(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104068
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】電気化学セルスタック
(51)【国際特許分類】
H01M 8/2483 20160101AFI20220701BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20220701BHJP
【FI】
H01M8/2483
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219058
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】内 一隆
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA12
5H126AA23
5H126BB04
5H126BB05
5H126BB06
5H126DD05
5H126EE03
5H126EE11
5H126EE22
5H126JJ03
(57)【要約】
【課題】燃料ガスや酸化剤ガスの流れの均一化を図り、発電効率を向上させることができる。
【解決手段】電気化学セルスタック10では板状の電気化学セル11を積層させる。電気化学セル11は燃料ガス及び酸化剤ガスの電気化学反応により発電する。電気化学セル11の積層方向における一方の第1の外面S1に燃料ガスの入口13が位置する。第1の外面S1の裏側の第2の外面S2に燃料ガスの出口14が位置する。第1の外面S1及び第2の外面S2の一方の酸化剤ガスの入口15が位置し他方に酸化剤ガスの出口16が位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガス及び酸化剤ガスの電気化学反応により発電する板状の電気化学セルを積層させた電気化学セルスタックであって、
前記電気化学セルの積層方向における一方の第1の外面に燃料ガスの入口が位置し、該第1の外面の裏側の第2の外面に燃料ガスの出口が位置し
前記第1の外面及び前記第2の外面の一方に酸化剤ガスの入口が位置し、他方に酸化剤ガスの出口が位置する
電気化学セルスタック。
【請求項2】
請求項1に記載の電気化学セルスタックにおいて、
前記燃料ガスの入口及び前記燃料ガスの出口は、前記積層方向に垂直な任意の一方向における前記電気化学セルスタックの両端に位置し、
前記酸化剤ガスの入口及び前記酸化剤ガスの出口は、前記積層方向に垂直な任意の一方向における前記電気化学セルスタックの両端に位置する
電気化学セルスタック。
【請求項3】
請求項2に記載の電気化学セルスタックにおいて、
前記酸化剤ガスの入口は、前記積層方向から見て、前記燃料ガスの入口及び前記燃料ガスの出口を結ぶ線分の中心よりも該燃料ガスの入口側に位置する
電気化学セルスタック。
【請求項4】
請求項3に記載の電気化学セルスタックにおいて、
前記積層方向から見て、前記燃料ガスの入口及び前記燃料ガスの出口を結ぶ線分と、前記酸化剤ガスの入口及び酸化剤ガスの出口を結ぶ線分とが交差する
電気化学セルスタック。
【請求項5】
請求項3に記載の電気化学セルスタックにおいて、
前記積層方向から見て、前記燃料ガスの入口及び前記燃料ガスの出口を結ぶ線分の延長線と、前記酸化剤ガスの入口及び酸化剤ガスの出口を結ぶ線分の延長線とが交差する関係又は平行な関係である
電気化学セルスタック。
【請求項6】
請求項2に記載の電気化学セルスタックにおいて、
前記積層方向から見て、前記燃料ガスの入口及び前記燃料ガスの出口を結ぶ線分と、前記酸化剤ガスの入口及び酸化剤ガスの出口を結ぶ線分とが交点において交差し、
前記積層方向から見た、前記燃料ガスの入口及び前記交点を結ぶ線分と、前記酸化剤ガスの入口及び前記交点を結ぶ線分との間の角度が45°を超え、135°未満である
電気化学セルスタック。
【請求項7】
請求項1に記載の電気化学セルスタックにおいて、
前記燃料ガスの入口及び前記燃料ガスの出口の組、並びに前記酸化剤ガスの入口及び前記酸化剤ガスの出口の組の少なくとも一方において、積層方向における入口側に位置する少なくとも1つの電気化学セルの流路は入口に連結され、積層された全電気化学セルの流路は前記積層方向から見て該入口とは異なる位置で内部流路に連結され、前記全電気化学セルの中で該入口に連結された電気化学セル以外の電気化学セルの流路は前記積層方向から見て前記内部流路とは異なる位置で出口に連結される
電気化学セルスタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気化学セルスタックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料ガス及び酸化剤ガスの電気化学反応により発電する燃料電池が知られている。燃料電池では、発電の最小単位となる電気化学セルを積層させた電気化学セルスタックとして組込まれる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発電効率を向上させるためには、積層させた複数の電気化学セルの間で、燃料ガス及び酸化剤ガスの流れを均一化させることが好ましい。しかし、流れの均一化は難しかった。
【0005】
従って、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、燃料ガス及び酸化剤ガスの流れを均一化させ、発電効率を向上させた電気化学セルスタックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による電気化学セルスタックは、
