(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103984
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】紙幣処理装置及び紙幣処理方法
(51)【国際特許分類】
G07D 11/175 20190101AFI20220701BHJP
G07D 11/16 20190101ALI20220701BHJP
【FI】
G07D11/175
G07D11/16 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218930
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】毛利 裕也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 治
(72)【発明者】
【氏名】小林 清晃
【テーマコード(参考)】
3E040
3E141
【Fターム(参考)】
3E040AA01
3E040BA06
3E040EA10
3E040FG11
3E141AA01
3E141BA06
3E141EA10
3E141FG11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】紙幣処理と紙幣の殺菌を効率よく行う紙幣処理装置、紙幣処理方法を提供する。
【解決手段】紙幣処理装置1を、装置外から紙幣を受ける入金部11と、入金部11から装置内へ繰り出された紙幣を搬送する搬送部と、搬送部が搬送する紙幣を識別する識別部20と、搬送部が搬送する紙幣を殺菌する殺菌部10と、搬送部が搬送する紙幣を装置外へ排出する出金部12とによって構成する。紙幣処理装置1は、識別部20による紙幣の識別及び殺菌部10による紙幣の殺菌を行う紙幣処理と、識別部20による識別は行わずに殺菌部10による紙幣の殺菌を行う紙幣処理と、殺菌部10による殺菌は行わずに識別部20による紙幣の識別を行う紙幣処理とを含む複数種類の紙幣処理の中から選択された紙幣処理を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置外から紙幣を受ける入金部と、
前記入金部から装置内へ繰り出された紙幣を搬送する搬送部と、
前記搬送部が搬送する紙幣を識別する識別部と、
前記搬送部が搬送する紙幣を殺菌する殺菌部と、
前記搬送部が搬送する紙幣を装置外へ排出する出金部と
を備え、
前記識別部による紙幣の識別及び前記殺菌部による紙幣の殺菌を行う紙幣処理と、前記識別部による識別は行わずに前記殺菌部による紙幣の殺菌を行う紙幣処理と、前記殺菌部による殺菌は行わずに前記識別部による紙幣の識別を行う紙幣処理とを含む複数種類の紙幣処理の中から選択された紙幣処理を実行する
ことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
前記殺菌部による紙幣の殺菌を行う紙幣処理と行わない紙幣処理とで前記紙幣の搬送速度が異なることを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
前記入金部に受けて前記搬送部が搬送する紙幣を、前記殺菌部で殺菌して前記出金部から排出する紙幣処理を実行することを特徴とする 請求項1又は2に記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
前記入金部に受けた紙幣を前記殺菌部で殺菌して前記出金部から排出した後、前記出金部の前記紙幣を再び前記入金部に受けて前記殺菌部で殺菌して前記出金部から排出する処理を繰り返して、同じ紙幣を複数回殺菌することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の紙幣処理装置。
【請求項5】
前記搬送部が搬送する紙幣の収納と収納した紙幣の前記搬送部への繰り出しとを行う収納部と、
前記搬送部が搬送する紙幣を一時保留する一時保留部と
をさらに備え、
前記収納部が繰り出した紙幣を前記搬送部が搬送して前記一時保留部に一時保留する処理と、前記一時保留部が繰り出した前記紙幣を前記搬送部が搬送して前記収納部に再び収納する処理との少なくともいずれか一方の処理で、前記殺菌部が前記紙幣を殺菌する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の紙幣処理装置。
【請求項6】
前記収納部が繰り出した紙幣を前記搬送部が搬送して前記一時保留部に一時保留する処理と、前記一時保留部が繰り出した前記紙幣を前記搬送部が搬送して前記収納部に再び収納する処理とを繰り返して、同じ紙幣を複数回殺菌する紙幣処理を実行することを特徴とする請求項5に記載の紙幣処理装置。
【請求項7】
前記殺菌部により同じ紙幣を複数回殺菌する際に前記紙幣の搬送速度を変更することを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の紙幣処理装置。
【請求項8】
前記殺菌部により同じ紙幣を複数回殺菌する際に殺菌回数を示す情報を表示する表示部
をさらに備えることを特徴とする請求項4~7のいずれか1項に記載の紙幣処理装置。
【請求項9】
紙幣処理装置が実行する紙幣処理方法であって、
装置外から受けた紙幣を識別部で識別すると共に前記紙幣を殺菌部で殺菌する工程と、
装置外から受けた紙幣を前記識別部で識別せずに前記殺菌部で殺菌する工程と、
装置外から受けた紙幣を前記殺菌部で殺菌せずに前記識別部で識別する工程と
の中から選択された工程を実行することを特徴とする紙幣処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紙幣を処理する紙幣処理装置及び紙幣処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、感染力の高い細菌、ウィルス等の病原体が見つかっている。このため、病原体が紙幣に付着して、紙幣を介して病原体に感染する可能性について、懸念が示されることがある。紙幣処理装置から出金された紙幣に、感染力の高い病原体が付着している可能性があると、利用者は安心して装置を利用することができない。これを避けるため、特許文献1及び2には、装置内に取り込んだ紙幣を殺菌する装置が開示されている。この装置は、装置内の搬送路を搬送される紙幣に紫外線を照射して殺菌することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2993690号公報
【特許文献2】米国特許第5374814号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、入金等の紙幣処理と、紙幣の殺菌との両立が困難な場合があった。例えば、紙幣を殺菌するために紙幣の搬送速度を抑えると紙幣処理を終えるまでに要する時間が長くなる。
【0005】
本開示は、上記課題を含む従来技術を鑑みてなされたもので、その目的の1つは、紙幣処理と殺菌を効率よく行うことができる紙幣処理装置及び紙幣処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る紙幣処理装置は、装置外から紙幣を受ける入金部と、前記入金部から装置内へ繰り出された紙幣を搬送する搬送部と、前記搬送部が搬送する紙幣を識別する識別部と、前記搬送部が搬送する紙幣を殺菌する殺菌部と、前記搬送部が搬送する紙幣を装置外へ排出する出金部とを備え、前記識別部による紙幣の識別及び前記殺菌部による紙幣の殺菌を行う紙幣処理と、前記識別部による識別は行わずに前記殺菌部による紙幣の殺菌を行う紙幣処理と、前記殺菌部による殺菌は行わずに前記識別部による紙幣の識別を行う紙幣処理とを含む複数種類の紙幣処理の中から選択された紙幣処理を実行する。
【0007】
上記構成において、前記殺菌部による紙幣の殺菌を行う紙幣処理と行わない紙幣処理とで前記紙幣の搬送速度が異なっていてもよい。
【0008】
上記構成において、前記入金部に受けて前記搬送部が搬送する紙幣を、前記殺菌部で殺菌して前記出金部から排出する紙幣処理を実行してもよい。
【0009】
上記構成において、前記入金部に受けた紙幣を前記殺菌部で殺菌して前記出金部から排出した後、前記出金部の前記紙幣を再び前記入金部に受けて前記殺菌部で殺菌して前記出金部から排出する処理を繰り返して、同じ紙幣を複数回殺菌してもよい。
【0010】
上記構成において、前記搬送部が搬送する紙幣の収納と収納した紙幣の前記搬送部への繰り出しとを行う収納部と、前記搬送部が搬送する紙幣を一時保留する一時保留部とをさらに備え、前記収納部が繰り出した紙幣を前記搬送部が搬送して前記一時保留部に一時保留する処理と、前記一時保留部が繰り出した前記紙幣を前記搬送部が搬送して前記収納部に再び収納する処理との少なくともいずれか一方の処理で、前記殺菌部が前記紙幣を殺菌してもよい。
【0011】
上記構成において、前記収納部が繰り出した紙幣を前記搬送部が搬送して前記一時保留部に一時保留する処理と、前記一時保留部が繰り出した前記紙幣を前記搬送部が搬送して前記収納部に再び収納する処理とを繰り返して、同じ紙幣を複数回殺菌する紙幣処理を実行してもよい。
【0012】
上記構成において、前記殺菌部により同じ紙幣を複数回殺菌する際に前記紙幣の搬送速度を変更してもよい。
【0013】
上記構成において、前記殺菌部により同じ紙幣を複数回殺菌する際に殺菌回数を示す情報を表示する表示部をさらに備えていてもよい。
【0014】
本開示に係る紙幣処理方法は、紙幣処理装置が実行する紙幣処理方法であって、装置外から受けた紙幣を識別部で識別すると共に前記紙幣を殺菌部で殺菌する工程と、装置外から受けた紙幣を前記識別部で識別せずに前記殺菌部で殺菌する工程と、装置外から受けた紙幣を前記殺菌部で殺菌せずに前記識別部で識別する工程との中から選択された工程を実行する。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、紙幣処理装置を利用して、入金等の紙幣処理と紙幣の殺菌とを効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る紙幣処理装置の概要を説明するための図である。
【
図3】
図3は、一時保留部を利用しない入金処理を説明するための図である。
【
図4】
図4は、一時保留部を利用する入金処理を説明するための図である。
