(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104428
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】プリントデータ生成装置及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20220701BHJP
B41J 2/36 20060101ALI20220701BHJP
B41J 2/325 20060101ALI20220701BHJP
B41J 2/525 20060101ALI20220701BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
G06F3/12 344
B41J2/36 Z
B41J2/325 C
B41J2/525
G06F3/12 308
G06F3/12 343
G06F3/12 350
G06F3/12 378
H04N1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】32
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219635
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】福地 功
(72)【発明者】
【氏名】南 明
(72)【発明者】
【氏名】西原 佳佑
【テーマコード(参考)】
2C065
2C066
2C262
5C062
【Fターム(参考)】
2C065AA01
2C065AB01
2C065AC02
2C065AD02
2C065AF01
2C065DC03
2C065DC23
2C065DC24
2C066AC01
2C066AD01
2C066AD03
2C066CZ08
2C262AA03
2C262AA16
2C262AB11
2C262BA18
2C262BA19
2C262BC19
2C262CA07
2C262EA11
2C262GA30
5C062AA05
5C062AB08
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC24
5C062AC58
(57)【要約】
【課題】背景部の状態に応じた適切な印刷物を作成できるプリントデータ生成装置及び印刷装置を提供する。
【解決手段】プリントデータ生成装置は印刷装置に画像を印刷させるためのプリントデータを生成する。印刷装置はプリントデータに基づきサーマルヘッドの発熱素子により感熱テープを加熱することで画像を印刷し、ラベルテープを作成する。感熱テープは基材と複数の感熱層とを有する。感熱テープの各層はいずれも透明性を有する。基材の第1面側には感熱層である第三感熱層が設けられる。第三感熱層は第三温度を超えた場合に第三色(イエロー)に発色する。プリントデータ生成装置は感熱テープに重ね合わされ、背景となる粘着テープ、被着体、背景ラベルテープ等の状態を判断する。プリントデータ生成装置は粘着テープ、被着体、背景ラベルテープ等の状態の判断結果に基づきプリントデータを生成する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明性を有する感熱基材と、前記感熱基材の第一面側に設けられ、透明性を有し第一温度以上に加熱されることで第一色に発色する第一感熱層とを含む感熱媒体に対してサーマルヘッドが有する発熱体を制御して画像を印刷することで印刷物を作成する印刷装置に対し、前記画像を印刷するためのプリントデータを生成し、前記印刷装置に前記プリントデータを伝達するプリントデータ生成装置であって、
前記感熱媒体に重ね合わされる背景部の状態を判断する判断部と、
前記判断部により判断された前記背景部の状態に基づき、前記プリントデータを生成する生成部と
を備えることを特徴とするプリントデータ生成装置。
【請求項2】
前記感熱媒体は、前記感熱基材と前記第一感熱層との間に設けられ、前記第一温度と異なる第二温度以上に加熱されることで前記第一色と異なる第二色に発色する第二感熱層を備えることを特徴とする請求項1に記載のプリントデータ生成装置。
【請求項3】
前記背景部の状態は、前記背景部の色を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のプリントデータ生成装置。
【請求項4】
前記背景部の状態は、前記印刷物が重ねられる被着体の色を含むことを特徴とする請求項3に記載のプリントデータ生成装置。
【請求項5】
前記印刷物は、前記感熱媒体に対して粘着媒体を、前記感熱媒体の前記第一面側及び前記第一面側とは反対側の何れか一方から貼り合わすことで構成され、
前記粘着媒体は、粘着基材と、前記粘着基材に設けられる粘着層とを含み、
前記背景部の状態は、前記粘着基材及び前記粘着層の少なくとも一方の色を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載のプリントデータ生成装置。
【請求項6】
前記生成部は、
前記判断部により判断された前記背景部の状態に基づき、前記プリントデータを生成する第一モードと、
前記判断部の判断に依らず、前記背景部の色を白色とした前記プリントデータを生成する第二モードとを有することを特徴とする請求項3~5の何れかに記載のプリントデータ生成装置。
【請求項7】
前記感熱媒体を加熱して発色させることで表現可能な第一色範囲を記憶する第一記憶部を更に備え、
前記生成部は、
前記第一記憶部が記憶する前記第一色範囲に、前記判断部が判断した前記背景部の色を反映した第二色範囲を合成する合成部と、
前記合成部が合成した前記第二色範囲に基づき、前記画像を印刷するための一時プリントデータを生成する一時プリントデータ生成部と、
前記第二色範囲に基づく前記一時プリントデータを前記第一色範囲に基づく前記プリントデータに変換する最終プリントデータ生成部と
を備えることを特徴とする請求項3~6の何れかに記載のプリントデータ生成装置。
【請求項8】
前記背景部は、前記印刷物が重ねられる領域に該当する印刷物背景部と、前記印刷物が重ねられた周辺の領域に該当する印刷物周辺背景部と、から成り、
前記印刷物背景部及び前記印刷物周辺背景部の少なくとも1つに基づき、前記プリントデータを生成することを特徴とする請求項3~6の何れかに記載のプリントデータ生成装置。
【請求項9】
前記背景部の情報を取得する取得部を備え、
前記判断部は、前記取得部が取得した前記背景部の情報に基づき、前記背景部の状態を判断することを特徴とする請求項1~8の何れかに記載のプリントデータ生成装置。
【請求項10】
前記取得部は、撮像機能を備えた外部端末装置により撮像された前記背景部の情報を取得することを特徴とする請求項9に記載のプリントデータ生成装置。
【請求項11】
作成する前記印刷物において画像データの範囲外である余白となる部分に、赤、青、緑、シアン、マゼンタ、イエロー、黒の少なくとも一色から構成される色を有するカラーパッチを付与した前記プリントデータを生成することを特徴とする請求項1~10の何れかに記載のプリントデータ生成装置。
【請求項12】
前記背景部は、予め作成された前記印刷物である背景印刷物を含むことを特徴とする請求項1~11の何れかに記載のプリントデータ生成装置。
【請求項13】
前記背景印刷物において印刷された第一画像の形状を記憶する第二記憶部を備え、
前記背景部の状態は、前記背景印刷物において印刷された前記第一画像の形状を含み、
前記判断部は、前記第二記憶部が記憶する前記第一画像の形状を判断することを特徴とする請求項12に記載のプリントデータ生成装置。
【請求項14】
前記判断部は、前記背景印刷物に重ね合わせる前記印刷物に印刷される第二画像の形状が、前記第一画像の形状に対応するか否かを判断する背景印刷物形状判断部を備え、
前記生成部は、前記背景印刷物形状判断部により、前記第二画像の形状が前記第一画像の形状に対応すると判断された場合、前記第二画像の形状を前記第一画像の形状に対して小さく設定した前記プリントデータを生成する形状設定生成部を備えることを特徴とする請求項13に記載のプリントデータ生成装置。
【請求項15】
前記背景印刷物の色を記憶する第三記憶部を備え、
前記背景部の状態は、前記背景印刷物の色を含み、
前記判断部は、前記第三記憶部が記憶する前記背景印刷物の色を判断する背景印刷物色判断部を備えることを特徴とする請求項12~14の何れかに記載のプリントデータ生成装置。
【請求項16】
前記生成部は、前記背景印刷物色判断部により判断された前記背景印刷物の色に基づき、前記感熱媒体を加熱して発色させる色を前記背景印刷物の色に近づくように設定した前記プリントデータを生成する色設定生成部を備えることを特徴とする請求項15に記載のプリントデータ生成装置。
【請求項17】
透明性を有する感熱基材と、前記感熱基材の第一面側に設けられ、透明性を有し第一温度以上に加熱されることで第一色に発色する第一感熱層とを含む感熱媒体に画像を印刷することで印刷物を作成する印刷装置であって、
発熱体を有するサーマルヘッドと、
前記感熱媒体に重ね合わされる背景部の状態を判断する判断部と、
前記判断部により判断された前記背景部の状態に基づき、前記画像を印刷する為のプリントデータを生成する生成部と、
生成された前記プリントデータに応じて前記発熱体の発熱量を制御して前記画像を前記感熱媒体に印刷する制御部とを備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項18】
前記感熱媒体は、前記感熱基材と前記第一感熱層との間に設けられ、前記第一温度と異なる第二温度以上に加熱されることで前記第一色と異なる第二色に発色する第二感熱層を備えることを特徴とする請求項17に記載の印刷装置。
【請求項19】
前記背景部の状態は、前記背景部の色を含むことを特徴とする請求項17又は18の何れかに記載の印刷装置。
【請求項20】
前記背景部の状態は、前記印刷物が重ねられる被着体の色を含むことを特徴とする請求項19に記載の印刷装置。
【請求項21】
前記印刷物は、前記感熱媒体に対して粘着媒体を、前記感熱媒体の前記第一面側及び前記第一面側とは反対側の何れか一方から貼り合わすことで構成され、
前記粘着媒体は、粘着基材と、前記粘着基材に設けられる粘着層とを含み、
前記背景部の状態は、前記粘着基材及び前記粘着層の少なくとも一方の色を含むことを特徴とする請求項19又は20に記載の印刷装置。
【請求項22】
前記生成部は、
前記判断部により判断された前記背景部の状態に基づき、前記プリントデータを生成する第一モードと、
前記判断部の判断に依らず、前記背景部の色を白色とした前記プリントデータを生成する第二モードとを有することを特徴とする請求項19~21の何れかに記載の印刷装置。
【請求項23】
前記感熱媒体を加熱して発色させることで表現可能な第一色範囲を記憶する第一記憶部を更に備え、
前記生成部は、
前記第一記憶部が記憶する前記第一色範囲に、前記判断部が判断した前記背景部の色を反映した第二色範囲を合成する合成部と、
前記合成部が合成した前記第二色範囲に基づき、前記画像を印刷するための一時プリントデータを生成する一時プリントデータ生成部と、
前記第二色範囲に基づく前記一時プリントデータを前記第一色範囲に基づく前記プリントデータに変換する最終プリントデータ生成部と
を備えることを特徴とする請求項19~22の何れかに記載の印刷装置。
【請求項24】
前記背景部は、前記印刷物が重ねられる領域に該当する印刷物背景部と、前記印刷物が重ねられた周辺の領域に該当する印刷物周辺背景部から成り、
前記印刷物背景部及び前記印刷物周辺背景部の少なくとも一方の色に基づき、前記プリントデータを生成することを特徴とする請求項19~23の何れかに記載の印刷装置。
