(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104065
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】医療機器
(51)【国際特許分類】
A61B 5/332 20210101AFI20220701BHJP
【FI】
A61B5/04 310H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219052
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】當間 司
(72)【発明者】
【氏名】木元 章平
(72)【発明者】
【氏名】川村 真一
(72)【発明者】
【氏名】勝俣 豪
(72)【発明者】
【氏名】椴木 拓也
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB03
(57)【要約】
【課題】小型化及び軽量化を阻害せずに、電池蓋の開放ログを記録することができる医療機器を提供すること。
【解決手段】ホルター心電図記録装置は、心電図を記録するための電気回路を有する装置本体と、装置本体に開閉自在に取り付けられる電池蓋と、電池蓋が閉状態となったときに、装置本体の電気回路に電池の電源電圧を供給する電源供給ラインと、電源供給ラインの電圧を検出し、当該電圧が閾値以下となったときに電池蓋が開状態となったと判定する開状態判定部と、開状態判定部によって電池蓋が開状態となったと判定された時間をログとして記録する記録部と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電図を記録するための電気回路を有する装置本体と、
前記装置本体に開閉自在に取り付けられる電池蓋と、
前記電池蓋が閉状態となったときに、前記装置本体の電気回路に前記電池の電源電圧を供給する電源供給ラインと、
前記電源供給ラインの電圧を検出し、当該電圧が閾値以下となったときに前記電池蓋が開状態となったと判定する開状態判定部と、
前記開状態判定部によって前記電池蓋が開状態となったと判定された時間をログとして記録する記録部と、
を有する医療機器。
【請求項2】
前記装置本体は、前記電池の2つの端子のうち一方の端子に接続される第1端子を有し、
前記電池蓋は、前記電池の2つの端子のうち他方の端子に接続される第2端子を有し、
前記電源供給ラインは、前記電池蓋が閉状態となり、前記電池の2つの端子に前記第1端子及び前記第2端子の両方が接続されたときに前記装置本体の電気回路に前記電池の電源電圧を供給し、
前記開状態判定部は、前記電源供給ラインの電圧として、前記第1端子又は前記第2端子の電圧を検出する、
請求項1に記載の医療機器。
【請求項3】
前記開状態判定部は、前記電源供給ラインの電圧が前記閾値以下である期間が所定期間以上継続した場合に、前記電池蓋が開状態となったと判定する、
請求項1又は2に記載の医療機器。
【請求項4】
前記閾値は、前記電池の残量が少なくなったことを知らせる前記電池残量通知に用いられる閾値よりも小さい、
請求項1から3のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項5】
前記閾値は、0よりも大きい、
請求項1から4のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項6】
前記記録部は、前記電池とは別のバックアップ電池により駆動可能な構成とされている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項7】
前記電池蓋をロックするロック部を、さらに有し、
前記開状態判定部は、前記ロック部がアンロック状態であり、かつ、前記電源供給ラインの電圧が前記閾値以下となったときに前記電池蓋が開状態となったと判定する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項8】
前記医療機器は、ホルター心電図記録装置である、
請求項1から7のいずれか一項に記載の医療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器に関し、例えばホルター心電図記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、心電図記録装置の一つとして、ホルター心電図記録装置がある。ホルター心電図記録装置は、長時間に亘って患者に装着する必要があることから、患者への負担を軽減するために、小型化及び軽量化が求められる。このような小型、軽量化されたホルター心電図記録装置は、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
また、従来のホルター心電図記録装置は、装置本体と、装置本体に開閉自在に取り付けられた電池蓋と、を有する。電池蓋を開状態とすることで装置本体に電池を装填することができる。電池蓋を閉状態にすると、装置本体の電気回路に電池からの電源電圧が供給される。
【0004】
