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特開2022-104140植物工場用栽培装置及び植物の栽培方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104140
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】植物工場用栽培装置及び植物の栽培方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/24 20060101AFI20220701BHJP
   A01G 9/20 20060101ALI20220701BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
A01G9/24 G
A01G9/20 B
A01G7/00 601A
A01G7/00 601Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219167
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(72)【発明者】
【氏名】安藤 文彦
(72)【発明者】
【氏名】居 堯
(72)【発明者】
【氏名】山木 進二
【テーマコード(参考)】
2B022
2B029
【Fターム(参考)】
2B022DA01
2B022DA05
2B022DA19
2B029KB03
2B029PA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】チップバーンを抑制することが可能な植物工場用栽培装置を提供する。
【解決手段】植物工場用栽培装置100は、植物を載せるパネル5と、前記パネルよりも上方に配置された送風装置11と、を備え、前記送風装置は、前記パネルが広がる基準面と平行に送風することが可能な装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を載せるパネルと、前記パネルよりも上方に配置された送風装置と、を備え、
前記送風装置は、前記パネルが広がる基準面と平行に送風することが可能な装置である、植物工場用栽培装置。
【請求項2】
前記送風装置は、前記基準面から15cm以上20cm以下離れた位置に配置されている、請求項1に記載の植物工場用栽培装置。
【請求項3】
植物を載せる前記パネルを収容する栽培容器と、
前記パネルと対向する光源と、
前記基準面と直交する側面に少なくとも1つの反射板と、をさらに有し、
前記送風装置は、前記反射板に備えられる、請求項1または2に記載の植物工場用栽培装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の植物工場用栽培装置を用いて植物を栽培する、植物の栽培方法。
【請求項5】
前記基準面と直交する側面である第1側面において、外部から給気し、
前記第1側面と対向する第2側面において、内部の空気を外部へ排気する、請求項4に記載の植物の栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物工場用栽培装置及び植物の栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物工場では、植物に人工光を照射して植物を栽培する。その場合、人工光の種類、強度などを調節して、植物の生長を促進することで、栽培期間を短縮して、同一場所での収穫回数を増やすことができる。また、同じ栽培期間であっても、植物をより大きく成長させることができれば、収穫量を増やすことができる。
【0003】
現状の植物工場においては、植物を効率よく成長させる光照射条件などに様々な手段が提案されている。しかしながら、これらの条件を用いた場合、植物にチップバーンが発生することがあることが知られている。チップバーンの原因には、植物体における局所的なカルシウム不足があげられている。この局所的なカルシウム不足を防ぎ、チップバーンを押さえるための手段の一つとして、植物体、特にその内葉に送風することが知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、その下部にスロット吹き出し口を形成したソックダクトを利用して、植物に直接送風を行う仕組みを有する植物工場について開示されている。特許文献1では、ソックダクトにスリットを形成し、スリットから斜め下や、下に向かって植物に直接送風することで、チップバーン発生指数が低下したと開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-11564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ソックダクトは均一な気流を発生させるための装置ではなく、特許文献1に開示された方法では、チップバーンの発現を十分に抑制することはできなかった。そのため依然として、植物にチップバーンが発現することを抑制することか可能な簡便で、取り扱いの容易い仕組みを有する、植物工場用栽培装置および植物の栽培方法が求められている。本発明は、上記事情を鑑みてなされた発明であり、チップバーンを抑制することが可能な植物工場用栽培装置および植物の栽培方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、例えば以下の態様を含む。
