(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104330
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】部屋番号入力装置、集合住宅用通話管理システム、及び部屋番号入力装置の取付方法
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20220701BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
H04M9/00 H
H04M9/00 G
H04M1/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219474
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】597077643
【氏名又は名称】株式会社西電通
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100143373
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 裕人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正幸
【テーマコード(参考)】
5K023
5K038
【Fターム(参考)】
5K023AA05
5K023GG04
5K038CC12
5K038FF01
5K038FF02
(57)【要約】
【課題】テンキーの故障に対する対応費用の低減が容易な部屋番号入力装置、この部屋番号入力装置の取付方法、及び集合住宅用インターホン装置の更新費用の低減が容易な集合住宅用通話管理システムを提供する。
【解決手段】部屋番号入力装置2は、それぞれを識別するための部屋番号が付与された複数の住戸を含む集合住宅に設置される集合玄関機AのテンキーTKを覆うように取り付け可能であって、柔軟性を有するシート形状を有し、テンキーTKの各キーと対向する位置への操作に応じて部屋番号を表す入力操作を受け付けるシートキー21と、シートキー21によって受け付けられた入力操作を示す入力操作情報を出力する出力部22とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれを識別するための部屋番号が付与された複数の住戸を含む集合住宅に設置される集合玄関機のテンキーを覆うように取り付け可能であって、柔軟性を有するシート形状を有し、前記テンキーの各キーと対向する位置への操作に応じて前記部屋番号を表す入力操作を受け付けるシートキーと、
前記シートキーによって受け付けられた入力操作を示す入力操作情報を出力する出力部とを備える部屋番号入力装置。
【請求項2】
前記シートキーは、伸縮性を有する請求項1に記載の部屋番号入力装置。
【請求項3】
前記シートキーは、前記テンキーのキートップに固着される請求項2に記載の部屋番号入力装置。
【請求項4】
前記テンキーを間に挟むように前記テンキーの両側に取り付け可能な一対の取付部材をさらに備え、
前記シートキーは、前記一対の取付部材に取り付けられる請求項1~3のいずれか1項に記載の部屋番号入力装置。
【請求項5】
前記シートキーには、前記各キーと対向する位置の外側に、対向する前記各キーと同じ数字が記載されている請求項1~4のいずれか1項に記載の部屋番号入力装置。
【請求項6】
前記シートキーは、透光性を有し、
前記シートキーを透過して、前記シートキーに覆われた前記テンキーが視認可能である請求項1~4のいずれか1項に記載の部屋番号入力装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の部屋番号入力装置と、
マイクとスピーカとを含む通話装置と、
前記各部屋番号を示す情報と、その各部屋番号の住戸と対応して設けられ、かつ移動体通信網に通信接続可能な移動体通信端末装置にアクセスするためのアクセス情報とを対応付ける変換テーブルを記憶するアクセス情報記憶部と、
前記入力操作情報が示す前記入力操作によって表される部屋番号である目的部屋番号に対して前記変換テーブルによって対応づけられたアクセス情報を取得するアクセス情報取得部と、
前記アクセス情報取得部によって取得されたアクセス情報を用いて、前記目的部屋番号の住戸と対応する移動体通信端末装置と前記通話装置とを通話可能にする通話可能化処理を実行する通話処理部とを備える集合住宅用通話管理システム。
【請求項8】