燃料ガス及び酸化剤ガスの電気化学反応により発電する板状の電気化学セルを積層させた電気化学セルスタックであって、
前記電気化学セルの積層方向における一方の第1の外面に燃料ガスの入口が位置し、該第1の外面の裏側の第2の外面に燃料ガスの出口が位置し
前記第1の外面及び前記第2の外面の一方に酸化剤ガスの入口が位置し、他方に酸化剤ガスの出口が位置する。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成された本開示に係る電気化学セルスタックによれば、燃料ガス及び酸化剤ガスの流れを均一化させ、発電効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る電気化学セルスタックの斜視図である。
【
図2】
図1の電気化学セルスタックの上面図である。
【
図3】
図1の電気化学セルの厚さ方向に沿った断面図である。
【
図4】
図3におけるIV―IV線に沿った電気化学セルの断面図である。
【
図5】
図3におけるV―V線に沿った電気化学セルの断面図である。
【
図6】ガスの入口及び出口を同じ面に位置させる電気化学セルスタックにおけるガスの流路を説明するための概念図である。
【
図7】第2の実施形態に係る電気化学セルスタックの斜視図である。
【
図8】
図7の電気化学セルスタックの上面図である。
【
図9】第3の実施形態に係る電気化学セルスタックの斜視図である。
【
図10】
図9の電気化学セルスタックの上面図である。
【
図11】第4の実施形態に係る電気化学セルスタックの斜視図である。
【
図13】
図11の入口側電気化学セルの厚さ方向に沿った断面図である。
【
図14】
図13におけるXIV―XIV線に沿った入口側電気化学セルの断面図である。
【
図15】
図13におけるXV―XV線に沿った入口側電気化学セルの断面図である。
【
図16】
図11の出口側電気化学セルの厚さ方向に沿った断面図である。
【
図17】
図16におけるXVII―XVII線に沿った出口側電気化学セルの断面図である。
【
図18】
図16におけるXVIII―XVIII線に沿った出口側電気化学セルの断面図である。
【
図19】
図11の電気化学セルスタック内の燃料ガスの流れを説明するための概念図である。
【
図20】
図11の電気化学セルスタック内の酸化剤ガスの流れを説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を適用した電気化学セルスタックの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、本開示の第1の実施形態に係る電気化学セルスタック10は、複数の板状の電気化学セル11を積層させることにより構成される。積層させた電気化学セル11は、積層方向における両端から第1のエンドプレート12a及び第2のエンドプレート12bにより挟まれていてよい。
【0011】
電気化学セルスタック10の積層方向から見た形状は、例えば、矩形、六角形、円形等の任意の形状であってよい。第1の実施形態において、電気化学セルスタック10の積層方向から見た形状は、矩形である。
【0012】
積層方向における一方の第1の外面S1に燃料ガスの入口13が位置する。第1の外面S1の積層方向における裏側の第2の外面S2に燃料ガスの出口14が位置する。電気化学セルスタック10では、第1の外面S1及び第2の外面S2の一方に酸化剤ガスの入口15が位置し、他方に酸化剤ガスの出口16が位置する。第1の実施形態においては、第1の外面S1に酸化剤ガスの入口15が位置し、第2の外面S2に酸化剤ガスの出口16が位置する。
【0013】
図2に示すように、燃料ガスの入口13及び燃料ガスの出口14は、積層方向に垂直な任意の一方向(
図2における上下方向)における電気化学セルスタック10の両端に位置してよい。酸化剤ガスの入口15及び酸化剤ガスの出口16は、積層方向に垂直な任意の一方向(
図2における上下方向)における電気化学セルスタック10の両端に位置してよい。
【0014】
燃料ガスの入口13及び燃料ガスの出口14は、第1の外面S1の外縁が互いに平行な2辺を含む構成においては、それぞれ当該2辺の近傍に位置してよい。酸化剤ガスの入口15及び酸化剤ガスの出口16は、積層方向から見て、それぞれ当該2辺の近傍に位置してよい。
【0015】
酸化剤ガスの入口15は、積層方向から見て、燃料ガスの入口13及び燃料ガスの出口14を結ぶ線分の中心よりも燃料ガスの入口13側に位置してよい。なお、本願明細書において、入口及び出口を結ぶ線分は、入口及び出口の中心を結ぶ線分であってよい。酸化剤ガスの出口16は、積層方向から見て、燃料ガスの入口13及び燃料ガスの出口14を結ぶ線分の中心よりも燃料ガスの出口14側に位置してよい。
【0016】
積層方向から見て、燃料ガスの入口13及び燃料ガスの出口14を結ぶ線分と、酸化剤ガスの入口15及び酸化剤ガスの出口16を結ぶ線分とが交差してよい。例えば、積層方向から見て、燃料ガスの入口13及び燃料ガスの出口14を結ぶ線分は、第1の外面S1の外縁において燃料ガスの入口13の近傍の一辺に対して傾斜していてよい。積層方向から見て、酸化剤ガスの入口15及び酸化剤ガスの出口16を結ぶ線分は、第1の外面S1の外縁において酸化剤ガスの入口15近傍の一辺に対して傾斜していてよい。
【0017】
