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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104049
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】開閉装置用の安全装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/36 20060101AFI20220701BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20220701BHJP
   E05F 5/02 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
E06B7/36 F
E06B7/36 H
E06B3/46
E05F5/02 B
E05F5/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219033
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】安部 光太郎
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014AA03
2E014FA00
2E014FA05
(57)【要約】
【課題】小型で且つ低コストを実現できる開閉装置用の安全装置を提供すること。
【解決手段】開閉装置1用の安全装置10は、戸体30の開閉移動により開口部20aを開閉可能な開閉装置1用の安全装置10であって、戸体30の開閉移動の移動速度を減速させる減速装置80と、減速装置80により減速された戸体30の開閉動作を一旦停止させるストッパ装置50と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸体の開閉移動により開口部を開閉可能な開閉装置用の安全装置であって、
前記戸体の開閉移動の移動速度を減速させる減速装置と、
前記減速装置により減速された前記戸体の開閉動作を一旦停止させるストッパ装置と、を備える開閉装置用の安全装置。
【請求項2】
前記ストッパ装置は、前記戸体が第1速度以上の移動速度で前記減速装置に向けて移動された場合に、前記戸体の荷重を受け止めて前記減速装置により前記戸体の移動速度を減速させ、前記戸体が第1速度よりも遅い移動速度で前記減速装置に向けて移動された場合に、前記減速装置により前記戸体の移動速度を減速させない、請求項1に記載の開閉装置用の安全装置。
【請求項3】
前記ストッパ装置は、前記減速装置により減速された前記戸体が第2速度以上の移動速度で移動された場合に、前記戸体の開閉動作を一旦停止させ、前記減速装置により減速された前記戸体が前記第2速度よりも遅い移動速度で移動された場合に、前記戸体の開閉動作を停止させない、請求項1又は2に記載の開閉装置用の安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、開閉装置用の安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、減速装置を備える開閉装置用の安全装置が知られている(特許文献1参照)。減速装置は、戸体の開閉移動の移動速度を減速させることで、戸体と枠体との間に指が挟まれることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-52429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、大型化した戸体により開閉動作が行われたり、速いスピードで戸体の開閉動作が行われる場合には、戸体の大きな荷重や速いスピードに対応可能な大型化した減速装置が必要となる。この場合、減速装置が大型化することで、減速装置を設置する場所に制約が生じたり、減速装置を設置するためのコストや大型化するためのコストが高くなるという問題があった。そのため、コストを低減しつつ、小型化できる開閉装置用の安全装置が望まれている。
【0005】
本開示は、小型で且つ低コストを実現できる開閉装置用の安全装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、戸体の開閉移動により開口部を開閉可能な開閉装置用の安全装置であって、前記戸体の開閉移動の移動速度を減速させる減速装置と、前記減速装置により減速された前記戸体の開閉動作を一旦停止させるストッパ装置と、を備える開閉装置用の安全装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る開閉装置を室外側から見た場合の正面図である。
