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特開2022-104035媒体、カートリッジ、及び媒体作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104035
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】媒体、カートリッジ、及び媒体作成方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/40 20060101AFI20220701BHJP
   B41J 17/32 20060101ALI20220701BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20220701BHJP
   C09J 7/29 20180101ALI20220701BHJP
【FI】
B41M5/40 210
B41J17/32 A
B41J3/36 T
B41M5/40 212
B41M5/40 220
C09J7/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219010
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】西原 佳佑
(72)【発明者】
【氏名】南 明
【テーマコード(参考)】
2C055
2C068
2H026
4J004
【Fターム(参考)】
2C055CC01
2C068AA02
2C068AA05
2C068EE21
2C068EE27
2H026AA13
2H026AA28
2H026EE00
2H026FF07
2H026FF17
2H026HH00
4J004AA05
4J004AA06
4J004AA10
4J004AA11
4J004AA14
4J004AA15
4J004AB01
4J004CA02
4J004CA03
4J004CA06
4J004CA08
4J004CB03
4J004CC03
4J004CE01
4J004DB02
4J004EA01
4J004FA01
(57)【要約】
【課題】耐久性の高い媒体、カートリッジ、及び媒体作成方法を提供する。
【解決手段】貼り合わせテープ9は、印刷された感熱テープ4の上面に粘着テープ7の下面が貼り合わされることで構成される。感熱テープ4は、基材41と複数の感熱層42と複数の遮熱層43とオーバーコート層44とを有する。複数の感熱層42は、基材41の第1面側に設けられる。複数の感熱層42の各層は、各層に応じた発色温度に加熱されることで、各層に応じた色を発色する。粘着テープ7は、両面粘着テープ71と剥離紙75とを備える。両面粘着テープ71は、基材72と第一粘着層73と第二粘着層74とを有する。粘着テープ7の幅Nは、感熱テープ4の幅Kよりも大きい。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマルプリンタに用いられ、感熱媒体と粘着媒体とが互いの厚み方向に重ねて貼り合わされる媒体であって、
前記感熱媒体は、
第1面および前記第1面と反対側に位置する第2面とを有する感熱媒体基材と、
前記感熱媒体基材の前記第1面側に設けられ、所定温度以上に加熱されることで透明性が低下して発色する第一発色層と
を備え、
前記粘着媒体は、
粘着媒体基材と、
前記粘着媒体基材に設けられる粘着層と
を備え、
前記粘着媒体の長さ方向および前記厚み方向と交差する幅方向の大きさNは、前記感熱媒体の前記幅方向の大きさKよりも大きいことを特徴とする媒体。
【請求項2】
前記感熱媒体は、前記第一発色層と前記感熱媒体基材との間に設けられ、前記所定温度と異なる温度に加熱されることで透明性が低下して前記第一発色層とは異なる色に発色する第二発色層を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の媒体。
【請求項3】
前記感熱媒体基材は透明性を有し、前記粘着媒体は前記感熱媒体に対して前記感熱媒体基材の前記第1面側から貼り合わされることを特徴とする請求項1又は2に記載の媒体。
【請求項4】
前記粘着媒体基材は透明性を有し、前記粘着媒体は前記感熱媒体に対して前記感熱媒体基材の前記第1面側から貼り合わされることを特徴とする請求項1又は2に記載の媒体。
【請求項5】
前記粘着媒体の前記幅方向の大きさNは、前記感熱媒体の厚みがtである場合に、以下の式、
K<N≦K+2t
を充たすことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の媒体。
【請求項6】
前記粘着媒体の前記幅方向の大きさNは、前記感熱媒体の厚みがtである場合に、以下の式、
K+2t<N
を充たすことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の媒体。
【請求項7】
前記粘着層は、前記厚み方向に可撓性を有することを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の媒体。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載の媒体を収納するカートリッジであって、
ケースと、
前記ケースの内部に設けられ、前記感熱媒体を保持する第一保持部と、
前記ケースの内部に設けられ、前記粘着媒体を保持する第二保持部とを備えることを特徴とするカートリッジ。
【請求項9】
前記粘着媒体を前記感熱媒体の前記第1面側から貼り合わされる位置に案内することを特徴とする請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記第一保持部から前記感熱媒体を前記長さ方向に搬送する第一搬送経路、及び前記第二保持部から前記粘着媒体を前記長さ方向に搬送する第二搬送経路の少なくとも一方に設けられ、前記感熱媒体の前記幅方向の両端部から前記粘着媒体が突出した状態で前記感熱媒体と前記粘着媒体とが貼り合わされるよう前記感熱媒体又は前記粘着媒体の前記幅方向の移動を規制する規制部を備えることを特徴とする請求項8又は9に記載のカートリッジ。
【請求項11】
感熱媒体と粘着媒体とが互いの厚み方向に重ねて貼り合わされた媒体を作成する媒体作成方法であって、
前記感熱媒体は、第1面と前記第1面と反対側に位置する第2面とを有する感熱媒体基材と、前記感熱媒体基材の前記第1面側に設けられ、所定温度以上に加熱されることで透明性が低下して発色する発色層とを備え、
前記粘着媒体は、粘着媒体基材と、前記粘着媒体基材に設けられる粘着層とを含み、長さ方向および前記厚み方向と交差する幅方向の大きさが前記感熱媒体の前記幅方向の大きさよりも大きく、
前記媒体作成方法は、
前記感熱媒体を加熱することで印刷する印刷工程と、
前記印刷工程で印刷された前記感熱媒体と前記粘着媒体とを貼り合わせて前記媒体を作成する貼り合わせ工程と
を備えることを特徴とする媒体作成方法。
【請求項12】
前記感熱媒体基材は透明性を有し、
前記貼り合わせ工程は、前記粘着媒体を前記感熱媒体の前記感熱媒体基材の前記第1面側から貼り合わせることを特徴とする請求項11に記載の媒体作成方法。
【請求項13】
前記粘着媒体基材は透明性を有し、
前記貼り合わせ工程は、前記粘着媒体を前記感熱媒体の前記感熱媒体基材の前記第1面側から貼り合わせることを特徴とする請求項11に記載の媒体作成方法。
【請求項14】
前記貼り合わせ工程よりも前に、前記感熱媒体の前記幅方向の両端部から前記粘着媒体が突出した状態で前記感熱媒体と前記粘着媒体とが貼り合わされるよう前記感熱媒体と前記粘着媒体との前記幅方向の位置決めを行う位置決め工程を更に備えることを特徴とする請求項11~13の何れかに記載の媒体作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体、カートリッジ、及び媒体作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1はカートリッジとサーマルプリンタと感熱媒体と粘着媒体とを開示する。感熱媒体および粘着媒体はカートリッジの中に収容される。感熱媒体は感熱層と第一保護層と第二保護層とを有する。感熱層は加熱されることで単色を発色する。第一保護層および第二保護層は媒体の厚み方向両側から感熱層を保護する。カートリッジはサーマルプリンタに装着可能である。サーマルプリンタはカートリッジが装着された状態で感熱媒体を第二保護層側から加熱することで発色させて印刷を行う。粘着媒体は粘着層と基材を備える。感熱媒体の第二保護層に粘着媒体の粘着層が貼り合わされることで、単色で印刷された貼り合わせ媒体が作成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-177438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の貼り合わせ媒体において、幅方向の端面は積み重ねられた層の端部が露出している。故に、特許文献1の貼り合わせ媒体は幅方向の端部において、例えば層間から水分が侵入する等、耐久性が低いという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、耐久性の高い媒体、カートリッジ、及び媒体作成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、例えば以下の態様を開示する。
第一態様に係る媒体は、サーマルプリンタに用いられ、感熱媒体と粘着媒体とが互いの厚み方向に重ねて貼り合わされる媒体であって、前記感熱媒体は、第1面および前記第1面と反対側に位置する第2面とを有する感熱媒体基材と、前記感熱媒体基材の前記第1面側に設けられ、所定温度以上に加熱されることで透明性が低下して発色する第一発色層とを備え、前記粘着媒体は、粘着媒体基材と、前記粘着媒体基材に設けられる粘着層とを備え、前記粘着媒体の長さ方向および前記厚み方向と交差する幅方向の大きさNは、前記感熱媒体の前記幅方向の大きさKよりも大きいことを特徴とする。
【0007】
第一態様によれば、粘着媒体の幅方向の大きさが感熱媒体の幅方向の大きさよりも大きいので、感熱媒体と粘着媒体とが貼り合わされた場合、幅方向において粘着媒体が感熱媒体の端部から突出する。これにより、幅方向における粘着媒体の感熱媒体から突出した部分(以下、幅突出部分という。)は、感熱媒体の幅方向の端面を覆うように貼り合わされる。しかして、感熱媒体の幅方向の端面が粘着媒体で覆われるので、媒体は感熱媒体を覆う粘着媒体の分だけ、感熱媒体の幅方向の端面における水分の侵入、汚れの付着、擦り等に対する耐久性が高くなる。