(1)本発明の第一の態様に係る植物工場用栽培装置は、植物を載せるパネルと、前記パネルよりも上方に配置された送風装置と、を備え、前記送風装置は、前記パネルが広がる基準面と平行に送風することが可能な装置である。
【0008】
(2)上記態様に係る植物工場用栽培装置において、前記送風装置は前記基準面から15cm以上20cm以下離れた位置に配置されていてもよい。
【0009】
(3)上記態様に係る植物工場用栽培装置は、植物を載せる前記パネルを収容する栽培容器と、前記パネルと対向する光源と、前記基準面と直交する側面に少なくとも1つの反射板と、をさらに有し、前記送風装置は、前記反射板に備えられていてもよい。
【0010】
(4)本発明の第二の態様に係る植物の栽培方法は、上記態様に係る植物工場用栽培装置を用いて植物を栽培する。
【0011】
(5)上記態様に係る植物の栽培方法は、前記基準面と直交する側面である第1側面において、外部から給気し、前記第1側面と対向する第2側面において、内部の空気を外部へ排気する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の植物工場用栽培装置によれば、植物工場において、植物を生育する際に、チップバーンの発生を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る植物工場用栽培装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る植物工場用栽培装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る植物工場用栽培装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る植物工場用栽培装置に用いることのできる反射板の構成図である。
図5】実施例1及び比較例1のチップバーン発生頻度を示すグラフである。
図6】実施例1の植物工場用栽培装置における風速データを示すグラフである。
図7】実施例2及び比較例2のチップバーン発生頻度を示すグラフである。
図8】実施例2の植物工場用栽培装置における風速データを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る植物工場用栽培装置及び植物の栽培方法について図を適宜参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。例えば、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の数、向き、寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材質、数、向き、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0015】
先ず、方向について定義する。後述するパネル5が広がる面を基準面とする(図1参照)。x方向およびy方向は、基準面と平行な方向である。x方向とy方向とは垂直に交わる。x方向は、第1方向の一例である。z方向は、基準面と直交する方向である。
【0016】
[植物工場用栽培装置]
本発明の実施形態における、植物工場用栽培装置とは、例えば植物工場において植物を栽培する空間のことを言い、例えば植物を載せるパネル、その下に水耕栽培を行う際の養液が流れる栽培プール、光を照射するための照明(光源)、およびその照明を保持するための上面の板、さらに、栽培する空間内の側面に設置される反射板などを有する。
【0017】
図1は、第1実施形態に係る植物工場用栽培装置100の構成を概略的に示す斜視図である。
【0018】
植物工場用栽培装置100は、例えばフレーム部1とパネル5が上面に位置する栽培プール3とフレーム部1の側面に位置する反射板10と送風装置11と排気装置12と照明13とを有する。植物工場用栽培装置は、植物工場用栽培棚ともいう。
【0019】
フレーム部1は、植物工場用栽培装置100の概形を構成する。フレーム部1は、例えばxy平面に広がる底面1aとz方向に延びる枠体1bとを有する。底面1aと対向するように図示を省略する上面を有していてもよい。尚、底面1aは、z方向に重なる栽培装置の上面と一体であってもよい。
【0020】
図1に示す植物工場用栽培装置100は、植物工場用栽培装置の一部であってもよく、全体であってもよい。図1に示す植物工場用栽培装置100が植物工場用栽培装置の一部である場合、底面1aがy方向にさらに広がり、植物工場用栽培装置100がy方向に並ぶ。
【0021】
