(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104197
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】食品包装体、包装シート及び食品用包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 75/30 20060101AFI20220701BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
B65D75/30 Z
B65D85/50 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219244
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】白井 直人
【テーマコード(参考)】
3E035
3E067
【Fターム(参考)】
3E035AA09
3E035AA16
3E035AA20
3E035AB10
3E035BA08
3E035BB08
3E035BB09
3E035BC01
3E035BC02
3E035CA07
3E035CA08
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB13
3E067AB16
3E067AB18
3E067BA12A
3E067BA32A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB08
3E067EB22
3E067EC33
3E067ED03
3E067EE15
3E067EE38
3E067EE59
3E067FA02
3E067FC01
3E067GD09
(57)【要約】
【課題】包装シートの内面に食品が接して包装シートが汚れるのを防止する汚れ防止シートを備える新規な形態の食品包装体、包装シート及び食品用包装袋を提供する。
【解決手段】食品包装体1は、包装シート2により側面が三角形状で所定の幅を有する食品Fを包装したものであって、包装シート2は、食品Fの正面Ffに対応する部分に、切込線6の形成により形成される開封片7と、食品Fの正面Ffに密着するとともに、包装シート2の内面側から切込線6及び開封片7を覆う汚れ防止シート8とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装シートにより側面が三角形状で所定の幅を有する食品を包装した食品包装体であって、
包装シートは、食品の正面に対応する部分に、
切込線の形成により形成される開封片と、
食品の正面に密着するとともに、包装シートの内面側から切込線及び開封片を覆う汚れ防止シートとを備える
食品包装体。
【請求項2】
汚れ防止シートは、切込線及び開封片を囲む枠状の接合部により、包装シートの内面に接合される
請求項1に記載の食品包装体。
【請求項3】
側面が三角形状で所定の幅を有する食品を包装するための包装シートであって、
食品の正面に対応する部分に、
切込線の形成により形成される開封片と、
食品の正面に密着するとともに、内面側から切込線及び開封片を覆う汚れ防止シートとを備える
包装シート。
【請求項4】
一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対の包装シートが重ね合わせられ、一端側の頂部接合部と両側部の側部接合部とにより三方が封止されて他端側が開口部となる袋本体を備え、側面が三角形状で所定の幅を有する食品を包装するための食品用包装袋であって、
正面側の包装シートは、食品の正面に対応する部分に、
切込線の形成により形成される開封片と、
食品の正面に密着するとともに、包装シートの内面側から切込線及び開封片を覆う汚れ防止シートとを備える
食品用包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品包装体、包装シート及び食品用包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
側面が三角形状(主として直角三角形状)で所定の幅を有する立体形状に仕上げられたサンドイッチ等の食品がある。この食品を包装するための食品用包装袋は、一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する正面シート及び背面シートからなる一対の包装シートが重ね合わせられ、一端側の頂部接合部と両側部の側部接合部とにより三方が封止されて他端側が開口部となる袋本体を備えるものである。
【0003】