【0008】
第二態様に係るカートリッジは、第一態様に係る媒体を収納するカートリッジであって、ケースと、前記ケースの内部に設けられ、前記感熱媒体を保持する第一保持部と、前記ケースの内部に設けられ、前記粘着媒体を保持する第二保持部とを備えることを特徴とする。第二態様によれば、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0009】
第三態様に係る媒体作成方法は、感熱媒体と粘着媒体とが互いの厚み方向に重ねて貼り合わされた媒体を作成する媒体作成方法であって、前記感熱媒体は、第1面と前記第1面と反対側に位置する第2面とを有する感熱媒体基材と、前記感熱媒体基材の前記第1面側に設けられ、所定温度以上に加熱されることで透明性が低下して発色する発色層とを備え、前記粘着媒体は、粘着媒体基材と、前記粘着媒体基材に設けられる粘着層とを含み、長さ方向および前記厚み方向と交差する幅方向の大きさが前記感熱媒体の前記幅方向の大きさよりも大きく、前記媒体作成方法は、前記感熱媒体を加熱することで印刷する印刷工程と、前記印刷工程で印刷された前記感熱媒体と前記粘着媒体とを貼り合わせて前記媒体を作成する貼り合わせ工程とを備えることを特徴とする。第三態様によれば、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】サーマルプリンタ1の斜視図である。
図2】テープカセット30および装着部8の斜視図である。
図3】プラテンホルダ12が待機位置にある場合の、テープカセット30が装着された装着部8の平面図である。
図4】プラテンホルダ12が印刷位置にある場合の、テープカセット30が装着された装着部8の平面図である。
図5】テープカセット30の上方からの斜視図である。
図6】上ケース311および下ケース312に部品展開された状態にあるカセットケース31の斜視図である。
図7】下ケース312の平面図である。
図8】上ケース311の底面図である。
図9】上ケース311および下ケース312に部品展開された状態にある規制案内部61の斜視図である。
図10】感熱テープ4および粘着テープ7を示す斜視図である。
図11】貼り合わせテープ9を示す正面図である。
図12】サーマルプリンタ1による印刷の流れを説明する平面図である。
図13】サーマルプリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
図14】貼り合わせテープ作成処理のフローチャートである。
図15】第一変形例の装着部8の平面図である。
図16】第二変形例におけるテープカセット320、321が装着された装着部8の平面図である。
図17】第三変形例における貼り合わせテープ901を示す正面図である。
図18】第四変形例における貼り合わせテープ902を示す正面図である。
図19】第五変形例における貼り合わせテープ903を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、制御等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0012】
以下では、図1の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、および下側をそれぞれサーマルプリンタ1の前側、後側、右側、左側、上側、および下側とする。図2の右下側、左上側、右上側、左下側、上側、および下側を、それぞれ、テープカセット30の前側、後側、右側、左側、上側、および下側とする。図3図4では、理解を容易にするために、装着部8にテープカセット30が装着された状態を、上ケース311を取り除いて示している。
【0013】
本実施形態の印刷システムは、サーマルプリンタ1(図1参照)とテープカセット30(図2参照)とを含む。サーマルプリンタ1はテープカセット30を使用して、感熱テープ4に文字、図形、記号等を印刷できる。印刷された感熱テープ4に粘着テープ7が貼り合わされることで、貼り合わせテープ9が作成される。
【0014】
<サーマルプリンタ1の外観構成>
図1に示すように、サーマルプリンタ1は本体カバー2を備える。本体カバー2は箱状である。本体カバー2の上面前部にはキーボード3が設けられる。ユーザはキーボード3を操作することで各種情報をサーマルプリンタ1に入力する。キーボード3の後側にはディスプレイ5が設けられる。ディスプレイ5は入力された各種情報を表示可能である。
【0015】
ディスプレイ5の後側にはカセットカバー6が設けられる。カセットカバー6は後述の装着部8(図2参照)を上側から開閉可能に覆う。ユーザはテープカセット30(図2参照)の交換時にカセットカバー6を開閉する。本体カバー2の左面後部には排出スリット(図示略)が設けられる。排出スリットは貼り合わせテープ9をサーマルプリンタ1の外部に排出する。
【0016】
<サーマルプリンタ1の内部構成>
図2に示すように、カセットカバー6(図1参照)の下側には装着部8が設けられる。装着部8はテープカセット30に対応した形状で本体カバー2の上面から下方に凹む。装着部8にはテープカセット30が着脱可能に装着される。装着部8の前部にはヘッドホルダ19が設けられる。ヘッドホルダ19は板状であり、上下左右に延びる。ヘッドホルダ19の前面191(図3参照)にはサーマルヘッド10が設けられる。サーマルヘッド10は複数の発熱体11を備える。複数の発熱体11は上下方向に一列に並ぶ。サーマルヘッド10はテープカセット30が装着部8に装着された状態で後述の開口部341から露出した感熱テープ4を、複数の発熱体11によって加熱する。
【0017】
装着部8の2箇所に、2つの位置決めピン102、103が設けられる。具体的には、位置決めピン102は装着部8の左側に、位置決めピン103は装着部8の右側に設けられる。位置決めピン102、103はテープカセット30が装着部8に装着された場合に、カセットケース31のピン孔62、63(図7参照)にそれぞれ挿入される。
【0018】
装着部8の外側(図2では右上側)には、ステッピングモータである搬送モータ95が配設される。搬送モータ95の駆動軸の下端には、ギヤ91が固着される。ギヤ91はギヤ93、94、97、ギヤ98を介してギヤ101に連結される。ギヤ101の上面には、駆動軸18が立設される。駆動軸18は後述する搬送ローラ56に着脱可能な軸体である。駆動軸18は搬送モータ95によって回転駆動される。駆動軸18が回転することで、後述の感熱テープ4および粘着テープ7が搬送される。
【0019】
ギヤ98の後側には、補助軸110が立設される。補助軸110は後述する支持孔66に挿脱可能な略円柱状の軸体である。装着部8の右後部、且つ位置決めピン103の後側には、補助軸120が立設される。補助軸120は後述するガイド孔57に挿脱可能な軸体である。
【0020】
図3図4に示すように、駆動軸18の左側には切断機構16が設けられる。切断機構16は切断モータ96(図13参照)の駆動により貼り合わせテープ9を切断する。ヘッドホルダ19の前側にはプラテンホルダ12が設けられる。プラテンホルダ12はアーム状であり、支持軸121によって上下方向の軸周りに揺動可能に支持される。支持軸121はプラテンホルダ12の右端に設けられる。
【0021】
プラテンホルダ12の先端側にはプラテンローラ15と可動ローラ14とが共に回転可能に支持される。プラテンローラ15はプラテンホルダ12の揺動に伴ってサーマルヘッド10に相対して接離可能である。可動ローラ14はプラテンローラ15の左側に設けられ、プラテンホルダ12の揺動に伴って後述の搬送ローラ56に相対して接離可能である。
【0022】
本実施形態では、カセットカバー6が開放されると、プラテンホルダ12が待機位置(図4で図示する位置)に向けて移動し、カセットカバー6が閉鎖されると、プラテンホルダ12が印刷位置(図3で図示する位置)に向けて移動するように構成される。待機位置では、プラテンホルダ12が装着部8から離れる方向に移動する。このため、ユーザはテープカセット30を装着部8に着脱できる。
【0023】
印刷位置では、プラテンホルダ12が装着部8に近付く方向に移動する。このため、装着部8にテープカセット30が装着されている場合には、プラテンローラ15が感熱テープ4をサーマルヘッド10に押圧し、可動ローラ14が感熱テープ4と粘着テープ7とを重ね合わせて搬送ローラ56に押圧する。
【0024】
プラテンローラ15は搬送モータ95(図2参照)によって駆動軸18と共に回転駆動される。なお、本実施形態では搬送による感熱テープ4の弛みを抑制するため、プラテンローラ15の回転速度が駆動軸18(搬送ローラ56)の回転速度よりも小さくなるように、プラテンローラ15は複数のギヤ(図示略)を介して搬送モータ95に連結される。
【0025】
<テープカセット30の構成>
図5図6に示すように、テープカセット30はカセットケース31を有する。カセットケース31は略直方体状であり、上ケース311と下ケース312とが組み合わされることで構成される。上ケース311はカセットケース31の上面301を形成する上板305(図2参照)を含み、下方向に開口する箱状体である。下ケース312はカセットケース31の底面302を形成する底板306を含み、上方向に開口する箱状体である。上ケース311は下ケース312の上部に固定される。底面302から上面301までの距離を、テープカセット30またはカセットケース31の高さという。
【0026】
図7に示すように、カセットケース31の左前部および右後部の下面の2箇所に、サーマルプリンタ1の位置決めピン102、103に対応するピン孔62、63が設けられる。具体的には、カセットケース31の左前部の下面に設けられた凹部が、位置決めピン102が挿入されるピン孔62である。カセットケース31の右後部の下面に設けられた凹部が、位置決めピン103が挿入されるピン孔63である。
【0027】
図5に示すように、カセットケース31には、カセットケース31内に装着されるテープスプール21、22(図3参照)を回転可能に支持するための支持孔65、66が設けられる。支持孔65はカセットケース31の右後部を上下方向に貫通する。支持孔66はカセットケース31の左後部、つまり支持孔65の左側を上下方向に貫通する。テープカセット30が装着部8に装着された状態で、支持孔66には補助軸110が挿入される。
【0028】