図1Aは、従来のホルター心電図記録装置の構成例を示す斜視図である。
図1Bは、電池蓋の構成例を示す斜視図である。
【0005】
図1Aのホルター心電図記録装置は、装置本体10に電池蓋20を差し込むようになっている。装置本体10は、係合孔11、12、表示部13及びイベントボタン14等を有する。表示部13は例えば液晶表示デバイスから構成されている。イベントボタン14が押圧操作されると心電図の記録が開始される。
【0006】
電池蓋20は、係止爪21、22及び電池ホルダー23等を有する。電池ホルダーの下部には突起24が形成されている。係止爪21、22は、装置本体10に電池蓋20が差し込まれると、係止孔11、12に係止される。電池ホルダー23はボタン電池1を把持する。装置本体10に電池蓋20が差し込まれると、装置本体10に設けられた2つの端子(図示せず)がボタン電池1の2つの電極に接触することにより、装置本体10にボタン電池1の電源電圧が供給される。
【0007】
さらに、ホルター心電図記録装置は、電池蓋20が開いたことをログとして記録する機能を有する。具体的に説明する。装置本体10には、電池蓋20の突起24が当接することで動くレバー(図示せず)と、当該レバーによって作動するスイッチ(図示せず)と、が設けられている。装置本体10に電池蓋20が差し込まれると、突起24によってレバーが押し込まれ、その結果スイッチがオン状態とされる。一方、装置本体10から電池蓋20が抜かれると、レバーが解放位置に復帰し、その結果スイッチがオフ状態とされる。このようにして、装置本体10への電池蓋20の装着状態に応じてスイッチがオンオフされ、それがログとして装置本体10の記憶部(図示せず)に記録される。
【0008】
ここで、ホルター心電図記録装置においては、心電図の記録中に電池蓋20が開いてしまうと、装置本体10への電気回路への電源供給が停止し、心電図の記録ができなくなる。この場合、心電図の記録を最初からやり直さなければならなくなる可能性があるので、多大な時間の浪費を招く。
【0009】
これを考慮して、装置本体10の電気回路への電源供給の停止が、電池蓋20が開いたことによるものなのか否かを確認するために、ホルター心電図記録装置では、一般に、上述したような電池蓋が開いたことをログとして記録するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、従来のホルター心電図記録装置においては、電池蓋が開いたことをログとして記録するために、上述した突起24やレバー等の機構や、スイッチ等の基板領域を設ける必要がある。これは、ホルター心電図記録装置を小型化及び軽量化する上での障害となる。
【0012】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、小型化及び軽量化を阻害せずに、電池蓋の開状態ログを記録することができる医療機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の医療機器の一つの態様は、
心電図を記録するための電気回路を有する装置本体と、
前記装置本体に開閉自在に取り付けられる電池蓋と、
前記電池蓋が閉状態となったときに、前記装置本体の電気回路に前記電池の電源電圧を供給する電源供給ラインと、
前記電源供給ラインの電圧を検出し、当該電圧が閾値以下となったときに前記電池蓋が開状態となったと判定する開状態判定部と、
前記開状態判定部によって前記電池蓋が開状態となったと判定された時間をログとして記録する記録部と、
を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電池蓋の開状態ログを記録するための専用の機構部やスイッチを設ける必要がないので、小型化及び軽量化を阻害せずに、電池蓋の開状態ログを記録することができる医療機器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】従来のホルター心電図記録装置の構成例を示す斜視図
【
図2】実施の形態に係るホルター心電図記録装置の外観を示す斜視図
【
図5】実施の形態のホルター心電図記録装置の回路構成を示すブロック図
【
図6】実施の形態による電池蓋の開閉状態検出の説明に供する図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図2及び
図3は、本発明の実施の形態に係るホルター心電図記録装置の外観を示す斜視図である。
図2は電池蓋120が閉じた状態を示す斜視図であり、
図3は電池蓋120が開いた状態を示す斜視図である。
【0018】
ホルター心電図記録装置100は、装置本体110と、装置本体110に開閉自在に取り付けられた電池蓋120と、を有する。
【0019】
装置本体110は、表示部111、イベントボタン112a、エンターボタン112b、電池収容部113及び係止爪114、115等を有する。表示部111は例えば液晶表示デバイスから構成されている。ユーザーは、イベントボタン112aとエンターボタン112bを操作することで、表示の切り替えや各種の設定等を行うことができる。また、イベントボタン112aが押圧操作されると心電図の記録が開始される。なお、心電図の記録は、もしもイベントボタン112aが押圧操作されなくても、電源投入から所定時間(例えば10分)が経過したらタイマーにより自動的に開始されるようになっている。電池収容部113には、例えば単四電池が収容される。
