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特開2022-104253ビフィドバクテリウム属細菌を有効成分とするDNA損傷修復促進剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104253
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】ビフィドバクテリウム属細菌を有効成分とするDNA損傷修復促進剤
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20220701BHJP
   C12N 15/57 20060101ALI20220701BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20220701BHJP
【FI】
C12N1/20 A
C12N15/57 ZNA
A23L33/135
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219342
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006884
【氏名又は名称】株式会社ヤクルト本社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100193725
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 幸子
(74)【代理人】
【識別番号】100163038
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 武志
(74)【代理人】
【識別番号】100207240
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 喜弘
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】石川 英司
(72)【発明者】
【氏名】藤井 大地
(72)【発明者】
【氏名】五味 淳
(72)【発明者】
【氏名】山地 和明
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB04
4B018LB05
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE04
4B018LE06
4B018MD87
4B018ME08
4B018ME09
4B018ME14
4B018MF13
4B018MF14
4B065AA21X
4B065AC20
4B065BA21
4B065BA25
4B065BC01
4B065BD15
4B065CA41
4B065CA42
4B065CA44
4B065CA60
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ビフィズス菌の新たな用途を提供する。
【解決手段】ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌(例えばBF-1株)を有効成分とする、DNA損傷修復促進剤、細胞の酸耐性付与剤、タンパク質合成促進剤または細菌感染予防剤としての用途を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌を有効成分とする、DNA損傷修復促進剤。
【請求項2】
ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌が、ソルターゼ遺伝子を有するものである請求項1に記載のDNA損傷修復促進剤。
【請求項3】
ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌が、ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質を発現するものである、請求項1または請求項2に記載のDNA損傷修復促進剤。
【請求項4】
ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質が、そのアミノ酸配列に[L/I/V][S/A]XTGモチーフを有するタンパク質である、請求項3に記載のDNA損傷修復促進剤。
【請求項5】
ビフィドバクテリウム属細菌が、[L/I/V][S/A]XTGモチーフを20個以上有するものである、請求項1~3のいずれか一項に記載のDNA損傷修復促進剤。
【請求項6】
ビフィドバクテリウム属細菌が、ビフィドバクテリウム・ビフィダムである請求項1~5のいずれか一項に記載のDNA損傷修復促進剤。
【請求項7】
ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌を有効成分とする、細胞の酸耐性付与剤。
【請求項8】
ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌が、ソルターゼ遺伝子を有するものである請求項7に記載の細胞の酸耐性付与剤。
【請求項9】
ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌が、ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質を発現するものである、請求項7または請求項8に記載の細胞の酸耐性付与剤。
【請求項10】
ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質が、そのアミノ酸配列に[L/I/V][S/A]XTGモチーフを有するタンパク質である、請求項9に記載の細胞の酸耐性付与剤。