【
図5】
図5は、一時保留部を利用しない出金処理を説明するための図である。
【
図6】
図6は、一時保留部を利用する出金処理を説明するための図である。
【
図7】
図7は、在高確認処理を説明するための図である。
【
図8】
図8は、紙幣の殺菌を繰り返す方法を説明するための図である。
【
図9】
図9は、一時保留部を利用しない計数処理を説明するための図である。
【
図10】
図10は、一時保留部を利用する計数処理を説明するための図である。
【
図11】
図11は、表示部に表示される画面の例を示す図である。
【
図13】
図13は、カセットを着脱可能な紙幣処理装置の例を示す図である。
【
図15】
図15は、フロント機の入金処理及び出金処理を説明するための図である。
【
図16】
図16は、一時保留部を利用せずに行うカセットの紙幣の入金処理を説明するための図である。
【
図17】
図17は、一時保留部を利用して行うカセットの紙幣の入金処理を説明するための図である。
【
図18】
図18は、一時保留部を利用せずに行うカセットへの出金処理を説明するための図である。
【
図19】
図19は、一時保留部を利用して行うカセットへの出金処理を説明するための図である。
【
図20】
図20は、装置内に紙幣を収納しない紙幣処理装置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る紙幣処理装置及び紙幣処理方法の実施の形態について説明する。本実施形態に係る紙幣処理装置は、1又は複数の殺菌部を装置内に有し、殺菌部によって紙幣を殺菌することができる。ここで言う殺菌とは、紙幣に付着している可能性がある細菌、ウィルス等の病原体の死滅を目的として行う処理で、全ての病原体を死滅させる処理に限定されず、紙幣を使用しても問題のない程度にまで病原体の数を減らす処理又は病原体を弱らせる処理であってもよい。
【0018】
図1は、本実施形態に係る紙幣処理装置1の概要を説明するための図である。
図1に示すように、紙幣処理装置1は、紙幣処理を行う紙幣処理部2と、紙幣処理に関する情報を記憶する記憶部70と、記憶部70を利用しながら紙幣処理部2を制御する制御部60とを含む。
【0019】
記憶部70は不揮発性の記憶装置である。記憶部70が記憶する情報には、紙幣処理装置1が紙幣処理を行うために必要な情報が含まれる。制御部60が、記憶部70の情報を利用しながら紙幣処理部2を制御することにより、本実施形態に記載する紙幣処理装置1の機能及び動作が実現されている。
【0020】
図1に示すように、紙幣処理装置1が、操作部81、表示部82及び通信部90を有していてもよい。操作部81は、紙幣処理に関する情報を入力するために利用される。制御部60は、操作部81から入力された情報に基づいて、紙幣処理部2に紙幣処理を実行させることができる。表示部82は、紙幣処理に関する情報を表示するために利用される。制御部60は、紙幣処理に関する情報を表示部82に表示して紙幣処理装置1の操作者に報知することができる。通信部90は、紙幣処理に関する情報を、外部装置と送受信するために利用される。制御部60は、通信部90が外部装置から受信した情報に基づいて、紙幣処理部2に紙幣処理を実行させることができる。紙幣処理装置1は、単独で利用され、通信部90を有さない態様であってもよい。操作部81及び表示部82は一体化されていてもよいし、操作部81と表示部82の少なくともいずれか一方が紙幣処理装置1から独立して設けられていてもよい。例えば、操作部81及び表示部82を含む操作端末が紙幣処理装置1と接続され、操作端末を利用して紙幣処理に関する情報の入出力が行われる態様であってもよい。
【0021】
紙幣処理部2は、紙幣処理を実行する。紙幣処理部2は、入金部11と、出金部12と、殺菌部10と、識別部20と搬送部40とを含む。紙幣処理部2が、さらに収納部30と、一時保留部50とを含んでいてもよい。
【0022】
搬送部40は、入金部11、出金部12、殺菌部10、識別部20、収納部30、一時保留部50の間で紙幣を搬送する。
図1に実線で示す搬送部40の構成は一例であって、紙幣処理部2の構成がこれに限定されるものではない。紙幣処理部2で処理される各紙幣を本実施形態で説明するように殺菌部10で殺菌することができれば、搬送部40による各部の接続方法が
図1と異なっていてもよい。
【0023】
入金部11は、装置外から受けた紙幣を装置内の搬送部40へ繰り出すことができる。入金部11は、1回の紙幣処理で処理される複数枚の紙幣を受けて、これらの紙幣を1枚ずつ繰り出すことができる。入金部11には図示しないセンサが設けられており、このセンサによって、入金部11の紙幣全てが搬送部40へ繰り出されたか否かを検知できるようになっている。
【0024】
出金部12は、搬送部40が1枚ずつ搬送してきた紙幣を装置外へ排出する。出金部12は、複数枚の紙幣を集積することができる。
図1では、入金部11と出金部12を別々に示しているが、入金部11と出金部12が独立して設けられる態様に限定されず、1つの構成部が入金部11と出金部12を兼ねる態様であってもよい。
【0025】
識別部20は、搬送部40が搬送する紙幣を識別する。識別部20は、例えば、紙幣の金種を識別する。識別部20がさらに紙幣の真偽、正損を識別してもよい。識別部20が紙幣の枚数及び金額を計数してもよい。例えば、1回の紙幣処理で複数枚の紙幣を処理する場合に、識別部20が、紙幣の金種別枚数、金種別金額、合計枚数、合計金額のうち少なくともいずれか1つを計数する。
【0026】
収納部30は、搬送部40が搬送してきた紙幣を収納する。収納部30は、収納した紙幣を搬送部40へ繰り出す。紙幣処理装置1が有する収納部30の数は特に限定されない。収納部30は、装置外からは見えないように装置内に設けられていてもよい。例えば、紙幣処理装置1が金属製の金庫を含み、収納部30が金庫内に設けられていてもよい。収納部30が紙幣の収納と繰り出しとの両方を行う態様に限定されず、収納部30が、搬送部40から受けた紙幣の収納を行わず、搬送部40への紙幣の繰り出しのみを行ってもよい。この場合、紙幣処理装置1は、以下に説明する処理のうち収納部30への紙幣の収納が不要な処理を行えばよい。また、収納部30が、搬送部40への紙幣の繰り出しを行わず、搬送部40から受けた紙幣の収納のみを行ってもよい。この場合、紙幣処理装置1は、以下に説明する処理のうち収納部30からの紙幣の繰り出しが不要な処理を行えばよい。
【0027】
殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣を殺菌する。殺菌部10は、紙幣を殺菌するための光源を有する。光源は、例えば殺菌作用のある紫外光を発する。例えば、2つの光源が搬送部40を挟んで両側に対向配置され、搬送部40が搬送する紙幣の両面に紫外光が照射される。殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣の表面全面及び裏面全面に、紫外光を照射することができる。例えば、殺菌部10の各光源は、搬送部40による紙幣の搬送方向と直交する方向に長い形状を有する。搬送部40が搬送する紙幣が、各光源による紫外光の照射範囲を通過することにより、紙幣の全面に紫外光が照射される。例えば、各光源は、光源から紙幣表面迄の距離が0.3mm以上かつ1.2mm以下となる位置に配置される。
【0028】
例えば、殺菌部10は、殺菌力が高いUVCと呼ばれる波長域の紫外光を紙幣に照射する。殺菌部10は、280nm以下のUVCの波長域のうち、所定の波長又は所定の波長域の紫外光を紙幣に照射する。
【0029】
殺菌部10が殺菌能力の高い紫外光を発することが好ましいが、殺菌部10が発する紫外光が紙幣処理装置1の装置外へ漏れる可能性がある場合は、人体への影響を考慮して、殺菌部10が、殺菌能力を有しかつ人体に安全な紫外光を発することが好ましい。例えば、殺菌部10が発する紫外光が装置外へ漏れない場合、250~260nmの波長域の紫外光を発する殺菌部10が装置内に設けられる。一方、紫外光が装置外へ漏れる可能性がある場合、波長が222nmの紫外光を発する殺菌部10が装置内に設けられる。
【0030】
具体的には、殺菌部10が発する紫外光が、入金部11から搬送部40へ至る装置内への入口部分、又は搬送部40から出金部12へ至る装置外への出口部分から、装置外へ漏れる可能性がある紙幣処理装置1では、222nmの紫外光を発する殺菌部10が利用される。また、収納部30が、収納した紙幣を装置外へ取り出すための開口部を有し、殺菌部10が発する紫外光が、搬送部40から収納部30へ至る出口部分から漏れる可能性がある紙幣処理装置1でも222nmの紫外光を発する殺菌部10が利用される。
【0031】
図1に示す殺菌部10の配置位置及び数は一例であって、殺菌部10の配置位置及び数は特に限定されない。
図1に示す殺菌部10と識別部20の位置が入れ替わっていてもよい。1つの殺菌部10が
図1と異なる位置に設けられてもよいし、2つ以上の殺菌部10が設けられてもよい。殺菌部10が独立して設けられる態様に限定されず、例えば、殺菌部10が識別部20に内蔵されていてもよい。
【0032】
紙幣処理装置1は、装置外から入金部11に受けた紙幣を収納部30に収納する紙幣処理時に、この紙幣を殺菌部10で殺菌することができる(A1)。例えば、紙幣処理装置1に紙幣を入金する入金処理時、入金部11から装置内へ1枚ずつ繰り出された紙幣が搬送部40によって殺菌部10へ搬送される。殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣に紫外光を照射して殺菌する。搬送部40は、殺菌部10から識別部20へ紙幣を搬送する。識別部20は、搬送部40が搬送する紙幣を識別する。搬送部40は、紙幣を識別部20から収納部30へ搬送する。収納部30は紙幣を収納する。識別部20が識別して得られた紙幣の情報は、例えば、収納部30の紙幣を管理するために利用される。入金された紙幣の情報が、表示部82に表示されてもよいし、通信部90から外部装置へ送信されてもよい。
【0033】