この種の食品用包装袋は、正面シートの内面に、汚れ防止シートを備える(たとえば特許文献1)。汚れ防止シートは、たとえば他端部が二箇所でポイントシール等により正面シートの内面に接合され、一端側が自由端となっている。これにより、食品用包装袋により食品を包装した食品包装体において、汚れ防止シートは、食品の正面(斜面)に密着し、内部で食品が動いたとしても、その動きに追従する。このため、食品包装体において、正面シートは、汚れず、外観は損なわれない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、包装シートの内面に食品が接して包装シートが汚れるのを防止する汚れ防止シートを備える新規な形態の食品包装体、包装シート及び食品用包装袋を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る食品包装体は、
包装シートにより側面が三角形状で所定の幅を有する食品を包装した食品包装体であって、
包装シートは、食品の正面に対応する部分に、
切込線の形成により形成される開封片と、
食品の正面に密着するとともに、包装シートの内面側から切込線及び開封片を覆う汚れ防止シートとを備える
食品包装体である。
【0007】
ここで、本発明に係る食品包装体の一態様として、
汚れ防止シートは、切込線及び開封片を囲む枠状の接合部により、包装シートの内面に接合される
との構成を採用することができる。
【0008】
本発明に係る包装シートは、
側面が三角形状で所定の幅を有する食品を包装するための包装シートであって、
食品の正面に対応する部分に、
切込線の形成により形成される開封片と、
食品の正面に密着するとともに、内面側から切込線及び開封片を覆う汚れ防止シートとを備える
包装シートである。
【0009】
本発明に係る食品用包装袋は、
一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対の包装シートが重ね合わせられ、一端側の頂部接合部と両側部の側部接合部とにより三方が封止されて他端側が開口部となる袋本体を備え、側面が三角形状で所定の幅を有する食品を包装するための食品用包装袋であって、
正面側の包装シートは、食品の正面に対応する部分に、
切込線の形成により形成される開封片と、
食品の正面に密着するとともに、包装シートの内面側から切込線及び開封片を覆う汚れ防止シートとを備える
食品用包装袋である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、包装シートの内面に食品が接して包装シートが汚れるのを防止する汚れ防止シートを備える新規な形態の食品包装体、包装シート及び食品用包装袋が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(a)は、第1実施形態に係る包装シートにより食品を包装した食品包装体の正面側から見た斜視図である。
図1(b)は、食品包装体の背面側から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、包装シート原反の製造工程の説明図であって、シート原反の内面に開封用条体を貼着する工程及び切込線を形成する工程の説明図である。
【
図3】
図3は、
図2の続きの説明図であって、シート原反の内面に汚れ防止シートを配置する工程及び汚れ防止シートをシート原反に接合する工程の説明図である。
【
図4】
図4は、食品包装体の製造工程の説明図であって、包装シート原反の内面に食品を配置する工程の説明図である。
【
図5】
図5は、
図4の続きの説明図であって、筒状にした包装シート原反の両側部の重ね合わせ部を接合する工程の説明図である。
【
図6】
図6は、
図5の続きの説明図であって、浮いているシートを折り畳む工程、食品間の包装シート原反を接合する工程及び食品包装体を個別に分離する工程の説明図である。
【
図7】
図7(a)は、第1変形例に係る包装シートにより食品を包装した食品包装体の正面側から見た斜視図である。
図7(b)は、第2変形例に係る包装シートにより食品を包装した食品包装体の正面側から見た斜視図である。
【
図8】
図8(a)は、第3変形例に係る包装シートにより食品を包装した食品包装体の正面側から見た斜視図である。
図8(b)は、第4変形例に係る包装シートにより食品を包装した食品包装体の正面側から見た斜視図である。
【
図9】
図9(a)は、第5変形例に係る包装シートにより食品を包装した食品包装体の正面側から見た斜視図である。
図9(b)は、第6変形例に係る包装シートにより食品を包装した食品包装体の正面側から見た斜視図である。
【
図10】
図10(a)は、第7変形例に係る包装シートにより食品を包装した食品包装体の正面側から見た斜視図である。
図10(b)は、第8変形例に係る包装シートにより食品を包装した食品包装体の正面側から見た斜視図である。
