(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104226
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20220701BHJP
D06F 58/38 20200101ALI20220701BHJP
D06F 103/04 20200101ALN20220701BHJP
D06F 103/06 20200101ALN20220701BHJP
D06F 103/32 20200101ALN20220701BHJP
D06F 103/34 20200101ALN20220701BHJP
D06F 103/52 20200101ALN20220701BHJP
D06F 103/54 20200101ALN20220701BHJP
D06F 103/56 20200101ALN20220701BHJP
D06F 105/02 20200101ALN20220701BHJP
D06F 105/20 20200101ALN20220701BHJP
D06F 105/22 20200101ALN20220701BHJP
D06F 105/28 20200101ALN20220701BHJP
D06F 105/30 20200101ALN20220701BHJP
D06F 105/32 20200101ALN20220701BHJP
D06F 105/40 20200101ALN20220701BHJP
D06F 103/38 20200101ALN20220701BHJP
D06F 105/36 20200101ALN20220701BHJP
【FI】
D06F58/02 F
D06F58/38
D06F103:04
D06F103:06
D06F103:32
D06F103:34
D06F103:52
D06F103:54
D06F103:56
D06F105:02
D06F105:20
D06F105:22
D06F105:28
D06F105:30
D06F105:32
D06F105:40
D06F103:38
D06F105:36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219299
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】乾 浩章
(72)【発明者】
【氏名】山内 智博
【テーマコード(参考)】
3B166
3B167
【Fターム(参考)】
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3B166AA05
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3B167LD03
3B167LE06
3B167LF01
3B167LF02
3B167LG04
(57)【要約】
【課題】新規の除湿デバイスを用いた乾燥機を提供する。
【解決手段】洗濯乾燥機1は、洗濯物Lを収容する収容槽5と、収容槽5内に空気を流入させる流入路20Fと、収容槽5から空気を流出させる流出路20Gと、空気を流入路20F、収容槽5及び流出路20Gの順に流す送風部21と、流入路20Fから収容槽5に流入する空気を加熱する加熱部22と、流出路20G内を流れる空気を除湿する除湿デバイス23と、を含む。除湿デバイス23は、流出路20G内を流れる空気に含まれる水分を帯電させる帯電部24と、帯電部24によって帯電された水分を捕集する捕集部25と、捕集部25によって捕集された水分を流出路20Gの外に排出する排出路26と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥対象物を収容する収容槽と、
前記収容槽内に空気を流入させる流入路と、
前記収容槽から空気を流出させる流出路と、
空気を前記流入路、前記収容槽及び前記流出路の順に流す送風部と、
前記流入路から前記収容槽に流入する空気を加熱する加熱部と、
前記流出路内を流れる空気を除湿する除湿デバイスと、を含み、
前記除湿デバイスは、
前記流出路内を流れる空気に含まれる水分を帯電させる帯電部と、
前記帯電部によって帯電された水分を捕集する捕集部と、
前記捕集部によって捕集された水分を前記流出路の外に排出する排出路と、を含む、乾燥機。
【請求項2】
前記収容槽は、水が溜められる水槽を含み、
前記乾燥機は、前記水槽に接続されて前記水槽から水を排出する排水路と、前記排水路を開閉する排水弁と、を含み、
前記排出路は、前記排水路において前記排水弁と前記水槽との間の上流部に接続される、請求項1に記載の乾燥機。
【請求項3】
前記収容槽は、水が溜められる水槽を含み、
前記乾燥機は、前記水槽に接続されて前記水槽から水を排出する排水路と、前記排水路を開閉する排水弁と、を含み、
前記流出路は、前記水槽に接続され、
前記排出路は、前記流出路内に配置される、請求項1に記載の乾燥機。
【請求項4】
前記乾燥機は、前記送風部、前記加熱部及び前記除湿デバイスを制御することによって前記収容槽内の乾燥対象物を乾燥させる乾燥運転を実行する制御部と、前記流入路から前記流出路まで流れる空気の温度を検出する温度検出部と、を含み、
前記乾燥運転において、前記制御部は、前記温度検出部の検出結果に応じて前記除湿デバイスを制御する、請求項1~3のいずれか一項に記載の乾燥機。
【請求項5】
前記流出路は、前記乾燥機の機外に連通した排気路と、前記流入路に接続された接続路とに分岐し、
前記制御部の制御によって前記流出路内の空気を前記排気路に流したり前記接続路に流したりする切替部を含む、請求項4に記載の乾燥機。
【請求項6】
前記除湿デバイスは、前記流出路内にミストを供給するミスト供給部を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の乾燥機。
【請求項7】
前記収容槽は、水が溜められる水槽と、前記水槽内において回転可能に配置されて乾燥対象物を収容する回転槽と、を含み、
前記乾燥機は、前記水槽に接続されて前記水槽から水を排出する排水路と、前記排水路を開閉する排水弁と、前記水槽に接続されて前記水槽に給水する給水路と、前記給水路を開閉する給水弁と、前記送風部、前記加熱部、前記除湿デバイス、前記排水弁及び前記給水弁を制御することによって前記回転槽内の乾燥対象物を乾燥させる乾燥運転を実行する制御部と、前記水槽内の水位を検出する水位検出部と、を含み、
前記乾燥運転において、前記水位検出部が検出する前記水槽内の水位が前記回転槽よりも下側の所定水位になるまで、前記制御部は、前記排水弁を閉じた状態で前記給水弁を開いて前記水槽内に水を溜める、請求項1~6のいずれか一項に記載の乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の洗濯乾燥機は、衣類を収容する洗濯槽と、洗濯槽に連通した一端及び他端を有する循環風路と、循環風路に設けられたブロワ及びヒータと、循環風路の途中の風路断面を狭める山形が設けられた除湿部と、循環風路に接続された熱交換水路とを含む。洗濯乾燥機の乾燥運転では、洗濯槽内の湿った空気がブロワによって循環風路に取り出される。この際、熱交換用の水が、熱交換水路から循環風路に与えられて除湿部において空気と熱交換することによって、この空気を除湿する。除湿された空気は、ヒータによって加熱された後に、洗濯槽内に還流される。このような空気の循環によって、洗濯槽内の衣類が乾燥される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乾燥機において湿った空気を除湿するための除湿デバイスには、特許文献1のような熱交換用の水を用いた水冷式や、水の代わりに外気を用いる空冷式や、水と外気とを組み合わせたハイブリット式が一般的である。このような除湿デバイスでは、循環する空気の温度が、除湿時の熱交換によって低下するので、ヒータによる空気の再加熱に時間がかかる。これでは、ヒータの消費電力が多くなり、乾燥運転の時間が長くなる。さらに、循環する空気を水や外気に多く接触させて除湿効果を高めるために、特許文献1の山形などによって循環風路内を複雑に構成する必要があるが、これにより、循環風路内における圧力損失が大きくなる。圧力損失の問題を解決するためには、高出力のブロワが必要になるが、このようなブロワが作動すると、大きな騒音が発生するし、コスト上昇や乾燥機の大型化が懸念される。また、水冷式だと、熱交換の水が大量に必要となるし、空冷式だと、外気の温度に応じて除湿性能が変動するので、安定した除湿性能を得ることが困難である。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、新規の除湿デバイスを用いた乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、乾燥対象物を収容する収容槽と、前記収容槽内に空気を流入させる流入路と、前記収容槽から空気を流出させる流出路と、空気を前記流入路、前記収容槽及び前記流出路の順に流す送風部と、前記流入路から前記収容槽に流入する空気を加熱する加熱部と、前記流出路内を流れる空気を除湿する除湿デバイスと、を含む乾燥機であって、前記除湿デバイスが、前記流出路内を流れる空気に含まれる水分を帯電させる帯電部と、前記帯電部によって帯電された水分を捕集する捕集部と、前記捕集部によって捕集された水分を前記流出路の外に排出する排出路と、を含む、乾燥機である。