紙幣処理装置1は、収納部30から紙幣を繰り出して出金部12から装置外へ排出する紙幣処理時に、殺菌部10で紙幣を殺菌することができる(A2)。例えば、紙幣処理装置1が収納部30の紙幣を出金する出金処理時、収納部30が1枚ずつ搬送部40へ繰り出した紙幣が識別部20へ搬送される。識別部20は、搬送部40が搬送する紙幣を識別する。搬送部40は、識別部20から殺菌部10へ紙幣を搬送する。殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣に紫外光を照射して殺菌する。搬送部40は、殺菌部10から出金部12へ紙幣を搬送する。出金部12は紙幣を装置外へ排出する。 識別部20が識別して得られた紙幣の情報は、例えば、収納部30の紙幣を管理するために利用される。出金された紙幣の情報が、表示部82に表示されてもよいし、通信部90から外部装置へ送信されてもよい。
【0034】
出金処理時に識別部20が紙幣を識別しない態様であってもよい。例えば、制御部60が収納部30に収納されている紙幣の情報を記憶部70で管理して、収納部30から繰り出される紙幣の金種を特定可能である場合には、識別部20による紙幣の識別を省略してもよい。出金する紙幣を識別するか否かは設定により変更することができる。
【0035】
紙幣処理装置1は、装置外から入金部11に受けた紙幣を、殺菌部10で殺菌して、出金部12から装置外へ排出することができる(A3)。すなわち、搬送部40が、入金部11に受けた紙幣の搬送を続けて収納部30に収納することなく出金部12から排出する間に、この紙幣を殺菌部10で殺菌することができる。
【0036】
例えば、紙幣処理装置1は、入金部11に受けた紙幣の識別及び殺菌を行って出金部12から返却する計数処理を行う。計数処理では、入金部11が1枚ずつ搬送部40へ繰り出した紙幣が殺菌部10へ搬送される。殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣に紫外光を照射して殺菌する。搬送部40は、殺菌部10から識別部20へ紙幣を搬送する。識別部20は、搬送部40が搬送する紙幣を識別する。搬送部40は、識別部20から出金部12へ紙幣を搬送する。紙幣は出金部12から装置外へ排出される。識別部20が紙幣を識別して得られた計数結果は、例えば表示部82に表示される。計数結果が、通信部90から外部装置へ送信されてもよい。
【0037】
例えば、紙幣処理装置1は、入金部11に受けた紙幣の識別は行わずに殺菌して出金部12から返却する殺菌処理を行う。殺菌処理では、入金部11が1枚ずつ搬送部40へ繰り出した紙幣が殺菌部10へ搬送される。殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣に紫外光を照射して殺菌する。搬送部40は、殺菌部10から識別部20を経て出金部12へ紙幣を搬送する。出金部12は紙幣を装置外へ排出する。殺菌処理では、殺菌部10で殺菌された紙幣が、計数処理時と同様に識別部20を通過するが、紙幣の識別は行われずに出金部12から排出される。
【0038】
紙幣処理装置1は、一時保留部50を利用して、1回の紙幣処理中に紙幣を複数回殺菌することができる(B1)。例えば、入金処理時、入金部11が1枚ずつ搬送部40に繰り出した紙幣は、殺菌部10で殺菌されて識別部20で識別された後、一時保留部50に一時保留される。入金部11の紙幣全てが一時保留部50に一時保留された後、一時保留部50は、一時保留している全ての紙幣を1枚ずつ搬送部40へ繰り出す。繰り出された紙幣は、識別部20を経て殺菌部10へ搬送され、殺菌部10で殺菌された後、収納部30へ搬送されて収納される。この結果、入金処理中に各紙幣が2回殺菌されることになる。
【0039】
一時保留部50を利用して入金処理時を行う場合、識別部20による紙幣の識別は、入金部11から殺菌部10を経て一時保留部50へ搬送する途中で行われる態様に限定されない。入金部11から殺菌部10を経て一時保留部50へ搬送される途中と、一時保留部50から殺菌部10を経て収納部30へ搬送される途中との少なくともいずれか一方で、識別部20が紙幣を識別すればよい。一時保留部50を利用する場合も、入金部11から一時保留部50へ紙幣を搬送する処理と、一時保留部50から収納部30へ紙幣を搬送する処理とのいずれか一方のみで紙幣を殺菌する態様であってもよい。
【0040】
紙幣処理装置1は、出金処理時にも、一時保留部50を利用して、1回の紙幣処理中に紙幣を複数回殺菌することができる。具体的には、収納部30が1枚ずつ搬送部40へ繰り出した紙幣は、識別部20を経ずに殺菌部10へ直接搬送されて殺菌された後、識別部20で識別され、一時保留部50に搬送されて一時保留される。 出金する紙幣全てが一時保留部50に一時保留された後、一時保留部50は、一時保留している全ての紙幣を1枚ずつ搬送部40へ繰り出す。繰り出された紙幣は、識別部20を経て殺菌部10へ搬送されて殺菌された後、出金部12から出金される。この結果、出金処理中に各紙幣が2回殺菌されることになる。
【0041】
一時保留部50を利用して出金処理を行う場合、識別部20による紙幣の識別は、収納部30から殺菌部10を経て一時保留部50へ搬送する途中と、一時保留部50から殺菌部10を経て出金部12へ搬送する途中との少なくともいずれか一方で行えばよい。出金する紙幣の識別は行わず、記憶部70で管理される情報に基づいて、収納部30から出金する紙幣を特定してもよい。一時保留部50を利用する場合も、収納部30から一時保留部50へ紙幣を搬送する処理と、一時保留部50から出金部12へ紙幣を搬送する処理とのいずれか一方のみで紙幣を殺菌する態様であってもよい。
【0042】
紙幣処理装置1は、計数処理時にも、一時保留部50を利用して、1回の紙幣処理中に紙幣を複数回殺菌することができる。具体的には、入金部11が1枚ずつ搬送部40へ繰り出した紙幣は、殺菌部10で殺菌されて識別部20で識別された後、一時保留部50に一時保留される。入金部11の紙幣全てが一時保留部50に一時保留された後、一時保留部50は、一時保留している全ての紙幣を1枚ずつ搬送部40へ繰り出す。繰り出された紙幣は、識別部20を経て殺菌部10へ搬送され、殺菌部10で殺菌された後、出金部12から装置外へ排出される。この結果、計数処理中に各紙幣が2回殺菌されることになる。
【0043】
一時保留部50を利用して計数処理を行う場合、識別部20による紙幣の識別は、入金部11から殺菌部10を経て一時保留部50へ搬送する途中で行われる態様に限定されない。入金部11から殺菌部10を経て一時保留部50へ搬送される途中と、一時保留部50から殺菌部10を経て出金部12へ搬送される途中との少なくともいずれか一方で、識別部20が紙幣を識別すればよい。一時保留部50を利用する場合も、入金部11から一時保留部50へ紙幣を搬送する処理と、一時保留部50から出金部12へ紙幣を搬送する処理とのいずれか一方のみで紙幣を殺菌する態様であってもよい。
【0044】
紙幣処理装置1は、殺菌処理時にも、一時保留部50を利用して、1回の紙幣処理中に紙幣を複数回殺菌することができる。具体的には、入金部11が1枚ずつ搬送部40へ繰り出した紙幣は、殺菌部10で殺菌された後、識別部20を経て一時保留部50に一時保留される。入金部11の紙幣全てが一時保留部50に一時保留された後、一時保留部50は、一時保留している全ての紙幣を1枚ずつ搬送部40へ繰り出す。繰り出された紙幣は、識別部20を経て殺菌部10へ搬送され、殺菌部10で殺菌された後、出金部12から装置外へ排出される。この結果、殺菌処理中に各紙幣が2回殺菌されることになる。ただし、一時保留部50を利用する場合も、入金部11から一時保留部50へ紙幣を搬送する処理と、一時保留部50から出金部12へ紙幣を搬送する処理とのいずれか一方のみで紙幣を殺菌する態様であってもよい。
【0045】
紙幣処理装置1は、一時保留部50を利用して、収納部30に収納されている紙幣を殺菌することができる(B2)。例えば、紙幣処理装置1は、収納部30の紙幣を識別して殺菌する在高確認処理を行う。在高確認処理は、収納部30に収納されている紙幣の金種及び枚数が、記憶部70で管理している収納部30の紙幣情報と一致することを確認するために行われる処理である。在高確認処理は、精査処理と呼ばれることがある。
【0046】
在高確認処理では、収納部30が1枚ずつ搬送部40へ繰り出した紙幣が、識別部20を経ずに殺菌部10へ直接搬送される。殺菌部10で殺菌されて識別部20で識別された紙幣は、一時保留部50に搬送されて一時保留される。収納部30の紙幣全てが一時保留部50へ一時保留された後、一時保留部50は、一時保留している全ての紙幣を1枚ずつ搬送部40へ繰り出す。繰り出された紙幣は、識別部20へ搬送されて識別され、殺菌部10で殺菌された後、収納部30に収納される。識別部20による紙幣の識別は、収納部30から殺菌部10を経て一時保留部50へ搬送される途中と、一時保留部50から殺菌部10を経て収納部30へ戻される途中との少なくともいずれか一方のみで行ってもよい。一時保留部50を利用する場合も、入金部11から一時保留部50へ紙幣を搬送する処理と、一時保留部50から収納部30へ紙幣を搬送する処理とのいずれか一方のみで紙幣を殺菌する態様であってもよい。こうして、紙幣処理装置1は、識別部20による識別結果に基づいて、収納部30に収納されている紙幣が、記憶部70で管理している収納部30の紙幣情報と一致することを確認することができる。
【0047】
また、例えば、紙幣処理装置1は、収納部30の紙幣を識別せずに殺菌する装置内殺菌処理を行う。上述した殺菌処理が、入金部11に受けた紙幣を殺菌して出金部12から排出する処理であるのに対して、装置内殺菌処理は、収納部30の紙幣を装置外へは出さずに装置内で殺菌する処理である。
【0048】
装置内殺菌処理では、収納部30が1枚ずつ搬送部40へ繰り出した紙幣が、識別部20を経ずに殺菌部10へ直接搬送されて殺菌された後、識別部20を経て一時保留部50に搬送されて一時保留される。殺菌する紙幣全てが一時保留部50へ一時保留された後、一時保留部50は、一時保留している全ての紙幣を1枚ずつ搬送部40へ繰り出す。繰り出された紙幣は、識別部20を経て殺菌部10へ搬送され、殺菌部10で殺菌された後、収納部30に収納される。一時保留部50を利用する場合も、入金部11から一時保留部50へ紙幣を搬送する処理と、一時保留部50から収納部30へ紙幣を搬送する処理とのいずれか一方のみで紙幣を殺菌する態様であってもよい。
【0049】
紙幣処理装置1は、紙幣の搬送速度を変更することができる(C1)。紙幣の搬送速度は特に限定されないが、例えば、紙幣処理装置1は、紙幣を低速搬送する際には800mm/秒で搬送し、高速搬送する際には1600mm/秒で搬送する。