図3図4に示すように、テープスプール21には、後述する感熱テープ4がテープスプール21の回転中心から離れる方向に向かって平面視で時計回り方向にテープスプール21に巻回される。詳細には、感熱テープ4は後述の基材41(図10(A)参照)に対して複数の感熱層42(図10(A)参照)が内側になるように巻回される。このように構成された感熱テープ4の供給源を、第一供給ロール40という。
【0029】
テープスプール22には、粘着テープ7がテープスプール22の回転中心から離れる方向に向かって平面視で反時計回り方向にテープスプール22に巻回されることで構成される。詳細には、粘着テープ7は後述の第一粘着層73(図10(B)参照)が第二粘着層74(剥離紙75、図10(B)参照)に対して内側になるように巻回される。このように構成された粘着テープ7の供給源を、第二供給ロール70という。
【0030】
図3図4に示すように、カセットケース31内には、テープ領域400、410が設けられる。テープ領域400、410は、それぞれ第一供給ロール40、第二供給ロール70を収納可能な領域である。感熱テープ4および粘着テープ7は各々の幅方向がテープカセット30の上下方向と平行となるように、カセットケース31内で収容および搬送される。
【0031】
テープ領域400はカセットケース31内の右後部に設けられた平面視略円形の領域である。支持孔65は平面視でテープ領域400の略中央部に設けられる。テープ領域400の上側部分を構成する上テープ領域400Aが上ケース311に設けられる(図8参照)。テープ領域400の下側部分を構成する下テープ領域400Bが下ケース312に設けられる(図7参照)。
【0032】
図8に示すように、上テープ領域400Aには、上板305から僅かに下方に突出する上規制部401Aが設けられる。詳細には、第一供給ロール40のテープスプール21(図3参照)が配置される上テープ領域400Aの中心位置に、環状の突出部が設けられる。この環状の突出部から放射状に、8本の線状の突出部が上テープ領域400Aの周縁まで延びる。これらの突出部が、上規制部401Aである。上規制部401Aの環状の突出部の中心に支持孔65の上側部分となる支持孔65Aが設けられる。
【0033】
図7に示すように、下テープ領域400Bには、底板306から僅かに上方に突出する下規制部401Bが設けられる。詳細には、第一供給ロール40のテープスプール21(図3参照)が配置される下テープ領域400Bの中心位置に、環状の突出部が設けられる。この環状の突出部から放射状に、8本の線状の突出部が下テープ領域400Bの周縁まで延びる。これらの突出部が、下規制部401Bである。下規制部401Bの環状の突出部の中心に支持孔65の下側部分となる支持孔65Bが設けられる。
【0034】
図3図4に示すように、テープ領域410はカセットケース31内の左半分をほぼ占める平面視略円形の領域である。支持孔66は平面視でテープ領域410の略中央部に設けられる。テープ領域410の上側部分を構成する上テープ領域410Aが上ケース311に設けられる。テープ領域410の下側部分を構成する下テープ領域410Bが下ケース312に設けられる。
【0035】
図8に示すように、上テープ領域410Aには、上板305から僅かに下方に突出する上規制部411Aが設けられる。詳細には、第二供給ロール70のテープスプール22(図3参照)が配置される上テープ領域410Aの中心位置に、環状の突出部が設けられる。この環状の突出部から放射状に、3本の線状の突出部が上テープ領域410Aの周縁まで延びる。これらの突出部が、上規制部411Aである。上規制部411Aの環状の突出部の中心に支持孔66の上側部分となる支持孔66Aが設けられる。
【0036】
図7に示すように、下テープ領域410Bには、底板306から僅かに上方に突出する下規制部411Bが設けられる。詳細には、第二供給ロール70のテープスプール22(図3参照)が配置される下テープ領域410Bの中心位置に、環状の突出部が設けられる。この環状の突出部から放射状に、3本の線状の突出部が下テープ領域410Bの周縁まで延びる。これらの突出部が、下規制部411Bである。下規制部411Bの環状の突出部の中心に支持孔66の下側部分となる支持孔66Bが設けられる。
【0037】
図6図7に示すように、下テープ領域400Bの右側、且つピン孔63の後側には、テープカセット30の着脱時に補助軸120が挿脱されるガイド孔57が設けられる。位置決めピン102、103、補助軸110、120(図2参照)が、それぞれピン孔62、63(図7参照)、支持孔66(図5参照)、ガイド孔57に挿入されることで、装着部8に装着されたテープカセット30は、前後左右方向への移動が規制される。
【0038】
図3図4図7に示すように、カセットケース31の右前隅部には、軸533が底板306から立設される。軸533は円筒状の回転体であるコロ部材535の軸孔に挿入される。軸533はコロ部材535を回転可能に支持する。軸533の下端には、規制部384Bが設けられる。規制部384Bは軸533から下ケース312の前壁に亘り前後方向に延び、底板306から僅かに上方に延びる板状体である。規制部384Bの底板306からの高さは、軸533の底板306からの高さよりも低い。
【0039】
図3図8に示すように、カセットケース31の前面にはアーム部34が設けられる。アーム部34はカセットケース31の右前部から左前方に延びる。アーム部34の前壁であるアーム前壁35は、上ケース311に設けられる上アーム前壁35A(図8参照)と、下ケース312に設けられる下アーム前壁35B(図7参照)とが組み合わされて構成される。
【0040】
アーム部34の後壁であるアーム後壁37は、上ケース311に設けられる上アーム後壁37A(図8参照)と、下ケース312に設けられる下アーム後壁37B(図7参照)とが組み合わされて構成される。アーム前壁35の左端部と、アーム後壁37の左端部との間には、開口部341が設けられる。開口部341は上下方向に延びるスリット状に形成される。
【0041】
図7に示すように、下ケース312の下アーム前壁35Bと下アーム後壁37Bとの間には、底板306から上方に延びる壁部である規制壁33が設けられる。規制壁33の高さは、カセットケース31に収納される感熱テープ4の幅より僅かに大きい。規制壁33の左端部および右端部の下端に、それぞれ、下規制部381B、382Bが設けられる。下規制部381B、382Bは、それぞれ、底板306から僅かに上方へ延び、且つ規制壁33から前方に向かって下アーム前壁35Bまで延びる。
【0042】
図6に示すように、規制壁33の左端部の上端には、感熱テープ4の上方向への移動を規制する規制部383が設けられる。規制部383は規制壁33の上端から前方に向かって突出する突出片である。下規制部381B、382Bと、規制部383との上下方向の距離は、感熱テープ4の幅と同一である。
【0043】
図8に示すように、上ケース311における下ケース312の規制壁33に対応する位置には、固定溝331が設けられる。固定溝331は平面視で規制壁33と同一形状の溝部である。上ケース311と下ケース312とが組み付けられると、規制壁33の上端部が固定溝331に嵌め込まれ、上ケース311と下ケース312とが固定される。固定溝331の左端部および右端部に、それぞれ、上規制部381A、382Aが接して設けられる。上規制部381A、382Aは、それぞれ、上板305から僅かに下方へ延び、且つ固定溝331から前方に向かって上アーム前壁35Aまで延びる。
【0044】
アーム後壁37の右端部から後方に延び、且つアーム後壁37と平行に延びる周壁はヘッド周壁36である。ヘッド周壁36は上ケース311に設けられる上ヘッド周壁36Aと、下ケース312に設けられる下ヘッド周壁36B(図7参照)とが組み合わされて構成される。
【0045】
アーム後壁37とヘッド周壁36とによって規定される、テープカセット30を上下方向に貫通する平面視略長方形状の空間はヘッド挿入部39である。ヘッド挿入部39はテープカセット30の前面側に設けられた露出部77を介して、テープカセット30の前面側でも外部とつながっている。ヘッド挿入部39には、装着部8にテープカセット30が装着された状態でヘッドホルダ19が挿入される。
【0046】
図5図6に示すように、ヘッド挿入部39の左側には、規制案内部61が設けられる。規制案内部61は左右方向において、開口部341と後述する搬送ローラ56との間に位置する。規制案内部61は規制部材361、362、案内壁58、隔離壁53などを含む。規制部材361は上板305から下方に延びる板状体である。規制部材362は底板306から規制部材361にむけて上方に延びる板状体である。
【0047】
図9に示すように、案内壁58は下ヘッド周壁36Bのうち、ヘッド挿入部39の左側で前後方向に延びる壁部である。隔離壁53は案内壁58の後側に立設される。隔離壁53は左右方向において、案内壁58と後述の開口部64Bとの間に設けられる。隔離壁53は平面視で開口部64Bの一部に沿って、カセットケース31の前後方向に緩やかな弧を描くように設けられる。隔離壁53の左側の面には、平面視で鋸歯状に形成される。
【0048】
案内壁58と規制部材362との間に形成される縦長の隙間が、導入口61Aの下側部分として機能する。導入口61Aは露出部77と連通する、感熱テープ4の搬送経路の一部である。以下、感熱テープ4の搬送経路を、第一搬送経路という。導入口61Aは感熱テープ4を規制案内部61内に案内する。
【0049】
隔離壁53と規制部材362との間に形成される縦長の隙間は、案内口61Bの下側部分として機能する。案内口61Bは、導入口61Aの下流側に連続して設けられた、第一搬送経路の一部である。案内口61Bは感熱テープ4を後述する搬送ローラ56(図4参照)の前方に向けて案内する。
【0050】
導入口61Aの下端部では、底板306の上面が凹凸のない連続した平面を形成する。一方、隔離壁53の基部と規制部材362の基部とに亘って、底板306から上方へ僅かに突出した下規制部363Bが設けられる。故に、案内口61Bの下端部(つまり、下規制部363Bの突出端)は、導入口61Aの下端部(つまり、底板306の上面)よりも上方に位置する。換言すると、下規制部363Bは案内口61Bの下端部が導入口61Aの下端部よりも高くなるような段差を形成する。
【0051】
