側に露呈し、服薬者はこの表示部2の露呈した一部(露呈した数字表示部3)を容易に視認することができ、これによって、服用した薬剤が何曜日のいつの服用時間帯のものかを容易に知ることができる。
例えば、一日のうちの朝夕に服薬する場合において、火曜日の朝の服薬前においては、
図1から理解される如く、月曜日の朝夕に服薬していることから、シート本体1の表示部2の「7」の数字(表示部2の「7」は月曜日の服薬に対応する)が露呈している状態にある。このような状態において、火曜日の朝の服薬時に帯状分包体Bの下方の薬分包b1を切り離すと、
図1に示すように、表示部2の一部、即ち切り離した薬分包1bにより覆われていた「6」の数字表示部3が前面側に露呈し、服薬者は表示部3の露呈した数字表示部3を容易に視認することができ、この露呈状態を見ることによって、火曜日の朝の薬剤を服用したことを容易に知ることができる。
【0016】
図1及び2に示されるように、服薬カレンダーAのシート本体1の左右方向には、表示部2が複数並列に表示されて形成されており、各表示部2、2、・・の上側に服用時間帯の表示が可能となる服用時間帯の表示部5が設けられている。この服用時間帯の表示部5は、例えば、貼付シールに「あさ(朝)」、「ひる(昼)」、「ゆう(夕)」、「ねる前(就寝前)」などの服用する時間帯を表記し、その貼付シールを服用時間帯の表示部5に貼付することによって服用時間帯を表示することができる。服用すべき薬分包1bは、服用すべき時間帯の表示の下の表示部2の前面側を覆うように、その時間帯に服用する帯状分包体Bが吊下げ保持部4にて吊下げられるように使用される。
図1及び2の実施例では、表示部2は左右方向に4列であるが、必要に応じて2列(例えば、「あさ(朝)」及び「ゆう(夕)」)、又は3列(例えば、「あさ(朝)」、「ひる(昼)」及び「ゆう(夕)」)であってもよい。
なお、このような服薬カレンダーにおいては、服用する薬剤の時間帯が朝昼夕及び就寝前と4回となる場合には、
図2の実施例のごとく、4列の全てを使用すればよく、服用する薬剤が朝夕と2回になる場合には、
図1に示すように、4列のうちの2列を使用すればよい。そして、服用時間帯の表示部5は、使用者に応じて、ひらがなや、カタカナ、ピストグラムなどを使用することができる。
【0017】
シート本体1の表示部2には、更に、他の薬剤を収容できるポケット部6、6、・・・が各数字表示部3に表示された数字に対応して設けられている。例えば、一包化できない粉薬の分包を同時に服用する場合には、その分包をポケット部6収納することができ、また、ヒート薬剤を主にポケット部6に収容できることができ、ポケット部6への薬剤の補充がやりやすく、薬剤を落とすことが防げる。これらポケット部6は透明材料で形成するのが好ましく、透明にすることによって内部の収容物(薬剤)を外側から視認することができ、ポケット部6に収容された薬剤の服用忘れを防止することができる。
【0018】
シート本体1の表示部2の上方に形成されている吊下げ保持部4は、フック部41と、このフック部41に着脱自在になるホルダ部42とから構成されており、フック部41の係止部分にホルダ部42の孔を挿入して着脱自在に係止するものである。ホルダ部42には、吊下げる帯状分包体Bの上端部を挟んで保持する挟持保持部を有し、このような挟持保持部は、例えば、洗濯はさみのようなクリップやダブルクリップなどから構成することができる。
また、他の実施形態では、フック部41とホルダ部42とを磁石方式にて磁気的に着脱自在に取り付けられるようにしてもよい。なお、本実施例では、吊下げ保持部4のフック部41とホルダ部42が着脱自在であるが、一体に形成されてもよい。また、本実施例では、フック部41がシート本体1に固定的に設けられているが、このフック部41をシート本体に着脱自在に設けるようにしてもよい。
【0019】