【請求項25】
前記背景部の情報を取得する取得部を備え、
前記判断部は、前記取得部が取得した前記背景部の情報に基づき、前記背景部の状態を判断することを特徴とする請求項17~24の何れかに記載の印刷装置。
【請求項26】
前記取得部は、撮像機能を備えた外部端末装置により撮像された取得された前記背景部の情報を取得することを特徴とする請求項25に記載の印刷装置。
【請求項27】
作成する前記印刷物において画像データの範囲外である余白となる部分に、赤、青、緑、シアン、マゼンタ、イエロー、黒の少なくとも一色から構成される色を有するカラーパッチを付与した前記プリントデータを生成することを特徴とする請求項17~26の何れかに記載の印刷装置。
【請求項28】
前記背景部は、予め作成された前記印刷物である背景印刷物を含むことを特徴とする請求項17~27の何れかに記載の印刷装置。
【請求項29】
前記背景印刷物において印刷された第一画像の形状を記憶する第二記憶部を備え、
前記背景部の状態は、前記背景印刷物において印刷された前記第一画像の形状を含み、
前記判断部は、前記第二記憶部が記憶する前記第一画像の形状を判断することを特徴とする請求項28に記載の印刷装置。
【請求項30】
前記判断部は、前記背景印刷物に重ね合わせる前記印刷物に印刷される第二画像の形状が、前記第一画像の形状に対応するか否かを判断する背景印刷物形状判断部を備え、
前記生成部は、前記背景印刷物形状判断部により、前記第二画像の形状が前記第一画像の形状に対応すると判断された場合、前記第二画像の形状を前記第一画像の形状に対して小さく設定した前記プリントデータを生成する形状設定生成部を備えることを特徴とする請求項29に記載の印刷装置。
【請求項31】
前記背景印刷物の色を記憶する第三記憶部を備え、
前記背景部の状態は、前記背景印刷物の色を含み、
前記判断部は、前記第三記憶部が記憶する前記背景印刷物の色を判断する背景印刷物色判断部を備えることを特徴とする請求項28~30の何れかに記載の印刷装置。
【請求項32】
前記生成部は、前記背景印刷物色判断部により判断された前記背景印刷物の色に基づき、前記感熱媒体を加熱して発色させる色を前記背景印刷物の色に近づくように設定した前記プリントデータを生成する色設定生成部を備えることを特徴とする請求項31に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントデータ生成装置及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のプリント装置は、基材の上に複数の画像形成層が積層されて構成されるプリント媒体に、発熱素子から熱を付与することにより画像をプリントする。複数の画像形成層は熱が付与されることによって互いに異なる色を発色する。プリント装置は、複数の画像形成層の積層順序が互いに異なる複数種類のプリント媒体の種類に応じて、発熱素子を駆動するためのプリントデータを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プリント媒体において基材が色を有する場合がある。また、プリントされたプリント媒体が重ね合わされる被着体が色を有する場合がある。このような場合、特許文献1のプリント装置は基材及び被着体の色に依らずにプリントデータを生成するので、画像形成層が発色する色が基材及び被着体の色と混ざり、混色される。故に、印刷されたプリント媒体及び被着体に重ね合わされたプリント媒体がプリント装置の使用者にとって所望の色とならない可能性がある。
【0005】
また、印刷された複数のプリント媒体がプリント装置の使用者によって重ね合わされて使用される場合がある。第一のプリント媒体に第二のプリント媒体が重ね合わされる場合、第一のプリント媒体に付与される模様に対して、第二のプリント媒体に付与される模様の位置がずれた状態で重ね合わされる可能性がある。この場合、重ね合わされたプリント媒体の見栄えが損なわれる。このように、特許文献1のプリント装置では、背景となる基材、被着体、他のプリント媒体等の状態が勘案されずにプリントデータが生成されるので、使用者にとって所望のプリント媒体が得られない可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、背景部の状態に応じた適切な印刷物を作成できるプリントデータ生成装置及び印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一態様に係るプリントデータ生成装置は、透明性を有する感熱基材と、前記感熱基材の第一面側に設けられ、透明性を有し第一温度以上に加熱されることで第一色に発色する第一感熱層とを含む感熱媒体に対してサーマルヘッドが有する発熱体を制御して画像を印刷することで印刷物を作成する印刷装置に対し、前記画像を印刷するためのプリントデータを生成し、前記印刷装置に前記プリントデータを伝達するプリントデータ生成装置であって、前記感熱媒体に重ね合わされる背景部の状態を判断する判断部と、前記判断部により判断された前記背景部の状態に基づき、前記プリントデータを生成する生成部とを備えることを特徴とする。
【0008】
第一態様によれば、プリントデータ生成装置は背景部の状態に基づき、プリントデータを生成する。故に、プリントデータ生成装置は、印刷装置に当該プリントデータを伝達することで、背景部の状態に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0009】
本発明の第一態様に係るプリントデータ生成装置において、前記感熱媒体は、前記感熱基材と前記第一感熱層との間に設けられ、前記第一温度と異なる第二温度以上に加熱されることで前記第一色と異なる第二色に発色する第二感熱層を備えてもよい。この場合、プリントデータ生成装置は、感熱媒体が第二発色層を更に備えるので、第一色と第二色との組み合わせによる多様な色彩を有する画像を印刷するためのプリントデータを生成できる。
【0010】
本発明の第一態様に係るプリントデータ生成装置において、前記背景部の状態は、前記背景部の色を含んでもよい。この場合、プリントデータ生成装置は、背景部の色に基づきプリントデータを生成する。故に、プリントデータ生成装置は、印刷装置に当該プリントデータを伝達することで、背景部の色に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0011】
本発明の第一態様に係るプリントデータ生成装置において、前記背景部の状態は、前記印刷物が重ねられる被着体の色を含んでもよい。この場合、プリントデータ生成装置は、印刷物が重ねられる被着体の色に基づきプリントデータを生成する。故に、プリントデータ生成装置は、印刷装置に当該プリントデータを伝達することで、被着体の色に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0012】
本発明の第一態様に係るプリントデータ生成装置において、前記印刷物は、前記感熱媒体に対して粘着媒体を、前記感熱媒体の前記第一面側及び前記第一面側とは反対側の何れか一方から貼り合わすことで構成され、前記粘着媒体は、粘着基材と、前記粘着基材に設けられる粘着層とを含み、前記背景部の状態は、前記粘着基材及び前記粘着層の少なくとも一方の色を含んでもよい。この場合、プリントデータ生成装置は、感熱媒体に貼り合わせる粘着媒体が有する粘着基材及び粘着層の少なくとも一方の色に基づきプリントデータを生成する。故に、プリントデータ生成装置は、印刷装置に当該プリントデータを伝達することで、粘着基材又は粘着層の色に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0013】
本発明の第一態様に係るプリントデータ生成装置において、前記生成部は、前記判断部により判断された前記背景部の状態に基づき、前記プリントデータを生成する第一モードと、前記判断部の判断に依らず、前記背景部の色を白色とした前記プリントデータを生成する第二モードとを有してもよい。この場合、プリントデータ生成装置は、第二モードにおいて背景部の色を白色としたプリントデータを生成することができる。これにより、プリントデータ生成装置は、例えば、判断部が背景部の色を判断する必要がない場合に、該判断を省略してプリントデータを生成できる。故に、第二モードを実行するプリントデータ生成装置は第一モードにおいて判断部が背景部の色を判断する場合と比較して、処理を簡略化することもできる。
【0014】
本発明の第一態様に係るプリントデータ生成装置は、前記感熱媒体を加熱して発色させることで表現可能な第一色範囲を記憶する第一記憶部を更に備え、前記生成部は、前記第一記憶部が記憶する前記第一色範囲に、前記判断部が判断した前記背景部の色を反映した第二色範囲を合成する合成部と、前記合成部が合成した前記第二色範囲に基づき、前記画像を印刷するための一時プリントデータを生成する一時プリントデータ生成部と、前記第二色範囲に基づく前記一時プリントデータを前記第一色範囲に基づく前記プリントデータに変換する最終プリントデータ生成部とを備えてもよい。この場合、プリントデータ生成装置は、第一色範囲に背景部の色を反映した第二色範囲に基づき画像を印刷するための一時プリントデータを生成し、一時プリントデータから第一色範囲に基づくプリントデータに変換する。これにより、背景部の色によって印刷物の使用者が識別する色が変わることが抑制される。故に、プリントデータ生成装置は、印刷装置に当該プリントデータを伝達することで、背景部の色に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0015】
本発明の第一態様に係るプリントデータ生成装置において、前記背景部は、前記印刷物が重ねられる領域に該当する印刷物背景部と、前記印刷物が重ねられた周辺の領域に該当する印刷物周辺背景部と、から成り、前記印刷物背景部及び前記印刷物周辺背景部の少なくとも1つに基づき、前記プリントデータを生成してもよい。この場合、プリントデータ生成装置は、印刷物背景部及び印刷物周辺背景部の少なくとも一方の色に基づきプリントデータを生成する。これにより、印刷物背景部又は印刷物周辺背景部の色によって印刷物の使用者が識別する色が変わることが抑制される。故に、プリントデータ生成装置は、印刷装置に当該プリントデータを伝達することで、背景部の色に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0016】
本発明の第一態様に係るプリントデータ生成装置は、前記背景部の情報を取得する取得部を備え、前記判断部は、前記取得部が取得した前記背景部の情報に基づき、前記背景部の状態を判断してもよい。この場合、プリントデータ生成装置は、取得部が取得する背景部の情報に基づき、背景部の状態を判断する。これにより、作成された印刷物が背景部の状態に応じたものであるかを印刷物の使用者が繰り返し確認することが抑制される。故に、プリントデータ生成装置は、印刷装置に当該プリントデータを伝達することで、背景部の状態に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0017】
本発明の第一態様に係るプリントデータ生成装置において、前記取得部は、撮像機能を備えた外部端末装置により撮像された前記背景部の情報を取得してもよい。この場合、プリントデータ生成装置は、外部端末装置により撮像された背景部の情報を取得し、背景部の状態を判断する。これにより、印刷物の使用者が簡単に背景部の情報をプリントデータ生成装置に提供できるので、プリントデータ生成装置の利便性が向上する。
【0018】
