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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104234
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20220701BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20220701BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 31/4425 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20220701BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20220701BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
A61K8/42
A61Q11/00
A61K8/41
A61K8/34
A61K8/44
A61K8/49
A61P1/02
A61K45/00
A61K31/4425
A61K31/05
A61K31/198
A61K31/352
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/70
A61K47/44
A61K47/34
A61K47/18
A61K47/10
A61K47/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219312
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平泉 将登
(72)【発明者】
【氏名】石井 駿太
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA11
4C076AA72
4C076BB22
4C076CC16
4C076DD09F
4C076DD21
4C076DD37T
4C076DD38
4C076DD40T
4C076DD46
4C076DD52T
4C076DD55
4C076DD61T
4C076EE23F
4C076EE30
4C076EE53F
4C076EE53T
4C076FF52
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB172
4C083AB472
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC782
4C083AC862
4C083AD041
4C083AD352
4C083AD531
4C083AD532
4C083BB41
4C083BB48
4C083CC41
4C083DD08
4C083DD12
4C083DD21
4C083DD22
4C083DD23
4C083EE06
4C083EE32
4C083EE33
4C083EE34
4C084AA17
4C084MA13
4C084MA16
4C084MA27
4C084MA32
4C084MA34
4C084MA57
4C084NA09
4C084ZA67
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086BC17
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA16
4C086MA27
4C086MA32
4C086MA34
4C086MA57
4C086NA09
4C086ZA67
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA17
4C206GA03
4C206GA23
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA33
4C206MA36
4C206MA47
4C206MA52
4C206MA54
4C206MA77
4C206NA09
4C206ZA67
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、使用開始時に清涼感かあり、使用開始から使用後の一定時間経過後に亘って殺菌剤由来の苦味を抑制持続することができる、口腔用組成物を提供することにある。
【解決手段】(A)殺菌剤と、(B)エチル-3-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート及びN-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドからなる群から選ばれる1種以上と、を含有する口腔用組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)殺菌剤と、
(B)エチル-3-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート及びN-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドからなる群から選ばれる1種以上と、を含有する口腔用組成物。
【請求項2】
(A)成分が、カチオン性殺菌剤、ノニオン性殺菌剤及びアニオン性殺菌剤からなる群から選ばれる1種以上の殺菌剤である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
(A)成分が、4級アンモニウム塩、ビグアナイド系殺菌剤、フェノール系殺菌剤、シネオール及びアシルサルコシン塩からなる群より選ばれる1種以上の殺菌剤である、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
(A)成分の含有量が口腔用組成物100質量%に対し0.001~0.5質量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項5】