【請求項11】
ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌を有効成分とする、タンパク質合成促進剤。
【請求項12】
ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌が、ソルターゼ遺伝子を有するものである請求項11に記載のタンパク質合成促進剤。
【請求項13】
ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌が、ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質を発現するものである、請求項11または請求項12に記載のタンパク質合成促進剤。
【請求項14】
ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質が、そのアミノ酸配列に[L/I/V][S/A]XTGモチーフを有するタンパク質である、請求項13に記載のタンパク質合成促進剤。
【請求項15】
ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌を有効成分とする、細菌感染予防剤。
【請求項16】
ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌が、ソルターゼ遺伝子を有するものである請求項15に記載の細菌感染予防剤。
【請求項17】
ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌が、ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質を発現するものである、請求項15または請求項16に記載の細菌感染予防剤。
【請求項18】
ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質が、そのアミノ酸配列に[L/I/V][S/A]XTGモチーフを有するタンパク質である、請求項17に記載の細菌感染予防剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビフィドバクテリウム属細菌の用途に関する。
【0002】
ビフィドバクテリウム属細菌(以下、「ビフィズス菌」という)は、ヒトの腸内菌叢における主要細菌であり、ビフィズス菌を含む各種発酵乳飲食品や生菌製剤等の形態で多数の市販品が販売されている。
【0003】
例えば、特許文献1ではビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)が発酵乳飲食品中、好気条件下で保存された場合でも生残性に優れるという特性を利用して、食後の胃の負担を軽減する作用を有する発酵乳飲食品を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4881304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1は特定のビフィズス菌が胃細胞にもたらす作用やその用途に関して、限定的にしか開示していない。具体的には、特定のビフィズス菌により胃細胞の胃炎、潰瘍の予防治療作用、胃不定愁訴の予防治療作用、胃酸過多、胃食道逆流症の予防治療作用を有する旨を開示するに留まっていた。従って、ビフィズス菌の特性や用途に関して研究・開発をする余地が残っていた。
【0006】
そこで、本発明は、ビフィズス菌の新たな特性の解明、およびその特性に基づく新たな用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、意外にもムチン接着能を有するビフィドバクテリウム属細菌、特に、ムチン接着能を有するビフィドバクテリウム・ビフィダム YIT 10347株(以下、「BF-1株」という)の新たな特性を発見した。当該特性の解析方法に関しては、以下の実施例等の段落において詳述する。そして、当該特性によりBF-1株およびBF-1株を含む製品が以下の用途に適することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
[1]ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌を有効成分とする、DNA損傷修復促進剤。
【0009】
[2]ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌が、ソルターゼ遺伝子を有するものである前記[1]記載のDNA損傷修復促進剤。
【0010】
[3]ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌が、ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質を発現するものである、前記[1]または[2]に記載のDNA損傷修復促進剤。
【0011】
[4]ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質が、そのアミノ酸配列に[L/I/V][S/A]XTGモチーフを有するタンパク質である、前記[3]記載のDNA損傷修復促進剤。
【0012】
[5]ビフィドバクテリウム属細菌が、[L/I/V][S/A]XTGモチーフを20個以上有するものである、前記[1]~[3]のいずれか1つに記載のDNA損傷修復促進剤。
【0013】
[6]ビフィドバクテリウム属細菌が、ビフィドバクテリウム・ビフィダムである前記[1]~[5]のいずれか1つに記載のDNA損傷修復促進剤。
