(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103926
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】洗浄システム
(51)【国際特許分類】
A47L 15/24 20060101AFI20220701BHJP
A47L 15/42 20060101ALI20220701BHJP
A47L 15/22 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
A47L15/24
A47L15/42 D
A47L15/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218844
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠治
(72)【発明者】
【氏名】為石 芳正
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛一
(72)【発明者】
【氏名】細木 忠治
(72)【発明者】
【氏名】小林 健治
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082AA01
3B082BD02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】予備洗浄機において被洗浄物に付着した残菜等をより効果的に取り除くことができる洗浄システムを提供する。
【解決手段】洗浄システムは、第一洗浄室に水を噴射する第一洗浄ノズル12Bと、第一洗浄ノズルに供給する水を貯留すると共に第一洗浄ノズル12Bによって噴射された水を回収する第一洗浄水タンクとを有する予備洗浄機と、第二洗浄室に水を噴射する第二洗浄ノズル112Bと、第二洗浄ノズル112Bに供給する水を貯留すると共に第二洗浄ノズルによって噴射された水を回収する第二洗浄水タンクとを有する本洗浄機と、を備える。予備洗浄機は、被洗浄物が収容される位置よりも下方に配置され、第一洗浄ノズル12Bから噴射される水と共に落下してくる、被洗浄物に付着していた残菜を回収する、残菜回収フィルタを更に有する。第一洗浄ノズル12Bの噴射圧力は、第二洗浄ノズル112Bの噴射圧力よりも大きい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を収容する第一洗浄室に水を噴射する第一洗浄ノズルと、前記第一洗浄ノズルに供給する水を貯留すると共に前記第一洗浄ノズルによって噴射された水を回収する第一洗浄水タンクとを有する予備洗浄機と、
被洗浄物を収容する第二洗浄室に水を噴射する第二洗浄ノズルと、前記第二洗浄ノズルに供給する水を貯留すると共に前記第二洗浄ノズルによって噴射された水を回収する第二洗浄水タンクとを有し、前記予備洗浄機において洗浄された被洗浄物を洗浄する本洗浄機と、を備え、
前記予備洗浄機は、前記被洗浄物が収容される位置よりも下方に配置され、前記第一洗浄ノズルから噴射される水と共に落下してくる、被洗浄物に付着していた残菜を回収する、残菜回収フィルタを更に有し、
前記第一洗浄ノズルの噴射圧力は、前記第二洗浄ノズルの噴射圧力よりも大きい、洗浄システム。
【請求項2】
前記第二洗浄ノズルの噴射圧力に対する前記第一洗浄ノズルの噴射圧力の比は、1.5以上である、請求項1記載の洗浄システム。
【請求項3】
前記第二洗浄ノズルにおける噴射孔の開口面積は、前記第一洗浄ノズルにおける噴射孔の開口面積よりも小さい、請求項1又は2記載の洗浄システム。
【請求項4】
前記水の噴射方向において、前記第二洗浄ノズルにおける噴射孔の下流側には、下流方向に向かってV字状に広がるスプレーパターン形成部が設けられている、請求項1~3の何れか一項記載の洗浄システム。
【請求項5】
前記予備洗浄機における洗浄動作時の単位時間当たりの循環水量は、前記本洗浄機における洗浄動作時の単位時間当たりの循環水量よりも少ない、請求項1~4の何れか一項記載の洗浄システム。
【請求項6】
前記予備洗浄機の前記第一洗浄水タンクは、
前記第一洗浄水タンクにおいて所定水位を超える水を排出させる排出部を更に有し、
前記残菜回収フィルタは、前記残菜回収フィルタの底面が前記所定水位よりも上方に位置するように配置されている、請求項1~5の何れか一項記載の洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄機を用いた食器洗浄が一般的に行われている。洗浄前の食器等の被洗浄物には残菜が付着していることが多いので、被洗浄物を洗浄機に格納する前に、被洗浄物を水が貯留された浸漬槽に浸漬させる等して被洗浄物に付着した残菜等を予備的に取り除く予備洗浄が人の手を介して行われている。しかしながら、昨今の省人化の要請から、このような予備洗浄を行う必要がない洗浄機が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような要請に応える洗浄システムが、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1には、洗浄機(食器洗浄機250)とは別に予備洗浄機(予備ゆすぎ機械50)を備える洗浄システムが開示されている。そして、このような洗浄システムでは、予備洗浄機において被洗浄物に付着した残菜等をより効果的に取り除くことが要望されている。
【0005】
