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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103886
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】電気自動車及び運行方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20220701BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20220701BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20220701BHJP
   B60L 53/64 20190101ALI20220701BHJP
   B60L 53/63 20190101ALI20220701BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q50/30
G06Q50/20
B60L53/64
B60L53/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218786
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000164438
【氏名又は名称】九州電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000164391
【氏名又は名称】九電テクノシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 良一
(72)【発明者】
【氏名】立崎 雅和
(72)【発明者】
【氏名】中西 一男
(72)【発明者】
【氏名】野田 玄治
(72)【発明者】
【氏名】藤本 享平
(72)【発明者】
【氏名】三壷 一俊
【テーマコード(参考)】
5H125
5L049
【Fターム(参考)】
5H125AA03
5H125AC11
5H125AC22
5H125BC24
5H125BE02
5H125CD10
5H125DD02
5L049CC06
5L049CC34
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】 スクールバスの新たな活用に適した電気自動車等を提案する。
【解決手段】 スクールバス7は、学校施設9を利用する学習者のスクールバスであり、電気自動車である。スクールバス7は、電力を蓄電する蓄電部33と、制御部29を備える。校外施設11は、学習者が学習に利用する施設である。蓄電部33は、制御部29の制御のもとで、校外施設11に対して蓄電された電力を供給して、校外施設11の電力料金の上昇を抑制する。また、スクールバス7は、余剰電力対策として利用したり、地域バスとして運行したりしてもよい。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学校施設を利用する学習者のスクールバスとして使用される電気自動車であって、
電力を蓄電する蓄電部と、制御部を備え、
前記制御部は、前記蓄電部に蓄電された電力を、前記学校施設に供給するとともに、前記学校施設とは異なる校外施設に供給する、電気自動車。
【請求項2】
前記校外施設は、前記学習者が学習活動において使用するものであり、
前記制御部は、前記蓄電部に蓄電された電力を、前記学習者が前記校外施設を利用した学習活動を行っている前記校外施設に供給する、請求項1記載の電気自動車。
【請求項3】
前記制御部は、前記校外施設の消費電力予測量による電気料金予測値に対して、前記校外施設の電気料金予測値が上昇しない範囲で前記校外施設を利用して前記蓄電部に電力を蓄電し、及び/又は、前記校外施設の電気料金予測値が上昇しないように前記蓄電部に蓄電された電力を前記校外施設に供給する、請求項1又は2に記載の電気自動車。
【請求項4】
前記制御部は、前記校外施設において予測される消費電力が目標消費電力を超えない範囲で前記校外施設を利用して前記蓄電部に電力を蓄電し、及び/又は、前記校外施設において予測される消費電力が目標消費電力を超えないように前記校外施設に対して前記蓄電部から前記校外施設に電力を供給する、請求項1又は2に記載の電気自動車。
【請求項5】
前記制御部は、系統において余剰電力が生じることが予測される時間帯に、前記学校施設及び/又は前記校外施設を利用して系統から前記蓄電部に電力を蓄電する、請求項1から4のいずれかに記載の電気自動車。
【請求項6】
前記学習者が当該電気自動車により移動しないことが予測される時間帯の少なくとも一部において、地域バスとして運行される、請求項1から5のいずれかに記載の電気自動車。
【請求項7】
学校施設を利用する学習者のスクールバスとして使用される電気自動車の運行方法であって、