(B)成分の含有量が口腔用組成物100質量%に対し0.00001~0.1質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項6】
更に(C)ノニオン性界面活性剤を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項7】
(C)成分が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体からなる群より選ばれる1種以上のノニオン性界面活性剤である、請求項6に記載の口腔用組成物。
【請求項8】
(C)成分の含有量が口腔用組成物100質量%に対し0.1~2質量%である、請求項6又は7に記載の口腔用組成物。
【請求項9】
更に(D)清涼剤を含有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項10】
(D)成分がメントール及び/又はカルボン若しくはこれらを含む精油である、請求項9に記載の口腔用組成物。
【請求項11】
(D)成分の含有量が、メントール及び/又はカルボンの含有量として口腔用組成物100質量%に対し0.001~1.5質量%である、請求項9又は10に記載の口腔用組成物。
【請求項12】
歯磨剤、洗口剤、スプレー剤、塗布剤、貼付剤、又は口腔内溶解剤である請求項1~11のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
歯磨剤等の口腔用組成物に含まれる殺菌剤は、口腔内の病原性細菌数を低下させ、口臭抑制、う蝕予防、歯周病予防等に効果がある重要な成分である。しかしながら、殺菌剤は、それ特有の苦みを有している。この苦味により、メントール等の清涼剤を配合しても、口腔用組成物の使用開始時には清涼感が感じられず、使用開始から使用後の一定時間経過後に亘って苦味が持続してしまうため、使用感が著しく損なわれることがあった。そのため、これまでにも、殺菌剤に由来する苦味をマスキングする様々な工夫がなされてきた。
【0003】
特許文献1は、殺菌剤(イソプロピルメチルフェノール)、ポリビニルピロリドン、香料成分(3-オクタノール、3-オクチルアセテート及び3-オクタノンから選ばれる少なくとも1種)及び界面活性剤を含む口腔組成物に関するもので、ポリビニルピロリドンを特定の割合で含有させることで、歯磨き中に殺菌剤由来の嫌味がマスキングされることが開示されている。特許文献2は、歯周病予防に有効な成分(デキストラナーゼ、トラネキサム酸及びイソプロピルメチルフェノール)、アルキル硫酸塩及び香料成分(メントール、アネトール及びオイゲノール及び又はタイム油)を含む歯磨剤組成物に関するもので、香料成分を特定の割合で含有させることで、歯磨後の複合的な嫌味がマスキングされることが開示されている。特許文献3は、殺菌剤(カチオン性殺菌剤)、保湿・抗菌剤(アルカンジオール)及び冷感剤(3-1-メトキシプロパン-1,2-ジオール及び/又はN-置換-p-メンタン-3-カルボキサミド)を含む口腔用組成物に関するもので、保湿・抗菌剤及び冷感剤の併用によって、口腔組成物を口腔内に適用直後に殺菌剤由来の異味がマスキングされることが開示されている。特許文献4は、殺菌剤、香料(和種ハッカ油及びN-(2-(2-ピリジニル)エチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド)を含む口腔用組成物に関するもので、ハッカ油及びN-(2-(2-ピリジニル)エチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミドを併用することで、洗口後に殺菌剤由来の苦味がマスキングされることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5493732号公報
【特許文献2】特開2019-167297号公報
【特許文献3】特許第6740901号公報
【特許文献4】特開2018-203645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
口腔用組成物においては、苦味が抑制されているだけではなく、使用開始時に清涼剤による清涼感も感じられるような好適な使用感を持続的に実感できれば、口腔用組成物の継続的な利用に繋がり、結果として口腔内の殺菌効果の向上も期待できる。しかし、特許文献1-4は、口腔用組成物について、使用開始時の清涼感及び苦味の抑制効果の持続性の観点から開示してはいない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、使用開始時に清涼感があり、使用開始から使用後(例えば歯磨剤の場合は、歯磨き開始から歯磨き後)の一定時間経過後に亘って殺菌剤由来の苦味を抑制持続することができる、口腔用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、以下の〔1〕~〔12〕を提供する。
〔1〕(A)殺菌剤と、(B)エチル-3-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート及びN-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドからなる群から選ばれる1種以上と、を含有する口腔用組成物。
〔2〕(A)成分が、カチオン性殺菌剤、ノニオン性殺菌剤及びアニオン性殺菌剤からなる群から選ばれる1種以上の殺菌剤である、〔1〕に記載の口腔用組成物。
〔3〕(A)成分が、4級アンモニウム塩、ビグアナイド系殺菌剤、フェノール系殺菌剤、シネオール及びアシルサルコシン塩からなる群より選ばれる1種以上の殺菌剤である、[1]又は[2]に記載の口腔用組成物。
〔4〕(A)成分の含有量が口腔用組成物100質量%に対し0.001~0.5質量%である、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
