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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010390
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】調光装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/133 20060101AFI20220106BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
G02F1/133 570
G02F1/13 505
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187781
(22)【出願日】2021-11-18
(62)【分割の表示】P 2017113443の分割
【原出願日】2017-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洋
【テーマコード(参考)】
2H088
2H193
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088GA10
2H088HA02
2H088HA06
2H088MA04
2H193ZA27
2H193ZC01
2H193ZE01
2H193ZH46
2H193ZH53
2H193ZQ13
2H193ZR18
(57)【要約】
【課題】 色ムラ及びフリッカーを低減する。
【解決手段】 調光装置は、基材20、21と、基材20上に平面状に設けられた電極22と、基材21上に平面状に設けられた電極23と、電極22、23間に充填されかつ高分子分散型又はポリマーネットワーク型の液晶層24と、電極22、23に電気的に接続された端子T1、T2とを含む調光素子11と、正側電圧波形と、正側電圧波形と極性が異なる負側電圧波形とを生成する波形発生回路12Bと、正側電圧波形に基づいて、端子T1に第1駆動電圧を印加する電力増幅器12Cと、負側電圧波形に基づいて、端子T2に第2駆動電圧を印加する電力増幅器12Dとを含む。
【選択図】 図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2基材と、前記第1基材上に平面状に設けられた第1電極と、前記第2基材上に平面状に設けられた第2電極と、前記第1及び第2電極間に充填されかつ高分子分散型又はポリマーネットワーク型の液晶層と、前記第1及び第2電極に電気的に接続された第1及び第2端子とを含む調光素子と、
正側電圧波形と、前記正側電圧波形と極性が異なる負側電圧波形とを生成する波形発生回路と、
前記正側電圧波形に基づいて、前記第1端子に第1駆動電圧を印加する第1電力増幅器と、
前記負側電圧波形に基づいて、前記第2端子に第2駆動電圧を印加する第2電力増幅器と、
を具備し、
前記第1駆動電圧は、第1期間において第1電圧に設定され、前記第1期間に続く第2期間において前記第1電圧より低い第2電圧に設定され、前記第2期間に続く第3期間において前記第2電圧より低い第3電圧に設定され、前記第3期間に続く第4期間において前記第2電圧より低くかつ前記第3電圧より高い第4電圧に設定され、
前記第2駆動電圧は、前記第1期間において前記第3電圧に設定され、前記第2期間において前記第4電圧に設定され、前記第3期間において前記第1電圧に設定され、前記第4期間において前記第2電圧に設定され、
前記第1電圧と前記第3電圧との電圧差は、前記調光素子の耐圧より小さい
調光装置。
【請求項2】
前記第2電圧と前記第4電圧との電圧差は、前記調光素子の飽和電圧以下である
請求項1に記載の調光装置。
【請求項3】
前記第2電圧と前記第4電圧との電圧差は、前記液晶層の閾値電圧以上である
請求項1又は2に記載の調光装置。
【請求項4】
前記第1期間は、前記第1電極のうち前記第1端子から最も離れた末端側の電圧が前記第4電圧から前記第2電圧に立ち上がる期間より短く設定され、
前記第3期間は、前記末端側の電圧が前記第2電圧から前記第4電圧に立ち下がる期間より短く設定される
請求項1乃至3のいずれかに記載の調光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶を用いた調光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配向処理を必ずしも必要とせず、偏光板も不要で明るい表示が可能な高分子分散型液晶やポリマーネットワーク型液晶を用いた調光素子が知られている。液晶層(調光層)は、液晶材料と高分子材料とを含み、液晶材料の常光屈折率と高分子材料の屈折率とは概略同じに設定される。
【0003】
調光素子は、例えば、液晶層に電圧を印加しない場合に、散乱状態となり、液晶層に電圧を印加した場合に、透過状態となる。例えば、調光素子の駆動は、印加電圧に対する駆動効率を高くするために、パルス駆動が用いられる。
【0004】
家庭や会社内で調光素子を使用する場合、商用電源からAC/DCコンバータ等を使用してDC電源を生成し、このDC電源とスイッチング素子とを用いてパルス駆動を行う。また、自動車等で調光素子を使用する場合、バッテリー等の二次電池電源等から給電されるDC電源からDC/DCコンバータ等で所要の電圧を得た後、パルス駆動を行う。
【0005】
建物等に調光素子を固定する場合、及び自動車の窓等に調光素子を設置する場合、建物や窓の実装上、電源を印加する端子部を調光素子の一方にまとめることが要求される。しかし、平面形状を有する調光素子のうち端子部から離れた部分では、調光素子の持つ抵抗成分及び容量成分によって電圧降下が生じる。このため、端子部に耐圧以下の最大電圧を印加しても、端子部と逆の末端部に印加される電圧は、液晶を駆動する閾値電圧に達することができず、十分な透過モードへの移行ができない。
