(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103936
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】フェースシールド
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220701BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218857
(22)【出願日】2020-12-28
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】390003872
【氏名又は名称】豊島株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】飯田 裕之
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185BA18
2E185CC32
(57)【要約】
【課題】樹脂シートの外観が悪くなり難く、しかも樹脂シートが汚れ難いフェースシールドを提供する。
【解決手段】枠体5は、装着者の鼻の上に乗る鼻パッド3を中央部51Aに備え且つ装着者の水平目線位置よりも下に位置する上フレーム51と、上フレーム51と間隔をあけて対向する下フレーム52と、上フレーム51の両端と下フレーム52の両端とを連結する一対の連結フレーム53,54を備えている。樹脂シート7の上辺縁7Aは、上フレーム51に沿うように、一対の湾曲部7B及び7Cを有している。樹脂シート7は、枠体5のも一対の連結フレーム53,54に対して交換可能に装着されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の鼻の上に乗る鼻パッドを中央部に備え且つ前記装着者の水平目線位置よりも下に位置する上フレームと、前記上フレームと間隔をあけて対向する下フレームと、前記上フレームの両端と前記下フレーム両端とを連結する一対の連結フレームを備えた枠体と、
前記枠体の少なくとも前記一対の連結フレームに対して交換可能に装着された透明な樹脂シートと、
前記枠体の前記一対の連結フレームまたは前記上フレームと前記一対の連結フレームの境界部に固定された一対の耳かけ部材を備え、
前記一対の連結フレームの長さ及び樹脂シートの長さは、前記樹脂シートが装着者の口の前方位置よりも下側まで延びる長さを有していることを特徴とするフェースシールド。
【請求項2】
前記枠体は、前記下フレームまたは上フレームを平面上に置いたときに、前記樹脂シートの表面が前記平面と接触するように傾倒しない形状を有している請求項1に記載のフェースシールド。
【請求項3】
前記枠体の前記上フレーム及び前記下フレームは、前記装着者の顔面に沿う形状を有しており、
前記枠体の前記上フレームは、前記鼻パッドが装着される部分の両側に前記下フレーム側に凸となるように湾曲する一対の湾曲部を有しており、
前記樹脂シートの上辺縁は、前記上フレームに沿う形状を有しており、
前記上フレーム及び前記樹脂シートの前記上辺縁は、前記装着者の視線を遮らない形状を有している請求項2に記載のフェースシールド。
【請求項4】
前記樹脂シートは、前記上フレームに沿って延びる上辺部と前記下フレームに沿って延びる下辺部と前記上辺部と前記下辺部を連結する一対の連結辺部とを備えており、
前記枠体の前記一対の連結フレームそれぞれには、1以上の第1の被嵌合孔が形成されており、
前記樹脂シートの前記一対の連結辺部のそれぞれには、前記1以上の第1の被嵌合孔と整合する1以上の第2の被嵌合孔が形成されており、
整合した前記1以上の第1の被嵌合孔と前記1以上の第2の被嵌合孔に嵌合される1以上の凸部を備えた嵌合ピースにより、前記樹脂シートの前記一対の連結辺部が前記枠体の前記一対の連結フレームに対してそれぞれ固定されている請求項3に記載のフェースシールド。
【請求項5】
前記枠体の前記一対の連結フレームそれぞれには、前記連結フレームに沿って2つの前記第1の被嵌合孔が形成されており、
前記樹脂シートの前記一対の連結辺部のそれぞれには、前記連結辺部に沿って2つの前記第1の被嵌合孔とそれぞれ整合する2つの前記第2の被嵌合孔が形成されている請求項4に記載のフェースシールド。
【請求項6】
前記第1の被嵌合孔は、前記連結フレームに沿って並ぶ一対の第1の貫通孔からなり、
前記第2の被嵌合孔は、前記連結辺部に沿って並ぶ一対の第2の貫通孔からなり、