【
図11】
図11は、第9変形例に係る包装シートとなる包装シート原反の製造工程の説明図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る食品用包装袋の分解斜視図である。
【
図14】
図14(a)は、食品用包装袋により食品を包装した食品包装体の正面側から見た斜視図である。
図14(b)は、食品包装体の背面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態として、サンドイッチを包装するための包装シート及びこの包装シートによりサンドイッチを包装した食品包装体について、
図1ないし
図6を参酌して説明する。
【0013】
図1に示すように、食品包装体1は、包装シート2によりサンドイッチFを包装したものである。包装シート2は、サンドイッチFを包み込める大きさの長方形状(矩形状)を有する。包装シート2は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱溶着性を有するプラスチックシート(プラスチックフィルム)である。
【0014】
サンドイッチFは、側面Fsが直角三角形状で所定の幅を有する立体形状であり、斜面の正面Ff、左右の側面Fs,Fs、背面Fr及び底面Fbを有する。包装シート2の幅方向中央部がサンドイッチFの正面Ffと重なるように筒状にされ、合掌状に重ね合わせられた包装シート2の両側部の重ね合わせ部が接合され(縦接合部3)、包装シート2のサンドイッチFから浮いた部分が折り畳まれて偏平となった上下端部が幅方向に沿って接合される(横接合部4)ことにより、食品包装体1は、気密状態に維持される。このため、外気等が内部に侵入することはなく、包装されたサンドイッチFは、所期の品質が維持される。
【0015】
縦接合部3は、サンドイッチFの背面Fr及び底面Fbに幅方向と直交する方向(以下、「幅直交方向」という。)に沿って配置される。二つの横接合部4の一方の横接合部4は、サンドイッチFの正面Ffと背面Frとの交差線から幅直交方向に所定間隔で離間し、幅方向に沿って形成される。他方の横接合部(図示しない)は、サンドイッチFの正面Ffと底面Fbとの交差線から幅直交方向に所定間隔で離間し、一方の横接合部4と平行に幅方向に沿って形成され、サンドイッチFの底面Fbに幅方向に沿って配置される。本実施形態においては、縦接合部3及び二つの横接合部4は、加熱ローラや加熱バーを用いた溶着により形成され、所定の幅を有する帯状のシールである。
【0016】
包装シート2は、内面に開封用条体5を備える。開封用条体5は、包装シート2の幅直交方向の一端から他端にかけて、幅直交方向に沿って設けられる。これにより、開封用条体5は、サンドイッチFの正面Ffに幅直交方向に沿って配置される。開封用条体5は、包装シート2の内面に、溶着、接着等により接合される。開封用条体5は、包装シート2を破断することができる強度を有するたとえばカットテープや糸等である。
【0017】
包装シート2のうち、サンドイッチFの正面Ffの下部に対応する部分には、切込線6が形成される。切込線6は、全切線、半切線(ハーフカット)、ミシン目等により形成される。そして、この部分には、切込線6の形成により、開封片7が形成される。切込線6は、開封用条体5を分断するように形成される。開封片7は、切込線6を外形線とし、両端点間を固定端とし、反対側を自由端とするものである。本実施形態においては、切込線6は、逆U字状に形成される。これにより、開封片7は、上向きの舌片となる。
【0018】
包装シート2は、内面に汚れ防止シート8を備える。汚れ防止シート8は、一部が包装シート2に接合されるが、他部が包装シート2に接合されず、包装シート2に対して相対変位が可能な部分を有するシートである。これにより、汚れ防止シート8は、サンドイッチFの正面Ffに密着し、内部でサンドイッチFが動いたとしても、その動きに追従し、包装シート2の内面にサンドイッチF(の具材やソース等)が接して包装シート2が汚れるのを防止する。
【0019】
汚れ防止シート8は、サンドイッチFの正面Ffに対応した大きさの長方形状(矩形状)を有する。具体的には、汚れ防止シート8は、サンドイッチFの正面Ffと同一か、これよりも僅かに小さい長方形状(矩形状)を有する。ただし、汚れの原因は、サンドイッチFのパンではなく、主として、パンに挟まれた具材やソース等である。このため、汚れ防止シート8は、少なくともこれらの領域を覆う形状ないし大きさを有していればよい。汚れ防止シート8は、包装シート2と同様、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱溶着性を有するプラスチックシート(プラスチックフィルム)である。
