(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103997
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/879 20180101AFI20220701BHJP
B60N 2/897 20180101ALI20220701BHJP
【FI】
B60N2/879
B60N2/897
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218951
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 満久
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DC05
(57)【要約】
【課題】
スピーカー付きヘッドレストを備えた車両用シートにおいて、比較的簡単な構造で、車載後のシート本体へのスピーカー付きヘッドレストの着脱が容易であり、なおかつ、多様な車格の車両への搭載が可能な汎用性の高い車両用シートを提供する。
【解決手段】
スピーカー付きヘッドレストを備えた車両用シートであって、スピーカーハーネスに結線され、かつ、ヘッドレストステーの先端に嵌合されたオスカプラと、シート本体側のメインハーネスに結線され、かつ、ヘッドレストガイドを支持するヘッドレストガイドブラケットに嵌合されたメスカプラと、を備え、前記ヘッドレストステーを前記ヘッドレストガイドに挿入することにより、前記スピーカー付きヘッドレストが前記シート本体に装着されるとともに、前記オスカプラと前記メスカプラが嵌合して前記スピーカーハーネスと前記メインハーネスが結線されることを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカー付きヘッドレストを備えた車両用シートであって、
スピーカーハーネスに結線され、かつ、ヘッドレストステーの先端に嵌合されたオスカプラと、
シート本体側のメインハーネスに結線され、かつ、ヘッドレストガイドを支持するヘッドレストガイドブラケットに嵌合されたメスカプラと、を備え、
前記ヘッドレストステーを前記ヘッドレストガイドに挿入することにより、前記スピーカー付きヘッドレストが前記シート本体に装着されるとともに、前記オスカプラと前記メスカプラが嵌合して前記スピーカーハーネスと前記メインハーネスが結線されることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートであって、
前記ヘッドレストガイドブラケットは、前記メスカプラと嵌合される側の端部近傍に係合孔を有し、
前記メスカプラは、前記ヘッドレストガイドブラケットと嵌合される側の端部に係合爪を有し、
前記係合爪を前記係合孔に係合することで、前記メスカプラが前記ヘッドレストガイドブラケットに嵌合されることを特徴とする車両用シート。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用シートであって、
前記メスカプラは、前記ヘッドレストステーを前記ヘッドレストガイドから引き抜く動作に合わせて、前記係合爪が前記メスカプラの径方向外側に回動するロック解除機構を備えており、
前記ヘッドレストステーを上方向に引き上げることで、前記メスカプラと前記ヘッドレストガイドブラケットの嵌合が外れることを特徴とする車両用シート。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用シートであって、
前記メスカプラは、ロック解除部がストッパー部を乗り越えることで、前記ロック解除機構による前記係合爪と前記係合孔の係合の解除を維持するロック解除維持機構を備えており、
前記ヘッドレストステーを前記ヘッドレストガイドに再度挿入することにより、最下段位置まで挿入可能であることを特徴とする車両用シート。
【請求項5】
請求項1に記載の車両用シートであって、
前記ヘッドレストガイドブラケットは、前記メスカプラと嵌合される側の端部近傍に係合孔を有し、
前記メスカプラは、前記ヘッドレストガイドブラケットと嵌合される側の端部に金属製板バネを有し、
前記金属製板バネの凸部が前記係合孔に係合することで、前記メスカプラが前記ヘッドレストガイドブラケットに嵌合されることを特徴とする車両用シート。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用シートであって、
前記メスカプラは、樹脂製のメスカプラ台座を射出成型する際に、金属製板バネをインサート成形することで、前記メスカプラ台座と前記金属製板バネの一体構造で成型されていることを特徴とする車両用シート。
【請求項7】
請求項5に記載の車両用シートであって、
前記オスカプラと前記メスカプラの嵌合後、前記ヘッドレストステーをさらに下方に押し込むことで、前記金属製板バネの凸部と前記係合孔の係合が解除され、前記メスカプラと前記ヘッドレストガイドブラケットの嵌合が外れることを特徴とする車両用シート。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の車両用シートであって、
前記ヘッドレストステーは、前記オスカプラが嵌合される側の先端近傍に係合孔を有し、
前記メスカプラは、前記オスカプラと嵌合される側の端部近傍に係合爪を有し、