前記シートキーが前記テンキーを覆うように取り付けられた前記集合玄関機をさらに備える請求項7に記載の集合住宅用通話管理システム。
【請求項9】
それぞれを識別するための部屋番号が付与された複数の住戸を含む集合住宅に設置される集合玄関機に取り付け可能であって、前記部屋番号の入力操作を受け付けて当該受け付けられた入力操作を示す入力操作情報を出力する入力装置と、
マイクとスピーカとを含む通話部と、
前記各部屋番号を示す情報と、その各部屋番号の住戸と対応して設けられ、かつ移動体通信網に通信接続可能な移動体通信端末装置にアクセスするためのアクセス情報とを対応付ける変換テーブルを記憶するアクセス情報記憶部と、
前記入力操作情報が示す前記入力操作によって表される部屋番号である目的部屋番号に対して前記変換テーブルによって対応づけられたアクセス情報を取得するアクセス情報取得部と、
前記アクセス情報取得部によって取得されたアクセス情報を用いて、前記目的部屋番号の住戸と対応する移動体通信端末装置と前記通話装置とを通話可能にする通話可能化処理を実行する通話処理部とを備える集合住宅用通話管理システム。
【請求項10】
前記入力装置が取り付けられた前記集合玄関機をさらに備える請求項9に記載の集合住宅用通話管理システム。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか1項に記載の部屋番号入力装置における前記シートキーを、前記集合玄関機のテンキーを覆うように取り付ける部屋番号入力装置の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅の部屋番号を入力するための部屋番号入力装置、集合住宅の居住者と、その集合住宅の訪問者とを通話可能にするための集合住宅用通話管理システム、及び部屋番号入力装置の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、集合住宅の玄関に集合玄関機を設置し、各住戸にそれぞれ居室機(インターホン子機)を設置し、集合玄関機のテンキーで訪問先の部屋番号を入力することによって、集合玄関機と訪問先の住戸のインターホン子機との間で通話することができる集合住宅用インターホン装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の集合住宅用インターホン装置は、集合玄関機と制御装置とが配線で接続され、制御装置から各住戸のインターホン子機へ、それぞれ配線が引き回されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、集合玄関機のテンキーが故障した場合、古い集合玄関機では、テンキーを修理することができず、集合玄関機ごと交換したり、集合住宅用インターホン装置全体を更新したりする必要が生じる場合がある。
【0005】
また、集合住宅用インターホン装置が故障したり、経年劣化により更新が必要になったりした場合、集合玄関機は元より、各住戸に設けられたインターホン子機も交換が必要になる。インターホン子機は、住戸の数だけ必要になるから、住戸数が多いほどインターホン子機の交換台数が増加し、交換費用が高額になる。また、集合玄関機から各住戸に引き回されている配線を引き直す配線工事が必要となり、住戸数が多いほど配線工事費用が増大する。
【0006】
本発明の目的は、テンキーの故障に対する対応費用の低減が容易な部屋番号入力装置、この部屋番号入力装置の取付方法、及び集合住宅用インターホン装置の更新費用の低減が容易な集合住宅用通話管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る部屋番号入力装置は、それぞれを識別するための部屋番号が付与された複数の住戸を含む集合住宅に設置される集合玄関機のテンキーを覆うように取り付け可能であって、柔軟性を有するシート形状を有し、前記テンキーの各キーと対向する位置への操作に応じて前記部屋番号を表す入力操作を受け付けるシートキーと、前記シートキーによって受け付けられた入力操作を示す入力操作情報を出力する出力部とを備える。
【0008】
この構成によれば、集合玄関機のテンキーを覆うように取り付けられたシートキーを押すことによって、訪問先の部屋番号がシートキーによって受け付けられ、その入力操作を示す入力操作情報が出力される。従って、例え集合玄関機のテンキーが故障し、テンキーを修理することができず、集合玄関機ごと交換したり、集合住宅用インターホン装置全体を更新したりする必要がある場合であっても、テンキーを覆うようにシートキーを取り付けることによって、部屋番号の入力操作が可能となるので、テンキーの故障に対する対応費用の低減が容易となる。