電気化学セルスタック10は、電池装置の一部として、積層方向が地表における鉛直方向に平行になるように設置されてよい。積層方向が鉛直方向に平行になるように設置される構成においては、更に、第1の面が鉛直下方を向くように設置されることが好ましい。または、電気化学セルスタック10は、電池装置の一部として、積層方向が地表において水平になるように設置されてよい。積層方向が水平になるように設置される構成においては、更に、燃料ガスの出口14及び酸化剤ガスの出口16が、燃料ガスの入口13及び酸化剤ガスの入口15よりも上方に位置するように設置されてよい。
【0018】
図3に示すように、電気化学セル11では、板状の電解質膜17が、両板面側から、燃料極18及び空気極19を介して2枚のインターコネクタ20に挟持されてよい。2枚のインターコネクタ20の間は、フレーム21により密封されてよい。
【0019】
電気化学セル11は、固体酸化物形燃料電池、固体高分子形燃料電池、りん酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池であってよい。燃料極18及び空気極19は、それぞれの方式に適した材料が用いられてよく、それぞれの方式に適した構造を有してよい。
【0020】
インターコネクタ20は、例えば、金属製の板状であり、電気化学セル11の板面と同じ形状であってよい。インターコネクタ20には、板面に平行な複数の畝部22が設けられてよい。インターコネクタ20は、畝部22を介して燃料極18に接触してよい。インターコネクタ20は、畝部22を介して空気極19に接触してよい。
【0021】
フレーム21は、電気絶縁性を有する材料により形成されてよい。フレーム21は、インターコネクタ20の板面の外縁に沿った枠状であってよい。フレーム21は、2枚のインターコネクタ20の畝部22が設けられた面を互いに対向させた状態で、当該2枚のインターコネクタ20の外縁近傍において板面に密着してよい。
【0022】
図4、5に示すように、フレーム21には、インターコネクタ20とともに、第1の燃料ガス通過孔23、第2の燃料ガス通過孔24、第1の酸化剤ガス通過孔25、及び第2の酸化剤ガス通過孔26が形成されてよい。第1の燃料ガス通過孔23、第2の燃料ガス通過孔24、第1の酸化剤ガス通過孔25、及び第2の酸化剤ガス通過孔26は、フレーム21の厚さ方向、言換えると、枠の軸方向に平行で貫通していてよい。
【0023】
図3に示すように、電解質膜17、インターコネクタ20、及びフレーム21により、燃料極18側に燃料ガス室FRが画定される。また、電解質膜17、インターコネクタ20、及びフレーム21により、空気極19側に酸化剤ガス室ORが画定される。
図4に示すように、フレーム21の一部に孔が形成されることにより、燃料ガス室FRと、第1の燃料ガス通過孔23及び第2の燃料ガス通過孔24とが連通してよい。
図5に示すように、フレーム21の一部に孔が形成されることにより、酸化剤ガス室ORと、第1の酸化剤ガス通過孔25及び第2の酸化剤ガス通過孔26とが連通してよい。
【0024】
電気化学セル11は、各電気化学セル11の第1の燃料ガス通過孔23が連続し、各電気化学セル11の第2の燃料ガス通過孔24が連続し、各電気化学セル11の第1の酸化剤ガス通過孔25が連続し、各電気化学セル11の第2の酸化剤ガス通過孔26が連続するように、積層されてよい。
図1に示すように、このように積層させることにより、全電気化学セル11の第1の燃料ガス通過孔23により、積層方向に平行な燃料ガス供給孔27が形成されてよい。また、全電気化学セル11の第1の酸化剤ガス通過孔25により、積層方向に平行な酸化剤ガス供給孔28が形成されてよい。また、全電気化学セル11の第2の燃料ガス通過孔24により、積層方向に平行な燃料ガス排出孔29が形成されてよい。また、全電気化学セル11の第2の酸化剤ガス通過孔26により、積層方向に平行な酸化剤ガス排出孔30が形成されてよい。
【0025】
第1のエンドプレート12aは、第1の外面S1側に位置してよい。第2のエンドプレート12bは、第2の外面S2側に位置してよい。第1のエンドプレート12aには、孔状の燃料ガスの入口13と、酸化剤ガスの入口15及び酸化剤ガスの出口16の一方とが形成されてよい。第2のエンドプレート12bには、孔状の燃料ガスの出口14と、酸化剤ガスの入口15及び酸化剤ガスの出口16の他方とが形成されてよい。前述のように、第1の実施形態においては、第1のエンドプレート12aに酸化剤ガスの入口15が形成され、第2のエンドプレート12bに酸化剤ガスの出口16が形成される。
【0026】
燃料ガスの入口13及び燃料ガス供給孔27は連続してよい。燃料ガスの出口14及び燃料ガス排出孔29は連続してよい。酸化剤ガスの入口15及び酸化剤ガス供給孔28は連続してよい。酸化剤ガスの出口16及び酸化剤ガス排出孔30は連続してよい。
【0027】
燃料ガスの入口13から供給される燃料ガスは、燃料ガス供給孔27を介して各燃料ガス室FRに流入してよい。酸化剤ガスの入口15から供給される酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給孔28を介して各酸化剤ガス室ORに流入してよい。各電気化学セル11の燃料ガス室FRに供給される燃料ガス及び各電気化学セル11の酸化剤ガス室ORに供給される酸化剤ガスの電気化学反応により、各電気化学セル11は発電する。
【0028】
以上のような構成の第1の実施形態の電気化学セルスタック10では、第1の外面S1に燃料ガスの入口13が位置し、第2の外面S2に燃料ガスの出口14が位置し、第1の外面S1及び第2の外面S2の一方に酸化剤ガスの入口15が位置し、他方に酸化剤ガスの出口16が位置する。例えば、一般的な電気化学セルスタックにおいて、燃料ガス及び酸化剤ガスそれぞれの入口及び出口を同一の面に位置させることが考えられる。そのような構造においては、