前記係合爪を前記係合孔に係合することで、前記オスカプラと前記メスカプラの嵌合がロックされることを特徴とする車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートの構造に係り、特に、スピーカー付きヘッドレストの取り付け構造に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されるカースピーカーは、フロントドアやリアドアの前方下部に設置されることが多く、足元から音楽が聴こえるようになり、音像が低くなる。スピーカーは、その「取り付け位置」が音の良し悪しを左右し、一般的に自分の前方から自然に聴こえることが心地よい音の第一条件である。
【0003】
そのため、近年では、ヘッドレスト内蔵型スピーカーの開発が進み、当初は高級車向け限定で開発されていたものが、現在ではより小型モデルへの適用も検討されている。スピーカーを耳に近い位置にセッティングすることで、足元から聴こえていた音が自然と耳の高さに広がり、これまでは実現できなかった音響が得られるようになる。また、フロントシートとリアシートの乗員がそれぞれ好みの音量で音楽を聴くことができるようになる等のメリットもある。
【0004】
本技術分野の背景技術として、例えば、特許文献1のような技術がある。特許文献1には、より密閉性の高い表皮一体発泡成形が可能なスピーカー付きヘッドレストおよび車両用シートが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、バックレストにヘッドレストを装着する機構を利用してモニタの情報伝送線の接続を行う構造が開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、ヘッドレストの内部に設けた電気部品への給電を行う構造が開示されている。
【0007】
また、特許文献4には、ヘッドレストステーを差し込む操作によってコネクタ同士を連結した後にシートバック側で待ち受け保持されていたコネクタの保持状態を解除するヘッドレストへの配線連結構造が開示されている。
【0008】
また、特許文献5には、動力伝達経路の一部に、脱着可能な部材を配置できるケーブルアセンブリが開示されている。
【0009】
また、特許文献6には、操作ケーブルを筒ケースに簡便に組み付ける構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2019-108118号公報
【特許文献2】特開2003-299549号公報
【特許文献3】特許第4338028号公報
【特許文献4】特許第4730255号公報
【特許文献5】特許第4976182号公報
【特許文献6】特許第5343587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、ヘッドレスト内蔵型スピーカーは、高級車のみならず、コンパクトカー等への搭載も検討されている。
【0012】
しかしながら、ヘッドレスト内蔵型スピーカーは、スピーカーとシート本体に備わる車体側ハーネスを結合する際に、シート内部でカプラ等を嵌合させる必要があり、シート本体を車両に搭載した後に装着することが困難であった。
【0013】
そのため、従来は車両へ搭載する前のシート組立時にハーネスを嵌合しており、車載時にはヘッドレストが付いた状態で荷姿が大きくなるため、搭載できる車格が制限されていた。
【0014】
さらに、シート本体への取り付け作業時にハーネスの結線が必要であり、工数が多く掛かることも課題であった。
【0015】
上記特許文献1から特許文献6のいずれにおいても、スピーカー付きヘッドレストと車格との関係については言及されておらず、上記のような課題やその解決手段に関する記載はない。
【0016】
そこで、本発明の目的は、スピーカー付きヘッドレストを備えた車両用シートにおいて、比較的簡単な構造で、車載後のシート本体へのスピーカー付きヘッドレストの着脱が容易であり、なおかつ、多様な車格の車両への搭載が可能な汎用性の高い車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明は、スピーカー付きヘッドレストを備えた車両用シートであって、スピーカーハーネスに結線され、かつ、ヘッドレストステーの先端に嵌合されたオスカプラと、シート本体側のメインハーネスに結線され、かつ、ヘッドレストガイドを支持するヘッドレストガイドブラケットに嵌合されたメスカプラと、を備え、前記ヘッドレストステーを前記ヘッドレストガイドに挿入することにより、前記スピーカー付きヘッドレストが前記シート本体に装着されるとともに、前記オスカプラと前記メスカプラが嵌合して前記スピーカーハーネスと前記メインハーネスが結線されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スピーカー付きヘッドレストを備えた車両用シートにおいて、比較的簡単な構造で、車載後のシート本体へのスピーカー付きヘッドレストの着脱が容易であり、なおかつ、多様な車格の車両への搭載が可能な汎用性の高い車両用シートを実現できる。
【0019】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施例1に係る車両用シートの要部を示す斜視図である。
【
図3B】