本発明の第一態様に係るプリントデータ生成装置において、前記生成部は、作成する前記印刷物において画像データの範囲外である余白となる部分に、赤、青、緑、シアン、マゼンタ、イエロー、黒の少なくとも一色から構成される色を有するカラーパッチを付与した前記プリントデータを生成してもよい。この場合、プリントデータ生成装置は、印刷物の余白となる部分に色の基準となるカラーパッチを付与したプリントデータを生成する。これにより、プリントデータ生成装置は背景部の色とカラーパッチの色を同時に取得することで、相対的な色の変化を把握できる。故に、プリントデータ生成装置はより正確な背景色を加味してプリントデータを生成することができる。
【0019】
本発明の第一態様に係るプリントデータ生成装置において、前記背景部は、予め作成された前記印刷物である背景印刷物を含んでもよい。この場合、プリントデータ生成装置は、背景印刷物に重ね合わせる印刷物を作成する場合に、背景印刷物の状態に基づきプリントデータを生成する。故に、プリントデータ生成装置は、印刷装置に当該プリントデータを伝達することで、背景印刷物の状態に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0020】
本発明の第一態様に係るプリントデータ生成装置は、前記背景印刷物において印刷された第一画像の形状を記憶する第二記憶部を備え、前記背景部の状態は、前記背景印刷物において印刷された前記第一画像の形状を含み、前記判断部は、前記第二記憶部が記憶する前記第一画像の形状を判断してもよい。この場合、プリントデータ生成装置は、背景印刷物において印刷された第一画像の形状に基づきプリントデータを生成する。故に、プリントデータ生成装置は、印刷装置に当該プリントデータを伝達することで、第一画像の形状に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0021】
本発明の第一態様に係るプリントデータ生成装置において、前記判断部は、前記背景印刷物に重ね合わせる前記印刷物に印刷される第二画像の形状が、前記第一画像の形状に対応するか否かを判断する背景印刷物形状判断部を備え、前記生成部は、前記背景印刷物形状判断部により、前記第二画像の形状が前記第一画像の形状に対応すると判断された場合、前記第二画像の形状を前記第一画像の形状に対して小さく設定した前記プリントデータを生成する形状設定生成部を備えてもよい。この場合、プリントデータ生成装置は、背景印刷物において印刷された第一画像の形状に基づき、第二画像の形状を第一画像の形状に対して小さく設定したプリントデータを生成する。これにより、背景印刷物と作成する印刷物とを重ね合わせる場合に、第一画像と第二画像との位置とのずれが許容されやすい。
【0022】
本発明の第一態様に係るプリントデータ生成装置は、前記背景印刷物の色を記憶する第三記憶部を備え、前記背景部の状態は、前記背景印刷物の色を含み、前記判断部は、前記第三記憶部が記憶する前記背景印刷物の色を判断する背景印刷物色判断部を備えてもよい。この場合、プリントデータ生成装置は、背景印刷物の色に基づきプリントデータを生成する。故に、プリントデータ生成装置は、印刷装置に当該プリントデータを伝達することで、背景印刷物の色に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0023】
本発明の第一態様に係るプリントデータ生成装置において、前記生成部は、前記背景印刷物色判断部により判断された前記背景印刷物の色に基づき、前記感熱媒体を加熱して発色させる色を前記背景印刷物の色に近づくように設定した前記プリントデータを生成する色設定生成部を備えてもよい。この場合、プリントデータ生成装置は、感熱媒体を加熱して発色させる色を背景印刷物の色に近づけるように設定したプリントデータを生成する。これにより、作成した印刷物の色と背景印刷物の色との色差が抑えられ、背景印刷物と作成する印刷物とを重ね合わせる場合に、見栄えを損ないにくい。
【0024】
本発明の第二態様に係る印刷装置は、透明性を有する感熱基材と、前記感熱基材の第一面側に設けられ、透明性を有し第一温度以上に加熱されることで第一色に発色する第一感熱層とを含む感熱媒体に画像を印刷することで印刷物を作成する印刷装置であって、発熱体を有するサーマルヘッドと、前記感熱媒体に重ね合わされる背景部の状態を判断する判断部と、前記判断部により判断された前記背景部の状態に基づき、前記画像を印刷する為のプリントデータを生成する生成部と、生成された前記プリントデータに応じて前記発熱体の発熱量を制御して前記画像を前記感熱媒体に印刷する制御部とを備えることを特徴とする。第二態様によれば、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0025】
本発明の第二態様に係る印刷装置において、前記感熱媒体は、前記感熱基材と前記第一感熱層との間に設けられ、前記第一温度と異なる第二温度以上に加熱されることで前記第一色と異なる第二色に発色する第二感熱層を備えてもよい。この場合、印刷装置は、感熱媒体が第二発色層を更に備えるので、第一色と第二色との組み合わせによる多様な色彩を有する画像を印刷できる。
【0026】
本発明の第二態様に係る印刷装置において、前記背景部の状態は、前記背景部の色を含んでもよい。この場合、印刷装置は、背景部の色に基づきプリントデータを生成し、当該プリントデータに応じて発熱体の発熱量を制御して画像を印刷する。故に、印刷装置は背景部の色に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0027】
本発明の第二態様に係る印刷装置において、前記背景部の状態は、前記印刷物が重ねられる被着体の色を含んでもよい。この場合、印刷装置は、印刷物が重ねられる被着体の色に基づきプリントデータを生成し、当該プリントデータに応じて発熱体の発熱量を制御して画像を印刷する。故に、印刷装置は被着体の色に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0028】
本発明の第二態様に係る印刷装置において、前記印刷物は、前記感熱媒体に対して粘着媒体を、前記感熱媒体の前記第一面側及び前記第一面側とは反対側の何れか一方から貼り合わすことで構成され、前記粘着媒体は、粘着基材と、前記粘着基材に設けられる粘着層とを含み、前記背景部の状態は、前記粘着基材及び前記粘着層の少なくとも一方の色を含んでもよい。この場合、印刷装置は、感熱媒体に貼り合わせる粘着媒体が有する粘着基材及び粘着層の少なくとも一方の色に基づきプリントデータを生成し、当該プリントデータに応じて発熱体の発熱量を制御して画像を印刷する。故に、印刷装置は粘着基材又は粘着層の色に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0029】
本発明の第二態様に係る印刷装置において、前記生成部は、前記判断部により判断された前記背景部の状態に基づき、前記プリントデータを生成する第一モードと、前記判断部の判断に依らず、前記背景部の色を白色とした前記プリントデータを生成する第二モードとを有してもよい。この場合、印刷装置は、第二モードにおいて背景部の色を白色としたプリントデータを生成することができる。これにより、印刷装置は、例えば、判断部が背景部の色を判断する必要がない場合に、該判断を省略してプリントデータを生成できる。故に、第二モードを実行する印刷装置は第一モードにおいて判断部が背景部の色を判断する場合と比較して、処理を簡略化することもできる。
【0030】
本発明の第二態様に係る印刷装置は、前記感熱媒体を加熱して発色させることで表現可能な第一色範囲を記憶する第一記憶部を更に備え、前記生成部は、前記第一記憶部が記憶する前記第一色範囲に、前記判断部が判断した前記背景部の色を反映した第二色範囲を合成する合成部と、前記合成部が合成した前記第二色範囲に基づき、前記画像を印刷するための一時プリントデータを生成する一時プリントデータ生成部と、前記第二色範囲に基づく前記一時プリントデータを前記第一色範囲に基づく前記プリントデータに変換する最終プリントデータ生成部とを備えてもよい。この場合、印刷装置は、第一色範囲に背景部の色を反映した第二色範囲に基づき画像を印刷するための一時プリントデータを生成し、一時プリントデータから第一色範囲に基づくプリントデータに変換する。これにより、背景部の色によって印刷物の使用者が識別する色が変わることが抑制される。故に、印刷装置は背景部の色に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0031】
本発明の第二態様に係る印刷装置において、前記背景部は、前記印刷物が重ねられる領域に該当する印刷物背景部と、前記印刷物が重ねられた周辺の領域に該当する印刷物周辺背景部から成り、前記印刷物背景部及び前記印刷物周辺背景部の少なくとも一方の色に基づき、前記プリントデータを生成してもよい。この場合、印刷装置は、印刷物背景部及び印刷物周辺背景部の少なくとも一方の色に基づきプリントデータを生成し、当該プリントデータに応じて発熱体の発熱量を制御して画像を印刷する。これにより、印刷物背景部又は印刷物周辺背景部の色によって印刷物の使用者が識別する色が変わることが抑制される。故に、印刷装置は背景部の色に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0032】
本発明の第二態様に係る印刷装置において、前記背景部の情報を取得する取得部を備え、前記判断部は、前記取得部が取得した前記背景部の情報に基づき、前記背景部の状態を判断してもよい。この場合、印刷装置は、取得部が取得する背景部の情報に基づき、背景部の状態を判断する。これにより、作成された印刷物が背景部の状態に応じたものであるかを印刷物の使用者が繰り返し確認することが抑制される。故に、印刷装置は背景部の状態に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0033】
本発明の第二態様に係る印刷装置において、前記取得部は、撮像機能を備えた外部端末装置により撮像された取得された前記背景部の情報を取得してもよい。この場合、印刷装置は、外部端末装置により撮像された背景部の情報を取得し、背景部の状態を判断する。これにより、印刷物の使用者が簡単に背景部の情報を印刷装置に提供できるので、印刷装置の利便性が向上する。
【0034】
本発明の第二態様に係る印刷装置において、前記生成部は、作成する前記印刷物において画像データの範囲外である余白となる部分に、赤、青、緑、シアン、マゼンタ、イエロー、黒の少なくとも一色から構成される色を有するカラーパッチを付与した前記プリントデータを生成してもよい。この場合、印刷装置は、印刷物の余白となる部分に色の基準となるカラーパッチを付与したプリントデータを生成する。これにより、印刷装置は背景部の色とカラーパッチの色を同時に取得することで、相対的な色の変化を把握できる。故に、印刷装置はより正確な背景色を加味してプリントデータを生成することができる。
【0035】
本発明の第二態様に係る印刷装置において、前記背景部は、予め作成された前記印刷物である背景印刷物を含んでもよい。この場合、印刷装置は、背景印刷物に重ね合わせる印刷物を作成する場合に、背景印刷物の状態に基づきプリントデータを生成し、当該プリントデータに応じて発熱体の発熱量を制御して画像を印刷する。故に、印刷装置は背景印刷物の状態に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0036】