前記嵌合ピースは、整合した前記一対の第1の貫通孔及び前記一対の第2の貫通孔に嵌合される2つの前記凸部と該2つの凸部を備えた本体部とからなり、
前記嵌合ピースは、弾力性を有する材料により一体成形されたものであることを特徴とする請求項5に記載のフェースシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明な樹脂シートを備えたフェースシールドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
実用新案登録第3227109号公報(特許文献1)には、使用者の頭部に装着されて使用者の顔面の周囲を囲む紙製の枠状フレームに、薄くて自立性の無い透明フィルムをラミネート加工により取付けた使い捨てタイプのフェースシールドが開示されている。このフェースシールドでは、枠状フレームは透明フィルムを使用者の全面に位置決めするための位置決め手段として利用している。また実用新案登録第3010049号公報(特許文献2)及び実用新案登録第3015694号公報(特許公報3)には、使用者の頭部の額の近くに装着するベルト状の取付け板に、使用者の顔面のほぼ全体を覆う透明で硬い自立性を有する樹脂シートの上端を取付けたフェースシールドが開示されている。これらのフェースシードでは、取付け板に対して樹脂シートは、交換可能に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3227109号公報
【特許文献2】実用新案登録第3010049号公報
【特許文献3】実用新案登録第3015694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるような薄くて自立性のない樹脂フィルムを用いたフェースシールドでは、樹脂フィルムをできるだけ歪みがない状態で紙製の枠状フレームにラミネート加工により取付けるのが難しい。また特許文献2及び3に示されるフェースシールドのように使用者の顔面全体を覆う樹脂シートを用いる場合には、取付け板の下に延びる樹脂シートを手で触って装着位置の調整を行うと、樹脂シートが変形して外観が悪くなったり、樹脂シートの表面に使用者の指の油が付着して、樹脂シートが汚れる問題があった。また樹脂シートが汚れていたり、樹脂シートが傷ついていると、見る者に古い樹脂シートを使い続けているという印象を与える問題が発生するため、樹脂シートの交換頻度が高くなる問題が発生する。さらに樹脂シートの上辺部を取付け板のみに固定していると、樹脂シートの取付方が悪いと樹脂シートが歪んで、外観が悪くなる問題が発生する。
【0005】
本発明の目的は、樹脂シートの外観が悪くなり難く、しかも樹脂シートが汚れ難いフェースシールドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフェースシールドは、装着者の鼻の上に乗る鼻パッドを中央部に備え且つ前記装着者の水平目線位置よりも下に位置する上フレームと、上フレームと間隔をあけて対向する下フレームと、上フレームの両端と下フレーム両端とを連結する一対の連結フレームを備えた枠体を備えている。そしてこの枠体の少なくとも一対の連結フレームに対して交換可能に装着された透明な樹脂シートを備えている。また枠体の一対の連結フレームまたは上フレームと一対の連結フレームの境界部に固定された一対の耳かけ部材を備えている。なお一対の耳かけ部材の構成は任意であり、例えば伸縮性を有する紐状材料からなる耳かけ部材であれば、装着者の顔の大きさに合わせた装着が可能になる。そして一対の連結フレームの長さ及び樹脂シートの長さは、樹脂シートが装着者の口の前方位置よりも下側まで延びる長さを有している。
【0007】
本発明によれば、枠体の少なくとも一対の連結フレームに対して交換可能に樹脂シートが装着されているので、装着者は枠体に触れた状態でフェースシールドの位置調整をすることができるので、樹脂シートが汚れ難い。また少なくとも枠体の一対の連結フレームに樹脂シートが装着されるため、取付け方が悪くても樹脂シートの変形は少なく、外観が損なわれる可能性が低くなる。さらに枠体に装着された状態での樹脂シートの歪みは少ないという利点がある。
【0008】
枠体は、下フレームまたは上フレームを平面上に置いたときに、樹脂シートの表面が平面と接触するように傾倒しない形状をそれぞれ有している。このようにすると枠体の存在によって樹脂シートの変形を防止して、しかもフェースシールドが倒れて樹脂シートに傷がつくことを防止できる。
【0009】