〔5〕(B)成分の含有量が口腔用組成物100質量%に対し0.00001~0.1質量%である、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
〔6〕更に(C)ノニオン性界面活性剤を含有する、〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
〔7〕(C)成分が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体からなる群より選ばれる1種以上のノニオン性界面活性剤である、〔6〕に記載の口腔用組成物。
〔8〕(C)成分の含有量が口腔用組成物100質量%に対し0.1~2質量%である、〔6〕又は〔7〕に記載の口腔用組成物。
〔9〕更に(D)清涼剤を含有する〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
〔10〕(D)成分がメントール及び/又はカルボン若しくはこれらを含む精油である、〔9〕に記載の口腔用組成物。
〔11〕(D)成分の含有量が、メントール及び/又はカルボンの含有量として口腔用組成物100質量%に対し0.001~1.5質量%である、〔9〕又は〔10〕に記載の口腔用組成物。
〔12〕歯磨剤、洗口剤、スプレー剤、塗布剤、貼付剤、又は口腔内溶解剤である〔1〕~〔11〕のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使用開始時に清涼感があり、使用開始から使用後の一定時間経過後に亘って、殺菌剤由来の苦味を抑制持続することができる口腔用組成物を提供することができる。
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明の口腔用組成物は、下記(A)及び(B)成分を含有し、好ましくは(C)成分及び(D)成分のいずれか又は両方を更に含有する。なお、本明細書において、各成分の含有量は、組成物を製造する際の各成分の仕込み量を基準とするものである。
【0010】
[(A)成分]
(A)成分は、殺菌剤である。(A)成分を含有させることにより、殺菌効果が発揮され得る。
【0011】
(A)成分としては、例えば、カチオン性殺菌剤、ノニオン性殺菌剤及びアニオン性殺菌剤が挙げられる。カチオン性殺菌剤としては、4級アンモニウム塩、ビグアナイド系殺菌剤が好ましく、例えば、アルキルピリジニウム塩、ベンジル長鎖アルキル短鎖ジアルキルアンモニウム塩、長鎖アルキル短鎖トリアルキルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩;クロルヘキシジン塩等のビグアナイド系殺菌剤が挙げられる。より具体的には例えば、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化デカリウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、酢酸クロルヘキシジンが挙げられる。これらの中で、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム及び塩化セチルピリジニウムが特に好ましい。ノニオン性殺菌剤としてはフェノール系殺菌剤、シネオールが好ましく、例えば、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、トリクロサン、チモール、タイム油、1,8-シネオール、ユーカリ油が挙げられる。これらの中で、ノニオン性殺菌剤としては、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオールが好ましい。アニオン性殺菌剤としてはアシル基(例えば、炭素原子数10~18のアシル基)を有するアシルサルコシン塩(例えば、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩)が好ましく、中でもラウロイルサルコシンナトリウムが好ましい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0012】
(A)成分の含有量は、殺菌剤由来の苦み(以下、単に苦味という)が強く発現することなく、殺菌効果を発揮させる観点から、下限は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上である。これにより、良好な殺菌効果を得ることができる。上限は、好ましくは0.5質量%以下である。これにより、苦味の発現を抑制できる。従って、好ましくは0.001~0.5質量%であり、より好ましくは、0.005~0.5質量%である。前記範囲内で、(A)成分がカチオン性殺菌剤を含む場合、カチオン性殺菌剤の含有量は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、0.001~0.5質量%が好ましく、0.005~0.2質量%がより好ましい。(A)成分がノニオン性殺菌剤を含む場合、ノニオン性殺菌剤の含有量は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し0.005~0.2質量%が好ましい。(A)成分がアニオン性殺菌剤を含む場合、アニオン性殺菌剤の含有量は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、0.05~0.5質量%が好ましい。
【0013】
[(B)成分]
(B)成分は、エチル-3-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート及びN-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドからなる群より選ばれる1種以上である。(B)成分を含有させることにより、殺菌剤が含有されていても、使用時に清涼感が感じられ、使用開始から使用後の一定時間経過後に亘って苦味を抑制持続させることができる。本明細書において「清涼感」とは、口腔用組成物にとって好適に働く感覚のことで、冷感のみを指すのではなく、爽やかさやスッキリ感等も含めた複合した感覚のことを指す。