【0020】
汚れ防止シート8の一部を包装シート2に接合する手段として、接合部9が用いられる。接合部9は、切込線6及び開封片7を囲むように枠状に包装シート2及び汚れ防止シート8を接合することにより形成される。本実施形態においては、接合部9は、枠状の加熱面を有する加熱具を用いた溶着により形成され、所定の幅を有する帯状又は線状のシールである。なお、包装シート2と汚れ防止シート8とが直接溶着できない材質である場合は、包装シート2の該当箇所の内面又は汚れ防止シート8の該当箇所の外面に感熱接着剤等のコート剤(パートコート剤)を塗布することにより、溶着可能となる。接合部9は、接着等、他の接合方法によるものであってもよい。
【0021】
接合部9は、小さな力では剥離することはないが、人がある程度以上の力を加えると剥離可能である。すなわち、包装シート2及び汚れ防止シート8は、剥離可能に接合される。なお、上記コート剤を用いた場合、コート剤の接合強度(ヒートシール強度)は強くないため、接合部9は、弱接合(弱シール)となる。
【0022】
接合部9は、切込線6及び開封片7の形成位置の関係から、汚れ防止シート8の下端部(汚れ防止シート8のうち、サンドイッチFの正面Ffの下部に対応する部分)に形成される。たとえば、接合部9は、汚れ防止シート8の下端から汚れ防止シート8の全長の40%以内の領域、35%以内の領域、30%以内の領域又は20%以内の領域のいずれかから選択される領域内に形成される。これにより、汚れ防止シート8は、下端側を接合端とし、上端側を自由端とするものである。
【0023】
ところで、この種の食品包装体1は、量産性の観点から、長尺な包装シート原反を用い、ピロー包装機によるピロー包装の形態で連続的に製造される。そこで、次に、包装シート原反の製造方法及び食品包装体1の製造方法について説明する。
【0024】
包装シート原反の製造工程は、i)
図2に示す、シート原反2Xの内面に、シート原反2Xの長手方向に沿って開封用条体5を貼着する工程(第1工程)、ii)
図2に示す、開封用条体5に対し、シート原反2Xの長手方向に沿って定ピッチで切込線6を形成する工程、より詳しくは、シート原反2Xに、切込線6を形成するとともに、切込線6の形成により、開封片7を形成する工程(第2工程)、iii)
図3に示す、シート原反2Xの内面に、汚れ防止シート8の端部が切込線6及び開封片7を覆うように、汚れ防止シート8を配置する工程(第3工程)、iv)
図3に示す、切込線6及び開封片7を囲むように枠状にシート原反2X及び汚れ防止シート8を接合することにより、汚れ防止シート8をシート原反2Xの内面に接合する工程、すなわち、接合部9を形成する工程(第4工程)、を備える。
【0025】
第1工程では、シート原反2Xが連続的に搬送されるとともに、開封用条体5がロールから繰り出され、シート原反2Xに供給される。そして、シート原反2Xの搬送経路上に配置された圧着機構(図示しない)がシート原反2Xの搬送に同期して作動することにより、開封用条体5がシート原反2Xの内面に貼着されていく。
【0026】
第2工程では、シート原反2Xが連続的又は間欠的に搬送される。そして、シート原反2Xの搬送経路上に配置された切込機構(図示しない)がシート原反2Xの搬送に同期して作動することにより、切込線6がシート原反2Xの該当箇所に形成されていく。切込線6は、固定端側が搬送方向下流側に向き、自由端側が搬送方向上流側に向くように、形成される。これにより、シート原反2Xの搬送過程において、開封片7がめくれ上がって折れたり、切込線6からシート原反2Xが引き裂かれることが防止される。なお、切込線6の形成ピッチは、後述するサンドイッチFの配置工程において、サンドイッチFが搬送方向に所定間隔を空けて配置されることとなるピッチである。
【0027】
第3工程では、シート原反2Xが連続的又は間欠的に搬送されるとともに、汚れ防止シート原反(図示しない)がロールから繰り出され、シート原反2Xに供給される。そして、シート原反2Xの搬送経路上に配置された切断・搬送機構(図示しない)がシート原反2Xの搬送に同期して作動することにより、汚れ防止シート8が汚れ防止シート原反から切断され、搬送されてシート原反2Xの内面の該当箇所に配置されていく。汚れ防止シート8は、接合端側が搬送方向下流側に向き、自由端側が搬送方向上流側に向くように、配置される。これにより、シート原反2Xの搬送過程において、汚れ防止シート8がめくれ上がって折れたりすることが防止される。
【0028】
第4工程では、シート原反2Xが連続的又は間欠的に搬送される。そして、シート原反2Xの搬送経路上に配置された接合機構(図示しない)がシート原反2Xの搬送に同期して作動することにより、汚れ防止シート8がシート原反2Xの該当箇所に接合されていく。