枠体の上フレーム及び下フレームは、装着者の顔面に沿う形状を有しており、枠体の上フレームは、鼻パッドが装着される部分の両側に下フレーム側に凸となるように湾曲する一対の湾曲部を有しているのが好ましい。またこの場合には、樹脂シートの上辺縁は、上フレームに沿う形状を有しており、しかも上フレーム及び樹脂シートの上辺縁は、装着者の視線を遮らない形状を有しているのが好ましい。このようにするとメガネをかけた装着者であっても、メガネの前に樹脂シートがくることがない状態で、フェースシールドを使用することができる。
【0010】
樹脂シートは、上フレームに沿って延びる上辺部と下フレームに沿って延びる下辺部と上辺部と前記下辺部を連結する一対の連結辺部とを備えており、枠体の一対の連結フレームそれぞれには、1以上の第1の被嵌合孔が形成されており、樹脂シートの一対の連結辺部のそれぞれには、1以上の第1の被嵌合孔と整合する1以上の第2の被嵌合孔が形成されているのが好ましい。この場合、整合した1以上の第1の被嵌合孔と1以上の第2の被嵌合孔に嵌合される1以上の凸部を備えた嵌合ピースにより、樹脂シートの一対の連結辺部が枠体の一対の連結フレームに対してそれぞれ固定されているのが好ましい。このような構成を採用すると、樹脂シートを湾曲させても一対の連結辺部が枠体の一対の連結部に対して固定されるだけであるため、樹脂シートの上辺縁を固定する場合よりも樹脂シートに発生する歪みを小さく得することができ、しかも外部からの衝撃に対しても樹脂シートの変形を阻止することができる。
【0011】
枠体の一対の連結フレームそれぞれには、連結フレームに沿って2つの第1の被嵌合孔が形成されており、樹脂シートの一対の連結辺部のそれぞれには、連結辺部に沿って2つの第1の被嵌合孔とそれぞれ整合する2つの第2の被嵌合孔が形成されているのが好ましい。このようにすると樹脂シートの一対の連結辺部のそれぞれを枠体の一対の連結部に上下2カ所で固定することができるので、樹脂シートの上辺縁を固定する場合よりも樹脂シートに発生する歪みを小さく得することができ、しかも外部からの衝撃に対しても樹脂シートの変形を阻止することができる。
【0012】
第1の被嵌合孔は、連結フレームに沿って並ぶ一対の第1の貫通孔からなり、第2の被嵌合孔は、連結辺部に沿って並ぶ一対の第2の貫通孔からなり、嵌合ピースは、整合した一対の第1の貫通孔及び一対の第2の貫通孔に嵌合される2つの前記凸部と該2つの凸部を備えた本体部とからなり、嵌合ピースは、弾力性を有する材料により一体成形されたものであるのが好ましい。このようにすると嵌合ピースの寸法が大きくなるので、嵌合ピースを装着しやすくなる上、嵌合ピースが抜けにくくなるので、耐衝撃性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態のフェースシールドの分解斜視図である。
【
図2】
図1のフェースシールドの枠体と鼻パッドの拡大分解斜視図である。
【
図3】
図1のフェースシールドの枠体に鼻パッドが装着された拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面を参照して、本発明のフェースシールドの実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態のフェースシールド1の分解斜視図でり、
図2はフェースシールド1の枠体5と鼻パッド3の拡大分解斜視図であり、
図3はフェースシールド1の枠体5に鼻パッド3が装着された拡大正面図であり、
図4はフェースシールド1の斜視図である。
【0015】
図1乃至
図4に示すように、本実施の形態のフェースシールド1は、鼻パッド3と、枠体5と、アクリル樹脂シート等の透明な樹脂シート7と、一対の耳かけ部材9,9を備えている。枠体5は、装着者の鼻の上に乗る鼻パッド3を中央部51Aに備え且つ装着者の水平目線位置よりも下に位置する上フレーム51と、上フレーム51と間隔をあけて対向する下フレーム52と、上フレーム51の両端と下フレーム52の両端とを連結する一対の連結フレーム53,54を備えている。本実施の形態の枠体5は、透明な樹脂材料により一体に成形されている。枠体5の上フレーム51及び下フレーム52は、装着者の顔面に沿う形状を有しており、枠体5の上フレーム51は、鼻パッド3が装着される部分の両側に下フレーム52側に凸となるように湾曲する一対の湾曲部51B及び51Cを有している。そして樹脂シート7の上辺縁7Aは、上フレーム51に沿うように、一対の湾曲部7B及び7Cを有している。このように枠体5の上フレーム51及び樹脂シート7の上辺縁7Aが、装着者の視線を遮らない形状を有していると、メガネをかけた装着者であっても、メガネの前に樹脂シート7がくることがない状態で、フェースシールド1を使用することができる。