【0050】
紙幣処理装置1は、紙幣処理毎に紙幣の搬送速度を変更することができる。例えば、紙幣処理装置1は、紙幣を殺菌しない紙幣処理に比べて、紙幣を殺菌する紙幣処理の紙幣の搬送速度を低速にする。紙幣を殺菌する紙幣処理を行う際に、低速搬送される紙幣に殺菌部10が紫外光を照射することにより殺菌効果を高めることができる。
【0051】
紙幣処理装置1は、紙幣を殺菌する複数種類の紙幣処理について、紙幣処理毎に紙幣の搬送速度を変更することができる。例えば、紙幣処理装置1は、紙幣を殺菌して入金する入金処理時に比べて、紙幣を殺菌して出金する出金処理時の紙幣の搬送速度を高速にする。入金処理で収納部30に収納された紙幣を出金する出金処理では、出金する紙幣が少なくとも1回殺菌されている。このため、出金処理では、入金処理より紙幣を高速で搬送することにより、出金処理の処理時間を短縮することができる。
【0052】
紙幣処理装置1では、1回の紙幣処理中に紙幣を複数回殺菌する場合、各回の紙幣の搬送速度を変更することができる。例えば、一時保留部50を利用する入金処理では、入金部11の紙幣を一時保留部50に一時保留する際に1回目の殺菌が行われ、一時保留部50の紙幣を収納部30に収納する際に2回目の殺菌が行われる。紙幣処理装置1は、これら2回の殺菌のうち、一方の殺菌時の紙幣の搬送速度を、他方の殺菌時の搬送速度に比べて高速にすることができる。例えば、紙幣処理装置1は、1回目の殺菌時には紙幣を高速で搬送して、2回目の殺菌時には紙幣を1回目の殺菌時に比べて低速で搬送する。
【0053】
例えば、入金処理では、紙幣の識別と1回目の殺菌とが行われて一時保留部50に一時保留された状態で、操作者が識別結果を承認する操作が行われる。操作者が識別結果を承認して入金処理を終えた後、一時保留部50の紙幣の2回目の殺菌が行われて収納部30に収納される。このため、1回目の殺菌時の紙幣の搬送速度を高速にすることで入金処理に要する処理時間を短縮すると共に、2回目の殺菌時の紙幣の搬送速度を低速にすることで紙幣の殺菌効果を高めることができる。
【0054】
紙幣処理装置1は、紙幣を殺菌せずに紙幣処理を行うこともできる。具体的には、紙幣処理装置1は、上述した入金処理、出金処理、計数処理、在高確認処理等の各紙幣処理を、殺菌部10による殺菌を行わずに、すなわち殺菌部10の光源を消灯して行うことができる。殺菌部10の光源を消灯して行う紙幣処理では紙幣が高速搬送される。
【0055】
紙幣処理装置1は、複数種類の紙幣処理の中から選択された紙幣処理を実行することができる。実行する紙幣処理は、操作部81を操作する操作者によって選択されてもよいし、通信部90を介して外部装置によって選択されてもよい。
【0056】
紙幣処理装置1で選択可能な紙幣処理には、紙幣の識別及び殺菌の両方を行う紙幣処理と、紙幣の識別は行わずに殺菌を行う紙幣処理と、紙幣の殺菌は行わずに識別を行う紙幣処理とが含まれる。
【0057】
紙幣の識別及び殺菌の両方を行う紙幣処理には、殺菌部10の光源を点灯して行う入金処理、出金処理、計数処理、在高確認処理の少なくともいずれか1つが含まれる。紙幣の識別は行わずに殺菌を行う紙幣処理には、出金紙幣を識別しない出金処理と、殺菌処理と、装置内殺菌処理の少なくともいずれか1つが含まれる。紙幣の殺菌は行わずに識別を行う紙幣処理には、殺菌部10の光源を消灯して行う入金処理、出金処理、計数処理、在高確認処理の少なくともいずれか1つが含まれる。これらの中から、紙幣処理装置1で実行する紙幣処理を選択することで、紙幣処理と紙幣の殺菌とを効率よく行うことができる。
【0058】
紙幣処理装置1が、
図1を参照しながら説明した全ての処理を実行する態様に限定されず、装置の利用方法や構成に応じて一部の処理のみを実行する態様であってもよい。以下に、紙幣処理装置1の具体例を説明する。以下、装置構成を示す図面では、制御部60、記憶部70、操作部81、表示部82及び通信部90の図示は省略して、主に紙幣処理部2の構成及び動作について説明する。
【0059】
図2は、紙幣処理装置101の例を示す図である。紙幣処理装置101は、
図1に示す構成に加えて、リジェクト部13を有している。例えば、入金処理時に入金部11に載置された紙幣のうち、識別部20で識別された結果、入金できないと判定されたリジェクト紙幣が、リジェクト部13に収納される。リジェクト紙幣はリジェクト部13から装置外へ取り出せるようになっている。
【0060】
紙幣処理装置101は、上部ユニット111と下部ユニット112とに分かれている。下部ユニット112は金庫になっている。大量の紙幣が収納される複数の収納部30は金庫内に設けられている。搬送部40は、上部ユニット111と下部ユニット112との間で紙幣を搬送することができる。
【0061】
紙幣処理装置101は、一時保留部50を利用しない入金処理と、一時保留部50を利用する入金処理との少なくともいずれか一方を行うことができる。紙幣処理装置101が実行する入金処理の種類は、紙幣処理装置101の操作者が変更することができる。紙幣処理装置101で入金処理を開始した操作者は、入金する1枚又は複数枚の紙幣を入金部11に載置する。
【0062】
図3は、一時保留部50を利用しない入金処理を説明するための図である。入金部11は紙幣を1枚ずつ装置内の搬送部40へ繰り出す。搬送部40は、
図3に矢印で示すように紙幣を搬送する。
【0063】
搬送部40は、入金部11が繰り出した紙幣を殺菌部10へ搬送する。殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣を殺菌する。搬送部40は、殺菌部10から識別部20へ紙幣を搬送する。識別部20は、搬送部40が搬送する紙幣を識別する。搬送部40は、識別部20から下部ユニット112の金庫内へ紙幣を搬送する。紙幣は、識別結果に基づいて、複数の収納部30のいずれかに収納される。例えば、各収納部30に収納する紙幣の金種が予め設定され、複数の収納部30に紙幣が金種別に収納される。
【0064】
図4は、一時保留部50を利用する入金処理を説明するための図である。一時保留部50を利用する入金処理では、入金部11が繰り出した紙幣を殺菌して一時保留部50に一時保留する一時保留処理と、一時保留部50から繰り出した紙幣を殺菌して収納部30に収納する収納処理とが行われる。一時保留部50を利用する入金処理では、1回の入金処理で各紙幣が2回殺菌される。
【0065】
図4(a)は一時保留処理の紙幣の動きを示している。入金部11は紙幣を1枚ずつ装置内の搬送部40へ繰り出す。搬送部40は紙幣を殺菌部10へ搬送する。殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣を殺菌する。搬送部40は、紙幣を殺菌部10から識別部20へ搬送する。識別部20は、搬送部40が搬送する紙幣を識別する。搬送部40は、識別部20から上部ユニット111内の一時保留部50へ紙幣を搬送する。一時保留部50は紙幣を一時保留する。こうして入金部11の紙幣全てが一時保留部50に一時保留された後、一時保留部50の紙幣を収納部30に収納する収納処理が開始される。
【0066】
一時保留処理の完了後、一時保留部50に一時保留された紙幣の識別結果が、表示部82に表示される。識別結果には、一時保留部50に一時保留された紙幣の合計金額、すなわち入金金額が含まれる。表示部82の情報を確認した操作者が、操作部81を操作して、識別結果を承認して入金処理を終えると、収納処理が開始される。
【0067】
図4(b)は収納処理の紙幣の動きを示している。一時保留部50は、一時保留している全ての紙幣を1枚ずつ搬送部40へ繰り出す。搬送部40は、一時保留部50から殺菌部10へ紙幣を搬送する。殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣を殺菌する。搬送部40は、殺菌部10から識別部20へ紙幣を搬送する。識別部20は、搬送部40が搬送する紙幣を識別する。搬送部40は、識別部20から下部ユニット112の金庫内へ紙幣を搬送する。紙幣は、識別結果に基づいて、複数の収納部30のいずれかに収納される。こうして一時保留部50に一時保留された全ての紙幣、すなわち入金された全ての紙幣が収納部30に収納される。
【0068】
入金部11の紙幣を一時保留部50へ搬送して収納する一時保留処理と、一時保留部50の紙幣を収納部30へ搬送して収納する収納処理との両方で、識別部20が紙幣を識別する例を示したが、識別部20がいずれか一方の処理時にのみ紙幣を識別する態様であってもよい。
【0069】
紙幣処理装置101は、一時保留部50を利用しない出金処理と、一時保留部50を利用する出金処理との少なくともいずれか一方を行うことができる。紙幣処理装置101が実行する出金処理の種類は、紙幣処理装置101の操作者が変更することができる。例えば、紙幣処理装置101操作者は、操作部81を操作して出金処理を開始して、出金する紙幣を指定する。また、例えば、通信部90を介して、出金する紙幣を指定する情報が外部装置から紙幣処理装置101に入力される。
【0070】
図5は、一時保留部50を利用しない出金処理を説明するための図である。出金される紙幣が1又は複数の収納部30から1枚ずつ搬送部40へ繰り出される。搬送部40は、
図5に矢印で示すように紙幣を搬送する。
【0071】
搬送部40は、収納部30が繰り出した紙幣を1枚ずつ上部ユニット111の識別部20へ搬送する。識別部20は、搬送部40が搬送する紙幣を識別する。搬送部40は、識別部20から殺菌部10へ紙幣を搬送する。殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣を殺菌する。搬送部40は、殺菌部10から出金部12へ紙幣を搬送する。出金部12は、搬送部40から受けた紙幣を集積する。こうして出金する紙幣全てが出金部12から出金される。
【0072】
図6は、一時保留部50を利用する出金処理を説明するための図である。一時保留部50を利用する出金処理では、収納部30から繰り出した紙幣を殺菌して一時保留部50に一時保留する一時保留処理と、一時保留部50から繰り出した紙幣を殺菌して出金部12へ排出する排出処理とが行われる。一時保留部50を利用する出金処理では、1回の出金処理で各紙幣が2回殺菌される。
【0073】