【0007】
また、本発明は、前記収容槽が、水が溜められる水槽を含み、前記乾燥機が、前記水槽に接続されて前記水槽から水を排出する排水路と、前記排水路を開閉する排水弁と、を含み、前記排出路が、前記排水路において前記排水弁と前記水槽との間の上流部に接続されることを特徴とする。
また、本発明は、前記収容槽が、水が溜められる水槽を含み、前記乾燥機が、前記水槽に接続されて前記水槽から水を排出する排水路と、前記排水路を開閉する排水弁と、を含み、前記流出路が、前記水槽に接続され、前記排出路が、前記流出路内に配置されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記乾燥機が、前記送風部、前記加熱部及び前記除湿デバイスを制御することによって前記収容槽内の乾燥対象物を乾燥させる乾燥運転を実行する制御部と、前記流入路から前記流出路まで流れる空気の温度を検出する温度検出部と、を含み、前記乾燥運転において、前記制御部が、前記温度検出部の検出結果に応じて前記除湿デバイスを制御することを特徴とする。
また、本発明は、前記流出路が、前記乾燥機の機外に連通した排気路と、前記流入路に接続された接続路とに分岐し、前記乾燥機が、前記制御部の制御によって前記流出路内の空気を前記排気路に流したり前記接続路に流したりする切替部を含むことを特徴とする。
また、本発明は、前記除湿デバイスが、前記流出路内にミストを供給するミスト供給部を含むことを特徴とする。
また、本発明は、前記収容槽が、水が溜められる水槽と、前記水槽内において回転可能に配置されて乾燥対象物を収容する回転槽と、を含み、前記乾燥機が、前記水槽に接続されて前記水槽から水を排出する排水路と、前記排水路を開閉する排水弁と、前記水槽に接続されて前記水槽に給水する給水路と、前記給水路を開閉する給水弁と、前記送風部、前記加熱部、前記除湿デバイス、前記排水弁及び前記給水弁を制御することによって前記回転槽内の乾燥対象物を乾燥させる乾燥運転を実行する制御部と、前記水槽内の水位を検出する水位検出部と、を含み、前記乾燥運転において、前記水位検出部が検出する前記水槽内の水位が前記回転槽よりも下側の所定水位になるまで、前記制御部が、前記排水弁を閉じた状態で前記給水弁を開いて前記水槽内に水を溜めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、乾燥機の乾燥運転では、加熱部によって加熱された空気が流入路から収容槽に流入し、収容槽内の乾燥対象物を乾燥させる。収容槽から流出路に流出した空気は、除湿デバイスによって除湿される。除湿デバイスでは、帯電部が、流出路内を流れる空気に含まれる水分を帯電させ、捕集部が、帯電された水分を捕集し、排出路が、捕集された水分を流出路の外に排出する。このように、水分を帯電させてから捕集するという新規の除湿デバイスを用いた乾燥機を提供することができる。
【0010】
また、本発明によれば、除湿デバイスの排出路が、水槽から延びる排水路において排水弁と水槽との間の上流部に接続される。この場合には、排水弁が閉じた状態で、除湿デバイスで捕集された水分が排出路を流れると、排水路の上流部に水が溜まる。そのため、収容槽内の空気を、除湿デバイスだけでなく、排水路の上流部に溜まった水によっても除湿することができるので、乾燥機全体で最大限の除湿性能を発揮できる。
また、本発明によれば、除湿デバイスの排出路が、収容槽から空気を流出させる流出路内に配置される。この場合には、除湿デバイスで捕集されて排出路を流れた水分は、流出路を流れて収容槽に流入し、排水路から機外に排出される。このように排出路及び流出路を流れて収容槽に流入する水によって、流出路及び収容槽内における泡や塵などの汚れを除去することができる。
【0011】
また、本発明によれば、乾燥運転において、流入路から流出路まで流れる空気の温度、言い換えれば収容槽内の乾燥対象物の乾燥具合に応じて、除湿デバイスが制御されるので、除湿デバイスを適切に作動させて乾燥対象物を効率的に乾燥させることができる。
【0012】
また、本発明によれば、収容槽から流出路に流出した空気を排気路に流せば、機外に排出することができる。一方、収容槽から流出路に流出した空気を接続路に流せば、流入路に戻すことによって循環させることにより、収容槽内の乾燥対象物の乾燥のために再利用することができる。また、流出路に流出した空気のうち、機外に排出させる空気と、循環させる空気との比率を、切替部によって調整することもできる。
また、本発明によれば、ミスト供給部が流出路内に供給したミストが、帯電部によって帯電される水分を、捕集部にとって捕集しやすい大きさの水滴にするので、捕集部は、この水分を効率的に捕集することができる。
【0013】
また、本発明によれば、乾燥運転において、収容槽の水槽内に水が溜められる。この場合には、収容槽内の空気を、除湿デバイスだけでなく、水槽内に溜まった水によっても除湿することができるので、乾燥機全体で最大限の除湿性能を発揮できる。また、水槽内に溜められた水は、回転槽に触れないので、乾燥運転中に回転槽が回転したときに水槽内の水が跳ねて乾燥対象物を濡らすことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る乾燥機の模式的な縦断面右側面図である。
【
図2】乾燥機の除湿デバイスを構成する帯電部の平面図である。
【
図5】除湿デバイスを構成する捕集部の平面図である。
【
図9】乾燥機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図10】乾燥機の乾燥運転を示すタイムチャートである。
【
図11】本発明の第1変形例に係る乾燥機の模式的な縦断面右側面図である。
【
図12】本発明の第2変形例に係る乾燥機の模式的な縦断面右側面図である。
【
図13】本発明の第3変形例に係る乾燥機の模式的な縦断面右側面図である。
【
図14】本発明の第4変形例に係る乾燥機の模式的な縦断面右側面図である。
【
図15】本発明の第5変形例に係る乾燥機の模式的な縦断面右側面図である。
【
図16】本発明の第6変形例に係る乾燥機の模式的な縦断面右側面図である。
【
図17】本発明の第7変形例に係る乾燥機における要部の模式的な縦断面右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の乾燥機の一実施形態に係る洗濯乾燥機1の模式的な縦断面右側面図である。
図1の紙面に直交する方向を洗濯乾燥機1の左右方向Xといい、
図1における左右方向を洗濯乾燥機1の前後方向Yといい、
図1における上下方向を洗濯乾燥機1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、
図1の紙面における奥側を左側X1といい、
図1の紙面における手前側を右側X2という。前後方向Yのうち、
図1における左側を前側Y1といい、
図1における右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。左右方向X及び前後方向Yは、横方向に含まれる。横方向は、水平方向Hであってもよいし、水平方向Hに対して若干傾斜した略水平方向であってもよい。
【0016】
洗濯乾燥機1として、本実施形態ではドラム式の洗濯乾燥機を主な対象とするが、洗濯乾燥機1は、縦型の洗濯乾燥機であってもよい。また、本発明は、洗濯機能が省略されて乾燥運転だけを実行する乾燥機も対象とする。また、洗濯乾燥機1の乾燥対象物は、本実施形態では衣類などの洗濯物Lであるが、靴や食器などであってもよい。洗濯乾燥機1は、筐体2と、筐体2内に配置されて水槽3及び回転槽4を含み、洗濯物Lを収容する収容槽5と、水槽3に接続された給水路6及び排水路7と、回転槽4を回転させるモータ8と、洗濯物Lを乾燥させる乾燥ユニット9とを含む。
【0017】
筐体2は、ボックス状に形成される。筐体2の前面2Aは、例えば垂直面である。前面2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成される。前面2Aには、開口2Bを開閉する扉10が設けられる。