【0009】
また、前記シートキーは、伸縮性を有することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、集合玄関機のテンキーのストロークが大きくても、シートキーを押すことで、同時にテンキーも押すことが容易となる。
【0011】
また、前記シートキーは、前記テンキーのキートップに固着されることが好ましい。
【0012】
シートキーをテンキーのキートップに直接固着すれば、シートキーの取付が容易である。
【0013】
また、前記テンキーを間に挟むように前記テンキーの両側に取り付け可能な一対の取付部材をさらに備え、前記シートキーは、前記一対の取付部材に取り付けられることが好ましい。
【0014】
一対の取付部材を用いて集合玄関機のテンキーを覆うようにシートキーを取り付けるようにすれば、取付部材によってシートキーの取付高さを調節することができるので、突出高さが大きいテンキーに対しても、シートキーを取り付けることが容易となる。
【0015】
また、前記シートキーには、前記各キーと対向する位置の外側に、対向する前記各キーと同じ数字が記載されていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、シートキーに記載された数字を見て部屋番号を押すことで、集合玄関機のテンキーにも同じ部屋番号を入力することができる。
【0017】
また、前記シートキーは、透光性を有し、前記シートキーを透過して、前記シートキーに覆われた前記テンキーが視認可能であることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、シートキーの上からテンキーが透けて見えるので、テンキーの各キーの配置、大きさ等が異なる集合玄関機に対しても、シートキーの印刷を変える等、シートキーを作り直す必要がない。
【0019】
また、本発明に係る集合住宅用通話管理システムは、上述の部屋番号入力装置と、マイクとスピーカとを含む通話装置と、前記各部屋番号を示す情報と、その各部屋番号の住戸と対応して設けられ、かつ移動体通信網に通信接続可能な移動体通信端末装置にアクセスするためのアクセス情報とを対応付ける変換テーブルを記憶するアクセス情報記憶部と、前記入力操作情報が示す前記入力操作によって表される部屋番号である目的部屋番号に対して前記変換テーブルによって対応づけられたアクセス情報を取得するアクセス情報取得部と、前記アクセス情報取得部によって取得されたアクセス情報を用いて、前記目的部屋番号の住戸と対応する移動体通信端末装置と前記通話装置とを通話可能にする通話可能化処理を実行する通話処理部とを備える。
【0020】
この構成によれば、訪問者がシートキーを押して部屋番号を入力すると、集合玄関機のテンキーとシートキーとで、同じ部屋番号が取得され、集合玄関機につながったその部屋番号のインターホン子機と集合玄関機とで通話可能となるのと並行して、その部屋番号の居住者の移動体通信端末装置と通話装置との間で通話可能となる。これにより、既存の集合住宅用インターホン装置によって通話可能となるのに加えて、居住者の移動体通信端末装置とも通話可能となるので利便性が向上する。さらに、もしも既存の集合住宅用インターホン装置が故障したり、更新が必要であったりした場合であっても、集合住宅用通話管理システムを既存の集合住宅用インターホン装置の代わりに用いることができる。集合住宅用通話管理システムは、既存の集合住宅用インターホン装置のように、部屋数分のインターホン子機を交換したり、集合住宅中に張り巡らされた配線を引き直したりする工事が不要である。従って、既存の集合住宅用インターホン装置を修理したり更新したりするよりも、集合住宅用通話管理システムを設置する方が、費用の低減が容易である。その結果、集合住宅用インターホン装置の更新費用の低減が容易となる。
【0021】
また、前記シートキーが前記テンキーを覆うように取り付けられた前記集合玄関機をさらに備えることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、集合玄関機が集合住宅用通話管理システムに含まれる。
【0023】