本発明の第二態様に係る印刷装置は、前記背景印刷物において印刷された第一画像の形状を記憶する第二記憶部を備え、前記背景部の状態は、前記背景印刷物において印刷された前記第一画像の形状を含み、前記判断部は、前記第二記憶部が記憶する前記第一画像の形状を判断してもよい。この場合、印刷装置は、背景印刷物において印刷された第一画像の形状に基づきプリントデータを生成し、当該プリントデータに応じて発熱体の発熱量を制御して画像を印刷する。故に、印刷装置は第一画像の形状に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0037】
本発明の第二態様に係る印刷装置において、前記判断部は、前記背景印刷物に重ね合わせる前記印刷物に印刷される第二画像の形状が、前記第一画像の形状に対応するか否かを判断する背景印刷物形状判断部を備え、前記生成部は、前記背景印刷物形状判断部により、前記第二画像の形状が前記第一画像の形状に対応すると判断された場合、前記第二画像の形状を前記第一画像の形状に対して小さく設定した前記プリントデータを生成する形状設定生成部を備えてもよい。この場合、印刷装置は、背景印刷物において印刷された第一画像の形状に基づき、第二画像の形状を第一画像の形状に対して小さく設定したプリントデータを生成し、当該プリントデータに応じて発熱体の発熱量を制御して画像を印刷する。これにより、背景印刷物と作成する印刷物とを重ね合わせる場合に、第一画像と第二画像との位置とのずれが許容されやすい。故に、印刷装置は第一画像の形状に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0038】
本発明の第二態様に係る印刷装置は、前記背景印刷物の色を記憶する第三記憶部を備え、前記背景部の状態は、前記背景印刷物の色を含み、前記判断部は、前記第三記憶部が記憶する前記背景印刷物の色を判断する背景印刷物色判断部を備えてもよい。この場合、印刷装置は、背景印刷物の色に基づきプリントデータを生成し、当該プリントデータに応じて発熱体の発熱量を制御して画像を印刷する。故に、印刷装置は背景印刷物の色に応じた適切な印刷物を作成できる。
【0039】
本発明の第二態様に係る印刷装置において、前記生成部は、前記背景印刷物色判断部により判断された前記背景印刷物の色に基づき、前記感熱媒体を加熱して発色させる色を前記背景印刷物の色に近づくように設定した前記プリントデータを生成する色設定生成部を備えてもよい。この場合、印刷装置は、感熱媒体を加熱して発色させる色を背景印刷物の色に近づけるように設定したプリントデータを生成し、当該プリントデータに応じて発熱体の発熱量を制御して画像を印刷する。これにより、作成した印刷物の色と背景印刷物の色との色差が抑えられ、背景印刷物と作成する印刷物とを重ね合わせる場合に、見栄えを損ないにくい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図2】感熱テープ4、粘着テープ7、およびラベルテープ9を示す斜視図である。
【
図4】ラベルテープ9に
図3の画像が印刷された場合の視覚効果を示す図である。
【
図5】ラベルテープ9の画像90の色と周囲領域13の色との視覚効果を説明する図である。
【
図8】背景ラベルテープ8の状態に応じて補正する場合の重ね貼りラベル6を説明する図である。
【
図9】プリントデータ生成装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図10】印刷装置20の電気的構成を示すブロック図である。
【
図11】プリントデータ生成装置1が実行するプリントデータ生成処理のフローチャートである。
【
図12】
図11の続きを示すプリントデータ生成処理のフローチャートである。
【
図13】
図12の続きを示すプリントデータ生成処理のフローチャートである。
【
図14】プリントデータ生成処理で実行される合成色範囲処理のフローチャートである。
【
図15】プリントデータ生成処理で実行される重ね貼り用処理のフローチャートである。
【
図16】印刷装置20が実行するラベルテープ作成処理のフローチャートである。
【
図17】背景の模様に応じて作成されるラベルテープ9を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、制御等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0042】
以下では、
図1の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、および下側をそれぞれ印刷装置20、テープカセット30の前側、後側、右側、左側、上側、および下側とする。
【0043】
<印刷システム100の構成>
図1に示すように、印刷システム100はプリントデータ生成装置1と印刷装置20とを備える。プリントデータ生成装置1は汎用のパーソナルコンピュータである。プリントデータ生成装置1と印刷装置20とは無線通信99にて双方向に通信できる。
【0044】
プリントデータ生成装置1はラベルテープ9を作成する為のプリントデータを生成する。印刷装置20は無線通信99を介して受信したプリントデータに基づき、テープカセット30を使用して、感熱テープ4(
図2参照)に画像90(文字、図形、記号等)を印刷する。印刷された感熱テープ4に粘着テープ7(
図2参照)が貼り合わされることで、ラベルテープ9が作成される。作成されたラベルテープ9は壁、台紙等の被着体11(
図5参照)、予め作成された別のラベルテープ9に貼り付けられて使用される。
【0045】
<印刷装置20の機械的構成>
印刷装置20は汎用のサーマルプリンタである。印刷装置20は本体カバー22を備える。本体カバー22は箱状である。本体カバー22の上面後部にはカセットカバー26が設けられる。カセットカバー26は装着部28を上側から開閉可能に覆う。ユーザはテープカセット30の交換時にカセットカバー26を開閉する。本体カバー22の左面後部には排出スリット(図示略)が設けられる。排出スリットはラベルテープ9を印刷装置20の外部に排出する。
【0046】
装着部28はテープカセット30に対応した形状で本体カバー22の上面から下方に凹む。装着部28にはテープカセット30が着脱可能に装着される。テープカセット30はカセットケース31を有する。カセットケース31は略直方体状であり、内部に感熱テープ4および粘着テープ7を収容する。
【0047】
カセットケース31の前面には指標部32が設けられる。指標部32は孔部および面部からなる。指標部32は孔部および面部の位置と数により、テープカセット30が収容する感熱テープ4または粘着テープ7のテープ情報を示す。本実施形態におけるテープ種類は、粘着テープ7の色の情報、粘着テープ7の透明性の情報、感熱テープ4に用いられる薬品の種類の情報を含む。
【0048】
カセットケース31の左前角部には搬送ローラ(図示略)が上下方向の軸周りに回転可能に設けられる。搬送ローラは感熱テープ4および粘着テープ7の搬送経路に設けられ、後述の可動ローラとの間で感熱テープ4および粘着テープ7を挟む。
【0049】
装着部28には検出部29(
図10参照)、サーマルヘッド10(
図10参照)、可動ローラ(図示略)が設けられる。検出部29は装着部28に装着されたテープカセット30における指標部32の孔部および面部の位置と数とを検出する。印刷装置20は検出部29の検出結果に基づき、テープ種類を特定する。
【0050】
サーマルヘッド10は感熱テープ4の搬送方向に直交する方向に一列に並ぶ複数の発熱素子(図示略)を備える。サーマルヘッド10は感熱テープ4を加熱することによって色素を発色させ、ドットを形成することができる。印刷装置20はプリントデータ生成装置1が生成したプリントデータに基づき、感熱テープ4を搬送させながら、複数の発熱素子による感熱テープ4の加熱を間欠的に複数回行う。これにより、感熱テープ4に画像90が印刷される。
【0051】
可動ローラは上下方向の軸周りに回転可能に設けられる。可動ローラは待機位置と印刷位置とに移動できる。可動ローラはカセットカバー26が開放されると、待機位置に向けて移動し、カセットカバー26が閉鎖されると、印刷位置に向けて移動するように構成される。待機位置では、可動ローラが装着部28から離れる方向に移動し、ユーザはテープカセット30を装着部28に着脱できる。印刷位置では、可動ローラは搬送ローラと対向して押圧する。
【0052】
印刷された感熱テープ4および粘着テープ7は搬送ローラと可動ローラの間との間を通過する。可動ローラは感熱テープ4と粘着テープ7とが重ね合わされた状態で、搬送ローラとの間で挟んで感熱テープ4と粘着テープ7とを貼り合わせる。これにより、ラベルテープ9が作成される。その後、ラベルテープ9はテープカセット30の外部に排出され、切断機構(図示略)により切断される。切断されたラベルテープ9は本体カバー22の排出スリットから印刷装置20の外部へと排出される。
【0053】
<感熱テープ4の構成>
以下では、
図2の上側および下側をそれぞれ各テープの上側および下側とする。
図2(A)に示すように、感熱テープ4は長尺状の媒体であり、複数の層が積層されて構成される。詳細には感熱テープ4は基材41と複数の感熱層42と複数の遮熱層43とオーバーコート層44(以下、総称して「感熱テープ4の各層」ともいう。)とを有する。本実施形態では複数の感熱層42は第一感熱層421と第二感熱層422と第三感熱層423とを含む。複数の遮熱層43は第一遮熱層431と第二遮熱層432とを含む。
【0054】
基材41、第一感熱層421、第一遮熱層431、第二感熱層422、第二遮熱層432、第三感熱層423、およびオーバーコート層44は、この順で感熱テープ4の下側から順に感熱テープ4の厚み方向(
図2(A)の上下方向)に並んで積層される。つまり、オーバーコート層44は複数の感熱層42に対して基材41とは反対側、詳細には感熱テープ4の上面に設けられる。以下、基材41の第一感熱層421が積層する面を第1面という。
【0055】
基材41は樹脂フィルムであり、詳細には無発泡ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである。つまり、基材41の内部には気泡が含まれていない。
【0056】
複数の感熱層42の各層は、各層に応じた発色温度に加熱されることで、各層に応じた色を発色する。複数の感熱層42には例えば特開2008-6830号公報に記載の薬品が用いられる。
【0057】
第一感熱層421は第一遮熱層431の下面に薬品が塗布されることで膜状に形成される。第一感熱層421は第一温度を超えた場合に第一色に発色する。本実施形態では第一色はシアンである。
【0058】
第二感熱層422は第二遮熱層432の下面に薬品が塗布されることで膜状に形成される。第二感熱層422は第二温度を超えた場合に第二色に発色する。第二温度は第一温度よりも高い。本実施形態では第二色はマゼンタである。
【0059】
第三感熱層423は第二遮熱層432の上面に薬品が塗布されることで膜状に形成される。第三感熱層423は第三温度を超えた場合に第三色に発色する。第三温度は第二温度よりも高い。本実施形態では第三色はイエローである。
【0060】
感熱テープ4において、第一色がシアンであり、第二色がマゼンタであり、第三色がイエローである。つまり、第一感熱層421、第二感熱層422、および第三感熱層423は色の三原色を発色する。感熱テープ4では複数の感熱層42の発色により色の三原色を組み合わせることで多くの色を表現(カラー表示)できる。
【0061】
複数の遮熱層43はシート状である。複数の遮熱層43の熱伝導性は低いので、複数の遮熱層43は熱伝導に対して抵抗として作用する。遮熱層43の作用によって、感熱テープ4はサーマルヘッド10により加熱される際に、第一感熱層421の温度を第一温度より高く且つ第二温度よりも低い温度に、第二感熱層422の温度を第二温度よりも高く且つ第三温度よりも低い温度に、第三感熱層423の温度を第三温度よりも高い温度に、それぞれ意図的に制御することが可能となる。