【0018】
水槽3は、筐体2の底壁2Cから上側Z1へ延びるダンパ11によって支えられ、ばね(図示せず)によって吊り下げられる。これにより、水槽3を含む収容槽5の全体が、弾性支持される。なお、ダンパ11は、
図1だけに図示される。水槽3は、水平方向Hに沿って前後方向Yに延びる軸線Jを中心とした円筒状の円周壁3Aと、円周壁3Aの中空部分を後側Y2から塞いだ円盤状の背面壁3Bと、円周壁3Aの前端縁につながったリング状の正面壁3Cとを有する。
【0019】
背面壁3Bの中心には、軸線Jに沿って背面壁3Bを前後方向Yに貫通した貫通穴3Dが形成される。正面壁3Cは、円周壁3Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第1部3Eと、第1部3Eの内周縁から前側Y1へ突出した円筒状の第2部3Fと、第2部3Fの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第3部3Gとを有する。第3部3Gの内側には、円周壁3Aの中空部分に前側Y1から連通した出入口3Hが形成される。出入口3Hは、筐体2の開口2Bに対して後側Y2から対向して連通した状態にある。
【0020】
回転槽4は、軸線Jと一致した中心軸線を有する円筒体であって、水槽3よりも一回り小さい。回転槽4は、本実施形態では中心軸線が水平方向Hに沿うように水槽3内において水平に配置されるが、中心軸線が水平方向Hに対して傾斜するように斜めに配置されてもよい。回転槽4は、水槽3の円周壁3Aと同軸上に配置された円筒状の円周壁4Aと、円周壁4Aの中空部分を後側Y2から塞いだ円盤状の背面壁4Bと、円周壁4Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の環状壁4Cとを有する。円周壁4A及び背面壁4Bには、複数の貫通穴4Dが形成される。回転槽4の背面壁4Bの中心には、軸線Jに沿って後側Y2へ延びる支持軸12が設けられる。支持軸12の後端部は、水槽3の背面壁3Bの貫通穴3Dを通って背面壁3Bよりも後側Y2に配置される。
【0021】
環状壁4Cの内側には、円周壁4Aの中空部分に前側Y1から連通した出入口4Eが形成される。出入口4Eは、水槽3の出入口3H及び筐体2の開口2Bに対して後側Y2から対向して連通した状態にある。出入口3H及び出入口4Eは、開口2Bとともに、扉10によって一括開閉される。洗濯乾燥機1の使用者は、開放された開口2B、出入口3H及び出入口4Eを介して、回転槽4内に洗濯物Lを出し入れする。扉10には、扉10が開口2B、出入口3H及び出入口4Eを閉じたときに水槽3の正面壁3Cの第3部3Gに密着するパッキン13が設けられる。
【0022】
給水路6は、蛇口(図示せず)に接続された一端(図示せず)と、筐体2内において水槽3の正面壁3Cの第2部3Fにおける例えば上部に接続された他端とを有し、当該他端には、水槽3内に上側Z1から臨んだ給水口6Aが設けられる。給水時には、蛇口からの水道水が給水路6を通って給水口6Aから水槽3内に供給される。水槽3内には、水道水、又は、水道水に洗剤が溶けた洗剤水が溜められる。以下では、水道水及び洗剤水を「水」と略称することがある。水槽3内の水は、回転槽4の貫通穴4Dを介して、水槽3と回転槽4との間で行き来する。そのため、水槽3内の水位と回転槽4内の水位とは、一致する。
【0023】
洗濯乾燥機1は、水槽3内の水位を検出する水位検出部14と、給水路6の途中に設けられた開閉可能な給水弁15を含む。水位検出部14として、フロート式水位センサや圧電式センサや電極センサや磁気センサや超音波センサや光センサなどを採用できる。本実施形態における水位検出部14は、ダイヤフラム(図示せず)を内蔵する圧電式センサであって、ホース16を介して水槽3に接続される。水位検出部14は、水槽3内での水位の変化に伴って変動するホース16内の圧力をダイヤフラムによって測定することによって、水槽3内の水位を検出する。なお、水位検出部14は、
図1及び
図9だけに図示される。
【0024】
開状態の給水弁15は、給水路6を開くことにより、水槽3つまり収容槽5への給水を許容する。閉状態の給水弁15は、給水路6を閉じることにより、収容槽5への給水を停止する。
【0025】
排水路7は、水槽3の下端部、例えば円周壁3Aの下端部に接続される。水槽3内の水は、排水路7から筐体2の外、つまり機外に排出される。洗濯乾燥機1は、排水路7の途中に設けられた開閉可能な排水弁17を含む。開状態の排水弁17は、排水路7を開くことにより、水槽3の排水を許容する。閉状態の排水弁17は、排水路7を閉じることにより、排水を停止する。排水路7において排水弁17と水槽3との間の領域を上流部7Aといい、排水弁17よりも水槽3から離れた領域を下流部7Bという。
【0026】
モータ8は、筐体2内において、水槽3の背面壁3Bの後側Y2に配置される。モータ8の一例として、DD(ダイレクトドライブ)モータを採用できる。モータ8は、回転槽4に設けられた支持軸12に連結される。モータ8が発生したトルクは、支持軸12に伝達され、回転槽4が、支持軸12を伴って軸線Jまわりに回転する。なお、モータ8と支持軸12と間には、モータ8のトルクを支持軸12に伝達したり遮断したりするクラッチ機構(図示せず)が設けられてもよい。
【0027】
乾燥ユニット9は、水槽3内の空気を循環させるための循環路20及び送風部21と、循環する空気を加熱する加熱部22と、循環路20内を流れる空気を除湿する除湿デバイス23とを含む。
【0028】
循環路20は、筐体2内において、例えば水槽3の上側Z1に配置された流路である。循環路20は、前後方向Yに延びる途中部分20Aと、途中部分20Aの後端から下側Z2へ延びた後に前側Y1へ折れ曲がった後部分20Bと、途中部分20Aの前端から下側Z2へ延びる前部分20Cとを有する。後部分20Bの下端部の前端には、取出口20Dが形成される。取出口20Dは、水槽3の背面壁3Bの下部に接続され、水槽3内に後側Y2から連通する。前部分20Cの下端には、戻し口20Eが形成される。戻し口20Eは、水槽3の正面壁3Cの第2部3Fの上端部に接続され、水槽3内に上側Z1から連通する。
【0029】
送風部21は、いわゆるブロアであり、循環路20の途中部分20A内に配置された回転羽根21Aと、回転羽根21Aを回転させるモータ21B(後述する
図17を参照)とを含む。回転羽根21Aが回転すると、収容槽5内の空気、つまり水槽3内及び回転槽4内の空気が、太い破線矢印で示すように、取出口20Dから循環路20内に取り出された後に、戻し口20Eから水槽3内に戻される。これにより、水槽3内の空気は、水槽3と循環路20とを順に流れるように循環する。
【0030】
循環路20において戻し口20Eから送風部21までの部分を、収容槽5内に空気を流入させる流入路20Fといい、循環路20において取出口20Dから送風部21までの部分を、収容槽5から空気を流出させる流出路20Gといってもよい。流入路20Fは、戻し口20Eにおいて水槽3に接続され、流出路20Gは、取出口20Dにおいて水槽3に接続される。循環する空気は、流入路20F、収容槽5及び流出路20Gの順に流れる。
【0031】
加熱部22は、ヒートポンプにおける熱交換器又は一般的なヒータなどであり、少なくとも一部が、循環路20内に設けられる。加熱部22において循環路20内に設けられた部分は、放熱部22Aを有する。放熱部22Aは、本実施形態では循環路20内において送風部21の回転羽根21Aよりも戻し口20Eに近い下流側に配置されるが、回転羽根21Aよりも戻し口20Eから遠い上流側に配置されてもよい。いずれにせよ、回転羽根21A及び放熱部22Aは、流入路20F内に配置される。加熱部22が作動すると放熱部22Aが高温になるので、循環路20内を流れる空気が放熱部22Aの周囲を通過する際に加熱されて熱風になってから収容槽5に流入する。このように、加熱部22は、流入路20Fから収容槽5に流入する空気を加熱する。
【0032】
除湿デバイス23は、循環路20内、詳しくは流出路20G内を流れる空気に含まれる水分を帯電させる帯電部24と、帯電部24によって帯電された水分を捕集する捕集部25と、捕集部25によって捕集された水分を循環路20の外に排出する排出路26とを含む。帯電部24及び捕集部25は、循環路20内において送風部21及び加熱部22よりも取出口20Dに近い上流側の領域、つまり流出路20G内に配置される。
【0033】
図2は、帯電部24の平面図である。帯電部24は、中空のケース30と、ケース30内に配置された複数の第1電極31と、隣り合う第1電極31の間に配置された第2電極32とを含む。
【0034】