隔離壁53前端部の上端には、前方へ突出する突出片である規制部364が設けられる。規制部364の上部には、上方に突出するピンである突起部398が設けられる。下規制部363Bと規制部364との上下方向の距離は、テープの幅と同一である。隔離壁53の前端面には、規制部53A、53Bが設けられる。規制部53Aは、規制部364の下部に設けられた、隔離壁53の前端面から僅かに前方に突出した段差部である。規制部53Bは、隔離壁53の基部に設けられた、隔離壁53の前端面から僅かに前方に突出した段差部である。
【0052】
図9に示すように、上板305には、下ケース312の隔離壁53に対応する位置に、固定溝332が設けられている。固定溝332は、平面視で隔離壁53と同一形状の溝部である。隔離壁53に設けられた突起部398に対応する位置に、突起部398と同径の固定穴399が設けられる。上ケース311が下ケース312に組み付けられると、隔離壁53の上端部が固定溝332に嵌まり、且つ、突起部398が固定穴399に嵌まり、上ケース311と下ケース312とが固定される。
【0053】
規制部材361は固定溝332の前方に設けられる。上ケース311が下ケース312に組み付けられた場合、案内壁58と規制部材361と間に形成される縦長の隙間が、導入口61Aの上側部分として機能する。隔離壁53と規制部材361と間に形成される縦長の隙間は、案内口61Bの上側部分として機能する。
【0054】
導入口61Aの上端部では、上板305の下面が凹凸のない連続した平面を形成する。一方、固定溝332と規制部材361の基部とに亘って、上板305から下方へ僅かに突出する上規制部363Aが設けられる。換言すると、上規制部363Aは、下ケース312の下規制部363Bと上下方向に対応する位置に設けられ、案内口61Bの上端部として機能する。案内口61Bの上端部(つまり、上規制部363Aの突出端)は、導入口61Aの上端部(つまり、上板305の下面)よりも下方に位置している。換言すると、上規制部363Aは案内口61Bの上端部が導入口61Aの上端部よりも低くなるような段差を形成する。
【0055】
図3図5に示すように、規制案内部61の左側には、搬送ローラ56が設けられる。搬送ローラ56は筒状であり、上下方向に延びる。搬送ローラ56の前端部はカセットケース31から前方に露出する。搬送ローラ56は案内口61Bに案内された感熱テープ4と粘着テープ7とが重ね合わされた状態で粘着テープ7を支持する。搬送ローラ56は支持孔64によって回転可能に支持される。詳細は後述するが、搬送ローラ56は感熱テープ4と粘着テープ7とが重ね合わされた状態で、可動ローラ14との間で挟んで感熱テープ4と粘着テープ7とを貼り合わせる。これにより、貼り合わせテープ9が作成される。
【0056】
支持孔64は後述する上板305に設けられた開口部64A(図8参照)と、後述する底板306に設けられた開口部64B(図7参照)とを含む。開口部64Aおよび開口部64Bはカセットケース31の上下方向に対応する位置に設けられた貫通孔である。装着部8にテープカセット30が装着された状態で、搬送ローラ56の内側には駆動軸18が挿入される。
【0057】
カセットケース31の左前角部、搬送ローラ56の左側には案内部59が設けられる。案内部59は上下方向に延びるスリット状に形成される。貼り合わせテープ9は搬送ローラ56を経て搬送されると、案内部59の内側を通過する。このとき、案内部59は貼り合わせテープ9を幅方向両側から支持する。これにより、貼り合わせテープ9の姿勢が保持された状態で貼り合わせテープ9がカセットケース31から排出される。つまり、案内部59は貼り合わせテープ9をカセットケース31の外部へと案内する。
【0058】
<感熱テープ4の構成>
以下では、図10の上側および下側をそれぞれ各テープの上側および下側とする。図10では各テープの幅、各テープの幅の大小関係、各層の厚み、および各層の厚みの大小関係を模式的に示しており、実際の各層の厚みおよび各層の厚みの大小関係は図10とは異なる場合がある(図11図12図17図19も同様)。
【0059】
図10(A)に示すように、感熱テープ4は長手方向(長さ方向)および短手方向(幅方向)とを有する長尺状の媒体であり、複数の層が積層されて構成される。詳細には感熱テープ4は基材41と複数の感熱層42と複数の遮熱層43とオーバーコート層44(以下、総称して「感熱テープ4の各層」ともいう。)とを有する。本実施形態では複数の感熱層42は第一感熱層421と第二感熱層422と第三感熱層423とを含む。複数の遮熱層43は第一遮熱層431と第二遮熱層432とを含む。感熱テープ4の短手方向の長さである幅はK、感熱テープ4の厚さはtである。
【0060】
基材41、第一感熱層421、第一遮熱層431、第二感熱層422、第二遮熱層432、第三感熱層423、およびオーバーコート層44は、この順で感熱テープ4の下側から順に感熱テープ4の厚み方向(図10(A)の上下方向)に並んで積層される。つまり、オーバーコート層44は複数の感熱層42に対して基材41とは反対側、詳細には感熱テープ4の上面に設けられる。以下、基材41の第一感熱層421が積層する面を第1面、基材41の第1面とは反対側の面を第2面という。
【0061】
基材41は樹脂フィルムであり、詳細には無発泡樹脂フィルムであり、より詳細には無発泡ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである。つまり、基材41の内部には気泡が含まれていない。
【0062】
複数の感熱層42の各層は、各層に応じた発色温度に加熱されることで、各層に応じた色を発色する。複数の感熱層42には例えば特開2008-6830号公報に記載の薬品が用いられる。
【0063】
第一感熱層421は第一遮熱層431の下面に薬品が塗布されることで膜状に形成される。第一感熱層421は第一温度を超えた場合に第一色に発色する。本実施形態では第一色はシアンである。
【0064】
第二感熱層422は第二遮熱層432の下面に薬品が塗布されることで膜状に形成される。第二感熱層422は第二温度を超えた場合に第二色に発色する。第二温度は第一温度よりも高い。本実施形態では第二色はマゼンタである。
【0065】
第三感熱層423は第二遮熱層432の上面に薬品が塗布されることで膜状に形成される。第三感熱層423は第三温度を超えた場合に第三色に発色する。第三温度は第二温度よりも高い。本実施形態では第三色はイエローである。
【0066】
感熱テープ4において、第一色がシアンであり、第二色がマゼンタであり、第三色がイエローである。つまり、第一感熱層421、第二感熱層422、および第三感熱層423は色の三原色を発色する。感熱テープ4では複数の感熱層42の発色により色の三原色を組み合わせることで多くの色をカラー表示できる。
【0067】
複数の遮熱層43はシート状である。複数の遮熱層43の熱伝導性は低いので、複数の遮熱層43は熱伝導に対して抵抗として作用する。従って、複数の遮熱層43のそれぞれの内部には熱が伝わる方向に温度勾配が生じる。後述するようにサーマルヘッド10が感熱テープ4を図10の上側から加熱した場合には、各遮熱層43の下面の温度は、各遮熱層43の上面の温度よりも低くなる。これにより、各遮熱層43は、各遮熱層43の上下両側に隣接する2つの感熱層42の温度に、遮熱層43の熱伝導性に応じて所望の差をつけることができる。
【0068】
詳細には、第二遮熱層432は第二感熱層422の温度を第三感熱層423の温度よりも低くすることができる。第一遮熱層431は第一感熱層421の温度を第二感熱層422の温度よりも低くすることができる。このように、感熱テープ4は遮熱層43の作用によって、第一感熱層421の温度を第一温度より高く且つ第二温度よりも低い温度に、第二感熱層422の温度を第二温度よりも高く且つ第三温度よりも低い温度に、第三感熱層423の温度を第三温度よりも高い温度に、それぞれ意図的に制御することが可能となる。
【0069】
オーバーコート層44は第三感熱層423の上面にコーティングされることで膜状に形成される。オーバーコート層44は基材41とは反対側(つまり、感熱テープ4の上面側)から複数の感熱層42を保護する。
【0070】
感熱テープ4は全体として感熱テープ4の厚み方向に可視光透過性(透明性)を有する。つまり、感熱テープ4の各層はいずれも透明性を有する。基材41の可視光透過率(%)は、複数の感熱層42、複数の遮熱層43、およびオーバーコート層44の少なくともいずれかの可視光透過率と同じでもよいし、いずれの可視光透過率とも異なっていてもよい。感熱テープ4の各層の可視光透過率は例えば90%以上であり、好ましくは99%以上であり、より好ましくは99.9%以上である。感熱テープ4の各層の透明性は、感熱テープ4の各層の可視光透過率が90%未満であったとしても、少なくとも感熱層42での発色を基材41を介してユーザが視認できる程度であればよい。感熱テープ4の各層はいずれも透明または半透明であり、好ましくは透明である。
【0071】
<粘着テープ7の構成>
図10(B)に示すように、粘着テープ7は長手方向(長さ方向)および短手方向(幅方向)とを有する長尺状の媒体であり、複数の層が積層されて構成される。詳細には粘着テープ7は両面粘着テープ71と剥離紙75とを備える。両面粘着テープ71は白色であり、基材72と第一粘着層73と第二粘着層74とを有する。基材72は白色である。即ち、本実施形態において、粘着テープ7は全体として感熱テープ4の厚み方向に透明性を有していない。基材72の可視光透過率は感熱テープ4の各層のいずれの可視光透過率よりも低い。
【0072】
粘着テープ7の短手方向の長さである幅はNである。本実施形態において、粘着テープ7の幅Nは感熱テープ4の幅Kと厚さtを用いて、式(1)で示される。
N=K+2t ・・・(1)
【0073】
第一粘着層73は基材72の下面に設けられる。第二粘着層74は基材72の上面に設けられる。つまり、両面粘着テープ71は基材72の上下両面に粘着剤が塗布されることで構成される。第一粘着層73、第二粘着層74の粘着剤としては、ウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系、ビニル樹脂系、ポリエステル樹脂系、合成ゴム系、天然ゴム系、アクリル樹脂系等の粘着剤が使用できる。
【0074】
剥離紙75は第二粘着層74を介して両面粘着テープ71に貼り合わされる。剥離紙75には切れ目76が設けられる。切れ目76は粘着テープ7の長手方向に延び、剥離紙75を短手方向に2つに分断する。なお、切れ目76は両面粘着テープ71の一部にも入り込んでいるが、第一粘着層73には達していない。つまり、基材72は切れ目76を跨いで一続きに繋がっている。換言すれば、両面粘着テープ71は切れ目76を跨いで一続きに繋がっている。