そこで、本発明は、予備洗浄機において被洗浄物に付着した残菜等をより効果的に取り除くことができる洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る洗浄システムは、被洗浄物を収容する第一洗浄室に水を噴射する第一洗浄ノズルと、第一洗浄ノズルに供給する水を貯留すると共に第一洗浄ノズルによって噴射された水を回収する第一洗浄水タンクとを有する予備洗浄機と、被洗浄物を収容する第二洗浄室に水を噴射する第二洗浄ノズルと、第二洗浄ノズルに供給する水を貯留すると共に第二洗浄ノズルによって噴射された水を回収する第二洗浄水タンクとを有し、予備洗浄機において洗浄された被洗浄物を洗浄する本洗浄機と、を備え、予備洗浄機は、被洗浄物が収容される位置よりも下方に配置され、第一洗浄ノズルから噴射される水と共に落下してくる、被洗浄物に付着していた残菜を回収する、残菜回収フィルタを更に有し、第一洗浄ノズルの噴射圧力は、第二洗浄ノズルの噴射圧力よりも大きい。
【0007】
この構成の洗浄システムでは、予備洗浄機によって被洗浄物から残菜等を洗い流す予備洗浄を実施し、本洗浄機によって残菜等が取り除かれた被洗浄物の本洗浄を実施することができる。本洗浄の前段階の予備洗浄を実施する予備洗浄機は、第一洗浄ノズルの噴射圧力が、第二洗浄ノズルの噴射圧力よりも大きいので、被洗浄物に付着した残菜を被洗浄物から剥がし落とす能力に優れる。したがって、予備洗浄機において被洗浄物に付着した残菜等をより効果的に取り除くことができる。
【0008】
本発明に係る洗浄システムでは、第二洗浄ノズルの噴射圧力に対する第一洗浄ノズルの噴射圧力の比は、1.5以上としてもよい。この構成の予備洗浄機は、本洗浄機と比較して、被洗浄物に付着した残菜を被洗浄物から剥がし落とす能力に優れる。
【0009】
本発明に係る洗浄システムでは、第二洗浄ノズルにおける噴射孔の開口面積を、第一洗浄ノズルにおける噴射孔の開口面積よりも小さくしてもよい。この構成では、第一洗浄ノズルの噴射圧力を、第二洗浄ノズルの噴射圧力よりも大きくすることができ、一つの第一洗浄ノズルから噴射される単位時間当たりの水量を、一つの第二洗浄ノズルから噴射される単位時間当たりの水量よりも少なくすることができる。
【0010】
本発明に係る洗浄システムでは、水の噴射方向において、第一洗浄ノズルにおける噴射孔の下流側には、下流方向に向かってV字状に広がるスプレーパターン形成部が設けられている。この構成では、第一洗浄ノズルの噴射孔から高範囲(広角)に水が噴射されるので、洗浄室に収容された被洗浄物を満遍なく予備洗浄することができる。
【0011】
本発明に係る洗浄システムでは、予備洗浄機における洗浄動作時の単位時間当たりの循環水量を、本洗浄機における洗浄動作時の単位時間当たりの循環水量よりも少なくしてもよい。ここで、残菜回収フィルタが第一洗浄水タンクの貯留水に浸かると、洗浄ポンプの吸い込みによる貯留水の流れによって、残菜が残菜回収フィルタにへばりつき、第一洗浄ノズルから噴射された水が、残菜回収フィルタを介して第一洗浄水タンクに流れ込むこむこと(第一洗浄水タンクに回収されること)を妨げるようになる。このような事象が発生すると、第一洗浄水タンクの貯留量が低下し、第一洗浄水タンクに貯留された水を第一洗浄ノズルに供給する洗浄ポンプにエア噛みが生じることがある。このエア噛みは、洗浄ポンプの故障の原因となるので、残菜回収フィルタから定期的に残菜を取り除く作業が必要となるが、この作業頻度が高まることは洗浄機の稼働率を低下させると共に作業者の負担となる。
【0012】
この構成では、予備洗浄機における洗浄動作時の単位時間当たりの循環水量が、本洗浄機における洗浄動作時の単位時間当たりの循環水量よりも少なくなるので、予備洗浄機における第一洗浄水タンクの貯留量を、本洗浄機における第二洗浄水タンクの貯留量よりも少なくすることができる。すなわち、予備洗浄機における第一洗浄水タンクの貯留水位を相対的に低くすることができる。これにより、予備洗浄機を構造的に改良することなく、残菜回収フィルタと第一洗浄水タンクにおける貯留水の水面との間の距離を確保することが可能となる。この結果、残菜回収フィルタが第一洗浄水タンクの貯留水に浸かる頻度が低減するので、残菜回収フィルタから残菜を取り除く作業頻度を低減させることができ、ひいては予備洗浄機の稼働率を高めることができると共に作業者の負担を軽減することができる。
【0013】
本発明に係る洗浄システムの予備洗浄機の第一洗浄水タンクは、第一洗浄水タンクにおいて所定水位を超える水を排出させる排出部を更に有し、残菜回収フィルタは、残菜回収フィルタの底面が所定水位よりも上方に位置するように配置されていてもよい。この構成では、残菜回収フィルタが第一洗浄水タンクの貯留水に浸ることを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、予備洗浄機においてより効果的に被洗浄物に付着した残菜等を取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る洗浄システムの斜視図である。
【
図2】
図2は、予備洗浄機及び本洗浄機の斜視図である。
【
図3】
図3は、予備洗浄機の概略構成を示す図である。
【
図4】
図4は、予備洗浄機の概略構成を示す斜視図である。
【
図5】
図5(A)は、予備洗浄機の洗浄ノズルの斜視図である。
図5(B)は、
図5(A)の洗浄ノズルにおける噴射部を拡大して示した斜視図である。
図5(C)は、本洗浄機の洗浄ノズルの斜視図である。
【
図6】
図6は、予備洗浄機の下側洗浄ノズル及び下側濯ぎノズルの断面図である。
【
図7】
図7は、予備洗浄機の第二濯ぎ水吐出管を内包する第二洗浄水吐出管の上端近傍における断面斜視図である。
【
図8】
図8は、本洗浄機の概略構成を示す図である。
【
図9】
図9は、本洗浄機の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。以下の説明においては、
図2~
図4、
図8及び
図9で規定する方向(上下方向、前後方向、左右方向)を説明に用いる。
【0017】