図6に示すように、燃料ガス及び酸化剤ガスは入口INから積層方向の一方向に向かって流れ、各電気化学セル11’内を積層方向に垂直な方向に流れ、積層方向の逆方向に向かって折返して流れて、出口OUTから排出される。これに対し、第1の実施形態の電気化学セルスタック10は、燃料ガス及び酸化剤ガスそれぞれは、積層方向において一方向に流れるため、燃料ガス及び酸化剤ガスが効率よく全体に行きわたり得るので、発電効率を向上させ得る。
【0029】
また、第1の実施形態の電気化学セルスタック10では、第1の外面S1に燃料ガスの入口13及び酸化剤ガスの入口15が位置し、第2の外面S2に燃料ガスの出口14及び酸化剤ガスの出口16が位置する。このような構成により、電気化学セルスタック10は、積層方向が鉛直方向に平行且つ第1の外面S1が鉛直下方に位置するように配置した場合、燃料ガス及び酸化剤ガスは鉛直下方から上方に一方向に流れる。したがって、電気化学セルスタック10は、複数の電気化学セル11の間で、圧力損失を低減し得る。その結果、電気化学セルスタック10は積層された複数の電気化学セル11間のガスの到達量の差を低減し得る。特に積層数が大きい場合、一般的な電気化学セルスタックにおいては、燃料ガス、酸化剤ガスともに、入口IN及び出口OUTから離れた電気化学セル11’にはガスが到達しにくい。そのため、一般的な電気化学セルスタックでは、新しいガスが入らず古いガスが滞留することによる性能バラツキ、寿命バラツキが生じ得た。一方で、上述の構成を有する電気化学セルスタック10は、複数の電気化学セル11の間で、ガスの到達量の差を低減し得ることにより、性能バラツキ及び寿命バラツキの発生を低減し、発電効率を向上できる。
【0030】
また、第1の実施形態の電気化学セルスタック10では、燃料ガスの入口13及び出口14は積層方向に垂直な任意の一方向における電気化学セルスタック10の両端に位置し、酸化剤ガスの入口15及び出口16は、積層方向に垂直な任意の一方向における電気化学セルスタック10の両端に位置する。このような構成により、電気化学セルスタック10は、各電気化学セル11において、燃料ガスを燃料ガス室FR全体に、酸化剤ガスを酸化剤ガス室全体に行きわたらせることができるので、発電効率を向上させ得る。
【0031】
また、第1の実施形態の電気化学セルスタック10では、酸化剤ガスの入口15は、積層方向から見て、燃料ガスの入口13及び出口14を結ぶ線分の中心よりも燃料ガスの入口13側に位置する。それにより、電気化学セルスタック10は、高温の燃料ガス及び酸化剤ガスは下方から上方に流れる距離を長くできるため、複数の電気化学セル11の間で、より圧力損失が低減し、より発電効率を向上させ得る。
【0032】
また、第1の実施形態の電気化学セルスタック10では、積層方向から見て、電気化学セルスタック10の平行な2辺の一方の辺の近傍に燃料ガスの入口13及び酸化剤ガスの入口15が位置し、他方の辺の近傍に燃料ガスの出口14及び酸化剤ガスの出口16が位置する。このような構成により、電気化学セルスタック10は、積層方向が水平方向に平行且つ燃料ガスの入口13及び酸化剤ガス13の近傍の辺が鉛直下方に位置するように配置した場合、燃料ガス及び酸化剤ガスは鉛直下方から上方に一方向に流れる。したがって、電気化学セルスタック10は、複数の電気化学セル11の間で、圧力損失を低減し得る。
【0033】
また、第1の実施形態の電気化学セルスタック10では、積層方向から見て、燃料ガスの入口13及び出口14を結ぶ線分と、酸化剤ガスの入口15及び出口16を結ぶ線分とが交差する。このような構成により、電気化学セルスタック10は、燃料ガスを燃料ガス室FR全体に、酸化剤ガスを酸化剤ガス室全体により行きわたらせることができるので、発電効率を更に向上させ得る。
【0034】
次に、本開示の第2の実施形態に係る電気化学セルスタックについて説明する。第2の実施形態では、燃料ガスの入口及び出口と、酸化剤ガスの入口及び出口との位置が第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0035】
図7に示すように、第2の実施形態の電気化学セルスタック100において、第1の実施形態と類似して、積層方向における一方の第1の外面S1に燃料ガスの入口130が位置する。また、第2の外面S2に燃料ガスの出口14が位置する。第2の実施形態においては、第1の実施形態と異なり、第1の外面S1に酸化剤ガスの出口160が位置し、第2の外面S2に酸化剤ガスの入口150が位置する。
【0036】
図8に示すように、燃料ガスの入口130及び燃料ガスの出口14は、第1の実施形態と類似して、積層方向に垂直な任意の一方向(
図8における上下方向)における電気化学セルスタック10の両端に位置してよい。第1の実施形態に類似して、酸化剤ガスの入口150及び酸化剤ガスの出口160は、積層方向に垂直な任意の一方向(
図8における上下方向)における電気化学セルスタック100の両端に位置してよい。
【0037】
酸化剤ガスの入口150は、第1の実施形態に類似して、積層方向から見て、燃料ガスの入口130及び燃料ガスの出口14を結ぶ線分の中心よりも燃料ガスの入口130側に位置してよい。酸化剤ガスの出口160は、第1の実施形態に類似して、積層方向から見て、燃料ガスの入口130及び燃料ガスの出口14を結ぶ線分の中心よりも燃料ガスの出口14側に位置してよい。
【0038】