図3に示されるように、他の実施例の吊下げ保持部4では、そのフック部41が折り畳み自在に構成されており、シート本体1を折り畳んだり、丸めたりして収納した状態で運ぶ際に、このフック部41を折り畳んで収納することにより、その取扱いが容易となる。このフック部41は、シート本体1に固定されるフック本体部41aと、ホルダ部42を係止する係止部41cとを備え、係止部41cの後端部が軸体41bを介してフック本体部41aに揺動自在に装着され、
図3にて上方に回動させることにより、この係止部41cを折り畳むことができ、収納ができるものである。
また、
図3に示すように、フック部41の係止部41cの断面形状を四角に形成し、ホルダ部42の係止孔も同様の四角形状にすることで、ホルダ部42にて吊下げられた帯状分包体Bが振り子状に揺れることがなく、使い勝手がよいものとなる。このフック部41の係止部41cの先端部には、係止したホルダ部42が外れないようにする突起部分が設けられている。
【0020】
図4及び5は、第2発明の服薬カレンダーの一実施例であり、図において、A1は服薬カレンダー、1はシート本体、4は吊下げ保持部、5は服用時間帯の表示部、6はポケット部、60は薬収容ポケット列部である。
【0021】
服薬カレンダーA1のシート本体1の表面には、上下方向に薬を収容するポケット部6、6、・・・が所定間隔に形成された薬収容ポケット列部60が形成されている。薬収容ポケット列部60は、シート本体1の左右方向に複数並列に形成されており、服用時間帯に対応するものである。
【0022】
シート本体1の上縁部1aには、吊下げ保持部4が、フック部41にて取り付け可能となっており、吊下げ保持部4のホルダ部42にて帯状分包体Bの上端部を保持して、1週間分(7日分)の帯状分包体Bが吊り下げ保持される。この吊り下げ保持された帯状分包体Bにて、シート本体1の薬収容ポケット列部60の全体が覆われ、薬を服用する際に、帯状分包体Bの下方の薬分包b1を切り離すことによって、
図4に示すように、薬収容ポケット列部60のポケット部6(切り離した薬分包b1の下側のポケット部)が露呈される。このように下側のポケット部6が露呈されるので、このポケット部6に収容されている薬剤が外側から見え、これによって、ポケット部6に収容された薬剤の飲み忘れを防止することができる。
【0023】
図5に示されるように、吊下げ保持部4は、フック部41とホルダ部42とから構成され、フック部41はシート本体1の上縁部1aを挟むクリップ部410が後面に設けられている。ホルダ部42は、帯状分包体Bの上端を挟む洗濯はさみ形状のクリップ部42aを備えており、バネ部42bの作用によって、帯状分包体Bを狭着可能となっている。
【0024】
この実施例では、フック部41とホルダ部42は上下方向に位置を調整可能に構成されている。フック部41の前面側には、複数の爪部を有するラチェット部43aが設けられ、このラチェット部43aが上下方向に延びている。また、ラチェット部43aに対して上下方向に移動される上下移動部43bには、ラチェット部43aに係止するバネ部43cが設けられ、バネ部43cをラチェット部43aの所望の爪部に係止させることにより、上下移動部材43b(換言すると、これに係止されるホルダ部42)の上下の位置を調整することができ、この例では、ラチェット部43a及び上下移動部材43bが、ホルダ部42の位置を調整する位置調整手段43を構成する。
この実施例では、上下移動部43bの前側に形成された係止孔43dに、ホルダ部42の後面側に形成された係止部42cを挿入して係止し、かく係止した状態で位置調整手段43にてフック部41に対してホルダ部42の上下方向に位置を調整し、このようにしてホルダ部42の位置をアジャストする。吊り下げ保持される位置を上下方向にアジャストできることで、帯状分包体Bが上下方向に位置調整することができ、これにより、多種の服薬カレンダーに対応して適用することができる。なお、実施例では、フック部41とホルダ部42とが別体として形成されているが、一体的に形成されてもよい。
【0025】
図4に示されるように、吊下げ保持部4のホルダ部42の表面に、服用時間帯の表示部5を表示してもよく、服用時間帯を確認して服用できるものである。また、マークや色分けすることで見やすくなる。
【0026】