ケース30の一例は、上下方向Zに延びる4つの縦壁30Aによって構成された直方体である。これらの縦壁30Aによって囲まれた空間が、ケース30の内部空間30Bである。ケース30には、4つの縦壁30Aの下端によって縁取られた矩形状の入口30Cと、4つの縦壁30Aの上端によって縁取られた矩形状の出口30Dとが形成される(
図3も参照)。内部空間30Bは、入口30Cから下側Z2へ開放され、出口30Dから上側Z1へ開放される。ケース30は、循環路20における流出路20G、詳しくは後部分20Bにおいて上下方向Zに延びる部分の一部を構成する(
図1参照)。ケース30の内部空間30B、入口30C及び出口30Dは、流出路20Gの内部空間において上下方向Zに延びる領域の一部を構成する。
【0035】
図3は、
図2のA-A矢視断面図である。循環路20内を流れる空気は、この実施形態では、ケース30内において入口30Cから出口30Dへ向かって上昇する(太い破線矢印を参照)。4つの縦壁30Aにおいて、一対の縦壁30AAは、残り一対の縦壁30ABと直交して配置される。一対の縦壁30AAにおける一方の下端部には、貫通穴30Eと、貫通穴30Eの下端から内部空間30Bに突出したスロープ30Fと、ケース30の外から貫通穴30Eを覆うガイドボックス30Gとを含む。貫通穴30E、スロープ30F及びガイドボックス30Gは、一対の縦壁30ABの対向方向Pにおいて長手である。貫通穴30E及びスロープ30Fは、内部空間30Bにおいて対向方向Pの全域にわたって設けられる。スロープ30Fは、貫通穴30Eから斜め上側へ傾斜して配置され、スロープ30Fの上面30Hも傾斜する。上面30Hにおいて貫通穴30Eから最も離れた上端部には、上側Z1へ突出した突出部30Iが設けられる。
【0036】
ガイドボックス30Gの内部空間30Jは、貫通穴30Eに連通した状態にある。
図4は、
図2のB-B矢視断面図である。ガイドボックス30Gにおいて内部空間30Jを下側Z2から区画する底面30Kは、貫通穴30Eを介してスロープ30Fの上面30Hの下端に接続される。底面30Kは、例えば対向方向Pにおける一方へ向かうにつれて次第に下降する傾斜面であり、その下端には、排出口30Lが形成される。ガイドボックス30Gの下面には、排出口30Lを取り囲んだ状態で下側Z2へ突出した円筒状の連結部30Mが設けられる。
【0037】
第1電極31は、対向方向Pに薄い板状の対向電極であり、例えばステンレス又はアルミニウムによって形成されることにより、導電性を有する。本実施形態では、一例として、5枚の第1電極31が、ケース30の内部空間30Bにおいて、対向方向Pに等間隔を隔てて並んで配置される(
図2参照)。各第1電極31は、その上端部において一段幅広くなった幅広部31Aがケース30の出口30Dにおける段部30Nに係合することによって、内部空間30Bにて位置決めされる(
図3参照)。各第1電極31においてケース30の入口30C側の下端縁31Bは、縦壁30AAの貫通穴30Eへ向かって次第に下降するように直線状に傾斜する。各第1電極31の下端縁31Bにおいて貫通穴30E側の下端部は、スロープ30Fの真上に配置され、貫通穴30Eと上下方向Zにおいて同じ位置に配置される。
【0038】
第2電極32は、ワイヤーによって構成された放電電極であり、例えばタングステンによって形成されることにより、導電性を有し、第1電極31とは反対の極性を有する。第2電極32は、隣り合う第1電極31の間に1本ずつ配置され、一対の縦壁30AAの間に架設される(
図2及び
図3参照)。第2電極32は、第1電極31と非接触の状態で、第1電極31の下端縁31Bよりも上側Z1の位置で下端縁31Bと平行になるように直線状に傾斜する(
図3参照)。
【0039】
本実施形態では、第1電極31の極性がグラウンド側の負極であり、第2電極32の極性が正極である。洗濯乾燥機1に設けられた電源(図示せず)から帯電部24に電圧が印加されると、第1電極31と第2電極32との間に数kV~数十kVの高電圧が印加されることによって、第2電極32が放電する。すると、第2電極32の周囲の空気がプラズマ状態になり、この空気中の分子が陽イオン化して第1電極31へ移動する。これにより、第1電極31と第2電極32との間に数10μAの電流が流れる。そして、第1電極31と第2電極32の間を流れる空気に含まれる水分は、陽イオンや電子に衝突することによって正極に帯電される。正極に帯電された水分は、負極の第1電極31に引き寄せられて、第1電極31に捕集される。これにより、第1電極31と第2電極32の間の空気が除湿される。
【0040】
第1電極31に捕集された水分は、第1電極31の表面で水滴となり、自重によって第1電極31の下端縁31Bの傾斜に沿って流れ(
図3の矢印Q1を参照)、スロープ30Fの上面30H上に落下する。上面30H上に落下した水分は、上面30Hの傾斜に沿って流れ落ちてガイドボックス30Gの内部空間30Jに流入し(
図3の矢印Q2を参照)、ガイドボックス30Gの底面30Kの傾斜に沿って流れ落ちて排出口30Lから連結部30M内に流入する(
図4の矢印Q3を参照)。
【0041】
このように、本実施形態では、第1電極31が、帯電された水分とは反対の極性を有して当該水分を捕集する。なお、第1電極31の極性が正極であって第2電極の極性が負極である逆の構成もあり得るが、この構成でも、第2電極32が放電して、第1電極31が集水する。なお、本実施形態では、ケース30内で空気が上昇するように流れるのに応じて、ケース30の入口30C及び出口30Dが上下方向Zに並んで配置されるが、ケース30内で空気が左右方向Xなどの横方向に流れてもよく、その場合には、入口30C及び出口30Dが横方向に並ぶようにケース30の姿勢が変更されてもよい。いずれにせよ、第1電極31及び第2電極32は、入口30Cから出口30Dに流れる空気の抵抗とならないにように、この空気の流れに沿って配置される。
【0042】
図5は、捕集部25の平面図である。捕集部25は、循環路20での空気の流れ方向(
図1における太い破線矢印)において帯電部24の下流側に配置され、本実施形態では、帯電部24の上側Z1に隣接配置される。捕集部25は、中空のケース40と、ケース40内に配置された複数の第3電極43と、隣り合う第3電極43の間に配置された第4電極44とを含む。
【0043】
ケース40の一例は、上下方向Zに延びる4つの縦壁40Aによって構成された直方体である。これらの縦壁40Aによって囲まれた空間が、ケース40の内部空間40Bである。ケース40には、4つの縦壁40Aの下端によって縁取られた矩形状の入口40Cと、4つの縦壁40Aの上端によって縁取られた矩形状の出口40Dとが形成される(
図6も参照)。内部空間40Bは、入口40Cから下側Z2へ開放され、出口40Dから上側Z1へ開放される。ケース40は、循環路20における流出路20G、詳しくは後部分20Bにおいて上下方向Zに延びる部分の一部を構成する(
図1参照)。ケース40の内部空間40B、入口40C及び出口40Dは、流出路20Gの内部空間において上下方向Zに延びる領域の一部を構成する。ケース40の入口40Cは、帯電部24のケース30の出口30D(
図3参照)に上側Z1から連通する。
【0044】
図6は、
図5のC-C矢視断面図である。循環路20を流れて帯電部24のケース30内を通過した空気は、本実施形態では、ケース40内において入口40Cから出口40Dへ向かって上昇する(太い破線矢印を参照)。4つの縦壁40Aにおいて、一対の縦壁40AAは、残り一対の縦壁40ABと直交して配置される。一対の縦壁40AAにおける一方の下端部には、貫通穴40Eと、貫通穴40Eの下端から内部空間40Bに突出したスロープ40Fと、ケース40の外から貫通穴40Eを覆うガイドボックス40Gとを含む。貫通穴40E、スロープ40F及びガイドボックス40Gは、一対の縦壁40ABの対向方向Rにおいて長手である。貫通穴40E及びスロープ40Fは、内部空間40Bにおいて対向方向Rの全域にわたって設けられる。スロープ40Fは、貫通穴40Eから斜め上側へ傾斜して配置され、スロープ40Fの上面40Hも傾斜する。上面40Hにおいて貫通穴40Eから最も離れた上端部には、上側Z1へ突出した突出部40Iが設けられる。
【0045】
ガイドボックス40Gの内部空間40Jは、貫通穴40Eに連通した状態にある。
図7は、
図5のD-D矢視断面図である。ガイドボックス40Gにおいて内部空間40Jを下側Z2から区画する底面40Kは、貫通穴40Eを介してスロープ40Fの上面40Hの下端に接続される。底面40Kは、例えば対向方向Rにおける一方へ向かうにつれて次第に下降する傾斜面であり、その下端には、排出口40Lが形成される。ガイドボックス40Gの下面には、排出口40Lを取り囲んだ状態で下側Z2へ突出した円筒状の連結部40Mが設けられる。
【0046】
