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特開2022-103983ゴム組成物、タイヤ、及びゴム用添加剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103983
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】ゴム組成物、タイヤ、及びゴム用添加剤
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20220701BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20220701BHJP
   C08K 5/20 20060101ALI20220701BHJP
   C08K 5/29 20060101ALI20220701BHJP
   C08K 5/3445 20060101ALI20220701BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K3/36
C08K5/20
C08K5/29
C08K5/3445
B60C1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218929
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000206901
【氏名又は名称】大塚化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 真也
(72)【発明者】
【氏名】岡部 祐貴
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA01
3D131AA02
3D131AA05
3D131AA06
3D131AA10
3D131AA14
3D131AA15
3D131BA05
3D131BA18
3D131BC02
3D131BC51
4J002AC001
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC071
4J002AC081
4J002AC091
4J002AE032
4J002BB151
4J002BC021
4J002BP011
4J002DA040
4J002DE100
4J002EF050
4J002EG020
4J002EP017
4J002EP027
4J002ER007
4J002EU047
4J002EU117
4J002EU127
4J002EX080
4J002GN01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】十分な低発熱性を有する一方で、加工性に優れたゴム組成物を提供する。
【解決手段】下記成分(a)、(b)及び(c)を含むゴム組成物。
成分(a);ゴム成分
成分(b);下記式(1)で表される化合物
成分(c);下記式(2)で表される化合物
(1)X-CO-NH-A(2)Z-CO-NH-A
〔式中、Aは式(i)-NR又は式(ii)-N=Rで示される基を示し、式(i)又は(ii)において、R~Rは、水素又は炭素数1~18のアルキル、Xは、窒素含有複素環基、炭素数1~5のアルキル、アリール、又は基-Y-CO-NHA、或いは環を形成してもよい。Yは2価の窒素含有複素環基、炭素数1~18のアルキレン、又はアリーレン、Zは、炭素数6~40のアルキル。〕
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(a)、(b)及び(c)を含むゴム組成物。
成分(a);ゴム成分
成分(b);下記式(1)で表される化合物
成分(c);下記式(2)で表される化合物
【化1】
〔式中、Aは下記式(i)又は(ii)で示される基を示す。
式(i)又は(ii)において、R、R、R及びRは、各々水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を示す。
Xは、窒素含有複素環基、炭素数1~5のアルキル基、アリール基、又は基-Y-CO-NHAを示す。或いは、Xは、基-CHR-CR=N-を介してAと結合することにより環を形成してもよい。これら各基及び環は、さらに置換基を有していてもよい。
Yは、2価の窒素含有複素環基、炭素数1~18のアルキレン基、又はアリーレン基を示す。
は、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、又はアリール基を、
は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、ヒドラジド基、アミノ基、チオカルボキシル基、又はチオール基を示し、これら各基は更に置換基を有していてもよい。
Zは、炭素数6~40のアルキル基を示し、該アルキル基はさらに置換基を有していてもよい。〕
【化2】
【請求項2】
前記式(1)で表される化合物は、下記式(1a)、(1b)、及び(1c)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1に記載のゴム組成物。
【化3】
〔式中、X´は窒素含有複素環基、炭素数1~5のアルキル基、又はアリール基を示す。
Y´は2価の窒素含有複素環基、炭素数1~18のアルキレン基、又はアリーレン基を示す。
X´及びY´で示される各基は、さらに置換基を有していてもよい。
A、R、及びRは前記に同じである。〕
【請求項3】
前記式(1)においてXで示される窒素含有複素環基及び式(1a)においてX´で示される窒素含有複素環基は、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、及びベンゾイミダゾリル基からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記式(1)においてYで示されるアリーレン基及び式(1b)におけるY´で示されるアリーレン基がフェニレン基又はナフチレン基であり、前記アリーレン基はさらに置換基を有していてもよい、請求項1~3の何れか1項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記成分(c)が下記式(2a)で表される化合物である、請求項1~4の何れか1項に記載のゴム組成物。
【化4】
〔式中、Z´は炭素数6~25のアルキル基であり、A´は式(ia)又は(iia)であり、R、R、R10及びR11は、各々水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を示す。〕
【請求項6】
前記ゴム成分はジエン系ゴムである、請求項1~5の何れか1項に記載のゴム組成物。
【請求項7】
さらに、成分(d)シリカを含む、請求項1~6の何れか1項に記載のゴム組成物。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載のゴム組成物を用いて作製されたタイヤ。
【請求項9】
下記成分(b)及び(c)を含むゴム用添加剤。
成分(b);下記式(1)で表される化合物
成分(c);下記式(2)で表される化合物
【化5】
〔式中、Aは下記式(i)又は(ii)で示される基を示す。
式(i)又は(ii)において、R、R、R及びRは、各々水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を示す。
Xは、窒素含有複素環基、炭素数1~5のアルキル基、アリール基、又は基-Y-CO-NHAを示す。或いは、Xは、基-CHR-CR=N-を介してAと結合することにより環を形成してもよい。これら各基及び環は、さらに置換基を有していてもよい。
Yは、2価の窒素含有複素環基、炭素数1~18のアルキレン基、又はアリーレン基を示す。
は、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、又はアリール基を、
は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、ヒドラジド基、アミノ基、チオカルボキシル基、又はチオール基を示し、これら各基は更に置換基を有していてもよい。
Zは、炭素数6~40のアルキル基を示し、該アルキル基はさらに置換基を有していてもよい。〕
【化6】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物、タイヤ、及びゴム用添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省資源、省エネルギー、及び環境保護の観点から、二酸化炭素をはじめとした排出ガスの規制が厳しくなっており、自動車に対する低燃費化の要求が高まっている。自動車の低燃費化には、エンジン等の駆動系及び伝達系の寄与が大きい一方で、タイヤの転がり抵抗も大きく関与しているため、駆動系及び伝達系だけでなく、タイヤの転がり抵抗の改善も必要とされている。
【0003】
タイヤの転がり抵抗の改善方法として、ゴム組成物にヒドラジド化合物又はヒドラゾン化合物を配合する方法が知られている(特許文献1)。
【0004】
しかし、ヒドラジド化合物やヒドラゾン化合物をゴム組成物に配合すると、低発熱性が向上する一方で、ゴム組成物の粘性(ムーニー粘度)が増加する傾向があり、その結果、加工性が悪化するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-27315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような事情に鑑み、本発明の目的とするところは、十分な低発熱性を有する一方で、加工性に優れたゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、所定の化合物をゴム成分に加えることにより本来式(1)で表される化合物が有している低発熱性の効果を維持しつつ、ムーニー粘度の増加を抑え、優れた加工性を有するゴム組成物を得ることができることを見出した。本発明者は、かかる知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下のゴム組成物、タイヤ、及びゴム用添加剤を提供する。
項1.
下記成分(a)、(b)及び(c)を含むゴム組成物。
成分(a);ゴム成分
成分(b);下記式(1)で表される化合物
成分(c);下記式(2)で表される化合物
【化1】
〔式中、Aは下記式(i)又は(ii)で示される基を示す。
式(i)又は(ii)において、R、R、R及びRは、各々水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を示す。
Xは、窒素含有複素環基、炭素数1~5のアルキル基、アリール基、又は基-Y-CO-NHAを示す。或いは、Xは、基-CHR-CR=N-を介してAと結合することにより環を形成してもよい。これら各基及び環は、さらに置換基を有していてもよい。
Yは、2価の窒素含有複素環基、炭素数1~18のアルキレン基、又はアリーレン基を示す。
は、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、又はアリール基を、
は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、ヒドラジド基、アミノ基、チオカルボキシル基、又はチオール基を示し、これら各基は更に置換基を有していてもよい。
Zは、炭素数6~40のアルキル基を示し、該アルキル基はさらに置換基を有していてもよい。〕
【化2】
項2.
前記式(1)で表される化合物は、下記式(1a)、(1b)、及び(1c)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1に記載のゴム組成物。
【化3】
〔式中、X´は窒素含有複素環基、炭素数1~5のアルキル基、又はアリール基を示す。
Y´は2価の窒素含有複素環基、炭素数1~18のアルキレン基、又はアリーレン基を示す。
X´及びY´で示される各基は、さらに置換基を有していてもよい。
A、R、及びRは前記に同じである。〕
項3.
前記式(1)においてXで示される窒素含有複素環基及び式(1a)においてX´で示される窒素含有複素環基は、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、及びベンゾイミダゾリル基からなる群より選択される少なくとも一種である、項1又は2に記載のゴム組成物。
項4.
前記式(1)においてYで示されるアリーレン基及び式(1b)におけるY´で示されるアリーレン基がフェニレン基又はナフチレン基であり、前記アリーレン基はさらに置換基を有していてもよい、項1~3の何れかに記載のゴム組成物。
項5.
前記成分(c)が下記式(2a)で表される化合物である、項1~4の何れかに記載のゴム組成物。
【化4】
〔式中、Z´は炭素数6~25のアルキル基であり、A´は式(ia)又は(iia)であり、R、R、R10及びR11は、各々水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を示す。〕
項6.
前記ゴム成分はジエン系ゴムである、項1~5の何れかに記載のゴム組成物。
項7.
さらに、成分(d)シリカを含む、項1~6の何れかに記載のゴム組成物。
項8.
項1~7の何れかに記載のゴム組成物を用いて作製されたタイヤ。
項9.