【0014】
[7]ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌を有効成分とする、細胞の酸耐性付与剤。
【0015】
[8]ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌が、ソルターゼ遺伝子を有するものである前記[7]記載の酸耐性付与剤。
【0016】
[9]ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌が、ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質を発現するものである、前記[7]または[8]に記載の酸耐性付与剤。
【0017】
[10]ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質が、そのアミノ酸配列に[L/I/V][S/A]XTGモチーフを有するタンパク質である、前記[9]記載の酸耐性付与剤。
【0018】
[11]ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌を有効成分とする、タンパク質合成促進剤。
【0019】
[12]ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌が、ソルターゼ遺伝子を有するものである前記[11]記載のタンパク質合成促進剤。
【0020】
[13]ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌が、ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質を発現するものである、前記[11]または[12]に記載のタンパク質合成促進剤。
【0021】
[14]ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質が、そのアミノ酸配列に[L/I/V][S/A]XTGモチーフを有するタンパク質である、前記[13]記載のタンパク質合成促進剤。
【0022】
[15]ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌を有効成分とする、細菌感染予防剤。
【0023】
[16]ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌が、ソルターゼ遺伝子を有するものである前記[15]記載の細菌感染予防剤。
【0024】
[17]ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌が、ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質を発現するものである、前記[15]または[16]に記載の細菌感染予防剤。
【0025】
[18]ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質が、そのアミノ酸配列に[L/I/V][S/A]XTGモチーフを有するタンパク質である、前記[17]記載の細菌感染予防剤。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌を有効成分とした、DNA損傷修復促進剤を提供することができる。また、本発明によれば、ムチン接着性を有するビフィドバクテリウム属細菌を有効成分とした、細胞の酸耐性付与剤、タンパク質合成促進剤、または細菌感染予防剤を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、ムチン非接着性株#1476がムチンに対し接着性を有しない特性を有することを説明する図である。
図2図2は、ソルターゼをエンコードするCDS0427のプライマーセットを説明する表である。
図3図3は、BF-1株とムチン非接着性株に関し、ソルターゼのタンパク質コード領域を増幅した場合のバイオアナライザーのエレクトロフェノグラムである。
図4図4は、ソルターゼおよびソルターゼ依存性タンパク質(SDP)の比較に用いるビフィズス菌のゲノム情報を示す表である。
図5図5は、各種ビフィズス菌に存在するソルターゼ依存性タンパク質の総数を示す図である。
図6図6は、各種ビフィズス菌に存在するソルターゼ依存性タンパク質のソルターゼ認識配列の内訳を示す図である。
図7図7は、BF-1株のGCIY細胞への接着とGCIY細胞の酸耐性を示す図である。
図8図8は、BF-1株およびムチン非接着性株でGCIY細胞を処理した場合の酸耐性を示す図である。
図9図9は、BF-1株の接着性によって発現変動し有意に影響を受けたGCIY細胞のパスウェイを一部列挙した表である。
図10図10は、各種ビフィズス菌の略称と各種ソルターゼ認識配列の内訳を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明のビフィズス菌の解析手法やその用途について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の一実施態様としての一例であり、これらの内容に特定されるものではない。
【0029】
本発明のDNA損傷修復促進剤、細胞の酸耐性付与剤、タンパク質合成促進剤、細菌感染予防剤の有効成分は、ビフィドバクテリウム属細菌である。ビフィドバクテリウム属細菌について、まず説明する。
【0030】
