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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010441
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】結束バンド余長切断工具及び切断方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/18 20060101AFI20220107BHJP
   B26B 27/00 20060101ALI20220107BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
B65B13/18 F
B26B27/00 F
H02G1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111046
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000136686
【氏名又は名称】株式会社ブレスト工業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(72)【発明者】
【氏名】今野 洋一郎
【テーマコード(参考)】
3C061
3E052
5G352
【Fターム(参考)】
3C061AA02
3C061AA26
3C061BA30
3C061EE01
3E052AA07
3E052BA07
3E052KA20
3E052LA13
5G352AE05
(57)【要約】
【課題】結束バンドの余長部分を簡単な操作で切断することができ、例えば高所の結束バンドにおいても床側から遠隔操作で切断することができる結束バンド余長切断工具を提供する。
【解決手段】バンド部S1の両面側に近接対峙する一対の切り刃1を工具本体10に設ける。バンド部S1の両面を圧着自在に保持する一対の保持体2を工具本体10に設ける。工具本体10にバンド部S1を導入する導入部を設ける。切り刃1と保持体2との各間にバンド部S1を導入する。バンド部S1を保持体2で圧着保持して工具本体10を回転させる。バンド部S1が捩じられて切り刃1の間で切断されるように構成する。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結束バンドの余長部分を切断する結束バンド余長切断工具であって、結束バンドのロック部から突出したバンド部を切断する切り刃と、バンド部を保持する保持体と、を工具本体に備え、切り刃及び保持体にバンド部を導入する導入部が工具本体に設けられ、バンド部を保持体で保持して工具本体を回転させてバンド部を切断するように構成したことを特徴とする結束バンド余長切断工具。
【請求項2】
前記工具本体に、結束バンドのバンド部を側面から前記切り刃の間に導入する導入溝部が設けられた請求項1記載の結束バンド余長切断工具。
【請求項3】
前記導入溝部に沿って前記切り刃と前記保持体とを連設した請求項2記載の結束バンド余長切断工具。
【請求項4】
前記保持体は、前記バンド部の両面に圧着面を向けて開閉自在に対峙するように設けると共に、該保持体を開閉するクランク体を設け、該クランク体の操作で前記保持体に前記バンド部を保持するように構成した請求項1記載の結束バンド余長切断工具。
【請求項5】
前記工具本体は、操作ポールの先端に装着され、前記保持体を遠隔操作する紐状体を備えた請求項1記載の結束バンド余長切断工具。
【請求項6】
結束バンドのロック部から突出したバンド部を切断する切り刃と、バンド部を圧着自在に保持する保持体と、を工具本体に備え、切り刃及び保持体にバンド部を導入する導入部が設けられた工具本体を使用して結束バンドの余長部分を切断する結束バンド余長切断方法であって、バンド部を保持体で圧着保持する工程と、保持体で圧着保持した状態のまま工具本体を回転させる工程とにより、バンド部を捩じ切ることを特徴とする結束バンド余長切断方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結束バンドの余長部分を簡単な操作で切断することができ、例えば高所で使用されている結束バンドの余長部分を、床側から遠隔操作で切断することができる結束バンド余長切断工具及び切断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高所の位置で配線ケーブル等を結束する際に、遠隔操作で結束バンドを結束する工具が特許文献1に記載されている。この工具は、工具本体に結束バンドのロック部を固定し、結束バンドのバンド部を既存の把持工具で把持するもので、既存の把持工具を操作してロック部にバンド部を挿通して緊締する工具である。
【0003】
一方、結束バンドの余長部分を切断するバンド切断装置が特許文献2に記載されている。この切断装置は全体がピストル型を成し、手で握る握持部と、この握持部の上部から前方へ延びる銃身部と、拳銃の引き金に相当する操作レバーとを備えている。そして、結束バンドを締め付けた状態で操作レバーを引くとバンド部の余長部分が切断される構成である。
【0004】
合成樹脂材にて形成された結束バンドの構造は、部材を緊締するバンド部の基端側に、バンド部を係合固定するロック部を備えたものである。そのため、結束バンドを緊締するとロック部にて係合したバンド部の先が余長部分となって残ることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5295323号公報
【特許文献2】特開2018-30638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の工具では、遠隔操作で結束バンドを緊締するものであるが、緊締後のバンド部の余長部分はそのまま残されることになる。そのため、この余長部分が結束バンドのロック部から垂れ下がった状態になる。
