(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103989
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/06 20060101AFI20220701BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
F25D21/06 B
F25B47/02 530P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218940
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】大木 達也
(72)【発明者】
【氏名】和田 芳彦
(72)【発明者】
【氏名】舘野 恭也
【テーマコード(参考)】
3L046
【Fターム(参考)】
3L046AA03
3L046BA01
3L046CA03
3L046FA04
3L046FB01
3L046JA03
3L046KA02
3L046LA13
3L046LA16
3L046LA17
3L046MA04
3L046MA05
(57)【要約】
【課題】ホットガスバイパス管への冷媒の流入による冷却効率の低下を抑制する冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫は、冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒を凝縮させる凝縮器と、冷媒を膨張させるキャピラリチューブと、冷媒を蒸発させる蒸発器と、の順に接続された冷媒を循環させる第1流路を有する冷却回路を備え、冷却回路は、圧縮機の下流から蒸発器の上流へ圧縮機で圧縮された冷媒を流す第2流路を構成するように設けられたホットガスバイパス管と、ホットガスバイパス管を開閉する開閉手段と、を備え、開閉手段は、圧縮機から吐出された冷媒を第1流路または第2流路に流入させることができ、ホットガスバイパス管の下流側の端部は、キャピラリチューブの下流と蒸発器の上流とを流体的に接続する第1配管に対して、垂直方向上側から接続するように構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発器から送られた冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から送られた前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器から送られた前記冷媒を膨張させるキャピラリチューブと、前記キャピラリチューブから送られた前記冷媒を蒸発させる前記蒸発器と、の順に接続された前記冷媒を循環させる第1流路を有する冷却回路を備え、
前記冷却回路は、
前記圧縮機の下流から前記蒸発器の上流へ前記圧縮機で圧縮された前記冷媒を流す第2流路を構成するように設けられたホットガスバイパス管と、
前記ホットガスバイパス管を開閉する開閉手段と、を備え、
前記開閉手段は、前記圧縮機から吐出された前記冷媒を前記第1流路または前記第2流路に流入させることができ、
前記ホットガスバイパス管の下流側の端部は、前記キャピラリチューブの下流と前記蒸発器の上流とを流体的に接続する第1配管に対して、垂直方向上側から接続するように構成されていることを特徴とする、冷蔵庫。
【請求項2】
前記ホットガスバイパス管は、少なくとも1つの冷媒逆流防止部を有し、前記冷媒逆流防止部は、垂直方向の位置が上昇して下降する下側が開いた略U字形状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記ホットガスバイパス管は、水平方向の位置が変化するにつれて垂直方向の位置も変化するように形成された傾斜部を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記冷却回路は、前記蒸発器と前記圧縮機とを流体的に接続するサクションパイプと、前記ホットガスバイパス管と、を流体的に接続する第2配管をさらに備えることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記第2配管は、前記第2配管を通る前記冷媒の流量を調節できる制御弁が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関し、特にホットガスにより蒸発器に付着した霜を除去する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の冷却回路の一つである蒸発器は、周囲の水蒸気が冷やされることで霜が付着し、冷却性能が低下するおそれがある。