【0014】
(B)成分は、1種単独でも2種の組み合わせでもよいが、N-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドを含有させることが好ましい。これにより、使用開始から使用後の一定時間経過後に亘って苦味の抑制持続効果をより向上させることができる。
【0015】
(B)成分の含有量は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、下限は、好ましくは、0.00001質量%以上、より好ましくは、0.00005質量%以上である。これにより、使用開始から使用後の一定時間経過後に亘って苦味の抑制持続効果を発揮することができる。(B)成分の含有量の上限は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、好ましくは、0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、特に好ましくは0.005質量%以下である。これにより、口腔内への刺激発現、香料(冷感剤以外の香料)の香味発現性低下を抑制することができる。つまり、(B)成分の含有量は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、好ましくは、0.00001~0.1質量%、より好ましくは、0.00005~0.005質量%である。
【0016】
[(C)成分]
(C)成分は、ノニオン性界面活性剤である。(C)成分を含有させることにより、使用開始時の清涼感の低下を抑制し、使用開始から使用後の一定時間経過後に亘って苦味の抑制持続効果を付与することができる。
【0017】
(C)成分としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)、アルキロールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル(例、マルトース脂肪酸エステル)、糖アルコール脂肪酸エステル(例、マルチトール脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステル)、脂肪酸ジエタノールアミド(例、ラウリル酸モノ又はジエタノールアミド)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステルが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル鎖の炭素原子数は、通常、14~18であり、エチレンオキサイド平均付加モル数は、通常、5~30モルである。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド平均付加モル数は、通常20~100モル、好ましくは20~60モルである。ソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素原子数は、通常12~18である。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素原子数は、通常16~18であり、エチレンオキサイド平均付加モル数は、通常10~40モルである。アルキロールアミドのアルキル鎖の炭素原子数は、通常12~14である。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
(C)成分の含有量は、下限は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。これにより、苦味の抑制効果が良好に発現し得る。上限は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.8質量%以下である。これにより、使用開始時の清涼感の低下を抑制し、使用開始から使用後の一定時間経過後に亘って苦味の抑制持続効果を付与することができる。従って、(C)成分の含有量は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、好ましくは、0.1~2質量%、より好ましくは0.3~1質量%、更に好ましくは、0.3~0.8質量%である。
【0019】
[(D)成分]
(D)成分は、清涼剤である。(D)成分を含有させることにより、清涼感を付与でき、使用時の使用感を改善することができる。
【0020】
(D)成分の清涼剤は、具体的にはメントール及び/又はカルボンであり、化合物として配合することができるが、これらを含む精油を使用することもできる。精油としては、例えば、ペパーミント精油、和種ハッカ油、スペアミント油が挙げられる。(D)成分は、1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。これらのうち、よりスッキリ感を付与することができることから、メントール及びメントールを含む精油のいずれか一方又は両方を含むことが好ましい。
【0021】
(D)成分の含有量は、メントール及び/又はカルボンの含有量として(精油を使用した場合、精油中のメントール、カルボンをも含む量)口腔用組成物全体(100質量%)に対し、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上である。上限は、通常、1.5質量%以下、好ましくは1.2質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下である。従って、好ましくは、0.001~1.5質量%、より好ましくは0.001~1.2量%、更に好ましくは0.01~0.8質量%である。
【0022】
[任意成分]
本実施形態の口腔用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、既に説明した(A)~(D)成分以外に、任意成分を含有してもよい。
【0023】
任意成分としては、例えば、研磨剤、薬用成分、(C)成分以外の界面活性剤、粘結剤、湿潤剤、粘結剤、甘味剤、防腐剤、pH調整剤、溶媒、油性成分、着色剤(色素)、(D)成分以外の香料が挙げられる。以下、具体的に説明する。