図2】実施形態の安全装置を室外側から見た図である。
図3】実施形態の安全装置を上方側から見た図である。
図4】実施形態の安全装置を斜め上方側から見た斜視図である。
図5】実施形態の安全装置を使用した場合の内障子の動作例を示す概念図である。
図6】実施形態の安全装置において、内障子が第1速度よりも遅い速度で移動した場合の動作を説明する図である。
図7】実施形態の安全装置において、減速装置により減速されたアーム板の先端部が、途中で下方に移動した動作を説明する図である。
図8】実施形態の安全装置において、減速装置により減速されたアーム板の先端部が、ストッパ部により、内障子が一旦停止する動作を説明する図である。
図9】実施形態の安全装置において、操作アーム部が戻り移動経路を戻る動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に配置された枠体20の開口部20aに納められた障子におけるガラスの面方向を意味し、「見込方向」とは、上記ガラスの厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。図面において、室外側を「OUTSIDE」と記載し、室内側を「INSIDE」と記載する。
【0009】
本実施形態の開閉装置1は、いわゆる引き違い窓であり、図1に示すように、枠体20と、枠体20内に開閉可能に嵌め込まれた内障子30(戸体)及び外障子40と、安全装置10と、を備える。開閉装置1は、内障子30及び外障子40の左右方向Xへの開閉移動により開口部20aを開閉可能である。安全装置10は、開閉装置1用である。
【0010】
枠体20は、上枠21、下枠22および左右の縦枠23,24により矩形に枠組みされている。
【0011】
上枠21は、長尺状に形成され、枠体20の上部において見付方向に延びる。上枠21は、下方に向けて開放して形成される。下枠22は、長尺状に形成され、枠体20の下部において見付方向に延びる。下枠22は、上方に向けて開放して形成される。
【0012】
左右の縦枠23,24は、上枠21及び下枠22の見付方向の両端部において上下方向に延びる。左右の縦枠23,24は、長尺状に形成され、枠体20の側部を構成する。
【0013】
内障子30および外障子40は、いずれも引き戸であり、これらを見付方向にスライドさせることで、枠体20の開口部20aが開放又は閉鎖される、いわゆる引き違い窓を構成する。
【0014】
内障子30は、図1に示すように、いずれも長尺状の上框31、下框32および左右の縦框である召内框33,戸先框34により矩形に枠組みされた框体35と、框体35内に嵌め込まれて固定されたガラス36と、を含んで構成される。
【0015】
外障子40は、図1に示すように、いずれも長尺状の上框41、下框42および左右の縦框である召外框43,戸先框44により矩形に枠組みされた框体45と、框体45内に嵌め込まれて固定されたガラス46と、を含んで構成される。
【0016】
安全装置10について説明する。本実施形態においては、開閉装置1において、図1の左右方向を左右方向Xという。開閉装置1の左右方向Xは、内障子30の横方向でもある。開閉装置1の左右方向Xにおける一方側(図1における左側)をX1側といい、左右方向Xにおける他方側(図1における右側)をX2側という。また、上下方向を上下方向Zという。また、内障子30を枠体20のX2側(図1における右側)において閉める方向(X1側からX2側に移動される方向)を第1移動方向D1といい、内障子30を枠体20のX2側(図1の右側)において開ける方向(X2側からX1側に移動される方向)を第2移動方向D2という。
【0017】
安全装置10は、指挟み防止機構を備えている。安全装置10は、ストッパ装置50と、減速装置80と、を備える。ストッパ装置50は、図1図4に示すように、ストッパ装置本体60と、操作アーム部70と、を備える。ストッパ装置本体60は、枠体20の上枠21の左右方向XのX2側の端部側に固定されることで、開口部20aの左右方向XのX2側の上部に固定される。操作アーム部70は、内障子30の上框31の左右方向XのX2側に固定されることで、内障子30の左右方向XのX2側の上部に固定される。
【0018】
操作アーム部70は、図1及び図2に示すように、内障子30が第1移動方向D1に移動されることで、ストッパ装置本体60に導入される。内障子30が第1速度V1よりも速い速度で閉められた場合に、安全装置10が指挟み防止機構を備えているため、内障子30が枠体20の縦枠24に衝突することを防止できる。
【0019】