なお、実施例では、吊下げ保持部4のフック部41がシート本体1に着脱自在に取り付けられるものであるが、フック部41をシート本体1に固定的に取り付けられるようにしてもよい。
【0027】
そして、服薬カレンダー1に着脱自在となる吊下げ保持部4の吊下げ保持体は、薬を収容するポケット部が所定間隔に設けられた薬収容ポケット列部を有する既存(市販)の服薬カレンダーに使用可能なものであり、特に、服薬カレンダーの上縁部を挟み付けて取り付けるタイプでは、種々のタイプの市販の服薬カレンダーに対応して適用することができる。すなわち、本発明の服薬カレンダーA1のシート本体1が市販されている既存の服薬カレンダーであってもよいものである。この場合に、既存の服薬カレンダーのポケット部の表面に、
図1及び
図2の実施例と同様に、「1」から始まる連続する7つの数字(すなわち、「1」~「7」の数字)、「a」から始まる連続する7つの記号(すなわち、「a」~「g」の記号)、「一つ」から始まる連続する7つまでの個数(すなわち、1~7までの個数)又は月火水木金土日の曜日文字(すなわち、「月」~「日」の曜日文字)が上下方向に所定間隔に連続して順に表示される表示部2を設けるようにしてもよく、或いはこれらの表示する貼付シールを、対応するポケット部に貼付するようにしてもよい。このように構成することにより、上述した実施例と同様の効果を奏するものとなる。
【0028】
図6及び7は、上述した服薬カレンダー(
図1及び
図2に示す形態のもの及び
図4に示す形態のもの)に適用可能な他の実施例における吊下げ保持部4を示している。吊下げ保持部4は、服薬カレンダーA(A1)に取り付けられるフック部41と帯状分包体Bを吊り下げるホルダ部42とから構成されており、ホルダ部42の前面側には、帯状分包体Bの上端を挟む洗濯はさみ形状のクリップ部42aが設けられており、クリップ部42aの両片を連結部4sにて回動自在に連結され、バネ部42bにて狭着可能となっている。ホルダ部42のクリップ部42aの反対側の後面側には、係止連結細部42dを介して長方形状の係止挿入部42cが設けられている。
フック部41には、ホルダ部42の係止挿入部42cを挿入係止するための長方形状の係止凹部41sが設けられており、前面側には開口部41tが設けられている。開口部41tには、ホルダ部42の係止挿入部42cをフック部41の係止凹部42sに挿入係止した際に係止連結細部42dが位置するものである。このような構成となっているので、ホルダ部42にて帯状分包体Bを吊り下げた状態において、吊下げられた帯状分包体Bの横振れをなくして安定的に吊り下げることができる。
【0029】
図6に示されるように、吊下げ保持部4のホルダ部41の裏面には接着体4aが設けられており、この接着体4aにて、服薬カレンダーA(A1)に接着固定して、吊下げ保持部4が服薬カレンダーA(A1)の上部に保持される。
【0030】
また、吊下げ保持部4の本体シート1への取付けは、上記実施例の接着体4aの代わりに、磁力を利用した磁石シートであってもよく、その場合には、吊下げ保持部4を保持させたい位置の裏面側に磁性体の鉄板保持補材4bを設け、前面側から磁石シート(4a)を有するホルダ部41を鉄板保持補材4bに磁気的に吸着させて、吊下げ保持部4を服薬カレンダーA(A1)の上部に保持させるようにしてもよい。
この実施例では、自由な位置に吊下げ保持部4を保持させることができるものであり、位置調整がよりやりやすくなる。また、市販の服薬カレンダーにも十分に対応させることが可能となる。更に、吊下げ保持部4の本体シート1への取り付けを、ホック式の形態のもので行うようにしてもよい。
【0031】
<使用方法>
図1~
図3に示す実施例の服薬カレンダーAを使用するには、シート本体1の上部に形成されている孔11、11に挿通されている紐10を壁などにあるフック(図示せず)などに引っ掛けて、壁に吊下げて使用するものである。次に、帯状分包体Bの上端部をホルダ部42にて挟んで、ホルダ部42を吊下げ保持部4のフック部41に係止し、吊下げ保持部4にて帯状分包体Bをシート本体1の表示部2の前面側に吊下げ保持する(表示部2は帯状分包体Bにて覆われて隠れる。)。