【0024】
-研磨剤-
研磨剤は、無機研磨剤及び有機研磨剤のいずれでもよい。無機研磨剤としては、例えば、沈降性シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、結晶性ジルコニウムシリケート、チタン結合性シリカ等の研磨性シリカ;第2リン酸カルシウム・2水和塩又は無水和物、第1リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系化合物;炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム系研磨剤;水酸化カルシウム、硫酸カルシウム等の、炭酸/リン酸以外のカルシウム系研磨剤;酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナ等のアルミニウム系材料;無水ケイ酸、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム等のケイ酸系材料;炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム等のマグネシウム系材料;ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、カルシウム欠損アパタイト等のアパタイト系材料;二酸化チタン、雲母チタン、酸化チタン等のチタン系材料;ベントナイト等の鉱物が挙げられる。有機研磨剤としては、例えば、ポリメチルメタアクリレート、合成樹脂系研磨剤が挙げられる。これらのうち、シリカ系研磨剤が好ましい。
【0025】
研磨剤の含有量は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、通常、70質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは8~50質量%である。
【0026】
-薬用成分-
薬用成分としては、例えば、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リテックエンザイム等の酵素;フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ等のフッ化物;ε-アミノカプロン酸、アラントイン、トラネキサム酸、グリチルリチン酸塩(例えば、グリチルリチン2カリウム塩)、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸誘導体(例えば、グリチルレチン酸ステアリル)、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アズレン、ジヒドロコレステロール等の抗炎症剤;亜鉛塩、銅塩、スズ塩等の金属塩;縮合リン酸塩、エタンヒドロキシジホスフォネート等の歯石予防剤;ビタミンE(例えば、酢酸トコフェロール)等の血流促進剤;硝酸カリウム、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム等の知覚過敏抑制剤;ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド等のコーティング剤;ビタミンC(例えば、アスコルビン酸またはその塩)、塩化リゾチーム、塩化ナトリウム等の収斂剤;銅クロロフィル、グルコン酸銅等の水溶性銅化合物;歯石予防剤;アラニン、グリシン、プロリン等のアミノ酸類;タイム、オウゴン、チョウジ、ハマメリス等の植物エキス;カロペプタイド;ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記薬用成分の含有量は、常法に従って有効量を適宜設定できる。
【0027】
-界面活性剤-
任意の界面活性剤は、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤である。
【0028】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、アシルアミノ酸塩、アシルタウリン塩、α-オレフィンスルホン酸塩、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸塩、ラウリルスルホ酢酸塩が挙げられる。アルキル基、アシル基は直鎖及び分岐鎖のいずれでもよく、飽和及び不飽和のいずれでもよく、その炭素原子数は通常10~20であり、好ましくは12~18であり、より好ましくは12~14である。塩は、薬理学的に許容される塩から選択され得る。薬理学的に許容される塩としては、例えば、塩基付加塩及びアミノ酸塩が挙げられる。その具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩;トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩;アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩が挙げられる。中でも、無機塩基塩が好ましく、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)又はアンモニウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
【0029】