図1に示されるように、洗浄システム200は、予備浸漬タンク203と、第一搬送部204と、予備洗浄機1と、本洗浄機101と、第二搬送部205と、を備えている。予備浸漬タンク203と、第一搬送部204と、予備洗浄機1と、本洗浄機101と、第二搬送部205とは、平面視したときにL字型に配置されている。
【0018】
予備浸漬タンク203は、水を貯留するタンクである。予備浸漬タンク203では、食器(被洗浄物)Dの予備洗浄(付着物の除去等)が行われてもよい。第一搬送部204は、予備浸漬タンク203の隣りに配置されている。第一搬送部204は、食器ラックRを予備洗浄機1の洗浄室(第一洗浄室)3に搬入する。食器ラックRは、皿や茶碗等の食器Dが並べられる格子状の部材である。第一搬送部204は、第一搬送部204の基台204aに食器ラックRが載置されたことが検知されると、アーム部材204bが移動して食器ラックRを予備洗浄機1の洗浄室3へ押し出す。
【0019】
予備洗浄機1は、本洗浄機101における食器Dの洗浄に先だち、食器Dの表面に付着した残菜等を洗い流すために設けられる洗浄機である。すなわち、予備洗浄機1は、予備浸漬タンク203において人手を介して行われていた食器Dの予備洗浄を実施する洗浄機である。
【0020】
図2に示されるように、予備洗浄機1は、ステンレス製のパネルで覆われた洗浄機本体2を有している。洗浄機本体2は、洗浄室3が形成された上側部分2Aと、機械室4が形成された下側部分2Bとに仕切られている。洗浄機本体2の背面側におけるコーナ部には、上側部分2Aと下側部分2Bとに渡って上下方向に延びる支柱6が配置され、支柱6,6間には背面パネル5が配置されている。
【0021】
洗浄機本体2の上側部分2Aには、洗浄室3の開閉を行うための箱型のドア7が設けられている。このドア7は、ステンレス製の一対の支柱6,6により上下動自在に案内されると共に、前方において水平方向に延在するハンドル8Aによって上下動する。ドア7は、第一搬送部204の搬送に連動して自動で開閉が行われてもよい。また、ドア7は、食器Dの洗浄動作の終了に連動して自動で開閉が行われてもよい。
【0022】
ハンドル8Aの両端には左右一対の回動アーム8B,8Bの先端が固定され、回動アーム8B,8Bはドア7の側面7Aに沿って斜めに配置されている。回動アーム8B,8Bには、ドア7の側面7Aに沿って配置されたリンク部8Cの一端が回動自在に連結され、リンク部8Cの他端は、軸ピン8Dを介してドア7に連結されており、ハンドル8Aの回動運動に対してドア7が上下運動可能となっている。洗浄機本体2の底面の四隅には脚部9が取り付けられている。
【0023】
図3に示されるように、洗浄室3内には、ラックレール11が着脱自在に配置されており、このラックレール11上に、飲食後の皿や茶碗等の食器Dが並べられた格子状の食器ラックRが載置される。洗浄室3の上部には、放射状に延びる三本のアーム42からなる上側洗浄ノズル(第一洗浄ノズル)12Aと、二本のアーム76からなる上側濯ぎノズル13Aとがそれぞれ回転自在に配置されている。同様に、洗浄室3の下部には、放射状に延びる三本のアーム42からなる下側洗浄ノズル(第一洗浄ノズル)12Bと、二本のアーム76からなる下側濯ぎノズル13Bとがそれぞれ回転自在に配置されている。食器ラックRに並べられた食器Dは、上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bによって上下から洗浄水が噴射され、上側濯ぎノズル13A及び下側濯ぎノズル13Bによって上下から濯ぎ水が噴射される。
【0024】
洗浄水タンク15の前面には、洗浄水吸込口を介して洗浄ポンプ23が接続されている。洗浄ポンプ23の吐出口には洗浄水吐出管21が接続されている。洗浄水吐出管21は、第一洗浄水吐出管21Aと第二洗浄水吐出管21Bとに分岐して、第一洗浄水吐出管21Aは上側洗浄ノズル12Aに接続され、第二洗浄水吐出管21Bは下側洗浄ノズル12Bに接続されている。洗浄水タンク15内には、洗浄能力及び殺菌能力を向上させるために洗浄水を加熱する洗浄水ヒータ16が設けられている。
【0025】
洗浄水タンク15の上部開口部には、板状の仕切板18が配置されている。仕切板18には、二つの開口部18aが設けられており、開口部18aの下方には残菜回収フィルタ19が設けられている。なお、
図3及び
図8においては、説明の便宜上、残菜回収フィルタ19の図示を省略している。残菜回収フィルタ19は、かご状に形成されており、その側面及び底面はメッシュ部材によって形成されている。残菜回収フィルタ19に流れ込んだ残菜はメッシュ部材によって受け止められ、残菜回収フィルタ19に流れ込んだ水はメッシュ部材を通過して洗浄水タンク15に流れ込む。すなわち、上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bから噴射された水は、洗浄水タンク15に回収される。
【0026】
洗浄水タンク15の底面15aには、第一排水管33が接続されている。底面15aは、第一排水管33に向かって傾斜している。第一排水管33には、排水バルブ34が設けられている。排水バルブ34は、いわゆるボールバルブタイプのバルブであり、第一排水管33における水の流路に配置された弁体であるボールがモータの駆動で回動されることによって、第一排水管33の水の流れを止めたり流したりする。排水バルブ34は、コントローラ35によって制御され、排水バルブ34の弁体が開かれることによって洗浄水タンク15に貯留された水を排出する。洗浄水タンク15の側面15bには、第二排水管(排水部)17の端部開口17aが接続されている。第二排水管17は、洗浄水タンク15において所定水位Hを超えた水を排出するオーバーフロー管として機能する。残菜回収フィルタ19は、残菜回収フィルタ19の底面19aが所定水位Hよりも上方H1に位置するように配置されている。
【0027】