例えば、ストッパ装置50は、内障子30が第1速度V1よりも遅い移動速度で減速装置80に向けて移動された場合に、図5に示す内障子30の動作例E1の動作のように、減速装置80により内障子30の移動速度を減速させない。例えば、ストッパ装置50は、内障子30が第1速度V1以上の移動速度で減速装置80に向けて移動された場合に、図5に示す内障子30の動作例E2、E3のように、内障子30の荷重を受け止めて、減速装置80により内障子30の移動速度を減速させる。
【0020】
また、例えば、ストッパ装置50は、減速装置80により減速された内障子30が第2速度V2以上の移動速度で移動された場合に、図5に示す内障子30の動作例E3のように、内障子30の開閉動作を一旦停止させる。例えば、ストッパ装置50は、減速装置80により減速された内障子30が第2速度V2よりも遅い移動速度で移動された場合に、図5に示す内障子30の動作例E2のように、内障子30の開閉動作を停止させない。
【0021】
ストッパ装置本体60は、図2図4に示すように、ベース部材61と、傾斜ガイド部62と、経路延在板63と、受け止め部64と、ストッパ部66と、を有する。また、ストッパ装置本体60は、操作アーム部70のアーム板72の先端部721が移動する移動経路として、第1移動経路K1(上流側経路)と、落下誘導連通部65(誘導部)と、第2移動経路K2(下流側経路)と、戻り移動経路K3(戻り経路)と、を有する。
【0022】
ベース部材61は、上面板611と、側面板612と、を有する。上面板611は、見込方向に幅を有して左右方向Xに延びて形成され、上枠21に固定される。側面板612は、上面板611の見込方向の室内側の端部から下方に延びる。
【0023】
第1移動経路K1は、傾斜ガイド部62の上面側、及び、経路延在板63の上面側を通り、受け止め部64までの経路である。第1移動経路K1は、アーム板72の先端部721(移動部)が受け止め部64に向かう場合に、アーム板72の先端部721が第1移動方向D1に移動されることが可能な経路である。
【0024】
第2移動経路K2(下流側経路)は、第1移動経路K1の左右方向XのX2側の端部の下部に形成された落下誘導連通部65を介して、第1移動経路K1の左右方向XのX2側の端部の下方に連通して形成され、第1移動経路K1の左右方向XのX2側の端部の下方から、左右方向XのX2側に延びる。第2移動経路K2は、落下誘導連通部65により誘導された操作アーム部70のアーム板72の先端部721が第1移動方向D1に移動されることが可能な経路である。
【0025】
戻り移動経路K3は、第2移動経路K2における第1移動方向D1側の端部と反対の端部側から第1移動経路K1側に延びて形成され、第1移動経路K1の上流側に合流する経路である。戻り移動経路K3は、左右方向XのX2側からX1側に水平方向に延びており、経路延在板63の下方側、及び、傾斜ガイド部62の下方側を通り、第1移動経路K1の上流側に合流する経路である。
【0026】
傾斜ガイド部62は、左右方向XのX1側からX2側に向かうに従って下方側から上方側に向かうように傾斜する板状に形成される。傾斜ガイド部62は、左右方向XのX2側の基端が、見込方向に延びる回転軸J3を中心に回転可能に、経路延在板63の左右方向XのX1側の端部に接続される。傾斜ガイド部62は、下方側への回転角度が所定角度で規制された状態で、回転軸J3を中心に回転可能である。
【0027】
傾斜ガイド部62は、第1移動経路K1と戻り移動経路K3とが合流する部分に配置され、操作アーム部70の先端側ピン73が第1移動経路K1を移動する場合に戻り移動経路K3を閉鎖して第1移動経路K1を形成し、先端側ピン73が戻り移動経路K3から第1移動経路K1に移動する場合に、先端側ピン73が下方から押し上げることで閉位置から回転軸J3を中心に上方側に回転して、先端側ピン73が戻り移動経路K3から第1移動経路K1へ移動する経路を開放する。これにより、傾斜ガイド部62は、アーム板72が戻り移動経路K3を戻る際に、戻り移動経路K3の左右方向XのX1側が開閉されることで、戻り移動経路K3を開閉する開閉部として機能する。
【0028】
経路延在板63は、傾斜ガイド部62の左右方向XのX2側の端部からX2側に延びる平面板状に形成される。経路延在板63の見込方向の室外側の端部は、傾斜ガイド部62の見込方向の室外側の端部と同じ位置に位置する。
【0029】
受け止め部64は、第1移動経路K1の左右方向XのX2側の端部に配置される。受け止め部64の左右方向XのX2側の面には、減速装置80が接続されている。
【0030】