【0006】
また、容量成分により調光素子の末端部で生じる電圧降下の影響を低減するために、駆動周波数を下げ、末端部に印加される電圧が上昇するまで同極性の電圧を印加し続ける手法が考えられる。しかし、末端部に印加される電圧が上昇するまでの時間が長くなるため、末端部付近においてフリッカーが目立ってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-72895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、色ムラ及びフリッカーを低減することが可能な調光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る調光装置は、第1及び第2基材と、前記第1基材上に平面状に設けられた第1電極と、前記第2基材上に平面状に設けられた第2電極と、前記第1及び第2電極間に充填されかつ高分子分散型又はポリマーネットワーク型の液晶層と、前記第1及び第2電極に電気的に接続された第1及び第2端子とを含む調光素子と、正側電圧波形と、前記正側電圧波形と極性が異なる負側電圧波形とを生成する波形発生回路と、前記正側電圧波形に基づいて、前記第1端子に第1駆動電圧を印加する第1電力増幅器と、前記負側電圧波形に基づいて、前記第2端子に第2駆動電圧を印加する第2電力増幅器とを具備する。前記第1駆動電圧は、第1期間において第1電圧に設定され、前記第1期間に続く第2期間において前記第1電圧より低い第2電圧に設定され、前記第2期間に続く第3期間において前記第2電圧より低い第3電圧に設定され、前記第3期間に続く第4期間において前記第2電圧より低くかつ前記第3電圧より高い第4電圧に設定される。前記第2駆動電圧は、前記第1期間において前記第3電圧に設定され、前記第2期間において前記第4電圧に設定され、前記第3期間において前記第1電圧に設定され、前記第4期間において前記第2電圧に設定される。前記第1電圧と前記第3電圧との電圧差は、前記調光素子の耐圧より小さい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、色ムラ及びフリッカーを低減することが可能な調光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る調光装置のブロック図。
図2】調光素子の平面図。
図3図2のA-A´線に沿った調光素子の断面図。
図4】液晶層の配向を説明する断面図。
図5】調光素子の等価回路図。
図6】駆動回路を主として示した回路図。
図7】制御回路の動作を説明するタイミング図。
図8】第1実施形態に係る駆動回路の動作を説明するタイミング図。
図9】調光素子におけるV-T特性の一例を示すグラフ。
図10】比較例に係る駆動回路の回路図。
図11】比較例に係る調光装置の動作を説明する図。
図12】第1例に係る消費される電荷量の模式図。
図13】第2例に係る消費される電荷量の模式図。
図14】第2実施形態に係る駆動回路を主として示した回路図。
図15】第3実施形態に係る駆動回路を主として示した回路図。
図16】第3実施形態に係る駆動回路の動作を説明するタイミング図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0013】
[第1実施形態]
[1] 調光装置10の構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る調光装置10のブロック図である。調光装置10は、調光素子11、駆動回路12、電源回路13、及び制御回路14を備える。
【0014】
調光素子11は、光の透過率を制御可能な素子である。調光素子11は、例えば調光フィルムから構成される。調光フィルムは、透明と不透明(白濁)とを切り替え可能な機能性フィルムである。例えば、調光フィルムに電圧(最大電圧)を印加することで、調光フィルムを透明状態に設定でき、一方、調光フィルムに0V(最小電圧)を印加することで、調光フィルムを白濁状態に設定できる。また、最大電圧と最小電圧との中間電圧を調光フィルムに印加することで、透明と白濁との間で段階的な階調表示が可能である。調光素子11の具体的な構成については後述する。
【0015】
駆動回路12は、調光素子11に電圧(駆動電圧)を印加し、調光素子11を駆動する。駆動回路12の回路構成については後述する。
【0016】
電源回路13は、外部から電源(外部電源)を受ける。外部電源は、商用電源、交流電圧(交流電源)、又は直流電圧(直流電源)である。電源回路13は、外部電源を用いて、調光素子11の動作に必要な複数レベルの電圧を生成する。電源回路13によって生成された電圧は、駆動回路12に供給される。
【0017】
制御回路14は、駆動回路12及び電源回路13を制御する。制御回路14は、駆動回路12及び電源回路13が所望の動作を行うことが可能なように、駆動回路12及び電源回路13に制御信号を供給する。
【0018】
[1-1] 調光素子11の構成
次に、調光素子11の構成について説明する。図2は、調光素子11の平面図である。図3は、図2のA-A´線に沿った調光素子11の断面図である。
【0019】
調光素子11の平面形状は、任意の形状とすることが可能であり、例えば四角形である。調光素子11が調光フィルムである場合、調光フィルムは、貼り付けられる領域の外形に合わせて加工される。
【0020】
調光素子11は、対向配置された基材20、21と、基材20、21間に配置された液晶層(調光層)24とを備える。基材20、21は、透明部材から構成され、例えば透明フィルムから構成される。基材20、21には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、及びポリカーボネート(PC)フィルムなどを用いることができる。