下記成分(b)及び(c)を含むゴム用添加剤。
成分(b);下記式(1)で表される化合物
成分(c);下記式(2)で表される化合物
【化5】
〔式中、Aは下記式(i)又は(ii)で示される基を示す。
式(i)又は(ii)において、R、R、R及びRは、各々水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を示す。
Xは、窒素含有複素環基、炭素数1~5のアルキル基、アリール基、又は基-Y-CO-NHAを示す。或いは、Xは、基-CHR-CR=N-を介してAと結合することにより環を形成してもよい。これら各基及び環は、さらに置換基を有していてもよい。
Yは、2価の窒素含有複素環基、炭素数1~18のアルキレン基、又はアリーレン基を示す。
は、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、又はアリール基を、
は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、ヒドラジド基、アミノ基、チオカルボキシル基、又はチオール基を示し、これら各基は更に置換基を有していてもよい。
Zは、炭素数6~40のアルキル基を示し、該アルキル基はさらに置換基を有していてもよい。〕
【化6】
【発明の効果】
【0009】
本発明のゴム組成物は、十分な低発熱性を有する一方で、優れた加工性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1.ゴム組成物)
本発明のゴム組成物は、下記成分(a)、(b)、及び(c)を含む。
成分(a);ゴム成分
成分(b);下記式(1)で表される化合物
成分(c);下記式(2)で表される化合物
【0011】
【化7】
〔式中、Aは下記式(i)又は(ii)で示される基を示す。
式(i)又は(ii)において、R、R、R及びRは、各々水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を示す。
Xは、窒素含有複素環基、炭素数1~5のアルキル基、アリール基、又は基-Y-CO-NHAを示す。或いは、Xは、基-CHR-CR=N-を介してAと結合することにより環を形成してもよい。これら各基及び環は、さらに置換基を有していてもよい。
Yは、2価の窒素含有複素環基、炭素数1~18のアルキレン基、又はアリーレン基を示す。
は、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、又はアリール基を、
は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、ヒドラジド基、アミノ基、チオカルボキシル基、又はチオール基を示し、これら各基は更に置換基を有していてもよい。
Zは、炭素数6~40のアルキル基を示し、該アルキル基はさらに置換基を有していてもよい。〕
【0012】
【化8】
【0013】
(1.1.成分(a);ゴム成分)
本発明のゴム組成物に含まれるゴム成分としては、特に制限はなく、ジエン系ゴム及び非ジエン系ゴムの双方を好適に使用することができる。ここで、ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、合成ジエン系ゴム、並びに天然ゴム及び合成ジエン系ゴムの混合物等を挙げることができ、もちろんこれらに限定されない。
【0014】
天然ゴムとしては、天然ゴムラテックス、技術的格付けゴム(TSR)、スモークドシート(RSS)、ガタパーチャ、杜仲由来天然ゴム、グアユール由来天然ゴム、ロシアンタンポポ由来天然ゴムなどの天然ゴムに加えて、エポキシ化天然ゴム、メタクリル酸変性天然ゴム、スチレン変性天然ゴムなどの変性天然ゴム等が挙げられる。
【0015】
合成ジエン系ゴムとしては、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、スチレン-イソプレン-スチレン三元ブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレン三元ブロック共重合体(SBS)等、及びこれらの変性合成ジエン系ゴムが挙げられる。変性合成ジエン系ゴムとしては、主鎖変性、片末端変性、両末端変性などの変性手法によるジエン系ゴムが挙げられる。ここで、変性合成ジエン系ゴムの変性官能基としては、エポキシ基、アミノ基、アルコキシ基、水酸基などのヘテロ原子を含有する官能基を1種類以上含むものが挙げられる。また、ジエン部分のシス/トランス/ビニルの比率については、特に制限はなく、いずれの比率においても好適に用いることができる。また、ジエン系ゴムの平均分子量および分子量分布は、特に制限はなく、平均分子量500~300万が好適に用いることができる。また、合成ジエン系ゴムの製造方法についても、特に制限はなく、乳化重合、溶液重合、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などで合成されたものが挙げられる。
【0016】
非ジエン系ゴムとしては、公知のものを広く使用することができる。
【0017】
ゴム成分は、ジエン系ゴムを含んでいることが好ましく、ゴム成分100質量部中、ジエン系ゴムが50質量部以上含まれることが好ましく、75質量部以上含まれることがより好ましく、80~100質量部含まれていることが特に好ましい。
【0018】
また、ジエン系ゴムのガラス転移点については、-70℃から-20℃の範囲のものが耐摩耗性と制動特性の両立の観点から有効である。本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム中の50質量%以上が、ガラス転移点が-70℃から-20℃の範囲にあるジエン系ゴムであることが好ましい。
【0019】
ゴム成分は、1種単独で、又は2種以上を混合(ブレンド)して用いることができる。中でも、好ましいゴム成分としては、天然ゴム、IR、SBR、BR又はこれらから選ばれる2種以上の混合物であり、より好ましくは天然ゴム、SBR、BR又はこれらから選ばれる2種以上の混合物である。また、これらのブレンド比率は、特に制限はないが、ゴム成分100質量部中に、天然ゴム、SBR、BR又はこれらの混合物を50~100質量部の比率で配合することが好ましく、75~100質量部で配合することがより好ましい。SBR及びBRの混合物を配合する場合には、SBR及びBRの合計量が上記範囲であることが好ましい。また、このときのSBRは50~100質量部であり、BRが0~50質量部の範囲であることが好ましい。
【0020】
(1.2.成分(b);式(1)で表される化合物)
成分(b)は、下記式(1)で表される化合物である。
【0021】
【化9】
〔式中、Aは下記式(i)又は(ii)で示される基を示す。
式(i)又は(ii)において、R、R、R及びRは、各々水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を示す。
Xは、窒素含有複素環基、炭素数1~5のアルキル基、アリール基、又は基-Y-CO-NHAを示す。或いは、Xは、基-CHR-CR=N-を介してAと結合することにより環を形成してもよい。これら各基及び環は、さらに置換基を有していてもよい。
Yは、2価の窒素含有複素環基、炭素数1~18のアルキレン基、又はアリーレン基を示す。
は、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、又はアリール基を、
は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、ヒドラジド基、アミノ基、チオカルボキシル基、又はチオール基を示し、これら各基は更に置換基を有していてもよい。〕
【0022】
【化10】
【0023】
式(1)において、Aで示される基は式(i)又は(ii)で示される基を示す。式(i)又は(ii)において、R、R、R及びRは、各々水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を示す。
【0024】
かかる「炭素数1~18のアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、更に、1-エチルプロピル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、5-プロピルノニル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル等を加えた炭素数5~18の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等の炭素数3~8の環状アルキル基等が挙げられる。
【0025】
中でも、Aで示される基としては、R及びRが水素原子、又は炭素数1~6のアルキル基、R及びRが水素原子、又は炭素数1~18のアルキル基が好ましく、R及びRが水素原子、R及びRが炭素数1~12のアルキル基が更に好ましく、R及びRが水素原子、R及びRが炭素数1~6のアルキル基が特に好ましい。
【0026】
上記式(1)で表される化合物は、下記式(1a)、(1b)、及び(1c)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0027】
【化11】
〔式中、X´は窒素含有複素環基、炭素数1~5のアルキル基、又はアリール基を示す。
Y´は2価の窒素含有複素環基、炭素数1~18のアルキレン基、又はアリーレン基を示す。
X´及びY´で示される各基は、さらに置換基を有していてもよい。
A、R、及びRは前記に同じである。〕
【0028】
次に、式(1a)で表される化合物について説明する。
【0029】
【化12】
〔式中、X´は窒素含有複素環基、炭素数1~5のアルキル基、又はアリール基を示す。Aは下記式(i)又は(ii)で示される基を示す。〕
【0030】
【化13】
〔式中、R、R、R及びRは、各々水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を示す。〕
【0031】
式(1a)におけるX´において、「窒素含有複素環基」は特に限定はなく、例えば、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピラジニル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ピリミジル、3-ピリダジル、4-ピリダジル、4-(1,2,3-トリアジル)、5-(1,2,3-トリアジル)、2-(1,3,5-トリアジル)、3-(1,2,4-トリアジル)、5-(1,2,4-トリアジル)、6-(1,2,4-トリアジル)、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル、2-キノキサリル、3-キノキサリル、5-キノキサリル、6-キノキサリル、7-キノキサリル、8-キノキサリル、3-シンノリル、4-シンノリル、5-シンノリル、6-シンノリル、7-シンノリル、8-シンノリル、2-キナゾリル、4-キナゾリル、5-キナゾリル、6-キナゾリル、7-キナゾリル、8-キナゾリル、1-テトラヒドロキノリル、2-テトラヒドロキノリル、3-テトラヒドロキノリル、4-テトラヒドロキノリル、5-テトラヒドロキノリル、6-テトラヒドロキノリル、7-テトラヒドロキノリル、8-テトラヒドロキノリル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、1-(1,2,3-トリアゾリル)、4-(1,2,3-トリアゾリル)、5-(1,2,3-トリアゾリル)、1-(1,2,4-トリアゾリル)、3-(1,2,4-トリアゾリル)、5-(1,2,4-トリアゾリル)、1-テトラゾリル、5-テトラゾリル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル、1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル、1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル、6-ベンゾイミダゾリル、7-ベンゾイミダゾリル、1-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル、1-ピペラジル、2-ピペラジル、1-ピペリジル、2-ピペリジル、3-ピペリジル、4-ピペリジル、1-ピロリジル、2-ピロリジル、3-ピロリジル等が挙げられる。これらの中でも、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、又はベンゾイミダゾリル基であることが好ましい。
【0032】
上記式(1a)中のX´において、「炭素数1~5のアルキル基」は、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数1~5のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、1-エチルプロピル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1~3のアルキル基が好ましい。
【0033】
上記式(1a)中のX´において、「アリール基」は、特に限定はなく、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基であることが好ましい。
【0034】
X´は、さらに置換基を有していてもよい。かかる置換基としては特に限定はなく、例えばアミノ基、水酸基、チオール基、アルキル基、チオアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、複素環基、及びニトロ基を例示することができる。