【0075】
剥離紙75は第二粘着層74を介して両面粘着テープ71に貼り合わされる。剥離紙75には切れ目76が設けられる。切れ目76は粘着テープ7の長手方向に延び、剥離紙75を短手方向に2つに分断する。なお、切れ目76は両面粘着テープ71の一部にも入り込んでいるが、第一粘着層73には達していない。つまり、基材72は切れ目76を跨いで一続きに繋がっている。換言すれば、両面粘着テープ71は切れ目76を跨いで一続きに繋がっている。
【0076】
<貼り合わせテープ9の構成>
図11図18図19では、ユーザが目視する方向が下方向になるように、各テープが配置される。即ち、図10図11図18図19とでは、上下が反対になる。図11(A)に示すように、貼り合わせテープ9は、印刷された感熱テープ4の上面に粘着テープ7の下面が貼り合わされることで構成される。換言すると、感熱テープ4は基材41における第1面側から粘着テープ7が貼り合わされる。このため、貼り合わせテープ9では、基材41、第一感熱層421、第一遮熱層431、第二感熱層422、第二遮熱層432、第三感熱層423、オーバーコート層44、第一粘着層73、基材72、第二粘着層74、および剥離紙75が、この順で厚み方向に並んで積層される。
【0077】
ユーザは貼り合わせテープ9を基材41の第2面側(つまり、図11(A)の上側)から見る(目視方向Y1参照)。感熱テープ4が全体として透明性を有するので、貼り合わせテープ9を基材41側からユーザが見ると、複数の感熱層42の各層の発色(つまり、印刷された画像)を基材41を介して見ることができ、且つ粘着テープ7が背景として見える。本実施形態では両面粘着テープ71が白色なので、貼り合わせテープ9を基材41側からユーザが見ると、背景が白色に見える。ユーザは例えば剥離紙75を両面粘着テープ71から剥離して所定の壁、台紙等に貼り付けて、貼り合わせテープ9を使用できる。
【0078】
<感熱テープ4および粘着テープ7の搬送経路>
図4に示すように、テープ領域400に収容される感熱テープ4は、搬送ローラ56の回転駆動により第一供給ロール40の右端から前方に引き出される。第一搬送経路の搬送方向は感熱テープ4の長手方向と等しい。感熱テープ4はカセットケース31の右前角部で軸533に案内されて左方に曲がる。軸533を経由する感熱テープ4は軸533に挿入されたコロ部材535の回転によりカセットケース31の左前角部に向けて円滑に送り出される。このとき、感熱テープ4は規制部384Bにより下方向への移動が規制される。
【0079】
軸533を経由する感熱テープ4はアーム部34の内部において、アーム前壁35と規制壁33との間を通過する。このとき、感熱テープ4は上規制部381A、382A(図8参照)、規制部383(図6参照)により上方向への移動が規制される。感熱テープ4は下規制部381B、382B(図7参照)により下方向への移動が規制される。そして、感熱テープ4は規制壁33の左端部を通過する際、上下方向の距離が感熱テープ4の幅Kと同一となる、規制部383と下規制部381Bとの間を通過する。その後、感熱テープ4は開口部341からカセットケース31の外部へ出る。
【0080】
図12(A)に示すように、露出部77では複数の感熱層42側(感熱テープ4の上面側)がサーマルヘッド10に対向し、感熱テープ4の基材41側(感熱テープ4の下面側)がプラテンローラ15に対向する。つまり、サーマルヘッド10はテープカセット30が装着部8に装着された状態で複数の感熱層42に対して基材41とは反対側(つまり、感熱テープ4の後側)に位置する。このため、露出部77において感熱テープ4は基材41とは反対側からサーマルヘッド10によって加熱される(印刷方向Y2参照)。
【0081】
図9に示すように、サーマルヘッド10からの加熱によって印刷された感熱テープ4は、規制案内部61内の導入口61A、案内口61Bを経由して搬送ローラ56に向けて搬送される。このとき、感熱テープ4は上規制部363A、規制部364により上方向への移動が規制される。感熱テープ4は下規制部363Bにより下方向への移動が規制される。そして、感熱テープ4は案内口61Bを通過する際、上下方向の距離が感熱テープ4の幅Kと同一となる、規制部364と下規制部363Bとの間を通過する。
【0082】
図4に示すように、規制案内部61を経由した感熱テープ4は搬送ローラ56と可動ローラ14との間を通過する。このとき、図12(B)に示すように、感熱テープ4の複数の感熱層42側が搬送ローラ56に対向し、感熱テープ4の基材41側が可動ローラ14に対向する。
【0083】
本実施形態では、下規制部401B、381B、382B、363B、規制部384Bの突出端は、各々の配設位置にかかわらず全て同じ高さに設定される。従って、テープ領域400に収容される感熱テープ4は、アーム部34および規制案内部61に存在する感熱テープ4と同じ上下位置で、それぞれ下方向の移動が規制される。
【0084】
図4に示すように、テープ領域410に収容される粘着テープ7は、搬送ローラ56の回転駆動により第二供給ロール70の左端から前方に引き出される。以下、粘着テープ7の搬送経路を、第二搬送経路という。第二搬送経路の搬送方向は粘着テープ7の長手方向と等しい。搬送ローラ56の外周のうち右前部に接触しながら左方に曲がる。このとき、図12(B)に示すように、粘着テープ7の剥離紙75側(粘着テープ7の上面側)が搬送ローラ56に対向し、粘着テープ7の両面粘着テープ71側(粘着テープ7の下面側)が可動ローラ14に対向する。このため、搬送ローラ56は、複数の感熱層42に対して基材41とは反対側から粘着テープ7が感熱テープ4に重ね合わされた状態で、粘着テープ7に対して感熱テープ4とは反対側から粘着テープ7を支持する。
【0085】
本実施形態では、下規制部411Bの突出端は、下規制部401Bの突出端よりも感熱テープ4の厚さtだけ低くなるように設定される。従って、テープ領域410に収容される粘着テープ7は、テープ領域400から搬送された感熱テープ4に対して上下方向において互いの中心が一致するように、搬送ローラ56に搬送される。
【0086】
可動ローラ14は、感熱テープ4と粘着テープ7とが重ね合わされた状態で、搬送ローラ56との間で挟んで感熱テープ4と粘着テープ7とを貼り合わせる。これにより、貼り合わせテープ9が作成される。図4に示すように、貼り合わせテープ9は案内部59の内側を通過してテープカセット30の外部に排出される。貼り合わせテープ9は切断機構16へと搬送されて、切断機構16により切断される。切断された貼り合わせテープ9は本体カバー2の排出スリットからサーマルプリンタ1の外部へと排出される。
【0087】
<サーマルプリンタ1の電気的構成>
図13に示すように、サーマルプリンタ1はCPU81を備える。CPU81はサーマルプリンタ1を制御し、プロセッサとして機能する。CPU81には、フラッシュメモリ82、ROM83、ROM84、キーボード3、ディスプレイ5、サーマルヘッド10、搬送モータ95、および切断モータ96が電気的に接続する。
【0088】
フラッシュメモリ82はCPU81によって実行されるプログラム等を記憶する。ROM83は各種プログラムの実行時に必要な各種パラメータを記憶する。ROM84は画像を形成するための印刷データ等、種々の一時データを記憶する。
【0089】
<サーマルプリンタ1による貼り合わせテープ作成処理>
ユーザはキーボード3を操作することで印刷開始指示をサーマルプリンタ1に入力する。CPU81は印刷開始指示を取得すると、フラッシュメモリ82からプログラムを読み出して貼り合わせテープ作成処理を実行する。貼り合わせテープ作成処理ではサーマルプリンタ1による印刷動作が制御されて、貼り合わせテープ9が作成される。
【0090】
図14に示すように、CPU81はユーザによって指定された画像を示す画像データを取得する(S1)。ユーザは貼り合わせテープ9に形成される画像をキーボード3を介してあらかじめ指定する。貼り合わせテープ9に形成される画像とは、ユーザが貼り合わせテープ9を目視方向Y1から見た場合に視認可能な画像である。
【0091】
CPU81は搬送制御を開始する(S2)。搬送制御では、CPU81は搬送モータ95を制御して駆動軸18を回転駆動する。これにより、搬送ローラ56と可動ローラ14との協働によって、第一供給ロール40から感熱テープ4が引き出され、且つ第二供給ロール70から粘着テープ7が引き出される。このとき、下規制部401B、411B、381B、382B、363B、上規制部381A、382A、363A、規制部383、364により、上下方向において感熱テープ4の中心と粘着テープ7の中心とが一致するように、感熱テープ4および粘着テープ7が搬送される。
【0092】
CPU81は取得された画像データに基づいて印刷制御を行う(S3)。印刷制御では、サーマルヘッド10を制御する。詳細には、CPU81は感熱テープ4を搬送しながら、複数の発熱体11を選択的に発熱させる。このとき、上述したように、感熱テープ4は複数の感熱層42に対して基材41とは反対側からサーマルヘッド10によって加熱される(図12参照)。
【0093】
CPU81は印刷された感熱テープ4に、粘着テープ7を貼り合わせる制御を行う(S4)。具体的には、CPU81は搬送モータ95を制御して駆動軸18を回転駆動することで、印刷された感熱テープ4および粘着テープ7を搬送する。搬送ローラ56と可動ローラ14との間で、複数の感熱層42に対して基材41とは反対側から、印刷された感熱テープ4に粘着テープ7が貼り合わされる。これにより、貼り合わせテープ9が作成される。
【0094】
CPU81は搬送モータ95を停止して、S2で開始した搬送制御を停止する(S5)。CPU81は切断モータ96を制御することで切断機構16によって貼り合わせテープ9を切断する(S6)。CPU81は貼り合わせテープ作成処理を終了する。
【0095】
<本実施形態の主な効果>
貼り合わせテープ9は、印刷された感熱テープ4の上面に粘着テープ7の下面が貼り合わされることで構成される。感熱テープ4は基材41と複数の感熱層42と複数の遮熱層43とオーバーコート層44とを有する。基材41の第1面側には、感熱層42である第三感熱層423が設けられる。第三感熱層423は第三温度を超えた場合に第三色(イエロー)に発色する。粘着テープ7は両面粘着テープ71を備える。両面粘着テープ71は基材72と第一粘着層73と第二粘着層74とを有する。粘着テープ7の幅Nは、感熱テープ4の幅Kよりも大きい。
【0096】