上記ビフィドバクテリウム属細菌としては、例えば、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・カテヌラタム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)等が挙げられ、これら菌種の1種または2種以上であってもよい。これらの中でも、DNA損傷修復促進作用、細胞の酸耐性付与作用、タンパク質合成促進作用、細菌感染予防作用の観点から、ビフィドバクテリウム・ビフィダムが好ましい。
【0031】
上記ビフィドバクテリウム・ビフィダムとしては、ビフィドバクテリウム・ビフィダム YIT 10347株(BF-1株、FERM BP-10613として、平成17年6月23日付で、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に国際寄託された)が特に好ましい。また、本発明において、「ムチン接着性を有する」とは、対象となるビフィドバクテリウム属細菌がムチンに接着できる能力を有することを意味し、接着部位や接着の様式等は問わない。具体的には、以下の方法で吸光度(OD)490nmを測定した際にムチンが0.01μg/well以上の時に吸光度(OD)490nmが0.2以上であることを言う。
(ムチン接着能の測定方法)
ELISA用の96 well plate (Nunc MaxiSorp(登録商標) flat-bottom 96 well plateもしくはLIMBRO microplate)にcarbonate bufferで段階希釈した各種ムチンを一晩4℃で固定する。ムチンコートしたプレートに1%のゼラチンを含むPBSを重層し、室温で1時間ブロッキングを行う。その後、1%ゼラチンを含むPBSで吸光度(OD)600nm=1になるように希釈したビフィドバクテリウム属細菌の菌液をブロッキング済みムチンコートプレートに重層し、37℃で1時間インキュベートする。菌液を除去した後、PBSで3回洗浄し、抗ビフィドバクテリウム属細菌ウサギポリクローナル抗体(ホルマリン処理したビフィドバクテリウム属細菌の死菌体をEurofinに送付し、委託製造する)を室温で1時間反応させる。一次抗体(抗ビフィドバクテリウム属細菌ウサギポリクローナル抗体)を除去した後、PBSで3回洗浄し、2次抗体(Goat anti-rabbit Ig, Human ads-HRP, SouthernBiotech)を室温で1時間反応させる。二次抗体を除去した後、PBSで3回洗浄し、Horse radish peroxidaseの発色反応を行い、吸光度(OD)490nmをマイクロプレートリーダーで測定する。なお、緩衝液の調製などは、Sigma-Aldrichが公開しているプロトコールを踏襲した(http://www.sigmaaldrich.com/content/dam/sigma-aldrich/docs/SAJ/Brochure/1/j_recipeabelisa.pdf)。
【0032】
また、上記ビフィドバクテリウム属細菌は、ソルターゼ(sortase)活性を有している必要があるため、ソルターゼ活性を有する細菌菌体(生菌)またはソルターゼ活性を有する細菌菌体の処理物のいずれかが好ましい。また、上記ビフィドバクテリウム属細菌は、ムチン接着性の観点からソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質を発現するものであることが好ましく、ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質がそのアミノ酸配列に[L/I/V][S/A]XTGモチーフを有するタンパク質であることが好ましい。また、ムチン接着性の観点から上記ビフィドバクテリウム属細菌は、[L/I/V][S/A]XTGモチーフを有するタンパク質を10個以上発現するものであることが好ましく、より好ましくは20個以上発現するものであり、さらに好ましくは30個以上発現するものである。
【0033】
本発明において、「DNA損傷修復促進」とは、損傷したDNA分子の修復を促進することを意味する。ビフィドバクテリウム属細菌は、DNA損傷修復促進剤として使用することができ、また、DNA損傷修復促進剤を製造するために使用することができる。
【0034】
また、「細胞の酸耐性付与」とは、細胞に酸耐性が付与されて酸性環境下でも細胞が生存できることを意味する。「タンパク質合成促進」とは、細胞のタンパク質合成が促進されることを意味する。「細菌感染予防」とは、細胞への細菌感染に対し予防作用を有することを意味する。ビフィドバクテリウム属細菌は、これらの作用を目的とした製剤としても使用することができ、また、当該製剤を製造するために使用することができる。
【0035】
DNA損傷修復促進剤、細胞の酸耐性付与剤、タンパク質合成促進剤、または細菌感染予防剤として使用する場合における経口投与製剤の剤型としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、糖衣錠、丸剤、細粒剤、散剤、粉剤、徐放性製剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、凍結乾燥剤、液剤、エリキシル剤等が挙げられる。
【0036】
また、上記製剤は、常法によって製造でき、また、ビフィドバクテリウム属細菌を単独で使用してもよく、薬学的に許容される担体と組み合わせて使用してもよい。該担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料、希釈剤、殺菌剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、防腐剤、安定化剤、吸収助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、湿潤剤、増粘剤、光沢剤、活性増強剤、抗炎症剤、等張化剤、無痛化剤、矯臭剤等が挙げられる。