また、本発明に係る集合住宅用通話管理システムは、それぞれを識別するための部屋番号が付与された複数の住戸を含む集合住宅に設置される集合玄関機に取り付け可能であって、前記部屋番号の入力操作を受け付けて当該受け付けられた入力操作を示す入力操作情報を出力する入力装置と、マイクとスピーカとを含む通話部と、前記各部屋番号を示す情報と、その各部屋番号の住戸と対応して設けられ、かつ移動体通信網に通信接続可能な移動体通信端末装置にアクセスするためのアクセス情報とを対応付ける変換テーブルを記憶するアクセス情報記憶部と、前記入力操作情報が示す前記入力操作によって表される部屋番号である目的部屋番号に対して前記変換テーブルによって対応づけられたアクセス情報を取得するアクセス情報取得部と、前記アクセス情報取得部によって取得されたアクセス情報を用いて、前記目的部屋番号の住戸と対応する移動体通信端末装置と前記通話装置とを通話可能にする通話可能化処理を実行する通話処理部とを備える。
【0024】
この構成によれば、訪問者が、集合玄関機に取り付けられた入力装置を用いて部屋番号を入力すると、その部屋番号の居住者の移動体通信端末装置と通話部との間で通話可能となる。これにより、もしも既存の集合住宅用インターホン装置が故障したり、更新が必要であったりした場合であっても、集合住宅用通話管理システムを既存の集合住宅用インターホン装置の代わりに用いることができる。集合住宅用通話管理システムは、既存の集合住宅用インターホン装置のように、部屋数分のインターホン子機を交換したり、集合住宅中に張り巡らされた配線を引き直したりする工事が不要である。従って、既存の集合住宅用インターホン装置を修理したり更新したりするよりも、集合住宅用通話管理システムを設置する方が、費用の低減が容易である。その結果、集合住宅用インターホン装置の更新費用の低減が容易となる。
【0025】
また、前記入力装置が取り付けられた前記集合玄関機をさらに備えることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、集合玄関機が集合住宅用通話管理システムに含まれる。
【0027】
また、本発明に係る部屋番号入力装置の取付方法は、上述の部屋番号入力装置における前記シートキーを、前記集合玄関機のテンキーを覆うように取り付ける。
【0028】
この方法によって集合玄関機に取り付けられたシートキーによれば、シートキーを押す入力操作によって、集合玄関機のテンキーとシートキーとで、同じ部屋番号の入力を受け付けることができる。
【発明の効果】
【0029】
このような構成の部屋番号入力装置、及びこの部屋番号入力装置の取付方法は、テンキーの故障に対する対応費用の低減が容易となる。また、このような構成の集合住宅用通話管理システムは、集合住宅用インターホン装置の更新費用の低減が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る集合住宅用通話管理システムにおけるシートキー及び通話装置の、集合玄関機への取り付け状態の一例を示す説明図である。
【
図2】集合玄関機にシートキーを取り付けた状態の一例を示す説明図である。
【
図3】
図2におけるシートキー及びテンキーのIII-III線断面図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係る集合住宅用通話管理システムの電気的構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】既存のインターホン装置と並行して実行される、集合住宅用通話管理システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第二実施形態に係る集合住宅用通話管理システムにおける入力装置の、集合玄関機への取り付け状態の一例を示す説明図である。
【
図7】本発明の第二実施形態に係る集合住宅用通話管理システムの電気的構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
(第一実施形態)
【0032】
図1は、本発明の第一実施形態に係る集合住宅用通話管理システム1におけるシートキー及び通話装置の、集合玄関機への取り付け状態の一例を示す説明図である。
【0033】
集合玄関機Aは、集合住宅の玄関に取り付けられる、いわゆる集合玄関機である。集合玄関機Aは、テンキーTK、マイクM、スピーカSP、及び表示部DPを備えている。テンキーTKには、0~9の数字キーK1、アスタリスクキーK2、消去キーK3、及び呼出キーK4が含まれる。以下、数字キーK1、アスタリスクキーK2、消去キーK3、及び呼出キーK4を総称してキーKと称する。
【0034】
集合住宅用通話管理システム1は、集合玄関機Aを含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