この場合、感熱テープ4と粘着テープ7とが貼り合わされると、図11(A)に示すように、幅方向において粘着テープ7が感熱テープ4の端部から突出する。これにより、図11(B)に示すように、幅方向における粘着テープ7が感熱テープ4から突出した部分(以下、幅突出部分という。)を、感熱テープ4の幅方向の端面を覆うように貼り合わせることができる。しかして、感熱テープ4の幅方向の端面が粘着テープ7で覆われるので、貼り合わせテープ9は感熱テープ4を覆う粘着テープ7の分だけ、感熱テープ4の幅方向の端面における水分の侵入、汚れの付着、擦り等に対する耐久性が高くなる。
【0097】
感熱テープ4には基材41と第三感熱層423との間に、感熱層42である第一感熱層421、第二感熱層422が設けられる。第一感熱層421は第一温度を超えた場合に第一色(シアン)に発色する。第二感熱層422は第二温度を超えた場合に第二色(マゼンタ)に発色する。第三感熱層423で発色される第三色と、第一感熱層421で発色される第一色、および第二感熱層422で発色される第二色との組み合わせにより、感熱テープ4は多様な色彩を表現できる。ここで、貼り合わせテープ9では、感熱テープ4の幅方向の端面が粘着テープ7に覆われるので、例えば水分や汚れが第一感熱層421~第三感熱層423の間に侵入することが抑制される。故に、貼り合わせテープ9は耐久性が高く、更に多様な色彩を表現できる。
【0098】
基材41は透明性を有する。粘着テープ7は複数の感熱層42を間にして基材41の第1面側から感熱テープ4に重ね合わされる。この場合、感熱層42が基材41と粘着テープ7とに挟まれるので、貼り合わせテープ9は厚み方向において水分の侵入、汚れの付着、擦り等に対する耐久性が高くなる。
【0099】
粘着テープ7の幅Nは、感熱テープ4の幅Kと厚さtに対して、式(2)の関係を充たす。
K<N≦K+2t ・・・(2)
この場合、粘着テープ7の幅突出部分の長さが感熱テープ4の厚さt以下になるように、感熱テープ4と粘着テープ7とを貼り合わせることができる。このとき、粘着テープ7の幅突出部分は、感熱テープ4の幅方向の端面を覆う際に厚み方向において感熱テープ4の端部から突出しない。故に、図11(B)に示すように、粘着テープ7の幅突出部分が感熱テープ4の幅方向の端面以外に貼り合わされることがなくなり、貼り合わせテープ9の利便性が向上する。特に、粘着テープ7の幅Nが感熱テープ4の幅Kと厚さtを用いて式(1)で示される場合、感熱テープ4の幅方向の端面を全て覆うように粘着テープ7の幅突出部分を感熱テープ4に貼り合わせることができる。この場合、貼り合わせテープ9は感熱テープ4の幅方向の端面における水分の侵入、汚れの付着、擦り等に対する耐久性がさらに高くなる。
【0100】
テープカセット30はカセットケース31を有する。カセットケース31の内部には支持孔65、66が設けられる。支持孔65はテープスプール21を回転可能に支持する。支持孔66はテープスプール22を回転可能に支持する。テープスプール21には、感熱テープ4がテープスプール21の回転中心から離れる方向に向かって平面視で時計回り方向にテープスプール21に巻回される。テープスプール22には、粘着テープ7がテープスプール22の回転中心から離れる方向に向かって平面視で反時計回り方向にテープスプール22に巻回される。これにより、テープカセット30は、感熱テープ4の幅方向の端面における水分の侵入、汚れの付着、擦り等に対する耐久性が高い貼り合わせテープ9を提供できる。
【0101】
テープカセット30は粘着テープ7を複数の感熱層42を間にして基材41の第1面側から感熱テープ4に重ね合わせるように感熱テープ4に対して粘着テープ7を搬送する。この場合、ユーザは貼り合わせテープ9の基材41側から、感熱層42の色を見ることができる。さらに、貼り合わせテープ9は粘着テープ7により感熱テープ4の幅方向の端面における水分の侵入、汚れの付着、擦り等に対する耐久性が高くなり、基材41により貼り合わせテープ9の表面の耐久性も高くなる。
【0102】
第一搬送経路には、下規制部401B、381B、382B、363B、上規制部381A、382A、363A、規制部383、364が設けられる。これにより、感熱テープ4は第一搬送経路を搬送される場合に、テープカセット30内における感熱テープ4の幅方向となる上下方向への移動が規制される。第二搬送経路には、下規制部411Bが設けられる。下規制部411Bの突出端は、下規制部401Bの突出端よりも感熱テープ4の厚さtだけ低くなるように設定される。従って、粘着テープ7は、感熱テープ4に対して上下方向において互いの中心が一致するように、搬送ローラ56に搬送される。これにより、幅方向において感熱テープ4の両端部から粘着テープ7が突出した状態で、感熱テープ4と粘着テープ7とが貼り合わされる。故に、テープカセット30は耐久性が高い貼り合わせテープ9を提供できる。
【0103】
CPU81は印刷制御を行う(S3)。印刷制御では、CPU81は搬送モータ95を制御しながらサーマルヘッド10を制御する。詳細には、CPU81は感熱テープ4を搬送しながら、複数の発熱体11を選択的に発熱させる。このとき、感熱テープ4の複数の感熱層42はサーマルヘッド10によって加熱される。複数の感熱層42の各層は各層に応じた発色温度に加熱されることで各層に応じた色を発色する。CPU81は印刷された感熱テープ4に、粘着テープ7を貼り合わせる制御を行う(S4)。詳細には、CPU81は搬送モータ95を制御して、印刷された感熱テープ4および粘着テープ7を搬送する。搬送ローラ56と可動ローラ14との間で、印刷された感熱テープ4に粘着テープ7が貼り合わされる。これにより、印刷システムは、感熱テープ4の幅方向の端面における水分の侵入、汚れの付着、擦り等に対する耐久性が高い貼り合わせテープ9を提供できる。
【0104】
S4において、粘着テープ7は複数の感熱層42を間にして基材41の第1面側から感熱テープ4に重ね合わされる。これにより、感熱層42が基材41と粘着テープ7とに挟まれるので、印刷システムは厚み方向において水分の侵入、汚れの付着、擦り等に対する耐久性が高い貼り合わせテープ9を提供できる。
【0105】
CPU81は搬送制御を行う(S2)。搬送制御では、下規制部401B、411B、381B、382B、363B、上規制部381A、382A、363A、規制部384B、383、364により、上下方向において感熱テープ4の中心と粘着テープ7の中心とが一致するように位置合わせされながら、感熱テープ4および粘着テープ7が搬送される。この場合、幅方向において感熱テープ4の両端部から粘着テープ7が突出した状態で、感熱テープ4と粘着テープ7とが貼り合わされる。故に、印刷システムは耐久性が高い貼り合わせテープ9を提供できる。
【0106】
<対応記載>
上記実施形態において感熱テープ4が本発明の「感熱媒体」に相当する。粘着テープ7が本発明の「粘着媒体」に相当する。貼り合わせテープ9が本発明の「媒体」に相当する。基材41が本発明の「感熱媒体基材」に相当する。第三温度が本発明の「所定温度」に相当する。第三感熱層423が本発明の「第一発色層」「発色層」に相当する。基材72が本発明の「粘着媒体基材」に相当する。第一粘着層73、第二粘着層74が本発明の「粘着層」に相当する。第一感熱層421、第二感熱層422が本発明の「第二発色層」に相当する。テープカセット30が本発明の「カートリッジ」に相当する。カセットケース31が本発明の「ケース」に相当する。支持孔65が本発明の「第一保持部」に相当する。支持孔66が本発明の「第二保持部」に相当する。図14のS3の処理が本発明の「印刷工程」に相当する。図14のS6の処理が本発明の「貼り合わせ工程」に相当する。図14のS2で実行される搬送制御が本発明の「位置決め工程」に相当する。
【0107】
<第一変形例>
以下では、上記実施形態と同様の機能を有する構成には上記実施形態と同じ符号を付して説明を省略または簡略化する。図15に示すように、第一変形例はテープカセット30が用いられない点が上記実施形態と異なる。第一変形例では上記実施形態と同じ感熱テープ4および粘着テープ7が使用される。第一変形例では上記実施形態と同じサーマルプリンタ1(装着部8の構成を除く。)が使用される。第一変形例では上記実施形態と同じ制御(貼り合わせテープ作成処理)が行われる。
【0108】
装着部8には第一装着部811および第二装着部812が設けられる。第一装着部811は装着部8の右上部に位置する。第一装着部811には支持軸811Aが設けられる。支持軸811Aは上下方向に延び、テープスプール21の中に挿入される。支持軸811Aはテープスプール21を回転可能に支持する。これにより、第一装着部811には第一供給ロール40が装着される。
【0109】
第二装着部812は装着部8の左上部、つまり第一装着部811の左側に位置する。第二装着部812には支持軸812Aが設けられる。支持軸812Aは上下方向に延び、テープスプール22の中に挿入される。支持軸812Aは、テープスプール22を回転可能に支持する。これにより、第二装着部812には第二供給ロール70が装着される。
【0110】
サーマルヘッド10よりも搬送方向下流(左側)には搬送ローラ313が設けられる。搬送ローラ313は筒状であり、駆動軸18に装着される。搬送ローラ313は駆動軸18の駆動により回転する。可動ローラ14はプラテンホルダ12の揺動に伴って搬送ローラ313に相対して接離可能である。印刷位置では、可動ローラ14が感熱テープ4と粘着テープ7とを重ね合わせて搬送ローラ313に押圧する。
【0111】
感熱テープ4は第一供給ロール40の右端から下方に引き出され、装着部8の右前角部で左方に曲がる。感熱テープ4はヘッドホルダ19の前側を通る。ヘッドホルダ19の前側では、感熱テープ4の複数の感熱層42側がサーマルヘッド10に対向し、感熱テープ4の基材41側がプラテンローラ15に対向する。つまり、サーマルヘッド10は複数の感熱層42に対して基材41とは反対側(つまり、感熱テープ4の後側)に位置する。故に、感熱テープ4は基材41とは反対側からサーマルヘッド10によって加熱される。
【0112】
感熱テープ4はヘッドホルダ19の前側を経由して搬送ローラ313と可動ローラ14との間を通過する。このとき、感熱テープ4の複数の感熱層42側が搬送ローラ313に対向し、感熱テープ4の基材41側が可動ローラ14に対向する。
【0113】