薬を服用する場合、服用する時間帯の列に吊り下げられた帯状分包体Bの一番下の薬分包b1を切り離して服用する。その際、薬分包b1が切り離されて表示部2の一部が前から取り除かれた状態となり、覆われていた表示部2の数字表示部3が露呈し、切り離された薬分包b1に対応する数字表示部3を視認することができる。そのため、服用した事実を服用した本人自身や家族などの周りの人が、服用しているかどうかを容易に確認することができる。このように、服用時点で服用したことを確認でき、非常にシンプルでアクションに障害が少ないため服用のアドヒアランス向上に好影響を与えるものである(アドヒアランスとは、患者の服用意欲、意識を向上することによる抜本的な服用頻度の向上をいう(意識的)。)。
そして、服用時点の頻度でいえば、朝夕食後の2回が多く、服用する時間帯が異なる場合により利用しやすい。特に、個人で自己管理が可能な比較的アクティブなユーザーに合わせることができる。
【0032】
図4及び
図5に示す実施例の服薬カレンダーA1を使用するには、上述したと同様に、紐10を壁などにあるフック(図示せず)などに引っ掛けて、吊下げて使用するものである。次に、帯状分包体Bの上端部を吊下げ保持部4のホルダ部42にて挟み、ホルダ部42を吊下げ保持部4のフック部41に係止し、吊下げ保持部4にて帯状分包体Bをシート本体1の薬収容ポケット列部60の前面側にこれらを隠すように吊り下げ保持する。
薬を服用する場合、帯状分包体Bの下方の薬分包b1を切り離すことによって、薬収容ポケット列部60のポケット部6(切り離した薬分包b1に対応するポケット部)が外側に露呈し、このポケット部6に収容された薬剤を容易に視認することができ、収容された薬剤を忘れずに服用できることになる。
【0033】
上述した服薬カレンダーの実施例についての利点は、次の通りである。
第1に、上述した実施例の服薬カレンダーを用いれば、服薬カレンダーに帯状分包体を吊るす部分を作り、1週間分を切らずに帯状分包体を吊るすことでき、薬包自体がバラバラになるリスクを軽減できる。
第2に、薬剤が入れた薬袋をそのまま保管しようとしたときには、その置き場所が固定されず、薬袋を探したり、薬を飲み忘れたりする頻度が高くなるおそれがあるが、上述した実施例の服薬カレンダーを用いれば、壁などに必要に応じて吊下げることができ、飲み忘れや、億劫さが減りコンプライアンスならびにアドヒアランスの向上に好影響となる(コンプラインスとは、単純に服用の頻度が落ちないことをいう(機械的)。)。
第3に、上述した実施例の服薬カレンダーを用いれば、飲み忘れに気づき、服用時点で服用したか否かをすぐに確認できる。また、飲み忘れた際は、気づいた時点でその薬包を取り外し、残薬として集め、次回薬局に持って行くことで調整可能となる。
第4に、上述した実施例の服薬カレンダーを用いれば、調剤する薬局側のメリットとして、繰返し分包(朝昼夕食後就寝前など)で繰り返し服用するものであるため、調剤のしやすさと調剤過誤の機会を減少させることができ、数の確認もしやすくなる。薬分包に日付を印刷するより、曜日や数字を印刷したほうが、飲み忘れの薬剤を使い回ししやすくなり、また調剤する薬局側は7日分ずつセットすればよく、充填の手間が省け、充填の負担が軽減でき、充填時間も早くなる。
第5に、上述した実施例の服薬カレンダーを用いれば、既存の服薬カレンダーにも1週間分を切らずに帯状分包体を吊るすことができる吊下げ保持部を用いることにより、既存の服薬カレンダーをより幅広い服薬のパターンに対応させることできる。
第6に、上述した実施例の服薬カレンダーを用いれば、薬収容ポケット列部60のポケット部6に帯状分包体に分包できない薬剤を収容でき、服薬の利便性を高めることができる。
【符号の説明】
【0034】
A,A1 服薬カレンダー
1 シート本体
2 表示部
3 数字表示部(曜日文字表示部)
4 吊下げ保持部
41 フック部
42 ホルダ部
5 服用時間帯の表示部
6 ポケット部
60 薬収容ポケット列部
B 帯状分包体
b1 薬包
b2 切断線