受け止め部64は、内障子30が第1速度V1以上の移動速度で移動された場合に、アーム板72の先端部721の荷重を受け止めて、内障子30の移動速度を減速装置80により減速させる。内障子30が第1速度V1よりも遅い速度で移動された場合には、アーム板72の先端部721は、受け止め部64の手前において、受け止め部64に接触せずに又は接触して、先端側ピン73が第2移動経路K2に連通する落下誘導連通部65(誘導部)により誘導されることで、落下誘導連通部65(誘導部)により、下方(交差方向)に誘導される。
【0031】
受け止め部64は、上下方向Z及び見込方向に延びる板状の衝突板641と、規制部642と、を有する。
【0032】
衝突板641は、ベース部材61の上面板611の下方において、ベース部材61に固定される。衝突板641は、見込方向に延びる板状に形成される。衝突板641の見込方向の幅は、傾斜ガイド部62の見込方向の幅よりも長く形成され、傾斜ガイド部62よりも室外側まで延びる。
【0033】
衝突板641は、左右方向XのX1側を向く衝突面を有する。衝突板641におけるアーム板72の先端部721が衝突する部分は、衝突部641aを構成する。衝突部641aは、受け止め部64の衝突部641aにアーム板72の先端部721が衝突した場合に、受け止め部64の衝突部641aにおけるアーム板72の先端部721が衝突した際の荷重が作用する部分である。
【0034】
規制部642は、衝突板641の手前側の上部に設けられる。本実施形態においては、規制部642は、ベース部材61の上面板611の下面により構成される。規制部642は、先端側ピン73が上方側へ移動されることを規制することで、アーム板72の先端部721が上方側へ移動することを規制する。
【0035】
衝突板641の左右方向XのX1側の手前の下部には、第2移動経路K2に連通する落下誘導連通部65(誘導部)が形成されている。落下誘導連通部65は、衝突板641の下端部と経路延在板63の左右方向のX2側の端部との間の隙間により構成される。
【0036】
落下誘導連通部65は、内障子30が第1速度V1よりも遅い速度で移動された場合に、内障子30が停止せずに、受け止め部64の手前において、先端側ピン73を下方に誘導することで、アーム板72の先端部721を下方(交差方向)に誘導する。内障子30が停止せずに閉められる第1速度V1よりも遅い速度とは、例えば、内障子30を閉める際に内障子30が勢いよく閉まる速度よりも遅い速度を意味する。
【0037】
内障子30が第1速度V1以上の速度で移動された場合には、受け止め部64により受け止められたアーム板72の先端部721が減速装置80(後述)により減速されることで、内障子30の速度が減速される。内障子30が第1速度V1以上の速度で移動されて受け止め部64により受け止められたアーム板72の先端部721の速度は、内障子30の第1移動方向D1の移動距離に応じて、減速装置80により、第1速度V1以上の速度から徐々に減速される。
【0038】
落下誘導連通部65は、減速装置80により減速されたアーム板72の先端部721が第2速度V2以上の移動速度で移動された場合に、アーム板72の先端部721が受け止め部64に受け止めれた後にアーム板72の先端部721を下方(交差方向)に誘導し、内障子30が第2速度V2よりも遅い速度で移動された場合に、内障子30の開閉動作を停止させずに受け止め部64の手前においてアーム板72の先端部721を下方(交差方向)に誘導する。
【0039】
落下誘導連通部65の隙間の左右方向Xの長さLは、先端側ピン73が通過可能な長さであって、内障子30が第1速度V1以上又は第2速度V2以上の速度で第1移動方向D1に移動して先端側ピン73がストッパ装置本体60に導入された場合に、先端側ピン73が、落下誘導連通部65の隙間から落下する前に、アーム板72の先端部721が衝突板641に衝突することが可能な長さに設定できる。
【0040】
減速装置80は、受け止め部64の左右方向XのX2側の面に接続される。減速装置80は、受け止め部64により受け止められたアーム板72の先端部721の移動速度を減速させることで、内障子30の開閉移動の移動速度を減速させる。減速装置80は、減速装置本体81と、左右方向Xに延びるピストン82と、を有する。減速装置本体81は、内部にオイルダンパー機構(図示せず)を有する。減速装置本体81のオイルダンパー機構は、ピストン82が左右方向Xに進退した場合に、内部に収容される作動オイルの抵抗によりピストン82に作用する力を減衰させる。
【0041】
ピストン82の左右方向XのX1側の端部は、受け止め部64の左右方向XのX2側の面に接続されている。ピストン82の左右方向XのX2側の端部側は、減速装置本体81に支持されている。ピストン82は、減速装置本体81に対して左右方向Zに進退可能である。
【0042】