アルキル硫酸塩としては、例えば、ラウリル硫酸塩(ラウリル硫酸ナトリウム)、ミリスチル硫酸塩が挙げられる。アシルアミノ酸塩としては、例えば、ラウロイルグルタミン酸塩、ミリストイルグルタミン酸塩、パルミトイルグルタミン酸塩等のアシルグルタミン酸塩;N-ラウロイル-N-メチルグリシン塩、ココイルグリシン塩等のアシルグリシン塩;N-ラウロイル-β-アラニン塩、N-ミリスチル-β-アラニン塩、N-ココイル-β-アラニン塩、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニン塩、N-ミリストイル-N-メチル-β-アラニン塩、N-メチル-N-アシルアラニン塩等のアシルアラニン塩;ラウロイルアスパラギン酸塩等のアシルアスパラギン酸塩が挙げられる。アシルタウリン塩としては、例えば、ラウロイルメチルタウリン塩、N-メチル-N-アシルタウリン塩、N-ココイルメチルタウリン塩が挙げられる。α-オレフィンスルホン酸塩としては、例えば、テトラデセンスルホン酸塩等の炭素原子数12~18のα-オレフィンスルホン酸塩が挙げられる。アニオン性界面活性剤の他の例としては、例えば、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウムが挙げられる。
【0030】
アニオン性界面活性剤は、泡立ち、泡質の良さの観点から、スルホン酸基を含有することが好ましく、ラウリル硫酸塩及びトラデセンスルホン酸塩がより好ましい。アニオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは口腔用組成物全体の0.1~2.5質量%、より好ましくは0.6~2.5質量%、さらに好ましくは1~2.5質量%である。
【0031】
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン(例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(例えば、コカミドプロピルベタイン)等のベタイン型両性界面活性剤;N-脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩(例えば、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン)、ヤシ油脂肪酸イミダゾリニウムベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタインが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩が挙げられる。両性界面活性剤の含有量は、好ましくは口腔用組成物全体の0.1~2質量%、より好ましくは0.2~1.5質量%、さらに好ましくは0.3~1質量%である。
【0032】
界面活性剤((C)成分以外)の含有量は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下であり、0.1~3質量%、特に0.3~2質量%であることが好ましい。
【0033】
-湿潤剤-
湿潤剤を含有させることにより、使用時の使用感をより向上させることができる。
【0034】
湿潤剤としては、例えば、糖アルコール、糖アルコール以外の多価アルコールが挙げられる。糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール(ソルビット)、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール等が挙げられる。糖アルコール以外の多価アルコールとしては、グリセリン;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)等のグリコール;還元でんぷん糖化物が挙げられる。ポリエチレングリコールとしては、例えば、平均分子量150~6000のポリエチレングリコールが好ましく、平均分子量190~630のポリエチレングリコール(PEG200、PEG300、PEG400、PEG600)が好ましい。平均分子量は、医薬部外品原料規格2006記載の平均分子量である。
【0035】
湿潤剤の含有量は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、通常、40質量%以下であり、好ましくは1~30質量%である。
【0036】
-粘結剤-
粘結剤を含有させることにより、口腔用組成物の粘度を最適化し、保形性及び使用感をより向上させることができる。
【0037】
粘結剤としては、従来公知の任意好適な有機粘結剤、例えば、多糖類、セルロース系粘結剤(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カチオン化セルロース等)、その他の多糖系増粘剤(例、キサンタンガム、グアガム、ジェランガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム)、合成水溶性高分子(例、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸プロピレングリコール)が挙げられる。さらには増粘性シリカ、ケイ酸アルミニウム等の無機粘結剤を含有させることもできる。
【0038】
有機粘結剤の含有量は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、0~3質量%であることが好ましく、0.1~2質量%であることがより好ましい。無機粘結剤の含有量は、0~10質量%であることが好ましく、1~8質量%であることがより好ましい。
【0039】
-甘味剤-
組成物が甘味剤を含有させることにより、使用感をより向上させることができる。甘味剤としては、例えば、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ペリラルチン、グリチルリチン、ソーマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステルが挙げられる。甘味剤は、上記例示の甘味剤を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
-防腐剤-
組成物が防腐剤を含むことにより、製剤の防腐力を確保できる。
【0041】
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル(例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル)、安息香酸ナトリウムが挙げられる。防腐剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