或いは、枠体1bがz方向にさらに延び、植物工場用栽培装置100がz方向に重なってもよい。この場合、植物工場用栽培装置100は、上面の板で区切られた、上下に連なったいくつかの段の一部である。各板の間隔は、例えば高さ30センチ以上60センチ以下の間隔で設置される。各板の間隔が30cm以上であると、植物を栽培するための十分な高さが確保でき、排熱が滞りづらい。60cm以下では、高さ方向に積層可能な栽培装置の数を多く確保できるため製造コストを抑えられる。なお、各板の間隔は、35cm以上55cm以下や、40cm以上50cm以下であることが好ましい。
【0022】
底面1aには、例えば栽培プール3が配置される。栽培プール3には、例えば植物を成長させるための水や養分が備えられる。
【0023】
栽培プール3の上面には、パネル5が広がる。本実施形態において、パネル5の広がる面を基準面という。パネル5は、例えば複数の定植スポット7を有する。定植スポット7には、植物を定植することが可能である。定植スポット7は、例えばパネル5のx方向およびy方向に並ぶ。植物が成長するためのスペースや光、水、養分、及び空気の通り道を確保するため、定植スポット7同士の距離を離して配置してもよい。定植スポット7は、例えば斜方格子状や、正方格子状に配置される。
【0024】
パネル5と対向する位置には、例えば光源パネル13が位置する。光源パネル13は、内部に光源を有する。光源は、パネル5に移植された植物に人口光を照射する。光源パネル13は、例えば4本の枠体1bのいずれともつながるように配置されてもよく、枠体1bから離間して配置されてもよい。光源パネル13は、光源パネル13自体が上面であってもよく、図示を省略する上面に取り付けられていてもよい。すなわち、光源13パネルは、z方向に重なる植物工場用栽培装置の底面の裏側に配置されていてもよい。光源パネル13は、例えば栽培する植物の+z方向30cm~45cmの位置に設置される。30cm以上であれば、植物の効率的な成長に十分な空間が確保される。45cm以下であれば、植物を効率的に成長させるために必要な光が植物に十分に届き、さらに、空間の有効利用が可能になる。
【0025】
光源の種類としては、公知の光源を単独で又は組み合わせて用いることができる。光源には、波長選択が容易で、有効波長域の光エネルギーの占める割合が大きい光を放射する発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)などの光半導体素子を用いることが好ましい。エレクトロルミネッセンス(EL)を用いる場合、ELは有機であっても無機であってもよい。
【0026】
光半導体素子は、小型で寿命が長く、材料によって特定の波長で発光して不要な熱放射がないためエネルギー効率が良く、植物に近接照射しても葉焼け等の障害が起こらない。このため、光半導体素子を光源に用いることで、他の光源に比べて、より低電力コストで、より省スペースで栽培を行うことが可能となる。
【0027】
光源として光半導体素子を用いる場合、1つの赤色光半導体素子と1つの青色光半導体素子を組み合わせて実装したSMD(2 Chips Surface Mount Device)を線状に配列したSMDライン光源や、赤色光半導体素子あるいは青色光半導体素子のどちらか一方のみを線状あるいは面状に配列した単色ライン光源あるいは単色パネル光源などを使用してもよい。
【0028】
上記波長域の光を放射するLEDとしては、例えば赤色LEDには、昭和電工株式会社から製品番号HRP-350Fとして販売されているアルミニウム・ガリウム・インジウム・リン系発光ダイオード(ガリウム・リン系基板、赤色波長660nm)などがあり、青色LEDには同社製品番号GM2LR450Gの発光ダイオードなどが用いられる。その他、白色LEDを用いてもよい。
【0029】
発光ダイオード以外の光源としては、例えば直管形及びコンパクト形の蛍光ランプ及び電球形蛍光ランプ、高圧放電ランプ、メタルハライドランプ、レーザーダイオードなどが挙げられる。これらの光源に組み合わせて、上記波長域の光を選択的に利用するための光学フィルタを用いてもよい。
【0030】
光源パネル13の光源として、上述のような光源を用いる場合、例えば図示しない制御部をさらに有する。制御部は、光の強さを調節する。制御部は、光照射部から照射される光の光量(強度)、波長及び/又は照射時間を所定値に維持するか、あるいは所定のパターンで変化させる。
【0031】
制御部は、汎用のコンピューターを用いて構成することができる。例えば光源としてLEDを用いる場合、本実施形態で開示する範囲に光の強度が保たれるように、制御部の、メモリやハードディスクに予め、データを保持、記憶し、その制御パターンに基づいて、LEDの駆動電流の大きさを調整する。
【0032】
底面1aと直交する面を植物工場用栽培装置100の側面という。側面は、例えば隣接する2つの枠体1bの間の部分である。以下、説明の便宜上4つの側面を区別する場合、-x方向に位置する側面を第1側面といい、第1側面と対向する面を第2側面といい、第1側面と第2側面と繋がる面のうち+y方向に位置する面を第3側面といい、-y方向に位置する面を第4側面という。
【0033】