【0021】
液晶層24は、液晶材料24A及び高分子材料24Bを備える。液晶層24は、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、又はポリマーネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)から構成される。高分子分散型液晶は、高分子材料からなるマトリックス中に液晶材料を分散させた複合体からなり、すなわち、マトリックス中において液晶が相分離した構造を有する。ポリマーネットワーク型液晶は、高分子材料からなる3次元網目構造(ポリマーネットワーク)中に連続相を有する液晶材料を満たした複合体からなる。高分子材料としては光硬化樹脂を用いることができる。例えば、PDLCは、光重合型の高分子前駆体(モノマー)に液晶材料を混合させた溶液に紫外線を照射し、モノマーを重合させてポリマーを形成し、そのポリマーからなるマトリックス中に液晶が分散される。
【0022】
透明電極22は、液晶層24に接するようにして、基材20上に設けられる。透明電極23は、液晶層24に接するようにして、基材21上に設けられる。透明電極22、23は、光透過性及び導電性を有する材料からなり、例えばITO(インジウム錫酸化物)から構成される。
【0023】
調光素子11は、透明電極23に電気的に接続された端子T1と、透明電極22に電気的に接続された端子T2とを備える。端子T1、T2は、例えば、調光素子11の一側部にまとめて配置される。端子T1、T2は、駆動回路12に電気的に接続される。端子T1、T2は、金属(例えば、金、銀、銅、及びアルミニウムなど)から構成される。
【0024】
液晶層24は、シール材25によって透明電極22、23間に封止される。シール材25は、液晶層24を囲むように形成される。シール材25は、例えば光硬化樹脂から構成される。液晶層24の材料によっては、シール材25は必ずしも必要ではない。
【0025】
[1-2] 液晶層24の動作
次に、液晶層(調光層)24の大まかな動作について説明する。
【0026】
液晶層24において、液晶材料の常光屈折率と高分子材料の屈折率とは概略同じに設定される。液晶材料としては、例えば、正の誘電率異方性を有するポジ型(P型)のネマティック液晶が用いられる。
【0027】
まず、オフ状態における液晶層24の動作について説明する。オフ状態とは、透明電極22と透明電極23とに同電圧(例えば0V)が印加された状態であり、液晶層24に電界が印加されていない状態である。図3は、オフ状態における液晶層24の様子を示している。
【0028】
液晶層24に電圧(電界)が印加されない場合、液晶分子は、高分子マトリックス(又はポリマーネットワーク)の界面に対してランダムな状態になる。この場合、液晶材料の屈折率と高分子マトリックスの屈折率とが異なる状態となり、入射光は高分子マトリックスの界面で散乱する。すなわち、液晶分子が配向されていない状態において、液晶層24は高ヘイズ状態となる。このとき、液晶層24は白濁した状態となり、調光素子11は、不透明な状態となる。よって、調光素子11は、対象物を観察者から遮蔽することができる。ヘイズ値は、部材の透明性に関する指標であり、曇り度を表す。ヘイズ値が小さいほど、透明度が高い。
【0029】
次に、オン状態における液晶層24の動作について説明する。オン状態とは、透明電極22と透明電極23とに異なる電圧(例えば0V及び正電圧)が印加された状態であり、液晶層24に電界が印加されている状態である。なお、透明電極22と透明電極23とには、交流電圧が印加される。図4は、オン状態における液晶層24の様子を示している。
【0030】
液晶層24に電圧が印加された場合、液晶分子の長軸(ダイレクタ)は、電極面に対して概略垂直方向に配向する。この場合、液晶材料の屈折率と高分子マトリックスの屈折率とが概略同じ状態になり、入射光は、液晶層24内でほとんど散乱されず、液晶層24を透過する。すなわち、液晶分子が配向されている状態において、液晶層24は低ヘイズ状態となる。このとき、調光素子11は、透明な状態となる。よって、観察者は、調光素子11越しに対象物を観察することができる。
【0031】
なお、本実施形態では、非通電時に不透明状態となり、通電時に透明状態となる調光素子について説明しているが、これに限定されるものではない。非通電時に透明状態となり、通電時に不透明状態となるリバースタイプにも適用可能である。
【0032】
[1-3] 調光素子11の等価回路
次に、調光素子11の等価回路について説明する。図5は、調光素子11の等価回路図である。
【0033】
透明電極22は、平面状に形成される。よって、透明電極22は、端子側(端子T1、T2が配置される側)から末端側(端子T1、T2と反対側)まで広がるように、複数の抵抗成分R1~11を構成する。
【0034】
同様に、透明電極23は、平面状に形成される。よって、透明電極23は、端子側から末端側まで広がるように、複数の抵抗成分R12~22を構成する。
【0035】
液晶層24は、透明電極22と透明電極23との間に接続された複数の容量成分C1~C4を構成する。
【0036】
図4から理解できるように、調光素子11は、抵抗成分の電圧降下に起因して、端子側から末端側にいくにつれて、電圧が低くなる。すなわち、調光素子11は、端子側の電圧が高く、末端側の電圧が低くなる。末端側のノードをN1、N2と表記する。
【0037】
[1-4] 駆動回路12の構成
次に、駆動回路12の構成について説明する。図6は、駆動回路12を主として示した回路図である。
【0038】