【0029】
これらの工程によって、包装シート原反2Xが完成する。そして、一旦ロール状に巻回された後、ピロー包装機にロールがセットされるか、あるいは、包装シート原反2Xは、ピロー包装機によって製造されることで、引き続き搬送されて、次に、食品包装体1の製造工程に移行する。
【0030】
食品包装体1の製造工程は、i)
図4に示す、包装シート原反2Xの内面に、包装シート原反2Xの長手方向に沿って定ピッチでサンドイッチFを配置する工程(第1工程)、ii)
図5に示す、包装シート原反2XをサンドイッチFを包み込むように巻いて筒状にし、包装シート原反2Xの両側部を重ね合わせる工程(第2工程)、iii)
図5に示す、包装シート原反2Xの両側部の重ね合わせ部を接合する工程、すなわち、縦接合部3を形成する工程(第3工程)、iv)
図6に示す、サンドイッチFの表面から浮いて離れているシートを適宜折り畳み、サンドイッチFの表面に沿わせる工程(第4工程)、v)
図6に示す、サンドイッチF,F間の偏平状に折り畳まれた包装シート原反2Xを幅方向に沿って接合する工程、すなわち、横接合部4を形成する工程(第5工程)、vi)
図6に示す、横接合部4を中間線で切断し、食品包装体1を個別に分離する工程(第6工程)、vii)(任意かつ付加的な工程として、)
図6に示す、食品包装体1の底面から突出する突出シート片を食品包装体1の底面に沿わすように折り、その上にラベルLを貼着する工程(第7工程)、を備える。
【0031】
第1工程では、包装シート原反2Xが連続的又は間欠的に搬送される。そして、包装シート原反2Xの搬送経路上に配置された搬送機構(図示しない)が包装シート原反2Xの搬送に同期して作動することにより、サンドイッチFが搬送されて包装シート原反2Xの内面の該当箇所に配置されていく。具体的には、サンドイッチFは、底面Fbが搬送方向下流側に向くように、かつ、斜面の正面Ffが汚れ防止シート8に重なるように、配置される。また、汚れ防止シート8が搬送方向に所定間隔を空けて配置されることに伴い、サンドイッチFは、搬送方向に所定間隔を空けて配置される。
【0032】
第2工程及び第3工程は、一般的なピロー包装で実施されるセンターシール工程と同一である。第2工程及び第3工程を経て、包装シート原反2Xは、サンドイッチFの側面Fs,Fsに沿うように、かつ、サンドイッチFの背面Frと底面Fbとの交差線に沿うように、サンドイッチFを内包して角筒状にされる。
【0033】
第4工程では、包装シート原反2Xが連続的又は間欠的に搬送される。そして、包装シート原反2Xの搬送経路上に配置されたフォーマ等の折畳機構(図示しない)が包装シート原反2Xの搬送に同期して作動することにより、サンドイッチFの表面から浮いて離れているシートがサンドイッチFの背面Fr及び底面Fbに沿うように折り畳まれていく。
【0034】
第5工程及び第6工程は、一般的なピロー包装で実施されるエンドシール工程及び分離工程(切り離し工程)と同一である。第5工程を経て、サンドイッチF,F間の偏平状に折り畳まれた包装シート原反2Xは、幅方向に沿って帯状に接合される。これにより、食品包装体1の連続体が完成する。また、第6工程を経て、食品包装体1が食品包装体1の連続体から切り離される。
【0035】
これらの工程によって、食品包装体1が完成する。
図1に示すように、完成した食品包装体1は、正面の下部から底面にかけて開封部を備える。サンドイッチFを食する際には、開封片7を摘まんで食品包装体1の底面に向けて引き下ろす。開封片7は、開封用条体5の切断端部が接合されている。このため、開封片7を摘んで引き下ろすと、包装シート2が開封用条体5により切断され、食品包装体1の底面に開放部が形成される。サンドイッチFは、この開放部から取り出すことができる。なお、包装シート2において、幅直交方向は、包装シート原反2Xの長手方向と一致する。すなわち、包装シート2は、幅直交方向に引き裂き方向性(直線カット性)を有する。このため、包装シート2は、開封用条体5の引き操作に伴い、開封用条体5に沿って真っすぐに切断される。
【0036】
以上のとおり、本実施形態に係る食品包装体1及び包装シート2によれば、汚れ防止シート8は、包装シート2の内面にサンドイッチFが接して包装シート2が汚れるのを防止する機能と、包装シート2の内面側から開封起点部(切込線6及び開封片7)を覆うことにより、切込線6を介して外気や異物等が内部に侵入するのを防止する封止材としての機能とを兼ね備える。また、接合部9は、開封起点部(切込線6及び開封片7)を囲うことにより、異物等の侵入防止効果を確実にする機能と、汚れ防止シート8の一部を包装シート2に接合する機能とを兼ね備える。このため、部品点数を削減するとともに、製造工数を削減することができる。