機械室4内には、外部から給水管25Aを介して濯ぎ水が供給される濯ぎ水タンク25が配置されている。濯ぎ水タンク25には、濯ぎ水吸込管29を介して濯ぎポンプ27が接続されている。濯ぎポンプ27の吐出口には濯ぎ水吐出管31が接続されている。濯ぎ水吐出管31は、第一濯ぎ水吐出管31Aと第二濯ぎ水吐出管31Bとに分岐して、第一濯ぎ水吐出管31Aは上側濯ぎノズル13Aに接続され、第二濯ぎ水吐出管31Bは下側濯ぎノズル13Bに接続されている。
【0028】
上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bについて詳細に説明する。ここでは、予備洗浄機1の下側洗浄ノズル12Bを例に挙げて説明する。
図6に示されるように、下側洗浄ノズル12Bは、下側ノズルヘッダ61及び下側ノズルナット62によって回転軸を中心に回転自在に挟持される。下側ノズルヘッダ61は、上述した第二洗浄水吐出管21B及び第二濯ぎ水吐出管31Bの上端の外周面を囲うように設けられている。第二洗浄水吐出管21Bは、第二濯ぎ水吐出管31Bを内包しており、二重管の構成となっている。すなわち、第二洗浄水吐出管21Bにおいて洗浄ポンプ23から圧送される水の流路S1は、円環状に形成されている。
【0029】
図5(A)及び
図6に示されるように、下側洗浄ノズル12Bは、下側ノズルヘッダ61及び下側ノズルナット62によって挟持されるホルダ41と、ホルダ41から放射状に延在する三本のアーム42と、を有する。ホルダ41には円形の貫通部41Aが形成されている。下側洗浄ノズル12Bにおける貫通部の上部開口には、下側ノズルナット62が装着され、貫通部41Aの下部開口には、下側ノズルヘッダ61が装着される。これにより、円環状に形成された流路S1(
図6参照)と、ホルダ41の貫通部41Aとが連通し、後段にて説明する内空部S2に水が供給されるようになる。
【0030】
図7に示されるように、第二洗浄水吐出管21Bにおける下流側端部には、円環状のオリフィス板71が配置される。オリフィス板71は、その外縁が第二洗浄水吐出管21Bの内周面に接触するように、かつその内縁が第二濯ぎ水吐出管31Bの外周面と離隔するように配置される。オリフィス板71は、上述した円環状に形成された流路S1の幅(断面積)を狭くして(絞り)、第二洗浄水吐出管21Bから下側洗浄ノズル12Bに流れる水量を抑制する。図示はしないが、第一洗浄水吐出管21Aから上側洗浄ノズル12Aへの水の供給経路にも、同様のオリフィス板71が配置されており、第一洗浄水吐出管21Aから上側洗浄ノズル12Aに流れる水量を抑制する。
【0031】
なお、後段にて詳述する本洗浄機101では、第二洗浄水吐出管21Bから下側洗浄ノズル(第二洗浄ノズル)112Bへの水の供給経路及び第一洗浄水吐出管21Aから上側洗浄ノズル(第二洗浄ノズル)112Aへの水の供給経路には、オリフィス板71は設けられていない。したがって、本洗浄機101においては、第二洗浄水吐出管21Bから下側洗浄ノズル112Bに流れる水量、及び第一洗浄水吐出管21Aから上側洗浄ノズル112Aに流れる水量が抑制されることはない。
【0032】
図3、
図5(A)及び
図5(B)に示されるように、下側洗浄ノズル12Bのアーム42は、回転軸方向に直交する略水平方向に延在すると共に、噴射部43から噴射させる水の流路である内空部S2が形成されている。アーム42には、水が噴射される噴射部43が形成されている。
図3に示されるように、上側洗浄ノズル12Aのアーム42も、下側洗浄ノズル12Bと同様の構成を有する。そして、本実施形態の洗浄システム200では、予備洗浄機1に設けられる下側洗浄ノズル12Bの噴射部43の数が、本洗浄機101の下側洗浄ノズル112Bに設けられる噴射部143の数と異なっている。
【0033】
具体的には、予備洗浄機1の下側洗浄ノズル12Bのアーム42に形成される噴射部43(
図5(A)参照)の数が三つであるのに対して、本洗浄機101の下側洗浄ノズル112Bのアーム42に形成される噴射部143(
図5(C)参照)の数は四つである。同様に、図示はしないが、予備洗浄機1の上側洗浄ノズル12Aのアーム42に形成される噴射部43の数が三つであるのに対して、本洗浄機101の上側洗浄ノズル112Aのアーム42に形成される噴射部143の数は四つである。
【0034】
図5(A)及び
図5(B)に示されるように、予備洗浄機1の形成される噴射部43は、水が噴射される噴射孔44と、噴射孔44から噴射される水のスプレーパターンを形成するスプレーパターン形成部45と、が設けられている。スプレーパターン形成部45は、噴射孔44の下流側に設けられており、下流方向に向かってV字状に広がる形状を有している。スプレーパターン形成部45は、噴射孔44から高範囲(広角)に水を噴射させる部位である。同様に、図示はしないが、上側洗浄ノズル12Aのアーム42に形成される噴射部43も、下側洗浄ノズル12Bの噴射部43と同様の構成を有する。このようなスプレーパターン形成部45が形成された予備洗浄機1の下側洗浄ノズル12B及び上側洗浄ノズル12Aに対して、本洗浄機101の下側洗浄ノズル112B及び上側洗浄ノズル112Aのアーム142には、凸状部145の表面に噴射孔144が形成されている。すなわち、下側洗浄ノズル112B及び上側洗浄ノズル112Aには、噴射孔144の下流側に下流方向に向かってV字状に広がるスプレーパターン形成部は設けられていない。
【0035】
本洗浄機101のアーム142に形成される噴射孔144は長孔状に形成されている。