これを解決するために、冷却回路の一つである圧縮機の下流に蒸発器の上流側へとつながるホットガスバイパス管を設け、ホットガスバイパス管を介して一時的に蒸発器に高温のガスを流すことで蒸発器を熱して除霜を行うホットガスデフロスト方式が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようなホットガスバイパス管を備えた冷蔵庫は、通常動作時(すなわち、ホットガスバイパス管を使用しないとき)、冷却回路内を流れる冷媒が当該ホットガスバイパス管へと流入することがある。このように通常動作時に冷媒がホットガスバイパス管へと流れると、冷却回路内を流れる有効な冷媒の流量が減少し、冷却効率が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、ホットガスバイパス管への冷媒の流入による冷却効率の低下を抑制する冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る冷蔵庫は、蒸発器から送られた冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から送られた前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器から送られた前記冷媒を膨張させるキャピラリチューブと、前記キャピラリチューブから送られた前記冷媒を蒸発させる前記蒸発器と、の順に接続された前記冷媒を循環させる第1流路を有する冷却回路を備え、前記冷却回路は、前記圧縮機の下流から前記蒸発器の上流へ前記圧縮機で圧縮された前記冷媒を流す第2流路を構成するように設けられたホットガスバイパス管と、前記ホットガスバイパス管を開閉する開閉手段と、を備え、前記開閉手段は、前記圧縮機から吐出された前記冷媒を前記第1流路または前記第2流路に流入させることができ、前記ホットガスバイパス管の下流側の端部は、前記キャピラリチューブの下流と前記蒸発器の上流とを流体的に接続する第1配管に対して、垂直方向上側から接続するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、キャピラリチューブから蒸発器へと冷媒を流す配管に対して、ホットガスバイパス管の下流側端部が垂直方向上側から接続される。ホットガスバイパス管をこのように接続することで、ホットガスデフロスト方式により蒸発器の除霜を行う冷蔵庫において、冷蔵庫が通常運転をしている間に、キャピラリチューブから蒸発器へと流れている冷媒がホットガスバイパス管へと流入するのを抑制することができる。それによって、冷却回路内で有効に使用される冷媒量の減少を抑制することができ、冷却効率の低下を防ぎ、消費電力量の増加を抑えることができる。
【0008】
また本発明は、前記ホットガスバイパス管が、少なくとも1つの冷媒逆流防止部を有し、前記冷媒逆流防止部が、垂直方向の位置が上昇して下降する下側が開いた略U字形状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、冷媒がホットガスバイパス管内へと流入しても、垂直方向に高さの差がある部位が設けられているため、冷媒逆流防止部より上流への冷媒の流入を抑えることができる。これにより、冷却回路内で有効に使用される冷媒が所定量以上減少するのを抑制することができ、冷却効率の低下を防ぎ、消費電力量の増加を抑えることができる。
【0010】
また本発明は、前記ホットガスバイパス管が、水平方向の位置が変化するにつれて垂直方向の位置も変化するように形成された傾斜部を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、ホットガスバイパス管へと冷媒が流入する際、重力に逆らって移動する必要がある。したがって、キャピラリチューブから蒸発器へと流れている冷媒がホットガスバイパス管へと流入するのを抑制することができる。それによって、冷却回路内で有効に使用される冷媒量の減少を抑制することができ、冷却効率の低下を防ぎ、消費電力量の増加を抑えることができる。
【0012】
また本発明は、前記冷却回路が、前記蒸発器と前記圧縮機とを流体的に接続するサクションパイプと、前記ホットガスバイパス管と、を流体的に接続する第2配管をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、通常運転中にホットガスバイパス管内に流入した冷媒を、通常運転で使用される冷却回路内に第2配管を介して徐々に戻すことができる。それによって、所定量以上の冷媒がホットガスバイパス管に流入したとしても、冷却回路内で有効に使用される冷媒量の減少を抑制することができ、冷却効率の低下を防ぎ、消費電力量の増加を抑えることができる。
【0014】