第3電極43は、対向方向Rに薄い板状の対向電極であり、例えばステンレス又はアルミニウムによって形成されることにより、導電性を有する。本実施形態では、7枚の第3電極43が、ケース40の内部空間40Bにおいて、対向方向Rに等間隔を隔てて並んで配置される(
図5参照)。各第3電極43は、その上端部から突出した突出部43Aがケース40の出口40Dにおける段部40Nに係合することによって、内部空間40Bにて位置決めされる。なお、対向方向Rに延びる連結軸45が各第3電極43の突出部43Aを串刺しすることによって、全ての第3電極43が一体化されてもよい(
図6参照)。各第3電極43においてケース40の入口40C側の下端縁43Bは、縦壁40AAの貫通穴40Eへ向かって次第に下降するように直線状に傾斜する。各第3電極43の下端縁43Bにおいて貫通穴40E側の下端部は、スロープ40Fの真上に配置され、貫通穴40Eと上下方向Zにおいて同じ位置に配置される。
【0047】
図8は、
図6から第4電極44を抜き出した図である。各第4電極44は、一対の縦壁40AAの対向方向S(
図6参照)に長手の本体44Aと、本体44Aの大部分を被覆した絶縁体44Bとを有する絶縁電極である。本体44Aは、例えば銅によって形成されることにより、導電性を有する。本体44Aは、第3電極43とは反対の極性を有する。絶縁体44Bは、一対の縦壁40AAの対向方向Rにおいて薄く、対向方向Sに長い長方形の板状である。第4電極44は、隣り合う第3電極43の間に1つずつ配置され、第3電極43と非接触の状態で、一対の縦壁40AAの間に架設される(
図5及び
図6参照)。各第4電極44の大部分は、対向方向Rから見て、各第3電極43と重なって配置される(
図6参照)。本体44Aにおいて絶縁体44Bからはみ出した根元部44AAと、絶縁体44Bにおいて根元部44AA側の部分は、ケース40の外に配置される。
【0048】
本実施形態では、第3電極43の極性がグラウンド側の負極であり、第4電極44の極性が正極である。洗濯乾燥機1に設けられた電源(図示せず)から捕集部25に電圧が印加されると、第3電極43と第4電極44との間に数kV~数十kVの高電圧が印加される。ただし、第4電極44の表面が絶縁体44Bによって構成されるので、第3電極43と第4電極44との間に電流は流れない。そのため、第3電極43と第4電極44との間のリークなどによるスパークや電圧変動が防止される。一方、第3電極43と第4電極44との間に電界が発生するので、帯電部24によって正極に帯電された状態で捕集部25のケース40内に流入した水分が、本実施形態では負極の第3電極43によって捕集される。これにより、捕集部25は、帯電された水分を効果的に捕集することができる。そのため、帯電部24で除湿された空気が、さらに除湿される。
【0049】
第3電極43に捕集された水分は、第3電極43の表面で水滴となり、自重によって第3電極43の下端縁43Bの傾斜に沿って流れ(
図6の矢印T1を参照)、スロープ40Fの上面40H上に落下する。上面40H上に落下した水分は、上面40Hの傾斜に沿って流れ落ちてガイドボックス40Gの内部空間40Jに流入し(
図6の矢印T2を参照)、ガイドボックス40Gの底面40Kの傾斜に沿って流れ落ちて排出口40Lから連結部40M内に流入する(
図7の矢印T3を参照)。
【0050】
なお、第3電極43の極性が正極であって第4電極44の極性が負極である逆の構成もあり得る。また、本実施形態では、ケース40内で空気が上昇するように流れるのに応じて、ケース40の入口40C及び出口40Dが上下方向Zに並んで配置されるが、ケース40内で空気が横方向に流れてもよく、その場合には、入口40C及び出口40Dが横方向に並ぶようにケース40の姿勢が変更されてもよい。いずれにせよ、第3電極43及び第4電極44は、入口40Cから出口40Dに流れる空気の抵抗とならないにように、この空気の流れに沿って配置される。
【0051】
排出路26は、帯電部24及び捕集部25から下側Z2へ延びて排水路7に接続される流路である(
図1参照)。排出路26の一端部26Aは、分岐して帯電部24の連結部30M及び捕集部25の連結部40Mのそれぞれに接続される(
図4及び
図7参照)。排出路26において一端部26Aとは反対の他端部26Bは、
図1では、排水路7の上流部7Aに接続される。
【0052】
洗濯乾燥機1は、収容槽5と循環路20との間で循環する空気、つまり、流入路20Fから流出路20Gまで流れる空気の湿度を検出する湿度検出部50と、この空気の温度を検出する温度検出部51とを含む。湿度検出部50として、公知の湿度センサを採用できる。湿度検出部50は、流出路20G内において取出口20Dと帯電部24との間に配置された第1湿度検出部50Aと、流出路20G内において捕集部25よりも取出口20Dから離れた下流部に配置された第2湿度検出部50Bと、流入路20F内において戻し口20Eと加熱部22との間に配置された第3湿度検出部50Cとを含む。
【0053】
温度検出部51として、サーミスタなどの公知の温度センサを採用できる。温度検出部51は、流出路20G内において取出口20Dと帯電部24との間に配置された第1温度検出部51Aと、流出路20G内において捕集部25よりも取出口20Dから離れた下流部に配置された第2温度検出部51Bと、流入路20F内において戻し口20Eと加熱部22との間に配置された第3温度検出部51Cとを含む。なお、近い位置に配置された湿度検出部50及び温度検出部51は、1つの湿度温度検出部として一体化されてもよい。
【0054】
図9は、洗濯乾燥機1の電気的構成を示すブロック図である。洗濯乾燥機1は、制御部55をさらに含む。制御部55は、例えば、CPUと、ROMやRAMなどのメモリと、計時用のタイマとを含むマイコンとして構成され、筐体2内に内蔵される(
図1参照)。モータ8、水位検出部14、給水弁15、排水弁17、送風部21、加熱部22、帯電部24、捕集部25、湿度検出部50及び温度検出部51のそれぞれは、制御部55に対して電気的に接続される。水位検出部14、湿度検出部50及び温度検出部51のそれぞれの検出値は、リアルタイムで制御部55に入力される。
【0055】
制御部55は、モータ8、給水弁15、排水弁17、送風部21、加熱部22、帯電部24及び捕集部25のそれぞれの動作を制御することによって洗濯乾燥運転を実行する。洗濯乾燥運転は、序盤の洗い工程と、洗い工程後に1回又は複数回実行されるすすぎ工程と、少なくとも最後のすすぎ工程後に実行される脱水工程と、終盤の乾燥工程とを含む。これらの工程のそれぞれは、独立した運転であってもよく、その場合、例えば、洗い工程は洗い運転であり、乾燥工程は、乾燥運転である。
【0056】
制御部55は、洗い工程では、まず、モータ8を作動させて回転槽4を正回転させたり逆回転させたりし、その際のモータ8の電流値に基いて、回転槽4内において乾燥状態にある洗濯物Lの質量を判定する。制御部55は、判定した洗濯物Lの質量に基いて、必要な洗剤量と、洗い工程での水槽3内の目標水位とを決定する。制御部55は、決定した洗剤量の情報を、筐体2の前面2Aなどに設けられた表示操作部(図示せず)に表示する。
【0057】
そして、制御部55は、排水弁17を閉じた状態で給水弁15を開くことによって給水処理を実行する。これにより、給水路6からの水道水が、給水口6Aから水槽3内に流入して溜まるので、水槽3内の水位が上昇する。水槽3内の水位が目標水位まで上昇したことが水位検出部14によって検出されると、制御部55は、給水弁15を閉じることによって給水処理を終了する。なお、水槽3内への給水量は、水位検出部14でなく、給水弁15の近傍などに設けられる流量センサによって測定されてもよい。給水処理の前後に、洗剤が、使用者によって回転槽4内に手動投入されたり、自動投入されたりする。これにより、洗剤が水道水に溶けることによって生成された洗剤水が、回転槽4内に溜まる。
【0058】
制御部55は、給水処理後の洗い処理として、モータ8によって回転槽4を回転させる。これにより、回転槽4内の洗濯物Lが、たたき洗いされる。たたき洗いでは、洗濯物Lがある程度持ち上げられてから水面に自然落下するというタンブリングが繰り返される。タンブリングによる衝撃や、回転槽4に溜まった洗剤水に含まれる洗剤成分によって、洗濯物Lから汚れが取り除かれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部55が排水弁17を開いて排水すると、洗い工程が終了する。
【0059】
制御部55は、すすぎ工程では、排水弁17を閉じた状態で、少なくとも給水弁15を所定時間開いて水槽3に水道水を溜めてから、モータ8によって回転槽4を回転させる。すると、前述したタンブリングが繰り返されるので、洗濯物Lが回転槽4内の水道水によってすすがれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部55が排水すると、すすぎ工程が終了する。