側面には、例えば反射板10が配置される。反射板10は、植物工場用栽培装置100内の光が漏れることを抑制するために備えられる。そのため、反射板10は、例えば95%以上の高い反射率を有する。反射板10は、例えば95%以上の反射率を持つ素材で作られたものである。反射板10は、例えば隣接する枠体1bの間の開口部全体を覆い、少なくとも枠体1bのうち基準面から照明13の高さ迄を覆っている。反射板10は、図1において第1側面及び第2側面に配置されるように、単体で1つの側面を覆っていてもよく、第3側面を覆うように複数枚が並ぶことにより、1つの側面を覆っていてもよい。尚、図1に置いては、説明の便宜上、第4側面を覆う反射板の図示を省略している。反射板10は、植物工場用栽培装置100に応じた大きさであり、例えば栽培棚側面の開口部に合わせた30cm×128cmの大きさの板からなる。また側面のうちのいずれかには、反射板を配置せず、解放部としてもよい。
【0034】
側面の開口部が反射板10で覆われることで、例えば底面1aと光源パネル13と反射板10と上面とにより形成された、光閉じ込め空間を形成することができる。すなわち、光を植物に有効に照射し、効率的な光合成を可能にする。
【0035】
反射板10は、植物工場用栽培装置100の側面に容易に取り付け取り外しできる構造を有していることが望ましい。反射板10が取り外し可能であることで、植物工場用栽培装置100の中に植物を固定及び取り出しが容易になる。また後述する通り、反射板10には送風装置11や排気装置12が備えられる場合がある。このような場合、反射板10を取り換えることにより、比較的自由に送風装置及び排気装置を設置する場所を変化させることができる。
【0036】
植物工場用栽培装置100は、側面の少なくとも1つの面に送風装置11を有する。送風装置11は、植物工場用栽培装置100においてx方向およびy方向のうち、長手方向に沿って送風するように長手方向に直交する面に配置されていてもよく、短手方向に沿って送風するように短手方向に直交する面に配置されていてもよい。送風装置11は、パネル5が広がる基準面と平行な方向に送風することが可能な装置である。
【0037】
送風装置11は、例えば植物工場用栽培装置の外部の空気を植物工場用栽培装置100内に給気する。送風装置11としては、基準面に平行な方向に送風することが可能な装置であれば、公知の送風装置を用いることができる。例えば、送風装置11は、空気管や、送風ファンである。送風装置11は、効率よく風を送る観点では、送風ファンであることが好ましい。送風ファンとしては、例えば、SANACE 9G1212H401(山洋電気株式会社製)などを送風装置11として好適に使用できる。送風ファンは、ファン径が10cm~15cmのものが好ましい。
【0038】
ここで、送風装置11に関して、パネル5が広がる基準面に平行な方向に送風することが可能とは、例えば送風装置11から給気される風の主流が基準面と略平行であることである。ここで、送風装置11から給気される風の主流が基準面と略平行であるとは、例えば送風装置11から給気される風のうち基準面と略平行な方向に流れる風が最も高い比率であることを意味する。そのため、送風装置11から給気される風の主流は、送風装置11から給気される風の例えば、40%以上、50%以上、60%以上、又は75%以上等であってもよい。基準面と略平行とは、例えば基準面に対し5度以内の傾斜を許容するものであり、3度以内の傾斜を許容するものであることが好ましい。このように、植物工場用栽培装置100においては、送風装置11が送風する風が基準面に対して多少傾斜することを許容する。
【0039】
送風装置11は、栽植される植物の側面と対向するように配置されていることが好ましい。
【0040】
送風装置11は、栽植される植物より上方に配置される。例えば、送風装置11は、基準面から15cm以上20cm以下離れた位置に配置されている。すなわち、送風装置11の基準面からの高さhは、例えば15cm以上20cm以下である。ここで、送風装置11の基準面からの高さhとは、基準面から送風装置11の最下点までの高さのことをいう。尚、送風装置11は、外部に電源や制御部を有している場合があるが、上記送風装置11の配置は、送風装置の吹き出し口または空気管に関するものである。
【0041】
このような配置にすることで、栽植する植物に風が直接当たることを抑制できる。植物が成長すると植物の高さは高くなるが、送風装置11の設置位置は、最終的に収穫する際にも植物に直接風が当たらない場所であることが望ましい。最終的に収穫する際にも植物に直接風が当たらないようにする観点では、送風装置11の設置位置は、収穫直前の植物の上空5~10cmの位置であることが好ましい。すなわち、本実施形態に係る植物栽培層栽培装置100において、送風装置11により直接植物に風を当てることを意図した設計ではなく、送風装置11による風がなるべく直接植物に当たらないようにすることを意図しており、特許文献1の技術思想とは逆行する。
【0042】
送風装置11は、例えば0.5m/秒以上や、1m/秒以上の風速で送風する。送風装置自体が発生させる風速は、好ましくは1.0~3.0m/秒であり、更に好ましくは1.5~2.5m/秒である。