前記電気自動車は、電力を蓄電する蓄電部と、制御部を備え、
前記制御部が、前記蓄電部に蓄電された電力を、前記学校施設に供給するとともに前記学校施設とは異なる校外施設に供給する供給ステップを含む運行方法。
【請求項8】
運行システムが備えるスケジュール決定部が、前記学習者の学習時間割を用いて前記学習者が前記校外施設を利用した学習活動を行う時間帯を特定して、前記電気自動車が前記校外施設に電力を供給する時間帯を決定するスケジュール決定ステップを含み、
前記供給ステップにおいて、前記スケジュール決定部が決定した時間帯を利用して、前記制御部が、前記蓄電部に蓄電された電力を、前記学習者が前記校外施設を利用した学習活動を行っている前記校外施設に供給する、請求項7記載の運行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電気自動車及び運行方法に関し、特に、学校施設を利用する学習者のスクールバスとして使用される電気自動車等に関する。
【背景技術】
【0002】
スクールバスは、園児・児童・生徒・学生などの通園・通学などを目的として運行されるバスである。例えば、学校・自治体などが自家用バスとして運行したり、バス事業者・タクシー事業者に委託して特定バスとして運行したりしている。特許文献1には、スクールバスによる通学などのサービス向上が提案されている。
【0003】
また、特許文献2及び3に記載されているように、電気自動車が集合住宅などとの間で充放電することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4351919号公報
【特許文献2】特許第6202674号公報
【特許文献3】特開2012-135152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、通学などにおいてスクールバスを使用することに着目するものであって、それ以外の時間帯で活用するものではない。
【0006】
また、特許文献2及び3は、集合住宅などとの間で充放電を行うときに、住民らの使用を制限するものである。スクールバスは使用目的が定まっており、使用目的に従った使用を制限することは困難である。
【0007】
そこで、本願発明は、スクールバスの新たな活用に適した電気自動車等を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の第1の観点は、学校施設を利用する学習者のスクールバスとして使用される電気自動車であって、電力を蓄電する蓄電部と、制御部を備え、前記制御部は、前記蓄電部に蓄電された電力を、前記学校施設に供給するとともに、前記学校施設とは異なる校外施設に供給する。
【0009】
本願発明の第2の観点は、第1の観点の電気自動車であって、前記校外施設は、前記学習者が学習活動において使用するものであり、前記制御部は、前記蓄電部に蓄電された電力を、前記学習者が前記校外施設を利用した学習活動を行っている前記校外施設に供給する。
【0010】
本願発明の第3の観点は、第1又は第2の観点の電気自動車であって、前記制御部は、前記校外施設の消費電力予測量による電気料金予測値に対して、前記校外施設の電気料金予測値が上昇しない範囲で前記校外施設を利用して前記蓄電部に電力を蓄電し、及び/又は、前記校外施設の電気料金予測値が上昇しないように前記蓄電部に蓄電された電力を前記校外施設に供給する。
【0011】
本願発明の第4の観点は、第1又は第2の観点の電気自動車であって、前記制御部は、前記校外施設において予測される消費電力が目標消費電力を超えない範囲で前記校外施設を利用して前記蓄電部に電力を蓄電し、及び/又は、前記校外施設において予測される消費電力が目標消費電力を超えないように前記校外施設に対して前記蓄電部から前記校外施設に電力を供給する。
【0012】
本願発明の第5の観点は、第1から第4のいずれかの観点の電気自動車であって、前記制御部は、系統において余剰電力が生じることが予測される時間帯に、前記学校施設及び/又は前記校外施設を利用して系統から前記蓄電部に電力を蓄電する。
【0013】
本願発明の第6の観点は、第1から第5のいずれかの観点の電気自動車であって、前記学習者が当該電気自動車により移動しないことが予測される時間帯の少なくとも一部において、地域バスとして運行される。
【0014】
本願発明の第7の観点は、学校施設を利用する学習者のスクールバスとして使用される電気自動車の運行方法であって、前記電気自動車は、電力を蓄電する蓄電部と、制御部を備え、前記制御部が、前記蓄電部に蓄電された電力を、前記学校施設に供給するとともに前記学校施設とは異なる校外施設に供給する供給ステップを含む。
【0015】