-pH調整剤-
組成物がpH調整剤を含むことにより、製剤のpH安定性を確保できる。
【0043】
pH調整剤としては、例えば、フタル酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、リンゴ酸、及び乳酸等の有機酸又はそれらの塩(クエン酸ナトリウム)、リン酸(オルトリン酸)等の無機酸又はそれらの塩(例えば、カリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物が挙げられる。無機酸塩としては、例えば、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムが挙げられる。
【0044】
pH調整剤の含有量は、通常、添加後の口腔用組成物のpHが5~9、好ましくは6~8.5となる量とすることができる。
【0045】
本明細書において、pH値は、通常、測定開始から25℃、3分後の値をいう。pH値は、例えば、東亜電波工業社製のpHメーター(型番Hm-30S)を用いて測定することができる。
【0046】
-溶媒-
溶媒としては、例えば、水(精製水)、エタノール等が挙げられ、水が好ましい。溶媒は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
-油性成分-
油性成分としては、例えば、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;高級アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の炭素原子数8~22のアルコール);高級脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の炭素原子数8~22の脂肪酸)、オリーブ油、ひまし油、やし油等の植物油;ミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステルが挙げられる。
【0048】
-着色剤-
着色剤としては例えば、ベニバナ赤色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、シソ色素、紅麹色素、赤キャベツ色素、ニンジン色素、ハイビスカス色素、カカオ色素、スピルリナ青色素、タマリンド色素等の天然色素や、赤色2号、赤色3号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色227号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等の法定色素、リボフラビン、銅クロロフィンナトリウム、二酸化チタン等が挙げられる。口腔用組成物が着色剤を含む場合、その含有量は、口腔用組成物の全体に対し0.00001~3質量%とすることが好ましい。
【0049】
-(D)成分以外の香料-
組成物が(D)成分以外の香料を含むことにより、使用感をより向上させることができる。
【0050】
(D)成分以外の香料としては、例えば、アニス油、カシア油、ウィンターグリーン油、マスチック油、ネロリ油(オレンジフラワー油)、レモングラス油、ジャスミン油、ローズ油、イリス油、クローブ油、セージ油、カルダモン油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、バジル油、マジョラム油、レモン油、オレンジ油、ライム油、柚子油、ナツメグ油、ラベンダー油、パラクレス油、バニラ油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、シソ油、冬緑油等の天然精油;シンナミックアルデヒド、アネトール、メチルサリシレート、オイゲノール、リナロール、リモネン、メントン、メンチルアセテート、シトラール、デカナール、カンファー、ボルネオール、ピネン、スピラントール、n-デシルアルコール、シトロネロール、α-テルピネオール、シトロネリルアセテート、エチルリナロール、ワニリン等の上記天然精油中に含まれる香料成分;エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキサナール、ヘキセナール、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、ベンズアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フラネオール等の香料成分;及びいくつかの香料成分や天然精油を組み合わせてなるミント系、フルーツ系、ハーブ系等の各種調合フレーバーが挙げられる。香料としては、上記例示の香料を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
-他の任意成分-
上記以外の任意成分の例としては、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ウレタン、シリコン、天然ゴムが挙げられる。これら他の任意成分の含有量は、本発明の効果を妨げない範囲で適宜設定できる。
【0052】
[口腔用組成物の剤形及び用途]
本発明の口腔用組成物は、歯磨剤、洗口剤、スプレー剤、塗布剤、貼付剤、又は口腔内溶解剤等の口腔用製剤とすることができる。口腔用組成物の剤形は、利用形態に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。剤形としては、例えば、ペースト状、液状等の形態で、歯磨剤であれば練歯磨、ジェル状歯磨、液体歯磨、液状歯磨、潤製歯磨として調整できる。
【0053】
〔組成物の製造方法〕
口腔用組成物の製造方法は特に限定されず、剤形に応じて、それぞれの通常の方法で調製され得る。例えば練歯磨剤として利用する場合、溶媒に溶解する成分を調製した後、それ以外の不溶性成分を混合し、必要に応じて脱泡(例えば、減圧等)を行う方法が挙げられる。得られる練歯磨は、容器に収容して製品とすることができる。容器は、形状、材質は特に制限されず、通常の歯磨剤組成物に使用される容器を使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどのプラスチック製のラミネートチューブ等の容器等が挙げられる。