【0035】
集合住宅の各住戸には、図略のインターホン子機が設置されている。集合住宅を訪問した訪問者が、数字キーK1で訪問先の部屋番号を入力し、呼出キーK4を押すことによって、訪問先のインターホン子機が呼び出される。そして、そのインターホン子機と、集合玄関機AのマイクM及びスピーカSPとが通話可能に接続され、訪問者と訪問先の居住者とが通話することができる。
【0036】
通話装置3は、集合玄関機Aに取り付けられ、あるいは集合玄関機A近傍に配設されている。通話装置3は、マイク31と、スピーカ32とを備えている。
【0037】
シートキー21は、柔軟性を有するシート形状を有するテンキースイッチである。シートキー21は、例えば、シリコンゴムや樹脂等の一対のシートの一方に、X方向に平行に延びる複数のX電極を形成し、他方に、Y方向に平行に延びる複数のY電極を形成し、このX電極とY電極とを微小な間隔をあけて対向するように一対のシートを積層して構成することができる。シートキー21の表面には、テンキーTKの各キーに対応するキー名称が印刷されている。
【0038】
これにより、シートキー21を指で押すと、押された位置のX電極とY電極とが接触して導通することにより、押された位置に対応する部屋番号を表す入力操作を受け付け可能とされている。
【0039】
なお、シートキー21の表面に、キー名称が印刷される例に限らない。例えば、シートキー21が透光性を有し、シートキー21の上からテンキーTKが透けて見える構成であってもよい。シートキー21の上からテンキーTKが透けて見える場合、テンキーTKの各キーの配置、大きさ等が異なる集合玄関機Aに対しても、シートキー21の印刷を変える等、シートキー21を作り直す必要がなく、シートキー21から得られる押圧位置の位置情報とキーとの対応関係の設定を変更するだけでよいので、シートキー21を集合玄関機Aに取り付ける際の利便性が向上する。
【0040】
シートキー21には、例えば、いわゆるメンブレンスイッチが形成され、メンブレンスイッチによって、部屋番号を表す入力操作を受け付け可能とされていてもよい。
【0041】
本発明の一実施形態に係る部屋番号入力装置の取付方法は、シートキー21を、集合玄関機AのテンキーTKを覆うように取り付ける。シートキー21を、集合玄関機AのテンキーTKを覆うように取り付けることにより、訪問者がシートキー21の上から部屋番号を押すと、その部屋番号が、シートキー21及びテンキーTKの両方で受け付けられるようになっている。
【0042】
シートキー21は、柔軟性を有するシート状であればよいが、シートキー21は、柔軟性に加えて伸縮性を有する素材、例えばシリコンゴムを用いて構成されていることがより好ましい。
【0043】
シートキー21が、柔軟性に加えて伸縮性を有する素材を用いて構成されている場合、テンキーTKのストロークが大きくても、部屋番号が、シートキー21及びテンキーTKの両方で受け付けられる確実性が向上する。
【0044】
シートキー21は、テンキーTKの各キーのキートップに、直接接着剤や両面テープ等の接着部材で固着されてもよい。また、
図1に示すように、一対の取付部材23,23を用いてテンキーTKを覆うように取り付けられてもよい。
図1に示す取付部材23,23は、シートキー21の裏側両端部に、上下方向に延びるように取り付けられている。
【0045】
図2は、集合玄関機Aにシートキー21を取り付けた状態の一例を示す説明図である。集合玄関機Aにシートキー21を取り付けたときに、取付部材23,23が、テンキーTKを間に挟んでテンキーTKの両側に位置するように、取付部材23,23の間隔が設定されている。
【0046】
図3は、
図2におけるシートキー21及びテンキーTKのIII-III線断面図である。
図3に示すように、取付部材23,23の高さは、テンキーTKの各キーの高さと略同一とされている。これにより、突出高さが大きいテンキーTKや、ストロークの大きなテンキーTKに対しても、シートキー21を適切に取り付けることが容易となる。
【0047】
取付部材23,23は、例えば樹脂や金属であってもよく、ウレタン等の弾力性を有する素材であってもよい。また、取付部材は枠状であってもよく、枠の相対向する一対の辺が、一対の取付部材23,23となっていてもよい。
【0048】
図4は、本発明の第一実施形態に係る集合住宅用通話管理システム1の電気的構成の一例を示すブロック図である。