図5(C)に示されるように、一つだけでなく二つ噴射孔144が設けられる噴射部143(凸状部145)があってもよい。本洗浄機101の下側洗浄ノズル112B及び上側洗浄ノズル112Aでは、予備洗浄機1の下側洗浄ノズル12B及び上側洗浄ノズル12Aで設けられる上述したようなスプレーパターン形成部45の構成に代えて噴射孔144の開口形状を長孔状とすることで、噴射孔144からの噴射される水の噴射範囲を広くしている。このような予備洗浄機1の下側洗浄ノズル12B及び上側洗浄ノズル12Aの構成と、本洗浄機101の下側洗浄ノズル112B及び上側洗浄ノズル112Aの構成との違いによって、予備洗浄機1では、噴射孔44から広範囲に拡散される水圧の強い水が食器Dにあてられるのに対し、本洗浄機101では、噴射孔144から幅広に直射される大容量の水が食器Dにあてられる。
【0036】
上述したように、予備洗浄機1のアーム42に形成される噴射孔44の開口面積が、本洗浄機101のアーム142に形成される噴射孔144の開口面積よりも小さく形成されることで、噴射孔44から噴射される水の噴射圧力が、噴射孔144から噴射される水の噴射圧力よりも大きくなっている。本洗浄機101の下側洗浄ノズル112Bの噴射圧力に対する予備洗浄機1の下側洗浄ノズル12Bの噴射圧力の比は1.5以上であり、上側洗浄ノズル112Aの噴射圧力に対する予備洗浄機1の上側洗浄ノズル12Aの噴射圧力の比も1.5以上である。
【0037】
予備洗浄機1においては、下側洗浄ノズル12Bが上側洗浄ノズル12Aよりも洗浄室3に収容される食器Dに近い位置に配置されている。このため、予備洗浄機1における下側洗浄ノズル12Bにおける噴射圧力を高めることで水の勢いを強くして、食器Dから残菜をそぎ落とす能力を高めることが好ましい。一方、上側洗浄ノズル12A(112A)は、下側洗浄ノズル12B(112B)よりも洗浄室3に収容される食器Dに遠い位置に配置されるので、上側洗浄ノズル12Aの噴射圧力を高めたとしても、食器Dに水が届くまでに水の勢いは弱まる。このため、下側洗浄ノズル12Bから噴射される水によって食器Dが持ち上げられないように食器Dを上方から押さえ付ける程度の水の勢いとなるように、上側洗浄ノズル12Aにおける噴射圧力を調整すればよい。
【0038】
また、予備洗浄機1では、一つの洗浄ポンプ23から上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bに水が圧送される。洗浄ポンプ23の送水能力は決まっているので、上側洗浄ノズル12Aに対する送水と、下側洗浄ノズル12Bに対する送水とを適切に配分することが好ましい。これらのことを総合的に考慮し、本洗浄機101の下側洗浄ノズル112Bの噴射圧力に対する予備洗浄機1の下側洗浄ノズル12Bの噴射圧力の比を3.0以上4.0以下とし、本洗浄機101の上側洗浄ノズル112Aの噴射圧力に対する予備洗浄機1の上側洗浄ノズル12Aの噴射圧力の比を1.5以上2.0以下とすることが好ましい。
【0039】
予備洗浄機1及び本洗浄機101における洗浄動作では、洗浄水タンク15に貯留された水が、洗浄ポンプ23によって上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bに供給される。そして、上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bから洗浄室3内に噴射された水は、仕切板18の開口部18aから残菜回収フィルタ19に流れ込み、残菜回収フィルタ19のメッシュ部材を通過して洗浄水タンク15に流れ込む。洗浄水タンク15内に流れ込んだ水は、洗浄ポンプ23によって上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bに供給され、再び洗浄室3内に噴射される。このように、予備洗浄機1及び本洗浄機101における洗浄動作では、洗浄水タンク15に水が循環供給される。予備洗浄機1における洗浄動作時の単位時間当たりの循環水量は、本洗浄機101における洗浄動作時の単位時間当たりの循環水量よりも少ない。
【0040】
本実施形態における予備洗浄機1における循環水量と、本洗浄機101における循環水量との差は、例えば、両者の循環経路を形成する流路の特性(管径・管路の材質等)、洗浄ポンプ23の能力等を同じとしたとき、上記の構成の違い、すなわち、第二洗浄水吐出管21Bの下流側端部におけるオリフィス板71の有無と、アーム42に形成された噴射孔44(噴射孔144)の総数及び噴射孔44(噴射孔144)の開口面積(すなわちノズル一本当たりのトータルの開口面積)とによりもたされる。本実施形態では、上述したような構成の違いによって、予備洗浄機1における洗浄動作時の単位時間当たりの循環水量が、本洗浄機101における洗浄動作時の単位時間当たりの循環水量の1/3~1/2となっている。
【0041】
図6に示されるように、下側濯ぎノズル13Bは、下側ノズルナット62の貫通孔に貫通されると共に下側ノズルヘッダ61に挿入される内挿管74と、内挿管74に接続されるホルダ75と、ホルダ75から軸方向と直交する方向に延在する二本のアーム76と、を有している。下側濯ぎノズル13Bは、下側ノズルナット62とネジ付キャップ63とによって回転自在に挟持する。濯ぎ水は、第一濯ぎ水吐出管31A、内挿管74及びホルダ75を通ってアーム76に供給され、アーム76の噴射部77から噴射される。噴射部77は、
図5(A)に示される下側洗浄ノズル12Bと同様の構成の噴射孔78とスプレーパターン形成部79とを有している。
【0042】
機械室4内には、予備洗浄機1の動作全般を制御するコントローラ35が内蔵された電装ボックス(図示せず)等が収容されている。
【0043】
次に、本洗浄機101について説明する。本洗浄機101は、予備洗浄機1において予備洗浄された食器Dを洗浄する。本洗浄機101は、上述した点(オリフィス板71の有無及び噴射部143の構成)を除き、予備洗浄機1の構成と一致している。すなわち、
図8及び