本願発明の第8の観点は、第7の観点の運行方法であって、運行システムが備えるスケジュール決定部が、前記学習者の学習時間割を用いて前記学習者が前記校外施設を利用した学習活動を行う時間帯を特定して、前記電気自動車が前記校外施設に電力を供給する時間帯を決定するスケジュール決定ステップを含み、前記供給ステップにおいて、前記スケジュール決定部が決定した時間帯を利用して、前記制御部が、前記蓄電部に蓄電された電力を、前記学習者が前記校外施設を利用した学習活動を行っている前記校外施設に供給する。
【0016】
なお、本願発明を、蓄電部に蓄電する時間帯及び蓄電部から電力を供給する時間帯を決定するスケジュール決定手段を備える運行計画サーバとして捉えてもよい。また、コンピュータにおいて本願発明の各観点などを実現するためのプログラムとして捉えてもよく、このプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体として捉えてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本願発明の各観点によれば、スクールバスを電気自動車として、蓄電された電力を学校施設及び校外施設に供給する。例えば、学習者に対して、スクールバスとして移動サービスを提供するとともに、電力供給のサービスも提供することができる。ここで、学校施設と校外施設とは、例えば電力の契約単位などによって区別することができる。例えば校外施設の電力契約の契約主体が学校を運営している運営主体とは異なる場合などである。
【0018】
さらに、本願発明は、電力需要に対して電力供給が多くなる場合の余剰電力対策にも使用できる。また、本願発明は、スクールバスとして使用しない時間帯に、地域バスとして使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本願の発明の実施の形態に係る運行システム1の構成の一例を示すブロック図である。
図2図1の運行システム1の動作の一例を示すフロー図である。
図3図1の運行システム1により決定される運行スケジュールの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、図面を参照して、本願発明の実施例について説明する。なお、本願発明は、この実施例に限定されるものではない。
【実施例0021】
図1は、本願の発明の実施の形態に係る運行システム1の構成の一例を示すブロック図である。図1を参照して、運行システム1の構成の一例を説明する。
【0022】
運行システム1は、運行計画サーバ3と、地域バス運行サーバ5と、スクールバス7(本願発明の「電気自動車」の一例)と、学校施設9(本願発明の「学校施設」の一例)と、学校サーバ10と、校外施設11(本願発明の「校外施設」の一例)と、校外サーバ12と、電力サーバ13を備える。
【0023】
運行計画サーバ3は、運行計画通信部15と、時間帯分析部17と、電力分析部19と、スケジュール決定部21を備える。
【0024】
地域バス運行サーバ5は、地域バス通信部23と、地域バス運行決定部25を備える。
【0025】
スクールバス7は、バス通信部27と、制御部29(本願発明の「制御部」の一例)と、スケジュール記憶部31と、蓄電部33(本願発明の「蓄電部」の一例)と、駆動部35と、車体接続部37を備える。
【0026】
学校施設9は、校内負荷部39と、校内接続部41と、校内充放電部43を備える。学校サーバ10は、学校通信部45と、学校情報記憶部47と、学校電力記憶部49を備える。
【0027】
校外施設11は、校外負荷部51と、校外接続部53と、校外充放電部55を備える。校外サーバ12は、校外通信部57と、校外電力記憶部59を備える。
【0028】
電力サーバ13は、電力通信部61と、需給分析部63を備える。
【0029】
学校施設9は、例えば、学校教育法1条の学校(小学校・中学校など)・幼稚園・保育園などの教育において中核的に使用される施設である。校外施設11は、学校施設9とは異なる建築物や設備であり、学校施設9を利用する学習者が学習活動において使用する。例えば小学校で歌唱の発表を行うときに使用する市民文化センターのホールなどである。学校施設9と校外施設11は、例えば、学校施設9は学校の運営主体が電力の契約を行うものであり、校外施設11は運営主体以外の者が電力の契約を行うものであるにより、区別することができる。
【0030】
学校施設9と校外施設11には、電力会社が管理する系統から電力が供給されており、契約電力が定められている。例えば実量制契約方式を採用して1年間の各月での最大需要電力を基準として契約電力を定める場合、ある月で極端に需要電力が多くなると、その後の1年間、需要電力が少なくても、ピークとなる月の契約電力により料金が定められてしまう。そのため、1年間を通じて需要電力が平均的に使用することが望ましい。
【0031】
スクールバス7は、電気自動車であり、学校施設9を利用する学習者の通学(登校・登園、下校など)を目的として運行されるバスである。
【0032】
図2は、図1の運行システム1の動作の一例を示すフロー図である。図2を参照して、図1の運行システム1の動作の一例を説明する。
【0033】