【0035】
X´がさらに有する置換基としての「アミノ基」は、-NHで表されるアミノ基だけでなく、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、イソブチルアミノ、s-ブチルアミノ、t-ブチルアミノ、1-エチルプロピルアミノ、n-ペンチルアミノ、ネオペンチルアミノ、n-ヘキシルアミノ、イソヘキシルアミノ、3-メチルペンチルアミノ基等の炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジエチルアミノ基等の炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を2つ有するジアルキルアミノ基等の置換アミノ基も含まれるものと定義される。
【0036】
X´がさらに有する置換基としての「アルキル基」は、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、更に、1-エチルプロピル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、5-プロピルノニル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル等を加えた炭素数5~18の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等の炭素数3~8の環状アルキル基等が挙げられる。
【0037】
X´がさらに有する置換基としての「チオアルキル基」は、特に限定はなく、例えば、直鎖状、又は分岐鎖状のチオアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピオチオ基、イソプロピオチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、t-ブチルチオ基、1-エチルプロピルチオ基、n-ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、イソヘキシルチオ基、3-メチルペンチルチオ基、n-ヘプチルチオ基、n-オクチルチオ基、n-ノニルチオ基、n-デシルチオ基、n-ウンデシルチオ基、n-ドデシルチオ基、5-プロピルノニルチオ基、n-トリデシルチオ基、n-テトラデシルチオ基、n-ペンタデシルチオ基、ヘキサデシルチオ基、ヘプタデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられる。
【0038】
X´がさらに有する置換基としての「アルコキシ基」は、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ基の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基;シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシ基等の環状アルコキシ基等が挙げられる。
【0039】
X´がさらに有する置換基としての「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
【0040】
X´がさらに有する置換基としての「複素環基」は、特に限定はなく、例えば、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピラジニル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ピリミジル、3-ピリダジル、4-ピリダジル、4-(1,2,3-トリアジル)、5-(1,2,3-トリアジル)、2-(1,3,5-トリアジル)、3-(1,2,4-トリアジル)、5-(1,2,4-トリアジル)、6-(1,2,4-トリアジル)、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル、2-キノキサリル、3-キノキサリル、5-キノキサリル、6-キノキサリル、7-キノキサリル、8-キノキサリル、3-シンノリル、4-シンノリル、5-シンノリル、6-シンノリル、7-シンノリル、8-シンノリル、2-キナゾリル、4-キナゾリル、5-キナゾリル、6-キナゾリル、7-キナゾリル、8-キナゾリル、1-フタラジル、4-フタラジル、5-フタラジル、6-フタラジル、7-フタラジル、8-フタラジル、1-テトラヒドロキノリル、2-テトラヒドロキノリル、3-テトラヒドロキノリル、4-テトラヒドロキノリル、5-テトラヒドロキノリル、6-テトラヒドロキノリル、7-テトラヒドロキノリル、8-テトラヒドロキノリル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル、4-(1,2,3-チアジアゾリル)、5-(1,2,3-チアジアゾリル)、3-(1,2,5-チアジアゾリル)、2-(1,3,4-チアジアゾリル)、4-(1,2,3-オキサジアゾリル)、5-(1,2,3-オキサジアゾリル)、3-(1,2,4-オキサジアゾリル)、5-(1,2,4-オキサジアゾリル)、3-(1,2,5-オキサジアゾリル)、2-(1,3,4-オキサジアゾリル)、1-(1,2,3-トリアゾリル)、4-(1,2,3-トリアゾリル)、5-(1,2,3-トリアゾリル)、1-(1,2,4-トリアゾリル)、3-(1,2,4-トリアゾリル)、5-(1,2,4-トリアゾリル)、1-テトラゾリル、5-テトラゾリル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル、1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル、1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル、6-ベンゾイミダゾリル、7-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、4-ベンゾフラニル、5-ベンゾフラニル、6-ベンゾフラニル、7-ベンゾフラニル、1-イソベンゾフラニル、3-イソベンゾフラニル、4-イソベンゾフラニル、5-イソベンゾフラニル、6-イソベンゾフラニル、7-イソベンゾフニル、2-ベンゾチエニル、3-ベンゾチエニル、4-ベンゾチエニル、5-ベンゾチエニル、6-ベンゾチエニル、7-ベンゾチエニル、2-ベンゾオキサゾリル、4-ベンゾオキサゾリル、5-ベンゾオキサゾリル、6-ベンゾオキサゾリル、7-ベンゾオキサゾリル、2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル、1-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル、2-モルホリル、3-モルホリル、4-モルホリル、1-ピペラジル、2-ピペラジル、1-ピペリジル、2-ピペリジル、3-ピペリジル、4-ピペリジル、2-テトラヒドロピラニル、3-テトラヒドロピラニル、4-テトラヒドロピラニル、2-テトラヒドロチオピラニル、3-テトラヒドロチオピラニル、4-テトラヒドロチオピラニル、1-ピロリジル、2-ピロリジル、3-ピロリジル、フラニル、2-テトラヒドロフラニル、3-テトラヒドロフラニル、2-テトラヒドロチエニル、3-テトラヒドロチエニル、5-メチル-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-イル基等が挙げられる。
【0041】
式(1a)で表される化合物の中でも、X´が窒素含有複素環基、炭素数1~3のアルキル基であり、かつ、AのR及びRが水素原子、R及びRが炭素数1~18のアルキル基であることが好ましく、X’がピリジル基、トリアゾリル基、ピラジル基、イソキノリル基、ピリミジル基、ピリダジル基、ベンゾイミダゾリル基、炭素数1~3のアルキル基であり、かつ、AのR及びRが水素原子、R及びRが炭素数1~12のアルキル基であることが更に好ましく、X´がピリジル基、トリアゾリル基であり、かつ、AのR及びRが水素原子、R及びRが炭素数1~6のアルキル基であることが特に好ましい。
【0042】
式(1a)で表される化合物として、より具体的には、ピリジン-2-カルボヒドラジド、ピリジン-3-カルボヒドラジド、4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボヒドラジド、ピラジン-2-カルボヒドラジド、イソキノリン-1-カルボヒドラジド、ピリミジン-2-カルボヒドラジド、ピリダジン-3-カルボヒドラジド、ピリダジン-4-カルボヒドラジド、2-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)アセトヒドラジド、2-アミノ-4-(メチルスルファニル)ブタンヒドラジド、2-アミノ-3-(ドデシルスルファニル)プロパンヒドラジド、N’-(4-メチルペンタン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジド、N’-(プロパン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジド、及びN’-(トリデカン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジドを例示することができる。中でも、ピリジン-2-カルボヒドラジド、ピリジン-3-カルボヒドラジド、4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボヒドラジド、N’-(4-メチルペンタン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジド、N’-(トリデカン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジドが好ましい。
【0043】
式(1b)におけるY´は、2価の窒素含有複素環基、炭素数1~18のアルキレン基、又はアリーレン基を示す。
【0044】
【化14】
〔式中、Y´は2価の窒素含有複素環基、炭素数1~18のアルキレン基、又はアリーレン基を示す。Y´で示される各基は、さらに置換基を有していてもよい。Aは下記式(i)又は(ii)で示される基を示す。〕
【0045】
【化15】
〔式中、R、R、R及びRは、各々水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を示す。〕
【0046】
Y´が2価の窒素含有複素環基である場合、これら各基は具体的には、ピリジレン基、ピリミジレン基、ピラジニレン基、ピリダジニレン基又はトリアジレン基であることが好ましい。
【0047】
Y´がアルキレン基である場合、具体的には直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基が挙げられ、具体的には、例えば、メチレン、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、s-ブチレン、t-ブチレン、1-エチルプロピレン、n-ペンチレン、イソペンチレン、ネオペンチレン、n-ヘキシレン、イソヘキシレン、3-メチルペンチレン、n-ヘプチレン、n-オクチレン、n-ノニレン、n-デシレン、n-ウンデシレン、n-ドデシレン、5-プロピルノニレン、n-トリデシレン、n-テトラデシレン、n-ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレン等が挙げられる。
【0048】
Y´がアリーレン基である場合、具体的には、フェニレン基又はナフチレン基であることが好ましく、フェニレン基であることが特に好ましい。
【0049】
Y´はさらに置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、X´に同じである。
【0050】
式(1b)で表される化合物におけるAで示される基は、式(i)で示される基であることが好ましく、中でもR及びRが水素原子であることが特に好ましい。
【0051】
上記式(1b)で表される化合物の中でも、Y´が2価の窒素含有複素環基、炭素数1~18のアルキレン基、又はアリーレン基であり、かつ、AのR及びRが水素原子、R及びRが炭素数1~18のアルキル基であることが好ましくY´がピリジレン基、炭素数1~18のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基であり、かつ、AのR及びRが水素原子、R及びRが炭素数1~12のアルキル基であることが更に好ましく、Y´がピリジレン基、フェニレン基であり、かつ、Aが式(i)で示される基で、R及びRが水素原子であることが特に好ましい。
【0052】
上記式(1b)で表される化合物は、より具体的には、ピリジン-3,5-ジカルボヒドラジド、ピリジン-2,6-ジカルボヒドラジド、ピリジン-2,4-ジカルボヒドラジド、ピリジン-2,5-ジカルボヒドラジド、ベンゼン-1,3-ジカルボヒドラジド等が挙げられ、中でも、ピリジン-3,5-ジカルボヒドラジド、ベンゼン-1,3-ジカルボヒドラジドが好ましい。
【0053】
次に、式(1c)で表される化合物について説明する。
【0054】
【化16】
〔式中、Rは、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、又はアリール基を、
は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、ヒドラジド基、アミノ基、チオカルボキシル基、又はチオール基を示し、これら各基は更に置換基を有していてもよい。〕
【0055】