【0037】
<第1実施形態の変形例>
次に、第1実施形態の変形例について説明する。なお、以下の各変形例は一例に過ぎない。そして、これらの要素技術は、第1実施形態において、単独で又は適宜組み合わせて採用することができるのは言うまでもない。
【0038】
図7(a)に第1変形例が示される。第1変形例において、切込線6は、包装シート2のうち、サンドイッチFの正面Ffの下部に対応する部分に、U字状に形成され、開封片7は、下向きの舌片となる。サンドイッチFを食する際には、開封片7を摘まんで食品包装体1の上端に向けて引き上げる。開封片7を摘んで引き上げると、包装シート2が開封用条体5により切断され、食品包装体1の正面に開放部が形成される。サンドイッチFは、この開放部から取り出すことができる。なお、サンドイッチFを取り出す際に汚れ防止シート8が邪魔になる場合は、汚れ防止シート8を開放部から引き出し、汚れ防止シート8が開放部を塞ぐ状態を解消すればよい(以下、同様)。あるいは、汚れ防止シート8を介してサンドイッチFを掴み、取り出すことで、汚れ防止シート8を手汚れ防止シートとして使用することもできる(以下、同様)。
【0039】
図7(b)に第2変形例が示される。第2変形例において、切込線6は、包装シート2のうち、サンドイッチFの正面Ffの上部に対応する部分に、逆U字状に形成され、開封片7は、上向きの舌片となる。たとえば、接合部9は、汚れ防止シート8の上端から汚れ防止シート8の全長の40%以内の領域、35%以内の領域、30%以内の領域又は20%以内の領域のいずれかから選択される領域内に形成される。これにより、汚れ防止シート8は、上端側を接合端とし、下端側を自由端とするものである。サンドイッチFを食する際には、開封片7を摘まんで食品包装体1の底面に向けて引き下ろす。開封片7を摘んで引き下ろすと、包装シート2が開封用条体5により切断され、食品包装体1の正面に(さらに引き下ろせば、食品包装体1の底面にも)開放部が形成される。サンドイッチFは、この開放部から取り出すことができる。
【0040】
図8(a)に第3変形例が示される。第3変形例は、第1変形例の切込線6に対し、左右一対の第2切込線6a,6aが付加されたものである。第2切込線6aは、包装シート2の幅方向外方に向かう成分を有する切込線である。第2切込線6aは、包装シート2の幅方向に対して傾斜する方向に沿って切込線6の所定部位から斜め下方に延びる直線状又は曲線状の切込線である。あるいは、第2切込線6aは、包装シート2の幅方向に沿って切込線6の所定部位から包装シート2の幅方向外方に延びる直線状又は曲線状の切込線であってもよい。そこで、第2段階の開封操作として、食品包装体1の正面の左右のシートを左右に開くと、包装シート2は、第2切込線6aを起点として、幅方向外方に引き裂かれ、食品包装体1の正面には、さらに大きな開放部が形成される。これにより、サンドイッチFの取り出しやすさが向上する。
【0041】
図8(b)に第4変形例が示される。第4変形例は、第2変形例の切込線6に対し、同様の第2切込線6a,6aが付加されたものである。第2切込線6aは、包装シート2の幅方向に対して傾斜する方向に沿って切込線6の所定部位から斜め上方に延びる直線状又は曲線状の切込線である。あるいは、第2切込線6aは、包装シート2の幅方向に沿って切込線6の所定部位から包装シート2の幅方向外方に延びる直線状又は曲線状の切込線であってもよい。
【0042】
図9(a)に第5変形例、
図9(b)に第6変形例が示される。第5変形例は、第1実施形態において、開封用条体5が設けられないものであり、第6変形例は、第2変形例において、開封用条体5が設けられないものである。上述のとおり、包装シート2は、幅直交方向に引き裂き方向性(直線カット性)を有する。このため、開封用条体5を設けずとも、包装シート2を適切に開封することができる。
【0043】
図10(a)に第7変形例、
図10(b)に第8変形例が示される。第7変形例は、第1実施形態において、切込線6及び開封片7を囲む枠状の接合部9が設けられないものであり、第8変形例は、第2変形例において、切込線6及び開封片7を囲む枠状の接合部9が設けられないものである。汚れ防止シート8の一部を包装シート2に接合する手段として、接合部10が用いられる。横接合部4は、サンドイッチFの正面Ffと背面Frとの交差線から幅直交方向に所定間隔で離間し、この間にフィルムで挟まれた偏平な内部空間が存在する。本例において、汚れ防止シート8の上端部は、この内部空間に入り込み、接合部10は、汚れ防止シート8の上端部に形成される。なお、汚れ防止シート8の上端部が横接合部4にまで延びることにより、横接合部4は、汚れ防止シート8の一部を包装シート2に接合する手段となる。
【0044】