図6(a)は一時保留処理の紙幣の動きを示している。出金される紙幣が、1又は複数の収納部30から1枚ずつ搬送部40へ繰り出される。搬送部40は、収納部30が繰り出した紙幣を1枚ずつ上部ユニット111の識別部20へ搬送する。識別部20は、搬送部40が搬送する紙幣を識別する。搬送部40は、識別部20から殺菌部10へ紙幣を搬送する。殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣を殺菌する。搬送部40は、殺菌部10から一時保留部50に紙幣を搬送する。一時保留部50は紙幣を一時保留する。こうして出金する紙幣全てが一時保留部50に一時保留された後、一時保留部50の紙幣を収納部30に収納する収納処理が開始される。
【0074】
図6(b)は排出処理の紙幣の動きを示している。一時保留部50は、一時保留している全ての紙幣を1枚ずつ搬送部40へ繰り出す。搬送部40は、一時保留部50から識別部20へ紙幣を搬送する。識別部20は、搬送部40が搬送する紙幣を識別する。搬送部40は、識別部20から殺菌部10へ紙幣を搬送する。殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣を殺菌する。搬送部40は、殺菌部10から出金部12へ紙幣を搬送する。出金部12は、搬送部40から受けた紙幣を集積する。こうして一時保留部50に一時保留された全ての紙幣、すなわち出金する全ての紙幣が出金部12から出金される。
【0075】
収納部30の紙幣を一時保留部50へ搬送して収納する一時保留処理と、一時保留部50の紙幣を出金部12へ搬送して排出する排出処理との両方で、識別部20が紙幣を識別する例を示したが、識別部20が排出処理時に紙幣を識別しない態様であってもよい。
【0076】
紙幣処理装置101は、一時保留部50を利用して在高確認処理を行うことができる。紙幣処理装置101は、複数の収納部30それぞれに収納中の紙幣の情報を在高情報として記憶部70で管理している。例えば、在高情報には、各収納部30に収納されている紙幣の金種及び金種別枚数が含まれる。在高確認処理は、収納部30に実際に収納されている紙幣の情報が、在高情報で管理されている情報と一致することを確認するための処理である。1つの収納部30から全ての紙幣を1枚ずつ繰り出して識別部20で識別することにより、この収納部30に収納中の紙幣の情報が、在高情報で管理されている情報と一致することの確認が行われる。
【0077】
図7は、在高確認処理を説明するための図である。
図7では1つの収納部30を例に在高確認処理の紙幣の動きを示しているが、他の収納部30の在高確認処理も同様に行われる。在高確認処理では、収納部30から紙幣を繰り出して一時保留部50に一時保留する一時保留処理と、一時保留部50から紙幣を繰り出して収納部30へ戻す戻し処理とが行われる。1回の在高確認処理で各紙幣が2回される。
【0078】
図7(a)は一時保留処理の紙幣の動きを示している。収納部30は、収納している全ての紙幣を1枚ずつ搬送部40へ繰り出す。搬送部40は、収納部30から繰り出された紙幣を識別部20へ搬送する。識別部20は、搬送部40が搬送する紙幣を識別する。搬送部40は、識別部20から殺菌部10へ紙幣を搬送する。殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣を殺菌する。搬送部40は、殺菌部10から一時保留部50へ紙幣を搬送する。一時保留部50は紙幣を一時保留する。こうして収納部30の紙幣全てが一時保留部50に一時保留された後、一時保留部50の紙幣を収納部30へ戻す戻し処理が開始される。
【0079】
図7(b)は戻し処理の紙幣の動きを示している。一時保留部50は、一時保留している全ての紙幣を1枚ずつ搬送部40へ繰り出す。搬送部40は、一時保留部50から殺菌部10へ紙幣を搬送する。殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣を殺菌する。搬送部40は、殺菌部10から識別部20へ紙幣を搬送する。識別部20は、搬送部40が搬送する紙幣を識別する。搬送部40は、識別部20から、紙幣が収納されていた元の収納部30紙幣を搬送する。収納部30は、搬送部40から受けた紙幣を収納する。こうして一時保留部50に一時保留された全ての紙幣が元の収納部30へ戻される。紙幣処理装置101は、収納部30の紙幣の識別結果が、記憶部70の在高情報と一致することを確認する。例えば、紙幣処理装置101は、確認結果を表示部82に表示する。
【0080】
収納部30の紙幣を一時保留部50へ搬送して収納する一時保留処理と、一時保留部50の紙幣を収納部30へ戻す戻し処理との両方で、識別部20が紙幣を識別する例を示したが、識別部20がいずれか一方の処理時にのみ紙幣を識別する態様であってもよい。また、在高確認処理は、一時保留部50を利用して行う態様に限定されず、紙幣の収納及び繰り出しを行うことができる他の構成を利用して行ってもよい。例えば、収納部30の1つを在高確認処理に利用して、一時保留処理時に、この収納部30に紙幣が一時保留されてもよい。
【0081】
紙幣処理装置101は、在高確認処理で、収納部30に収納されている紙幣を2回殺菌するが、
図7に示した一時保留処理と戻し処理とを繰り返して紙幣をさらに殺菌してもよい。紙幣処理装置101は、予め設定された回数、又は在高確認処理の開始時に操作者が操作部81で指定した回数、同じ紙幣の殺菌を繰り返すことができる。例えば、在高確認処理時に一時保留処理及び戻し処理を2回行うことで紙幣が4回殺菌されることになる。
【0082】
紙幣処理装置101は、装置内殺菌処理を行うことができる。装置内殺菌処理は装置内で紙幣を殺菌する処理である。装置内殺菌処理は、
図7(a)に示したように収納部30から繰り出した紙幣を殺菌部10で殺菌して一時保留部50に一時保留し、
図7(b)に示したように一時保留部50から繰り出した紙幣を再び殺菌部10で殺菌して収納部30へ戻すことによって行われる。紙幣の動きは在高確認処理と同じであるが、装置内殺菌処理では、識別部20による紙幣の識別は行われない。
【0083】
装置内殺菌処理は、操作者が操作部81で所定の操作を行って手動で開始することができる。操作者が、装置内殺菌処理の実行を指示すると、紙幣処理装置101は、全ての収納部30の全ての紙幣を殺菌する。また、操作者は、1又は複数の収納部30を指定して装置内殺菌処理を実行し、指定した収納部30の紙幣のみを殺菌することもできる。
【0084】
装置内殺菌処理では、在高確認処理と異なり、収納部30に収納中の紙幣のうち一部の紙幣のみを繰り出して殺菌することもできる。例えば、各収納部30に収納されている紙幣のうち、10枚というように所定枚数の紙幣のみを殺菌することもできるし、10%というように所定割合の紙幣のみを殺菌することもできる。殺菌する紙幣枚数及び割合は予め設定しておくこともできるし、装置内殺菌処理を実行する際に操作者が指定することもできる。
【0085】
紙幣処理装置101では、他の紙幣処理と、装置内殺菌処理とで紙幣の搬送速度を変更することができる。例えば、入金処理、出金処理及び在高確認処理では処理時間を短縮するために紙幣を高速で搬送し、装置内殺菌処理では殺菌効果を高めるために紙幣を低速で搬送する設定とすることができる。紙幣処理装置101が小売店や金融機関店舗で客との取引に利用される場合、客から預かった紙幣の入金処理時には紙幣を高速搬送し、客のいないときに装置内殺菌処理を低速搬送して行うことで、接客時に客を待たせることなく、紙幣をより確実に殺菌することができる。客へ渡す紙幣を出金する出金処理時にも装置内殺菌処理時に比べて高速で紙幣を搬送することで処理を短時間で完了することができる。
【0086】
紙幣処理装置101は、複数の収納部30のうち1つを、紙幣を退避収納する退避収納部として利用して、紙幣を繰り返し殺菌することができる。
図8は、紙幣の殺菌を繰り返す方法を説明するための図である。
【0087】
図4に示したように一時保留部50を利用して入金処理を行う場合、紙幣処理装置101は、
図4(a)に示すように紙幣を一時保留部50に一時保留した後、操作者の承認を得て入金処理を完了する。この後、紙幣処理装置101は、
図8(a)に示すように一時保留部50の紙幣を繰り出して殺菌部10で殺菌し、退避収納部30に収納する。一時保留部50の紙幣全てを殺菌して退避収納部30に収納した後、紙幣処理装置101は、
図8(b)に示すように退避収納部30から紙幣を繰り出して殺菌部10で殺菌して一時保留部50へ戻す。退避収納部30の紙幣全てを一時保留部50へ戻した後、紙幣処理装置101は、
図4(b)に示したように紙幣を収納部30に収納して入金処理を完了する。この結果、1回の入金処理で紙幣は4回殺菌されることになる。紙幣処理装置1は、
図8に示す処理を繰り返して、同じ紙幣をさらに殺菌することもできる。
【0088】
図6で説明した出金処理、
図7で説明した在高確認処理及び装置内殺菌処理においても、紙幣を一時保留部50に一時保留した後、
図8に示すように一時保留部50と退避収納部30との間で殺菌部10を経て紙幣を移動することにより、紙幣を繰り返し殺菌することができる。各紙幣処理で行う殺菌回数は操作者が変更することができる。
【0089】
紙幣処理装置101は、計数処理を行うことができる。計数処理は、入金部11に受けた紙幣を装置内へ繰り出して、殺菌部10による殺菌と識別部20による識別とを行った後、収納部30に収納せずに出金部12から返却する紙幣処理である。紙幣処理装置101は、一時保留部50を利用しない計数処理と、一時保留部50を利用する計数処理との少なくともいずれか一方を行うことができる。紙幣処理装置101が実行する計数処理の種類は、紙幣処理装置101の操作者が変更することができる。計数処理を開始した操作者は、計数したい複数枚の紙幣を入金部11に載置する。
【0090】
図9は、一時保留部50を利用しない計数処理を説明するための図である。入金部11は紙幣を1枚ずつ装置内の搬送部40へ繰り出す。搬送部40は、入金部11が繰り出した紙幣を殺菌部10へ搬送する。殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣を殺菌する。搬送部40は、殺菌部10から識別部20へ紙幣を搬送する。識別部20は、搬送部40が搬送する紙幣を識別する。搬送部40は、識別部20から出金部12へ紙幣を搬送する。出金部12は、搬送部40から受けた紙幣を集積する。入金部11の紙幣全ての識別を終えると、紙幣処理装置101は、紙幣の識別結果を表示部82に表示する。例えば、紙幣の金種別枚数、合計枚数及び合計金額が表示部82に表示される。操作者は、紙幣の計数結果を確認して、装置内で殺菌された紙幣を出金部12から取り出す。