【0060】
制御部55は、脱水工程では、排水弁17を開いた状態で、回転槽4を脱水回転させる。回転槽4の脱水回転により生じた遠心力によって、回転槽4内の洗濯物Lが脱水される。脱水により洗濯物Lから染み出た水は、排水路7から機外に排出される。脱水工程は、すすぎ工程後だけでなく、洗い工程後にも実施されてもよい。最後の脱水工程の後に、制御部55は、回転槽4を正回転及び逆回転をクイックに繰り返すことによって、回転槽4内の洗濯物Lを回転槽4の円周壁4Aから剥がしたりほぐしたりする。これにより、その後の乾燥工程において、洗濯物Lに皺が発生することを防止できる。
【0061】
図10は、乾燥工程を示すタイムチャートである。
図10のタイムチャートでは、横軸が経過時間を示す。一方、縦軸は、下から順に、除湿デバイス23の帯電部24の第1電極31と第2電極32の間を流れる電流の値である放電電流値、第1湿度検出部50Aの検出値である第1湿度、第1温度検出部51Aの検出値である第1温度、第2湿度検出部50Bの検出値である第2湿度、第2温度検出部51Bの検出値である第2温度、第3湿度検出部50Cの検出値である第3湿度、第3温度検出部51Cの検出値である第3温度を示す。放電電流値の単位は、放電電流の実際の値が最大であるときを100%とする「%」である。経過時間の単位は「分」であり、湿度の単位は「%」であり、温度の単位は「度」である。湿度は、相対湿度である。
【0062】
図1及び
図10を参照して、乾燥工程について詳しく説明する。第1湿度は、水槽3の取出口20Dから循環路20の流入路20Fに流入して除湿デバイス23に到達する前の空気の湿度であり、第1温度は、この空気の温度である。第2湿度は、循環路20内において除湿デバイス23を通過して除湿された後に加熱部22に到達する前の空気の湿度であり、第2温度は、この空気の温度である。第3湿度は、循環路20内において除湿デバイス23によって除湿された後に加熱部22によって加熱されて戻し口20Eから水槽3に戻る前の空気の湿度であり、第3温度は、この空気の温度である。
【0063】
制御部55は、脱水工程の最後又は乾燥工程の開始直前に、モータ8を作動させて回転槽4を正回転させたり逆回転させたりし、その際のモータ8の電流値や電圧値や駆動周波数に基いて、回転槽4内において湿った状態にある洗濯物Lの質量を判定する。
【0064】
そして、制御部55は、少なくとも送風部21、加熱部22及び除湿デバイス23を制御することによって、乾燥工程を実行する。乾燥工程では、送風部21及び加熱部22が作動することによって、熱風が発生して収容槽5と循環路20との間で循環し、回転槽4内の洗濯物Lに浴びせられる。これにより、洗濯物L内の水分と熱風との熱交換によって、この水分が蒸発して水蒸気となるので、洗濯物Lの乾燥が促進される。
【0065】
乾燥工程では、制御部55の制御によって除湿デバイス23の帯電部24及び捕集部25に電圧が印加される。これによって、洗濯物Lから蒸発した水分を乗せて循環路20内を流れる空気が、前述したように、帯電部24のケース30の内部空間30B及び捕集部25のケース40の内部空間40Bを通過する際に除湿される。また、熱風が洗濯物Lの隅々に行き渡るように、制御部55は、乾燥工程中において、モータ8を作動させて回転槽4を回転させることによって洗濯物Lを撹拌してもよい。
【0066】
制御部55は、乾燥工程において、温度検出部51の検出結果、言い換えれば収容槽5内の洗濯物Lの乾燥具合に応じて除湿デバイス23を制御する。具体的には、乾燥工程の開始時(
図10のタイミングt0)において第1湿度、第2湿度及び第3湿度が65%であって第1温度、第2温度及び第3温度が20度である状態において、送風部21及び加熱部22が作動して熱風が循環すると、これらの湿度及び温度が上昇する。
【0067】
ただし、乾燥工程の初期では、熱風が持つ熱エネルギは、洗濯物L中の水分の温度上昇に費やされ、洗濯物Lからの水分の蒸発は少ない。そのため、循環する熱風の温度が低くて洗濯物Lの乾燥が緩やかであり、循環路20内を流れる空気の湿度の上昇も緩やかである。このように収容槽5内の温度が上昇するものの洗濯物Lの乾燥が本格的に始まらない初期において、第1温度が80度という所定の閾値まで上昇するまでの全期間では、制御部55は、除湿デバイス23の放電電流値を、例えば50%という所定値以下に制限することによって、除湿デバイス23の除湿性能を制限する。特に、送風部21及び加熱部22が作動してから第3温度が80度の目標温度まで上昇するまでの最初期では、制御部55は、例えば除湿デバイス23の放電電流値を0%にすることによって除湿デバイス23を作動させない。第3温度が目標温度まで上昇すると(
図10のタイミングt1)、制御部55は、除湿デバイス23の放電電流値を50%まで上昇させて50%にて維持する。
【0068】
なお、制御部55は、第1温度、第2温度及び第3温度のそれぞれの時間的変化、特に第1温度や第2温度の時間的変化に基いて、洗濯物Lの質量や種類を推定してもよい。例えば、アクリルやポリエステルなどの化学繊維素材による洗濯物Lは、保水量が少ないので、第1温度や第2温度の上昇スピードが高い。一方、綿素材による洗濯物Lは、保水量が多いので、第1温度や第2温度の上昇スピードが低い。そのため、制御部55は、洗い工程の最初に判定した洗濯物Lの質量と、第1温度や第2温度の傾きとに基いて、回転槽4内の洗濯物Lにおける化学繊維素材と綿素材との比率を推定することもできる。
【0069】
そして、初期の終盤には、洗濯物L中の水分の温度上昇に加えて、洗濯物Lからの水分の蒸発が活発になることによって、取出口20Dから循環路20内に流入する空気は、ほぼ飽和水蒸気になるので、第1温度が80度まで上昇する(
図10のタイミングt2)。すると、制御部55は、除湿デバイス23の放電電流値を、前記所定値よりも高い100%まで上昇させ、その後の中期においても放電電流値を100%にて維持する。つまり、制御部55は、除湿デバイス23の除湿性能の制限を解除する。これにより、中期では、洗濯物Lの本格的な乾燥が始まるとともに、除湿デバイス23の除湿性能が十分に発揮されることによって、洗濯物Lの水分と熱交換した後の空気の除湿も促進される。これにより、洗濯物Lの温度は、収容槽5内に供給される熱風の温度である第3温度に近付いていく。なお、初期の終盤、つまりタイミングt2の直前を中期とみなしてもよい。
【0070】
制御部55は、湿度検出部50の検出値に基いて、除湿デバイス23を制御してもよい。例えば、初期において第1湿度が100%まで上昇してからしばらく経過すると(
図10のタイミングt2)、制御部55は、除湿デバイス23の放電電流値を100%まで上昇させてもよい。ただし、湿度が100%である状態では、湿度検出部50自体が結露することによって、湿度を正確に検出できないおそれがある。そこで、制御部55は、温度検出部51を併用することにより、湿度検出部50の検出値だけでなく、温度検出部51の検出値にも基いて、除湿デバイス23を最適に制御するとよい。
【0071】
そして、洗濯物Lの乾燥がほとんど完了すると(
図10のタイミングt3)、第1温度が80度から低下し始め、第1湿度が100%から低下し始めるので、乾燥工程は、中期から終期に移る。これに応じて、制御部55は、除湿デバイス23の放電電流値を、今までの100%から、例えば段階的に下げ、最終的に0%にすることによって除湿デバイス23を停止させる。つまり、洗濯物Lの乾燥が完了しつつある終期では、除湿デバイス23の役割が終わりつつあるので、除湿性能が制限される。乾燥工程では、制御部55は、初期、中期及び終期のそれぞれにおいて除湿デバイス23を適切に作動させることによって、洗濯物Lを効率的に乾燥させることができる。
【0072】
終期では、第1温度、第2温度及び第3温度のそれぞれが、75度前後でほぼ一定になる。制御部55は、乾燥工程において、これらの温度がほぼ一定になってから所定時間経過後の最後のタイミング(
図10のタイミングt4)に、加熱部22を停止させて、クールダウン処理を実行する。なお、制御部55は、前述したように推定した回転槽4内の洗濯物Lにおける化学繊維素材と綿素材との比率に基いて、当該所定時間を調整してもよい。これにより、洗濯物Lの過乾燥や生乾きや乾燥ムラを防止して、乾燥の仕上がり具合や乾燥工程の終了タイミングの検知についての精度向上を図ることができる。
【0073】
制御部55は、クールダウン処理では、加熱部22を停止させた状態で送風部21を引き続き作動させる。これにより、冷風が循環することによって収容槽5内の洗濯物Lや扉10が冷却される。これにより、使用者は、乾燥工程後に速やかに収容槽5内にアクセスして洗濯物Lを取り出すことができる。