【0037】
上記結合剤としては、例えば、デンプン、デキストリン、アラビアゴム末、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等が挙げられる。
【0038】
上記崩壊剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0039】
上記界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート80等が挙げられる。
【0040】
上記滑沢剤としては、例えば、タルク、ロウ類、水素添加植物油、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0041】
上記流動性促進剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。
【0042】
上記希釈剤としては、例えば、注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、オリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、ダイズ油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0043】
また、本発明のDNA損傷修復促進作用、細胞の酸耐性付与作用、タンパク質合成促進作用、または細菌感染予防作用の観点から、上記製剤は、医薬品として用いるだけでなく、飲食品、医薬部外品、ペットフード等として用いることもできる。この場合には、上記ビフィドバクテリウム属細菌をそのまま、または種々の栄養成分を加えて、上記飲食品等に含有せしめればよい。この飲食品は、上記作用を提供するのに有用な保健用食品または食品素材として利用でき、これらの飲食品等またはその容器には、前記の効果を有する旨の表示を付してもよい。
【0044】
DNA損傷修復促進剤、細胞の酸耐性付与剤、タンパク質合成促進剤、または細菌感染予防剤を飲食品に配合する場合は、飲食品として使用可能な添加剤を適宜使用し、慣用の手段を用いて食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペースト等に成形してもよく、また種々の食品、例えば、ハム、ソーセージ等の食肉加工品、かまぼこ、ちくわ等の水産加工品;パン、菓子、バター、粉乳、発酵飲食品に添加して使用し、または水、果汁、牛乳、清涼飲料、茶飲料等の飲料に添加して使用してもよい。これら飲食品の中でも、有効成分であるビフィドバクテリウム属細菌を含有する発酵乳、乳酸菌飲料、発酵豆乳、発酵果汁、発酵植物液等の発酵製品が好ましい。
【0045】
また、これら発酵飲食品の製造は常法にしたがって製造することができる。例えば発酵乳は、殺菌した乳培地にビフィドバクテリウム属細菌を接種培養し、これを均質化処理して発酵乳ベースを得る。次いで別途調製したシロップ溶液を添加混合し、ホモゲナイザー等で均質化し、さらにフレーバーを添加して最終製品とすることができる。このようにして得られる発酵乳は、プレーンタイプ、ソフトタイプ、フルーツフレーバータイプ、固形状、液状等のいずれの形態の製品とすることもできる。
【0046】
次に、ビフィドバクテリウム属細菌の投与量等について説明する。
本発明のDNA損傷修復促進剤、細胞の酸耐性付与剤、タンパク質合成促進剤、または細菌感染予防剤の有効成分であるビフィドバクテリウム属細菌を使用する際の投与量に厳格な制限はない。対象者や適用疾患等の様々な使用態様によって得られる効果が異なるため、適宜投与量を設定することが望ましいが、DNA損傷修復促進作用、細胞の酸耐性付与作用、タンパク質合成促進作用、または細菌感染予防作用の観点から、ビフィドバクテリウム属細菌の菌数を、1×10~1×1011CFUを一日量として含有する量が好ましく、1×10~1×1010CFUを一日量として含有する量がより好ましい。
【実施例0047】
(試験例1)
〈ムチン接着性および抗体反応性の評価〉
ELISA用の96 well plate (Nunc MaxiSorp(登録商標) flat-bottom 96 well plateもしくはLIMBRO microplate)にcarbonate bufferで段階希釈した各種ムチンを一晩4℃で固定した。ムチンコートしたプレートに1%のゼラチンを含むPBSを重層し、室温で1時間ブロッキングを行った。その後、1%ゼラチンを含むPBSで吸光度(OD)600nm=1になるように希釈したBF-1株の菌液をブロッキング済みムチンコートプレートに重層し、37℃で1時間インキュベートした。また、BF-1株の比較対象として、ムチンに対し接着性を有さない性質を有すると予想されるムチン非接着性株ビフィドバクテリウム・ビフィダム#1476(以下、ムチン非接着性株という)の菌液を用意して同様の操作を行った。菌液を除去した後、PBSで3回洗浄し、抗BF-1株ウサギポリクローナル抗体(ホルマリン処理したBF-1株の死菌体をEurofinに送付し、委託製造した)を室温で1時間反応させた。一次抗体(抗BF-1株ウサギポリクローナル抗体)を除去した後、PBSで3回洗浄し、2次抗体(Goat anti-rabbit Ig, Human ads-HRP, SouthernBiotech)を室温で1時間反応させた。二次抗体を除去した後、PBSで3回洗浄し、Horse radish peroxidaseの発色反応を行い、吸光度(OD)490nmをマイクロプレートリーダーで測定した。なお、緩衝液の調製などは、Sigma-Aldrichが公開しているプロトコールを踏襲した(http://www.sigmaaldrich.com/content/dam/sigma-aldrich/docs/SAJ/Brochure/1/j_recipeabelisa.pdf)。