【0091】
図10は、一時保留部50を利用する計数処理を説明するための図である。一時保留部50を利用する計数処理では、入金部11から紙幣を繰り出して一時保留部50に一時保留する一時保留処理と、一時保留部50から紙幣を繰り出して出金部12へ排出する排出処理とが行われる。
【0092】
図10(a)は一時保留処理の紙幣の動きを示している。入金部11は紙幣を1枚ずつ装置内の搬送部40へ繰り出す。搬送部40は紙幣を殺菌部10へ搬送する。殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣を殺菌する。搬送部40は、紙幣を殺菌部10から識別部20へ搬送する。識別部20は、搬送部40が搬送する紙幣を識別する。搬送部40は、識別部20から上部ユニット111内の一時保留部50へ紙幣を搬送する。一時保留部50は紙幣を一時保留する。こうして入金部11の紙幣全てが一時保留部50に一時保留された後、一時保留部50の紙幣を出金部12へ排出する排出処理が開始される。
【0093】
図10(b)は排出処理の紙幣の動きを示している。一時保留部50は、一時保留している全ての紙幣を1枚ずつ搬送部40へ繰り出す。搬送部40は、一時保留部50から識別部20へ紙幣を搬送する。識別部20は、搬送部40が搬送する紙幣を識別する。搬送部40は、識別部20から殺菌部10へ紙幣を搬送する。殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣を殺菌する。搬送部40は、殺菌部10から出金部12へ紙幣を搬送する。出金部12は、搬送部40から受けた紙幣を集積する。こうして一時保留部50に一時保留された全ての紙幣が出金部12から排出される。一時保留部50を利用しない場合と同様に、紙幣処理装置101は、紙幣の合計金額を含む識別結果を表示部82に表示する。
【0094】
入金部11の紙幣を一時保留部50へ搬送して収納する一時保留処理と、一時保留部50の紙幣を出金部12へ排出する排出処理との両方で、識別部20が紙幣を識別する例を示したが、識別部20がいずれか一方の処理時にのみ紙幣を識別する態様であってもよい。
【0095】
紙幣処理装置101は、殺菌処理を行うことができる。殺菌処理は、入金部11に受けた紙幣を装置内へ繰り出して、識別部20による識別は行わずに殺菌部10による殺菌を行った後、収納部30に収納せずに出金部12から返却する紙幣処理である。識別部20による識別を行わない点を除いて、計数処理と同様に紙幣が処理されるため詳細な説明は省略する。
【0096】
紙幣処理装置101は、装置内で紙幣を殺菌することを示す情報を表示部82に表示することができる。
図11は、表示部82に表示される画面の例を示す図である。例えば、
図9に示した計数処理時と、
図10(a)に示した計数処理の一時保留処理時には、
図11(a)に示すように紙幣の1回目の殺菌を行っていることを示す情報が表示部82に表示される。一時保留部50を利用する計数処理で紙幣を2回殺菌する場合は、
図10(b)に示した排出処理時に、紙幣の2回目の殺菌中であることを示す情報が表示部82に表示されることになる。
【0097】
紙幣処理装置101は、入金処理、出金処理、在高確認処理、装置内殺菌処理、殺菌処理等の他の紙幣処理時にも、紙幣の殺菌中であることを示す情報と、殺菌回数を示す情報との少なくともいずれか一方を表示部82に表示して操作者に報知することができる。
【0098】
紙幣処理装置101は、
図9に示したように一時保留部50を利用せずに行う計数処理時及び殺菌処理時にも、紙幣を複数回殺菌することができる。紙幣の殺菌回数は予め設定しておくこともできるし、計数処理の実行を指示する際に操作者が指定することもできる。
【0099】
例えば、一時保留部50を利用しない計数処理で紙幣を2回殺菌する場合、紙幣処理装置101は、
図9に示した処理を行って1回目の紙幣の殺菌を行う。このとき紙幣処理装置101は、
図11(a)に示す画面を表示部82に表示する。入金部11の紙幣全ての識別と殺菌を行って出金部12に排出した後、紙幣処理装置101は、
図11(b)に示す画面を表示部82に表示する。画面上には、出金部12に排出した紙幣を取り出して入金部11へ載置するよう指示する情報が表示される。表示部82の表示を確認した操作者が、出金部12の紙幣を入金部11へ移動した後、再び
図9に示した処理が開始されて2回目の紙幣の殺菌が行われる。例えば、操作者が出金部12から入金部11へ紙幣を移動した後、操作部81で所定操作を行うことにより2回目の殺菌が開始される。また、例えば、入金部11に設けられた図示しないセンサが、操作者が入金部11に載置した紙幣を検知して、2回目の紙幣の殺菌が開始される。紙幣処理装置101は、
図11(a)と同様の画面を表示部82に表示して、操作者に2回目の殺菌を行っていることを報知する。入金部11の紙幣全ての識別を終えた後、紙幣処理装置101は紙幣の合計金額を含む識別結果を表示部82に表示して計数処理を完了する。殺菌処理でも同様に、操作者が出金部12の紙幣を入金部11に移動することにより、紙幣を複数回殺菌することができる。
【0100】
紙幣処理装置101は、
図10に示したように一時保留部50を利用して行う計数処理時及び殺菌処理時にも紙幣を3回以上殺菌することができる。例えば、計数処理で紙幣を3回以上殺菌する場合、紙幣処理装置101は、紙幣を2回殺菌して出金部12へ排出した後、
図11(b)に示すように、出金部12の紙幣を入金部11へ移動するよう指示する情報を表示部82に表示する。表示部82の表示を確認した操作者が、出金部12の紙幣を入金部11へ移動することにより紙幣が再度殺菌されることになる。こうして紙幣を指定回数殺菌した後、紙幣処理装置101は、紙幣の合計金額を含む識別結果を表示部82に表示して計数処理を完了する。殺菌は奇数回行うこともできるし偶数回行うこともできる。例えば、紙幣を3回殺菌する場合は、
図10で説明した処理で紙幣を2回殺菌し、
図9で説明した処理で紙幣を1回殺菌すればよい。紙幣を4回殺菌する場合は、
図10で説明した処理を2回繰り返して紙幣を4回殺菌すればよい。一時保留部50を利用する殺菌処理でも同様に、操作者が出金部12の紙幣を入金部11に移動することにより、紙幣を複数回殺菌することができる。
【0101】
出金部12から入金部11へ紙幣を移動して殺菌を繰り返す計数処理では、入金部11から装置内へ紙幣を繰り出す度に紙幣が識別される態様に限定されない。例えば、入金部11から装置内へ紙幣を繰り出す最初又は最後の処理時にのみ紙幣が識別される態様であってもよい。
【0102】
紙幣処理装置101は、両替処理を行うことができる。両替処理は、入金部11から入金された1又は複数枚の紙幣の合計金額と同一金額分を、収納部30から繰り出した1又は複数枚の別の紙幣で出金する処理である。
【0103】
図12は、両替処理を説明するための図である。操作者は、両替したい紙幣を入金部11に載置すると共に、操作部81を操作して両替後の紙幣の金種と枚数の少なくともいずれか一方を指定して両替処理を開始する。
【0104】
紙幣処理装置101は、
図12(a)に示すように、入金部11から搬送部40へ繰り出した紙幣を、殺菌部10で殺菌して識別部20で識別した後、一時保留部50へ一時保留する。
【0105】
紙幣処理装置101は、
図12(b)に示すように、先に行われた操作者の指定に基づいて、一時保留した紙幣の合計金額と同一金額分の紙幣を、1又は複数の収納部30から1枚ずつ繰り出す。収納部30から繰り出された紙幣は1枚ずつ識別部20へ搬送されて識別された後、出金部12へ排出される。出金部12には両替後の紙幣が集積される。操作者は、出金部12から両替後の紙幣を抜き取って両替処理を終えることができる。紙幣処理装置101は、
図12(c)に示すように、一時保留部50に一時保留していた紙幣を1枚ずつ搬送部40へ繰り出し、殺菌部10で殺菌して識別部20で識別した後、識別結果に基づいて収納部30に収納して両替処理を完了する。
【0106】
両替処理は、
図12で説明した方法に限定されず、紙幣処理装置101は、
図3又は
図4で説明した入金処理を行って両替前の紙幣を収納部30に収納した後、
図5又は
図6で説明した出金処理を行って両替後の紙幣を収納部30から出金してもよい。
【0107】
次に、着脱可能なカセット式の紙幣収納部(以下「カセット」と記載する)を備える紙幣処理装置の例を説明する。
図13は、カセット240を着脱可能な紙幣処理装置201の例を示す図である。
図14は、同じカセット240を着脱可能な別の紙幣処理装置301の例を示す図である。
【0108】
紙幣処理装置201、301の利用場所は特に限定されないが、紙幣処理装置201が小売店の店舗のチェックアウトカウンタに設置され、紙幣処理装置301が小売店のバックオフィスに設置される場合を例に説明を続ける。
【0109】
図13に示す紙幣処理装置201は、チェックアウトカウンタで客との取引時に精算処理に利用される。紙幣処理装置201は、客から受け取った代金の入金処理と、客へ返す釣銭の出金処理とを行うことができる。
図14に示す紙幣処理装置301は、バックオフィスで店内の紙幣を管理するために利用される。紙幣処理装置301は、紙幣処理装置201から回収した紙幣の入金処理と、紙幣処理装置201へ補充する紙幣の出金処理とを行うことができる。説明を簡単にするため、以下、チェックアウトカウンタの紙幣処理装置201をフロント機201と記載して、バックオフィスの紙幣処理装置301をバック機301と記載する。
【0110】
図13に示すフロント機201は、
図1に示す構成に加えて、リジェクト部13と、カセット240が着脱される着脱部230とを有する。例えば、入金処理時に入金部11に載置された紙幣のうち、識別部20で識別された結果、入金できないと判定されたリジェクト紙幣が、リジェクト部13に収納される。リジェクト紙幣は後でリジェクト部13から取り出されて調べられることになる。
【0111】