制御回路14は、信号OVPOSIN、信号CONPOSIN、信号OVNEGIN、及び信号CONNEGINを生成し、これらの制御信号を駆動回路12に送る。信号OVPOSIN、信号CONPOSIN、信号OVNEGIN、及び信号CONNEGINの電圧波形については、後述する。
【0039】
電源回路13は、オーバードライブ用の正側電圧源30、オーバードライブ用の負側電圧源31、液晶の配向を制御するための正側制御電圧を生成する電圧源32、及び負側制御電圧を生成する電圧源33を備える。電圧源30は、オーバードライブ電圧Vov+を生成する。電圧源31は、オーバードライブ電圧Vov-を生成する。電圧源32は、制御電圧Vc+を生成する。電圧源33は、制御電圧Vc-を生成する。“Vov+>Vc+>Vc->Vov-”の関係を有する。
【0040】
正側制御電圧Vc+、負側制御電圧Vc-は、最終的な液晶の配向を制御する電圧であり、使用される液晶材料に応じて決定される。すなわち、液晶材料に応じて液晶分子が垂直に配向する電圧(液晶の閾値電圧)が決定され、電圧“(Vc+)-(Vc-)”は、液晶の閾値電圧と同じか若干高く設定される。電圧“(Vov+)-(Vov-)”は、液晶の耐圧より小さく設定される。例えば、Vov+=70V、Vov-=0V、Vc+=55V、Vc-=15Vである。
【0041】
駆動回路12は、スイッチング素子40~47を備える。スイッチング素子40の第1端子は、電圧源30に接続され、その第2端子は、端子T1に接続され、その制御端子には、信号OVPOSINが入力される。スイッチング素子40は、信号OVPOSINがハイレベル(例えば電圧Vdd=5V)の場合にオンし、信号OVPOSINがローレベル(例えば0V)の場合にオフする。
【0042】
スイッチング素子41の第1端子は、電圧源31に接続され、その第2端子は、端子T1に接続され、その制御端子には、信号OVNEGINが入力される。スイッチング素子41は、信号OVNEGINがハイレベルの場合にオンし、信号OVNEGINがローレベルの場合にオフする。
【0043】
スイッチング素子42の第1端子は、電圧源30に接続され、その第2端子は、端子T2に接続され、その制御端子には、信号OVNEGINが入力される。スイッチング素子42は、信号OVNEGINがハイレベルの場合にオンし、信号OVNEGINがローレベルの場合にオフする。
【0044】
スイッチング素子43の第1端子は、電圧源31に接続され、その第2端子は、端子T2に接続され、その制御端子には、信号OVPOSINが入力される。スイッチング素子43は、信号OVPOSINがハイレベルの場合にオンし、信号OVPOSINがローレベルの場合にオフする。
【0045】
スイッチング素子44の第1端子は、電圧源33に接続され、その第2端子は、端子T1に接続され、その制御端子には、信号CONNEGINが入力される。スイッチング素子44は、信号CONNEGINがハイレベルの場合にオンし、信号CONNEGINがローレベルの場合にオフする。
【0046】
スイッチング素子45の第1端子は、電圧源32に接続され、その第2端子は、端子T1に接続され、その制御端子には、信号CONPOSINが入力される。スイッチング素子45は、信号CONPOSINがハイレベルの場合にオンし、信号CONPOSINがローレベルの場合にオフする。
【0047】
スイッチング素子46の第1端子は、電圧源33に接続され、その第2端子は、端子T2に接続され、その制御端子には、信号CONPOSINが入力される。スイッチング素子46は、信号CONPOSINがハイレベルの場合にオンし、信号CONPOSINがローレベルの場合にオフする。
【0048】
スイッチング素子47の第1端子は、電圧源32に接続され、その第2端子は、端子T2に接続され、その制御端子には、信号CONNEGINが入力される。スイッチング素子47は、信号CONNEGINがハイレベルの場合にオンし、信号CONNEGINがローレベルの場合にオフする。
【0049】
[2] 調光装置10の動作
上記のように構成された調光装置10の動作について説明する。図7は、制御回路14の動作を説明するタイミング図である。前述したように、制御回路14は、信号OVPOSIN、信号CONPOSIN、信号OVNEGIN、及び信号CONNEGINを生成する。
【0050】
時刻t0において、制御回路14は、信号OVPOSINをハイレベル(例えば電圧Vdd=5V)にする。時刻t1において、制御回路14は、信号OVPOSINをローレベル(例えば0V)にし、信号CONPOSINをハイレベルにする。
【0051】
時刻t2において、制御回路14は、信号CONPOSINをローレベルにし、信号OVNEGINをハイレベルにする。時刻t3において、制御回路14は、信号OVNEGINをローレベルにし、信号CONNEGINをハイレベルにする。
【0052】
時刻t4において、制御回路14は、信号CONNEGINをローレベルにし、信号OVPOSINをハイレベルにする。時刻t0~t4が1つのサイクルであり、以後、同様のサイクルが繰り返される。
【0053】
図8は、駆動回路12の動作を説明するタイミング図である。図8の時刻t0~t9は、図7の時刻t0~t9に対応する。図8には、(1)駆動回路12が調光素子11の端子T1に印加する駆動電圧OUT1、(2)駆動回路12が調光素子11の端子T2に印加する駆動電圧OUT2、(3)調光素子11のノードN1の電圧V1out、及び(4)調光素子11のノードN2の電圧V2outを示している。駆動電圧OUT1が実線、駆動電圧OUT2が破線、電圧V1outが一点鎖線、電圧V2outが二点鎖線で示される。
【0054】