また本発明は、前記第2配管が、前記第2配管を通る流体の流量を調節できる制御弁が設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、第2配管を通る流体の流量を任意に調整することができる。それによって、第2配管を介して冷媒を通常運転で使用される冷却回路内に戻す量を制御することができる。また、除霜運転時、ホットガスがホットガスバイパス管から第2配管を介してサクションパイプへと流れるのを防ぐことができ、除霜の効率の低下を防ぎ、消費電力量の増加を抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係る発明によれば、ホットガスバイパス管への冷媒の流入による冷却効率の低下を抑制する冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る冷蔵庫の側面断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る冷蔵庫の冷却回路の一例を示す回路図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る冷蔵庫の冷却回路の一例の一部を示す概略図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る冷蔵庫の冷却回路の一例の一部を示す概略図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る冷蔵庫の冷却回路の一例の一部を示す概略図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る冷蔵庫の冷却回路の一例の一部を示す概略図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る冷蔵庫の冷却回路の一例の一部を示す概略図である。
【
図8】
図8は、別の実施形態に係る冷蔵庫の冷却回路の一例を示す回路図である。
【
図9】
図9は、別の実施形態に係る冷蔵庫の冷却回路の変形例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照しつつ、本発明に係る実施形態の冷蔵庫1の概要を説明する。
図1は、本実施形態に係る冷蔵庫の概略的な側面断面図である。冷蔵庫1は冷蔵庫本体2を有し、水平面に載置された状態において冷蔵庫本体2の前方部分に回転可能に設けられた扉体3、および前後方向に移動可能な引出4を備える。扉体3は、少なくともその左右いずれか一方に設けられたヒンジによって、扉体3の上部と下部を冷蔵庫本体2と結合され、当該ヒンジ軸を中心に回転する。本実施形態に係る冷蔵庫1は上述のように扉体3と引出4の二つの開閉部を備えるが、これに限定するものではなく、例えば、さらなる引出を有してもよいし、全ての開閉部が扉体で構成されていてもよい。
【0019】
また、冷蔵庫1は、冷蔵庫本体2の外部を構成する外箱5と、内部の収容室を構成する上部内箱6と下部内箱7とを有する。本実施形態に係る冷蔵庫1では、上部内箱6は冷蔵室、下部内箱7は冷凍室を構成する。扉体3を開放すると上部内箱6内に、引出4を開放すると下部内箱7内にアクセスできる。引出4には、引出4と一体となって移動する図示しない収容箱が取り付けられている。当該収容箱は上部に開口が設けられており、使用者が下部内箱7へと収容する際は、当該開口を介して収容箱へと配置して収容する。外箱5と各内箱6,7との間には発泡断熱材8が充填されており、各内箱6,7と冷蔵庫本体2外部とを断熱している。また、上部内箱6と下部内箱7との間にも発泡断熱材8が充填されている。
【0020】
図1に示すように下部内箱7内の後方には、冷却室9が構成されており、冷却室9には冷却装置である蒸発器(エバポレータ)24が配置されている。蒸発器24は後述するように、冷蔵庫の冷却回路20aの一部を構成する。冷却室9には、ファン10が設けられており、ファン10は、蒸発器24によって生成された冷気をダクト11を介して各内箱6,7へと送風する。
【0021】
ダクト11は、各内箱6,7内の後部に設けられ、ダクト11の前面に設けられた通気口を介して冷却室9で生成された冷気を各内箱6,7内の前方へと誘導する。ダクト11内には、ダンパ12が設けられており、ダンパ12は、図示しない制御装置によって開閉を制御するように構成されている。制御装置は、上部内箱6内に設けられた図示しない温度センサによって庫内の温度を検知し、温度の高低に基づいて前述の開閉を制御する。これにより、冷蔵室である上部内箱6へ流れる冷気の流量を調整し、上部内箱6の庫内温度を冷凍室である下部内箱7の庫内温度とは別の温度帯で一定に保つことができる。
【0022】
冷蔵庫本体2の後方かつ下部には、機械室13が構成されており、圧縮機21、および蒸発器24に対して除霜を行うことで発生するドレン水を溜め、蒸発させる蒸発皿(図示せず)等が配置されている。
【0023】