学校サーバ10では、学校情報記憶部47は、教師が作成した授業の時間割を示す時間割データを記憶する(ステップST1)。ここで、時間割には、授業が行われる時間帯を特定する情報と、授業が行われる場所が校内か校外かを示す情報と、校外で授業が行われる場所と移動にスクールバスを使用するか否かを示す情報が含まれている。
【0034】
学校通信部45は、時間割データを運行計画サーバ3に送信する。時間帯分析部17は、時間割データを用いて、スクールバスを使用する登校時間帯と、スクールバスを使用する下校時間帯を特定する。また、校外で授業が行われる場合に、スクールバスを使用するならば、その移動に使用する学校活動移動時間帯を特定する。その他の時間を第1待機時間帯とする(ステップST2)。なお、第1待機時間帯は、例えば、スクールバス7が、学校施設9の校内充放電部43及び/又は校外施設11の校外充放電部55に接続できる時間帯として捉えてもよい。
【0035】
電力分析部19は、時間割データにおける学習者の学習活動による消費電力を分析する(ステップST3)。消費電力は、例えば、昨年度に同様の学習活動が行われているならば、これを利用して予測することができる。また、初めての学習活動であれば、類似の学習活動による消費電力を利用して予測することができる。類似のものもなければ、運行計画サーバ3において設定された値を利用すればよい。
【0036】
学校サーバ10において、学校電力記憶部49には学校施設9の契約電力が記憶されている。運行計画通信部15は、学校通信部45に依頼して、学校電力記憶部49が記憶する学校施設9の契約条件や通常の電力使用状態などを収集する(ステップST4)。また、校外サーバ12において、校外電力記憶部59には校外施設11の契約電力が記憶されている。運行計画通信部15は、時間割データに校外施設11を利用することが含まれているか否かを判断して(ステップST5)、含まれているならば、校外通信部57に依頼して、校外電力記憶部59が記憶する学校施設9の契約条件や通常の電力使用状態などを収集し(ステップST6)、ステップST7に進む。含まれていないならば、ステップST7に進む。
【0037】
なお、学校サーバ10及び校外サーバ12の各部の一部又は全部は、例えば使用電力を計測するメータなどによって実現してもよい。また、以前に収集した情報をそのまま活用できるのであれば、その情報を利用してもよい。
【0038】
ステップST7において、スケジュール決定部21は、電力分析部19が分析した各時間帯での消費電力によって、各時間帯で授業が行われる学校施設9・校外施設11の電気料金が高くなるか否かを判断して、スクールバスから電力を供給するか否かを判断する。スクールバスから電力を供給するならば、電力を供給する電力供給時間帯を決定し(ステップST8)、ステップST9に進む。スクールバスから電力を供給しないならばステップST9に進む。例えば授業での消費電力が契約電力を超えることが予測される時間帯があるならば、スクールバスから電力を供給して、施設の契約電力を超えないようにする。例えば実量制契約方式を採用して1年間の各月での最大需要電力を基準として契約電力を定める場合に、最大需要電力を利用して目標消費電力量を決定し、目標消費電力量を超えることが予測されるならば、学校施設9及び/又は校外施設11に対して蓄電部33から電力を供給する。
【0039】
電力サーバ13は、通常、系統を管理して電力を供給する電力会社によって管理されている。電力サーバ13では、需給分析部63は、電力供給量と電力需要量を予測して、需給のバランスを制御できる時間帯と、そうでない時間帯を分析する。
【0040】
ステップST9において、運行計画通信部15は、電力通信部61に依頼して、電力供給量の調整が困難である時間帯に、電力供給量に対して電力需要量が少なくなって余剰電力が生じる余剰時間帯を特定する余剰時間帯データを収集する。
【0041】
スケジュール決定部21は、スクールバス7の第1待機時間帯において、余剰時間帯が存在するか否かを判断する(ステップST10)。第1待機時間帯と余剰電力時間帯が重なるならば、重なる時間帯を、余剰電力の一部を蓄電する余剰電力蓄電時間帯として特定し(ステップST11)、ステップST12に進む。重ならないならば、ステップST12に進む。
【0042】
ステップST12において、運行計画通信部15は、地域バス運行サーバ5に、第1待機時間帯から電力供給時間帯と余剰電力蓄電時間帯を除いた第2待機時間帯を特定する情報を送信する。地域バス運行サーバ5は、地域バスを運営する運営主体が管理するサーバである。地域バス運行決定部25は、第2待機時間帯において地域バスとして使用する地域バス時間帯を決定する。地域バス運行決定部25は、地域バス時間帯において運行するルートなどの運行計画を決定する(ステップST13)。地域バス通信部23は、地域バス時間帯を特定する情報を運行計画サーバ3に送信する。
【0043】