【0062】
オーバーコート層44は第三感熱層423の上面にコーティングされることで膜状に形成される。オーバーコート層44は基材41とは反対側(つまり、感熱テープ4の上面側)から複数の感熱層42を保護する。
【0063】
感熱テープ4は全体として感熱テープ4の厚み方向に可視光透過性(透明性)を有する。つまり、感熱テープ4の各層はいずれも透明性を有する。基材41の可視光透過率(%)は、複数の感熱層42、複数の遮熱層43、およびオーバーコート層44の少なくともいずれかの可視光透過率と同じでもよいし、いずれの可視光透過率とも異なっていてもよい。感熱テープ4の各層の可視光透過率は例えば90%以上であり、好ましくは99%以上であり、より好ましくは99.9%以上である。感熱テープ4の各層の透明性は、感熱テープ4の各層の可視光透過率が90%未満であったとしても、少なくとも感熱層42での発色を基材41を介してユーザが視認できる程度であればよい。感熱テープ4の各層はいずれも透明または半透明であり、好ましくは透明である。
【0064】
<粘着テープ7の構成>
図2(B)に示すように、粘着テープ7は長尺状の媒体であり、複数の層が積層されて構成される。詳細には粘着テープ7は両面粘着テープ71と剥離紙75とを備える。両面粘着テープ71は例えば半透明マゼンタであり、基材72と第一粘着層73と第二粘着層74とを有する。基材72は半透明マゼンタである。なお、
図2(B)では基材72(両面粘着テープ71)が半透明マゼンタであることを斜線を用いて図示する(
図2(C)も同様)。本実施形態では基材72の可視光透過率は感熱テープ4の各層のいずれの可視光透過率よりも低い。
【0065】
第一粘着層73は基材72の下面に設けられる。第二粘着層74は基材72の上面に設けられる。つまり、両面粘着テープ71は基材72の上下両面に粘着剤が塗布されることで構成される。本実施形態では第一粘着層73および第二粘着層74は透明または半透明である。
【0066】
剥離紙75は第二粘着層74を介して両面粘着テープ71に貼り合わされる。剥離紙75には切れ目76が設けられる。切れ目76は粘着テープ7の長手方向に延び、剥離紙75を短手方向に2つに分断する。なお、切れ目76は両面粘着テープ71の一部にも入り込んでいるが、第一粘着層73には達していない。つまり、基材72は切れ目76を跨いで一続きに繋がっている。換言すれば、両面粘着テープ71は切れ目76を跨いで一続きに繋がっている。
【0067】
<ラベルテープ9の構成>
図2(C)に示すように、ラベルテープ9は、印刷された感熱テープ4の上面に粘着テープ7の下面が貼り合わされることで構成される。このため、ラベルテープ9では、基材41、第一感熱層421、第一遮熱層431、第二感熱層422、第二遮熱層432、第三感熱層423、オーバーコート層44、第一粘着層73、基材72、第二粘着層74、および剥離紙75が、この順で厚み方向に並んで積層される。
【0068】
ユーザはラベルテープ9を基材41側(つまり、ラベルテープ9の下面側)から見る(目視方向Y1参照)。感熱テープ4が全体として可視光透過性を有するので、ラベルテープ9を基材41側からユーザが見ると、複数の感熱層42の各層の発色(つまり、印刷された画像90)を基材41を介して見ることができ、且つ粘着テープ7が背景として見える。
【0069】
本実施形態では両面粘着テープ71が半透明マゼンタなので、ユーザがラベルテープ9を基材41側から見ると、背景が半透明マゼンタに見える。例えば、
図3の画像を何らの補正をかけずに感熱テープ4に印刷し、粘着テープ7と貼り合わせると、ラベルテープ9において
図3の画像の色に両面粘着テープ71のマゼンタが合成されて、ユーザは
図4の画像のように視覚する。
【0070】
ユーザは例えば剥離紙75を両面粘着テープ71から剥離して所定の被着体11(壁、台紙等)、予め作成された別のラベルテープ9等に貼り付けて、ラベルテープ9を使用できる。以下、予め作成された別のラベルテープ9を背景ラベルテープ8という。背景ラベルテープ8の上面にラベルテープ9を貼り付けたものを、重ね貼りラベル6という。
【0071】
被着体11が着色されている場合、
図4の画像の色に被着体11の色がさらに合成されて視覚される。このように、両面粘着テープ71、被着体11等の背景の色(以下、背景色という。)が合成され、
図3の画像を所望するユーザにとって貼り付けられたラベルテープ9の色が所望の色とならない可能性がある。
【0072】
ユーザが識別するラベルテープ9の画像90の色は、ラベルテープ9の画像90以外の領域(以下、重畳領域12という。)の色、およびラベルテープ9の周囲(以下、周囲領域13という。)の色によって変化する。第一実施形態における重畳領域12の色は粘着テープ7の色と被着体11の色とが合成された色である。第一実施形態における周囲領域13の色は被着体11の色である。
【0073】
例えば、
図5(A)に示すように、重畳領域12の色が白色で、ラベルテープ9の画像90と周囲領域13の色とが同色または同色に近い関係である場合、ユーザに画像90が曖昧であるように視覚される可能性がある。また、
図5(B)に示すように、重畳領域12の色が白色で、ラベルテープ9の画像90と周囲領域13の色とが補色または補色に近い関係である場合、ユーザに画像90が過剰に強調されるように視覚される可能性がある。
【0074】
<背景色に応じて補正するプリントデータの生成>
プリントデータ生成装置1では、背景色に応じたプリントデータを生成し、印刷装置20にプリントデータを伝達する。印刷装置20が受信したプリントデータに基づき印刷することで、ユーザは背景色に応じた所望のラベルテープ9を作成できる。
【0075】
印刷装置20が感熱テープ4を発色させて表現可能な色範囲は、複数の感熱層42に用いられる薬品の種類、サーマルヘッド10が備える発熱素子の電気抵抗率、発熱素子に印加する電流等の条件により決められている(
図6(A)の一点鎖線で示す範囲)。以下、印刷装置20が感熱テープ4を用いて印刷する場合の表現可能な色範囲を装置色範囲という。なお、
図6において、「Y」はイエローを示し、「R」は赤色を示し、「M」はマゼンタを示し、「B」は青色を示し、「C」はシアンを示し、「G」は緑色を示す。
図6において、各頂点に近づくほど原色に近くなり(彩度が高くなり)、中心に近づくほど黒色に近くになる(彩度が低くなる)。
【0076】
プリントデータ生成装置1は背景色の情報を取得し、装置色範囲に取得した背景色を反映した色範囲を決定する(
図6(B)の二点鎖線で示す範囲)。
図6(B)では背景色としてマゼンタを装置色範囲に反映した場合の色範囲を示す。
【0077】
プリントデータ生成装置1は印刷する画像の色、重畳領域12の色、および周囲領域13の色の関係に基づき、背景色を反映した色範囲を補正する。例えば、プリントデータ生成装置1は背景色を反映した色範囲に対して周囲領域13の色とが同色または同色に近い関係の色の彩度を高くするように色範囲を補正する。プリントデータ生成装置1は背景色を反映した色範囲に対して周囲領域13の色とが補色または補色に近い関係の色の彩度を低くするように色範囲を補正する(
図6(C)の破線で示す範囲)。
【0078】
このように、装置色範囲に対して背景色を反映し、印刷する画像の色、重畳領域12の色、および周囲領域13の色の関係に基づき補正された色範囲を合成色範囲という。合成色範囲は装置色範囲と背景色との組み合わせでユーザに視覚される色範囲である。
【0079】
プリントデータ生成装置1は印刷する画像を構成する各画素の色を合成色範囲に変換したドットデータを生成することで、一時プリントデータを生成する。
図6(D)に一時プリントデータのドットデータP1の色を示す。プリントデータ生成装置1は合成色範囲に対応付けられた一時プリントデータの各ドットデータを装置色範囲に変換することで、感熱テープ4の各ドットが発色する色を決定する。これにより、印刷装置20に送信されるプリントデータが生成される。
図6(E)では、一時プリントデータのドットデータP1の色が装置色範囲にドットデータP2に変換され、感熱テープ4にて発色する色が決定される。
【0080】
<重ね貼りラベル6>
重ね貼りラベル6を作成する場合においても、背景となる背景ラベルテープ8の状態により、ユーザにとって所望の重ね貼りラベル6とならない可能性がある。
図7(A)に示す一例において、重ね貼りラベル6は背景ラベルテープ8に、上側から剥離紙75が剥離されたラベルテープ9が重ねられ、貼り付けられて作成される。説明を簡単にするため、ラベルテープ9で印刷されていない領域(画像90以外の領域)、および背景ラベルテープ8で印刷されていない領域(後述の背景画像80以外の領域)は無色透明であるものとする(
図7(B)、
図8も同様)。
【0081】
背景ラベルテープ8の感熱テープ4には、サーマルヘッド10の加熱によってイエローの星形である背景画像80が印刷されている。ラベルテープ9の感熱テープ4には、サーマルヘッド10の加熱によって青色の星形である画像90が印刷されている。
【0082】
本実施形態において、画像90と背景画像80とは色彩が異なるだけで、大きさと形は同じである。本実施形態において、画像90と背景画像80とが色彩を除いて一致する場合、および画像90を拡大または縮小することで画像90と背景画像80とが色彩を除いて一致する場合の何れかの場合、画像90の形状は背景画像80の形状と対応するという。
【0083】
重ね貼りラベル6の画像60は背景ラベルテープ8の背景画像80と、ラベルテープ9の画像90とが重ね合わされて構成される。ラベルテープ9の画像90以外の領域は無色透明であり、ユーザはラベルテープ9を介して下側の背景ラベルテープ8を透かして視認できる。画像60の色は画像90の青色と背景画像80のイエローとが合成されて視覚される。重ね貼りラベル6の画像60以外の領域は両面粘着テープ71のマゼンタが視覚される。
【0084】
重ね貼りラベル6はユーザによって背景ラベルテープ8にラベルテープ9が重ねられ、貼り付けられることで作成される。例えば、
図7(B)に示すように、ユーザが背景ラベルテープ8にラベルテープ9を重ねる際に、背景画像80に対して画像90の位置がずれた状態で背景ラベルテープ8にラベルテープ9が重ねられ、そのまま貼り付けられる場合がある。この場合、画像60は背景画像80と画像90とがずれた状態で重なられて構成される。
【0085】
また、ラベルテープ9の画像90の青色と背景ラベルテープ8の背景画像80のイエローとは色差が大きい。故に重ね貼りラベル6において、背景画像80と画像90とがずれた状態であることが、より強調される。このように、背景画像80に対して画像90の位置がずれた状態で背景ラベルテープ8にラベルテープ9が重ねられた場合、作成された重ね貼りラベル6の画像60の見栄えが損なわれる可能性がある。
【0086】
<背景ラベルテープ8の状態に応じて補正するプリントデータの生成>
プリントデータ生成装置1は背景ラベルテープ8の背景画像80の形状と色を記憶する。プリントデータ生成装置1はラベルテープ9のプリントデータを生成する場合、ラベルテープ9が背景ラベルテープ8に重ねられて重ね貼りラベル6とされるか否かを判断する。
【0087】
ラベルテープ9が背景ラベルテープ8に重ねられると判断された場合、プリントデータ生成装置1はラベルテープ9に印刷する画像90の形状が背景画像80の形状に対応するか否かを判断する。画像90の形状が背景画像80の形状に対応する場合、
図8(A)に示すように、プリントデータ生成装置1は画像90の形状を背景画像80の形状に対して小さくなるように縮小した画像91を生成する。