図11に第9変形例が示される。第9変形例において、個別に切断された汚れ防止シート8ではなく、連続した汚れ防止シート原反8Xが用いられる。包装シート原反2Xの製造工程の第3工程では、シート原反2Xが連続的に搬送されるとともに、汚れ防止シート原反8Xがロールから繰り出され、シート原反2Xに供給される。そして、シート原反2Xの搬送経路上に配置された圧着機構(図示しない)が作動することにより、汚れ防止シート原反8Xがシート原反2Xの内面に配置されていく。第9変形例では、横接合部4が汚れ防止シート8の一部を包装シート2に接合する手段となるため、この点で、包装シート原反2Xの製造工程の第4工程(接合部9の形成工程)は不要である。しかし、異物等の侵入防止効果を確実にする点で、接合部9が形成されるようにしてもよい。
【0045】
第10変形例(図示しない)は、食品包装体1の製造工程が異なるものである。すなわち、第10変形例において、食品包装体1の製造工程は、i)
図4に示す、包装シート原反2Xの内面に、包装シート原反2Xの長手方向に沿って定ピッチでサンドイッチFを配置する工程(第1工程)、ii)
図5に示す、包装シート原反2XをサンドイッチFを包み込むように巻いて筒状にし、包装シート原反2Xの両側部を重ね合わせる工程(第2工程)、iii)
図5に示す、包装シート原反2Xの両側部の重ね合わせ部を接合する工程、すなわち、縦接合部3を形成する工程(第3工程)、iv)サンドイッチF,F間の包装シート原反2Xを切断し、筒状にした包装シート原反2Xを、サンドイッチFを内包する個別の包装シート2に分離する工程(第4工程)、v)サンドイッチFの表面から浮いて離れているシートを適宜折り畳み、サンドイッチFの表面に沿わせる工程(第5工程)、vi)偏平状に折り畳まれた包装シート2の両端部を幅方向に沿って接合する工程、すなわち、横接合部4を形成する工程(第6工程)、vii)(任意かつ付加的な工程として、)横接合部4の先の突出シート片を裁断して切り落とす工程(第7工程)、を備える。なお、第10変形例においては、二つの横接合部4,4の一方の横接合部4は、サンドイッチFの正面Ffと背面Frとの交差線に近接して形成することができ、他方の横接合部4は、サンドイッチFの正面Ffと底面Fbとの交差線に近接して形成することができる。
【0046】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態として、サンドイッチを包装するための食品用包装袋及びこの食品用包装袋によりサンドイッチを包装した食品包装体について、
図12ないし
図14を参酌して説明する。
【0047】
図12及び
図13に示すように、食品用包装袋11は、袋本体12と、ヘッダ部16とを備える。袋本体12は、一対の包装シート(正面シート2A、背面シート2B)が重ね合わせられ、接合されるものである。一対の包装シート2A,2Bは、幅直交方向の一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する。袋本体12は、一端側の頂部接合部13と、両側部の側部接合部14,14とにより、三方が接合、封止され、他端側が開口部15となるものである。ヘッダ部16は、頂部接合部13から突出する各包装シート2A,2Bの突出片が適宜の箇所で互いに接合され、一体化されるものである。
【0048】
正面シート2A及び背面シート2Bは、第1実施形態の包装シート2と同種の素材である。正面シート2Aは、胴部20Aと、先端部21A(上記突出片)とを備える。背面シート2Bは、胴部20Bと、先端部21B(上記突出片)とを備える。胴部20A,20Bは、一端側から他端側に向かって次第に幅広となっていく形状を有する。先端部21A,21Bは、胴部20A,20Bの一端から延びる幅狭の形状を有する。
【0049】
頂部接合部13は、胴部20A,20Bの一端に沿って正面シート2A及び背面シート2Bを溶着することにより形成される。側部接合部14は、胴部20A,20Bの側縁(斜辺)及び先端部21A,21Bの側縁(縦辺)を溶着することにより形成される。本実施形態においては、頂部接合部13は、加熱バーを用いた溶着により形成され、所定の幅を有する帯状のシールである。側部接合部14は、溶断により形成される線状のシールである。
【0050】
このようにして構成された袋本体12の内部が食品の収容部となる。袋本体12における正面シート2Aには、切込線6及び開封片7が形成される。本実施形態においては、切込線6及び開封片7は、頂部接合部13の近傍に形成される。切込線6及び開封片7は、第1実施形態のものと同様であるとして、その他の記載を省略する。
【0051】
正面シート2Aは、内面に開封用条体5を備える。開封用条体5は、開封片7から正面シート2Aの他端側にかけて、幅直交方向に沿って設けられる。開封用条体5は、第1実施形態のものと同様であるとして、その他の記載を省略する。