上記式(1c)中のRにおいて、「炭素数1~18のアルキル基」は、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、1-エチルプロピル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、5-プロピルノニル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。中でも、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチルであることが好ましく、メチルであることがより好ましい。
【0056】
上記式(1c)中のRにおいて、「アリール基」は、特に限定はなく、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0057】
上記式(1c)中のRにおいて、「ハロゲン原子」は、特に限定はなく、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
【0058】
上記式(1c)中のRにおいて、「アルキル基」は、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、更に、1-エチルプロピル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、5-プロピルノニル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル等を加えた炭素数5~18の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等の炭素数3~8の環状アルキル基等が挙げられる。
【0059】
上記式(1c)中のRにおいて、「アルケニル基」は、特に限定はなく、例えば、ビニル基、アリル基等が挙げられる。
【0060】
上記式(1c)中のRにおいて、「アミノ基」は、-NHで表されるアミノ基だけでなく、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、イソブチルアミノ、s-ブチルアミノ、t-ブチルアミノ、1-エチルプロピルアミノ、n-ペンチルアミノ、ネオペンチルアミノ、n-ヘキシルアミノ、イソヘキシルアミノ、3-メチルペンチルアミノ基等の炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジエチルアミノ基等の炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を2つ有するジアルキルアミノ基等の置換アミノ基も含まれるものと定義される。
【0061】
上記式(1c)中のRにおいて、水素原子、ヒドラジド基、チオール基であることが好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
【0062】
はさらに置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、X´に同じである。
【0063】
式(1c)で表される化合物として、より具体的には、3-メチル-5-ピラゾロン、3-フェニル-5-ピラゾロン、及び2-(3-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-イル)アセトヒドラジドを挙げることができる。中でも、3-メチル-5-ピラゾロンが好ましい。
【0064】
本発明のゴム組成物において、式(1)で表される化合物は、上記した化合物の中から選ばれる一種のみを単独で含んでいてもよいし、二種以上を混合して含んでいてもよい。
【0065】
式(1)で表される化合物の配合割合は、成分(a)のゴム成分100質量部に対して0.01~30質量部とすることが好ましく、0.05~5質量部とすることがより好ましい。当該割合で配合することにより、低発熱性の向上効果を、効果的に得ることができる。
【0066】
(1.3.成分(c);式(2)で表される化合物)
成分(c)は、下記式(2)で表される化合物である。
【0067】
【化17】
〔式中、Aは下記(i)又は(ii)で示される基を示す。
式(i)又は(ii)において、R、R、R及びRは、各々水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を示す。
Zは、炭素数6~40のアルキル基を示し、該アルキル基はさらに置換基を有していてもよい。〕
【化18】
【0068】
上記式(2)中のZは、炭素数が6以上であればよく、例えば、炭素数6~40のアルキル基を示し、さらに置換基を有していてもよい。かかるアルキル基の炭素数としては、8~35が好ましく、10~30がより好ましく、12~25がさらに好ましい。炭素数40よりも大きい場合であっても期待する程度の効果の上昇は得られない。
【0069】
さらに、Zを構成するアルキル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、アミノ基、水酸基、チオール基、アルキル基、チオアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、複素環基、及びニトロ基からなる群より選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0070】
上記式(2)中のZにおいて、「炭素数6~40のアルキル基」は、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数6~40のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、シクロペンチルメチル、n-ヘプチル、イソヘプチル、ネオペンチル、2-エチルペンチル、n-オクチル、イソオクチル、ネオオクチル、シクロオクチル、n-ノニル、イソノニル、ネオノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、2-ヘキシルノニル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、イコシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、ヘントリアコンチル、ドトリアコンチル、トリトリアコンチル、テトラトリアコンチル、ペンタトリアコンチル、ヘキサトリアコンチル、テトラコンチル、2-ヘキサデシルヘプタデシル等が挙げられる。
【0071】
上記式(2)中のZの有する置換基の「アミノ基」としては、-NHで表されるアミノ基だけでなく、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、イソブチルアミノ、s-ブチルアミノ、t-ブチルアミノ、1-エチルプロピルアミノ、n-ペンチルアミノ、ネオペンチルアミノ、n-ヘキシルアミノ、イソヘキシルアミノ、3-メチルペンチルアミノ基等の炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジエチルアミノ基等の炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を2つ有するジアルキルアミノ基等の置換アミノ基も含まれるものと定義される。
【0072】
上記式(2)中のZの有する置換基の「アルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、更に、1-エチルプロピル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、5-プロピルノニル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル等を加えた炭素数5~18の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等の炭素数3~8の環状アルキル基等が挙げられる。
【0073】
上記式(2)中のZの有する置換基の「チオアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、又は分岐鎖状のチオアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピオチオ基、イソプロピオチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、t-ブチルチオ基、1-エチルプロピルチオ基、n-ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、イソヘキシルチオ基、3-メチルペンチルチオ基、n-ヘプチルチオ基、n-オクチルチオ基、n-ノニルチオ基、n-デシルチオ基、n-ウンデシルチオ基、n-ドデシルチオ基、5-プロピルノニルチオ基、n-トリデシルチオ基、n-テトラデシルチオ基、n-ペンタデシルチオ基、ヘキサデシルチオ基、ヘプタデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられる。
【0074】
上記式(2)中のZの有する置換基の「アルコキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ基の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基;シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシ基等の環状アルコキシ基等が挙げられる。
【0075】
同様に、上記式(2)中のZにおいて、「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
【0076】
同様に、上記式(2)中のZの有する置換基の「複素環基」としては、特に限定はなく、例えば、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピラジニル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ピリミジル、3-ピリダジル、4-ピリダジル、4-(1,2,3-トリアジル)、5-(1,2,3-トリアジル)、2-(1,3,5-トリアジル)、3-(1,2,4-トリアジル)、5-(1,2,4-トリアジル)、6-(1,2,4-トリアジル)、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル、2-キノキサリル、3-キノキサリル、5-キノキサリル、6-キノキサリル、7-キノキサリル、8-キノキサリル、3-シンノリル、4-シンノリル、5-シンノリル、6-シンノリル、7-シンノリル、8-シンノリル、2-キナゾリル、4-キナゾリル、5-キナゾリル、6-キナゾリル、7-キナゾリル、8-キナゾリル、1-フタラジル、4-フタラジル、5-フタラジル、6-フタラジル、7-フタラジル、8-フタラジル、1-テトラヒドロキノリル、2-テトラヒドロキノリル、3-テトラヒドロキノリル、4-テトラヒドロキノリル、5-テトラヒドロキノリル、6-テトラヒドロキノリル、7-テトラヒドロキノリル、8-テトラヒドロキノリル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル、4-(1,2,3-チアジアゾリル)、5-(1,2,3-チアジアゾリル)、3-(1,2,5-チアジアゾリル)、2-(1,3,4-チアジアゾリル)、4-(1,2,3-オキサジアゾリル)、5-(1,2,3-オキサジアゾリル)、3-(1,2,4-オキサジアゾリル)、5-(1,2,4-オキサジアゾリル)、3-(1,2,5-オキサジアゾリル)、2-(1,3,4-オキサジアゾリル)、1-(1,2,3-トリアゾリル)、4-(1,2,3-トリアゾリル)、5-(1,2,3-トリアゾリル)、1-(1,2,4-トリアゾリル)、3-(1,2,4-トリアゾリル)、5-(1,2,4-トリアゾリル)、1-テトラゾリル、5-テトラゾリル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル、1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル、1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル、6-ベンゾイミダゾリル、7-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、4-ベンゾフラニル、5-ベンゾフラニル、6-ベンゾフラニル、7-ベンゾフラニル、1-イソベンゾフラニル、3-イソベンゾフラニル、4-イソベンゾフラニル、5-イソベンゾフラニル、6-イソベンゾフラニル、7-イソベンゾフニル、2-ベンゾチエニル、3-ベンゾチエニル、4-ベンゾチエニル、5-ベンゾチエニル、6-ベンゾチエニル、7-ベンゾチエニル、2-ベンゾオキサゾリル、4-ベンゾオキサゾリル、5-ベンゾオキサゾリル、6-ベンゾオキサゾリル、7-ベンゾオキサゾリル、2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル、1-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル、2-モルホリル、3-モルホリル、4-モルホリル、1-ピペラジル、2-ピペラジル、1-ピペリジル、2-ピペリジル、3-ピペリジル、4-ピペリジル、2-テトラヒドロピラニル、3-テトラヒドロピラニル、4-テトラヒドロピラニル、2-テトラヒドロチオピラニル、3-テトラヒドロチオピラニル、4-テトラヒドロチオピラニル、1-ピロリジル、2-ピロリジル、3-ピロリジル、フラニル、2-テトラヒドロフラニル、3-テトラヒドロフラニル、2-テトラヒドロチエニル、3-テトラヒドロチエニル、5-メチル-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-イル基等が挙げられる。