【0088】
また、プリントデータ生成装置1はユーザに視覚される画像91の色を背景画像80の色に近づける。より具体的に、プリントデータ生成装置1はラベルテープ9における装置色範囲に背景色を反映し(
図6(B)参照)、画像91の色、重畳領域12の色、周囲領域13の色に基づき補正して合成色範囲を決定する(
図6(C)参照)。プリントデータ生成装置1は画像91を構成する各画素の色を合成色範囲に変換した一時プリントデータを生成する(
図6(D)参照)。
【0089】
プリントデータ生成装置1は一時プリントデータの各ドットデータの色を背景画像80の色(イエロー)との色差が小さくなるように補正する。プリントデータ生成装置1は合成色範囲に対応付けられた一時プリントデータの各ドットデータを装置色範囲に変換することで、印刷装置20に送信されるプリントデータが生成する。
【0090】
<プリントデータ生成装置1の電気的構成>
図9に示すように、プリントデータ生成装置1はCPU51を備える。CPU51はプリントデータ生成装置1を制御し、プロセッサとして機能する。CPU51には、フラッシュメモリ52、ROM53、RAM54、通信部55、キーボード2、ディスプレイ3が電気的に接続する。
【0091】
フラッシュメモリ52はCPU51によって実行されるプログラム、装置色範囲、過去に生成したプリントデータ等を記憶する。ROM53は各種プログラムの実行時に必要な各種パラメータを記憶する。RAM54は一時プリントデータ等、種々の一時データを記憶する。通信部55は無線通信99にて印刷装置20と双方向に通信するためのコントローラである。キーボード2はユーザによる操作結果をCPU51に入力する。ディスプレイ3は入力された各種情報を表示可能である。
【0092】
<印刷装置20の電気的構成>
図10に示すように、印刷装置20はCPU61を備える。CPU61は印刷装置20を制御し、プロセッサとして機能する。CPU61には、フラッシュメモリ62、ROM63、RAM64、通信部65、キーボード23、ディスプレイ25、サーマルヘッド10、搬送モータ66、および切断モータ67、検出部29が電気的に接続する。
【0093】
フラッシュメモリ62はCPU61によって実行されるプログラム等を記憶する。ROM63は各種プログラムの実行時に必要な各種パラメータを記憶する。RAM64は画像を形成するための印刷データ等、種々の一時データを記憶する。通信部65は無線通信99にてプリントデータ生成装置1と双方向に通信するためのコントローラである。キーボード23はユーザによる操作結果をCPU61に入力する。ディスプレイ25は入力された各種情報を表示可能である。
【0094】
サーマルヘッド10はプリントデータに基づき間欠的に通電され、複数の発熱素子が発熱する。搬送モータ66は可動ローラと、装着部28に装着されたテープカセット30の搬送ローラとを回転駆動し、感熱テープ4および粘着テープ7を搬送する。切断モータ67は切断機構を駆動し、ラベルテープ9を切断する。検出部29は指標部32が示すテープ種類をCPU61に入力する。
【0095】
<プリントデータ生成装置1によるプリントデータ生成処理>
プリントデータ生成装置1の電源が投入されると、CPU51はフラッシュメモリ52からプログラムを読み出してプリントデータ生成処理を実行する。プリントデータ生成処理ではプリントデータ生成装置1によりラベルテープ9を作成するためのプリントデータが生成される。
【0096】
CPU51がプリントデータ生成処理で使用するフラグを説明する。RAM54は重ね貼りフラグを記憶する。重ね貼りフラグは重ね貼り用のラベルテープ9(重ね貼りラベル6で背景ラベルテープ8の上側に重ね合わせるラベルテープ9)を作成する場合、値を1に設定し、重ね貼り用のラベルテープ9を作成しない時、値を0に設定する。
【0097】
図11に示すように、プリントデータ生成処理が開始されると、CPU51は印刷する画像データを入力し、RAM54に記憶する(S1)。ユーザはキーボード2を操作することで印刷する画像データをCPU51に入力する。CPU51は入力された画像データをRAM54に処理可能な態様で記憶する。
【0098】
CPU51は背景補正指示を受信したか否かを判断する(S2)。ユーザは背景の状態に応じて補正したラベルテープ9を作成する場合、キーボード2を操作することで、背景補正指示をCPU51に入力する。背景補正指示を受信していない場合(S2:NO)、CPU51は処理をS71に移行する。
【0099】
背景補正指示を受信した場合(S2:YES)、
図12に示すように、CPU51は重ね貼り指示を受信したか否かを判断する(S11)。CPU51はディスプレイ3に重ね貼り用のラベルテープ9を作成するか否かをユーザに選択させる画面を表示する。重ね貼り用のラベルテープ9を作成する場合、ユーザはキーボード2を操作することで重ね貼り指示をCPU51に入力する。
【0100】
重ね貼り指示を受信した場合(S11:YES)、CPU51は重ね貼りフラグの値を1に設定する(S12)。CPU51は背景ラベルテープ8を指定する処理を行う(S13)。S13において、CPU51はフラッシュメモリ52に記憶された過去に生成したプリントデータをそれぞれ画像としてディスプレイ3に表示する。ユーザがディスプレイ3の表示に応じてキーボード2を操作することで、CPU51は過去に生成したプリントデータの一つを背景ラベルテープ8に指定する。CPU51は処理をS15に移行する。重ね貼り指示を受信しない場合(S11:NO)、CPU51は重ね貼りフラグの値を0に設定し(S14)、処理をS15に移行する。
【0101】
CPU51は粘着テープ7(両面粘着テープ71)の色を判断し、フラッシュメモリ52に記憶する(S15)。印刷装置20のCPU61は、検出部29から指標部32が示すテープ種類を取得し、通信部65を介してプリントデータ生成装置1の通信部55に送信する。CPU51は通信部55を介してテープ種類を取得し、該テープ種類に基づき粘着テープ7の色を判断して、フラッシュメモリ52に記憶する。CPU51はテープ種類に基づき粘着テープ7(両面粘着テープ71)の透明性を判断してフラッシュメモリ52に記憶し(S16)、CPU51は処理をS21に移行する。
【0102】
CPU51は被着体11の画像データを受信したか否かを判断する(S21)。ユーザは汎用の外部撮像装置(例えば、デジタルカメラ等)で被着体11を撮像する。ユーザは外部撮像装置とプリントデータ生成装置1とを通信させて、撮像された被着体11の画像データをCPU51に送信する。被着体11の画像データを受信したと判断した場合(S21:YES)、CPU51は被着体11の画像データに基づき被着体11の色を判断し(S22)、
CPU51は被着体11の色をフラッシュメモリ52に記憶し(S24)、処理をS25に移行する。受信した被着体11の画像データが破損していた等の理由で、正常に被着体11の色を判断できなかった場合(S23:NO)、CPU51は処理をS71に移行する。
【0103】
CPU51は印刷指示を受信したか否かを判断する(S25)。プリントデータ生成装置1にプリントデータを生成させ、該プリントデータに基づく印刷を印刷装置20に実行させる場合、ユーザはキーボード2を操作することで印刷指示をCPU51に入力する。印刷指示を受信していないと判断した場合(S25:NO)、CPU51は処理をS21に戻す。
【0104】
S21で被着体11の画像データを受信していないと判断した場合(S21:NO)、CPU51は処理をS25に移行する。CPU51はS21~S25の処理を繰り返し実行する。印刷指示を受信したと判断した場合(S25:YES)、CPU51は処理をS31(
図13参照)に移行する。なお、被着体11の画像データを受信することなく(S21:NO)、印刷指示を受信したと判断した場合(S25:YES)、CPU51は被着体11がないと判断する。
【0105】
図13に示すように、CPU51はフラッシュメモリ52に記憶された装置色範囲(
図6(A)の一点鎖線で示す範囲)を読み出す(S31)。CPU51はS1でRAM54に記憶された画像データを復号する(S32)。復号された画像データは各画素に対応づけられた赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を色要素とする3つの多値輝度データ(R,G,B)で構成される。CPU51は合成色範囲処理を実行する(S33)。合成色範囲処理は装置色範囲に背景色を反映してユーザに視覚される色範囲である合成色範囲を決定するための処理である。
【0106】
図14に示すように、合成色範囲処理(S33、
図13参照)が開始されると、CPU51は重畳領域12において装置色範囲に背景色を合成するか否かを判断する(S51)。S51では、S15(
図12参照)で記憶された粘着テープ7の色、S16で記憶された粘着テープ7の透明性、およびS24で記憶された被着体11の色を基に合成した重畳領域12の色、透明性に基づき判断される。重畳領域12が無色透明である等の理由で、重畳領域12において装置色範囲に背景色を合成しない場合(S51:NO)、CPU51は処理をS53に移行する。
【0107】
重畳領域12において装置色範囲に背景色を合成する場合(S51:YES)、CPU51は装置色範囲(r,g,b)に対して重畳領域12の色を反映して色範囲を合成色範囲(
図6(B)の二点鎖線で示す範囲)に更新し(S52)、処理をS53に移行する。
【0108】
CPU51はS52で更新した色範囲の補正を実行するか否かを判断する(S53)。S53では、画像データの色(S32で復号された画像データの多値輝度データ)、重畳領域12の色、および周囲領域13の色(被着体11の色)に基づき判断される。周囲領域13による色範囲の補正を実行しない場合(S53:NO)、CPU51は処理をプリントデータ生成処理に戻す。
【0109】
色範囲の補正を実行する場合(S53:YES)、CPU51は背景色を反映した色範囲に対して周囲領域13の色とが同色または同色に近い関係の色の彩度を高く、周囲領域13の色とが補色または補色に近い関係の色の彩度を低くするように色範囲を補正する(S54)。合成色範囲が決定され(
図6(C)の破線で示す範囲)、CPU51は処理をプリントデータ生成処理に戻す。
【0110】
図13に示すように、CPU51は合成色範囲処理(S33)により合成色範囲(r´,g´,b´)を決定した後、一時プリントデータを生成する(S34)。S34において、CPU51は各画素に対応づけられた色範囲(R,G,B)を合成色範囲(r´,g´,b´)に変換したドットデータを生成する(
図6(D)参照)。
【0111】
CPU51は重ね貼り用のラベルテープ9を作成するためのプリントデータであるか否かを判断する(S35)。重ね貼りフラグの値が0であり、重ね貼り用のラベルテープ9を作成するためのプリントデータでないと判断した場合(S35:NO)、CPU51は処理をS41に移行する。
【0112】
重ね貼りフラグの値が1であり、重ね貼り用のラベルテープ9を作成するためのプリントデータであると判断した場合(S35:YES)、CPU51は重ね貼り用処理を実行し(S36)、処理をS41に移行する。重ね貼り用処理は背景ラベルテープ8の状態に基づき印刷する画像の形状・色を補正するための処理である。
【0113】
図15に示すように、重ね貼り用処理(S36、
図13参照)が開始されると、CPU51は背景ラベルテープ8のプリントデータを取得する(S61)。S61において、CPU51はS13(
図12参照)で指定された背景ラベルテープ8のプリントデータを取得する。CPU51は取得した背景ラベルテープ8のプリントデータに基づき背景画像80の形状および色を判断する(S62)。