図2は、本実施形態に係る冷蔵庫1の冷却回路20aである。冷却回路20aは、圧縮機(コンプレッサ)21と、凝縮器(コンデンサ)22と、キャピラリチューブ23と、蒸発器24とを備える。上記冷却回路20aの各構成要素間は、後述するように配管によって上記の順で流体的に接続されており、冷却回路20a内で冷媒が循環する第1流路を形成している。
図2に記載されている矢印は、冷媒の流れの向きを示している。すなわち、冷却回路20aにおいて、例えば後述する圧縮機21と蒸発器24との関係では、流路の上流側である蒸発器24から流路の下流側である圧縮機21へと、サクションパイプ28を介して冷媒が流れる。
【0024】
圧縮機21は、気体状態の冷媒を圧縮し、高温高圧の状態にする。圧縮された冷媒は、配管25を通じて凝縮器22へと送られる。配管25は、後述するように三方弁31が設けられており、配管25aと配管25bとに分割されている。圧縮機21は、インバータを備えており、回転速度を変更することで圧縮機が単位時間あたりに吐出する冷媒の量を調整し、冷却回路20aの冷却能力を制御することができる。凝縮器22は、圧縮機21で圧縮された冷媒の熱を放出させ、冷媒を凝縮する。凝縮した冷媒は、配管26を通じてキャピラリチューブ23へと送られる。
【0025】
キャピラリチューブ23は、凝縮器22で凝縮された冷媒の圧力を低下させて膨張させ、それに伴い温度を低下させる。膨張した冷媒は、配管27を通じて蒸発器24へと送られる。蒸発器24は、キャピラリチューブ23で減圧された冷媒を蒸発させ、吸熱する。蒸発して気体状態となった冷媒は、サクションパイプ28を通じて圧縮機21へと送られ、再度圧縮される。このようにして冷却回路20aは動作する。本実施形態において、キャピラリチューブ23は、配管26と配管27を介して凝縮器22と蒸発器24に接続されているが、キャピラリチューブ23に配管26,27を含めてもよい。
【0026】
蒸発器24から圧縮機21へと冷媒を流すサクションパイプ28は、キャピラリチューブ23との間で熱交換できるように、少なくとも部分的にキャピラリチューブ23と近接して配置されている。
図2において点線で囲われた領域29が当該熱交換部の概略を表している。
【0027】
蒸発器24は、冷蔵庫1内を冷却するように動作しているとき、周囲の水蒸気が着霜する可能性がある。蒸発器24の除霜を行うために、本実施形態に係る冷蔵庫1は、ホットガス除霜方式を採用しており、圧縮機21で圧縮された冷媒であるホットガスを使用する。そのため、冷却回路20aは、圧縮機21の下流と凝縮器22の上流とを接続する配管25に接続されたホットガスバイパス管30を備える。当該接続部には、三方弁31が設けられており、三方弁31は、圧縮機21から配管25aを介して送られる冷媒を、凝縮器22(すなわち配管25b)またはホットガスバイパス管30のいずれか一方に流すように変更できる。それにより、冷媒を凝縮器22へと流し蒸発器24を冷却させるか、ホットガスバイパス管30へと流し蒸発器24に対して除霜を行うか制御できる。ホットガスバイパス管30は、キャピラリチューブ23の下流と蒸発器24の上流とを接続する配管に接続される。
【0028】
ホットガスバイパス管30は、上述の第1流路における、圧縮機21-配管25-凝縮器23-配管26-キャピラリチューブ23-配管27-蒸発器24の経路を冷媒が流れる流路とは異なる、圧縮機21-配管25-ホットガスバイパス管30-配管27-蒸発器24の経路を冷媒が流れる第2流路を構成する。本実施形態において、ホットガスバイパス管30の上流側端部は、配管25に接続されているがこの構成に限定するものではない。例えば、ホットガスバイパス管30の上流側端部は、凝縮器22の下流とキャピラリチューブ23の上流とを接続する配管26に接続されてもよい。
【0029】
三方弁31は、図示しない制御装置に接続されている。制御装置は、配管25aを介して圧縮機21から吐出される冷媒を、後述する通常動作時は凝縮器22(すなわち配管25b)へ、後述する除霜動作時はホットガスバイパス管30へと、冷媒を流すように三方弁31を制御する。
【0030】
本明細書において、冷蔵庫1が通常に動作している状態(すなわち、冷蔵庫内部を冷却するようにまたは庫内温度を維持するように動作している状態)を適宜「通常動作」という。また、冷蔵庫1が蒸発器24を除霜するように動作している状態(すなわち、冷媒が三方弁31からホットガスバイパス管30へと流れるように三方弁31を開き、蒸発器24にホットガスが流れるように冷蔵庫が動作している状態)を適宜「除霜動作」という。
【0031】
図3は、本実施形態に係るホットガスバイパス管30の配置方法の概略図である。
図3に示すように、配管27を介して、蒸発器24に対してキャピラリチューブ23が接続されている。また、配管27は、蒸発器24との接続部より上流側で、ホットガスバイパス管30と接続されている。