図9において、予備洗浄機1を構成する構成物品と同じ参照符号で示される本洗浄機101の構成部品は、予備洗浄機1を構成する構成物品と同じ機能を有する。なお、洗浄室(第二洗浄室)103及び洗浄水タンク(第二洗浄水タンク)115は、予備洗浄機1の洗浄室3及び洗浄水タンク15と参照符号が異なるが同じ機能を有する。
【0044】
続いて、洗浄システム200の動作について説明する。予備洗浄機1の電源スイッチがONされると、予備洗浄機1の濯ぎ水タンク25内の温水を濯ぎポンプ27によって上側濯ぎノズル13A及び下側濯ぎノズル13Bを介して洗浄室3へ噴射することにより、洗浄水タンク15内へ温水が供給される。本洗浄機101の電源スイッチがONされると、本洗浄機101の濯ぎ水タンク25内の温水を濯ぎポンプ27によって上側濯ぎノズル113A及び下側濯ぎノズル113Bを介して洗浄室3へ噴射することにより、洗浄水タンク15内へ温水が供給される。予備洗浄機1及び本洗浄機101の濯ぎ水タンク25内の温水の温度は、例えば、80℃前後に設定されている。これにより、本洗浄機101及び予備洗浄機1において初期給湯が行われる。そして、初期給湯量に合った量の洗剤が洗浄水タンク15内に供給されて、洗浄水タンク15内の洗浄水の洗剤濃度が所定濃度となる。
【0045】
なお、上側濯ぎノズル13A(又は上側濯ぎノズル113A)及び下側濯ぎノズル13B(又は下側濯ぎノズル113B)を介して洗浄室3に水を供給する構成に代えて、専用の給湯配管を設けて供給する構成としてもよい。
【0046】
初期給湯後、ユーザが食器ラックRを第一搬送部204の基台204aに載置すると、第一搬送部204は食器ラックRが基台204aに載置されたことを検知して、アーム部材204bによる食器ラックRの予備洗浄機1への押し出しを開始する。食器ラックRが予備洗浄機1の洗浄室3に搬入され、ドア7が閉められたことが検知されると、運転開始信号がコントローラ35へ入力される。運転開始信号がコントローラ35へ入力されると、予備洗浄機1での食器Dの洗浄動作(洗浄工程及び濯ぎ工程)が開始される。食器Dの洗浄工程は、洗浄水タンク15内の洗浄水を洗浄室3内の食器Dに向けて噴射することにより行われる。洗浄水タンク15内の洗浄水の温度は、例えば、60℃~70℃となるように設定されている。
【0047】
洗浄水タンク15内に貯留された洗浄水は、洗浄ポンプ23が始動することにより、洗浄水吐出管24等を介して上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bに圧送されて、上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bから洗浄室3内の食器に向けて噴射される。上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bから洗浄室3内に噴射された洗浄水は、食器から残菜及び汚れ(以下、「残菜等」とも示す。)を剥がし落とし、洗浄水と共に開口部18aに流れ込み、かご状の残菜回収フィルタ19に回収される。洗浄水タンク15内に回収された洗浄水は、洗浄ポンプ23により再び洗浄室3内に循環供給される。洗浄水による食器の洗浄が所定時間行われると、洗浄ポンプ23の作動を停止する。これにより、予備洗浄機1の動作が一時的に休止する。
【0048】
次に、食器Dの濯ぎ工程が開始される。食器Dの濯ぎ工程は、濯ぎ水タンク25内の濯ぎ水を洗浄室3内の食器Dに向けて噴射することにより行われる。濯ぎ水タンク25内に貯留された濯ぎ水は、予備洗浄機1における濯ぎポンプ27が始動することにより、濯ぎ水吐出管31等を介して上側濯ぎノズル13A及び下側濯ぎノズル13Bに圧送されて、上側濯ぎノズル13A及び下側濯ぎノズル13Bから食器に向けて噴射される。濯ぎ水タンク25から圧送される濯ぎ水の温度は、例えば、80℃前後に設定されている。
【0049】
濯ぎ工程においては、洗浄水タンク15に回収された濯ぎ水は洗浄水と混ざり合い、次回の洗浄工程における洗浄水として使用される。排水バルブ34は、濯ぎ工程において新たに供給される水の一部を第一排水管33を介して排出するように弁体(ボール)の開時間が調整され、残りの水は開口17aから第二排水管17を介して排出される。予め定められた濯ぎ時間が経過すると、濯ぎ工程が終了し、予備洗浄機1における一連の洗浄動作が終了する。
【0050】
予備洗浄機1における洗浄動作が終了すると、予備洗浄機1におけるドア7が開き、第一搬送部204が次の食器ラックRを予備洗浄機1の洗浄室3に押し出す動作によって、玉突き的に洗浄が完了した食器ラックRを本洗浄機101に押し出す。この結果、予備洗浄機1において洗浄された食器ラックRが本洗浄機101の洗浄室3に搬入される。食器ラックRが本洗浄機101の洗浄室3に搬入されると、本洗浄機101のドア7が閉められる。本洗浄機101のドア7が閉められると、運転開始信号がコントローラ35へ入力される。運転開始信号がコントローラ35へ入力されると、本洗浄機101における食器Dの洗浄動作が開始される。食器Dの洗浄は、洗浄水タンク15内の洗浄水を洗浄室3内の食器に向けて噴射することにより行われる。洗浄水タンク15内の洗浄水の温度は、例えば、60℃~70℃となるように設定されている。
【0051】
洗浄ポンプ23が始動することにより、洗浄水タンク15内に貯留された洗浄水は、洗浄水吐出管24等を介して上側洗浄ノズル112A及び下側洗浄ノズル112Bに圧送されて、上側洗浄ノズル112A及び下側洗浄ノズル112Bから洗浄室3内の食器に向けて噴射される。
【0052】
洗浄室3内に噴射された洗浄水は、洗浄水タンク15内に回収される。本洗浄機101において洗浄される食器Dは、予備洗浄機1において残菜等がほぼ取り除かれた状態となっている。このため、洗浄水タンク15内に回収される洗浄水は、比較的にきれいな状態の水である。洗浄水タンク15内に回収された洗浄水は、洗浄ポンプ23により再び洗浄室3内に循環供給される。洗浄水による食器の洗浄が所定時間行われると、洗浄ポンプ23の作動を停止する。これにより、本洗浄機101の動作が一時的に休止する。