第1の実施形態と異なり、積層方向から見て、燃料ガスの入口130及び燃料ガスの出口14を結ぶ線分と、酸化剤ガスの入口150及び酸化剤ガスの出口160を結ぶ線分とが交差しない。言換えると、積層方向から見て、燃料ガスの入口130及び燃料ガスの出口14を結ぶ線分の延長線と、酸化剤ガスの入口150及び酸化剤ガスの出口160を結ぶ線分の延長線とが交差する関係、又は平行な関係である。
【0039】
電気化学セルスタック100は、電池装置の一部として、積層方向が地表に対して水平になるように設置されてよい。積層方向が水平になるように設置される構成においては、更に、燃料ガスの出口14及び酸化剤ガスの出口160が、燃料ガスの入口130及び酸化剤ガスの入口150よりも上方に位置するように設置されてよい。
【0040】
以上のような構成の第2の実施形態の電気化学セルスタック100では、第1の実施形態と類似して、第1の外面S1に燃料ガスの入口130が位置し、第2の外面S2に燃料ガスの出口14が位置し、第1の外面S1及び第2の外面S2の一方に酸化剤ガスの入口150が位置し、他方に酸化剤ガスの出口160が位置する。したがって、電気化学セルスタック100は、第1の実施形態と類似して、燃料ガス及び酸化剤ガスが効率よく全体に行き亘り得るので、発電効率を向上させ得る。
【0041】
また、第2の実施形態の電気化学セルスタック100では、第1の実施形態に類似して、燃料ガスの入口130及び出口14は積層方向に垂直な任意の一方向における電気化学セルスタック100の両端に位置し、酸化剤ガスの入口150及び出口160は、積層方向に垂直な任意の一方向における電気化学セルスタック10の両端に位置する。したがって、電気化学セルスタック100は、各電気化学セル11において、燃料ガスを燃料ガス室FR全体に、酸化剤ガスを酸化剤ガス室全体に行きわたらせることができるので、発電効率を向上させ得る。
【0042】
また、第2の実施形態の電気化学セルスタック100では、酸化剤ガスの入口150は積層方向から見て燃料ガスの入口130及び燃料ガスの出口14を結ぶ線分の中心よりも燃料ガスの入口130側に位置し、積層方向から見て、燃料ガスの入口130及び燃料ガスの出口14を結ぶ線分の延長線と、酸化剤ガスの入口150及び酸化剤ガスの出口160を結ぶ線分の延長線とが交差する関係又は平行な関係である。このような構成により、電気化学セルスタック100は、燃料ガスの入口130及び燃料ガスの出口14と、酸化剤ガスの入口150及び酸化剤ガスの出口160とを互いに離し得る。したがって、電気化学セルスタック100は、燃料ガスの入口130及び燃料ガスの出口14と、酸化剤ガスの入口150及び酸化剤ガスの出口160とを別々に接続する配管の干渉を回避させるための設計における自由度を向上させる。
【0043】
次に、本開示の第3の実施形態に係る電気化学セルスタックについて説明する。第3の実施形態では、燃料ガスの入口及び出口と、酸化剤ガスの入口及び出口との位置が第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第3の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0044】
図9に示すように、第3の実施形態の電気化学セルスタック101において、第1の実施形態と類似して、積層方向における一方の第1の外面S1に燃料ガスの入口131が位置する。また、第2の外面S2に燃料ガスの出口141が位置する。第3の実施形態においては、第1の実施形態と類似して、第1の外面S1に酸化剤ガスの入口151が位置し、第2の外面S2に酸化剤ガスの出口161が位置する。
【0045】
図10に示すように、燃料ガスの入口131及び燃料ガスの出口141は、第1の実施形態に類似して、積層方向に垂直な任意の一方向(
図10における上下方向)における電気化学セルスタック101の両端に位置してよい。酸化剤ガスの入口151及び酸化剤ガスの出口161は、第1の実施形態に類似して、積層方向に垂直な任意の一方向(
図10における左右方向)における電気化学セルスタック101の両端に位置してよい。
【0046】
積層方向から見て、燃料ガスの入口131及び燃料ガスの出口141を結ぶ線分と、酸化剤ガスの入口151及び酸化剤ガスの出口161を結ぶ線分とが交点IP1において交差してよい。第3の実施形態では、第1の実施形態と異なり、積層方向から見た、燃料ガスの入口131及び交点IP1を結ぶ線分と、酸化剤ガスの入口151及び交点IP1を結ぶ線分との間の角度が45°を超え、135°未満であってよい。より具体的には、当該角度は90°であってよい。また、燃料ガスの入口131及び燃料ガスの出口141を結ぶ線分は、第1の外面S1の外縁において燃料ガスの入口131の近傍の一辺に垂直であってよい。また、酸化剤ガスの入口151及び酸化剤ガスの出口161を結ぶ線分は、第1の外面S1の外縁において酸化剤ガスの入口151の近傍の一辺に垂直であってよい。
【0047】
以上のような構成の第3の実施形態の電気化学セルスタック101では、第1の実施形態と類似して、第1の外面S1に燃料ガスの入口131が位置し、第2の外面S2に燃料ガスの出口141が位置し、第1の外面S1及び第2の外面S2の一方に酸化剤ガスの入口151が位置し、他方に酸化剤ガスの出口161が位置する。したがって、電気化学セルスタック101は、第1の実施形態と類似して、燃料ガス及び酸化剤ガスが効率よく全体に行き亘り得るので、発電効率を向上させ得る。
【0048】