【0016】
樹脂シート7は、枠体5の少なくとも一対の連結フレーム53,54に対して交換可能に装着されている。樹脂シート7は、枠体5上フレーム51に沿って延びる上辺部71と下フレーム52に沿って延びる下辺部72と上辺部71と下辺部72を連結する一対の連結辺部73,74とを備えている。枠体5の一対の連結フレーム53,54のそれぞれには、連結フレーム53,54に沿って間隔をあけた位置に一対の第1の貫通孔H,Hからなる2つの第1の被嵌合孔11,12及び13,14が間隔をあけて形成されている。樹脂シート7の一対の連結辺部73,74のそれぞれには、連結辺部73及び74に沿って一対の第2の貫通孔h,hからなる2つの第2の被嵌合孔15,16及び17,18が形成されている。2つの第1の被嵌合孔11,12及び13,14と2つの第2の被嵌合孔15,16及び17,18が整合するように、枠体5に対して樹脂シート7が配置される。この整合配置により、前述の貫通孔Hと貫通孔hは、それぞれ整合する。
【0017】
整合した1以上の第1の被嵌合孔11,12及び13,14と1以上の第2の被嵌合孔15,16及び17,18には、それぞれ2つの凸部21Aを備えた4つの嵌合ピース21の凸部21Aがそれぞれ嵌合される。嵌合ピース21は、整合した一対の第1の貫通孔H,H及び一対の第2の貫通孔h,hに嵌合される2つの凸部21Aと該2つの凸部21Aを備えた本体部21Bとからなる。嵌合ピース21は、弾力性を有する合成ゴム等の材料により一体成形されたものである。このようにすると嵌合ピース21の寸法が大きくなるので、嵌合ピース21を装着しやすくなる上、嵌合ピース21が抜けにくくなるので、耐衝撃性を高めることができる。
【0018】
これによって樹脂シート7の一対の連結辺部73及び74が枠体5の一対の連結フレーム53及び54に対してそれぞれ固定される。このような構成を採用すると、樹脂シート7を湾曲させても一対の連結辺部73,74が枠体5の一対の連結部53,54に対して固定されるだけであるため、樹脂シート7上辺縁71を固定する場合よりも樹脂シート7に発生する歪みを小さく得することができ、しかも外部からの衝撃に対しても樹脂シート7の変形を阻止することができる。
【0019】
また枠体5の一対の連結フレーム53,54または上フレーム51と一対の連結フレーム53,54の境界部には、一対の耳かけ部材9,9が装着されている。一対の耳かけ部材の構成は任意であるが、本実施の形態では、伸縮性を有するゴム紐のような紐状材料からなる耳かけ部材を用いている。このような耳かけ部材であれば、装着者の顔の大きさに合わせた装着が可能になる。
【0020】
本実施の形態では、一対の連結フレーム53,54の長さ及び樹脂シート7の長さは、樹脂シート7が装着者の口の前方位置よりも下側まで延びる長さを有している。また枠体5は、下フレーム52または上フレーム51を平面上に置いたときに、固定した樹脂シート7の表面が平面と接触するように傾倒しない形状を有している。その結果、枠体5の存在によって樹脂シート7の変形を防止して、しかもフェースシールド1が倒れて樹脂シート7に傷がつくことを防止できる。
【0021】
本実施の形態のフェースシールド1によれば、枠体5の一対の連結フレーム53,54に対して交換可能に樹脂シート7が装着されているので、装着者は枠体5に触れた状態でフェースシールド1の位置調整をすることができる。その結果、樹脂シート7が汚れ難い。また枠体5の一対の連結フレーム53,54に樹脂シート7が装着されるため、取付け方が悪くても樹脂シート7の変形が少なくなって、外観が損なわれる可能性が低くなる。さらに枠体5に装着された状態での樹脂シートの歪みが少ないという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明によれば、枠体の少なくとも一対の連結フレームに対して交換可能に樹脂シートが装着されているので、装着者は枠体に触れた状態でフェースシールドの位置調整をすることができるので、樹脂シートが汚れ難い。また少なくとも枠体の一対の連結フレームに樹脂シートが装着されるため、取付け方が悪くても樹脂シートの変形が少なく、外観が損なわれる可能性が低くなる利点がある。
【符号の説明】
【0023】
1 フェースシールド
3 鼻パッド
5 枠体
51 上フレーム
52 下フレーム
53,54 連結フレーム
7 樹脂シート
71 上辺部
72 下辺部
73,74 連結辺部
9 耳かけ部材
21 嵌合ピース