【0114】
CPU51はS62で判断した背景画像80の形状に基づき、印刷する画像の形状が背景画像80の形状と対応するか否かを判断する(S63)。印刷する画像の形状が背景画像80の形状と対応しないと判断した場合(S63:NO)、CPU51は処理をプリントデータ生成処理に戻す。
【0115】
印刷する画像の形状が背景画像80の形状と対応すると判断した場合(S83:YES)、CPU51は印刷する画像の形状を背景画像80の形状に対して小さくなるように縮小して一時プリントデータを更新する(S64)。CPU51は印刷する画像の色を背景画像80の色との色差が小さくなるように補正する(S65)。CPU51は処理をプリントデータ生成処理に戻す。
【0116】
図13に示すように、CPU51は最終プリントデータを生成する(S41)。S41において、CPU51は各ドットデータに対応づけられた合成色範囲(r´,g´,b´)を装置色範囲(r,g,b)に変換する(
図6(E)参照)。その後、CPU51は多値輝度データ(r,g,b)をシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)を色要素とする3つ濃度データ(C,M,Y)に変換することで最終プリントデータを生成する。
【0117】
CPU51はS42で生成したプリントデータである最終プリントデータをフラッシュメモリ52に記憶し(S42)、最終プリントデータを通信部55を介して印刷装置20に送信する(S43)。CPU51は処理をS1(
図11参照)に戻す。
【0118】
一方、
図11に示すように、背景補正指示を受信していない場合(S2:NO)、または、正常に被着体11の色を判断できなかった場合(S23:NO、
図12参照)、CPU51は背景色を白色に指定する(S71)。CPU51は印刷指示を受信したか否かを判断する(S72)。S72はS25と同様の処理である。印刷指示を受信していないと判断した場合(S72:NO)、CPU51は処理をS72に戻す。
【0119】
印刷指示を受信したと判断した場合(S72:YES)、CPU51はフラッシュメモリ52に記憶された装置色範囲を読み出し(S73)、RAM54に記憶された画像データを復号する(S74)。S73、S74は、それぞれ、S31、S32と同様の処理である。
【0120】
CPU51はプリントデータを生成する(S75)。S75において、CPU51は各画素に対応づけられた色範囲(R,G,B)を装置色範囲(r,g,b)に変換したドットデータを生成することで一時プリントデータを生成する。CPU51はS75で生成したプリントデータをフラッシュメモリ52に記憶し(S76)、プリントデータを通信部55を介して印刷装置20に送信する(S77)。CPU51は処理をS1に戻す。
【0121】
<印刷装置20によるラベルテープ作成処理>
印刷装置20のCPU61はプリントデータ生成装置1からプリントデータを受信すると、フラッシュメモリ62からプログラムを読み出してラベルテープ作成処理を実行する。ラベルテープ作成処理ではプリントデータに基づき印刷装置20による印刷動作が制御されて、ラベルテープ9が作成される。
【0122】
図16に示すように、CPU61はプリントデータに基づいて印刷制御を行う(S91)。S91では、CPU61は搬送モータ66を制御して搬送ローラと可動ローラとを回転駆動する。これにより、感熱テープ4および粘着テープ7が搬送される。CPU61は搬送モータ66を制御しながらサーマルヘッド10を制御する。詳細には、CPU61は感熱テープ4を搬送しながら、複数の発熱体を選択的に発熱させる。このとき、サーマルヘッド10は感熱テープ4の複数の感熱層42に対して基材41の第1面側から加熱する。これにより、感熱テープ4への印刷が行われる。
【0123】
CPU61は印刷された感熱テープ4に、粘着テープ7を貼り合わせる制御を行う(S92)。具体的には、CPU61は搬送モータ66を制御して搬送ローラと可動ローラとを回転駆動し、印刷された感熱テープ4および粘着テープ7を搬送する。搬送ローラと可動ローラとの間で、基材41の第1面側から、印刷された感熱テープ4に粘着テープ7が貼り合わされる。これにより、ラベルテープ9が作成される。CPU61は切断モータ67を制御することで切断機構によってラベルテープ9を切断する(S93)。CPU61はラベルテープ作成処理を終了する。
【0124】
<本実施形態の主な効果>
プリントデータ生成装置1は印刷装置20に画像を印刷させるためのプリントデータを生成する。印刷装置20はプリントデータに基づきサーマルヘッド10の発熱素子により感熱テープ4を加熱することで画像を印刷し、ラベルテープ9を作成する。感熱テープ4は基材41と複数の感熱層42と複数の遮熱層43とオーバーコート層44とを有する。感熱テープ4の各層はいずれも透明性を有する。基材41の第1面側には、感熱層42である第三感熱層423が設けられる。第三感熱層423は第三温度を超えた場合に第三色(イエロー)に発色する。プリントデータ生成装置1は感熱テープ4に重ね合わされ、背景となる粘着テープ7(両面粘着テープ71)、被着体11、背景ラベルテープ8等の状態を判断する(S15、S16、S22、S62)。プリントデータ生成装置1は粘着テープ7、被着体11、背景ラベルテープ8等の状態の判断結果に基づきプリントデータを生成する(S31~S41)。
【0125】
この場合、プリントデータ生成装置1は感熱テープ4の背景の状態に基づき、プリントデータを生成する。プリントデータ生成装置1は印刷装置20に当該プリントデータを送信し、印刷装置20が受信したプリントデータに基づき感熱テープ4に画像を印刷する。これにより、ユーザは背景に応じた所望のラベルテープ9を作成できる。
【0126】
感熱テープ4には基材41と第三感熱層423との間に、感熱層42である第一感熱層421、第二感熱層422が設けられる。第一感熱層421は第一温度を超えた場合に第一色(シアン)に発色する。第二感熱層422は第二温度を超えた場合に第二色(マゼンタ)に発色する。第三感熱層423で発色される第三色と、第一感熱層421で発色される第一色、および第二感熱層422で発色される第二色との組み合わせにより、感熱テープ4は多様な色彩を表現できる。故にプリントデータ生成装置1は多様な色彩を有する画像を印刷するためのプリントデータを生成できる。
【0127】
プリントデータ生成装置1は背景色を判断する(S15、S22、S62)。例えば、両面粘着テープ71が半透明マゼンタである場合、ユーザがラベルテープ9を基材41側から見ると、背景が半透明マゼンタに見える。例えば、
図3の画像を何らの補正をかけずに感熱テープ4に印刷し、粘着テープ7と貼り合わせると、ユーザは背景となる両面粘着テープ71の色により
図4の画像のように視覚する。プリントデータ生成装置1は背景色に応じたプリントデータを生成し、印刷装置20にプリントデータを伝達する。印刷装置20が受信したプリントデータに基づき印刷することで、ユーザは背景色に応じた所望のラベルテープ9を作成できる。
【0128】
プリントデータ生成装置1は被着体11の色を判断する(S22)。この場合、プリントデータ生成装置1は被着体11の色に応じたプリントデータを生成し、印刷装置20にプリントデータを伝達する。印刷装置20が受信したプリントデータに基づき印刷することで、ユーザは被着体11の色に応じた所望のラベルテープ9を作成できる。
【0129】
ラベルテープ9は印刷された感熱テープ4の上面に粘着テープ7の下面が貼り合わされることで構成される。粘着テープ7は両面粘着テープ71を備える。両面粘着テープ71は基材72と第一粘着層73と第二粘着層74とを有する。プリントデータ生成装置1は粘着テープ7(両面粘着テープ71)の色を判断する(S15)。この場合、プリントデータ生成装置1は粘着テープ7の色に応じたプリントデータを生成し、印刷装置20にプリントデータを伝達する。印刷装置20が受信したプリントデータに基づき印刷することで、ユーザは粘着テープ7の色に応じた所望のラベルテープ9を作成できる。
【0130】
プリントデータ生成装置1は背景の状態に応じて補正をしないで印刷を実行(S71~S77)するように設定できる。この場合、プリントデータ生成装置1は感熱テープ4の背景の色を白色に指定し(S71)、背景の色に依らずプリントデータを生成する。この場合、プリントデータ生成装置1は実行する処理を簡略化して素早くプリントデータを生成できる。
【0131】
プリントデータ生成装置1のフラッシュメモリ52は印刷装置20が感熱テープ4を用いて印刷する場合の表現可能な装置色範囲を記憶する。プリントデータ生成装置1は装置色範囲に背景色を反映して合成色範囲を合成する(S33)。プリントデータ生成装置1は画像データの各画素に対応づけられた色範囲を合成色範囲に変換することで一時プリントデータを生成する(S34)。プリントデータ生成装置1は合成色範囲に基づく一時プリントデータのドットデータを装置色範囲に変換することで最終プリントデータを生成する(S41)。この場合、プリントデータ生成装置1は装置色範囲に背景部の色を反映した合成色範囲に基づき一時プリントデータを生成し、一時プリントデータから装置色範囲に基づくプリントデータに変換する。これにより、ユーザが
図4の画像のように背景色によって識別する色が変わることが抑制される。
【0132】
プリントデータ生成装置1は装置色範囲に背景色を反映した色範囲の補正を実行する(S54)。S54において、プリントデータ生成装置1は背景色を反映した色範囲に対して周囲領域13の色とが同色または同色に近い関係の色の彩度を高く、周囲領域13の色とが補色または補色に近い関係の色の彩度を低くするように色範囲を補正する。これにより、ユーザが識別するラベルテープ9の画像90の色が周囲領域13の色によって変化することが抑制される。
【0133】
プリントデータ生成装置1のCPU51は印刷装置20の検出部29が検出したテープ種類を無線通信99を介して取得し、該テープ種類に基づき粘着テープ7の色を判断する(S15)。例えば、ユーザがキーボード2を操作することでテープ種類を入力する場合、ユーザの知覚によりテープ種類を誤る場合がある。この場合、ユーザは作成されたラベルテープ9が感熱テープ4の背景の状態に応じたものであるか否かをプリントデータの生成と印刷装置20による印刷を繰り返して確認する可能性がある。プリントデータ生成装置1は指標部32で示されるテープ種類を取得するので、ユーザの知覚によりテープ種類を誤ることがない。故にプリントデータ生成装置1は作成されたラベルテープ9が感熱テープ4の背景の状態に応じたものであるか否かをユーザが繰り返し確認することが抑制される。
【0134】
プリントデータ生成装置1のCPU51は汎用の外部撮像装置で撮像された被着体11の画像データを無線通信99を介して受信する(S21:YES)。プリントデータ生成装置1は受信した被着体11の画像データに基づき被着体11の色を判断する(S22)。この場合、ユーザは簡単に感熱テープ4の被着体11の色の情報をプリントデータ生成装置1に提供できるので、プリントデータ生成装置1の利便性が向上する。
【0135】
プリントデータ生成装置1は背景ラベルテープ8の状態に基づきプリントデータを生成する(S36)。これにより、重ね貼り用のラベルテープ9を作成する場合に、ユーザは背景ラベルテープ8の状態に応じた所望のラベルテープ9を作成できる。
【0136】