減速装置本体81の左右方向XのX1側の端部には、ストッパ装置本体60のストッパ部66が設けられている。ストッパ部66は、減速装置80により減速されたアーム板72の先端部721が受け止め部64に受け止められた状態で所定位置まで移動された場合に、内障子30の開閉動作を一旦停止させるように受け止め部64の移動を規制する。
【0043】
ストッパ部66は、受け止め部64が、減速装置80のピストン82が進退して最も減速装置80側に移動した場合に、受け止め部64の左右方向のX2側の面が衝突する。ストッパ部66は、受け止め部64がストッパ部66に衝突した場合に、内障子30と枠体20の縦枠24との間に、指挟みを防止できる距離を空けることができる位置に配置される。これにより、アーム板72の先端部721を受け止めた受け止め部64の左右方向Xの移動がストッパ部66により規制されるため、内障子30が枠体20の縦枠24に衝突することを防止できる。
【0044】
以上のように、受け止め部64の左右方向XのX2側には、減速装置80が接続されている。そのため、操作アーム部70のアーム板72の先端部721が受け止め部64の衝突板641の衝突部641aに受け止められた状態で、内障子30は、減速装置80により減速される。
【0045】
そして、内障子30が減速装置80により減速されている状態において、受け止め部64がストッパ部66に到達する前に、内障子30が第2速度V2よりも遅い速度に減速された場合には、落下誘導連通部65は、内障子30の開閉動作を停止させずに受け止め部64の手前においてアーム板72の先端部721を下方(交差方向)に誘導する。
【0046】
また、内障子30が減速装置80により減速されている状態において、受け止め部64がストッパ部66に到達するまで、内障子30が第2速度V2以上の速度である場合には、落下誘導連通部65は、受け止め部64がストッパ部66に衝突して内障子30の開閉動作を一旦停止させた後に先端側ピン73を下方に誘導することで、アーム板72の先端部721を下方(交差方向)に誘導する。
【0047】
減速装置80により減速された内障子30が一旦停止する第2速度V2以上は、仮に減速装置80において内障子30が減速されていない場合に、内障子30が勢いよく閉まる速度以上を意味する。本実施形態においては、減速装置80おいて内障子30が減速されても第2速度V2以上の速度である場合には、受け止め部64がストッパ部66に衝突することで、内障子30が枠体20の縦枠24に勢いよく衝突することが抑制されて、内障子30は一旦停止する。
【0048】
一方、減速装置80により減速された内障子30が停止せずに閉められる第2速度V2よりも遅い速度とは、例えば、内障子30を閉める際に内障子30が勢いよく閉まる速度よりも遅い速度を意味する。
【0049】
操作アーム部70は、図1に示すように、内障子30の上框31の左右方向XのX2側に配置される。操作アーム部70は、内障子30が左右方向XのX2側において閉まる側に移動された場合に、ストッパ装置本体60に導入される。操作アーム部70は、図2図4に示すように、操作側ベース部材71と、アーム板72(アーム部材)と、先端側ピン73(ガイド部)と、を有する。
【0050】
操作側ベース部材71は、図2図4に示すように、左右方向Xに延びて形成される。操作側ベース部材71は、傾斜ガイド部62よりも室外側にずれた位置に配置され、内障子30が左右方向Xに移動されることで、ストッパ装置本体60の傾斜ガイド部62に沿って左右方向Xに移動する。
【0051】
操作側ベース部材71は、下面板711と、第1側面板712と、第2側面板713と、を有する。下面板711は、見込方向に幅を有して左右方向Xに延びて形成される。下面板711は、見込方向に幅を有して左右方向Xに延びて形成される。
【0052】
第1側面板712は、下面板711の見込方向の室内側の端部から上方に立ち上がる。第2側面板713は、下面板711の見込方向の室外側の端部から上方に立ち上がる。
【0053】
アーム板72は、長尺の板状に形成され、操作側ベース部材71に取り付けられる。アーム板72は、傾斜ガイド部62よりも室外側にずれた位置において操作側ベース部材71に取り付けられ、内障子30が左右方向Xに移動されることで、ストッパ装置本体60の傾斜ガイド部62に沿って左右方向Xに移動する。アーム板72は、操作アーム部70がストッパ装置本体60に導入される前の状態において、左右方向Xに延びる。
【0054】
アーム板72は、回転軸J1を中心に回転可能に構成される。回転軸J1は、図2に示すように、回転軸J1方向に見た場合に、受け止め部64の衝突板641の衝突部641aよりも下方に配置される。衝突部641aは、アーム板72の先端部721が衝突する部分であり、受け止め部64の衝突板641において、アーム板72の先端部721が衝突した際の荷重が作用する部分である。
