(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104374
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】水供給装置
(51)【国際特許分類】
F04C 5/00 20060101AFI20220701BHJP
B67D 1/10 20060101ALI20220701BHJP
F04B 43/12 20060101ALI20220701BHJP
C02F 1/68 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
F04C5/00 341N
B67D1/10
F04B43/12 T
C02F1/68 510B
C02F1/68 520B
C02F1/68 530C
C02F1/68 530K
C02F1/68 530L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219551
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 尊史
【テーマコード(参考)】
3E082
3H077
【Fターム(参考)】
3E082AA02
3E082BB01
3E082CC10
3H077AA01
3H077BB10
3H077CC04
3H077CC10
3H077DD02
3H077EE15
3H077FF55
(57)【要約】
【課題】添加濃度を高い精度で調節して水に添加できるようにした水供給装置を提供すること。
【解決手段】添加液の保持部104と、添加液の供給手段10とを有する水供給装置100において、流路内の水の流通を検知する検知器108を有し、該検知器が水流を検出することによって、供給手段から添加液が添加されるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
添加液の保持部と、
添加液が添加される水の流路と、
添加液の供給手段とを有する水供給装置において、
前記流路内の水の流通を検知する検知器を有し、該検知器が水流を検出することによって、前記供給手段から添加液が添加されることを特徴とする水供給装置。
【請求項2】
前記検知器が、前記水の流路内の水流に応じて開閉する開閉部材を有することを特徴とする請求項1に記載の水供給装置。
【請求項3】
前記添加液の供給手段がチューブポンプであることを特徴とする請求項1または2に記載の水供給装置。
【請求項4】
前記チューブポンプは、円周に沿って延びる内周面を有したポンプ室を画成するハウジングと、前記ポンプ室内に回転可能に配設されたロータ組立体とを備え、
前記ポンプ室の内周面に沿ってミネラル液供給管路が延設され、前記ロータ組立体によって前記ポンプ室の内周面に押圧されて少なくとも部分的に変形し、前記ロータ組立体が回転することによって、該変形した部分が前記ポンプ室の内周面に沿って移動し、ミネラル液供給管路内のミネラル液を押し出すようになっている請求項3に記載の水供給装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の水供給装置を含むことを特徴とする、飲用水提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水のような原水にミネラル濃縮液のような添加液を添加する水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の多様化社会においては、食品や飲料などの消費材料へのニ-ズも多様化し、健康志向や美味指向を背景に、飲用とする水に関する消費者の関心が近年高まっている。そうした流れを受け、例えば、特許文献1には、浄水機能を持たせるだけでなく、水にミネラル成分等の添加物を分与するようにした水供給装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水に添加物を加える試みは従来より行われてきたものの、飲みやすい水を実現するためのミネラルバランスはデリケートであり、安定して実現するためには添加の精度を向上する必要がある。特に水道直結等の浄水器に添加機構を採用する場合、使用者が流量を任意に操作できる機構も採用できるが、その場合、全体の水流量が一定とならならいためや、添加液を供給するポンプの吐出量が一定しないために、添加濃度を高い精度で調節することが難しい問題がある。
【0005】
本発明は、こうした従来技術の問題を解決することを技術課題としており、添加濃度を高い精度で調節して水に添加できるようにした水供給装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、添加液の保持部と、添加液が添加される水の流路と、添加液の供給手段とを有する水供給装置において、前記流路内の水の流通を検知する検知器を有し、該検知器が水流を検出することによって、前記供給手段から添加液が添加されることを特徴とする水供給装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、添加液を供給すべき原水の流量を測定する特段の流量計等の計測機器を配設することなく、簡単な構造で原水の流量に比例して添加液を供給することが可能となる。また、簡易な構造であるため、必要とする電力も一般的な電池等の最低限のものでよく、添加装置自体をコンパクトにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による水供給装置のブロック図である。