図3には、配管27(またはキャピラリチューブ23)およびホットガスバイパス管30の上流には、貫通部32が図示されている。貫通部32は、下部内箱7において冷却室9とその後方にある発泡断熱材8が存在する側とを接続する部位であり、配管27(またはキャピラリチューブ23)およびホットガスバイパス管30は、貫通部32を介して、下部内箱7を貫通するように配置されている。
【0032】
ホットガスバイパス管30は、冷蔵庫が通常動作しているときは使用されない。しかし、当該通常動作時、凝縮器22から蒸発器24までの流路において、冷媒の少なくとも一部は液体状態になっており、キャピラリチューブ23から蒸発器24へと流れる液冷媒が、ホットガスバイパス管30へと冷媒が通常流れる方向とは逆向きに流入する可能性がある。
【0033】
冷却回路20a内の冷媒は、所定の冷却性能を満足するように所定量を注入される。したがって、冷媒がホットガスバイパス管30へと逆流すると、冷却回路20aが通常動作時に有効に用いることができる冷媒が減少し、所定の冷却性能を満足しなくなる可能性がある。また、冷却性能が低下することで、圧縮機21からの冷媒の吐出量を増加させるなど、蒸発器24を冷却するように冷却回路20aを動作させる割合が増加し、消費電力量が増加する可能性がある。
【0034】
そこで、本発明に係る冷蔵庫1のホットガスバイパス管30は、
図3に示すように、ホットガスバイパス管30が配管27(またはキャピラリチューブ23)(以下、適宜、第1配管という)に対して、垂直方向(上下方向)上側から接続されるように構成されている接続部30aを有する。点Aがホットガスバイパス管30と第1配管27との結合点を表す。キャピラリチューブ23の下流である第1配管27に流れる冷媒は、基本的に液体状態で流動するため、重力により垂直方向下方へと流れやすい。したがって、本実施形態に係るホットガスバイパス管30の接続部30aのように垂直方向上方から配管を結合することで冷媒がホットガスバイパス管30へと流れるのを抑制することができる。
【0035】
また、
図3に示すように、ホットガスバイパス管30に冷媒逆流防止部30bを設けてもよい。当該冷媒逆流防止部30bは、ホットガスバイパス管30の一部において、下流側に対して上流側が略垂直に立ち上がることで、ホットガスバイパス管30の上流側が下流側に対して垂直方向で上側に位置し、当該部位のさらに上流側において、垂直方向下側へと下がるように形成されている。
【0036】
このような垂直方向の位置が上昇して下降する下側が開いた略U字形状を設けることで、ホットガスバイパス管30へと液冷媒が流入したとしても、冷媒が冷媒逆流防止部30bの下流側である立ち上がっている部位を越えてさらにホットガスバイパス管30の上流側へと流入するのが困難になる。したがって、当該冷媒逆流防止部30bより上流側へと冷媒が流入するのを抑制することができ、冷媒がホットガスバイパス管30に流入する量を一定量以下に抑えることができる。
【0037】
それにより、冷却回路20aの冷却性能の低下を抑え、消費電力量の増加を抑制することができる。また、冷却回路20aに充填される冷媒の総量および冷却の制御を、冷媒の減少量を考慮して(すなわち、上述の点Aから冷媒逆流防止部30bまでの容積分は冷媒が減る可能性があることを考慮して)設計することもできる。
【0038】
当該冷媒逆流防止部30bは、下部内箱7の後方である、発泡断熱材8等により外気と断熱されている部位に設けることができる。
【0039】
図4は、当該部位に冷媒逆流防止部30bが設けられている実施例を示したものであり、下部内箱7を背面から図示した概略図である。
図5は、
図4における円Bを拡大した斜視図である。また、冷媒逆流防止部30bは、ホットガスバイパス管30の流路においてより下流側が配置される、蒸発器24が備えられている冷却室9に設けられてもよい。
図6は、冷却室9に冷媒逆流防止部30bが設けられている実施例を示したものであり、蒸発器24、蒸発器24に接続されている配管27(またはキャピラリチューブ23)、28およびホットガスバイパス管30を図示したものである。
【0040】
上記した実施例において、冷媒逆流防止部30bは、その上流側、下流側ともに垂直方向に略垂直に形成されているがそのような形状である必要はなく、点A側のホットガスバイパス管30の垂直方向の位置に対してホットガスバイパス管30の流路において上流側が高くなるように垂直方向に高さの差を設ける形状が備えられていればよい。したがって、例えば、ギリシャ文字のオメガ(Ω)のように、ホットガスバイパス管30の冷媒逆流防止部30bとその他の部位との接続部が、鋭角となるように形成されてもよいし、鈍角となるように形成されてもよい。また、当該配管は、直線である必要はなく、曲線を描くように構成されていてもよい。
【0041】
また、