【0053】
次に、濯ぎポンプ27が始動することにより、濯ぎ水タンク25内に貯留された濯ぎ水は、濯ぎ水吐出管31等を介して上側濯ぎノズル13A及び下側濯ぎノズル13Bに圧送されて、上側濯ぎノズル13A及び下側濯ぎノズル13Bから食器に向けて噴射される。濯ぎ水タンク25から圧送される濯ぎ水の温度は、例えば、80℃前後に設定されている。
【0054】
濯ぎ工程においては、上記予備洗浄機1と同様に、洗浄水タンク15に回収された濯ぎ水は洗浄水と混ざり合い、次回の洗浄工程における洗浄水として使用される。排水バルブ34は、濯ぎ工程において新たに供給される水の一部を第一排水管33を介して排出するように弁体(ボール)の開時間が調整され、残りの水は開口17aから第二排水管17を介して排出される。予め定められた濯ぎ時間が経過すると、濯ぎ工程が終了し、本洗浄機101における一連の洗浄動作が終了する。
【0055】
なお、上述した所定時間は、洗浄水タンク15及び濯ぎ水タンク25の貯留量、洗浄ポンプ23及び濯ぎポンプ27の送水能力等に基づいて適宜設定される。
【0056】
続いて、本実施形態の洗浄システム200の作用効果について説明する。上記実施形態の洗浄システム200では、予備洗浄機1によって食器Dから残菜等を洗い流す予備洗浄を実施し、本洗浄機101によって残菜等が取り除かれた食器Dの本洗浄を実施することができる。予備洗浄機1の上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bの噴射圧力は、本洗浄機101の上側洗浄ノズル112A及び下側洗浄ノズル112Bの噴射圧力よりも大きいので、食器Dに付着した残菜を食器Dから剥がし落とす能力に優れる。したがって、予備洗浄機1において食器Dに付着した残菜等をより効果的に取り除くことができる。
【0057】
本実施形態の洗浄システム200では、本洗浄機101の上側洗浄ノズル112A及び下側洗浄ノズル112Bの噴射圧力に対する予備洗浄機1の上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bの噴射圧力の比は、1.5以上である。このため、本洗浄機101と比較して、予備洗浄機1は、食器Dに付着した残菜を食器Dから剥がし落とす能力に優れる。
【0058】
本実施形態の洗浄システム200では、予備洗浄機1の上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bにおける噴射孔44の開口面積を、本洗浄機101の上側洗浄ノズル112A及び下側洗浄ノズル112Bにおける噴射孔144の開口面積よりも小さくしているので、予備洗浄機1の上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bの噴射圧力を、本洗浄機101の上側洗浄ノズル112A及び下側洗浄ノズル112Bの噴射圧力よりも大きくすることができる。これにより、一つの噴射孔44から噴射される単位時間当たりの水量を、一つの噴射孔144から噴射される単位時間当たりの水量よりも少なくすることができる。
【0059】
本実施形態の洗浄システム200の予備洗浄機1では、
図5(B)に示されるように、水の噴射方向において噴射孔44の下流側に、下流方向に向かってV字状に広がるスプレーパターン形成部45が設けられているので、噴射孔44から高範囲(広角)に水が噴射され、洗浄室3に収容された食器Dを満遍なく予備洗浄することができる。
【0060】
予備洗浄機1に備わる残菜回収フィルタ19が洗浄水タンク15の貯留水に浸かると、洗浄ポンプ23の吸い込みによる貯留水の流れによって、残菜が残菜回収フィルタ19のメッシュ部材にへばりつき、上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bから噴射された水が、残菜回収フィルタ19を介して洗浄水タンク15に流れ込むこむこと(洗浄水タンク15に回収されること)を妨げるようになる。予備洗浄機1では、食器Dに付着した残菜をそぎ落とす機能に特化していることから、このような事象が発生する可能性が高くなる。そして、このような事象が発生すると、洗浄水タンク15の貯留量が低下し、洗浄水タンク15に貯留された水を上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bに供給する洗浄ポンプ23にエア噛みが生じることがある。このエア噛みは、洗浄ポンプ23の故障の原因となるので、残菜回収フィルタ19から定期的に残菜を取り除く作業が必要となるが、この作業頻度が高まることは予備洗浄機1の稼働率を低下させると共に作業者の負担となる。
【0061】
本実施形態の洗浄システム200では、予備洗浄機1における洗浄動作時の単位時間当たりの循環水量を、本洗浄機101における洗浄動作時の単位時間当たりの循環水量よりも少なくしているので、予備洗浄機1における洗浄水タンク15の貯留量を、本洗浄機101における洗浄水タンク15の貯留量よりも少なくすることができる。すなわち、予備洗浄機1における洗浄水タンク15の貯留水位を相対的に下げることができる。これにより、予備洗浄機1を構造的に改良することなく、残菜回収フィルタ19の底面19aと洗浄水タンク15における貯留水の水面との間の距離を確保することが可能となる。この結果、残菜回収フィルタ19が洗浄水タンク15の貯留水に浸かる頻度が低減するので、残菜回収フィルタ19から残菜を取り除く作業頻度を低減させることができ、ひいては予備洗浄機1の稼働率を高めることができると共に作業者の負担を軽減することができる。
【0062】
本実施形態の洗浄システム200の予備洗浄機1の洗浄水タンク15は、