期間t0~t1において、スイッチング素子40がオンし、電圧OUT1=Vov+に設定される。また、期間t0~t1において、スイッチング素子43がオンし、電圧OUT2=Vov-に設定される。これにより、末端側の電圧V1outは、端子T1に制御電圧Vc+を印加する場合に比べて、速く立ち上がる。また、末端側の電圧V2outは、端子T2に制御電圧Vc-を印加する場合に比べて、速く立ち下がる。
【0055】
期間t1~t2において、スイッチング素子45がオンし、電圧OUT1=Vc+に設定される。また、期間t1~t2において、スイッチング素子46がオンし、電圧OUT2=Vc-に設定される。これにより、末端側の電圧V1outは、制御電圧Vc+に設定され、末端側の電圧V2outは、制御電圧Vc-に設定される。
【0056】
期間t2~t3において、スイッチング素子41がオンし、電圧OUT1=Vov-に設定される。また、期間t2~t3において、スイッチング素子42がオンし、電圧OUT2=Vov+に設定される。これにより、末端側の電圧V1outは、端子T1に制御電圧Vc-を印加する場合に比べて、速く立ち下がる。また、末端側の電圧V2outは、端子T2に制御電圧Vc+を印加する場合に比べて、速く立ち上がる。
【0057】
期間t3~t4において、スイッチング素子44がオンし、電圧OUT1=Vc-に設定される。また、期間t3~t4において、スイッチング素子47がオンし、電圧OUT2=Vc+に設定される。これにより、末端側の電圧V1outは、制御電圧Vc-に設定され、末端側の電圧V2outは、制御電圧Vc+に設定される。
【0058】
以後、サイクルt0~t4と同じ動作が繰り返される。例えば、駆動周波数は、20Hzである。
【0059】
なお、オーバードライブ期間、すなわち、期間t0~t1、及び期間t2~t3の各々は、調光素子11の負荷(抵抗及び容量)に応じて設定される。すなわち、オーバードライブ期間は、末端側の電圧V1outが制御電圧Vc-から制御電圧Vc+に立ち上がる期間より短く設定される。また、オーバードライブ期間は、末端側の電圧V2outが制御電圧Vc+から制御電圧Vc-に立ち下がる期間より短く設定される。
【0060】
図9は、調光素子11における電圧対透過率(V-T:voltage-transmittance)特性の一例を示すグラフである。図9の横軸が電圧(V)、縦軸が透過率(%)であり、図9の横軸及び縦軸ともに任意単位である。図9の電圧は、液晶層に印加される電圧、すなわち、電極22、23間の電圧である。
【0061】
図9から理解できるように、調光素子11に印加する電圧(駆動電圧)を変化させることで、調光素子11の透過率を変化させることができる。また、調光素子11に飽和電圧以上の駆動電圧を印加しても、透過率は変わらない。飽和電圧とは、最大透過率を実現する電圧のうち最小電圧である。例えば、電圧“(Vc+)-(Vc-)”は、飽和電圧以下に設定される。よって、オーバードライブ電圧を液晶の耐圧を越えない範囲で、飽和電圧以上の電圧に設定した場合でも、オーバードライブ電圧を用いて、液晶の透過率に影響を及ぼすことなく、調光素子11を駆動できる。
【0062】
端子側の実効電圧は、ほぼ制御電圧Vc+、Vc-となる。また、末端側の電圧がより速いタイミングで制御電圧Vc+、Vc-に到達するため、末端側の実効電圧も制御電圧Vc+、Vc-に近くなる。これにより、端子側と末端側との透過率の差が小さくなり、色ムラを低減することができる。
【0063】
また、ゼロクロス点(電圧V1outと電圧V2outとが交差する点)を含む極性反転を行う期間(例えば、図8の期間t0~t1)では、液晶に印加される実効電圧が低いため、液晶の透過率は、所望の透過率にならない。特に、ゼロクロス点では、液晶に印加される電圧は、0Vである。しかし、本実施形態では、オーバードライブ駆動を用いることで、末端側の電圧がより速いタイミングで上昇する。これにより、極性反転を行う期間を短くできるので、フリッカーを低減することができる。
【0064】
[3] 比較例
次に、比較例に係る調光装置について説明する。図10は、比較例に係る駆動回路の回路図である。
【0065】
電圧源32は、制御電圧Vc+を生成する。電圧源33は、制御電圧Vc-を生成する。例えば、Vc+=40V、Vc-=0Vである。
【0066】
スイッチング素子44の第1端子は、電圧源33に接続され、その第2端子は、端子T1に接続され、その制御端子には、信号NEGINが入力される。スイッチング素子44は、信号NEGINがハイレベルの場合にオンし、信号NEGINがローレベルの場合にオフする。
【0067】
スイッチング素子45の第1端子は、電圧源32に接続され、その第2端子は、端子T1に接続され、その制御端子には、信号POSINが入力される。スイッチング素子45は、信号POSINがハイレベルの場合にオンし、信号POSINがローレベルの場合にオフする。
【0068】
スイッチング素子46の第1端子は、電圧源33に接続され、その第2端子は、端子T2に接続され、その制御端子には、信号POSINが入力される。スイッチング素子46は、信号POSINがハイレベルの場合にオンし、信号POSINがローレベルの場合にオフする。
【0069】
スイッチング素子47の第1端子は、電圧源32に接続され、その第2端子は、端子T2に接続され、その制御端子には、信号NEGINが入力される。スイッチング素子47は、信号NEGINがハイレベルの場合にオンし、信号NEGINがローレベルの場合にオフする。
【0070】
図11は、比較例に係る調光装置の動作を説明する図である。時刻t0において、信号POSINがハイレベルにされ、信号NEGINがローレベルにされる。時刻t1において、信号POSINがローレベルにされ、信号NEGINがハイレベルにされる。時刻t2において、信号POSINがハイレベルにされ、信号NEGINがローレベルにされる。
【0071】