着脱部230にカセット240が着脱される。カセット240が着脱部230に装着されることにより、フロント機201は、カセット240が収納している紙幣を搬送部40へ繰り出すことができる。また、フロント機201は、搬送部40が搬送する紙幣をカセット240に収納することができる。
【0112】
図15は、フロント機201の入金処理及び出金処理を説明するための図である。入金処理時には、
図15(a)に示すように、入金部11に受けた複数枚の紙幣が1枚ずつ装置内の搬送部40へ繰り出され、識別部20で識別されて、殺菌部10で殺菌された後、着脱部230と複数の収納部30のいずれかに搬送される。例えば、収納部30に割り当てられている金種の紙幣は収納部30に収納され、収納部30に割り当てられていない金種の紙幣は着脱部230に搬送されてカセット240に収納される。
【0113】
図15には2つの収納部30を示しているが、各収納部30内に、テープと共に紙幣を外周面に巻き取りながら収納するドラムが2つ設けられており、1つの収納部30に2金種の紙幣を金種別に収納できるようになっている。収納部30は、各ドラムを紙幣収納時と逆方向に回転することにより、収納していた紙幣を搬送部40に繰り出すことができる。すなわち、フロント機201は、2つの収納部30を利用して、4金種の紙幣を金種別に収納すると共に、収納した紙幣を搬送部40に繰り出すことができる。
【0114】
出金処理時には、
図15(b)に示すように、出金する紙幣が収納部30から搬送部40へ繰り出される。紙幣は、殺菌部10で殺菌されて識別部20で識別された後、出金部12から出金される。
【0115】
図14に示すバック機301は、
図1に示す構成に加えて、2つのリジェクト部13(13a、13b)と、回転部320と、カセット240が着脱される着脱部330と、回収容器340に紙幣を収納する回収部350とを有する。
【0116】
バック機301は、2つのリジェクト部13a、13bにリジェクト紙幣を収納することができる。例えば、バック機301は、入金処理時に入金できないと判定したリジェクト紙幣をリジェクト部13aに収納し、出金処理時に出金できないと判定したリジェクト紙幣をリジェクト部13bに収納することができる。
【0117】
回転部320は、紙幣の表裏方向はそのままに天地方向を回転する。例えば、回転部320は、紙幣の搬送方向と直交する方向に配設された複数のローラを有し、これらのローラが紙幣面に接して、異なる回転速度で回転することにより、紙幣の向きが変わるようになっている。着脱部330に装着されたカセット240の紙幣は、紙幣の長手を搬送方向と平行にして繰り出される。一方、入金部11の紙幣は、紙幣の短手を搬送方向と平行にして繰り出される。回転部320が、カセット240から繰り出された紙幣を、紙幣の短手が搬送方向と平行になるように90度回転することにより、バック機301は、この紙幣を、入金部11から繰り出された紙幣と同様に処理できるようになる。
【0118】
着脱部330にカセット240が着脱される。カセット240が着脱部330に装着されることにより、バック機301は、カセット240が収納している紙幣を搬送部40へ繰り出すことができる。また、バック機301は、搬送部40が搬送する紙幣をカセット240に収納することができる。
【0119】
回収部350は、搬送部40が搬送する紙幣を受けて回収容器340に収納する。例えば、大量の紙幣を収納可能な袋が回収容器340として利用される。カセット240及び収納部30が紙幣の収納及び繰り出しを行うのに対して、回収部350は回収容器340への紙幣の収納のみを行い、回収容器340からの紙幣の繰り出しは行わない。
【0120】
バック機301は、上部ユニット311と、金庫である下部ユニット312とに分かれ、下部ユニット312は、さらに第1金庫部312aと第2金庫部312bとに分かれている。大量の紙幣が収納される複数の収納部30は第1金庫部312a内に設けられ、回収容器340及び回収部350は第2金庫部312b内に設けられている。
【0121】
搬送部40は、上部ユニット311と、下部ユニット312の第1金庫部312a及び第2金庫部312bとの間で紙幣を搬送することができる。例えば、各収納部30に収納する紙幣の金種が予め設定され、入金処理時に入金された紙幣は上部ユニット311の識別部20で識別された後、金庫内へ搬送されて、第1金庫部312aの複数の収納部30に金種別に収納される。また、例えば、出金処理時には、収納部30から繰り出された紙幣が第1金庫部312aから上部ユニット311へ搬送されて、出金部12から出金される。収納部30の紙幣を装置外へ回収する際には、回収される紙幣が、収納部30から繰り出されて第1金庫部312aから第2金庫部312bの回収部350へ搬送され、回収部350によって回収容器340に収納される。操作者は、下部ユニット312の金庫扉を開いて、回収対象の紙幣を収納した回収容器340を回収部350から取り外して装置外に回収することができる。
【0122】
バック機301は、
図2に示した紙幣処理装置101と同様に、入金処理、出金処理、在高確認処理、装置内殺菌処理、計数処理、殺菌処理、両替処理等の紙幣処理を行うことができる。これらの紙幣処理は、
図2に示した紙幣処理装置101が行う
図3~
図12で説明した紙幣処理と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0123】
バック機301は、カセット240の紙幣の入金処理を行うことができる。バック機301は、一時保留部50を利用しない入金処理と、一時保留部50を利用する入金処理との少なくともいずれか一方を実行することができる。バック機301が実行する入金処理の種類は操作者が変更することができる。
【0124】
図16は、一時保留部50を利用せずに行うカセット240の紙幣の入金処理を説明するための図である。着脱部330に装着されたカセット240から搬送部40へ紙幣が1枚ずつ繰り出される。搬送部40は、カセット240から繰り出された紙幣を回転部320へ搬送する。着脱部330から回転部320まで、紙幣は、紙幣の長手を搬送方向と平行にして搬送される。回転部320は、紙幣の表裏方向はそのままに、紙幣の短手が搬送方向と平行になるように紙幣の天地方向を90度回転する。これにより、この紙幣が回転部320から殺菌部10へ搬送された後、バック機301は、この紙幣を、入金部11から入金された紙幣と同様に処理できるようになる。殺菌部10は、回転部320から搬送されてきた紙幣を殺菌する。その後、紙幣は、識別部20で識別され、識別結果に対応するいずれかの収納部30へ搬送されて収納される。
【0125】
図17は、一時保留部50を利用して行うカセット240の紙幣の入金処理を説明するための図である。一時保留部50を利用する入金処理では、カセット240から紙幣を繰り出して一時保留部50に一時保留する一時保留処理と、一時保留部50から紙幣を繰り出して収納部30に収納する収納処理とが行われる。
【0126】
図17(a)は一時保留処理の紙幣の動きを示している。着脱部330に装着されたカセット240から搬送部40へ紙幣が1枚ずつ繰り出される。搬送部40は、カセット240から繰り出された紙幣を回転部320へ搬送する。回転部320は、紙幣の表裏方向はそのままに、紙幣の短手が搬送方向と平行になるように紙幣の天地方向を90度回転する。紙幣は、殺菌部10で殺菌されて識別部20で識別された後、一時保留部50に一時保留される。カセット240から入金する紙幣全てが一時保留部50に一時保留された後、一時保留部50の紙幣を収納部30に収納する収納処理が開始される。
【0127】
一時保留処理の完了後、一時保留部50に一時保留された紙幣の識別結果が、表示部82に表示される。識別結果には、一時保留部50に一時保留された紙幣の合計金額、すなわち入金金額が含まれる。表示部82の情報を確認した操作者が、操作部81を操作して、識別結果を承認して入金処理を終えると、収納処理が開始される。
【0128】
図17(b)は収納処理の紙幣の動きを示している。一時保留部50は、一時保留している全ての紙幣を1枚ずつ搬送部40へ繰り出す。搬送部40は、一時保留部50から殺菌部10へ紙幣を搬送する。殺菌部10は、搬送部40が搬送する紙幣を殺菌する。その後、紙幣は、識別部20で識別されて下部ユニット312の第1金庫部312aへ搬送され、識別結果に対応するいずれかの収納部30に収納される。こうして一時保留部50に一時保留された全ての紙幣、すなわち入金された全ての紙幣が収納部30に収納される。
【0129】
入金部11の紙幣を一時保留部50へ搬送して収納する一時保留処理と、一時保留部50の紙幣を収納部30へ搬送して収納する収納処理との両方で、識別部20が紙幣を識別する例を示したが、識別部20がいずれか一方の処理時にのみ紙幣を識別する態様であってもよい。
【0130】
バック機301は、出金した紙幣をカセット240に収納する出金処理を行うことができる。バック機301は、一時保留部50を利用しない出金処理と、一時保留部50を利用する出金処理との少なくともいずれか一方を実行することができる。バック機301が実行する出金処理の種類は操作者が変更することができる。 例えば、バック機301の操作者は、操作部81を操作して出金処理を開始して、出金する紙幣を指定する。また、例えば、通信部90を介して、出金する紙幣を指定する情報が外部装置からバック機301に入力される。
【0131】
図18は、一時保留部50を利用せずに行うカセット240への出金処理を説明するための図である。出金される紙幣は、1又は複数の収納部30から1枚ずつ搬送部40へ繰り出される。搬送部40は、収納部30が繰り出した紙幣を1枚ずつ識別部20へ搬送する。紙幣は、識別部20で識別されて殺菌部10で殺菌された後、回転部320へ搬送される。収納部30から回転部320まで、紙幣は、短手を搬送方向と平行にして搬送される。カセット240は、長手を搬送方向と平行にして搬送されてきた紙幣を収納する。このため、回転部320は、紙幣の表裏方向はそのままに、紙幣の長手が搬送方向と平行になるように紙幣の天地方向を90度回転する。これにより、カセット240は、回転部320から着脱部330へ搬送されてきた紙幣を収納することができる。こうして出金する紙幣全てがカセット240に収納されて出金処理が完了する。
【0132】