【
図2】チューブポンプのハウジングの一部を破断して示す斜視図である。
【
図3】スイング式水流検知器の一部を破断して示す斜視図である。
【
図4】開閉部材が閉位置にあるときの
図3のスイング式水流検知器の一部を破断して示す側面図である。
【
図5】開閉部材が開位置にあるときの
図3のスイング式水流検知器の一部を破断して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1において、水供給装置100は、原水としての水道水を流通させる水供給管路102と、ミネラル液供給管路106を介してチューブポンプ10に接続されたミネラル源104と、水供給管路102内を水が流通しているか否かを検知する検知器108とを備えている。ミネラル源104は、添加液の一例として塩化カリウムや塩化カリウムのようなミネラル成分を含んだ濃縮液(ミネラル液)を保持する保持部として例えばパウチ状の容器とすることができる。
【0010】
図2を参照すると、チューブポンプ10は、ポンプ室14を画成するハウジング12と、ポンプ室14内に配設されたロータ組立体とを備えている。ポンプ室14は、中心Oに関する円周に沿って延びる内周面を有している。ミネラル液供給管路106は、部分的にポンプ室14内に配置される。ミネラル液供給管路106は、少なくともポンプ室14内に配置される部分が柔軟性を有している。ポンプ室14内において、ミネラル液供給管路106は、ポンプ室14の内周面に添わせて延設される。
【0011】
ロータ組立体は、中心O周りに回転可能にポンプ室14内に配設される。ロータ組立体は、中心O周りに回転可能なキャリア16を有している。キャリア16は、
図2の紙面に垂直に中心Oを通過する軸線に沿って延びる回転軸18を有している。キャリア16は、中心Oに関して等角度間隔に配置された複数の、
図2の例では4つの腕を有しており、各腕の先端部にロータ20が、取り付けられている。各ロータ20は、回転軸18に平行に延びる回転軸22を中心として回転可能に各腕の先端部に取り付けられている。
【0012】
ミネラル液供給管路106において、ポンプ室14内に配置されている部分は、各ロータ20によって、ポンプ室14の内周面に押圧され部分的に変形する。キャリア16の形状(腕の数)や寸法、および、ロータ20の寸法は、添加すべきミネラル液の流量を勘案して適宜決定することができる。
【0013】
チューブポンプ10は、また、回転軸18に結合された駆動モータ24(
図1)を有している。駆動モータ24は、好ましくは、交換可能な電池(図示せず)または再充電可能な電池(図示せず)によって駆動される。駆動モータ24は、検知器108が、水供給管路102内を水が流通していることを検知するすると、電源(図示せず)から電力が供給され、回転駆動される。このときの駆動モータ24の回転数は、添加すべきミネラル液の流量を勘案して適宜決定することができる。
【0014】
駆動モータ24が回転すると、矢印Aで示すように、キャリア16もまた中心O周りに回転する。これにより、ミネラル液供給管路106において、ロータ20によって押圧され変形した部分もまた、中心O周りにポンプ室14の内周面に沿って矢印Aの方向に移動する。これにより、ミネラル液が矢印FMで示すように、ミネラル源104から水供給管路102へミネラル液供給管路106を流通して供給される。
【0015】
図3を参照すると、検知器108の一例として回転する開閉部材を用いたスイング式水流検知器50が図示されている。水流検知器50は、水供給管路102を形成する入口管路52aと出口管路52bの間に配設される。水流検知器50は、開閉部材56、回転軸58、スイングアーム60、マイクロスイッチ66、および、開閉部材56、回転軸58、スイングアーム60を包囲、収納する中空状のハウジング54を主要な構成要素として具備している。
【0016】
入口管路52aおよび出口管路52bは、ハウジング54内に連通するように、ハウジング54に結合されている。図示する実施形態では、入口管路52aと出口管路52bは互いに直角をなしているが、本発明は、これに限定されず、他の角度をなすようにハウジング54に結合してもよい。
【0017】
ハウジング54内には、回転軸58は、入口管路52aおよび出口管路52bの双方に対して垂直な軸線OSに沿って延設されている。回転軸58は、軸線OSを中心として回転可能にハウジング54に取り付けられている。
【0018】
開閉部材56は、回転軸58と共に回転可能に回転軸58に結合されている。開閉部材56は、入口管路52aを閉鎖可能な平板状の部材より成る。開閉部材56は、軸線OSを中心として回転することによって、閉位置と、開位置との間で移動可能となっている。閉位置において、開閉部材56は、ハウジング54内に開口する入口管路52aの端面に当接し、開位置において、開閉部材56は、入口管路52aの前記端面から離反する。
【0019】
回転軸58には、また、スイングアーム60が、該回転軸58と共に回転するように結合されている。スイングアーム60は、一端において回転軸58に結合され、該回転軸58から垂直に片持ち梁のように延びている。スイングアーム60の先端部の近傍には、アクチュエータ66aを有したマイクロスイッチ66が配設されている。マイクロスイッチ66は、アクチュエータ66aに