図3Aにヘッドレストガイド19を取り付けた状態を示す図である。
【
図4】
図3Bにヘッドレストステー6を挿入した状態を示す図である。
【
図6】本発明の実施例2に係る車両用シートの細部構造を示す図である。
【
図7】
図6にヘッドレストステー6を挿入した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面において同一の構成については同一の符号を付し、重複する部分についてはその詳細な説明は省略する。
【実施例0022】
図1から
図5Bを参照して、本発明の実施例1に係る車両用シートについて説明する。
【0023】
図1は、本実施例の車両用シートの要部を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施例の車両用シート1は、乗員の着座面となるシートクッション2と、シートクッション2の背側に設けられて乗員の背もたれとなるシートバック3を備えている。シートバック3の側面には、前後に回動可能に設けられて乗員のひじ掛けとなるアームレスト5が設けられている。
【0024】
シートバック3の上部には、2つのヘッドレストステー挿入孔7が設けられており、ヘッドレスト4のヘッドレストステー6をヘッドレストステー挿入孔7に挿入することで、ヘッドレスト4がシートバック3の上部に設置される。ヘッドレスト4は、乗員の頭部および頸部を保護する。
【0025】
ヘッドレスト4の両側面には、スピーカー8がそれぞれ内蔵されている。なお、スピーカー8は、リアシートの乗員向けにヘッドレスト4の背面(リアシート側)に内蔵してもよく、ヘッドレスト4の両側面及び背面の両方に設置してもよい。
【0026】
図2から
図3Bを用いて、ヘッドレストステー6の先端部(
図1のA部)の構造及びヘッドレストステー挿入孔7の内部(
図1のB部)の構造について説明する。
【0027】
ヘッドレストステー6の先端部(
図1のA部)は、
図2に示すように、中空状の金属製の(一般には鉄製の)ヘッドレストステー6の先端に樹脂製のオスカプラ9が嵌合されて構成されている。オスカプラ9の係合爪11がヘッドレストステー6の係合孔10と係合することで、ヘッドレストステー6の先端にオスカプラ9が固定(ロック)される。
【0028】
なお、図示しないが、オスカプラ9は、中空状のヘッドレストステー6の内部に配線された配線を介して、ヘッドレスト4に内蔵されたスピーカー8(スピーカーハーネス)と結線されている。
【0029】
また、ヘッドレストステー6の先端部近傍には、後述するメスカプラ13と係合するための係合孔12が複数設けられている。
【0030】
ヘッドレストステー挿入孔7の内部(
図1のB部)は、
図3Aに示すように、中空状の金属製の(一般には鉄製の)ヘッドレストガイドブラケット14の下部側に樹脂製のメスカプラ13が嵌合されて構成されている。
【0031】
D部の拡大図に示すように、メスカプラ13の係合爪15がヘッドレストガイドブラケット14の係合孔16と係合することで、ヘッドレストガイドブラケット14の下部側にメスカプラ13が固定(ロック)される。
【0032】
また、E部の拡大図に示すように、メスカプラ13のストッパー部17がヘッドレストガイドブラケット14のストッパー部18に係止されることで、メスカプラ13がヘッドレストガイドブラケット14に過剰に挿入されるのを防止している。
【0033】
図3Bは、
図3Aに樹脂製のヘッドレストガイド19を取り付けた状態を示している。ヘッドレストガイドブラケット14の上部側からヘッドレストガイド19を挿入することで、E部の拡大図に示すように、メスカプラ13のストッパー部17が外側に押されてヘッドレストガイドブラケット14のストッパー部18による係止(ロック)が外れる。これにより、ヘッドレスト4の高さを低い位置に調整したい場合、ヘッドレストガイド19を押し込むことで、ヘッドレスト4を下方に押し下げることができる。
【0034】
ヘッドレストガイド19をヘッドレストガイドブラケット14に挿入した後、ヘッドレストガイド19はヘッドレストガイドブラケット14によって支持される。
【0035】
図4を用いて、ヘッドレスト4の取り付け構造について説明する。
図4は、
図3Bにヘッドレストステー6を挿入した状態を示している。
【0036】
ヘッドレストステー6をヘッドレストステー挿入孔7(
図1)に挿入することで、
図4に示すように、中空状のヘッドレストガイド19にヘッドレストステー6が挿入される。ヘッドレストステー6がヘッドレストガイド19に挿入された後、ヘッドレストステー6はヘッドレストガイドブラケット14及びヘッドレストガイド19によって支持される。
【0037】
また、この際、F部の拡大図に示すように、オスカプラ9とメスカプラ13が嵌合される。そして、メスカプラ13の係合爪20がヘッドレストステー6の係合孔12と係合することで、ヘッドレストステー6とメスカプラ13の結合が固定(ロック)され、オスカプラ9とメスカプラ13の嵌合も固定(ロック)される。
【0038】
図5A及び
図5Bを用いて、メスカプラ13の脱落構造について説明する。
図5Aは、ヘッドレストステー6をヘッドレストステー挿入孔7(
図1)に挿入した際の
図3AのD部の構造を示している。
【0039】