【0052】
正面シート2Aは、内面に汚れ防止シート8を備える。汚れ防止シート8及び汚れ防止シート8の一部を正面シート2Aに接合する手段としての接合部9は、第1実施形態のものと同様であるとして、その他の記載を省略する。
【0053】
食品の包装に際しては、開口部15が開かれ、サンドイッチFが袋本体12内に挿入された後、開口部15の余分なシート片(サンドイッチFの底面Fbからはみ出るシート片)が適宜折り畳まれ、開口部15が閉塞され、この上にラベル又はテープが貼着され、開口部15が封止される。これにより、
図14に示すように、食品包装体1が完成する。食品包装体1は、頂部接合部13、側部接合部14,14及び封緘された開口部15の閉塞部により、気密状態に維持される。このため、外気等が内部に侵入することはなく、包装されたサンドイッチFは、所期の品質が維持される。食品包装体1は、第1実施形態のものと同様であるとして、その他の記載を省略する。
【0054】
以上のとおり、本実施形態に係る食品用包装袋11及び食品包装体1によっても、第1実施形態に係る包装シート2及び食品包装体1が奏する作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0055】
なお、第1実施形態の要素技術及び第1実施形態の各変形例の要素技術は、本実施形態への適用が物理的に可能なものであれば、本実施形態において、単独で又は適宜組み合わせて採用することができるのは言うまでもない。
【0056】
<その他の実施形態>
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0057】
上記実施形態においては、開封用条体5、切込線6、開封片7及び接合部9は、幅方向中心部に設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。これらは、左右のいずれかにずれた位置に設けられるものであってもよい。
【0058】
また、上記実施形態においては、食品は、サンドイッチである。しかし、包装対象の食品は、サンドイッチと同様の形状であれば、ケーキ等の洋菓子、カステラ等の和菓子、パン、おにぎり等の米飯加工食品であってもよく、食品の種類は、特に限定されるものではない。
【0059】
また、包装シートや食品用包装袋に用いられるシート(汚れ防止シートを含む)は、プラスチックシート(プラスチックフィルム)からなるものに限定されない。たとえば、シートは、紙、未晒しクラフト紙、和紙、混抄紙、合成紙、グラシン紙、紙質又は紙様の又はこれらを主とするシート(フィルム)であってもよい(これらをまとめて「紙シート」(フィルム)という。)。紙シートは、必要に応じて、内面側に全面的に又は必要箇所の部分的に熱溶着性を有する。たとえば、紙シートは、紙を外層とし、プラスチックシート(フィルム)を内層としてラミネートした積層シート(フィルム)である。また、シートは、単一の材質のシート(フィルム)ではなく、複数の材質のシート(フィルム)を積層した積層シート(積層フィルム)であってもよい。また、シートは、たとえば、二枚のシート(フィルム)を端部同士を接合して一枚のシートにしたものや、三枚のシート(フィルム)を順次端部同士を接合して一枚のシートにしたもののように、複数枚のシート(フィルム)を用いて一枚のシートに形成したものであってもよい。また、この場合、各シートの材質は、異なるものであってもよい。たとえば、一部のシートには、プラスチックシート(プラスチックフィルム)ではなく、紙シートを用いるようにしてもよい。なお、本発明において、シートは、厚みによって定められるものではなく、フィルムを含む概念である。
【0060】
また、「三角形状」、「直角三角形状」、「長方形状」、「矩形状」、「直線」、「中央部」、「中間」、「端部」、「側部」、「一致」、「同一」、「平行」、「直交」といった形状、部位又は状態を特定する用語は、本発明において、そのもののほか、それに近いないし類するという意味の「略」の概念も含むものである。
【符号の説明】
【0061】
1…食品包装体、2…包装シート、2A…正面シート、2B…背面シート、2X…包装シート原反(シート原反)、20A、20B…胴部、21A,21B…先端部、3…縦接合部(センターシール)、4…横接合部(エンドシール)、5…開封用条体、6…切込線、6a…第2切込線、7…開封片、8…汚れ防止シート、8X…汚れ防止シート原反、9…接合部、10…接合部、11…食品用包装袋、12…袋本体、13…頂部接合部、14…側部接合部、15…開口部、16…ヘッダ部、F…サンドイッチ、Ff…正面、Fs…側面、Fr…背面、Fb…底面、L…ラベル