図4に示す集合住宅用通話管理システム1は、部屋番号入力装置2、通話装置3、制御装置4、及びサーバ装置5を備えている。部屋番号入力装置2は、シートキー21と、出力部22とを備えている。制御装置4とサーバ装置5とは、ネットワーク6を介して互いにデータ送受信可能に構成されている。
【0049】
ネットワーク6は、例えばインターネット、公衆電話回線、移動体通信網、LAN(Local Area Network)、WiFi(登録商標)等、種々の通信手段であってもよく、これらの通信手段が組み合わされていてもよく、有線、無線、あるいは有線と無線とが組み合わされて構成されていてもよい。
【0050】
集合住宅の各住戸には、移動体通信網に通信接続可能なスマートフォンがそれぞれ対応付けられている。例えば、101号室にはスマートフォンP101が対応付けられ、102号室にはスマートフォンP102が対応付けられ、103号室にはスマートフォンP103が対応付けられている。
【0051】
スマートフォンP101,P102,P103は、移動体通信端末装置の一例に相当している。以下、スマートフォンP101,P102,P103、・・・を総称してスマートフォンPと称する。なお、移動体通信端末装置は、移動体通信網に通信接続可能であればよく、スマートフォンに限られず、携帯電話、タブレット端末等、種々の端末装置であってよい。
【0052】
例えば、スマートフォンP101は101号室の居住者が所有し、スマートフォンP102は102号室の居住者が所有し、スマートフォンP103は103号室の居住者が所有し、他の住戸の居住者もそれぞれスマートフォンを所有することによって、101号室、102号室、103号室・・・と、スマートフォンP101,P102,P103・・・とがそれぞれ対応付けられている。
【0053】
ネットワーク6には、電話会社等の移動体通信業者が運営する移動体通信基地局7が接続されている。これにより、スマートフォンPは、移動体通信基地局7を介してネットワーク6にアクセス可能とされている。
【0054】
出力部22は、シートキー21によって受け付けられた入力操作を示す入力操作情報を、制御装置4へ出力する。出力部22は、例えば入力操作に応じて生じたX電極とY電極との導通を示す信号を、部屋番号に変換して入力操作情報として出力してもよく、そのまま入力操作情報として出力してもよく、XY座標等によって押された位置を示す情報を入力操作情報として出力してもよい。また、出力部22は、メンブレンスイッチのオン、オフを示す信号を、部屋番号に変換して入力操作情報として出力してもよく、そのまま入力操作情報として出力してもよい。出力部22は、例えばコネクタやケーブル等であってもよい。
【0055】
通話装置3は、マイク31と、スピーカ32とを備えている。なお、通話装置3は、マイク31とスピーカ32とが一体に構成される例に限られず、マイク31とスピーカ32とがバラバラに、集合玄関機Aに取り付けられ、あるいは集合玄関機A近傍に配設されていてもよい。マイク31は、訪問者の声を検出し、その音声信号を制御装置4へ出力する。スピーカ32は、制御装置4からの信号に応じて音声を出力する。
【0056】
制御装置4は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、所定の制御プログラムを記憶するフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置、通信回路、及びその周辺回路等を備えて構成されている。
【0057】
制御装置4は、例えば上述の記憶装置に記憶された制御プログラムを実行することによって、出力部22から出力された入力操作情報をサーバ装置5へ送信したり、スマートフォンPと通話装置3とで通話可能にしたりする。
【0058】
サーバ装置5は、例えば所定の演算処理を実行するCPU、一時的にデータを記憶するRAM、所定の制御プログラムを記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶装置、通信回路、及びその周辺回路等を備えて構成されている。上述の記憶装置は、アクセス情報記憶部51としても用いられる。そしてサーバ装置5は、上述の記憶装置に記憶された制御プログラムを実行することによって、アクセス情報取得部52、及び通話処理部53として機能する。
【0059】
アクセス情報記憶部51には、各部屋番号を示す情報と、その各部屋番号の住戸と対応するスマートフォンPにアクセスするためのアクセス情報とを対応付ける変換テーブル(ルックアップテーブル)が予め記憶されている。アクセス情報としては、例えば電話番号やアドレスなどの情報を用いることができる。
【0060】