【0043】
風速は風速計クリモマスター6501-B0(日本カノマックス社製)とクリモマスタープローブ6533-21(日本カノマックス社製)を使用して基準面から15cm~20cm上方で測定し、30秒間の平均値をその測定点の風速とする。
【0044】
送風装置11は、例えば、第1側面の反射板10に備えられ、フレーム部1に直接固定されてもよい。植物工場用栽培装置100においては、送風装置11は、第1側面の反射板10に固定される。本実施形態において、送風装置11が固定された反射板を第1反射板10Aという。
【0045】
送風装置11は、少なくとも1つ備えられていればよく、植物工場用栽培装置100の大きさに応じて複数備えられていてもよい。複数の送風装置11を備えることで、植物工場用栽培装置100内の風の条件を整えやすい。
【0046】
植物工場用栽培装置100において、送風装置11が設置された側面と対向する側面には、排気装置12が配置されている。排気装置12は、例えば第2側面の反射板10に配置され、フレーム部1に直接固定されてもよい。本実施形態において、排気装置12が備えられた反射板を第2反射板10Bという。
【0047】
排気装置12は、植物工場用栽培装置100の内部の空気を外部へ排気する。排気装置12は、例えば空気管や排気ファンである。排気装置12は、少なくとも1つ備えられていればよく、複数備えられていてもよい。排気装置12は、例えば送風装置11と対向するように配置される。
【0048】
このように植物工場用栽培装置100の1つの側面から内部へ空気を給気し、この側面と対向する側面において内部の空気を外部へ排気する送風パターンを送風パターン1という。
【0049】
本実施形態による植物工場用栽培装置100においては、植物の栽培面上空に空気を送ることで、植物工場用栽培装置100内の空気の流動を促すことができる。具体的には、送風装置11により送風された空気が植物の上方に流れることで、ベルヌーイの定理により植生内の空気を植生外に移動させることができる。より具体的には、植物周辺の空気を植物の上方に向かって流動させることができる。そのため、植物周辺が高湿度状態になることを防ぎ、葉表面からの蒸散を促進する。従って、本実施形態に係る植物工場用栽培装置100では、根から養液の吸収が促進され、カルシウムが葉全体に行き渡り、チップバーンの発生を抑制する効果を得られる。また、人工光による植物の迅速な成長と両立も可能である。
【0050】
ここで、ベルヌーイの定理とは、空気や水の流れが速くなると、その速くなった部分は圧力が低くなり、速く流れるほど圧力は下がり、まわりの空気や水が流れこむ現象をいう。このように、本実施形態に係る植物工場用栽培装置100においては、比較的簡便に植生内の空気や水の流動を促すことができる。
【0051】
また、本実施形態に係る植物工場用栽培装置100では、植物を載せるパネル5に平行な方向、かつ、植物の側面から送風することで、大型化になっても、均一な送風条件を設定できる。
【0052】
尚、本実施形態に係る植物工場用栽培装置100は、図示した例に限定されず、その要旨を満たす範囲で種々の変更が可能である。例えば、反射板10と光源パネル13とは接していてもよい。また第1側面と第2側面ではなく、第3側面と第4側面にそれぞれ第1反射板10A、第2反射板10Bを配置してもよい。またx方向における中間地点に基準面と平行+x方向に送風することが可能な送風ファンをさらに備えてもよい。
【0053】
本実施形態に係る植物工場用栽培装置100は、公知の手段を活用して製造される。第1反射板10A及び第2反射板10Bは、例えば公知の反射板の所定の位置に必要に応じて開口を形成し、送風装置11、排気装置12を設置することで製造される。
【0054】
[変形例1]
図2は、変形例1に係る植物工場用栽培装置100Aの構成を概略的に示す斜視図である。変形例1に係る植物工場用栽培装置100Aは、第2側面が排気装置12を有さず、送風装置11を有する点で第1実施形態に係る植物工場用栽培装置100と異なる。すなわち、植物工場用栽培装置100Aは、対向する2つの側面に送風装置11を有する。変形例1において、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0055】
植物工場用栽培装置100Aでは、第1側面および第2側面の送風装置11により基準面と平行に送風する。このように、対向する2つの側面から給気する送風パターンを送風パターン2という。
【0056】
尚、植物工場用栽培装置100Aは、第1側面、第2側面、第3側面及び第4側面の少なくとも一つの面に排気装置12をさらに備えていてもよい。排気装置12は、好ましくは送風装置11を有さない側面に備えられる。
【0057】
このように植物工場用栽培装置は、複数の側面に送風装置を備えていてもよい。また、第1側面~第4側面から選択される3つの面に送風装置11を備えていてもよく、全ての側面に送風装置を備えていてもよい。
【0058】
変形例1に係る植物工場用栽培装置100Aであっても、第1実施形態に係る植物工場用栽培装置100と同様の効果を得られる。
【0059】