【0055】
アーム板72の基端側は、回転軸J1を中心に回転可能に操作側ベース部材71の左右方向のX1側に接続される。アーム板72の先端には、先端部721(移動部)が形成される。先端部721は、円弧状に形成される。アーム板72の先端側には、見込方向の室内側に突出する先端側ピン73が設けられている。
【0056】
先端側ピン73は、ピン状に形成され、アーム板72の先端側において、アーム板72の室内側の面から室内側に突出する。先端側ピン73は、見込方向に見た場合に、アーム板72の先端部721よりもアーム板72の内部側の基端側に配置される。先端側ピン73は、見込方向に延びる中心軸J2を中心に回転可能である。
【0057】
先端側ピン73は、アーム板72の先端側に設けられており、操作アーム部70が第1移動方向D1に移動した場合に、アーム板72が回転軸J1を中心に回転するため、傾斜ガイド部62の上面に沿って移動される。これにより、先端側ピン73は、アーム板72の先端部721の移動をガイドする。先端側ピン73は、アーム板72の先端部721を、内障子30が移動する第1移動方向D1及び内障子30の上下方向Z(第1移動方向D1に交差する交差方向)に移動させるようにガイドする。
【0058】
アーム板72の先端部721は、先端側ピン73が傾斜ガイド部62の上面に沿ってガイドされることで、内障子30の開閉移動に伴って内障子30が移動する第1移動方向D1に移動可能に構成される。アーム板72の先端部721は、アーム板72の回転軸J1を中心に円弧を描きながら上下方向に移動可能に構成される。
【0059】
これにより、アーム板72の先端部721は、内障子30の開閉移動に伴って内障子30が移動する第1移動方向D1に移動可能に構成されると共に、内障子30の上下方向Z(第1移動方向D1に交差する交差方向)に移動可能である。アーム板72の先端部721は、先端側ピン73が落下誘導連通部65により下方に誘導される場合に、アーム板72の先端部721の自重により下方に誘導される。
【0060】
次に、本実施形態の開閉装置1の安全装置10の動作について説明する。まず、図6図8に示すように、内障子30を開位置から第1移動方向D1に移動させて、内障子30を閉める場合について説明する。
【0061】
内障子30が第1速度V1よりも遅い速度で閉められた場合について説明する。図5に示す内障子30の動作例E1のように、内障子30が第1速度V1よりも遅い速度で閉められた場合には、図6に示すように、内障子30に取り付けられた操作アーム部70は、ストッパ装置本体60に向けて第1移動方向D1に移動される。これにより、図6の上段の図に示すように、ストッパ装置本体60に導入された操作アーム部70のアーム板72の先端部721は、先端側ピン73が傾斜ガイド部62にガイドされることで、第1移動経路K1において傾斜ガイド部62の上面に沿って移動する。
【0062】
そして、内障子30が第1速度V1よりも遅い速度で閉められているため、図6の中段の図に示すように、操作アーム部70のアーム板72の先端部721は、受け止め部64の衝突板641の衝突部641aに接触せずに又は接触して、落下誘導連通部65を通して、図6の下段の図に示すように、下方側の第2移動経路K2に落下して、内障子30は、停止せずに第1移動方向D1に移動される。これにより、内障子30は、第1移動方向D1に移動されて、閉められる。内障子30が停止せずに閉められる第1速度V1よりも遅い速度とは、例えば、内障子30を閉める際に内障子30が勢いよく閉まる速度よりも遅い速度を意味する。
【0063】
次に、内障子30が第1速度V1以上の速度で閉められた場合について説明する。図5に示す内障子30の動作例E2、E3のように、内障子30が第1速度V1以上で閉められた場合には、図7に示すように、ストッパ装置本体60に導入された操作アーム部70のアーム板72の先端部721は、先端側ピン73が傾斜ガイド部62にガイドされることで、第1移動経路K1において傾斜ガイド部62の上面に沿って移動し、図7の上段の図に示すように、受け止め部64の衝突板641の衝突部641aに受け止められる。そして、操作アーム部70のアーム板72の先端部721は、受け止め部64の衝突板641の衝突部641aに受け止められた状態で、受け止め部64を押圧しながら左右方向XのX2側に移動する。
【0064】
受け止め部64の左右方向XのX2側には、減速装置80が接続されている。そのため、操作アーム部70のアーム板72の先端部721が受け止め部64の衝突板641の衝突部641aに受け止められた状態で、内障子30は、減速装置80により減速される。
【0065】