ここで、地域バスは、地域住民の移動手段を確保するために運行するバスである。例えば、コミュニティバス(例えばコミュニティバスの導入に関するガイドライン参照)などであり、通常、従来の路線バスを補う公共交通サービスとして運行されている。
【0044】
スケジュール決定部21は、第2待機時間帯から地域バス時間帯を除いた時間帯を第3待機時間帯とする。電力分析部19は、登校時間帯、下校時間帯、学校活動移動時間帯、電力供給時間帯、余剰電力蓄電時間帯、及び、地域バス時間帯においてスクールバスが消費したり充電したりする電力を分析する。スケジュール決定部21は、使用電力の分析結果を利用して、第3待機時間帯においてスクールバスの蓄電部33に充電する待機蓄電時間帯を特定する(ステップST14)。
【0045】
スケジュール決定部21は、例えば人員の配置などを含めて各時間帯でのスケジュールを仮に決定し、仮運行スケジュールを決定する(ステップST15)。
【0046】
スケジュール決定部21は、教師らから、スケジュールの修正の依頼があったか否かを判断する(ステップST16)。依頼があれば仮運行スケジュールを調整し(ステップST17)、ステップST18に進む。依頼がないのであれば、ステップST18に進む。ステップST18では、最終的に決定する時刻となったか否かを判断し、最終的に決定する時刻になっていなければステップST16に戻る。最終的に決定する時刻になったならば、仮運行スケジュールを運行スケジュールとして決定する(ステップST19)。スケジュール決定部21は、運行スケジュールにおいて蓄電部33の充放電に関する時間帯を特定して充放電スケジュールとする。運行計画通信部15は、スクールバスに対して、充放電スケジュールを送信する(ステップST20)。
【0047】
ステップST21において、スクールバス7において、バス通信部27は、受信した充放電スケジュールをスケジュール記憶部31に記憶する。
【0048】
制御部29は、スクールバス7の運転手の指示に従い、蓄電部33に蓄電された電力を利用して駆動部35によりスクールバス7を移動させて、バスとして機能させる。
【0049】
スクールバス7は、学校施設9に到着すると、車体接続部37と、学校施設9の校内接続部41とを接続する。接続は、有線であっても無線であってもよい。制御部29は、校内充放電部43を利用して、充放電スケジュールに従って、学校施設9の校内負荷部39に蓄電部33に蓄電される電力を供給したり、系統から電力供給を受けて蓄電部33に充電したりする。
【0050】
同様に、スクールバス7は、校外施設11に到着すると、車体接続部37と、校外施設11の校外接続部53とを接続する。接続は、有線であっても無線であってもよい。制御部29は、校外充放電部55を利用して、充放電スケジュールに従って、校外施設11の校外負荷部51に蓄電部33に蓄電される電力を供給したり、系統から電力供給を受けて蓄電部33に充電したりする。
【0051】
なお、移動に時間がかかり、充放電スケジュールに従って充放電処理を行うことができない場合には、制御部29は、時間帯や充放電量を変更するなどして対応する。
【0052】
図3は、図1の運行システム1により決定される運行スケジュールの一例を示す図である。
【0053】
図3(a)は、学校情報記憶部47に記憶された時間割データの一例である。学習活動が行われる時間帯と、学習活動が学校施設9で行われるか(校内、符号101、103、105、107、109)、校外施設11で行われるか(校外、符号111)が特定されている。校外で行う場合には、スクールバスを使用するか否かと、校外施設11の場所が特定されている。図3(a)では、校外活動は部活動であり、特定の部に属しない学習者はその前に下校する。部活動に参加している者は、スクールバス7を用いて校外施設11に移動する。
【0054】
図3(b)は、時間帯分析部17により分析された時間帯の一例である。登校時間帯113と、下校時間帯115と、校外施設11との移動時間帯117及び119が追加されている。その他の時間帯121、123、125、127は、第1待機時間帯である。
【0055】
図3(c)は、スクールバス7が移動している移動時間帯の一例である。登校時間帯129は、移動時間帯129とする。下校時間帯115と移動時間帯117は移動している状態が連続するため、併せて移動時間帯131とする。移動時間帯119は、移動時間帯133とする。
【0056】
図3(d)は、スクールバス7が学校施設9及び校外施設11との間で充放電を行う時間帯の一例である。スケジュール決定部21は、電力分析部19による消費電力の分析を用いて、スクールバス7から学校施設9及び校外施設11に電力を供給する供給時間帯を特定する。登校直後に一時的に空調を強く動作させて、学校施設9の契約電力を超えるリスクが予想されるため、時間帯135に学校施設9に電力を供給する(供給時間帯135)。また、校外活動の時間帯111における学習活動で多くの電力を使用して、この時間帯に校外施設11の契約電力を超えるリスクが予想されるため、時間帯111に学校施設9に電力を供給する(供給時間帯137)。また、電力サーバ13から余剰電力が生じるリスクがある時間帯では、学校施設9における待機時間帯であったとする。この場合に、学校施設9の消費電力が契約電力よりも少ないことを確認して、この時間帯を、余剰電力を蓄電部33に充電する余剰電力充電時間帯139とする。