期間t0~t1において、スイッチング素子45がオンし、電圧OUT1=Vc+に設定される。また、期間t0~t1において、スイッチング素子46がオンし、電圧OUT2=Vc-に設定される。これにより、末端側の電圧V1outは、オーバードライブ駆動に比べて、緩やかに立ち上がる。また、末端側の電圧V2outは、オーバードライブ駆動に比べて、緩やかに立ち下がる。
【0072】
期間t1~t2において、スイッチング素子44がオンし、電圧OUT1=Vc-に設定される。また、期間t1~t2において、スイッチング素子47がオンし、電圧OUT2=Vc+に設定される。これにより、末端側の電圧V1outは、オーバードライブ駆動に比べて、緩やかに立ち下がる。また、末端側の電圧V2outは、オーバードライブ駆動に比べて、緩やかに立ち上がる。
【0073】
比較例では、極性反転において、末端側の電圧V1out、電圧V2outが所望の電圧(Vc+、Vc-)になるまでの時間が長い。これにより、比較例では、フリッカーが大きくなってしまう。また、比較例では、端子側と末端側とで実効電圧が異なる期間が長くなるため、色ムラが発生してしまう。
【0074】
[4] 第1実施形態の効果
以上詳述したように第1実施形態では、調光装置10は、対向配置された基材20、21と、基材20、21にそれぞれ設けられた透明電極22、23と、透明電極22、23間に充填された液晶層24と、透明電極22、23に電気的に接続された端子T1、T2とを含む調光素子11と、端子T1に駆動電圧OUT1を印加し、端子T2に駆動電圧OUT1と極性が異なる駆動電圧OUT2を印加する駆動回路12とを具備する。駆動電圧OUT1は、第1期間において正側オーバードライブ電圧Vov+に設定され、前記第1期間に続く第2期間において正側制御電圧Vc+に設定され、第2期間に続く第3期間において負側オーバードライブ電圧Vov-に設定され、第3期間に続く第4期間において負側制御電圧Vc-に設定される。
【0075】
従って第1実施形態によれば、端子側と反対側の電圧を、より速く制御電圧Vc+、Vc-に設定することができる。これにより、端子側と末端側との透過率の差が小さくなり、色ムラを低減することができる。
【0076】
また、ゼロクロス点(電圧V1outと電圧V2outとが交差する点)を含む極性反転を行う期間では、フリッカーが発生する原因となる。しかし、本実施形態では、極性反転を行う期間を短くできるので、フリッカーを低減することができる。
【0077】
図12は、第1例に係る消費される電荷量の模式図である。図12の横軸は、端子-末端間の位置を表し、縦軸は、液晶に印加される電圧(印加電圧)を表している。例えば、0V~40Vの領域は、透過率を変化させることが可能な階調領域であり、40V~70Vの領域は、透過率がほぼ変化しない飽和領域である。
【0078】
電荷量Aは、通常パルス駆動における電荷量である。第1例の通常パルス駆動は、印加電圧40Vを用い、かつ末端側の電圧が40Vになるまで周波数を低くして駆動する例である。通常パルス駆動では、末端側が最終的に40Vになるので、端子側と末端側との色ムラは低減できる。しかし、極性反転にかかる時間が長くなるので、フリッカーが大きくなる。
【0079】
電荷量Bは、通常パルス駆動に対するオーバードライブ駆動で増加する電荷量である。オーバードライブ駆動は、オーバードライブ電圧70Vを用いて駆動する例である。端子側から末端側にいくにつれて電圧が低くなるので、電荷量Bは、端子側から末端側に向かって漸減する三角形で表される。オーバードライブ駆動を行う場合、電荷量Bの増加のみで、通常パルス駆動に比べて、フリッカーを低減できるとともに、色ムラが低減できる。
【0080】
電荷量Cは、フル駆動に対するオーバードライブ駆動で減少する電荷量である。フル駆動は、70Vを用いて駆動する例である。すなわち、“電荷量A+電荷量B+電荷量C”がフル駆動の電荷量である。フル駆動では、フリッカーは低減されるが、消費される電荷量が大きくなる。オーバードライブ駆動では、フル駆動と同程度にフリッカーを低減できつつ、フル駆動に比べて消費される電荷量を低減できる。
【0081】
図13は、第2例に係る消費される電荷量の模式図である。第2例は、中間調を実施した場合の例である。
【0082】
電荷量Dは、通常パルス駆動における電荷量である。第2例の通常パルス駆動は、印加電圧20Vを用い、かつ末端側の電圧が20Vになるまで周波数を低くして駆動する例である。通常パルス駆動では、末端側が最終的に20Vになるので、端子側と末端側との色ムラは低減できる。しかし、極性反転にかかる時間が長くなるので、フリッカーが大きくなる。また、フリッカーを低減させるために、周波数を大きくすると、端子側と末端側との電位差が大きくなり、色ムラが発生する。周波数を大きくした場合の電荷量は、図13の破線で示した下の領域である。すなわち、色ムラとフリッカーとはトレードオフの関係にある。
【0083】
電荷量Eは、通常パルス駆動に対するオーバードライブ駆動で増加する電荷量である。オーバードライブ駆動を用いて中間調を実施した場合でも、電荷量Eの増加のみで、通常パルス駆動に比べて、フリッカーを低減できるとともに、色ムラが低減できる。また、第2例の場合も、オーバードライブ駆動では、70Vのフル駆動と同程度にフリッカーを低減できる。
【0084】
[第2実施形態]
第2実施形態は、駆動回路12、及び電源回路13の具体的な構成例である。第2実施形態は、トランジスタを用いてデジタル式に駆動回路12を構成した例である。
【0085】
図14は、本発明の第2実施形態に係る駆動回路12を主として示した回路図である。本実施形態では、駆動回路12を構成する複数のスイッチング素子の各々は、MOSトランジスタ、又はバイポーラトランジスタから構成される。本実施形態では、NチャネルMOSトランジスタ(又はパワーMOSトランジスタ)を用いる例について説明する。調光素子11は、等価回路として表現すると、図5から理解されるように、抵抗性負荷RLと、容量性負荷CLとを含む。