図5Aに示すように、ヘッドレストステー6を上方向(矢印方向)に引き上げることで、G部の拡大図に示すように、ヘッドレストガイドブラケット14とメスカプラ13のロック解除部21が干渉する。そして、ヘッドレストガイドブラケット14にロック解除部21が押され、メスカプラ13の係合爪15が
図5Bに示すような回転軌跡を辿りロックが解除される。
【0040】
ロック解除部21はストッパー部22を乗り越えているため、ロック解除部21がストッパー部22に引っ掛かり、戻らない。これにより、ロック解除部21は初期状態に戻らず、ロック解除を維持することが可能である。そして、ヘッドレストステー6を下方向に再度挿入することで、ヘッドレスト4の高さを最下段まで動かすことが可能となる。
【0041】
以上説明したように、本実施例の車両用シートは、スピーカー8(スピーカーハーネス)に結線され、かつ、ヘッドレストステー6の先端に嵌合されたオスカプラ9と、シート本体側のメインハーネスに結線され、かつ、ヘッドレストガイド19を支持するヘッドレストガイドブラケット14に嵌合されたメスカプラ13を備えており、ヘッドレストステー6をヘッドレストガイド19に挿入することにより、ヘッドレスト4がシート本体に装着されるとともに、オスカプラ9とメスカプラ13が嵌合してスピーカー8(スピーカーハーネス)とメインハーネスが結線されるように構成されている。
【0042】
また、ヘッドレストガイドブラケット14は、メスカプラ13と嵌合される側の端部近傍に係合孔16を有しており、メスカプラ13は、ヘッドレストガイドブラケット14と嵌合される側の端部に係合爪15を有しており、係合爪15を係合孔16に係合することで、メスカプラ13がヘッドレストガイドブラケット14に嵌合されるように構成されている。
【0043】
また、メスカプラ13は、ヘッドレストステー6をヘッドレストガイド19から引き抜く動作に合わせて、係合爪15がメスカプラ13の径方向外側に回動するロック解除機構を備えており、ヘッドレストステー6を上方向に引き上げることで、メスカプラ13とヘッドレストガイドブラケット14の嵌合が外れるように構成されている。
【0044】
また、メスカプラ13は、ロック解除部21がストッパー部22を乗り越えることで、ロック解除機構による係合爪15と係合孔16の係合の解除を維持するロック解除維持機構を備えており、ヘッドレストステー6をヘッドレストガイド19に再度挿入することにより、最下段位置まで挿入可能であるように構成されている。
【0045】
また、ヘッドレストステー6は、オスカプラ9が嵌合される側の先端近傍に複数の係合孔12を有しており、メスカプラ13は、オスカプラ9と嵌合される側の端部近傍に係合爪20を有しており、係合爪20を係合孔12に係合することで、オスカプラ9とメスカプラ13の嵌合がロックされるように構成されている。
【0046】
本実施例によれば、シート本体を車載後に、スピーカー付きヘッドレストを取り付けることが可能となり、荷姿をシート本体とヘッドレストに分けることができる。また、荷姿の小型化ができるため、車載可能な車格の幅が広がる。さらに、荷姿の小型化により、シートの輸送コスト低減が可能である。
【0047】
また、シート組み立ての際に、スピーカーハーネスとメインハーネスの結線作業の廃止が可能である。
メスカプラ台座23の金属製板バネ25の凸部がヘッドレストガイドブラケット24の係合孔26と係合することで、ヘッドレストガイドブラケット24の下部側にメスカプラ台座23が固定(ロック)される。
なお、本実施例のメスカプラは、樹脂製のメスカプラ台座23を射出成型する際に、金属製板バネ25をインサート成形することで、メスカプラ台座23と金属製板バネ25の一体構造で成型されている。金属製板バネ25のベースとなる部分には、開孔が設けられており、インサート成型時に樹脂が流れ込み、クサビ部27が形成される。
また、この際、J部の拡大図に示すように、オスカプラ28とメスカプラ29が嵌合される。そして、メスカプラ29の係合爪31がヘッドレストステー6の係合孔30と係合することで、ヘッドレストステー6とメスカプラ29の結合が固定(ロック)され、オスカプラ28とメスカプラ29の嵌合も固定(ロック)される。
以上説明したように、本実施例の車両用シートでは、ヘッドレストガイドブラケット24は、メスカプラ(メスカプラ台座23)と嵌合される側の端部近傍に係合孔26を有しており、メスカプラ(メスカプラ台座23)は、ヘッドレストガイドブラケット24と嵌合される側の端部に金属製板バネ25を有しており、金属製板バネ25の凸部が係合孔26に係合することで、メスカプラ(メスカプラ台座23)がヘッドレストガイドブラケット24に嵌合されるように構成されている。
また、メスカプラは、樹脂製のメスカプラ台座23を射出成型する際に、金属製板バネ25をインサート成形することで、メスカプラ台座23と金属製板バネ25の一体構造で成型されている。
また、オスカプラ28とメスカプラ29の嵌合後、ヘッドレストステー6をさらに下方に押し込むことで、金属製板バネ25の凸部と係合孔26の係合が解除され、メスカプラ28とヘッドレストガイドブラケット24の嵌合が外れるように構成されている。
本実施例によれば、金属製板バネ25とメスカプラを一体化したことで、実施例1の効果に加えて、組立て作業時の部品点数を増やすことなく、シート組立作業内のハーネス結線作業の廃止が可能であるという効果が得られる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。