【0077】
上記式(2)中のAにおける「アルキル基」は、上記式(1)中のAにおける「アルキル基」と同様である。
【0078】
これらの中でも、上記式(2)中のAとしては、R及びRが水素原子、R及びRが水素原子、又は炭素数1~18のアルキル基が好ましく、R及びRが水素原子、R及びRが炭素数1~12のアルキル基が更に好ましく、R及びRが水素原子、R及びRが炭素数1~6のアルキル基が特に好ましい。
【0079】
上記式(2)で表される化合物の中でも、Zが炭素数6~35のアルキル基であり、かつ、AのR及びRが水素原子、R及びRが炭素数1~18のアルキル基であることが好ましく、Zが炭素数10~30のアルキル基であり、かつ、AのR及びRが水素原子、R及びRが炭素数1~12のアルキル基であることが更に好ましく、Zが炭素数12~25のアルキル基であり、かつ、AのR及びRが水素原子、R及びRが炭素数1~6のアルキル基であることが特に好ましい。
【0080】
より具体的には、式(2)で表される化合物としては、下記式(2a)で表される化合物であることがより好ましい。
【0081】
【化19】
〔式中、Z´は炭素数6~25のアルキル基であり、A´は式(ia)又は(iia)であり、R、R、R10及びR11は、各々水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を示す。〕
【0082】
式(2a)で表される化合物の中でも、Z´が炭素数6~25のアルキル基である化合物が好ましく、炭素数8~20のアルキル基である化合物がより好ましく、炭素数12~18のアルキル基である化合物が更に好ましい。
【0083】
式(2a)で表される化合物であって、A´が式(ia)である化合物の場合、R及びRが水素原子である化合物が好ましい。
【0084】
式(2a)で表される化合物であって、A´が式(iia)である化合物の場合、R10及びR11が各々炭素数1~6のアルキル基である化合物が好ましく、炭素数1~5のアルキル基である化合物がより好ましい。
【0085】
式(2a)で表される化合物の中でも、Z´が炭素数12~18のアルキル基であり、かつ、A´が式(ia)で示される基で、R及びRが水素原子であることが特に好ましい。
【0086】
さらに具体的には、式(2)で表される化合物は、ヘプタンヒドラジド、オクタンヒドラジド、ノナンヒドラジド、デカンヒドラジド、ドデカンヒドラジド、ペンタデカンヒドラジド、オクタデカンヒドラジド、イコサンヒドラジド、ペンタコサンヒドラジド、トリアコンタンヒドラジド、テトラコンタヒドラジド等が挙げられ、中でも、オクタデカンヒドラジドであることが好ましい。
【0087】
本発明のゴム組成物において、式(2)で表される化合物は、上記した化合物の中から選ばれる一種のみを単独で含んでいてもよいし、二種以上を混合して含んでいてもよい。
【0088】
式(2)で表される化合物の配合割合は、成分(a)のゴム成分100質量部に対して0.01~30質量部とすることが好ましく、0.05~5質量部とすることがより好ましい。当該割合で配合することにより、加工性の向上効果を、効果的に得ることができる。
【0089】
成分(b)と(c)の配合割合は、成分(b):成分(c)=1:500~500:1とすることが好ましく、成分(b):成分(c)=1:100~100:1とすることがより好ましく、成分(b):成分(c)=1:20~20:1とすることがさらに好ましい。
【0090】
成分(b)と(c)との好ましい組み合わせとしては、例えば、成分(b)として、ピリジン-2-カルボヒドラジド、ベンゼン-1,3-ジカルボヒドラジド、N’-(4-メチルペンタン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジドからなる群から選ばれる少なくとも1種と、成分(c)として、オクタデカンヒドラジド、ヘプタンヒドラジド、オクタンヒドラジド、ドデカンヒドラジドからなる群から選ばれる少なくとも1種との組み合わせを例示でき、具体的には、成分(b):ピリジン-2-カルボヒドラジドと成分(c):オクタデカンヒドラジド、成分(b):ベンゼン-1,3-ジカルボヒドラジドと成分(c):オクタデカンヒドラジド、又は、成分(b):N’-(4-メチルペンタン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジドと成分(c):オクタデカンヒドラジドとすることが好ましく、成分(b):ピリジン-2-カルボヒドラジドと成分(c):オクタデカンヒドラジド、又は成分(b):ベンゼン-1,3-ジカルボヒドラジドと成分(c):オクタデカンヒドラジドとすることがより好ましい。
【0091】
(1.4.その他の配合成分)
本発明のゴム組成物は、上記したゴム成分及び化合物以外にも、充填材、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、オゾン防止剤、軟化剤、加工助剤、ワックス、樹脂、発泡剤、オイル、ステアリン酸、亜鉛華(ZnO)、加硫促進剤、加硫遅延剤、加硫剤(硫黄)等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。
【0092】
充填材としては、ゴム工業界で使用される公知の充填材を広く使用することが可能である。具体的には、カーボンブラック及び無機充填材を例示することができ、もちろんこれらに限定されない。
【0093】
カーボンブラックとしては、特に制限はなく、例えば、市販品のカーボンブラック、Carbon-Silica Dual phase filler等が挙げられる。
【0094】
具体的に、カーボンブラックとしては、例えば、高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、N110、N134、N220、N234、N330、N339、N375、N550、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラック等が挙げられる。中でも、好ましいカーボンブラックとしては、SAF、ISAF、IISAF、N134、N234、N330、N339、N375、HAF、又はFEFグレードのカーボンブラックである。
【0095】
カーボンブラックのDBP吸収量としては、特に制限はなく、好ましくは60~200cm/100g、より好ましくは70~180cm/100g、特に好ましくは80~160cm/100gである。
【0096】
また、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217-2:2001に準拠して測定する)は、好ましくは30~200m/g、より好ましくは40~180m/g、特に好ましくは50~160m/gである。
【0097】
無機充填材としては、ゴム工業界において、通常使用される無機化合物であれば、特に制限はない。使用できる無機化合物としては、例えば、シリカ、γ-アルミナ、α-アルミナ等のアルミナ(Al);ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al・HO);ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)];炭酸アルミニウム[Al(CO]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO・9HO)、チタン白(TiO)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al)、クレー(Al・2SiO)、カオリン(Al・2SiO・2HO)、パイロフィライト(Al・4SiO・HO)、ベントナイト(Al・4SiO・2HO)、ケイ酸アルミニウム(AlSiO、Al・3SiO・5HO等)、ケイ酸マグネシウム(MgSiO、MgSiO等)、ケイ酸カルシウム(Ca・SiO等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al・CaO・2SiO等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO)、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)・nHO]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が挙げられる。これらの無機充填材は、ゴム成分との親和性を向上させるために、該無機充填材の表面が有機処理されていてもよい。
【0098】
中でも、無機充填材としては、制動特性の観点からシリカが好ましく、シリカのBET比表面積としては、特に制限はなく、例えば、40~350m/gの範囲が挙げられる。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性及びゴム成分中への分散性を両立できるという利点がある。該BET比表面積は、ISO 5794/1に準拠して測定される。
【0099】
この観点から、好ましいシリカとしては、BET比表面積が50~350m/gの範囲にあるシリカであり、より好ましくは、BET比表面積が100~270m/gであるシリカであり、特に好ましくは、BET比表面積が110~270m/gの範囲にあるシリカである。
【0100】
このようなシリカの市販品としては、Quechen Silicon Chemical Co., Ltd.製の商品名「HD165MP」(BET比表面積=165m/g)、「HD115MP」(BET比表面積=115m/g)、「HD200MP」(BET比表面積=200m/g)、「HD250MP」(BET比表面積=250m/g)、東ソー・シリカ株式会社製の商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積=205m/g)、「ニップシールKQ」(BET比表面積=240m/g)、デグッサ社製の商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積=175m/g)等が挙げられる。
【0101】
充填材の配合量としては、ゴム成分100質量部に対して、20~120質量部とすることが好ましく、30~100質量部とすることがより好ましく、40~90質量部とすることがさらに好ましい。
【0102】
充填材の中でも、カーボンブラック又はシリカが好ましい。それぞれ単独で使用しても良いし、併用しても良い。
【0103】
本発明のゴム組成物は、シリカを含むことが特に好ましく、本発明のゴム組成物に、成分(d)として、シリカを追加しても良い。
【0104】
シリカを含むことで、加工性の悪化を一層抑制でき、式(1)で表される化合物が本来有する低発熱性の効果を十分に発揮することができる。
【0105】
シリカの配合量としては、ゴム成分100質量部に対して、5~120質量部とすることが好ましく、10~100質量部とすることがより好ましく、15~90質量部とすることがさらに好ましい。
【0106】
また、上記充填材が配合されたゴム組成物においては、充填材によるゴム組成物の靱性を高める目的、又はゴム組成物の引裂き強度と共に耐摩耗性を高める目的で、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、又はジルコネートカップリング剤を配合してもよい。
【0107】
上記充填材と併用可能なシランカップリング剤としては特に制限されず、市販品を好適に使用することができる。このようなシランカップリング剤として、例えばスルフィド系、ポリスルフィド系、チオエステル系、チオール系、オレフィン系、エポキシ系、アミノ系、又はアルキル系のシランカップリング剤が挙げられる。
【0108】
スルフィド系のシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリル
プロピル)トリスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)トリスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)ジスルフィド等が挙げられる。これらの内、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが特に好ましい。
【0109】
チオエステル系のシランカップリング剤としては、例えば、3-ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0110】
チオール系のシランカップリング剤としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-[エトキシビス(3,6,9,12,15-ペンタオキサオクタコサン-1-イルオキシ)シリル]-1-プロパンチオール等を挙げることができる。
【0111】
オレフィン系のシランカップリング剤としては、例えば、ジメトキシメチルビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルエトキシビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-(メトキシジメトキシジメチルシリル)プロピルアクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3-[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート等を挙げることができる。
【0112】