【0057】
図3(e)は、スクールバス7を地域バスとして運行する時間帯を示す。運行計画サーバ3は、地域バス運行サーバ5に対して、図3(d)の待機時間帯を特定するデータを送信する。地域バス運行サーバ5は、待機時間帯において地域バスを運行する時間帯141と、地域バスの運行計画を決定する。地域バス通信部23は、地域バスを運行する時間帯141と運行計画を運行計画サーバ3に送信する。
【0058】
図3(f)は、一日に使用する電力を考慮して、事前に充電する時間帯を示す。電力分析部19は、地域バスの運行計画を利用して、地域バスを運行する時間帯141での消費電力を分析する。スケジュール決定部21は、事前に充電する充電量を決定し、充電時間帯143を決定する。
【0059】
図3(g)は、充放電スケジュールの一例を示す。スケジュール決定部21は、図3(f)から充電と放電を行う時間帯を抽出し、充放電スケジュールとする。運行計画通信部15は、スクールバス7に充放電スケジュールを送信する。スクールバス7の制御部29は、充放電スケジュールに従い、蓄電部33の充放電を行う。
【0060】
なお、余剰電力を充電するのは、スクールバス7が学校施設9に接続しているときでもよく、スクールバス7が校外施設11に接続しているときでもよい。
【0061】
従来は、例えば学習活動で地区体育館を利用する場合に、学習活動で多くの電力を使用するときには、地区体育館では、これを想定して年間の契約電力量を増やしておく必要があった。そうすると、通常の電力使用では必要ない部分について余分な費用負担が生じる可能性があった。本願発明によれば、スクールバスが学習者と共に移動するものであることに着目し、学習者が使用する電力を学習者の移動に併せて学校側(スクールバス)から提供することができる。そのため、地区体育館などでは、学習者の使用による短期的な電力消費の増加のために、契約電力を余分に増加させる必要がなくなる。なお、学校施設及び/又は校外施設との間での充放電量は、例えば、学校施設及び/又は校外施設の電力契約に従い、瞬時電力を基準に決定してもよく、所定期間の電力量を基準に決定することができる。
【0062】
学習活動で使用される校外施設は、公的機関が管理するものであることが多く、災害時の避難所として使用される可能性が高い。本願発明により、校外施設に対して外部から電力供給がしやすくなり、災害時の停電対応などが容易になる。また、スクールバスから学校施設に電力を供給してもよい(図3の供給時間帯135参照)。近時、例えば学校施設に空調施設が導入され、夏と冬には電力消費が多く、春と秋には少なくなる傾向にある。そうすると、学校施設の契約電力は、ピークに合わせたものとなる。スクールバスによりピーク時に学校施設に対して電力を供給することにより、ピーク時に系統から学校施設に供給される電力量を減少させることができ、使用電力量の変動を抑えて、契約電力量を必要な量にすることができる。
【0063】
また、夏休みなどでは、スクールバスを活用する頻度は少ない。他方、太陽光発電などの電力会社が出力を制御できない電力供給が増加するために余剰電力が生じる可能性が高い。本願発明では、スクールバスにより余剰電力を蓄電して余剰電力対策を行うことができる。
【0064】
このように、本願発明のスクールバスを導入することにより、学校施設に対しても校外施設に対しても大きなメリットがある。
【符号の説明】
【0065】
1 運行システム、3 運行計画サーバ、5 地域バス運行サーバ、7 スクールバス、9 学校施設、10 学校サーバ、11 校外施設、12 校外サーバ、13 電力サーバ、15 運行計画通信部、17 時間帯分析部、19 電力分析部、21 スケジュール決定部、23 地域バス通信部、25 地域バス運行決定部、27 バス通信部、29 制御部、31 スケジュール記憶部、33 蓄電部、35 駆動部、37 車体接続部、39 校内負荷部、41 校内接続部、43 校内充放電部、45 学校通信部、47 学校情報記憶部、49 学校電力記憶部、51 校外負荷部、53 校外接続部、55 校外充放電部、57 校外通信部、59 校外電力記憶部、61 電力通信部、63 需給分析部、101,103,105,107,109 学習活動が学校施設で行われる時間帯、111 学習活動が校外施設で行われる時間帯、113 登校時間帯、115 下校時間帯、117,119,129,131,133,145 移動時間帯、121,123,125,127 第1待機時間帯、135,137 供給時間帯、139 余剰電力充電時間帯、141 地域バス運行時間帯、143 充電時間帯
図1
図2
図3