【0048】
試験例1の結果を図1に示す。図1において横軸は1wellあたりのムチン量(μg/well)を示し、縦軸はOD 490 nmにおける吸光度を示す。図1から、BF-1株はwell内のムチンが所定濃度を超えるとムチンコートしたプレートに対し接着性を有するのに対して、ムチン非接着性株(#1476)は接着性を有さないことが確認された。従って、試験例1により、ムチン非接着性株#1476がムチン非接着であることが示された。
【0049】
(試験例2)
〈使用菌株および培養方法〉
ムチン接着性を有する株としてBF-1株であるBifidobacterium bifidum YIT 10347(FERM BP-10613)を用いた。非接着性株としてムチン非接着性株#1476を用いた。
【0050】
各菌株を50mLのm-ILS培地に接種し、37℃で一晩培養した培養液を遠心分離(10,000×g,5min)し、菌株を回収した。PBSで洗浄後、HBS-P(10mM HEPES pH7.4,150mM NaCl, 0.05%(v/v)Surfactant P20)で再洗浄し、HBS-P 5 mLに懸濁した。この菌液を各種試験に用いた。
【0051】
〈〈PCR〉〉
図2に記載のソルターゼをエンコードするCDS0427のプライマーセットを用いて、B. bifidum YIT 10347(BF-1株)のDNAを鋳型にしてPCRを行い、ソルターゼのタンパク質コード領域を増幅した。結果を図3に示す。
【0052】
図3は、バイオアナライザーのエレクトロフェノグラムである。BF-1株では、ソルターゼをエンコードするCDS0427(約1.2kbp)が増幅されるが、#1476では何らかが挿入された約2.1kbpの増幅産物が得られた。すなわち、ムチン非接着性株#1476のソルターゼは失活していると考えられる。
【0053】
図3により、ムチン非接着性株はソルターゼ遺伝子が欠損していることが示された。換言すると、ムチン接着性を有するBF-1株は、ソルターゼ遺伝子を有するものであることが確認できた。
【0054】
なお、一般にソルターゼは、「ソルターゼ」または「ハウスキーピングソルターゼ」と称される原核生物の酵素の一種である。ソルターゼはアミノ酸配列の類似性からA~Fの6つのクラスに分類することが知られているが、本願におけるソルターゼはクラスEに分類され、接着性に関する機能に関し知られていない。
【0055】
(試験例3)
〈ゲノム情報からのタンパク質情報の抽出〉
図4の表に示すビフィズス菌17菌種のゲノム情報をDDBJ (http://www.ddbj.nig.ac.jp/index-j.html)からダウンロードした。同ゲノム情報から、Genomics Workbench ver.9.01(Qiagen,Tokyo,Japan)を用いて、タンパク質コード領域(CDS)を抽出し、EXCELを用いてテキスト検索を行った。併せて、free genome browserのArtemis (http://www.sanger.ac.uk/science/tools/artemis)を用いて、特定のアミノ酸配列(L(ロイシン)P(プロリン)X(任意)T(トレオニン)G(グリシン)若しくは[L(ロイシン)/I(イソロイシン)/V(バリン)][S(セリン)/A(アラニン)]X(任意)T(トレオニン)G(グリシン))と有するタンパク質コード領域を検索した。目的タンパク質のアミノ酸配列は、遺伝子情報処理ソフトウェアGENETYX Ver.11 (Genetyx,Tokyo,Japan)を用いて相同検索し、Artemisでヒットした遺伝子の位置を確認することで、各種ビフィズス菌のゲノムに相同遺伝子(アミノ酸レベルで50%以上)があるか否か調査した。結果を図5および図6に示す。
【0056】
図5および図6は、各種ビフィズス菌に存在するソルターゼ依存性タンパク質(以下、「SDP」という)の総数(図5)とソルターゼ認識配列の内訳(図6)を示す。図5において、横軸は図4に開示された各種ビフィズス菌の略称を示し、縦軸はLPXTGモチーフまたは[L/I/V][S/A]XTGモチーフを有し、かつC末端にプラスチャージを付与するR(アルギニン)、K(リシン)、H(ヒスチジン)のオリゴマーが存在するタンパク質、すなわちSDPタンパク質の数の合計を示している。
【0057】
図6において、横軸は各種ビフィズス菌の略称を示し、縦軸は各種ソルターゼ認識配列の数の合計を示している。各種ビフィズス菌の略称と各種ソルターゼ認識配列の内訳は図10に示す。一つのSDPが複数の認識配列を持つケースがあるため、図6では図5に示されたSDPの総数よりも多くなっている。図6から、B.bifidumは[L/I/V][S/A]XTGモチーフを持つSDPが他菌種に比べて著しく多いことが確認できた。具体的には、B.bifidumは、[L/I/V][S/A]XTGモチーフを38個有しており、その他のビフィズス菌は、[L/I/V][S/A]XTGモチーフを3~14個の範囲で有していた。
【0058】
従って、試験例3より、ビフィダムのゲノムでは、ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質のコード領域が含まれることが示された。さらに、ソルターゼによって細胞表層に提示されるタンパク質のコード領域は複数存在し、前記タンパク質のアミノ酸配列には[L/I/V][S/A]XTGモチーフがあることが示された。後述するように、[L/I/V][S/A]XTGモチーフを有するタンパク質が多いビフィズス菌は、接着性が高く、DNA損傷修復作用が強いため有利である。
【0059】