粘着テープ7は第二供給ロール70の左端から下方に引き出される。粘着テープ7は搬送ローラ313の外周のうち右前部に接触しながら左方に曲がる。このとき、粘着テープ7の剥離紙75側が搬送ローラ313に対向し、粘着テープ7の両面粘着テープ71側が可動ローラ14に対向する。このため、搬送ローラ313は、複数の感熱層42に対して基材41とは反対側から粘着テープ7が感熱テープ4に重ね合わされた状態で、粘着テープ7に対して感熱テープ4とは反対側から粘着テープ7を支持する。
【0114】
可動ローラ14は、感熱テープ4と粘着テープ7とが重ね合わされた状態で、搬送ローラ313との間で挟んで感熱テープ4と粘着テープ7とを貼り合わせる。これにより、貼り合わせテープ9が作成される。
【0115】
第一変形例は、上記実施形態と同様に、貼り合わせテープ9は感熱テープ4の幅方向の端面における水分の侵入、汚れの付着、擦り等に対する耐久性が高くすることができる。
【0116】
<第二変形例>
図16に示すように、第二変形例の印刷システムはサーマルプリンタ1とテープカセット920、921とを含む。第二変形例は複数のテープカセット920、921が用いられ、第一供給ロール40および第二供給ロール70がそれぞれテープカセット920、921に収容されている点が上記実施形態と異なる。第二変形例では上記実施形態と同じ感熱テープ4および粘着テープ7が使用される。第二変形例では上記実施形態と同じサーマルプリンタ1(装着部8の構成を除く。)が使用される。第二変形例では上記実施形態と同じ制御(貼り合わせテープ作成処理)が行われる。
【0117】
装着部8には第一装着部821および第二装着部822が設けられる。第一装着部821は装着部8の右側略半分である。第一装着部821にはテープカセット920が着脱可能に装着される。第二装着部822は装着部8の左側略半分である。第二装着部822にはテープカセット321が着脱可能に装着される。
【0118】
テープカセット920は上記実施形態のテープカセット30を左右方向において第一供給ロール40と第二供給ロール70の間で二分割した場合における右側部分に対応する。テープカセット920はカセットケース930を有する。カセットケース330は略直方体状であり、下ケース932と上ケース(図示略)とが組み合わされることで構成される。カセットケース930の内部には第一供給ロール40が収容される。アーム部34はカセットケース930の前面930Aに設けられる。
【0119】
テープカセット921はテープカセット30を左右方向において第一供給ロール40と第二供給ロール70の間で二分割した場合における左側部分に対応する。テープカセット921はカセットケース940を有する。カセットケース940は略直方体状であり、下ケース942と上ケース(図示略)とが組み合わされることで構成される。カセットケース940の内部には第二供給ロール70が収容される。搬送ローラ56はカセットケース940の左前角部に設けられる。ヘッド挿入部39はアーム部34とカセットケース940の前面940Aとによって形成される。
【0120】
感熱テープ4は第一供給ロール40の右端から下方に引き出され、カセットケース930の右前角部で左方に曲がる。感熱テープ4はアーム部34の内部を通過し、開口部341からカセットケース930の外部へ出る。
【0121】
露出部77では、感熱テープ4の複数の感熱層42側がサーマルヘッド10に対向し、感熱テープ4の基材41側がプラテンローラ15に対向する。つまり、サーマルヘッド10はテープカセット320が第一装着部821に装着され、且つテープカセット321が第二装着部822に装着された状態で複数の感熱層42に対して基材41とは反対側(つまり、感熱テープ4の後側)に位置する。このため、露出部77において感熱テープ4は基材41とは反対側からサーマルヘッド10によって加熱される。
【0122】
感熱テープ4は露出部77を経由して搬送ローラ56と可動ローラ14との間を通過する。このとき、感熱テープ4の複数の感熱層42側が搬送ローラ56に対向し、感熱テープ4の基材41側が可動ローラ14に対向する。
【0123】
粘着テープ7は第二供給ロール70の左端から下方に引き出される。粘着テープ7は搬送ローラ56の外周のうち右前部に接触しながら左方に曲がる。このとき、粘着テープ7の剥離紙75側が搬送ローラ56に対向し、粘着テープ7の両面粘着テープ71側が可動ローラ14に対向する。このため、搬送ローラ56は、複数の感熱層42に対して基材41とは反対側から粘着テープ7が感熱テープ4に重ね合わされた状態で、粘着テープ7に対して感熱テープ4とは反対側から粘着テープ7を支持する。
【0124】
可動ローラ14は、感熱テープ4と粘着テープ7とが重ね合わされた状態で、搬送ローラ56との間で挟んで感熱テープ4と粘着テープ7とを貼り合わせる。これにより、貼り合わせテープ9が作成される。貼り合わせテープ9は案内部59の内側を通過してカセットケース340の外部に排出される。
【0125】
第二変形例は、上記実施形態と同様に、貼り合わせテープ9は感熱テープ4の幅方向の端面における水分の侵入、汚れの付着、擦り等に対する耐久性が高くすることができる。
【0126】
<第三変形例>
図17に示すように、第三変形例の印刷システムはサーマルプリンタ1とテープカセット30とを含む。第三変形例は粘着テープ7に代わり粘着テープ701が第二供給ロールとしてテープカセット30に収容されている点が上記実施形態と異なる。粘着テープ701は白色の基材72に代わり透明の基材721を含んで構成され、第二粘着層74および剥離紙75を含まない。また、感熱テープ4の代わりに、感熱テープの基材41に、別の粘着テープ601が予め貼り合わされ第一供給ロールとしてテープカセット30に収容される。
【0127】
粘着テープ601は長尺状の媒体であり、シート620と第一粘着層630と第二粘着層640と剥離紙650とを備える。粘着テープ601の幅方向の大きさはKであり、その他の構成は上記実施形態の粘着テープ7と同様である。即ち、第一粘着層630は上記実施形態の第一粘着層73に相当し、第二粘着層640は上記実施形態の第二粘着層74に相当し、剥離紙650は上記実施形態の剥離紙75に相当し、剥離紙650に設けられる切れ目660は上記実施形態の切れ目76に相当する。
【0128】
第三変形例では上記実施形態と同じサーマルプリンタ1が使用される。第三変形例では上記実施形態と同じテープカセット30が使用される。第三変形例では上記実施形態と同じ制御(貼り合わせテープ作成処理)が行われる。
【0129】
第三変形例では上記実施形態と同様にして、図17に示す貼り合わせテープ901が作成される。すなわち、粘着テープ701と別の粘着テープ601とが感熱テープ4を厚み方向で挟み込んだ貼り合わせテープ901が作成される。基材721が透明であるので、ユーザは貼り合わせテープ901の粘着テープ701側(つまり、基材41の第1面側)から感熱層42の発色を視覚できる(目視方向Y3参照)。また、貼り合わせテープ901が被着体に貼付される状態で、粘着テープ701は上面から覆うため、感熱テープ4の幅方向の端面における水分の侵入、汚れの付着、擦り等に対する耐久性を高くすることができる。
【0130】
<第四変形例>
図18に示すように、第四変形例の印刷システムはサーマルプリンタ1とテープカセット30とを含む。第四変形例は粘着テープ7に代わり粘着テープ702がテープカセット30に収容されている点が上記実施形態と異なる。粘着テープ702の幅Mは粘着テープ7の幅Nよりも大きい。より具体的には、粘着テープ702の幅Mは感熱テープ4の幅Kと厚さtに対して、式(3)の関係を充たす。
K+2t<M ・・・(3)
粘着テープ702は基材722と第一粘着層73とを備える。基材722は透明であり、その他の構成は上記実施形態の基材72と同様である。
【0131】
第四変形例では上記実施形態と同じサーマルプリンタ1が使用される。第四変形例では上記実施形態と同じテープカセット30が使用される。第四変形例では上記実施形態と同じ制御(貼り合わせテープ作成処理)が行われる。
【0132】
第四変形例では上記実施形態と同様にして、図18(A)に示す貼り合わせテープ902が作成される。ここで、第四変形例では粘着テープ7の幅突出部分の長さが感熱テープ4の厚さtよりも長くなるように、感熱テープ4と粘着テープ702とを貼り合わせることができる。この場合、粘着テープ702の幅突出部分は、厚み方向において感熱テープ4の端部から突出する。これにより、図18(B)に示すように、厚み方向における感熱テープ4の端部から突出した粘着テープ702を感熱テープ4に貼り合わせることができる。故に、粘着テープ702の幅突出部分が感熱テープ4を覆う部分が更に多くなる。よって、貼り合わせテープ902は感熱テープ4の水分の侵入、汚れの付着、擦り等に対する耐久性がさらに高くなる。
【0133】
なお、変形例は、例えば貼り合わせテープ9の完成後、貼り合わせテープ9の下面(基材722のうち第一粘着層73とは反対側の面)にユーザが粘着剤を塗布してもよい。また、粘着テープ702は自己粘着性を有していてもよい。
【0134】
<第五変形例>
図19に示すように、第五変形例の印刷システムはサーマルプリンタ1とテープカセット30とを含む。第五変形例は粘着テープ7に代わり粘着テープ703がテープカセット30に収容されている点が上記実施形態と異なる。粘着テープ703は第一粘着層73に代わり可撓性を有する厚さsの第一粘着層733を含んで構成される両面粘着テープ713を備える点が上記実施形態と異なる。第五変形例では上記実施形態と同じサーマルプリンタ1が使用される。第五変形例では上記実施形態と同じテープカセット30が使用される。第五変形例では上記実施形態と同じ制御(貼り合わせテープ作成処理)が行われる。
【0135】
第五変形例では上記実施形態と同様にして、図19(A)に示す貼り合わせテープ903が作成される。第五変形例は、第一粘着層733が可撓性を有するので、図19(B)に示すように、感熱テープ4が粘着テープ7に対して沈み込んだ状態で、感熱テープ4と粘着テープ7とを貼り合わせることができる。感熱テープ4が粘着テープ7に対して沈み込むので、厚み方向において感熱テープ4と基材72とに挟まれる第一粘着層733の厚さはrとなる。感熱テープ4が厚み方向に沈み込んだ分(厚さsと厚さrの差分)だけ感熱テープ4の幅方向の端面は粘着テープ7に覆われる。故に、貼り合わせテープ903は感熱テープ4の水分の侵入、汚れの付着、擦り等に対する耐久性がさらに高くなる。
【0136】
<その他の変形例>