植物工場用栽培装置100Aは、植物工場用栽培装置100の第2反射板10Bを第1反射板10Aに取り換えることで製造される。
【0060】
[変形例2]
図3は、変形例2に係る植物工場用栽培装置100Bの構成を概略的に示す。変形例2に係る植物工場用栽培装置100Bは、短手方向に直交する第3側面に、送風装置11を備えた第1反射板10Aを備える。尚、第3側面には、送風装置11を備えた第1反射板10A及び送風装置11を備えない第3反射板10Cを並べて配置してもよい。また第4側面には、排気装置12を備えた第2反射板及び送風装置11を備えない第3反射板10Cを並べて配置してもよい。植物工場用栽培装置100Bにおいて、送風装置11は、例えば。基準面と平行に、かつ短手方向に沿って送風する。変形例2において、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0061】
植物工場用栽培装置100Bでは、長手方向第1側面及び第2側面は送風装置11を備えない。図3に示す植物工場用栽培装置100Bにおいては、第1側面及び第2側面に送風装置及び排気装置を備えない第3反射板10Cが配置される。尚、植物工場用栽培装置100Bにおいては、長手方向と直交する第1側面及び第2側面に反射板を配置せず、解放部としてもよい。
【0062】
第3側面と対向する第4側面には、第1反射板10A、第2反射板10B、第3反射板10Cから選択されるいずれかの反射板が配置される。図3においては、説明の便宜上、第4側面に配置された反射板の図示を省略する。
【0063】
変形例2に係る植物工場用栽培装置100Bであっても、第1実施形態に係る植物栽培用栽培100と同様の効果が得られる。また変形例2に係る植物工場用栽培装置100Bでは、植物の上方の広域に均一な送風条件で送風しやすい。
【0064】
変形例2に係る植物工場用栽培装置100Bにおいて、第3側面及び第4側面に第1反射板10Aを配置する場合(送風パターン2)、例えば、図4に示すような対向させたときに互い違いな位置に送風装置中心が配置された第1反射板10Aa、10Abを用いてもよい。尚、植物工場用栽培装置100B内に送風された空気は、x方向あるいは反射板下部の隙間から排気される。
【0065】
このように、植物工場用栽培装置は、第1側面~第4側面のいずれの面に送風装置11を有していてもよい。好ましくは、短手方向に直交する面である第3側面と第4側面との少なくとも一方の面に送風装置11を備える。
【0066】
[植物の栽培方法]
本発明はまた、上記実施形態に係る植物工場用栽培装置を用いた、植物の栽培方法にも関する。
【0067】
本栽培法では、植物を載せるパネルに植物苗を移植したのち、人工光を照射することにより植物を栽培する。植物は栽培プールからの水分と養分を吸収しながら、成長する。
【0068】
植物工場における光の照射方法は特に制限はないが、植物に早く成長させることに効果がある、赤色光と青色光を交互に照射する方法などであることが好ましい。
【0069】
本実施形態に係る植物の栽培方法では、例えば、基準面と直交する少なくとも一つの側面において外部から給気し、この側面と異なる側面において内部の空気を外部へ排気する。本実施形態に係る植物の栽培方法において、植物工場用栽培装置100を用いる場合、第1側面に配置された送風装置11より植物工場用栽培装置100外部から給気し、排気装置12より植物工場用栽培装置100内部の空気を外部へ排気する。
【0070】
送風装置としては、上述の基準面と平行に送風することが可能な送風装置11が用いられる。すなわち、送風装置11は例えば基準面と平行に送風する。送風装置11により送風された空気は、植物の上方に流れる。送風装置11は、栽植された植物の側面に直交するように送風することが好ましい。
【0071】
本栽培方法の対象となる植物としては葉菜類、果菜類、根菜類、果樹類、穀類、コケ類、シダ類、観葉植物類、薬草類等が挙げられる。
葉菜類としては、アブラナ科のミズナ、コマツナ、カラシミズナ、カラシナ、ワサビナ、クレソン、ハクサイ、ツケナ類、チンゲンサイ、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、メキャベツ、ルッコラ、ピノグリーンなど;キク科のレタス類、サラダナ、シュンギク、フキ、ロロロッサ、レッドロメイン、チコリーなど;ユリ科のタマネギ、ニンニク、ラッキョウ、ニラ、アスパラガスなど;セリ科のパセリ、イタリアンパセリ、ミツバ、セルリー、セリ、ディルなど;シソ科のシソ、バジル、ローズマリーなど;ネギ科のネギなど;ウコギ科のウドなど;ショウガ科のミョウガなどが挙げられる。
【0072】
レタス類としては、結球性レタス、非結球レタス及び半結球レタスなどが含まれ、例えば、リーフレタス、フリルレタス、ロメイン、グリーンウェーブ、グリーンリーフ、レッドリーフ、フリルアイス(登録商標)、リバーグリーン(登録商標)、フリルリーフ、フリンジグリーン、ノーチップ、モコレタス、サンチュ、チマ・サンチュが挙げられる。