【0020】
電池蓋120は、ロック部121、回転軸122、端子部123、係合溝124、125及び係合爪126等を有する。電池蓋120は回転軸122を介して装置本体110に回転自在に取り付けられている。また、電池蓋120は、図示しないスライド機構により、矢印a及びb方向にスライド自在とされている。
【0021】
図2に示したような閉状態では、係合溝124、125が係合爪114、115に係合しているとともに、係合爪126が係合溝116に係合され、これにより、電池蓋120が装置本体110に閉状態で係止される。
【0022】
この閉状態において、ユーザーが電池蓋120を図中の矢印aの方向にスライドさせると、係合溝124、125が係合爪114、115から離れるとともに、係合爪126が係合溝116から離れる。この状態から、ユーザーが電池蓋120を回転軸122を中心に回転させると、電池蓋120は
図3に示したような開状態となる。
【0023】
電池蓋120が開状態から閉状態になるときには、これとは逆の動作が行われる。すなわち、
図3に示した開状態において、先ず、ユーザーは電池蓋120を回転軸122を中心に回転させて、電池蓋120を閉じる。次に、ユーザーが電池蓋120を図中の矢印bの方向にスライドさせると、係合溝124、125が係合爪114、115に係合するとともに、係合爪126が係合溝116に係合する。これより、電池蓋120の回転方向の移動が規制され、電池蓋120の閉状態が維持される。
【0024】
また、この閉状態において、ロック部121が
図4Aに示したロック位置に操作されると、電池蓋120の矢印b方向へのスライドが規制される。一方、ロック部121が
図4Bに示したアンロック位置に操作されると、電池蓋120の矢印b方向へのスライド規制が解除される。
【0025】
ここで、電池蓋120の内側には端子部123が設けられている。端子部123は電池蓋120の長手方向に延在する金属板であり、電池蓋120が閉状態になると、端子部123は、電池の2つの端子のうちの一つに接触するとともに、装置本体110から電池蓋110の方向に突出した端子117に接触する。端子117は、装置本体110の電源供給ラインに繋がっている。
【0026】
よって、電池蓋120が閉状態になると、電池収容部113の奥に設けられた第1端子(図示せず)が電池の2つの端子のうち一方の端子に接続される(接触する)とともに、電池蓋120に設けられた第2端子としての端子部123が電池の2つの端子のうち一方の端子に接続される(接触する)。そして、第1端子(図示せず)と第2端子(端子部123)が装置本体110内の電源供給ラインに電気的に接続された状態になることから、装置本体110の電気回路に電池の電源電圧が供給される。
【0027】
一方で、電池蓋120が開状態になると、電池蓋120に設けられた第2端子(端子部123)が電池の端子から離れるので、装置本体110の電気回路には電源電圧が供給されなくなる。
【0028】
図5は、ホルター心電図記録装置100の回路構成を示すブロック図である。
【0029】
ホルター心電図記録装置100は、CPU(Central Processing Unit)131を有する。CPU131は、表示部111、イベントボタン112a、エンターボタン112b、ECG部133、NANDフラッシュメモリー部134、SDカード部135、ブザー部136、シリアル通信コネクター137、加速度検出部138及びRTC(Real Time Clock)部144に接続されており、これらを制御する或いはこれらからの信号を入力して所定の処理を施す。
【0030】
CPU131は、演算部131a、FRAM(Ferroelectric Random Access Memory)(登録商標)131b及びRAM(Random Access Memory)131c等を有する。FRAM131bには、CPU131が所定の処理を実行するためのプログラム等が格納されている。CPU131では、演算部131aがFRAM131bからプログラムを読み出しRAM131cを用いながらプログラムに従った演算処理を行うことにより所定の処理を実行する。
【0031】
また、FRAM131bには、心電図記録を行うための処理設定値が記憶される。例えば処理設定値として、記録形式(互換モード、ノーマルモード)、記録時間、記録チャネル(12誘導、2ch、3ch)、サンプリング周波数、ドリフトフィルター(ON、OFF)、ペースメーカー検出(ON、OFF)、ペースメーカー検出感度等が記憶される。
【0032】
ECGコネクター132には、患者に装着された電極が接続される。ECG部133は、ECGコネクター132から入力された心電信号に対して、サンプリング及びフィルタリングなどの所定の処理を施すことにより、心電図を取得する。
【0033】