【0086】
駆動回路12は、ゲートドライバ12Aを備える。ゲートドライバ12Aは、前述した信号OVPOSIN、信号CONPOSIN、信号OVNEGIN、及び信号CONNEGINを出力する。ゲートドライバ12Aは、信号OVPOSIN、信号CONPOSIN、信号OVNEGIN、及び信号CONNEGINを、トランジスタに最適なゲート電圧レベルに設定する。制御回路14は、タイミング発生回路14Aを備える。タイミング発生回路14Aは、信号OVPOSIN、信号CONPOSIN、信号OVNEGIN、及び信号CONNEGINのタイミングを制御する。
【0087】
駆動回路12は、NチャネルMOSトランジスタ40~43、44A、44B、45A、45B、46A、46B、47A、47Bを備える。
【0088】
トランジスタ40のドレインは、オーバードライブ電圧Vov+を生成する電圧源30に接続され、そのソースは、端子T1に接続され、そのゲートには、信号OVPOSINが入力される。
【0089】
トランジスタ41のドレインは、端子T1に接続され、そのソースは、オーバードライブ電圧Vov-を生成する電圧源31に接続され、そのゲートには、信号OVNEGINが入力される。
【0090】
トランジスタ42のドレインは、電圧源30に接続され、そのソースは、端子T2に接続され、そのゲートには、信号OVNEGINが入力される。
【0091】
トランジスタ43のドレインは、端子T2に接続され、そのソースは、電圧源31に接続され、そのゲートには、信号OVPOSINが入力される。
【0092】
トランジスタ44A、44Bは、図6のスイッチング素子44を構成する。トランジスタ44Aのドレインは、端子T1に接続され、そのソースは、トランジスタ44Bのソースに接続され、そのゲートには、信号CONNEGINが入力される。トランジスタ44Bのドレインは、制御電圧Vc-を生成する電圧源33に接続され、そのゲートには、信号CONNEGINが入力される。
【0093】
トランジスタ45A、45Bは、図6のスイッチング素子45を構成する。トランジスタ45Aのドレインは、端子T1に接続され、そのソースは、トランジスタ45Bのソースに接続され、そのゲートには、信号CONPOSINが入力される。トランジスタ45Bのドレインは、制御電圧Vc+を生成する電圧源32に接続され、そのゲートには、信号CONPOSINが入力される。
【0094】
トランジスタ46A、46Bは、図6のスイッチング素子46を構成する。トランジスタ46Aのドレインは、端子T2に接続され、そのソースは、トランジスタ46Bのソースに接続され、そのゲートには、信号CONPOSINが入力される。トランジスタ46Bのドレインは、電圧源33に接続され、そのゲートには、信号CONPOSINが入力される。
【0095】
トランジスタ47A、47Bは、図6のスイッチング素子47を構成する。トランジスタ47Aのドレインは、端子T2に接続され、そのソースは、トランジスタ47Bのソースに接続され、そのゲートには、信号CONNEGINが入力される。トランジスタ47Bのドレインは、電圧源32に接続され、そのゲートには、信号CONNEGINが入力される。
【0096】
電源回路13は、電圧源13A、及び電圧源30~33を備える。電圧源13Aは、電源電圧VCCから電圧Vinを生成する。
【0097】
電圧源30は、定電圧素子としてのツェナーダイオード(定電圧ダイオード)30A、及び抵抗30Bを備える。ツェナーダイオード30Aのカソードは、電圧源13Aに接続され、そのアノードは、抵抗30Bの一端に接続される。抵抗30Bの他端は、接地端子GNDに接続される。電圧源30は、他の構成を用いてもよい。例えば、扱う電圧が大きい場合には、2個又はそれ以上のツェナーダイオードを直列接続してもよい。また、ツェナーダイオード30Aと抵抗30Bとの接続ノードに、電流増幅用のNPNトランジスタを追加してもよい。また、電圧源30は、電圧制御端子を備えたシリーズレギュレータで構成してもよい。また、電圧源30は、DC/DCコンバータで構成してもよい。
【0098】
電圧源32は、ツェナーダイオード32A、及び抵抗32Bを備える。抵抗32Bの一端は、電圧源13Aに接続され、その他端は、ツェナーダイオード32Aのカソードに接続される。ツェナーダイオード32Aのアノードは、接地端子GNDに接続される。電圧源32には、電圧源30と同様の他の構成例を用いてもよい。
【0099】
電圧源33は、ツェナーダイオード33A、及び抵抗33Bを備える。ツェナーダイオード33Aのカソードは、電圧源13Aに接続され、そのアノードは、抵抗33Bの一端に接続される。抵抗33Bの他端は、接地端子GNDに接続される。電圧源33には、電圧源30と同様の他の構成例を用いてもよい。
【0100】
以上詳述したように第2実施形態では、トランジスタを用いて駆動回路12を構成することができる。第2実施形態の電圧制御は、第1実施形態の電圧制御と同じである。その他の効果は、第1実施形態と同じである。
【0101】
[第3実施形態]
第3実施形態は、駆動回路12、及び電源回路13の具体的な構成例である。第3実施形態は、電力増幅器を用いてアナログ式に駆動回路12を構成した例である。
【0102】
図15は、本発明の第3実施形態に係る駆動回路12を主として示した回路図である。駆動回路12は、オーバードライブ波形発生回路12B、及び電力増幅器12C、12Dを備える。オーバードライブ波形発生回路12Bは、タイミング発生回路14Aからの制御信号を用いて、正側電圧波形VP、及び負側電圧波形VNを生成する。
【0103】
電力増幅器12C、12Dは、第1象限から第4象限までの動作が可能な4象限出力が可能である。すなわち、電力増幅器12C、12Dは、電圧の向きによらず、電流の供給(ソース)と吸収(シンク)とが可能である。