また、第3の実施形態の電気化学セルスタック101では、第1の実施形態に類似して、燃料ガスの入口131及び出口141は積層方向に垂直な任意の一方向における電気化学セルスタック101の両端に位置し、酸化剤ガスの入口151及び出口161は、積層方向に垂直な任意の一方向における電気化学セルスタック101の両端に位置する。したがって、電気化学セルスタック101は、各電気化学セル11において、燃料ガスを燃料ガス室FR全体に、酸化剤ガスを酸化剤ガス室全体に行きわたらせることができるので、発電効率を向上させ得る。
【0049】
また、第3の実施形態の電気化学セルスタック101では、積層方向から見た、燃料ガスの入口131及び交点IPを結ぶ線分と、酸化剤ガスの入口151及び交点IPを結ぶ線分との間の角度が45°を超え、135°未満である。このような構成により、電気化学セルスタック101は、燃料ガスの入口131及び燃料ガスの出口141、並びに酸化剤ガスの入口151及び酸化剤ガスの出口161を互いに離し得る。したがって、電気化学セルスタック101は、燃料ガスの入口131及び燃料ガスの出口141、並びに酸化剤ガスの入口151及び酸化剤ガスの出口161に別々に接続する配管の干渉を回避させるための設計における自由度を向上させる。
【0050】
次に、本開示の第4の実施形態に係る電気化学セルスタックについて説明する。第4の実施形態では、燃料ガスの入口及び出口と、酸化剤ガスの入口及び出口との位置、及び電気化学セルの構造が第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第4の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0051】
図11に示すように、第4の実施形態の電気化学セルスタック102は、第1の実施形態に類似して、積層させた電気化学セル112と、積層させた電気化学セル112を積層方向における両端から挟持する第1のエンドプレート122a及び第2のエンドプレート122bとを含んでよい。電気化学セルスタック102において、第1の実施形態と類似して、積層方向における一方の第1の外面S1に燃料ガスの入口132が位置する。また、第2の外面S2に燃料ガスの出口142が位置する。第4の実施形態においては、第1の実施形態と類似して、第1の外面S1に酸化剤ガスの入口152が位置し、第2の外面S2に酸化剤ガスの出口162が位置する。
【0052】
第4の実施形態では第1の実施形態と異なり、電気化学セルスタック102において、燃料ガスの入口132及び燃料ガスの出口142の組、並びに酸化剤ガスの入口152及び酸化剤ガスの出口162の組の少なくとも一方において、積層方向における入口側に位置する少なくとも1つの電気化学セル112の流路は入口に連結される。また、積層された全電気化学セル112の流路は積層方向から見て当該入口とは異なる位置で内部流路に連結される。全電気化学セル112の中で、当該入口に連結された電気化学セル112以外の電気化学セル112の流路は積層方向から見て内部流路とは異なる位置で出口に連結される。このような構造について、以下に詳細に説明する。
【0053】
図12に示すように、燃料ガスの入口132及び燃料ガスの出口142の組と、後述する燃料ガスの内部流路312とは、積層方向に垂直な任意の方向(
図12における上下方向)における電気化学セルスタック102に両端に位置してよい。酸化剤ガスの入口152及び酸化剤ガスの出口162の組と、後述する酸化剤ガスの内部流路322とは、積層方向に垂直な任意の方向(
図12における左右方向)における電気化学セルスタック102に両端に位置してよい。
【0054】
積層方向から見て、燃料ガスの入口132及び燃料ガスの出口142の第1の中心点C1と燃料ガスの内部流路312とを結ぶ線分と、酸化剤ガスの入口152及び酸化剤ガスの出口162の第2の中心点C2と酸化剤ガスの内部流路322を結ぶ線分とが交点IP2において交差してよい。第4の実施形態では、第1の実施形態と異なり、積層方向から見た、第1の中心点C1及び交点IP2を結ぶ線分と、第2の中心点C2及び交点IP2を結ぶ線分との間の角度が45°を超え、135°未満であってよい。より具体的には、当該角度は90°であってよい。また、第1の中心点C1及び燃料ガスの内部流路312を結ぶ線分は、第1の外面S1の外縁において燃料ガスの入口132の近傍の一辺に垂直であってよい。また、第2の中心点C2及び酸化剤ガスの内部流路322を結ぶ線分は、第1の外面S1の外縁において酸化剤ガスの入口152の近傍の一辺に垂直であってよい。
【0055】
図11に示すように、電気化学セル112は、入口側電気化学セル112a及び出口側電気化学セル112bを含む。入口側電気化学セル112a及び出口側電気化学セル112bの数は、同一であってよい。
【0056】
図13に示すように、入口側電気化学セル112aは、第1の実施形態と類似して、板状の電解質膜17が、両板面側から、燃料極18及び空気極19を介して2枚の入口側インターコネクタ202aに挟持されてよい。2枚の入口側インターコネクタ202aの間は、入口側フレーム212aにより密封されてよい。
【0057】
図14、15に示すように、入口側フレーム212aには、第1の実施形態と異なり、入口側インターコネクタ202aとともに、第1の燃料ガス通過孔232、第3の燃料ガス通過孔332、第1の酸化剤ガス通過孔252、及び第3の酸化剤ガス通過孔342が形成されてよい。第1の燃料ガス通過孔232、第3の燃料ガス通過孔332、第1の酸化剤ガス通過孔252、及び第3の酸化剤ガス通過孔342は、入口側フレーム212aの厚さ方向、言換えると、枠の軸方向に平行で貫通していてよい。
【0058】