【実施例0054】
以下、実施例、比較例及び参考例を示して本発明を具体的に説明する。本発明は下記実施例に制限されない。なお、下記表中の数値は特に断らない限り純分量であり、質量%を表す。
【0055】
[実施例、比較例及び参考例において使用された成分]
-(A)成分-
塩化セチルピリジニウム:(富士フイルム和光純薬(株)製)
イソプロピルメチルフェノール:(大阪化成(株)製)
ラウロイルサルコシンナトリウム:(日光ケミカルズ(株)製)
1,8-シネオール:((株)永廣堂本店製)
-(B)成分-
N-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド:(高砂香料工業(株)製、商品名:Coolact(登録商標)370)
エチル-3-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート:(WS-5、豊玉香料(株)製)
-比較例において(B)成分の代わりに使用された香料成分-
N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド:(WS-3、シムライズジャパン社製)
-(C)成分-
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油:(日本エマルジョン(株)製)
【0056】
-(D)成分-
メントール:(高砂香料工業(株)製)
カルボン:(塩野香料(株)製)
ペパーミント油(高砂香料工業(株)製)
和種ハッカ油(ヴェマンフィス香料社製)
スペアミント油(ヴェマンフィス香料社製)
【0057】
-任意成分-
研磨性シリカ:(Solvay製 Tixosil(登録商標)73)
フッ化ナトリウム:(ステラケミファ(株)製)
ラウリル硫酸ナトリウム:(BASFジャパン(株)製)
ソルビット液(70%):(三菱商事ライフサイエンス(株)製)
プロピレングリコール:((株)ADEKA製)
増粘性シリカ:カープレックス(登録商標)#67(DSLジャパン(株)製)
サッカリンナトリウム:(愛三化学工業(株)製)
上記以外の成分については医薬部外品原料規格2006に適合した原料を用いた。
【0058】
実施例1~30、比較例1~4
上記成分を常法により含有させて、下記表1~4に示す組成を有する練歯磨剤組成物を調製し、ラミネートチューブに収容した。
【0059】
[評価方法]
被験者パネラー4名によって練歯磨剤組成物の使用感を評価した。歯ブラシ(クリニカアドバンテージハブラシ、4列コンパクトふつうタイプ、ライオン(株)製)にサンプルの練歯磨剤組成物1gを載せ、3分間歯みがきを行い、歯磨き開始時の清涼感、歯磨き中の苦味のなさ、歯磨き後の苦味のなさの持続性について、それぞれ下記に示す評価基準によって判定した。4名の点数の平均を求め、下記の評価基準によって評価した。
【0060】
<歯磨き開始時の清涼感>
歯磨き開始時の清涼感に関しては、歯磨きを開始したときの清涼感に関して評価を行った。
評価基準
4点:非常に清涼感を感じた
3点:清涼感を感じた
2点:あまり清涼感を感じなかった
1点:清涼感を感じなかった
判定基準
◎:平均点3.5点以上4.0点未満
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
【0061】
<歯磨き開始時の苦味のなさ>
苦味のなさに関しては、歯磨きを開始したときの苦味の強さに関して評価を行った。
評点基準
4点:苦味を感じなかった
3点:苦味をほとんど感じなかった
2点:苦味を感じた
1点:苦味を非常に強く感じた
判定基準
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
【0062】
<歯磨き中の苦味のなさ>
歯磨き中の苦味のなさに関しては、3分間歯磨きを行っている間の苦味の強さに関して評価を行った。
評価基準
4点:苦味を感じなかった
3点:苦味をほとんど感じなかった
2点:苦味を感じた
1点:苦味を非常に強く感じた
判定基準
☆:平均点3.8点以上4.0点以下
◎:平均点3.5点以上3.8点未満
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
【0063】
<歯磨き後の苦味のなさの持続性>
歯磨き後の苦味のなさの持続性に関しては、3分間歯磨きを行い、すすぎ後に苦味を感じなかった時間に関して評価を行った。
評価基準
4点:25分以上(苦味は感じなかった)
3点:15分以上25分未満
2点:5分以上15分未満
1点:5分未満
判定基準
☆:平均点3.8点以上4.0点以下
◎:平均点3.5点以上3.8点未満
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
(B)成分を含有していない比較例1~3では、歯磨き開始時にあまり清涼感が感じられず、苦味を非常に強く感じており、更に、歯磨き中でも苦味を感じているため、使用感は好ましくなかった。歯磨き後の苦味のなさの持続時間は5分未満であり、満足のいく結果が得られなかった。また、(B)成分の代わりに、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミドを使用した比較例4の場合も同様の結果となった。これに対し、(A)成分に(B)成分を含有させた実施例1~30はいずれも、全ての評価項目において、平均点3.0以上の満足な結果が得られた。中でも、(A)成分及び(B)成分に加えて、更に(C)成分を含有させた実施例21~30においては、歯磨き中の苦味のなさ及び歯磨き後の苦味のなさの持続性の評価が平均点3.8以上に向上し、優れた結果が得られた。これらの結果は、本発明に係る口腔用組成物が、使用開始時に清涼感を付与し、使用開始から使用後の一定時間経過後に亘って、殺菌剤由来の苦味を抑制持続することができることを示している。