図3に示すように、ホットガスバイパス管30は、流路の上流側が下流側より垂直方向で位置が高くなるように斜めに延びるように形成された傾斜部30cを備えてもよい。すなわち、ホットガスバイパス管30の水平方向の位置が変化するにつれて垂直方向の位置も変化するように形成されてもよい。これにより、冷媒がホットガスバイパス管30へと流入するとき、重力に逆らって移動する必要があるため、ホットガスバイパス管30内への冷媒の流入を抑制することができる。
【0042】
図7は、
図3に示す実施形態の別の実施例である。
図3に示す実施例においては、キャピラリチューブ23の下流または配管27の下流は、垂直方向下側が開いた略U字形状を設け、当該略U字形状の下流で蒸発器に接続されている。また、当該略U字形状の垂直方向上側の部位でホットガスバイパス管30が接続されている。これに対して、
図7に示す実施例では、配管27(またはキャピラリチューブ23)の下流は、前述の略U字形状が設けられていない。このように、ホットガスバイパス管30が結合する配管は、任意の形状を有してもよい。
【0043】
図8は、別の実施形態である冷蔵庫1の冷却回路20bの回路図を示す。冷却回路20bは、冷却回路20aに対して、さらに冷媒戻し管33(以下、適宜、第2配管という)を備える。第2配管33は、ホットガスバイパス管30とサクションパイプ28とを接続する。第2配管33には、ホットガスバイパス管30およびサクションパイプ28よりも内径が細い配管を用いることで、ホットガスバイパス管30へと流入した冷媒をサクションパイプ28側へと徐々に戻すことができる。これにより、ホットガスバイパス管30へと冷媒が流入したとしても、一定量以上はホットガスバイパス管30内に溜まらないように、または溜まっている冷媒の量の増加を抑えることができる。
【0044】
第2配管33には、当該配管を流れる冷媒等の流量を制御できる制御弁34が設けられてもよい。制御弁34は図示しない制御装置によってその開度を制御される。制御装置は、冷却回路20a,20bが通常動作しているか、除霜動作をしているかを検出することで開度を制御してもよい。また、圧縮機21の回転速度と庫内に配置された温度センサ等によって検知された温度とから、冷却効率を検出し、制御弁34の開度を制御してもよい。それによって、通常動作時、サクションパイプ28側へと戻す冷媒の流量を調整でき、また、除霜動作時、ホットガスバイパス管30を流れるホットガスが第2配管33を通らないように制御弁34を閉じ、除霜の効率が低下するのを防ぐことができる。
【0045】
上記した実施形態に係る冷蔵庫1の冷却回路20a,20bにおいて、三方弁31を用いてホットガスバイパス管30への冷媒の流れを制御しているが、これに限るものではなく、任意の開閉手段を用いて実現することができる。例えば、
図9に記載する冷却回路20cのように、三方弁31の代わりに二方弁35を用いることができる。
図9は、
図8の実施形態に係る冷蔵庫1の冷却回路20bの変形例である冷却回路20cの回路図を示す。冷却回路20cは、ホットガスバイパス管30は、三方弁を用いることなく配管25と接続されている。また、ホットガスバイパス管30の途中に二方弁35が設けられている。二方弁35は、制御装置に電気的に接続されている。制御装置は、二方弁35の開閉を切り換えることができ、それによってホットガスバイパス管30への冷媒の流れを制御できる。当然、冷却回路20aにおいて上記のように三方弁31ではなく二方弁35を設けてもよい。
【0046】
冷却回路20cは、
図9に図示するように、二方弁35を開き、冷媒がホットガスバイパス管30へと流れるように切り換えても、凝縮器22およびキャピラリチューブ23側へも冷媒が流れることができる。したがって、冷却回路20cの除霜動作は、冷却回路20bと比べて効率が低くなる可能性がある。そのため、さらなる二方弁35を配管25bまたは配管26へと設けることで、除霜動作時にホットガスバイパス管30のみへと冷媒が流れるように構成することもできる。
【0047】
本発明は、例示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本開示に係る発明によれば、ホットガスバイパス管30への冷媒の流入による冷却効率の低下を抑制する冷蔵庫を提供することができるため、この種の冷蔵庫の産業分野において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 冷蔵庫
2 冷蔵庫本体
5 外箱
6 上部内箱
7 下部内箱
8 発泡断熱材
9 冷却室
20a 冷却回路
20b 冷却回路
21 圧縮機
22 凝縮器
23 キャピラリチューブ
24 蒸発器
25、26、27 配管
28 サクションパイプ
30 ホットガスバイパス管
31 三方弁
33 冷媒戻し管
34 制御弁
35 二方弁