本発明は第一~第三変形例に加え、上記実施形態から種々の変更が可能である。例えば上記実施形態において基材41は発泡PETフィルムでもよい。基材41は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMMA)、ポリブテン(PB)、ポリブタジエン(BDR)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン(NY)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、発泡ポリスチレン(FS/EPS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、普通セロハン(PT)、防湿セロハン(MST)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ビニロン(VL)、ポリウレタン(PU)、およびトリアセチルセルロース(TAC)等の樹脂フィルムであってもよい。この場合、基材41は発泡樹脂フィルムでもよいし、無発泡樹脂フィルムでもよい。
【0137】
基材41が発泡樹脂フィルムで構成されている場合、発泡樹脂の熱伝導率は、無発泡の同じ樹脂の熱伝導率よりも小さいので、本実施形態は簡易な構成で基材41の熱伝導性を低くできる。基材41の熱伝導性が低い場合、サーマルプリンタ1による印刷時には、感熱層42側から感熱テープ4に入力された熱が、基材41へと拡散しにくい。よって、本実施形態は感熱層42を発色させるために感熱テープ4に入力する熱量を簡易な構成で少なくできる。すなわち、本実施形態は基材41に発泡樹脂フィルムを用いることで、熱伝導性を低くするために特殊な材料を基材41に用いることなく、感熱層42を発色させるために感熱テープ4に入力する熱量を少なくできる。
【0138】
サーマルプリンタ1による印刷後、感熱テープ4に粘着テープ7が貼り合わされると、基材41は感熱層42を保護するラミネート部材として機能する。基材41の熱伝導率が低ければ、熱伝導率の高い素材を使う場合に比べて、基材41は基材41側から入力される熱に対して感熱層42の不要な変色を防ぐことができる。
【0139】
基材41が無発泡樹脂フィルムで構成されている場合、発泡樹脂フィルムの場合よりも基材41の可視光透過率が高くなりやすい。よって、貼り合わせテープ9は印刷された画像をユーザに綺麗に見せることができる。
【0140】
基材41は、用途に応じた程度の透明性があれば、金属箔(アルミニウム箔、銅箔)、真空蒸着フィルム(VM)等であってもよいし、半透明紙、和紙、上質紙、無塵紙、グラシン紙、クレーコート紙、樹脂コート紙、ラミネート紙(ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙等)、合成紙、クラフト紙等の各種紙でもよい。基材41は、不織布、ガラスクロス等でもよい。
【0141】
オーバーコート層44は例えば遮熱層43と同じ材質であってもよい。つまり、上記実施形態において第三遮熱層(図示略)がオーバーコート層44として設けられてもよい。オーバーコート層44は省略されてもよい。この場合、サーマルヘッド10から複数の感熱層42への熱伝達性が高くなる。よって、サーマルプリンタ1はサーマルヘッド10による加熱時間を短縮化できる。サーマルプリンタ1はオーバーコート層44にかかるコストを削減できる。
【0142】
上記実施形態では感熱テープ4が複数の感熱層42を有する。これに対し、感熱テープ4は1つの感熱層のみを有していてもよい。この場合、例えば基材41、第一感熱層421、第一遮熱層431、およびオーバーコート層44は、この順に並んで積層される。印刷後に切れ目76を有する粘着テープ7が感熱テープ4に対して基材41とは反対側から貼り合わされる。このため、テープカセット30は切れ目76による印刷品質の劣化を抑制できる。つまり、印刷された感熱テープ4に後から粘着テープ7が貼り合わされるので、テープカセット30は複数の感熱層42を有する感熱テープ4の場合のみならず、1つの感熱層を有する感熱テープ4であっても上記ホワイトライン現象の発生を抑制できる。
【0143】
なお、感熱テープ4が1つの感熱層を有する場合、第一遮熱層431およびオーバーコート層44の両方とも省略されてもよい。この場合、基材41の上面に薬品が塗布されることで上記1つの感熱層が形成されてもよい。
【0144】
上記実施形態において複数の感熱層42は2層で構成されてもよい。つまり、第三感熱層423は省略されてもよい。この場合、第二遮熱層432も省略されてもよい。この場合、第一遮熱層431の下面に薬品が塗布されることで第一感熱層421が形成され、第一遮熱層431の上面に薬品が塗布されることで第二感熱層422が形成されてもよい。つまり、感熱テープ4には少なくとも1つの遮熱層が設けられていればよい。
【0145】
上記実施形態において複数の感熱層42は4層以上で構成されてもよい。例えば第三感熱層423に対して第二感熱層422とは反対側に第四感熱層(図示略)が設けられてもよい。この場合、第四感熱層は例えば第四温度を超えた場合に第四色に発色する。第四温度は第三温度よりも高い。第四色は例えばブラックである。この場合、厚み方向において第三感熱層423と第四感熱層との間には第三遮熱層(図示略)が設けられる。
【0146】
上記実施形態において第一色、第二色、および第三色はそれぞれシアン、マゼンタ、およびイエロー以外の色でもよく、例えばそれぞれ同じ色でもよい。貼り合わせテープ9は同じ色の層を複数重ね合わせることで、形成された画像の奥行きを表現できる。
【0147】
上記実施形態において複数の感熱層42はそれぞれ複数の遮熱層43の上面に薬品が塗布されることで形成されてもよい。複数の感熱層42はあらかじめシート状に形成され、複数の遮熱層43に接着されてもよい。
【0148】
第一粘着層73および第二粘着層74の少なくとも一方が着色されていてもよいし、不透明であってもよい。両面粘着テープ71が透明または半透明の場合(つまり透明性を有する場合)、例えば貼り合わせテープ9が所定の壁に貼り付けられると、貼り付けられた壁が背景となる。このため、ユーザは貼り合わせテープ9を貼り付ける壁に応じて背景を自由に変更できる。
【0149】
上記実施形態において粘着テープ7は基材72と第一粘着層73とで構成されてもよい。この場合、例えば貼り合わせテープ9の完成後、基材72のうち第一粘着層73とは反対側の面(つまり、外に露出する面)にユーザが粘着剤を塗布してもよい。粘着テープ7は自己粘着性を有していてもよい。粘着テープ7の厚みが小さい場合、テープカセット30は第二供給ロール70の大きさを小型化できる。よって、テープカセット30はカセットケース31を小型化できる。
【0150】
上記実施形態において切れ目76は直線でなくてもよく、例えば波線等でもよい。切れ目76は1本でなくてもよく、複数本の切れ目76が幅方向に並んで剥離紙75に設けられていてもよい。例えば長手方向に所定の間隔を空けて複数本の切れ目76が幅方向に延びてもよいし、幅方向および長手方向に対して斜めに延びていてもよい。
【0151】
上記実施形態においてカセットケース31には第一供給ロール40に代えて第一供給ファンホールドが収容されてもよい。つまり、第一供給ファンホールドは、感熱テープ4が折り畳まれた状態で感熱テープ4の供給部としてカセットケース31に収容されていてもよい。カセットケース31には第二供給ロール70に代えて第二供給ファンホールドが収容されてもよい。つまり、第二供給ファンホールドは、粘着テープ7が折り畳まれた状態で粘着テープ7の供給部としてカセットケース31に収容されていてもよい。
【0152】
上記実施形態において第一供給ロール40はテープスプール21が省略された、いわゆるコアレスタイプであってもよい。第二供給ロール70はテープスプール22が省略された、いわゆるコアレスタイプであってもよい。
【0153】
上記実施形態において搬送ローラ56はサーマルプリンタ1側に設けられていてもよい。つまり、搬送ローラ56は駆動軸18にあらかじめ装着されていてもよい。印刷された感熱テープ4および粘着テープ7はサーマルプリンタ1側の部材(駆動軸18にあらかじめ装着されている搬送ローラ56および可動ローラ14)によって互いに貼り合わされてもよい。
【0154】
上記実施形態においてS1の処理はサーマルプリンタ1に接続された外部機器(パーソナルコンピュータ、スマートフォン等)で実行されてもよい。また、S4の処理は省略されてもよい。例えば貼り合わせテープ9の切断はユーザによって手動で行われてもよい。切断機構16は切断位置において粘着テープ7を長手方向に一続きに繋げたまま、貼り合わせテープ9のうち感熱テープ4を厚み方向に全部切断する、いわゆるハーフカットを実行できてもよい。
【0155】
ユーザが手作業で、印刷された感熱テープ4と粘着テープ7とを貼り合わせてもよい。この場合、サーマルプリンタ1には感熱テープ4と粘着テープ7とを貼り合わせる機構が設けられていなくてもよい。カセットケース31の上面、底面、側面の一部は省略されてもよい。搬送ローラ56は回転不能であってもよく、例えば固定された円柱体、板状体等であってもよい。この場合、例えば搬送モータ95の駆動力は可動ローラ14に伝達されてもよい。
【0156】
CPU81の代わりにマイクロコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等がプロセッサとして用いられてもよい。貼り合わせテープ作成処理は複数のプロセッサによって分散処理されてもよい。非一時的な記憶媒体は情報を記憶する期間に関わらず、情報を留めておくことが可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。プログラムは例えばネットワークに接続されたサーバからダウンロードされて(すなわち、伝送信号として送信され)、フラッシュメモリ82に記憶されてもよい。この場合、プログラムはサーバに備えられたハードディスクドライブ等の非一時的な記憶媒体に保存されていればよい。なお、上述した変形例は矛盾が生じない限り、互いに組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0157】
1 サーマルプリンタ
4 感熱テープ
7 粘着テープ
9 貼り合わせテープ
10 サーマルヘッド
11 発熱体
30 テープカセット
31 カセットケース
65、66 支持孔
41、72 基材
42 感熱層
71 両面粘着テープ
73 第一粘着層
74 第二粘着層
81 CPU
421 第一感熱層
422 第二感熱層
423 第三感熱層
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