アクセス情報取得部52は、制御装置4から送信された入力操作情報が示す入力操作によって表される部屋番号である目的部屋番号に対して、上述の変換テーブルによって対応づけられたアクセス情報を取得する。
【0061】
通話処理部53は、アクセス情報取得部52によって取得されたアクセス情報を用いて、目的部屋番号の住戸と対応するスマートフォンPと通話装置3とを通話可能にする通話可能化処理を実行する。通話可能化処理は、スマートフォンPと通話装置3とを、電話回線で接続してもよく、いわゆるIP(Internet Protocol)電話として機能するようにしてもよい。通話可能化処理としては、種々の公知の通信方式を用いることができ、例えばSIP(Session Initiation Protocol)を用いることができる。
【0062】
なお、集合住宅用通話管理システム1は、サーバ装置5を備えず、代わりに制御装置4が、アクセス情報記憶部51、アクセス情報取得部52、及び通話処理部53を備えていてもよい。
【0063】
次に、上述のように構成された集合住宅用通話管理システム1の動作について説明する。まず、集合住宅に来訪した訪問者が、
図2に示すように、集合玄関機Aに取り付けられたシートキー21を操作して部屋番号を入力して呼出キーK4を押下すると、その部屋番号及び呼出キーK4の入力操作が、テンキーTK及びシートキー21の両方によって並行して受け付けられる。
【0064】
テンキーTKによって受け付けられた入力操作は、集合玄関機A等の既存の集合住宅用インターホン装置によって処理され、入力操作で指定された部屋番号の図略のインターホン子機と、集合玄関機AのマイクM及びスピーカSPとの間で、訪問者と居住者とが通話可能となる。
【0065】
これと並行して、集合住宅用通話管理システム1による処理が実行される。
図5は、既存のインターホン装置と並行して実行される、集合住宅用通話管理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0066】
まず、シートキー21によって、訪問者の、テンキーTKによって受け付けられた入力操作と同じ入力操作が受け付けられる(ステップS1)。
【0067】
次に、シートキー21によって受け付けられた入力操作を示す入力操作情報は、出力部22から制御装置4へ出力され、制御装置4からネットワーク6を介してサーバ装置5へ送信される(ステップS2)。
【0068】
次に、入力操作情報を受信したサーバ装置5では、アクセス情報取得部52が、アクセス情報記憶部51を参照し、入力操作情報が示す入力操作によって表される部屋番号である目的部屋番号に対して変換テーブルによって対応づけられたアクセス情報を取得する(ステップS3)。
【0069】
次に、通話処理部53が、アクセス情報取得部52によって取得されたアクセス情報を用いて、目的部屋番号の住戸と対応するスマートフォンPと通話装置3とを通話可能にする通話可能化処理を実行する(ステップS4)。
【0070】
これにより、訪問者と、訪問先の住戸の居住者とが、通話装置3と、居住者のスマートフォンPとの間で通話することが可能となる。従って、もし仮に、集合住宅用インターホン装置が故障していた場合であっても、集合住宅用通話管理システム1によって、訪問者と、訪問先の住戸の居住者とが通話することができるので、既存の集合住宅用インターホン装置を修理する必要がない。
【0071】
また、集合住宅用通話管理システム1は、シートキー21を既存の集合玄関機Aに取り付け、制御装置4をネットワーク6に接続するだけで使用することができるので、既存の集合住宅用インターホン装置のように、部屋数分のインターホン子機を交換したり、集合住宅中に張り巡らされた配線を引き直したりする工事が不要である。従って、既存の集合住宅用インターホン装置を修理したり更新したりするよりも、集合住宅用通話管理システム1を設置する方が、費用の低減が容易である。
【0072】
さらに、住戸の居住者は、自分のスマートフォンPを用いて訪問者と通話することができるので、外出先でも訪問者と通話することができ、利便性が向上する。その一方、スマートフォンPをインターホンとして使用することを望まない居住者は、従来通り既存の集合住宅用インターホン装置によって通話することができる。
【0073】
なお、必ずしもアクセス情報記憶部51、アクセス情報取得部52、及び通話処理部53を備えなくてもよく、部屋番号入力装置2単体で用いてもよい。既存の集合玄関機AにおけるテンキーTKが故障した場合、集合玄関機Aにシートキー21を取り付け、出力部22から出力される入力操作情報を、故障したテンキーTKの信号の代わりに集合玄関機Aへ入力してもよい。