【0104】
電力増幅器12Cは、オーバードライブ波形発生回路12Bから正極電圧波形VPを受け、この正極電圧波形VPを増幅する。電力増幅器12Cは、駆動電圧OUT1を出力する。駆動電圧OUT1は、調光素子11の端子T1に印加される。
【0105】
電力増幅器12Dは、オーバードライブ波形発生回路12Bから負極電圧波形VNを受け、この負極電圧波形VNを増幅する。電力増幅器12Dは、駆動電圧OUT2を出力する。駆動電圧OUT2は、調光素子11の端子T2に印加される。
【0106】
図16は、駆動回路12の動作を説明するタイミング図である。駆動電圧OUT1、OUT2は、第1実施形態の図8と同じ波形である。駆動電圧OUT1は、前段の正極電圧波形VPと波形は同じで、出力電流を増幅したものである。駆動電圧OUT2は、前段の負極電圧波形VNと波形は同じで、出力電流を増幅したものである。
【0107】
第2実施形態によれば、アナログ式にオーバードライブ駆動を実現できる。その他の効果は、第1実施形態と同じである。
【0108】
[実施例]
上記実施形態では、PDLC又はPNLCを用いた液晶素子(調光素子)を例示しているが、これに限定されるものではない。調光素子としての液晶素子は、偏光板及び配向膜を液晶層の両側に配置した構成でもよく、TN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、又はIPS(In-Plane Switching)方式などを用いることができる。また、調光素子として、液晶素子以外で、電圧により屈折率が変化する様々な種類の電気光学素子を用いることができる。
【0109】
上記実施形態で示したスイッチング素子は、MOSトランジスタ、又はバイポーラトランジスタ以外に、炭化シリコン(SiC)を半導体層に用いたSiC-MOSFET、又は窒化ガリウム(GaN)を半導体層に用いたGaN-MOSFETなどで構成してもよい。
【0110】
上記実施形態で説明した調光装置は、住宅、オフィス、又は公共施設における窓や室内パーテーション、商業施設又はイベント会場における映像投影スクリーンやサイネージ、自動車又は航空機における窓やサンルーフなどに適用可能である。
【0111】
上記実施形態では、液晶素子として調光素子を例に挙げて説明しているが、これに限定されず、本実施形態における駆動方法は、液晶を用いた様々な装置(液晶表示装置を含む)に適用可能である。
【0112】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0113】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0114】
[1]
第1及び第2基材と、前記第1及び第2基材にそれぞれ設けられた第1及び第2電極と、前記第1及び第2電極間に充填された液晶層と、前記第1及び第2電極に電気的に接続された第1及び第2端子とを含む調光素子と、
前記第1端子に第1駆動電圧を印加し、前記第2端子に前記第1駆動電圧と極性が異なる第2駆動電圧を印加する駆動回路と
を具備し、
前記第1駆動電圧は、第1期間において第1電圧に設定され、前記第1期間に続く第2期間において前記第1電圧より低い第2電圧に設定され、前記第2期間に続く第3期間において前記第2電圧より低い第3電圧に設定され、前記第3期間に続く第4期間において前記第2電圧より低くかつ前記第3電圧より高い第4電圧に設定される
調光装置。
【0115】
[2]
前記第1電圧と前記第3電圧との電圧差は、前記調光素子の耐圧より小さい
[1]に記載の調光装置。
【0116】
[3]
前記第2電圧と前記第4電圧との電圧差は、前記調光素子の飽和電圧以下である
[1]に記載の調光装置。
【0117】
[4]
前記駆動回路は、第1乃至第8スイッチング素子を含み、
前記第1スイッチング素子は、前記第1電圧を発生する第1電圧源と前記第1端子との間に接続され、
前記第2スイッチング素子は、前記第3電圧を発生する第3電圧源と前記第1端子との間に接続され、
前記第3スイッチング素子は、前記第1電圧源と前記第2端子との間に接続され、
前記第4スイッチング素子は、前記第3電圧源と前記第2端子との間に接続され、
前記第5スイッチング素子は、前記第2電圧を発生する第2電圧源と前記第1端子との間に接続され、
前記第6スイッチング素子は、前記第4電圧を発生する第4電圧源と前記第1端子との間に接続され、
前記第7スイッチング素子は、前記第2電圧源と前記第2端子との間に接続され、
前記第8スイッチング素子は、前記第4電圧源と前記第2端子との間に接続される
[1]乃至[3]のいずれかに記載の調光装置。
【0118】
[5]
第1乃至第4制御信号を生成する制御回路をさらに具備し、
前記第1制御信号は、前記第1及び第4スイッチング素子に入力され、
前記第2制御信号は、前記第2及び第3スイッチング素子に入力され、
前記第3制御信号は、前記第5及び第8スイッチング素子に入力され、
前記第4制御信号は、前記第6及び第7スイッチング素子に入力される
[4]に記載の調光装置。
【0119】
[6]
前記第1乃至第4電圧源の各々は、定電圧素子を含む
[4]又は[5]に記載の調光装置。
【0120】
[7]
前記第1乃至第8スイッチング素子の各々は、トランジスタで構成される
[4]乃至[6]のいずれかに記載の調光装置。
【符号の説明】
【0121】
10…調光装置、11…調光素子、12…駆動回路、13…電源回路、14…制御回路、20,21…基材、22,23…透明電極、24…液晶層、25…シール材、30~33…電圧源、40~47…スイッチング素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16