根菜類としては、アブラナ科のダイコン、カブ、ワサビなど;キク科のゴボウなど;セリ科のニンジンなど;ナス科のジャガイモなど;サトイモ科のサトイモなど;ヒルガオ科のサツマイモなど;ヤマノイモ科のヤマイモなど;ショウガ科のショウガなど;スイレン科のレンコンなど、ユリ科のユリ根などが挙げられる。
【0073】
果菜類としては、ウリ科のメロン、キュウリ、カボチャ、スイカ、シロウリ、マクワウリ、ニガウリ、ズッキーニ、トウガンなど;マメ科のサヤインゲン、ソラマメ、サヤエンドウ、エダマメなど;ナス科のトマト、ナス、ピーマン、シシトウ、トウガラシ、パプリカなど;バラ科のイチゴなど;アオイ科のオクラなど;イネ科のトウモロコシなどが挙げられる。
【0074】
穀類としては、イネ科のアワ、エンバク、オオムギ、キビ、コムギ、コメ、モチゴメ、トウモロコシ、ハトムギ、ヒエ、ライムギなど;ヒユ科のアマランサスなど;タデ科のソバなどが挙げられる。
【0075】
コケ類としては、マゴケ綱に属するコケ類が含まれる。例えば、エゾスナゴケ(Racomitrium japonicum)等、いわゆる砂苔と称される、キボウシゴケ目(Grimmiales)ギボウシゴケ科シモフリゴケ属のコケ類が挙げられる。
【0076】
また、観賞用植物類としては、バラ、ミニバラ、リンドウ、ユーストマなどに加えて、アジアンタム、プテリス、イワヒバなどのシダ類を含む種々の観葉植物類が挙げられる。
【0077】
薬草としては、専ら医薬品として用いられるシコン、センブリ、マオウなどの他に、医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品として扱わないサイコ、カンゾウ、トウキ、センキュウ、オタネニンジンなどが含まれる。
【0078】
特に葉菜類は葉面積が大きいため個体あたりの蒸散能力が高く、本発明の効果を受けやすく、対象として好ましい。アブラナ科のミズナ、コマツナ、カラシミズナ、カラシナ、ワサビナ、クレソン、ハクサイ、ツケナ類、チンゲンサイ、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、メキャベツ、ルッコラ、ピノグリーンなど;キク科のレタス類、サラダナ、シュンギク、フキ、ロロロッサ、レッドロメイン、チコリーなど;ユリ科のタマネギ、ニンニク、ラッキョウ、ニラ、アスパラガスなど;セリ科のパセリ、イタリアンパセリ、ミツバ、セルリー、セリ、ディルなど;シソ科のシソ、バジル、ローズマリーなど;ネギ科のネギなど;ウコギ科のウドなど;ショウガ科のミョウガなどが挙げられる。
レタス類としては、結球性レタス、非結球レタス及び半結球レタスなどが含まれ、例えば、リーフレタス、フリルレタス、ロメイン、グリーンウェーブ、グリーンリーフ、レッドリーフ、フリルアイス(登録商標)、リバーグリーン(登録商標)、フリルリーフ、フリンジグリーン、ノーチップ、モコレタス、サンチュ、チマ・サンチュが挙げられる。
【0079】
本実施形態に係る植物の栽培方法では、ベルヌーイの定理により植生内の空気を植生外へ移動させ、植物の蒸散を促進することができる。従って、本実施形態に係る植物の栽培方法は、チップバーンの発生を抑制できる。
【0080】
[植物工場用反射板]
本発明は、また、植物工場用反射板であって、その面上に、上記実施形態に係る植物工場用栽培装置100に用いられた際、パネル5と平行の方向に送風することが可能な送風装置を備えた、植物工場用反射板に関する。本実施形態に係る植物工場用反射板は、例えば、上記実施形態に係る、送風装置11を備えた第1反射板10Aである。
【0081】
本実施形態に係る植物工場用反射板は、第1面に広がり、第1面と直交する方向に送風することが可能な送風装置を備える。反射板が送風装置を有している場合、植物工場用栽培装置に取り付けられた場合に、基準面から15cm以上20cm以下離れて送風装置が位置するように送風装置が取り付けられる本実施形態に係る植物工場用反射板を植物工場用栽培装置に用いると、チップバーンの発生を抑制できる。
【0082】
ここまでいくつかの実施形態を提示して、植物工場用栽培装置、植物の栽培方法、及び植物工場用反射板の一例を提示した。しかしながら、本発明は当該実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。例えば上記の実施形態及び変形例の特徴的な構成をそれぞれ組み合わせてもよい。
【実施例0083】
[実施例1]
実施例1は、植物工場用栽培装置100を再現し、該装置をz方向に重ねた(すなわち多段式栽培装置とした)実施例である。実施例1では、第1側面に第1反射板10Aを用い、第2側面に第2反射板10Bを用いた。すなわち、第1側面においては1枚の反射板に送風ファン3個(ファン径12cm)を基準面から高さ20cm離れた位置に配置した。3個の送風ファンは、等間隔に設置した。また、送風ファンを配置した反射板と対向する反射板において、送風ファンと対向する位置に排気ファンを3個配置した。すなわち、片側から給気をし、反対側から排気を行い、植物工場用栽培装置内に風を送った(送風パターン1)。実施例1における植物工場用栽培装置(大型栽培棚)の大きさは、植物工場用栽培装置100においてx方向における長さ:185cm、y方向における長さ:525cm、z方向における(基準面から光源パネルまでの)長さ:40cmとした。また、第3側面及び第4側面には、反射板を配置せず、解放部とした。