【0007】
一方、特許文献2に記載のバンド切断装置は、結束バンドの余長部分を切断する装置である。ところが、この装置は、ピストル型を成した銃身部の引込み口の内部に結束バンドの余長部分を挿入し、拳銃の引き金に相当する操作レバーを引くことで切断する構成である。そのため、銃身部先端の小さな引込み口にバンド部の先端を導入するために、結束バンドの近くで操作する必要がある。したがって、高所で使用されている結束バンドの余長部分を切断するには、脚立などを使用して作業員が結束バンドの近くに行って切断することになる。
【0008】
そこで本発明は、従来の課題を解消すべく創出されたもので、結束バンドの余長部分を簡単な操作で切断することができ、例えば高所で緊締された結束バンドにおいてもバンド部の余長部分を床側から遠隔操作で切断することができる結束バンド余長切断工具及び切断方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、結束バンドSの余長部分を切断する結束バンド余長切断工具であって、結束バンドSのロック部S2から突出したバンド部S1を切断する切り刃1と、バンド部S1を圧着自在に保持する保持体2と、を工具本体10に備え、切り刃1及び保持体2にバンド部S1を導入する導入部が工具本体10に設けられ、バンド部S1を保持体2で保持して工具本体10を回転させてバンド部S1を切断するように構成したことにある。
【0010】
第2の手段は、前記工具本体10に、結束バンドSのバンド部S1を側面から前記切り刃1の間に導入する導入溝部11を設けたものである。
【0011】
第3の手段は、前記導入溝部11に沿って前記切り刃1と前記保持体2とを連設したものとする。
【0012】
第4の手段の前記保持体2は、前記バンド部S1の両面に圧着面を向けて開閉自在に対峙するように設けると共に、該保持体2を開閉するクランク体3を設け、該クランク体3の操作で前記保持体2に前記バンド部S1を保持するように構成している。
【0013】
第5の手段の前記工具本体10は、操作ポール30の先端に装着され、前記保持体2を遠隔操作する紐状体20を備えたものである。
【0014】
第6の手段は、結束バンドSのロック部S2から突出したバンド部S1を切断する切り刃1と、バンド部S1を圧着自在に保持する保持体2と、を工具本体10に備え、切り刃1及び保持体2にバンド部S1を導入する導入部が設けられた工具本体10を使用して結束バンドSの余長部分を切断する結束バンド切断方法であって、
バンド部S1を保持体2で圧着保持する工程と、保持体2で圧着保持した状態のまま工具本体10を回転させる工程とにより、バンド部S1を捩じ切る切断方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、結束バンドの余長部分を簡単な操作で切断することができる。したがって、例えば高所で緊締された結束バンドにおいてもバンド部の余長部分を床側からの簡単な操作で切断することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明工具の導入溝部にバンド部の余長部分を導入した斜視図である。
図2】本発明工具を結束バンドの切断位置に移動した視図である。
図3】本発明の保持体で結束バンドを固定した斜視図である。
図4】本発明工具を切断位置に移動した内部を示す正面図である。
図5】本発明の保持体で結束バンドを固定した内部を示す正面図である。
図6】本発明工具を回転させてバンド部を切断する状態を示す斜視図である。
図7】本発明工具でバンド部を切断した状態を示す斜視図である。
図8】本発明工具で結束バンドを切断する状態を示す概略平面図である。
図9】本発明工具の他の保持体を示す正面図である。
図10】本発明工具の他の保持体を示す正面図である。
図11】本発明工具を操作ポールに装着した状態を示す正面図である。
図12】本発明工具を操作ポールに装着した他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明切断工具は、緊締した結束バンドSのバンド部S1の余長部分を切断する結束バンド切断工具である。本発明の工具本体10は、切り刃1と保持体2とを備えている。
【0018】
切り刃1は、結束バンドSのロック部S2から突出したバンド部S1の幅広の両面側に近接対峙する一対の切断用部材である。この切り刃1は、バンド部S1の面の幅より長い刃先を両面に対して略平行になるように設置し、各切り刃1の間にバンド部S1が側面から挿入可能なぎりぎりの間隔に近接対峙している(図4参照)。
【0019】
保持体2は、切り刃1よりもバンド部S1の先端側に配置する一対の部材で、バンド部S1の両面を圧着自在に保持する。図示の保持体2は、バンド部S1の両面に圧着面を向けて開閉自在に対峙している(図4参照)。
【0020】
更に、この保持体2を開閉するクランク体3を設け、該クランク体3の操作で保持体2によりバンド部S1を圧着保持するように構成したものである(図4図5参照)。
【0021】
図示例では、スライダ3Cが移動してクランク体3を水平移動させる構成のクランク体3が設けられている(図4図5参照)。このクランク体3は、クランク3A、連接棒3B、スライダ3C、溝3Dを備えている。そして、揺動軸3Eを支点としてクランク3Aを下げるとスライダ3Cが移動してクランク体3を水平移動させる構成である。
【0022】
すなわち、開いた状態の一対の保持体2間にバンド部S1を挿通する(図4参照)。次に、この状態でクランク3Aを下げると、連接棒3Bが揺動軸3Eを支点として揺動し、この連接棒3Bに固定したスライダ3Cが溝3D内をスライド移動する(図5参照)。この溝3Dは、保持体2の内部に設けられたもので、保持体2の溝3D内をスライダ3Cが移動すると、対峙した保持体2の間隔が開閉する。