【0074】
このようにすれば、古い集合玄関機AのテンキーTKが故障してテンキーTKを修理することができない場合であっても、集合玄関機Aごと交換したり、集合住宅用インターホン装置全体を更新したりする必要がなく、テンキーの故障に対する対応費用の低減が容易となる。
(第二実施形態)
【0075】
次に、本発明の第二実施形態に係る集合住宅用通話管理システム1aについて説明する。
図6は、本発明の第二実施形態に係る集合住宅用通話管理システム1aにおける入力装置11の、集合玄関機Aへの取り付け状態の一例を示す説明図である。
【0076】
入力装置11は、例えば、集合玄関機Aの前面パネルの空いている領域に、接着剤、両面テープ、磁石、ボルト、その他の取付手段によって取り付けられている。
【0077】
図7は、本発明の第二実施形態に係る集合住宅用通話管理システム1aの電気的構成の一例を示すブロック図である。
図7に示す集合住宅用通話管理システム1aと
図4に示す集合住宅用通話管理システム1とでは、集合住宅用通話管理システム1aが、部屋番号入力装置2及び通話装置3の代わりに、入力装置11を備える点で異なる。その他の構成は
図4に示す集合住宅用通話管理システム1と同様であるのでその説明を省略し、以下本実施の形態の特徴的な点について説明する。
【0078】
入力装置11は、ディスプレイ13、テンキー12、出力部22、及び通話部3aを備える。通話部3aは、マイク31と、スピーカ32とを備える。なお、入力装置11が通話部3aを備える例に限られず、通話部3aは、
図1に示す通話装置3と同様の入力装置11から独立した装置であってもよい。
【0079】
テンキー12は、シートキー21と同様、部屋番号や呼出キー等の入力操作を受け付けて、その入力操作を示す信号を出力部22へ出力する。例えば、シートキー21をテンキー12として用いてもよい。あるいは、テンキー12は、シート状でなくてもよい。
【0080】
集合住宅用通話管理システム1aの動作は、
図5に示すフローチャートのステップS1においてシートキー21の代わりにテンキー12が用いられる点、及びステップS4において通話装置3の代わりに通話部3aが用いられる点を除いて、集合住宅用通話管理システム1の動作と同様である。
【0081】
集合住宅用通話管理システム1aによれば、集合住宅用通話管理システム1のように集合玄関機Aに取り付けられたシートキー21を操作するだけで既存の集合住宅用インターホン装置による通話と居住者のスマートフォンPによる通話とを並行実施することはできないものの、集合住宅用通話管理システム1と同様、既存の集合住宅用インターホン装置を修理したり更新したりするよりも、集合住宅用通話管理システム1aを設置する方が、費用の低減が容易である。
【0082】
また、集合住宅用通話管理システム1aによっても、集合住宅用通話管理システム1と同様、既存の集合住宅用インターホン装置が故障した場合であっても、集合住宅用通話管理システム1aによって、訪問者と、訪問先の住戸の居住者とが通話することができるので、既存の集合住宅用インターホン装置を修理する必要がない。
【0083】
また、集合住宅用通話管理システム1aは、入力装置11を既存の集合玄関機Aに取り付け、制御装置4をネットワーク6に接続するだけで使用することができるので、既存の集合住宅用インターホン装置のように、部屋数分のインターホン子機を交換したり、集合住宅中に張り巡らされた配線を引き直したりする工事が不要である。従って、既存の集合住宅用インターホン装置を修理したり更新したりするよりも、集合住宅用通話管理システム1aを設置する方が、費用の低減が容易である。
【0084】
さらに、住戸の居住者は、自分のスマートフォンPを用いて訪問者と通話することができるので、外出先でも訪問者と通話することができ、利便性が向上する。
【符号の説明】
【0085】
1,1a 集合住宅用通話管理システム
2 部屋番号入力装置
3 通話装置
3a 通話部
4 制御装置
5 サーバ装置
6 ネットワーク
7 移動体通信基地局
11 入力装置
12 テンキー
13 ディスプレイ
21 シートキー
22 出力部
23 取付部材
31 マイク
32 スピーカ
51 アクセス情報記憶部
52 アクセス情報取得部
53 通話処理部
A 集合玄関機
DP 表示部
K キー
K1 数字キー
K2 アスタリスクキー
K3 消去キー
K4 呼出キー
M マイク
P,P101,P102,P103 スマートフォン
SP スピーカ
TK テンキー