そして、内障子30が減速装置80により減速されている状態において、図5に示す内障子30の動作例E2のように、受け止め部64がストッパ部66に到達する前に、内障子30が第2速度V2よりも遅い速度に減速された場合には、図7の中段の図及び下段の図に示すように、落下誘導連通部65を通して、下方側の第2移動経路K2に落下して、内障子30は、停止せずに第1移動方向D1に移動される。これにより、内障子30は、第1移動方向D1に移動されて、閉められる。減速装置80により減速された内障子30が停止せずに閉められる第2速度V2よりも遅い速度とは、例えば、内障子30を閉める際に内障子30が勢いよく閉まる速度よりも遅い速度を意味する。
【0066】
また、内障子30が減速装置80により減速されている状態において、図5に示す内障子30の動作例E3のように、受け止め部64がストッパ部66に到達するまで、内障子30が第2速度V2以上の速度である場合には、図8の上段の図に示すように、受け止め部64は、ストッパ部66に衝突する。
【0067】
減速装置80により減速された内障子30が一旦停止する第2速度V2以上は、仮に減速装置80において内障子30が減速されていない場合に、内障子30が勢いよく閉まる速度以上を意味する。本実施形態においては、減速装置80おいて内障子30が減速されても第2速度V2以上の速度である場合には、受け止め部64がストッパ部66に衝突することで、内障子30が枠体20の縦枠24に勢いよく衝突することが抑制されて、内障子30は一旦停止する。
【0068】
ここで、図8の上段の図に示すように、アーム板72の先端部721は、アーム板72の基端の回転軸J1が受け止め部64の衝突板641の衝突部641aよりも下方に配置されている。そのため、第1移動経路K1の左右方向XのX2側の端部に移動されて、受け止め部64がストッパ部66に衝突して、アーム板72の先端部721が受け止め部64に受け止められた場合に、アーム板72の先端部721が受け止め部64に受け止められた状態で斜め上方側に荷重が作用する。また、衝突板641の手前側の上部に設けられる規制部642により、先端側ピン73は、上方側へ移動することが規制される。これにより、アーム板72の先端部721は、下方側に落ちにくい。よって、アーム板72の先端部721が受け止め部64に衝突した状態が保持されやすく、内障子30を一旦停止させやすい。
【0069】
その後、アーム板72の先端部721は、受け止め部64に衝突した状態で斜め上方側に作用する荷重が緩むことで、自重によりアーム板72の基端の回転軸J1を中心に回転して、落下誘導連通部65を通して、下方側の第2移動経路K2に落下することで、図8の下段の図に示すように、下方側の第2移動経路K2に誘導される。アーム板72の先端部721は、落下誘導連通部65により下方に誘導される場合に、アーム板72の先端部721の自重により下方に誘導される。
【0070】
次に、図9の上段に示す内障子30の閉位置から、左右方向XのX1側の第2移動方向D2に移動させて、内障子30を開ける場合について説明する。
【0071】
内障子30を開ける場合には、図9の上段に示す内障子30の閉位置から、内障子30を第2移動方向D2に移動させることで、操作アーム部70は、第2移動経路K2において、第2移動方向D2に移動され、戻り移動経路K3に導入される。
【0072】
戻り移動経路K3に導入された操作アーム部70が戻り移動経路K3から第1移動経路K1に移動する場合に、図9の下段の図に示すように、アーム板72の先端に設けられた先端側ピン73は、傾斜ガイド部62を下方側から押し上げる。これにより、先端側ピン73は、回転軸J3を中心に傾斜ガイド部62を回転させて、戻り移動経路K3から第1移動経路K1へ移動する経路を開放する。このようにして、内障子30を第2移動方向D2に移動させて、内障子30を開けることができる。
【0073】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の開閉装置1用の安全装置10は、内障子30の開閉移動により開口部20aを開閉可能な開閉装置1用の安全装置10であって、内障子30の開閉移動の移動速度を減速させる減速装置80と、減速装置80により減速された内障子30の開閉動作を一旦停止させるストッパ装置50と、を備える。そのため、減速装置80とストッパ装置50とを組み合わせた安全装置10とすることで、内障子30が大型化しても、減速装置80の減速機構を大型化しなくても、現状の減速装置80の減速機構で対応できる。これにより、新たな投資が不要となり、コストを低減できる。よって、開閉装置1用の安全装置10を、コストを低減しつつ、小型化できる。
【0074】