(実施例1)
〈バクテリアの接着が培養細胞に及ぼす影響〉
胃がん由来の培養細胞であるGCIY細胞を用いて、BF-1株とムチン非接着性株#1476の接着特性を比較した。
【0060】
〈バクテリアのGCIY細胞への接着とGCIY細胞の酸耐性〉
宿主細胞とバクテリアの相互作用を解析するために、GCIY細胞を使用した。接着実験として、BF-1株もしくはムチン非接着性株#1476を遠心分離で集菌し(3,000×g,4℃,10min)、10% FBSを含むMEM培地(f-MEM培地)で洗浄し、同培地に再けん濁した。2×10 もしくは 1×10 cells /wellの細胞シートを新鮮なf-MEM培地でリンスした後に、BF-1株、ムチン非接着性株#1476(1×10, 1×10,1×10CFU/well)もしくはf-MEM培地(陰性対照)を添加し、COインキュベーター内で37℃で30分間、共培養した。共培養した細胞シートを新鮮なf-MEM培地で3回リンスした後に、pH4.5まで酸性化したf-MEM培地を添加し、4.5時間培養した。この酸処理後、新鮮なf-MEM培地で3回リンスした後に細胞形態を顕微鏡観察した。酸処理した細胞シートを新鮮なf-MEM培地で一晩培養し、細胞形態に加えて生細胞数も調べた。
【0061】
結果を、図7(A)、(B)に示す。図7(A)において、横軸はBF-1株とムチン非接着性株(#1476)をそれぞれ示す。縦軸はGCIY細胞と接着したBF-1株またはムチン非接着性株の細胞数を示す。それぞれ、中央値、四分位範囲、中央値、最小値、最大値、外れ値、p値等が記載されているが、一般的な表記法と変わらないため説明は省略する。ムチン非接着性株#1476の接着菌数は、BF-1に比べて顕著に低かった。さらにこの結果は、「試験例1」のムチンへの接着性の結果(図1)と一致した。
【0062】
また、図7(B)において、横軸は陰性対照(培地のみ)、BF-1株とムチン非接着性株(#1476)をそれぞれ示す。縦軸は、GCIY細胞の生存率を示す。図7(B)でバクテリアの接着がGCIY細胞の酸耐性に及ぼす影響を調べたところ、BF-1株による処理は、陰性対照の無処理に比べて、GCIY細胞の生存率を顕著に高めたが、ムチン非接着性株#1476ではそのような効果は認められなかった。
【0063】
さらに、図8において細胞形態に係る写真図を示す。(A)および(B)はBF-1株(A)およびムチン非接着性株(B)をそれぞれGCIY細胞と共培養し、酸処理した直後のGCIY細胞の写真図である。(C)および(D)はBF-1株(C)およびムチン非接着性株(D)をそれぞれGCIY細胞と共培養し、酸処理し、一晩経過した後のGCIY細胞の写真図である。BF-1株と共培養したGCIY細胞は、ムチン非接着性株#1476と共培養したものに比べて、形態的に活性が高いことが確認できた。従って、BF-1株と共培養したGCIY細胞は酸耐性が付与されることが確認できた。
【0064】
次に、バクテリアが接着することで細胞の酸耐性が高まるメカニズムを探索するために、BF-1株もしくはムチン非接着性株#1476と共培養したGCIY細胞のマイクロアレイ解析を実施した。
【0065】
〈GCIY細胞とバクテリアの共培養〉
GCIY細胞を6穴プレートに接種し、コエンフルエント(4~5×10 cells/ml)まで培養した。細胞シートを新鮮なf-MEM培地でリンスした後に、BF-1株、ムチン非接着性株#1476(5×10CFU/well) もしくはf-MEM培地(陰性対照)を添加し、COインキュベーター内で37℃で1分間または30分間、共培養した。共培養した細胞シートを新鮮なf-MEM培地で3回リンスした後に、2時間または12時間培養した。同細胞シートに、0.25% Trypsin-EDTA(Gibco)を添加することで、プレートから剥がし、COインキュベーター内で37℃で5分間保持した後に、RNA抽出を行った。
【0066】
BF-1株またはムチン非接着性株#1476で共培養した時に、菌株間で有意な発現変動が認められる遺伝子で上位1000個をWikiPathwaysによるパスウェイ解析に供したところ、DNA損傷修復、タンパク質合成促進、細菌感染予防に関与するパスウェイが見いだされた。
【0067】
図9は、解析の結果、BF-1株の接着性によって発現変動し有意に影響を受けたGCIY細胞のパスウェイを一部列挙したものである。A)群、B)群、C)群のパスウェイは、(A群)DNA損傷修復、(B群)タンパク質合成促進、(C群)細菌感染予防にそれぞれ関与する。
【0068】
従って、ムチン接着性を有するBF-1株を対象の細胞と共培養することによって、対象の細胞のDNA損傷修復、タンパク質合成促進、細菌感染予防に関与する遺伝子が有意に発現変動することが明らかとなった。
【0069】
また、図9のパスウェイにはDNA損傷修復経路に含まれる遺伝子群の発現調節を行うものが含まれている。そのため、紫外線によるDNA損傷の低下だけではなく、タバコ、放射線、活性酸素、薬剤などによるDNA損傷にも効果が期待できる点で有利である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明のビフィドバクテリウム属細菌は、ソルターゼ活性を有するためムチン接着性を有し、胃細胞と共培養することにより、胃細胞に酸耐性を付与するだけでなく、細胞のDNA損傷修復、タンパク質合成促進、細菌感染予防に関与する遺伝子を有意に発現変動することができる。従って、本発明のビフィドバクテリウム属細菌を用いることにより、細胞の酸耐性付与剤、DNA損傷修復剤、タンパク質合成促進剤、細菌感染予防剤としての用途を提供することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10