【0084】
<実験条件>
品種はフレアベル(雪印種苗)を使用した。
播種は市販の水耕栽培用ウレタンスポンジに播種し一晩、暗期処理を行った。次に赤光強度200μmol/m2・sのLED照明の3時間照射、赤光強度200μmol/m2・sと青光強度50μmol/m2・sのLED照明の同時18時間照射、青光強度50μmol/m2・sのLED照明の3時間照射、からなるサイクルを繰り返すことで、育苗を行った。養液は播種後3日目から大塚A処方(OATアグリオ株式会社)から調製したEC=1.5±0.3dS/m、pH=5.5±0.5の養液を循環させ湛液型(DFT:Deep Flow Technique)方式で栽培した。
播種後7日目に市販の128穴セルトレーへ移植し、播種後17日目に多段式栽培装置の栽培パネル(パネル)へ定植し、赤光強度270μmol/m2・sのLED照明の21時間照射、青光強度80μmol/m2・sのLED照明の3時間照射、からなるサイクルを繰り返す光照射条件で、播種後36日まで栽培した。
栽培中は肥料制御装置(らくらく肥料管理機4;セムコーポレーション株式会社)により制御し、大塚A処方(葉菜類用栽培養液、OATアグリオ株式会社)から調製したEC=2.0±0.3dS/m,pH=5.5±0.5を、循環装置を用いて循環させた。
大型栽培棚で栽培試験を行い、室内環境条件は、気温は23℃、相対湿度は70%、炭酸ガス濃度は1000ppmに設定した。
【0085】
風速は風速計クリモマスター6501-B0(日本カノマックス社製)とクリモマスタープローブ6533-21(日本カノマックス社製)を使用して基準面から20cm上方で測定した。
【0086】
また、重量データの平均値及びその平均値と栽培日数から生産性(g/m/日)を求めた。重量データとは、栽培パネルからウレタンより上の部分をハサミで切り取り、トリミングを行わずに電子天秤で測定した、所謂、地上部新鮮重量であり、平均はその平均であり、生産性はその平均重量に単位面積当たりの栽培株数を乗じ、栽培日数で除したものである。また、チップバーンの出現頻度(発生頻度)を、目視により測定株総数に対する発生株数の比率として求めた。
【0087】
[比較例1]
比較例1では、実施例1から第1側面に送風装置11を備えない反射板(第3反射板10C)を配置し、第2側面に排気装置12を備えない反射板(第3反射板10C)を配置した。すなわち、比較例では風なしで行った。その他の構成は、実施例1と同様の構成、同様の実施条件とした。
【0088】
実施例1及び比較例1のチップバーンの出現頻度を図5に示す。また重量データの平均及び生産性、並びにチップバーンの出現頻度及びその程度を表1に示す。実施例1では、比較例1と比べチップバーンの出現頻度は顕著に改善された。
【0089】
【表1】
【0090】
図6は、試験期間中、栽培棚の中央に設けた柱の栽培面から15cm上に設置した風速センサーで実測した実施例1の風速データを示す。図4において、横軸は日付を示し、縦軸は風速(m/秒)を示す。図4より、実施例1では常時1(m/秒)程度の風速が観測された。
【0091】
[実施例2]
実施例2は、植物工場用栽培装置100において、第1側面及び第2側面にそれぞれ、第1反射板10Aa及び第1反射板10Abを配置し、該装置をz方向に重ねた(多段式栽培装置)実施例である。実施例2では、第2側面に送風装置11を備える反射板を配置した点が実施例1と異なる。尚、第1側面及び第2側面における送風装置11は互い違いとなるような構成とした。すなわち、実施例2では1枚の反射板に送風ファン3個(ファン径12cm)を基準面面から高さ20cmの場所に等間隔に設置し、両側から給気をし、植物工場用栽培装置内に風を送った(送風パターン2)。尚、実施例2は実施例1と別の日程で行った。その他の条件は、実施例1と同様にして行った。この際、栽培装置内に送風された空気は、y方向あるいは反射板下部の隙間から排気される。
【0092】
[比較例2]
比較例2では、比較例1と同様の条件で、実施例2と同じ日程で植物を栽培した。
【0093】
実施例2及び比較例2のチップバーンの出現頻度を図7に示す。また重量データの平均及び生産性、並びにチップバーンの出現頻度を表2に示す。その結果、チップバーンの出現頻度は顕著に改善されたことが確認された。
【0094】
【表2】
【0095】
図8は、試験期間中、栽培棚の中央に設けた柱の栽培面から15cm上に設置した風速センサーで実測した実施例2の風速データを示す。図7において、横軸は日付を示し、縦軸は風速(m/秒)を示す。図7より、実施例2では常時1(m/秒)程度の風速が観測された。
【符号の説明】
【0096】
1a 底面
1b 枠体
3 栽培プール
5 パネル
7 定植スポット
10 反射板
11 送風装置
12 排気装置
13 光源パネル
100、100A 植物工場用栽培装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8