図14に示すように、入口側フレーム212aの一部に孔が形成されることにより、燃料ガス室FRと、第1の燃料ガス通過孔232及び第3の燃料ガス通過孔332とが連通してよい。
図15に示すように、入口側フレーム212aの一部に孔が形成されることにより、酸化剤ガス室ORと、第1の酸化剤ガス通過孔252及び第3の酸化剤ガス通過孔342とが連通してよい。
【0059】
図16に示すように、出口側電気化学セル112bは、第1の実施形態と類似して、板状の電解質膜17が、両板面側から、燃料極18及び空気極19を介して2枚の出口側インターコネクタ202bに挟持されてよい。2枚の出口側インターコネクタ202bの間は、出口側フレーム212bにより密封されてよい。
【0060】
図17、18に示すように、出口側フレーム212bには、第1の実施形態と異なり、出口側インターコネクタ202bとともに、第2の燃料ガス通過孔242、第3の燃料ガス通過孔332、第2の酸化剤ガス通過孔262、及び第3の酸化剤ガス通過孔342が形成されてよい。第2の燃料ガス通過孔242、第3の燃料ガス通過孔332、第2の酸化剤ガス通過孔262、及び第3の酸化剤ガス通過孔342は、出口側フレーム212bの厚さ方向、言換えると、枠の軸方向に平行で貫通していてよい。
【0061】
図17に示すように、出口側フレーム212bの一部に孔が形成されることにより、燃料ガス室FRと、第2の燃料ガス通過孔242及び第3の燃料ガス通過孔332とが連通してよい。
図18に示すように、出口側フレーム212bの一部に孔が形成されることにより、酸化剤ガス室ORと、第2の酸化剤ガス通過孔262及び第3の酸化剤ガス通過孔342とが連通してよい。
【0062】
入口側電気化学セル112aは、各入口側電気化学セル112aの第1の燃料ガス通過孔232が連続し、各入口側電気化学セル112aの第3の燃料ガス通過孔332が連続し、各入口側電気化学セル112aの第1の酸化剤ガス通過孔252が連続し、各入口側電気化学セル112aの第3の酸化剤ガス通過孔342が連続するように、積層されてよい。
【0063】
出口側電気化学セル112bは、各出口側電気化学セル112bの第2の燃料ガス通過孔242が連続し、各出口側電気化学セル112bの第3の燃料ガス通過孔332が連続し、各出口側電気化学セル112bの第2の酸化剤ガス通過孔262が連続し、各出口側電気化学セル112bの第3の酸化剤ガス通過孔342が連続するように、積層されてよい。
【0064】
積層させた複数の入口側電気化学セル112aと積層させた複数の出口側電気化学セル112bは、各入口側電気化学セル112a及び各出口側電気化学セル112bの第3の燃料ガス通過孔332が連続し、各入口側電気化学セル112a及び各出口側電気化学セル112bの第3の燃料ガス通過孔332が連続するように積層されてよい。
【0065】
図11に示すように、このように積層させることにより、複数の入口側電気化学セル112aの第1の燃料ガス通過孔232により、積層方向に平行な燃料ガス供給孔272が形成されてよい。上述の構成により、燃料ガス供給孔272は、各入口側電気化学セル112aの燃料ガス室FR(電気化学セルの流路)に連結される。
【0066】
また、複数の入口側電気化学セル112aの第1の酸化剤ガス通過孔252により、積層方向に平行な酸化剤ガス供給孔282が形成されてよい。上述の構成により、酸化剤ガス供給孔282は、各入口側電気化学セル112aの酸化剤ガス室OR(電気化学セルの流路)に連結される。
【0067】
また、複数の出口側電気化学セル112bの第2の燃料ガス通過孔242により、積層方向に平行な燃料ガス排出孔292が形成されてよい。上述の構成により、燃料ガス排出孔292は、各出口側電気化学セル112bの燃料ガス室FR(電気化学セルの流路)に連結される。
【0068】
また、複数の出口側電気化学セル112bの第2の酸化剤ガス通過孔262により、積層方向に平行な酸化剤ガス排出孔302が形成されてよい。上述の構成により、酸化剤ガス排出孔302は、各出口側電気化学セル112bの酸化剤ガス室OR(電気化学セルの流路)に連結される。
【0069】
また、全入口側電気化学セル112a及び全出口側電気化学セル112bの第3の燃料ガス通過孔332により、積層方向に平行な燃料ガスの内部流路312が形成されてよい。上述の構成により、燃料ガスの内部流路312は、各入口側電気化学セル112a及び各出口側電気化学セル112bの燃料ガス室FR(電気化学セルの流路)に連結される。
【0070】
また、全入口側電気化学セル112a及び全出口側電気化学セル112bの第3の酸化剤ガス通過孔342により、積層方向に平行な酸化剤ガスの内部流路322が形成されてよい。上述の構成により、酸化剤ガスの内部流路322は、各入口側電気化学セル112a及び各出口側電気化学セル112bの酸化剤ガス室OR(電気化学セルの流路)に連結される。
【0071】
図11に示すように、第1のエンドプレート122aは、第1の外面S1側に位置してよい。第2のエンドプレート122bは、第2の外面S2側に位置してよい。第1のエンドプレート122aには、孔状の燃料ガスの入口132と、酸化剤ガスの入口152とが形成されてよい。第2のエンドプレート122bには、孔状の燃料ガスの出口142と、酸化剤ガスの出口162とが形成されてよい。
【0072】