NANDフラッシュメモリー部134には、ECG部133によって取得された心電図等が記憶される。
【0034】
SDカード部135には、SDカードが挿入される。CPU131は、ECG部133によって取得された心電図をSDカードに書き込むことができる。また、CPU131は、SDカードに書き込まれた情報を読み出すことができる。例えば、SDカードに心電図記録を行うための処理設定値が書き込まれている場合には、この処理設定値をSDカードから読み出してFRAM131bに記憶させることができる。
【0035】
ブザー部136は、CPU131によって制御され、例えば心電図の記録中に患者によってイベントボタン112aが押されたことや、装置のエラー発生時にブザー音を発することにより、このことを患者または操作者に知らせることができる。
【0036】
シリアル通信コネクター137は、例えば外部の解析装置やパソコン等の外部機器にケーブルを介して接続され、例えばNANDフラッシュメモリー部134に記憶されている心電図を外部の解析装置に出力することが可能となっている。また、シリアル通信コネクター137を介して、上記処理設定値を入力することもできる。
【0037】
加速度検出部138は、ホルター心電図記録装置100が装着された患者の体の動きを加速度として検出する。この検出結果は、NANDフラッシュメモリー部134やSDカードに記憶される。
【0038】
かかる構成に加えて、ホルター心電図記録装置100は、電池端子141と、DC-DC変換部142と、開状態判定部143と、RTC(Real Time Clock)部144と、メイン電池151と、バックアップ電池152と、を有する。
【0039】
電池端子141は、上述した装置本体110の第1端子(図示せず)、端子117及び電池蓋120の第2端子(端子部123)に相当する。メイン電池151は、電池収容部113に収容される単四電池に相当する。
【0040】
RTC部144は、メイン電池151又はバックアップ電池152によって駆動される。換言すれば、RTC部144は、装置本体110の電気回路にメイン電池151からの電源電圧が供給されている場合にはメイン電池によって駆動される一方、装置本体110の電気回路にメイン電池151からの電源電圧が供給されていない場合にはバックアップ電池152によって駆動される。換言すれば、RTC部144は、電池蓋120が開状態となり、メイン電池151からの電源電圧が供給されない場合でもバックアップ電池152によって駆動される。バックアップ電池152は、例えば小型のボタン型電池である。
【0041】
電池端子141には、DC-DC変換部142及び開状態判定部143が電気的に接続されている。DC-DC変換部142は、電池端子141に印加された電池電圧をDC-DC変換して装置本体110内の電気回路に供給する。
【0042】
実際上、開状態判定部143は、装置本体110に設けられた第1端子又は端子117を介して電池蓋120に設けられた第2端子(端子部123)に接続されており、第1端子又は第2端子の電圧を検出し、当該電圧が閾値以下となったときに電池蓋120が開状態となったと判定する。
【0043】
開状態判定部143は、開状態の判定結果を得た場合、このことを示す信号をRTC部144に出力する。
【0044】
RTC部144は、開状態判定部143によって電池蓋120が開状態となったと判定された時間をログとして記録する。
【0045】
図6は、本実施の形態による電池蓋120の開閉状態検出の説明に供する図である。図の上段には電池蓋120の開閉状態が示されており、下段には端子電圧が示されている。
【0046】
時点t1から時点t2の期間は、電池蓋120が完全に閉じた状態にあり、端子電圧はメイン電池151の電圧に応じた一定値である。
【0047】
時点t2から時点t4の期間は、電池蓋120が閉状態から開状態へと移行した直後の期間である。この期間においては、開状態判定部143の回路に蓄えられた電荷が徐々に放電されるので、端子電圧も徐々に降下していく。
【0048】
時点t3で端子電圧が閾値th1以下となると、開状態判定部143が、電池蓋120が開状態となったと判定し、このことをRTC部144に伝える。これにより、RTC部144では、電池蓋120が開状態となった時間、換言すれば、メイン電池151から電気回路への電源供給が停止した時間がログとして記録される。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ホルター心電図記録装置100は、電池(メイン電池151)の2つの端子のうち一方の端子に接続される第1端子を有する装置本体110と、装置本体110に開閉自在に取り付けられ、電池(メイン電池151)の2つの端子のうち他方の端子に接続される第2端子(端子部123)を有する電池蓋120と、端子部123を介して電池(メイン電池151)の電源を取り込む端子117と、電池蓋120が閉状態となり、電池(メイン電池151)の2つの端子に第1端子及び第2端子の両方が接続されたときに装置本体110の電気回路に電池(メイン電池151)の電源電圧を供給する電源供給ラインと、第1端子又は第2端子の電圧を検出し、当該電圧が閾値th1以下となったときに電池蓋120が開状態となったと判定する開状態判定部143と、開状態判定部143によって電池蓋120が開状態となったと判定された時間をログとして記録する記録部(RTC部144)と、を有する。