【0074】
以上のように、乾燥工程において、洗濯物Lから水分を吸収して収容槽5から流出路20Gに流出した空気は、除湿デバイス23によって除湿される。除湿デバイス23では、帯電部24が、流出路20G内を流れる空気に含まれる水分を帯電させ、捕集部25が、第3電極43(
図6参照)にて当該水分を捕集し、排出路26が、捕集された水分を流出路20Gの外に排出する。このように、水分を帯電させてから捕集するという新規の除湿デバイス23を用いた洗濯乾燥機1を提供することができる。
【0075】
特に、水分を帯電させてから捕集する構成の除湿デバイス23であれば、空気を高温のまま除湿できるので、流出路20Gを流れる空気の温度が除湿直後に大幅に低下することを抑制できる。これにより、加熱部22は、除湿後の空気を、洗濯物Lを乾燥させるために必要な温度まで速やかに再加熱することができる。そのため、加熱部22の作動時間を短くすることができるので、乾燥工程における時間短縮及び省エネルギを実現できる。なお、除湿デバイス23は、水分だけでなく、空気中の異物も帯電させて捕集することもできるので、異物によって循環路20内が汚れることを防止できる。
【0076】
また、除湿デバイス23において、帯電部24の第1電極31及び第2電極32は、流出路20Gを流れる空気の抵抗とならないように、空気の流れ(
図3及び
図6における太い破線矢印)に沿って配置されるし、第1電極31及び第2電極32において隣り合う電極の間隔d(
図2参照)は、例えば2mm以上となるように広く確保される。捕集部25の第3電極43及び第4電極44も同様である。そのため、流出路20Gを含む循環路20全体での圧力損失の低減を図れる。これにより、循環路20における風量低下を抑制することによって、多量の熱風を収容槽5内の洗濯物Lに勢いよく浴びせることができるので、短時間で洗濯物Lを乾燥させることができる。さらに、送風部21の小型化や、送風部21のモータ21Bの低回転化を実現することによって、乾燥工程中での低騒音化を図ることもできる。
【0077】
また、乾燥工程中において、帯電部24の第2電極32がコロナ放電することにより、オゾンが発生し、このオゾンが、循環路20内の空気に乗って洗濯物Lに浴びせられるので、洗濯物Lを乾燥させるだけでなく、オゾンによって消臭したり除菌したりすることもできる。なお、制御部55は、帯電部24を制御することによって、オゾンの発生量を調整してもよい。
【0078】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0079】
例えば、乾燥工程において、制御部55は、送風部21、加熱部22及び除湿デバイス23だけでなく、給水弁15及び排水弁17も制御してもよい。具体的には、乾燥工程において、水位検出部14が検出する水槽3内の水位が回転槽4よりも下側Z2の所定水位U(
図1参照)になるまで、制御部55は、排水弁17を閉じた状態で給水弁15を開いて水槽3内に水を溜める。この場合には、収容槽5内の空気を、除湿デバイス23だけでなく、水槽3内に溜まった水によっても除湿することができるので、洗濯乾燥機1全体で最大限の除湿性能を発揮できる。
【0080】
特に、収容槽5内の空気が、水槽3内に溜まった水の水面近傍を通過してから循環路20内に流入すると、この空気中の水分が目視可能な大きさの水滴まで大きくなって帯電しやすくなるので、除湿デバイス23は、空気中の水分を効果的に帯電させて捕集することによって、除湿性能の向上を図れる。また、回転槽4に触れない程度に水槽3内に水が溜められるので、前述したように乾燥工程中に回転槽4が回転しても、水槽3内に溜まった水が飛散して洗濯物Lを濡らすことはない。なお、水槽3内の水温を検出する水温センサ(図示せず)を設けてもよく、制御部55は、水槽3内に水を溜める水の量、つまり貯水量を、洗濯物Lの種類や量に応じて最適になるように水温センサの検出値に基いて調整してもよい。
【0081】
さらに、前述した実施形態では、除湿デバイス23の排出路26が、排水路7の上流部7Aに接続される(
図1参照)。この場合には、排水弁17が閉じた状態で、除湿デバイス23で捕集された水分が排出路26を流れると、排水路7の上流部7Aに水が溜まる。この場合にも、収容槽5内の空気を、除湿デバイス23だけでなく、水槽3内に溜まった水によっても除湿することができるので、洗濯乾燥機1全体で最大限の除湿性能を発揮できる。さらに、除湿デバイス23から排出された水を、除湿のために有効利用することができる。
【0082】
また、前述した実施形態では、帯電部24は、水分を帯電させるだけでなく、帯電後の水分を第1電極31にて捕集することもできる。そのため、帯電部24は、捕集部としても機能し、捕集部25は、帯電部24が捕集できなかった水分を捕集する追加の捕集部として機能する。帯電部24が水分の捕集性能を十分に有する場合には、捕集部25が省略されてもよい。
【0083】
また、洗濯乾燥機1には、以下の第1~第7変形例が挙げられる。
図11以降の各図は、対応する変形例を示すが、
図11以降の各図において、今まで説明した部分と同一の部分には同一符号を付して、当該部分についての説明は省略する。
【0084】
除湿デバイス23の排出路26の他端部26Bは、
図11に示す第1変形例のように排水路7の下流部7Bに接続されてもよい。排出路26において、少なくとも他端部26Bは、
図12に示す第2変形例のように循環路20の流出路20G内に配置されてもよい。この場合には、除湿デバイス23で捕集されて排出路26を流れた水は、流出路20Gを流れて取出口20Dから収容槽5に流入し、排水路7から機外に排出される。このように排出路26及び流出路20Gを流れて収容槽5に流入する水は、流出路20G及び収容槽5内の泡や塵などの汚れを除去することができる。一方、他端部26Bは、
図13に示す第3変形例のように水槽3の背面壁3Bに接続されてもよい。
【0085】
図14に示す第4変形例のように、除湿デバイス23は、微細なミストを流出路20G内に供給するミスト供給部60を含んでもよい。ミスト供給部60は、給水路6において給水弁15よりも蛇口に近い上流部から分岐した流水路61と、流水路61の先端部に取り付けられたノズル62と、流水路61の途中に設けられた流水弁63とを少なくとも含む。ノズル62は、流出路20G内において取出口20Dと帯電部24との間の領域に配置される。ノズル62は、ミストの噴射口62Aを有する。流水弁63は、例えば電磁弁であり、制御部55の制御によって開閉される。開状態の流水弁63は、流水路61を開いた状態にあり、この状態では、蛇口からの水道水が流出路20Gを流れ、ノズル62の噴射口62Aから流出路20G内にミスト状に噴射される。水道水の水温が20度であるので、ミストは、比較的高温である。閉状態の流水弁63は、流水路61を閉じた状態にあり、ミストの供給を停止する。
【0086】
ミスト供給部60がノズル62の噴射口62Aから流出路20G内に供給したミストが、帯電部24によって帯電される水分を、捕集部25にとって捕集しやすい大きさの水滴にするので、捕集部25は、この水分を効率的に捕集することができる。具体的には、ミストの粒径は、2μm程度であるので、5mm程度の大きさの水滴と単位重量当たりで比較すると、ミストは、帯電された水分に対して約2500倍の接触面積で接触する。これにより、帯電された水分は、急速に熱が奪われることによって水滴となり、複数の水滴が集まって大きな水滴になる。なお、ミスト供給部60でのミストのために用いられる水の量は、従来の水冷式の除湿デバイスで用いられる水の量と比べて僅かである。
【0087】
ミスト供給部60は、水道水の圧力だけでミストを発生させてもよいし、超音波振動子を利用してミストを発生させてもよい。また、流水路61におけるノズル62と流水弁63との間には水圧調整弁(図示せず)を設けてもよい。制御部55は、水圧調整弁を制御して流水路61内の水圧を調整することによって、噴射口62Aから噴射されるミストの量を調整することができる。ミスト供給部60は、流水路61を流れる水道水を加圧するポンプ64も含んでもよい。これにより、噴射口62Aから噴射されるミストの勢いを強めることができるし、この勢いを調整することもできる。噴射口62Aは、
図14では下側Z2を向いて配置されることによって、流出路20G内の空気の流れとは反対側からミストを噴射するので、この空気とミストとを効率的に熱交換させることができるし、送風部21や加熱部22や除湿デバイス23へのミストの侵入を防止することができる。
【0088】