エポキシ系のシランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、トリエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)シラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0113】
アミノ系のシランカップリング剤としては、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-エトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、3-アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
【0114】
アルキル系のシランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、メチルトリエトキシシランが好ましい。
【0115】
これらシランカップリング剤の中でも、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドを特に好ましく使用することができる。
【0116】
充填材と併用可能なチタネートカップリング剤としては特に制限されず、市販品を好適に使用することができる。このようなチタネートカップリング剤として、例えばアルコキシド系、キレート系、アシレート系のチタネートカップリング剤が挙げられる。
【0117】
アルコキシド系のチタネートカップリング剤としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、テトラターシャリーブチルチタネート、テトラステアリルチタネート等を挙げることができる。これらの内、テトライソプロピルチタネートが好ましい。
【0118】
キレート系のチタネートカップリング剤としては、例えば、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、ドデシルベンゼンスルホン酸チタン化合物、リン酸チタン化合物、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンエタノールアミネート、チタンオクチレングリコレート、チタンアミノエチルアミノエタノレート等を挙げることができる。これらの内、チタンアセチルアセトネートが好ましい。
【0119】
アシレート系のチタネートカップリング剤としては、例えば、チタンイソステアレート等を挙げることができる。
【0120】
充填材と併用可能なアルミネートカップリング剤としては特に制限されず、市販品を好適に使用することができる。このようなアルミネートカップリング剤として、9-オクタデセニルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムセカンダリーブトキシド、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等が挙げることができる。これらの内、9-オクタデセニルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートが好ましい。
【0121】
充填材と併用可能なジルコネートカップリング剤としては特に制限されず、市販品を好適に使用することができる。このようなジルコネートカップリング剤として、例えばアルコキシド系、キレート系、アシレート系のジルコネートカップリング剤が挙げられる。
【0122】
アルコキシド系のジルコニウム系カップリング剤としては、例えば、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート等を挙げることができる。この内、ノルマルブチルジルコネートが好ましい。
【0123】
キレート系のジルコネートカップリング剤としては、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテート、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩等を挙げることができる。この内、ジルコニウムテトラアセチルアセトネートが好ましい。
【0124】
アシレート系のジルコネートカップリング剤としては、例えば、ステアリン酸ジルコニウム、オクチル酸ジルコニウム等を挙げることができる。この内、ステアリン酸ジルコニウムが好ましい。
【0125】
本発明においては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0126】
シランカップリング剤の配合量は、上記充填材100質量部に対して、0.1~20質量部とすることが好ましく、3~15質量部とすることがより好ましい。0.1質量部以上であれば、ゴム組成物の引裂き強度向上の効果をより好適に発現することができ、20質量部以下であれば、ゴム組成物のコストが低減し、経済性が向上する。
【0127】
(2.タイヤ)
上述した本発明のゴム組成物を使用してタイヤを製造することにより、低発熱性に優れたタイヤを得ることができる。
【0128】
本発明のタイヤにおいて、上記ゴム組成物は、特にトレッド部、サイドウォール部、ビードエリア部、ベルト部、カーカス部及びショルダー部から選ばれる少なくとも一つの部材に用いられる。
【0129】
中でも、空気入りタイヤのタイヤトレッド部を当該ゴム組成物で形成するのが最も好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0130】
トレッド部とは、トレッドパターンを有し、路面と直接接する部分で、カーカス部を保護するとともに摩耗及び外傷を防ぐタイヤの外皮部分であり、タイヤの接地部を構成するキャップトレッド及び/又はキャップトレッドの内側に配設されるベーストレッドをいう。
【0131】
サイドウォール部とは、例えば、空気入りラジアルタイヤにおけるショルダー部の下側からビード部に至るまでの部分であり、カーカス部を保護するとともに、走行する際に最も屈曲の激しい部分である。
【0132】
ビードエリア部とは、カーカスコードの両端を固定し、同時にタイヤをリムに固定させる役目を負っている部分である。ビードとは高炭素鋼を束ねた構造である。
【0133】
ベルト部とは、ラジアル構造のトレッドとカーカスとの間に円周方向に張られた補強帯である。カーカス部を桶のたがの様に強く締付けトレッドの剛性を高めている。
【0134】
カーカス部とは、タイヤの骨格を形成するコード層の部分であり、タイヤの受ける荷重、衝撃、及び充填空気圧に耐える役割を果たしている。
【0135】
ショルダー部とは、タイヤの肩の部分で、カーカス部を保護する役目を果たす。
【0136】
本発明のタイヤは、タイヤの分野において、これまでに知られている方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常の又は酸素分圧を調整した空気;窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【0137】
(3.ゴム用添加剤)
本発明のゴム用添加剤は、下記成分(b)及び(c)を含む。
成分(b);下記式(1)で表される化合物
成分(c);下記式(2)により表される化合物
【0138】
【化20】
〔式中、Aは下記式(i)又は(ii)で示される基を示す。
式(i)又は(ii)において、R、R、R及びRは、各々水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を示す。
Xは、窒素含有複素環基、炭素数1~5のアルキル基、アリール基、又は基-Y-CO-NHAを示す。或いは、Xは、基-CHR-CR=N-を介してAと結合することにより環を形成してもよい。これら各基及び環は、さらに置換基を有していてもよい。
Yは、2価の窒素含有複素環基、炭素数1~18のアルキレン基、又はアリーレン基を示す。
は、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、又はアリール基を、

は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、ヒドラジド基、アミノ基、チオカルボキシル基、又はチオール基を示し、これら各基は更に置換基を有していてもよい。
Zは、炭素数6~40のアルキル基を示し、該アルキル基はさらに置換基を有していてもよい。〕
【0139】
【化21】
【0140】
本発明のゴム用添加剤に含まれる成分(b)及び成分(c)については、上記した本発明のゴム組成物に含まれる成分(b)及び成分(c)に同じであり、当該ゴム用添加剤を使用して得られるゴム材料は、優れた低発熱性及び加工性を有し、例えばタイヤ等に好適に使用することが可能である。
【0141】
本発明のゴム用添加剤は、式(1)で表される化合物、及び式(2)で表される化合物等が混合された状態で使用することができる。その場合、これらの化合物等を、所定量又は適量秤量して、公知の方法で混合すればよい。混合は、例えば、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ミル、ペイントシェーカー、ロッキングミル、ロッキングミキサー、ビーズミル、撹拌機等を用いて、湿式及び乾式の何れでも行うことができる。
【0142】
成分(b)と(c)の配合割合は、成分(b):成分(c)=1:500~500:1とすることが好ましく、成分(b):成分(c)=100:1~1:100とすることがより好ましく、成分(b):成分(c)=1:20~20:1とすることがさらに好ましい。
【0143】
成分(b)と(c)との好ましい組み合わせとしては、例えば、成分(b)として、ピリジン-2-カルボヒドラジド、ベンゼン-1,3-ジカルボヒドラジド、N’-(4-メチルペンタン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジドからなる群から選ばれる少なくとも1種と、成分(c)として、オクタデカンヒドラジド、ヘプタンヒドラジド、オクタンヒドラジド、ドデカンヒドラジドからなる群から選ばれる少なくとも1種との組み合わせを例示でき、具体的には、成分(b):ピリジン-2-カルボヒドラジドと成分(c):オクタデカンヒドラジド、成分(b):ベンゼン-1,3-ジカルボヒドラジドと成分(c):オクタデカンヒドラジド、又は、成分(b):N’-(4-メチルペンタン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジドと成分(c):オクタデカンヒドラジドとすることが好ましく、成分(b):ピリジン-2-カルボヒドラジドと成分(c):オクタデカンヒドラジド、成分(b):ベンゼン-1,3-ジカルボヒドラジドと成分(c):オクタデカンヒドラジドとすることがより好ましい。
【0144】
(4.ゴム組成物の製造方法)
本発明のゴム組成物の製造方法については特に限定はなく、例えば、上記したゴム成分、式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、そして必要に応じてその他の成分を、混合することにより得ることが可能である。また、これらの各化合物については、公知の方法により製造すればよい。
【0145】
上記した混合するための方法としては特に限定はなく、公知の方法を広く採用することが可能である。具体的には、上記したゴム成分、式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、及び、必要に応じてその他の成分を、混練機などを使用して混練する方法を挙げることができる。
【0146】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【実施例0147】
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0148】
製造例1:4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボヒドラジド(化合物I-3)の製造
メタノール100mLに4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボン酸メチル12.5gを加えた溶液に、ヒドラジン一水和物9.9gを加えて15時間還流した。この反応液を冷却し、析出した固体をろ過した。得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥することで、目的物を12.3g(収率98%)得た。
H-NMR(400MHz,DMSO-d,δppm): 4.5(br-s,2H),8.4(br-s,1H),9.8(br-s,1H),14.5(br-s,1H)
融点:208℃
【0149】
製造例2:ピラジン-2-カルボヒドラジド(化合物I-4)の製造
メタノール70mLにピラジン-2-カルボン酸メチル12.0gを加えた溶液に、ヒドラジン一水和物6.5gを加えて12時間還流した。この反応液を冷却し、析出した固体をろ過した。得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥することで、目的物を11.3g(収率94%)得た。
H-NMR(400MHz,DMSO-d,δppm): 4.7(br-s,2H),8.7(m,1H),8.8(d,1H),9.1(d,1H),10.1(br-s,1H)
融点:170℃
【0150】
製造例3:イソキノリン-1-カルボヒドラジド(化合物I-5)の製造