図4に示されるように、洗浄水タンク15において所定水位を超える水を排出させる第二排水管17が設けられ、残菜回収フィルタ19は、残菜回収フィルタ19の底面19aが所定水位Hよりも上方H1に位置するように配置されているので、残菜回収フィルタ19が洗浄水タンク15の貯留水に浸ることを防止できる。
【0063】
仮に、洗浄水タンク15の所定水位(オーバーフロー水位)に合わせて、残菜回収フィルタ19の高さ方向のサイズをぎりぎりまで大きくできるので、上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bから噴射された水の残菜回収フィルタ19を介した洗浄水タンク15への流れ込みが妨げられ難くなる。これにより、上述したような洗浄ポンプ23によるエア噛み発生までの時間が長くなるので、残菜回収フィルタ19から残菜を取り除く作業頻度を低減させることができ作業者の作業負担が軽減する。更に、残菜回収フィルタ19が洗浄水タンク15の貯留水に浸かることがなくなるので、残菜のふやけによる洗浄水の汚濁を抑制できる。更に、残菜回収フィルタ19を取り出すときに回収された残菜からの液だれすることを抑制できる。
【0064】
本実施形態の洗浄システム200の予備洗浄機1では、洗浄水タンク15の底面15aに接続された洗浄水タンク15を介して排水バルブ34が強制的に洗浄水タンク15の排出を行っている。これにより、下方に滞留しやすい汚れや沈殿する小さな物体を洗浄水タンク15から排出されるようになるので、洗浄水の汚濁を抑制することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0066】
上記実施形態の洗浄システム200の本洗浄機101では、予備洗浄機1と同様に、洗浄水タンク15の底面15aに接続された第一排水管33と、第一排水管33に設けられた排水バルブ34と、洗浄水タンク15の側面15bに接続された第二排水管17とが設けられている例を挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、第一排水管33、排水バルブ34及び第二排水管17の構成に代えて、洗浄水タンク15の底面15aに形成された排水口に着脱可能に設けられ、鉛直上方に向かって延びるオーバ―フローパイプが設けられる構成であってもよい。オーバ―フローパイプは、その上端から規定水位を超える水が排出されると共に、排水口からオーバ―フローパイプを抜けば、洗浄水タンク15に貯留された水の全てを排水することができる。
【0067】
上記実施形態の洗浄システム200の予備洗浄機1及び本洗浄機101では、洗浄水タンク15に貯留された水を排水バルブ34によって排水する例を挙げて説明したが、排水バルブ34の代わりに、排水ポンプによって洗浄水タンク15に貯留された水を排水してもよい。
【0068】
上記実施形態及び変形例の洗浄システム200では、第一搬送部204によって予備洗浄機1への食器ラックRの移動、及び予備洗浄機1から本洗浄機101への食器ラックRの移動が行われ、第二搬送部205によって本洗浄機101から食器ラックRの移動が行われる例を挙げて説明したが、上記のそれぞれの移動は、作業者によって行われてもよい。
【0069】
上記実施形態及び変形例の予備洗浄機1及び本洗浄機101は、ドア7が上下方向に可動自在に設けられたタイプの洗浄機を例に挙げて説明したが、例えば、オーブンのように洗浄機本体2の前面側にドア7が設けられたタイプの食器洗浄機等にも適用することができる。
【0070】
上記実施形態及び変形例では、予備洗浄機1と同様の構成の残菜回収フィルタ19及び第二排水管17を設ける構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本洗浄機101において洗浄の対象となる食器Dは、予備洗浄機1によって予め残菜が取り除かれているので、上述したようなエア噛みが発生することは少ない。このため、本洗浄機101の残菜回収フィルタ19の底面19aは、洗浄水タンク115の貯留水に浸るような構成としてもよい。
【0071】
上記実施形態及び変形例では、食器Dに対して予備洗浄を実施する予備洗浄機1と、本洗浄を実施する、予備洗浄機1とは別体の本洗浄機101とが並べて配置された洗浄システム200を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、筐体は一つであるが、予備洗浄を実施する予備洗浄室と、本洗浄を実施する本洗浄室とが形成され、予備洗浄室から本洗浄室への食器Dの移動をコンベヤ等で行うタイプの洗浄機に本願発明を適用してもよい。すなわち、予備洗浄室に
図5(A)で示されるような構成の洗浄ノズルを配置し、本洗浄室に
図5(C)で示されるような構成の洗浄ノズルを配置してもよい。同様に、予備洗浄室に、予備洗浄機1と同様の構成の残菜回収フィルタ19及び第二排水管17が設けられた洗浄水タンクを配置してもよい。
【0072】
本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態、上記変形例及びその他の変形例として記載の内容を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…予備洗浄機、3…洗浄室、12A…上側洗浄ノズル(第一洗浄ノズル)、12B…下側洗浄ノズル(第一洗浄ノズル)、15…洗浄水タンク、15a…底面、17…第二排水管(排水部)、19…残菜回収フィルタ、19a…底面、23…洗浄ポンプ、33…第一排水管、35…コントローラ、42…アーム、43…噴射部、44…噴射孔、45…スプレーパターン形成部、71…オリフィス板、101…本洗浄機、112A…上側洗浄ノズル(第二洗浄ノズル)、112B…下側洗浄ノズル(第二洗浄ノズル)、143…噴射部、144…噴射孔、200…洗浄システム、R…食器ラック、H…所定水位。