図3において下方に力が加えられると、この力がマイクロスイッチ66内の接点に伝わり、マイクロスイッチ66が閉成(ON)し、アクチュエータ66aに加えられている力が解放されると、マイクロスイッチ66が開成(OFF)するようになっている。マイクロスイッチ66の開閉(ON/OFF)は逆でもよい。
【0020】
マイクロスイッチ66は、開閉部材56が閉位置にあるとき、スイングアーム60がアクチュエータ66aを押圧してマイクロスイッチ66が閉成(ON)され、開閉部材56が開位置にあるとき、スイングアーム60がアクチュエータ66aから離反してマイクロスイッチ66が開成(OFF)されるように、ハウジング54内において、スイングアーム60に対して配置されている。
【0021】
なお、開閉部材56およびスイングアーム60の重量によって、スイングアーム60がマイクロスイッチ66のアクチュエータ66aを十分に押圧することができない場合には、スイングアーム60をアクチュエータ66aに向けて付勢する付勢部材を設けることができる。本実施形態では、該付勢部材は弦巻ばね64より成る。
図3において、弦巻ばね64は、スイングアーム60の下側、つまりマイクロスイッチ側に配置されており、一端(
図3では上端)において、スイングアーム60に連結され、他端(
図3では下端)において、出口管路52b内壁に固定したブラケット62に連結されている。こうして、スイングアーム60は、その先端が、常時、マイクロスイッチ66のアクチュエータ66aへ向けて付勢されることとなる。
【0022】
以下、本実施形態の作用を説明する。
水供給管路102、特に入口管路52a内を水が流通していないとき、開閉部材56は、回転軸58およびスイングアーム60の重量および/または弦巻ばね64の弾性力によって、
図3、4に示すように、閉位置に配置される。このとき、アクチュエータ66aがスイングアーム60により押圧され、マイクロスイッチ66は閉成(ON)されている。これにより、水供給管路102内を水が流通していないことが検知され、駆動モータ24への電力供給が遮断され、チューブポンプ10が停止した状態となる。
【0023】
水供給管路102、特に入口管路52a内を水がハウジング54へ向けて流通すると、その水圧により、開閉部材56は、
図5に示すように、回転軸58およびスイングアーム60の重量および/または弦巻ばね64の弾性力に抗して、入口管路52aの端面から離反する。つまり、開閉部材56は閉位置から開位置へ移動する。これにより、スイングアーム60が、回転軸58と共に軸線O
Sを中心として上方へ、
図3では反時計回りの方向(矢印Bで示す方向)に、つまり、マイクロスイッチ66から離反する方向に回転する。こうして、スイングアーム60がアクチュエータ66aから離反すると、マイクロスイッチ66が開成(OFF)される。これにより、水供給管路102内を水が流通していることが検知され、駆動モータ24へ電力が供給され、チューブポンプ10が作動する。
【0024】
入口管路52a内の水の流通が停止すると、スイングアーム60は、回転軸58およびスイングアーム60の重量および/または弦巻ばね64によるバネ力により、
図4において、矢印Aで示す方向に軸線O
Sを中心として回転する。こうして、マイクロスイッチ66のアクチュエータ66aがスイングアーム60によりマイクロスイッチ66の本体へ向けて押圧される。これにより、マイクロスイッチ66が閉成(ON)され、上述のように、水供給管路102内を水が流通していないことが検知され、駆動モータ24への電力供給が遮断され、チューブポンプ10が停止する。
【0025】
弦巻ばね64のばね定数や長さ、入口管路52aの内径、スイングアーム60の長さ等は、入口管路52aを流通する水の流量および圧力、マイクロスイッチ66のアクチュエータ66aがスイングアーム60を押し上げる力等を勘案して、入口管路52a内を水が流通していないときに、スイングアーム60がアクチュエータ66aを押圧、押し下げ、入口管路52a内を水が流通したときに、スイングアーム60がアクチュエータ66aから離反できるように決定することができる。
【0026】
上述の実施形態では、検知器108は、スイング式水流検知器50であるが、羽根車と該羽根車によって駆動される発電機を有した水流検知器や、差圧によって流量を測定する流量計を用いても良い。
【0027】
本発明の水供給装置は、ウォーターサーバー、浄水器等の、飲用水を提供するための任意の飲用水提供システムに組み込むことが可能である。そのような場合でも、本発明の水供給装置は簡易な構造であるため、装置全体の設置面積をコンパクトにすることが可能となる。
【符号の説明】
【0028】
10 チューブポンプ
12 ハウジング
14 ポンプ室
16 キャリア
18 回転軸
20 ロータ
22 回転軸
24 駆動モータ
50 水流検知器
52a 入口管路
52b 出口管路
54 ハウジング
56 開閉部材
58 回転軸
60 スイングアーム
62 ブラケット
66 マイクロスイッチ
66a アクチュエータ
100 水供給装置
102 水供給管路
104 保持部
104 ミネラル源
106 ミネラル液供給管路
108 検知器