燃料ガスの入口132及び燃料ガス供給孔272は連続してよい。したがって、燃料ガスの入口132は、燃料ガス供給孔272を介して、入口側電気化学セル112aの燃料ガス室FR(電気化学セルの流路)に連結される。燃料ガスの出口142及び燃料ガス排出孔292は連続してよい。したがって、燃料ガスの出口142は、燃料ガス排出孔292を介して、出口側電気化学セル112bの燃料ガス室FR(電気化学セルの流路)に連結される。酸化剤ガスの入口152及び酸化剤ガス供給孔282は連続してよい。したがって、酸化剤ガスの入口15は、酸化剤ガス供給孔282を介して、入口側電気化学セル112aの酸化剤ガス室OR(電気化学セルの流路)に連結される。酸化剤ガスの出口162及び酸化剤ガス排出孔302は連続してよい。したがって、酸化剤ガスの出口162は、酸化剤ガス排出孔302を介して、出口側電気化学セル112bの酸化剤ガス室OR(電気化学セルの流路)に連結される。
【0073】
図19に示すように、燃料ガスの入口132から供給される燃料ガスは、燃料ガス供給孔272を介して入口側電気化学セル112aの各燃料ガス室FRに流入してよい。各燃料ガス室FRに流入した燃料ガスは、燃料ガスの内部流路312に流出して、出口側電気化学セル112bの各燃料ガス室FRに流入してよい。出口側電気化学セル112bの各燃料ガス室FRに流入した燃料ガスは、燃料ガス排出孔292及び燃料ガスの出口142を介して電気化学セルスタック102から排出されてよい。
【0074】
図20に示すように、酸化剤ガスの入口152から供給される酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給孔282を介して入口側電気化学セル112aの各酸化剤ガス室ORに流入してよい。各酸化剤ガス室ORに流入した燃料ガスは、酸化剤ガスの内部流路322に流出して、出口側電気化学セル112bの各酸化剤ガス室ORに流入してよい。出口側電気化学セル112bの各酸化剤ガス室ORに流入した燃料ガスは、酸化剤ガス排出孔3022及び酸化剤ガスの出口162を介して電気化学セルスタック102から排出されてよい。
【0075】
以上のような構成の第4の実施形態の電気化学セルスタック102では、第1の実施形態と類似して、第1の外面S1に燃料ガスの入口132が位置し、第2の外面S2に燃料ガスの出口142が位置し、第1の外面S1及び第2の外面S2の一方に酸化剤ガスの入口152が位置し、他方に酸化剤ガスの出口162が位置する。したがって、電気化学セルスタック102は、第1の実施形態と類似して、燃料ガス及び酸化剤ガスが効率よく全体に行き亘り得るので、発電効率を向上させ得る。
【0076】
また、第4の実施形態の電気化学セルスタック102では、燃料ガスの入口132及び燃料ガスの出口142の組、並びに酸化剤ガスの入口152及び酸化剤ガスの出口162の組の少なくとも一方において、積層方向における入口側に位置する少なくとも1つの電気化学セル112の流路は入口に連結され、積層された全電気化学セルの流路は積層方向から見て当該入口とは異なる位置で内部流路に連結され、全電気化学セル112の中で当該入口に連結された電気化学セル112以外の電気化学セル112の流路は積層方向から見て内部流路とは異なる位置で出口に連結される。このような構成により、電気化学セルスタック102では、燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも一方が内部で通過する流路が長く形成され得る。したがって、電気化学セルスタック102は、燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも一方をガスの流路全体により行きわたらせ得るので、発電効率を向上させ得る。
【0077】
本開示の内容は、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことができる。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれる。例えば、各実施形態において、各機能部、各手段、各ステップなどは論理的に矛盾しないように他の実施形態に追加し、若しくは、他の実施形態の各機能部、各手段、各ステップなどと置き換えることが可能である。また、各実施形態において、複数の各機能部、各手段、各ステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上述した本開示の各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施することもできる。
【符号の説明】
【0078】
10、100、101、102 電気化学セルスタック
11、112 電気化学セル
112a 入口側電気化学セル
112b 出口側電気化学セル
12a、122a 第1のエンドプレート
12b 第2のエンドプレート
13、130、131、132 燃料ガスの入口
14、141、142 燃料ガスの出口
15、150、151、152 酸化剤ガスの入口
16、160、161、162 酸化剤ガスの出口
17 電解質膜
18 燃料極
19 空気極
20 インターコネクタ
202a 入口側インターコネクタ
21 フレーム
212a 入口側フレーム
212b 出口側フレーム
22 畝部
23、232 第1の燃料ガス通過孔
24、242 第2の燃料ガス通過孔
25、252 第1の酸化剤ガス通過孔
26、262 第2の酸化剤ガス通過孔
27、272 燃料ガス供給孔
28、282 酸化剤ガス供給孔
29、292 燃料ガス排出孔
30,302 酸化剤ガス排出孔
312 燃料ガスの内部流路
322 酸化剤ガスの内部流路
332 第3の燃料ガス通過孔
342 第3の酸化剤ガス通過孔
C1 第1の中心点
C2 第2の中心点
FR 燃料ガス室
IP1、IP2 交点
OR 酸化剤ガス室
S1 第1の外面
S2 第2の外面