メタノール150mLにイソキノリン-1-カルボン酸10.4gを加えた溶液に、濃硫酸27.8gを加え、72時間還流した。反応溶媒を減圧留去し、得られた残渣溶液をジクロロメタン100mLに溶かし、氷冷下で、炭酸ナトリウム飽和水溶液を加え、pHを8に調製した。有機層をジクロロメタン50mLで二回分液抽出し、硫酸ナトリウムを加え、撹拌後、ろ過し、有機溶媒を減圧留去することで目的のイソキノリン-1-カルボン酸メチル10.3g(収率91%)を得た。
上記で得られたイソキノリン-1-カルボン酸メチル10.3gにメタノール50mLとヒドラジン一水和物15.4gを加え、12時間還流した。この反応液を冷却し、溶媒を減圧留去した後、残渣に水200mLを加え、固体を析出させた。析出した固体をろ過し、メタノールで洗浄し、乾燥することで、目的物を8.3g(収率81%)得た。
H-NMR(400MHz,DMSO-d,δppm): 4.7(br-s,2H),7.7(m,1H),7.8(m,1H),7.98(d,1H),8.04(d,1H),8.5(d,1H),8.7(dd,1H),9.9(br-s,1H)
融点:107℃
【0151】
製造例4:ピリミジン-2-カルボヒドラジド(化合物I-6)の製造
水50mLに2-シアノピリミジン25gを加えた溶液に、25%苛性水80gを加え、60℃で2時間撹拌した。撹拌後、氷冷し、濃塩酸を用いてpHを3.8に調製し、室温で1時間撹拌した。次に溶媒を減圧留去し、トルエン50mLを加え、共沸させた。得られた結晶にメタノール100mLと濃硫酸20gを加え12時間還流した。溶媒を減圧留去し、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えpHを7に調製し、水を加えて塩を溶解させた。有機層をジクロロメタン50mLで三回分液抽出し、硫酸ナトリウムを加え、撹拌後、ろ過し、有機溶媒を減圧留去することでピリミジン-2-カルボン酸メチル12.6g(収率38%)を得た。
上記で得られたピリミジン-2-カルボン酸メチル8.3gにメタノール100mLとヒドラジン一水和物4.5gを加え、12時間還流した。この反応液を冷却し、析出した固体をろ過した。得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥することで、目的物を7.6g(収率92%)得た。
H-NMR(400MHz,DMSO-d,δppm): 4.6(br-s,2H),7.6(t,1H),8.9(d,2H),10.0(br-s,1H)
融点:180℃
【0152】
製造例5:ピリダジン-3-カルボヒドラジド(化合物I-7)の製造
クロロホルム50mLにピリダジン-4-カルボン酸5.5gを加えた溶液に、塩化チオニル27.2gを加え、外温65℃で6時間撹拌した。氷冷下、メタノール50mLを徐々に加えた後、溶媒を減圧留去した。残渣にジクロロメタン50mLを加え、氷冷下で撹拌しながら炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、pHを7.8に調製した。析出した固体をろ過し、溶液をジクロロメタン100mLで三回分液抽出し、硫酸ナトリウムを加え、撹拌後、ろ過し、有機溶媒を減圧留去することでピリダジン-4-カルボン酸メチル5.8g(収率94%)を得た。
上記で得られたピリダジン-4-カルボン酸メチル4.8gにメタノール50mLとヒドラジン一水和物4.5gを加えて12時間還流した。この反応液を冷却し、溶媒を減圧留去するとオイル状の生成物が得られた。得られた生成物にトルエン20mLを加え、共沸させた。共沸により得られた固体を乾燥することで、目的物を4.7g(収率98%)得た。
H-NMR(400MHz,DMSO-d,δppm): 4.7(br-s,2H),7.9(m,1H),8.1(dd,1H),9.4(dd,1H),10.4(br-s,1H)
融点:143℃
【0153】
製造例6:ピリダジン-4-カルボヒドラジド(化合物I-8)の製造
ピリジン1.2Lに3-メチルピリダジン25.5gを加えた溶液に、二酸化セレン50gを加え、外温80℃で12時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、親水性PTFEメンブレンフィルターで固体を除き、溶媒を減圧留去した。残渣にメタノール500mLと濃硫酸90gを加え、外温80℃で12時間還流した。溶媒を減圧留去し、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpHを7.7に調製した。溶液をジクロロメタン100mLで四回分液抽出し、硫酸ナトリウムを加え、撹拌後、ろ過し、有機溶媒を減圧留去することでピリダジン-3-カルボン酸メチル23.6g(収率63%)を得た。
上記で得られたピリダジン-3-カルボン酸メチル11.6gにメタノール100mLとヒドラジン一水和物8.3gを加えて1時間還流した。この反応液を冷却し、溶媒を減圧留去すると固体の生成物が得られた。この生成物をメタノールで解砕洗浄後、ろ過し、乾燥することで、目的物を6.0g(収率52%)得た。
H-NMR(400MHz,DMSO-d,δppm): 4.7(br-s,2H),8.0(dd,1H),9.4(dd,1H),9.5(m,1H),10.3(br-s,1H)
融点:119℃
【0154】
製造例7:2-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)アセトヒドラジド(化合物I-9)の製造
ジメチルホルムアミド200mLに水素化ナトリウム6.1gを加えた溶液を0℃まで冷却し、ベンゾイミダゾール15.0gを分割して投入した。1時間室温にて撹拌後、0℃まで冷却し、ブロモ酢酸メチル23.3gを滴下した。反応液を室温にて17時間撹拌後、塩化アンモニウム水溶液にて中和し、酢酸エチルにて分液し、溶媒を留去後、メタノール200mLとヒドラジン一水和物25gを添加した。反応液を50℃で18時間撹拌後、溶媒を留去し、析出した固体を2-プロパノールにて再結晶することにより、目的物を6.4g(収率26%)得た。
H-NMR(400MHz,DMSO-d,δppm): 4.3(brs,2H),7.2(m,2H),7.5(m,1H),7.7(m,1H),8.2(s,1H),9.5(brs,1H),NH2×2(4H)未検出
融点:252℃
【0155】
製造例8:2-アミノ-4-(メチルスルファニル)ブタンヒドラジド(化合物I-10)の製造
メタノール25.0mLにメチオニンメチル塩酸塩5.0gを加えた溶液を0℃まで冷却し、ヒドラジン一水和物3.13gを添加した。反応液を65℃で18時間撹拌後、室温まで冷却し、ナトリウムメトキシド1.35gを添加して3時間撹拌した。溶媒を留去後、析出した固体をろ過し、乾燥することで液状の目的物を2.5g(収率60%)得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,δppm): 1.58(m,1H),1.75(m,1H),1.59(m,2H),2.03(m,3H),2.50(m,2H),3.20(m,1H),8.99(br-s,1H),NH2×2(4H)未検出
【0156】
製造例9:2-アミノ-3-(ドデシルスルファニル)プロパンヒドラジド(化合物I-11)の製造
ジクロロメタン110mLにL―システインエチル塩酸塩5.57g、ドデセン16.0gを加えた溶液に、AIBN2.51gを添加した後、40℃にて24時間撹拌した。溶媒を留去後、メタノール60mL、ヒドラジン一水和物3.75gを添加した。反応液を65℃で18時間撹拌後、析出した固体をろ過し、乾燥することで目的物を5.96g(収率65%)得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,δppm): 0.88(t,3H),1.36(m,18H),1.60(m,2H),2.51(m,2H),2.70(m,1H),3.01(m,1H),3.55(m,1H),8.37(br-s,1H)
融点:57℃
【0157】
製造例10:N’-(4-メチルペンタン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジド(化合物I-12)の製造
メタノール20mlにピコリン酸ヒドラジド10gを加えた溶液に、メチルイソブチルケトン14.6gを加え、一晩還流した。溶媒を減圧留去し、オイル状の粗生成物を得た。イソプロパノール20mlを加えて氷冷下撹拌すると結晶が析出した。イソプロパノール30mlを洗浄液に用いてろ過し、得られた白色固体を減圧乾燥して目的物を15.6g(収率98%)得た。
H-NMR(400MHz,DMSO-d,δppm): 0.91-0.96(m,6H),1.97-2.04(m、4H),2.21-2.29(m,2H),7.64-7.67(m,1H),8.03-8.11(m,2H),8.68-8.69(m,1H),10.75-10.85(m,1H)
融点:84℃
【0158】
製造例11:N’-(プロパン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジド(化合物I-13)の製造
ピコリン酸ヒドラジド3.0gに、アセトン25mLを加えて21時間還流した。この反応液を冷却し、析出した固体をろ過した。得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥することで、目的物を3.7g(収率95%)得た。
H-NMR(400MHz,DMSO-d,δppm): 1.98(s,3H),2.04(s,3H),7.65(m,1H),8.06(m,2H),8.68(m,1H),10.8(s,1H)
融点:100℃
【0159】
製造例12:N’-(トリデカン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジド(化合物I-14)の製造
メタノール30mLにピコリン酸ヒドラジド5.0gを加えた溶液に、2-トリデカノン14.5gを加えて18時間還流した。この反応液を冷却し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物を10.6g(収率92%)得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,δppm): 0.88(t,3H),1.31(m,16H),1.59(m,2H),2.03(s,3H),2.44(m,2H),7.46(m,1H),7.87(m,1H),8.30(m,1H),8.55(m,1H),10.68(br-s,1H)
融点:44℃
【0160】
製造例13:ピリジン-3,5-ジカルボヒドラジド(化合物II-2)の製造
メタノール70mLに3,5-ピリジンジカルボン酸ジエチル15.9gを加えた溶液に、ヒドラジン一水和物8.66gを添加して、24時間還流した。反応液を冷却し、析出した固体をろ過した。得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥することで、目的物を13.9g(収率:99%)得た。
H-NMR(400MHz,DMSO-d,δppm): 4.6(br-s,4H),8.5(t,1H),9.0(d,2H),10.0(br-s,2H)
融点:234℃
【0161】
製造例14:ヘプタンヒドラジド(化合物IV-2)の製造
メタノール40mLにヘプタン酸メチル5.77gを加えた溶液に、ヒドラジン一水和物3.05gを添加して、18時間還流した。溶媒を留去後、析出した固体をろ過した。得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥することで、目的物を4.61g(収率:80%)得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,δppm): 0.88(t,3H),1.32(m,6H),1.66(m,2H),2.15(m,2H),3.90(br-s,2H),6.75(br-s,1H)
融点:83℃
【0162】
製造例15:N’-(プロパン-2-イリデン)オクタデカンヒドラジド(化合物IV-4)の製造
エタノール25mLにステアリン酸ヒドラジド2.3gを加えた溶液に、アセトン25mLを加えて12時間還流した。この反応液を冷却し、析出した固体をろ過した。得られた固体をエタノールで洗浄し、乾燥することで、目的物を2.6g(収率99%)得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,δppm): 0.8(t,3H),1.3(m,28H),1.7(m,2H),1.8(s,3H),2.0(s,3H),2.6(t,2H),8.1(s,1H)
融点:75℃
【0163】
製造例16:N’-(4-メチルペンタン-2-イリデン)オクタデカンヒドラジド(化合物IV-5)の製造
ブタノール25mLにステアリン酸ヒドラジド4.2gを加えた溶液に、メチルイソブチルケトン4.2gを加えて21時間還流した。この反応液を冷却し、析出した固体をろ過した。得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥することで、目的物を5.1g(収率95%)得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,δppm): 0.88(t,3H),0.92(d,6H),1.3(m,28H),1.7(m,2H),1.8(s,3H),2.0(m,1H),2.1(d,2H),2.6(t,2H),8.1(s,1H),NH2(2H)未検出
融点:74℃
【0164】
製造例17:ヘキサンヒドラジド(化合物A)の製造
メタノール40mLにヘキサン酸メチル5.21gを加えた溶液に、ヒドラジン一水和物3.00gを添加して、18時間還流した。溶媒を留去後、析出した固体をろ過した。得られた固体をメタノール洗浄し、乾燥することで、目的物を4.01g(収率:77%)得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,δppm): 0.88(t,3H),1.33(m,4H),1.66(m,2H),2.15(m,2H),3.90(br-s,2H),6.79(br-s,1H)