【0023】
このクランク体3は、特に図示例に限られるものではない。保持体2の間隔を開閉自在に保持する構成であれば任意に変更することができる。例えば、保持体2の上端側を開閉自在に設け、保持体2を同時に引き下げると保持体2の上端側が閉じてバンド部S1を保持する構成にすることができる(図9参照)。また、図9と同様の構成で、保持体2を設けた位置で圧着板体2Aの上端側が閉じるように構成してすることも可能である(図10参照)。このように、クランク体3の構造は任意に変更することができる。更に、後述する工具本体10を直接操作する場合には、クランク体3を使用せずに、保持体2を直接操作して開閉する構造に変更することも可能である(図示せず)。
【0024】
工具本体10には、切り刃1及び保持体2にバンド部S1を導入する導入部が設けられている。図示例では、切り刃1の間に、結束バンドSのバンド部S1を側面から導入する導入溝部11が設けられている。この導入溝部11にバンド部S1を導入すると、切り刃1間及び保持体2間にバンド部S1が導入されるように構成している。図示では、導入溝部11の開口側を広く形成し、導入溝部11の奥に進むほど狭くなるように形成している(図1参照)。そして、この導入溝部11に沿って導入したバンド部S1は、最後に連設した切り刃1と保持体2とのそれぞれの間に導入されるものである(図4参照)。また、この導入溝部11を設けずに切り刃1の上からバンド部S1を入れることも可能である。
【0025】
そして、バンド部S1を保持体2で圧着保持し(図5参照)、この状態で工具本体10を回転すると(図6参照)、バンド部S1に切れ目が入り、この切れ目が捩じられて切り刃1の間で切断されるように構成している(図7参照)。
【0026】
図8は、捩られたバンド部S1が切り刃1で切断される工程を示している。同図(イ)は、工具本体10の切り刃1間と保持体2間とにバンド部S1を挿通した状態である。このとき保持体2は、切り刃1の下面でバンド部S1を圧着保持している。
【0027】
次に、図8(ロ)は、バンド部S1を保持した状態で工具本体10を回転させている。この状態では、バンド部S1の切り刃1側のバンド部S1はロック部S2に固定されているので、保持体2に保持された側のバンド部S1から切り刃1方向のバンド部S1にかけてバンド部S1が捩れることになる。そうすると、切り刃1間で捩れたバンド部S1が、切り刃1に接した部分から次第に切断されて行く。
【0028】
最後に、図8(ハ)のごとく、工具本体10を回転させると、バンド部S1が切断されるものである。
【0029】
このように本発明では、工具本体10の導入溝部11にバンド部S1を導入して保持体2でバンド部S1を固定したまま工具本体10を回転させることで、極めて容易にバンド部S1の余長部分を切断することができる。
【0030】
また、工具本体10を操作ポール30の先端に装着すると、高所で緊締された結束バンドSにおいてもバンド部S1の余長部分を床側からの簡単な操作で切断することが可能になる(図11参照)。
【0031】
図示例では工具本体10を操作ポール30の先端に装着し、クランク体3を遠隔操作する紐状体20を備えたものである(図11参照)。この紐状体20は、操作環体40に長さ調整自在に巻き付けてあり、操作環体40を引き下げると工具本体10の連接棒3Bが下がるように設けている。
【0032】
また、工具本体10を、結束バンドSを結束する他の結束工具50に装着することも可能である(図12参照)。図示例では、操作ポール30の先端に装着された結束工具50の側面に装着した状態を示している。このように、結束バンドSを結束する結束工具50に工具本体10を装着することで、1本の操作ポール30の操作で結束バンドSの結束作業から余長切断作業までを合理的行うことが可能になる。
【0033】
次に、操作ポール30に装着した工具本体10を使用してバンド部S1の余長部分を切断する工程を説明する。まず、工具本体10の導入溝部11にバンド部S1を側面側から導入する(図1参照)。結束バンドSが高所で使用されていても、操作ポール30の操作で直線状のバンド部S1を工具本体10の導入溝部11に導入する作業は容易に行える作業になる。しかも、導入溝部11内に導入されたバンド部S1は、最終的に切り刃1と保持体2の各間に至るまで移動した状態になる。
【0034】
次に、操作ポール30を持ち上げて、工具本体10の切り刃1の位置を結束バンドSのロック部S2の位置に近づける(図2参照)。このとき、切り刃1は工具本体10の上端近くに設けてあるため、ロック部S2の近くまで切り刃1を移動することができる(図4参照)。
【0035】
切り刃1の位置を調整した後、紐状体20を引き下げて連接棒3Bを下げる(図3参照)。そうすると、クランク体3に連動した保持体2がバンド部S1の両面を圧着保持した状態になる(図5参照)。このように紐状体20を引き下げている間、保持体2がバンド部S1を保持することになる。
【0036】
そして、保持体2がバンド部S1を保持した状態で操作ポール30を操作し、工具本体10を一方向に回転させる(図6参照)。その結果、バンド部S1の余長部分が切断されるものである(図7参照)。
【0037】
尚、本発明の実施例は図示例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更は自由である。
【符号の説明】
【0038】
P 配線ケーブル
Q 支持金具
S 結束バンド
S1 バンド部
S2 ロック部
1 切り刃
2 保持体
2A 圧着板体
3 クランク体
3A クランク
3B 連接棒
3C スライダ
3D 溝
10 工具本体
11 導入溝部
20 紐状体
30 操作ポール
40 操作環体
50 結束工具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12