本実施形態においては、ストッパ装置50は、内障子30が第1速度V1以上の移動速度で減速装置80に向けて移動された場合に、内障子30の荷重を受け止めて減速装置80により内障子30の移動速度を減速させ、内障子30が第1速度V1よりも遅い移動速度で減速装置80に向けて移動された場合に、減速装置80により内障子30の移動速度を減速させない。これにより、内障子30が第1速度V1よりも遅い通常の安全な速度で移動される場合には、減速装置80の減速機構を介さずに、内障子30を安定して開閉できる。減速装置80の減速機構を介さずに、内障子30を安定して開閉できるため、余計な操作力を必要とせず、利便性を向上できる。
【0075】
本実施形態においては、ストッパ装置は、減速装置80により減速された内障子30が第2速度V2以上の移動速度で移動された場合に、内障子30の開閉動作を一旦停止させ、減速装置80により減速された内障子30が第2速度V2よりも遅い移動速度で移動された場合に、内障子30の開閉動作を停止させない。これにより、減速装置80により減速された内障子30の移動速度に応じて、内障子30の開閉動作を一旦停止させることができるため、指挟み防止機構を実現できる。よって、内障子30が大型化しても、減速装置80により減速された後において、内障子30の移動速度が大きい場合に、内障子30の開閉動作を一旦停止させることができるため、安全性が向上する。
【0076】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0077】
例えば、前記実施形態においては、内障子30を閉める場合について説明したが、これに限定されない。例えば、安全装置10のアーム板72を内障子30の戸元側に設けると共に、安全装置10のストッパ装置本体60及び減速装置80を枠体20の上枠21の左右方向のX1側の端部側に設けることで、枠体20の左右方向のX1側において内障子30を開ける場合に用いる安全装置としてもよい。
【0078】
前記実施形態においては、戸体を内障子30で構成したが、これに限定されず、戸体を、框体及びガラスを有していない扉で構成してもよい。また、例えば、戸体を、ドアで構成してもよい。
【0079】
自動ドアなどの電動で開閉する扉に適用することで、電動部分が故障して手動で扉を開閉する場合にも、本開示の開閉装置を使用可能である。また、減速装置80を、開閉時に緩やかに閉まるソフトクローズの開閉装置にも適用することができる。
【0080】
前記実施形態においては、開閉装置1を、引き違い窓で構成したが、これに限定されず、例えば、片引き窓で構成してもよい。
【0081】
前記実施形態において、ストッパ装置本体60及び減速装置80を上枠21の左右方向XのX2側の端部側に配置し、操作アーム部70を内障子30の左右方向XのX2側に配置したが、これに限定されない。例えば、ストッパ装置本体60及び減速装置80を上枠21の左右方向Xの中央側に配置し、操作アーム部70を内障子30の左右方向Xにおけるストッパ装置本体60及び減速装置80に対応した位置(例えば、内障子30の左右方向Xの中央側)に配置してもよい。
【0082】
前記実施形態においては、指を挟まない位置で内障子(戸体)を一旦停止させるように、ストッパ装置本体60を取り付けたが、これに限定されない。ストッパ部の左右方向の取付位置を調整することで、内障子を一旦停止させる位置を調整できる。これにより、内障子を一旦停止させる位置を、指よりも大きな頭や胴体を挟まない位置となるように、ストッパ部の左右方向の取付位置を調整することで、指が挟まれることを防止できるだけではなく、頭や胴体が挟まれることも防止できる。
【0083】
また、ストッパ装置本体60を複数箇所に設ける他の形態として、例えば、3枚建てや4枚建ての引き違いの引戸同士の間にストッパ装置本体60を取り付けることで、引戸同士の間での指挟みを防止してもよい。
【0084】
前記実施形態においては、先端側ピン73を、中心軸を回転軸として回転可能に構成したが、これに限定されず、先端側ピン73は、回転しない構成でもよい。
【0085】
前記実施形態においては、アーム板72の先端部721を受け止め部64に衝突させるように構成したが、これに限定されない。アーム板72の先端にローラを設けて、アーム板の先端に設けたローラをストッパ部に衝突させるように構成してもよい。この場合、アーム板72の先端に設けたローラを、アーム板72の移動をガイドするピンとして構成してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 開閉装置、10 安全装置、20a 開口部、30 内障子(戸体)、50 ストッパ装置、80 減速装置、D1 第1移動方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9