また、流出路20G内に噴射されるミストによって、流出路20G内を洗浄することもできる。さらに、ミストによって多湿になった熱風を収容槽5内の洗濯物Lに浴びせることによって、洗濯物Lの皺を緩和することができる。そのために、噴射口62Aが上側Z1を向いて配置される構成もあり得る。制御部55は、湿度検出部50や温度検出部51などの検出結果に応じて帯電部24や捕集部25だけでなくミスト供給部60も制御するとよい。これにより、乾燥工程中の湿度や温度に適した量や勢いのミストを流出路20G内に供給することができる。
【0089】
図15に示す第5変形例のように、乾燥ユニット9は、循環路20から分岐して洗濯乾燥機1の機外に連通した排気路20Hをさらに含んでもよい。つまり、循環路20の流出路20Gは、循環路20の続きとして流入路20Fに接続された接続路20Iと、排気路20Hとに分岐する。排気路20Hにおいて機外に連通する部分は、筐体2に形成された排気口20Jである。流入路20Fも、洗濯乾燥機1の機外に連通してもよい。この場合、流入路20Fにおいて機外に連通する部分は、筐体2に形成された吸気口20Kであり、戻し口20Eとは反対側に配置される。
【0090】
排気路20Hには、排気口20Jを開閉する排気弁70が設けられ、流入路20Fには、吸気口20Kを開閉する吸気弁71が設けられる。排気弁70及び吸気弁71は、調整弁であり、それぞれの開閉は、制御部55によって制御される。特に、制御部55は、排気弁70及び吸気弁71のそれぞれの開度を調整することができる。排気弁70及び吸気弁71のそれぞれは、開度が零のときに閉じた状態にある。制御部55が開度を増大させることによって排気弁70を開くと、排気口20Jが開放されるので、排気路20H内の空気が機外に排出される。制御部55が開度を増大させることによって吸気弁71を開くと、吸気口20Kが開放されるので、外気が流入路20F内に流入することができる。吸気口20Kには、外気に含まれる異物を捕獲するフィルタ(図示せず)が設けられてもよい。
【0091】
接続路20Iにおいて流入路20Fに接続された部分には、切替部72が設けられる。切替部72は、開閉可能な調整弁などによって構成される。制御部55は、切替部72の開度を調整することによって、切替部72を開閉する。切替部72は、開度が零のときに閉じた状態にある。制御部55が開度を増大させることによって切替部72を開くと、流入路20Fと接続路20Iとが連通する。この状態で送風部21が作動すると、流出路20G内の空気は、接続路20I経由で流入路20Fに流れることによって、引き続き循環路20を流れるので、前述したように循環する。そのため、この空気を、収容槽5内の洗濯物Lの乾燥のために再利用することができる。一方、切替部72が閉じると、流入路20Fと接続路20Iとが遮断されるので、流出路20G内の空気は、排気路20Hに流れる。このように、切替部72は、制御部55の制御によって流出路20G内の空気を排気路20Hに流したり接続路20Iに流したりする。
【0092】
切替部72が閉じた状態では、収容槽5から流出路20Gに流出した空気を排気路20Hに流すことによって、この空気を機外に排出することができる。この空気は、除湿デバイス23によって除湿された状態にあるので、機外に排出されても、周囲の壁面や家具などを結露させたり、カビを発生させたりしない。ただし、機外の温度や湿度を検出する外部センサ(図示せず)からの検出結果が制御部55に入力される場合には、制御部55は、機外の温度及び湿度が低い場合に、乾燥工程で除湿デバイス23を作動させないことによって、多湿の空気を排気路20Hから機外に排出して、機外を加湿してもよい。さらに、夏などにおいて、機外の温度、つまり室内温度が高い場合には、乾燥工程において、高温の空気が機外に外出されることによって室内温度が上昇することを抑えるために、制御部55は、加熱部22が発生する熱量を抑えることによって乾燥工程の時間を敢えて延長してもよい。
【0093】
また、流出路20Gに流出した空気のうち、機外に排出させる空気と、循環させる空気との比率を切替部72によって調整することもできる。例えば、制御部55は、乾燥工程の初期(
図10参照)では、収容槽5内に供給させる熱風の温度を早期に上昇させるために、循環する空気の比率が増えるように切替部72の開度を調整する。一方、乾燥工程の中期(
図10参照)では、洗濯物Lからの水分の蒸発量が増加するので、制御部55は、機外への水分の排出量を抑えるために、機外に排出される空気の比率が減るように切替部72の開度を調整する。乾燥工程の終期(
図10参照)では、洗濯物Lからの水分の蒸発量が少ないので、制御部55は、機外に排出される空気の比率が増えるように切替部72の開度を調整してもよい。特に、終期の最後には、制御部55は、前述したクールダウン処理として、空気を全て機外に排出させるように切替部72を閉じることによって、冷たい外気が吸気口20Kから排気口20Jまで一方向に流れる。
【0094】
また、冬などにおいて室内温度が低くて熱風の温度が上昇しにくい場合には、制御部55は、湿度検出部50や温度検出部51や外部センサ(図示せず)の検出結果に応じて、切替部72の開度を調整してもよい。これにより、機外に排出させる空気と、循環させる空気との比率が調整されることによって、熱風を洗濯物Lに効果的に浴びせることができるので、消費電力の低減や乾燥工程の時間短縮を図ることができる。
【0095】
図16に示す第6変形例のように、接続路20Iが省略されることによって、流入路20Fと流出路20Gとが分離して構成されてもよい。この場合に送風部21が作動すると、外気が吸気口20Kから流入路20Fに流入して加熱部22によって加熱されて熱風となり、熱風は、戻し口20Eから収容槽5内の洗濯物Lに浴びせられた後に、取出口20Dから流出路20Gに流出して排気路20H経由で排気口20Jから機外に排出される。つまり、第6変形例では、空気は、循環せずに、常に一方向に流れる。
【0096】
図17及び
図18に示す第7変形例のように、帯電部24及び捕集部25が送風部21に内蔵されてもよい。この場合の送風部21は、回転羽根21Aとともに帯電部24及び捕集部25を収容するケース80を含む。ケース80は、上下方向Zに扁平な円筒部80Aと、円筒部80A上に配置される中空の流入部80Bと、円筒部80Aの外周部から接線方向に延びる中空の流出部80Cとを含む。回転羽根21Aは、例えばターボファン(
図18のファン)である。流入部80Bの内部空間は、円筒部80Aの天壁において回転羽根21Aの真上に位置する流入口80Dを介して円筒部80Aの内部空間に連通した状態にある。流出部80Cの内部空間は、円筒部80Aの円周壁の周上一箇所に形成された流出口80Eを介して円筒部80Aの内部空間に連通した状態にある。
【0097】
このようなケース80は、循環路20の途中部分20Aを構成する。そのため、送風部21が作動することによって回転羽根21Aが回転すると、途中部分20A内の空気は、
図17の破線矢印で示すように、流入部80Bから流入口80Dを通って円筒部80A内の回転羽根21Aの内側に流入した後に、回転羽根21Aの径方向外側へ押し出されて、流出口80Eから流出部80Cに流出する。
【0098】
帯電部24は、流入部80Bに設けられて、捕集部25は、円筒部80Aの内周部に沿って円弧状に湾曲して構成される。この場合、流入部80B内を流れる空気に含まれる水分は、帯電部24によって帯電される。具体的には、送風部21の作動に応じて流入部80B内が負圧状態になるので、流入部80B内を流れる空気の温度が低下することによって、この空気に含まれる水分が水滴になりやすい。また、送風部21の回転羽根21Aの回転による遠心力によって、先ほどの水滴と空気中の水分とが混ざり合うので、空気に含まれる水分が一層水滴になりやすい。そのため、帯電部24で捕集されなかった水分は、円筒部80A内で捕集部25によって効果的に捕集される。帯電部24及び捕集部25によって捕集された水分は、排出路26を流れて水槽3や排水路7に受け渡される。なお、流入部80B内において帯電部24よりも流入口80Dから離れた上流側には、流入部80B内を流れる空気から塵や埃などの異物を捕獲するフィルタ81が設けられてもよい。
【0099】
以上に説明した様々な特徴は、取捨選択のうえ、必要に応じて適宜組み合わせてもよい。例えば、前述した変形例同士を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 洗濯乾燥機
3 水槽
4 回転槽
5 収容槽
6 給水路
7 排水路
7A 上流部
14 水位検出部
15 給水弁
17 排水弁
20F 流入路
20G 流出路
20H 排気路
20I 接続路
21 送風部
22 加熱部
23 除湿デバイス
24 帯電部
25 捕集部
26 排出路
51 温度検出部
55 制御部
60 ミスト供給部
72 切替部
L 洗濯物
U 所定水位
Z2 下側