図19は、一時保留部50を利用して行うカセット240への出金処理を説明するための図である。一時保留部50を利用する出金処理では、収納部30から紙幣を繰り出して一時保留部50に一時保留する一時保留処理と、一時保留部50から紙幣を繰り出してカセット240に収納する収納処理とが行われる。
【0133】
図19(a)は一時保留処理の紙幣の動きを示している。出金される紙幣が、1又は複数の収納部30から1枚ずつ搬送部40へ繰り出される。搬送部40は、繰り出された紙幣を1枚ずつ識別部20へ搬送する。識別部20で識別されて殺菌部10で殺菌された紙幣は一時保留部50に一時保留される。出金する紙幣全てが一時保留部50に一時保留された後、一時保留部50の紙幣をカセット240に収納する収納処理が開始される。
【0134】
図19(b)は収納処理の紙幣の動きを示している。一時保留部50は、一時保留している全ての紙幣を1枚ずつ搬送部40へ繰り出す。搬送部40は紙幣を識別部20へ搬送する。紙幣は、識別部20で識別されて殺菌部10で殺菌された後、回転部320へ搬送される。回転部320は、紙幣の表裏方向はそのままに、紙幣の長手が搬送方向と平行になるように紙幣の天地方向を90度回転する。紙幣は、回転部320から着脱部330へ搬送されてカセット240に収納される。
【0135】
収納部30の紙幣を一時保留部50へ搬送して収納する一時保留処理と、一時保留部50の紙幣をカセット240へ搬送して収納する収納処理との両方で、識別部20が紙幣を識別する例を示したが、識別部20が収納処理時に紙幣を識別しない態様であってもよい。
【0136】
フロント機201に入金された紙幣は、
図15(a)に示したように、殺菌部10で1回殺菌された後に収納部30に収納される。カセット240を利用してフロント機201から紙幣を回収してバック機301に入金する場合、フロント機201の収納部30から、回収対象の紙幣が繰り出されて、カセット240に収納される。回収対象の紙幣を収納したカセット240はフロント機201の着脱部230から取り外されて、バック機301の着脱部330に装着される。
【0137】
バック機301が、一時保留部50を利用せず、
図16に示したように入金処理を行う場合、カセット240から繰り出された紙幣は1回殺菌された後に収納部30に収納される。この結果、フロント機201に紙幣が入金されてから、バック機301の収納部30に収納されるまでの間に、紙幣が2回殺菌されることになる。一方、バック機301が、一時保留部50を利用して、
図17に示したように入金処理を行う場合は、カセット240から繰り出された紙幣は2回殺菌されるため、フロント機201に入金されてからバック機301の収納部30に収納されるまでの間に紙幣が3回殺菌されることになる。
【0138】
こうしてバック機301の収納部30に収納された紙幣が、カセット240を利用して出金される場合には紙幣がさらに殺菌される。バック機301が、一時保留部50を利用せず、
図18に示したように出金処理を行う場合、収納部30の紙幣は1回殺菌された後にカセット240に収納される。この結果、フロント機201に紙幣が入金されてから、カセット240に収納されるまでの間に紙幣が3回又は4回殺菌されることになる。一方、バック機301が、一時保留部50を利用して、
図19に示したように出金処理を行う場合は、収納部30から繰り出された紙幣が2回殺菌されるため、フロント機201に紙幣が入金されてから、バック機301のカセット240に収納されるまでの間に紙幣が4回又は5回殺菌されることになる。例えば、バック機301から取り外したカセット240が、店舗から金融機関へ運ばれてバック機301と同型の紙幣処理装置に装着されて入金処理が行われる場合は、カセット240の紙幣がさらに殺菌されることになる。
【0139】
このように、殺菌部10を有する複数の紙幣処理装置の間でカセット240を利用して紙幣を移動することにより、紙幣が人の手に触れることなくカセット240内又は紙幣処理装置の装置内にある間に複数回殺菌することができる。これにより紙幣の殺菌効果を高めることができる。
【0140】
次に、紙幣を収納部に収納しない紙幣処理装置の例を説明する。
図20は、装置内に紙幣を収納しない紙幣処理装置401の例を示す図である。
図20(a)は紙幣処理装置401の外観を示し、
図20(b)は紙幣処理装置401の内部構成概略を示している。
【0141】
紙幣処理装置401は紙幣の計数処理及び殺菌処理を行う装置である。紙幣処理装置401は、上部に、複数枚の紙幣を載置可能な入金部11を有し、その下方、装置前面に操作部81及び表示部82を有する。
【0142】
計数処理時、入金部11に載置された紙幣は1枚ずつ装置内の搬送部40へ繰り出される。搬送部40が搬送する紙幣は、殺菌部10で殺菌されて識別部20で識別された後、識別結果に応じてリジェクト部13又は出金部12へ排出される。表示部82には、紙幣の識別結果が表示される。例えば、出金部12に集積した紙幣の金種、金種別枚数、合計枚数、合計金額のうち少なくとも1つが表示部82に表示される。加えて、リジェクト部13に集積したリジェクト紙幣の情報が表示部82に表示されてもよい。紙幣処理装置401による殺菌処理は、識別部20による識別が行われない点を除いて、計数処理と同様に行われる。
【0143】
紙幣処理装置401は、同じ紙幣を複数回殺菌することもできる。紙幣の殺菌回数は予め設定しておくこともできるし、操作者が指定することもできる。例えば、計数処理時に紙幣を2回殺菌する場合、紙幣処理装置401は、入金部11の紙幣の繰り出しを開始した後、
図11(a)に示した画面例と同様に、紙幣の1回目の殺菌を行っていることを示す情報を表示部82に表示する。
【0144】
入金部11の紙幣が全て装置内に繰り出され、各紙幣の殺菌と識別とが行われて出金部12又はリジェクト部13に集積された後、紙幣処理装置401は、
図11(b)に示した画面例と同様に、出金部12及びリジェクト部13の紙幣を取り出して入金部11へ載置するよう指示する情報を表示部82に表示する。
【0145】
操作者が、出金部12及びリジェクト部13の紙幣を入金部11へ移動すると、入金部11の紙幣が再び装置内へ繰り出されて2回目の殺菌及び識別が行われる。例えば、操作者が入金部11に紙幣を載置した後、操作部81で所定操作を行うことにより2回目の処理が開始される。また、例えば、入金部11に設けられた図示しないセンサが、操作者が入金部11に載置した紙幣を検知して2回目の処理が開始される。
【0146】
2回目の殺菌及び識別を開始した紙幣処理装置401は、
図11(a)と同様の画面を表示部82に表示して、2回目の紙幣の殺菌を行っていることを操作者に報知する。入金部11の紙幣全ての殺菌と識別を終えた後、紙幣処理装置401は、表示部82に紙幣の識別結果を表示する。紙幣の殺菌を3回以上行う場合も、同様に、入金部11に受けた紙幣の殺菌、及び、出金部12又はリジェクト部13への集積と、出金部12及びリジェクト部13に集積された紙幣の入金部11への移動とが繰り返される。また、紙幣処理装置401が殺菌処理を複数回行う場合も、識別部20による識別が行われない点を除いて計数処理と同様に行うことができる。
【0147】
紙幣処理装置401は卓上型の小型の装置であるため、大型の紙幣処理装置に比べて、殺菌部10が発する紫外光が入金部11、リジェクト部13、出金部12等の隙間から装置外へ漏れる可能性が高い。このため、殺菌部10では、波長222nmの紫外光を発する光源等、人体に影響のない紫外光を発する光源を用いることが好ましい。
【0148】
図20(b)では、入金部11と識別部20との間に殺菌部10が設けられた例を示したが、殺菌部10が識別部20よりも搬送方向下流側に設けられてもよい。また、殺菌部10が複数設けられてもよい。例えば、識別部20の搬送方向上流側と下流側の両方に殺菌部10が設けられてもよい。
【0149】
本実施形態では、殺菌部10が紫外光を紙幣に照射して殺菌する例を示したが、紙幣の殺菌方法がこれに限定されるものではない。紙幣の殺菌方法は、殺菌の対象となる病原体の種類に応じて適宜決定すればよい。
【0150】
例えば、殺菌部10が、紫外光以外の光を紙幣に照射してもよいし、放射線を紙幣に照射してもよい。殺菌部10が、加熱、消毒液の散布等の異なる方法で紙幣を殺菌してもよい。殺菌部10が1種類の殺菌方法のみを実行する態様に限定されず、2種類以上の殺菌方法を実行してもよい。例えば、殺菌部10が、波長域の異なる2種類の光を紙幣に照射してもよい。殺菌部10が、光の照射、放射線の照射、加熱、消毒液の散布等の複数種類の殺菌方法の中から2種類以上の殺菌を行ってもよい。
【0151】
本実施形態では、搬送部40に沿って殺菌部10を設けて、搬送部40が搬送する紙幣を殺菌する例を示したが、紙幣の殺菌方法がこれに限定されるものではない。例えば、殺菌部10による殺菌時に、搬送部40が紙幣の搬送を停止してもよい。また、例えば、殺菌部10が、搬送部40から紙幣を受けて内部に取り込んで殺菌した後、この紙幣を搬送部40へ繰り出す態様であってもよい。
【0152】
上述したように、本実施形態に係る紙幣処理装置は、装置内で紙幣を殺菌することができる。紙幣処理装置は1回の紙幣処理中に紙幣を複数回殺菌することができる。また、装置内の収納部に収納している間に紙幣を複数回殺菌することができる。紙幣処理装置は、装置外から受けた紙幣を殺菌した後、装置内に収納せずに装置外へ排出することもできる。紙幣処理装置は、同じ紙幣処理を実行する際に、紙幣を殺菌する設定とすることもできるし、殺菌しない設定とすることもできる。紙幣を殺菌する紙幣処理又は紙幣を殺菌しない紙幣処理を必要に応じて選択して実行することで、紙幣処理と紙幣の殺菌とを効率よく行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0153】
以上のように、本開示に係る紙幣処理装置及び紙幣処理方法は、紙幣処理と紙幣の殺菌とを効率よく行うために有用である。
【符号の説明】
【0154】
1、101、201、301、401 紙幣処理装置
2 紙幣処理部
10 殺菌部
11 入金部
12 出金部
13(13a、13b) リジェクト部
20 識別部
30 収納部
40 搬送部
50 一時保留部
60 制御部
70 記憶部
81 操作部
82 表示部
90 通信部
111、311 上部ユニット
112、312(312a、312b) 下部ユニット(金庫)
230、330 着脱部
240 カセット
320 回転部
340 回収容器
350 回収部