【0050】
これにより、電池蓋120の開状態ログを記録するための専用の機構部やスイッチを設ける必要がないので、小型化及び軽量化を阻害せずに、電池蓋120の開状態ログを記録することができるホルター心電図記録装置100を実現できる。
【0051】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【0052】
上述の実施の形態では、開状態判定部143は、第1端子又は第2端子の電圧が閾値th1以下となったときに電池蓋120が開状態となったと判定した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、開状態判定部143は、第1端子又は第2端子の電圧が閾値th1以下である期間が所定期間以上継続した場合に、電池蓋120が開状態となったと判定するようにしてもよい。このようにすれば、第1端子又は第2端子の電圧が開状態とは別の振動などの要因で瞬間的に閾値以下となった場合に、開状態になったと判定せずに済むので、開状態判定の信頼性を高めることができる。
【0053】
また、開状態の判定に用いる閾値th1は、電池残量が少なくなったことを知らせる電池残量通知に用いられる閾値th2よりも小さくすることが好ましい。
図6に示したように、閾値th1を、電池残量通知に用いられる閾値th2よりも小さくすることで、メイン電池151の電圧低下による誤判定を防止できる。また、開状態の判定に用いる閾値th1は、0よりも大きくすることが好ましい。閾値th1を、0よりも大きくすることで、開状態判定部143は動作不能となる前にRTC部144に判定結果を出力できる。
【0054】
また、開状態判定部143は、ロック部121がアンロック状態であり、かつ、第1端子又は第2端子の電圧が閾値以下となったときに電池蓋120が開状態となったと判定するようにしてもよい。このようにすれば、開状態判定の信頼度をより向上できる。何故なら、実際上、電池蓋120が開状態となるのは、ロック部121がアンロック状態のときのみであり、ロック部121がロック状態のときには電池蓋120は開状態とはなり得ないからである。例えば電源供給ラインの断線による電圧降下と電池蓋120の開状態による電圧降下とを区別できるようになる。
【0055】
また、上述の実施の形態では、装置本体110が電池の2つの端子のうち一方の端子に接続される第1端子を有し、電池蓋120が電池の2つの端子のうち他方の端子に接続される第2端子を有する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、第1端子及び第2端子の両方が装置本体110側にある場合(例えば
図1A及び
図1Bで説明したような構成の場合)、または、第1端子及び第2端子の両方が装置本体110側にある場合にも適用可能である。
【0056】
要は、心電図を記録するための電気回路を有する装置本体と、装置本体に開閉自在に取り付けられる電池蓋と、電池蓋が閉状態となったときに、装置本体の電気回路に電池の電源電圧を供給する電源供給ラインと、電源供給ラインの電圧を検出し、当該電圧が閾値以下となったときに電池蓋が開状態となったと判定する開状態判定部と、開状態判定部によって電池蓋が開状態となったと判定された時間をログとして記録する記録部と、を設ければよい。上述の実施の形態では、電源供給ラインの電圧の一例として、端子電圧を検出している。
【0057】
さらに、上述の実施の形態では、本発明をホルター心電図記録装置に適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、装置本体及び電池蓋を有する医療機器に広く適用できる。特に、携帯型の医療機器のように小型化及び軽量化が求められる医療機器に有用である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、装置本体及び電池蓋を有し、電池蓋の開状態のログを記録する医療機器に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
10、110 装置本体
11、12 係合孔
13、111 表示部
14、112a イベントボタン
20、120 電池蓋
21、22、114、115、126 係止爪
23 電池ホルダー
24 突起
100 ホルター心電図記録装置
112b エンターボタン
113 電池収容部
116、124、125 係合溝
117 端子
121 ロック部
122 回転軸
123 端子部
131 CPU
132 ECGコネクター
133 ECG部
134 NANDフラッシュメモリー部
135 SDカード部
136 ブザー部
137 シリアル通信コネクター
138 加速度検出部
141 電池端子
142 DC-DC変換部
143 開状態判定部
144 RTC部
151 メイン電池
152 バックアップ電池