融点:75℃
【0165】
実施例1~17、比較例1~22、及び参考例1~2:ゴム組成物の製造
下記表1及び2の工程Aに記載の各成分をその割合(質量部)で混合し、バンバリーミキサーで混合した。混合物の温度が60℃以下になるまで養生させた後、表1及び2の工程Bに記載の各成分をその割合(質量部)で投入し、混合物の最高温度が70℃以下になるよう調整しながら混合して、ゴム組成物を製造した。
【0166】
低発熱性(Tanδ値指数)試験
各実施例及び比較例のゴム組成物について、粘弾性測定装置(Metravib社製)を使用し、温度40℃、動歪5%、周波数15HzでTanδ値を測定した。比較するために、化合物を添加しない以外は、各実施例と同じ配合内容及び同じ製法でゴム組成物(参考例1及び2)を作製し、そのTanδ値を100とした指数により表し、下記式に基づいて低発熱性指数を算出した。なお、低発熱性指数の値が小さい程、低発熱性であり、ヒステリシスロスが小さいことを示す。
式:低発熱性指数
=(各実施例1~2、及び4~17、並びに比較例1~2、及び4~22のゴム組成物のTanδ値)×100/(参考例1のTanδ値)

式:低発熱性指数
=(実施例3、及び比較例3のゴム組成物のTanδ値)×100/(参考例2のTanδ値)
【0167】
加工性(ムーニー粘度指数)試験
JIS K6300-1(ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方;ML1+4,100℃)に準じて測定した。比較するために、化合物を添加しない以外は、各実施例と同じ配合内容及び同じ製法でゴム組成物(参考例1及び2)を作製し、そのムーニー粘度値を100とした指数により表し、下記式に基づいて加工性指数を算出した。なお、加工性指数の値が小さい程、加工性が良好であることを示す。
式:加工性指数
=(各実施例1~2、及び4~17、並びに比較例1~2、及び4~22のゴム組成物のムーニー粘度値)×100/(参考例1のムーニー粘度値)

式:加工性指数
=(実施例3、及び比較例3のゴム組成物のムーニー粘度値)×100/(参考例2のムーニー粘度値)
【0168】
【表1】
※1:天然ゴム;GUANGKEN RUBBER社製、TSR-20
※2:化合物I-1;東京化成工業社製、ピリジン-3-カルボヒドラジド
※3:化合物I-2;東京化成工業社製、ピリジン-2-カルボヒドラジド
※4:化合物I-3;製造例1で製造した4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボヒドラジド
※5:化合物I-4;製造例2で製造したピラジン-2-カルボヒドラジド
※6:化合物I-5;製造例3で製造したイソキノリン-1-カルボヒドラジド
※7:化合物I-6;製造例4で製造したピリミジン-2-カルボヒドラジド
※8:化合物I-7;製造例5で製造したピリダジン-3-カルボヒドラジド
※9:化合物I-8;製造例6で製造したピリダジン-4-カルボヒドラジド
※10:化合物I-9;製造例7で製造した2-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)アセトヒドラジド
※11:化合物I-10;製造例8で製造した2-アミノ-4-(メチルスルファニル)ブタンヒドラジド
※12:化合物I-11;製造例9で製造した2-アミノ-3-(ドデシルスルファニル)プロパンヒドラジド
※13:化合物I-12;製造例10で製造したN’-(4-メチルペンタン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジド
※14:化合物I-13;製造例11で製造したN’-(プロパン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジド
※15:化合物I-14;製造例12で製造したN’-(トリデカン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジド
※16:化合物IV-1;東京化成工業社製、オクタデカンヒドラジド
※17:化合物IV-2;製造例14で製造したヘプタンヒドラジド
※18:化合物IV-3;東京化成工業社製、オクタンヒドラジド
※19:化合物A;製造例17で製造したヘキサンヒドラジド
※20:ステアリン酸ナトリウム;東京化成工業社製
※21:シリカ;QueChen Silicon Chemical Co.,Ltd.社製、HD165MP
※22:カーボンブラック;Cabot社製、N234
※23:シランカップリング剤;エボニック社製、Si69
※24:老化防止剤(N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン);Kemai Chemical Co.,Ltd社製
※25:ワックス;Rhein Chemie Rheinau社製、Antilux 111
※26:酸化亜鉛;Dalian Zinc Oxide Co.,Ltd社製
※27:ステアリン酸;Sichuan Tianyu Grease社製
※28:加硫促進剤A;Kemai Chemical Co.,Ltd社製、CBS
※29:加硫促進剤B;Kemai Chemical Co.,Ltd社製、DPG
※30:硫黄;Shanghai Jinghai Chemical Co.,Ltd社製
【0169】
【表2】
※1:天然ゴム;GUANGKEN RUBBER社製、TSR-20
※2:化合物I-1;東京化成工業社製、ピリジン-3-カルボヒドラジド
※3:化合物I-2;東京化成工業社製、ピリジン-2-カルボヒドラジド
※4:化合物I-3;製造例1で製造した4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボヒドラジド
※5:化合物I-4;製造例2で製造したピラジン-2-カルボヒドラジド
※6:化合物I-5;製造例3で製造したイソキノリン-1-カルボヒドラジド
※7:化合物I-6;製造例4で製造したピリミジン-2-カルボヒドラジド
※8:化合物I-7;製造例5で製造したピリダジン-3-カルボヒドラジド
※9:化合物I-8;製造例6で製造したピリダジン-4-カルボヒドラジド
※10:化合物I-9;製造例7で製造した2-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)アセトヒドラジド
※11:化合物I-10;製造例8で製造した2-アミノ-4-(メチルスルファニル)ブタンヒドラジド
※12:化合物I-11;製造例9で製造した2-アミノ-3-(ドデシルスルファニル)プロパンヒドラジド
※13:化合物I-12;製造例10で製造したN’-(4-メチルペンタン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジド
※14:化合物I-13;製造例11で製造したN’-(プロパン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジド
※15:化合物I-14;製造例12で製造したN’-(トリデカン-2-イリデン)ピリジン-2-カルボヒドラジド
※16:化合物IV-1;東京化成工業社製、オクタデカンヒドラジド
※17:化合物IV-2;製造例14で製造したヘプタンヒドラジド
※18:化合物IV-3;東京化成工業社製、オクタンヒドラジド
※19:化合物A;製造例17で製造したヘキサンヒドラジド
※20:ステアリン酸ナトリウム;東京化成工業社製
※21:シリカ;QueChen Silicon Chemical Co.,Ltd.社製、HD165MP
※22:カーボンブラック;Cabot社製、N234
※23:シランカップリング剤;エボニック社製、Si69
※24:老化防止剤(N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン);Kemai Chemical Co.,Ltd社製
※25:ワックス;Rhein Chemie Rheinau社製、Antilux 111
※26:酸化亜鉛;Dalian Zinc Oxide Co.,Ltd社製
※27:ステアリン酸;Sichuan Tianyu Grease社製
※28:加硫促進剤A;Kemai Chemical Co.,Ltd社製、CBS
※29:加硫促進剤B;Kemai Chemical Co.,Ltd社製、DPG
※30:硫黄;Shanghai Jinghai Chemical Co.,Ltd社製
【0170】
実施例18~22、比較例16、23~27、及び参考例1~3:ゴム組成物の製造
下記表3の工程Aに記載の各成分をその割合(質量部)で混合し、バンバリーミキサーで混合した。混合物の温度が60℃以下になるまで養生させた後、表3の工程Bに記載の各成分をその割合(質量部)で投入し、混合物の最高温度が70℃以下になるよう調整しながら混合して、ゴム組成物を製造した。
【0171】
低発熱性(Tanδ値指数)試験
各実施例及び比較例のゴム組成物について、粘弾性測定装置(Metravib社製)を使用し、温度40℃、動歪5%、周波数15HzでTanδ値を測定した。比較するために、化合物を添加しない以外は、各実施例と同じ配合内容及び同じ製法でゴム組成物(参考例1~3)を作製し、そのTanδ値を100とした指数により表し、下記式に基づいて低発熱性指数を算出した。なお、低発熱性指数の値が小さい程、低発熱性であり、ヒステリシスロスが小さいことを示す。
式:低発熱性指数
=(各実施例18及び21~22、並びに比較例16、及び26~27のゴム組成物のTanδ値)×100/(参考例1のTanδ値)

式:低発熱性指数
=(実施例19、及び比較例24のゴム組成物のTanδ値)×100/(参考例2のTanδ値)

式:低発熱性指数
=(実施例20、並びに比較例25のゴム組成物のTanδ値)×100/(参考例3のTanδ値)
【0172】
加工性(ムーニー粘度指数)試験
JIS K6300-1(ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方;ML1+4,100℃)に準じて測定した。比較するために、化合物を添加しない以外は、各実施例と同じ配合内容及び同じ製法でゴム組成物(参考例1~3)を作製し、そのムーニー粘度値を100とした指数により表し、下記式に基づいて加工性指数を算出した。なお、加工性指数の値が小さい程、加工性が良好であることを示す。
式:加工性指数
=(各実施例18及び21~22、並びに比較例16、及び26~27のゴム組成物のムーニー粘度値)×100/(参考例1のムーニー粘度値)

式:加工性指数
=(実施例19、及び比較例24のゴム組成物のムーニー粘度値)×100/(参考例2のムーニー粘度値)

式:加工性指数
=(実施例20、並びに比較例25のゴム組成物のムーニー粘度値)×100/(参考例3のムーニー粘度値)
【0173】
【表3】
※31:化合物II-1;ベンゼン-1,3-ジカルボヒドラジド、大塚化学社製
※32:化合物II-2;製造例13で製造したピリジン-3,5-ジカルボヒドラジド
※33:化合物III-1;3-メチル-5-ピラゾロン、大塚化学社製
【0174】
実施例23~24、比較例2、28~29、及び参考例1:ゴム組成物の製造
下記表4の工程Aに記載の各成分をその割合(質量部)で混合し、バンバリーミキサーで混合した。混合物の温度が60℃以下になるまで養生させた後、表4の工程Bに記載の各成分をその割合(質量部)で投入し、混合物の最高温度が70℃以下になるよう調整しながら混合して、ゴム組成物を製造した。
【0175】
低発熱性(Tanδ値指数)試験
各実施例及び比較例のゴム組成物について、粘弾性測定装置(Metravib社製)を使用し、温度40℃、動歪5%、周波数15HzでTanδ値を測定した。比較するために、化合物を添加しない以外は、各実施例と同じ配合内容及び同じ製法でゴム組成物(参考例1)を作製し、そのTanδ値を100とした指数により表し、下記式に基づいて低発熱性指数を算出した。なお、低発熱性指数の値が小さい程、低発熱性であり、ヒステリシスロスが小さいことを示す。
式:低発熱性指数
=(各実施例23~24、及び比較例2、28~29のゴム組成物のTanδ値)×100/(参考例1のTanδ値)
【0176】
加工性(ムーニー粘度指数)試験
JIS K6300-1(ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方;ML1+4,100℃)に準じて測定した。比較するために、化合物を添加しない以外は、各実施例と同じ配合内容及び同じ製法でゴム組成物(参考例1)を作製し、そのムーニー粘度値を100とした指数により表し、下記式に基づいて加工性指数を算出した。なお、加工性指数の値が小さい程、加工性が良好であることを示す。
式:加工性指数
=(各実施例23~24、及び比較例2、28~29のゴム組成物のムーニー粘度値)×100/(参考例1のムーニー粘度値)
【0177】
【表4】
※34:化合物IV-4;製造例15で製造されたN’-(プロパン-2-イリデン)オクタデカンヒドラジド
※35:化合物IV-5;製造例16で製造されたN’-(4-メチルペンタン-2-イリデン)オクタデカンヒドラジド
【産業上の利用可能性】
【0178】
本発明のゴム組成物は、ゴム成分、式(1)で表される化合物、並びに式(2)で表される化合物を含有することにより、本来式(1)で表される化合物が有している低発熱性の効果を維持しつつ、ムーニー粘度の増加を抑え、優れた加工性を有することから、タイヤの材料として好適に活用できる。