プリントデータ生成装置1は生成したプリントデータを順次フラッシュメモリ52に記憶する(S53)。プリントデータ生成装置1はフラッシュメモリ52に記憶された過去に生成したプリントデータから1つを背景ラベルテープ8のプリントデータとして指定する(S13)。プリントデータ生成装置1は指定された背景ラベルテープ8のプリントデータに基づき背景画像80の形状を判断する(S82)。この場合、プリントデータ生成装置1は背景画像80の形状に応じたプリントデータを生成し、印刷装置20にプリントデータを伝達する。印刷装置20が受信したプリントデータに基づき印刷することで、ユーザは背景画像80の形状に応じた所望のラベルテープ9を作成できる。
【0137】
プリントデータ生成装置1は印刷する画像の形状が背景画像80の形状と対応するか否かを判断する(S63)。印刷する画像の形状が背景画像80の形状と対応すると判断した場合(S63:YES)、CPU51は印刷する画像の形状を背景画像80の形状に対して小さくなるように縮小した画像データを生成し(S64)、各ドットの色を変換する。この場合、ユーザが背景ラベルテープ8にラベルテープ9を重ね合わせる際に、背景画像80と画像90との位置とのずれが許容されやすい(
図8(B)参照)。故に、背景画像80に対して画像90の位置がずれた状態で背景ラベルテープ8にラベルテープ9が重ねられた場合でも、重ね貼りラベル6の画像60の見栄えが損なわれることが抑制される。
【0138】
プリントデータ生成装置1は生成したプリントデータを順次フラッシュメモリ52に記憶する(S42)。プリントデータ生成装置1は記憶されたプリントデータから背景ラベルテープ8のプリントデータを指定し(S13)、背景ラベルテープ8の色を判断する(S62)。この場合、プリントデータ生成装置1は背景ラベルテープ8の色に応じたプリントデータを生成し、印刷装置20にプリントデータを伝達する。印刷装置20が受信したプリントデータに基づき印刷することで、ユーザは背景ラベルテープ8の色に応じた所望のラベルテープ9を作成できる。
【0139】
プリントデータ生成装置1は背景画像80の形状を判断し(S62)、印刷する画像の形状が背景画像80の形状と対応するか否かを判断する(S63)。印刷する画像の形状が背景画像80の形状と対応すると判断した場合(S63:YES)、プリントデータ生成装置1は印刷する画像の色を背景画像80の色との色差が小さくなるように補正する(S65)。この場合、背景画像80に対して画像90の位置がずれた状態で背景ラベルテープ8にラベルテープ9が重ねられた場合でも、背景画像80と画像90とがずれた状態であることがより強調されることが抑制される。故に、背景画像80に対して画像90の位置がずれた状態で背景ラベルテープ8にラベルテープ9が重ねられた場合でも、重ね貼りラベル6の画像60の見栄えが損なわれることが抑制される。
【0140】
<対応記載>
上記実施形態において基材41が本発明の「感熱基材」に相当する。第三温度が本発明の「第一温度」に相当する。第三感熱層423が本発明の「第一発色層」に相当する。感熱テープ4が本発明の「感熱媒体」に相当する。発熱素子が本発明の「発熱体」に相当する。ラベルテープ9が本発明の「印刷物」に相当する。粘着テープ7(両面粘着テープ71)、被着体11、背景ラベルテープ8が本発明の「背景部」に相当する。S15、S16、S22、S62を実行するCPU51が本発明の「判断部」に相当する。S31~S41を実行するCPU51が本発明の「生成部」に相当する。第一温度、第二温度が本発明の「第二温度」に相当する。第一感熱層421、第二感熱層422が本発明の「第二感熱層」に相当する。粘着テープ7が本発明の「粘着媒体」に相当する。基材72が本発明の「粘着基材」に相当する。第一粘着層73、第二粘着層74が本発明の「粘着層」に相当する。CPU51がS31~S41を実行する場合が本発明の「第一モード」に相当する。CPU51がS71~S77を実行する場合が本発明の「第二モード」に相当する。フラッシュメモリ52が本発明の「第一記憶部」「第二記憶部」「第三記憶部」に相当する。S33を実行するCPU51が本発明の「合成部」に相当する。S34を実行するCPU51が本発明の「一時プリントデータ生成部」に相当する。S41を実行するCPU51が本発明の「最終プリントデータ生成部」に相当する。重畳領域12が本発明の「印刷物背景部」に相当する。周囲領域13が本発明の「印刷物周辺背景部」に相当する。CPU51が本発明の「取得部」に相当する。背景ラベルテープ8が本発明の「背景印刷物」に相当する。背景画像80が本発明の「第一画像」に相当する。画像90が本発明の「第二画像」に相当する。S63を実行するCPU51が本発明の「背景印刷物形状判断部」に相当する。S64を実行するCPU51が本発明の「形状設定生成部」に相当する。S62を実行するCPU51が本発明の「背景印刷物色判断部」に相当する。S65を実行するCPU51が本発明の「色設定生成部」に相当する。
【0141】
<変形例>
本発明は上記実施形態から種々の変更が可能である。例えば上記実施形態において印刷システム100の構成、数は適宜変更してよい。印刷システム100において印刷装置20のCPU61がプリントデータ生成処理を実行し、プリントデータを生成してもよい。この場合、印刷システム100はプリントデータ生成装置1を備えなくてもよい。プリントデータ生成装置1と印刷装置20との通信はUSB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して行われてもよい。
【0142】
プリントデータ生成装置1はディスプレイ3を備えなくてもよく、例えばプリントデータ生成装置1と別体の表示装置と通信可能であってもよい。プリントデータ生成装置1はキーボード2を備えなくてもよく、キーボード2と異なる入力手段によりユーザの操作結果をCPU51に入力してもよい。プリントデータ生成装置1はパーソナルコンピュータに限定されず、例えばスマートフォンであってもよい。
【0143】
プリントデータ生成装置1は、作成するラベルテープ9において画像データの範囲外である余白となる部分に、赤、青、緑、シアン、マゼンタ、イエロー、黒の少なくとも一色から構成される色を有するカラーパッチを付与した前記プリントデータを生成してもよい。この場合、プリントデータ生成装置1は背景部の色とカラーパッチの色を同時に取得することで、相対的な色の変化を把握できる。故に、プリントデータ生成装置1はより正確な背景色を加味してプリントデータを生成することができる。
【0144】
ユーザが手作業で、印刷された感熱テープ4と粘着テープ7とを貼り合わせてもよい。この場合、印刷装置20には感熱テープ4と粘着テープ7とを貼り合わせる機構が設けられていなくてもよい。カセットケース31の上面、底面、側面の一部は省略されてもよい。搬送ローラは回転不能であってもよく、例えば固定された円柱体、板状体等であってもよい。搬送モータ66の駆動力は可動ローラに伝達されなくてもよい。印刷装置20はキーボード23、ディスプレイ25を備えなくてもよい。印刷装置20はテープカセット30を内蔵し、着脱可能な構成でなくてもよい。この場合、印刷装置20は装着部28を備えなくてもよい。
【0145】
第一粘着層73、第二粘着層74は不透明でもよいし、半透明または透明でもよい。基材72の可視光透過率は感熱テープ4の各層のいずれの可視光透過率よりも高くてもよいし、感熱テープ4の各層のいずれかの可視光透過率よりも高くてもよい。
【0146】
上記実施形態において粘着テープ7は基材72と第一粘着層73とで構成されてもよい。この場合、例えばラベルテープ9の完成後、基材72のうち第一粘着層73とは反対側の面(つまり、外に露出する面)にユーザが粘着剤を塗布してもよい。粘着テープ7は自己粘着性を有していてもよい。
【0147】
上記実施形態において切れ目76は直線でなくてもよく、例えば波線等でもよい。切れ目76は1本でなくてもよく、複数本の切れ目76が幅方向に並んで剥離紙75に設けられていてもよい。例えば長手方向に所定の間隔を空けて複数本の切れ目76が幅方向に延びてもよいし、幅方向および長手方向に対して斜めに延びていてもよい。
【0148】
上記実施形態において基材41は発泡PETフィルムでもよい。基材41は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMMA)、ポリブテン(PB)、ポリブタジエン(BDR)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン(NY)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、発泡ポリスチレン(FS/EPS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、普通セロハン(PT)、防湿セロハン(MST)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ビニロン(VL)、ポリウレタン(PU)、およびトリアセチルセルロース(TAC)等の樹脂フィルムであってもよい。この場合、基材41は発泡樹脂フィルムでもよいし、無発泡樹脂フィルムでもよい。
【0149】
基材41が発泡樹脂フィルムで構成されている場合、発泡樹脂の熱伝導率は、無発泡の同じ樹脂の熱伝導率よりも小さいので、本実施形態は簡易な構成で基材41の熱伝導性を低くできる。基材41の熱伝導性が低い場合、印刷装置20による印刷時には、感熱層42側から感熱テープ4に入力された熱が、基材41へと拡散しにくい。よって、本実施形態は感熱層42を発色させるために感熱テープ4に入力する熱量を簡易な構成で少なくできる。すなわち、本実施形態は基材41に発泡樹脂フィルムを用いることで、熱伝導性を低くするために特殊な材料を基材41に用いることなく、感熱層42を発色させるために感熱テープ4に入力する熱量を少なくできる。
【0150】
印刷装置20による印刷後、感熱テープ4に粘着テープ7が貼り合わされると、基材41は感熱層42を保護するラミネート部材として機能する。基材41の熱伝導率が低ければ、熱伝導率の高い素材を使う場合に比べて、基材41は基材41側から入力される熱に対して感熱層42の不要な変色を防ぐことができる。
【0151】
基材41が無発泡樹脂フィルムで構成されている場合、発泡樹脂フィルムの場合よりも基材41の可視光透過率が高くなりやすい。よって、ラベルテープ9は印刷された画像をユーザに綺麗に見せることができる。
【0152】
基材41は、用途に応じた程度の透明性があれば、金属箔(アルミニウム箔、銅箔)、真空蒸着フィルム(VM)等であってもよいし、半透明紙、和紙、上質紙、無塵紙、グラシン紙、クレーコート紙、樹脂コート紙、ラミネート紙(ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙等)、合成紙、クラフト紙等の各種紙でもよい。基材41は、不織布、ガラスクロス等でもよい。
【0153】
オーバーコート層44は例えば遮熱層43と同じ材質であってもよい。つまり、上記実施形態において第三遮熱層(図示略)がオーバーコート層44として設けられてもよい。オーバーコート層44は省略されてもよい。この場合、サーマルヘッド10から複数の感熱層42への熱伝達性が高くなる。よって、印刷装置20はサーマルヘッド10による加熱時間を短縮化できる。印刷装置20はオーバーコート層44にかかるコストを削減できる。
【0154】
上記実施形態では感熱テープ4が複数の感熱層42を有する。これに対し、感熱テープ4は1つの感熱層のみを有していてもよい。この場合、例えば基材41、第一感熱層421、第一遮熱層431、およびオーバーコート層44は、この順に並んで積層される。印刷後に切れ目76を有する粘着テープ7が感熱テープ4に対して基材41とは反対側から貼り合わされる。このため、テープカセット30は切れ目76による印刷品質の劣化を抑制できる。
【0155】
なお、感熱テープ4が1つの感熱層を有する場合、第一遮熱層431およびオーバーコート層44の両方とも省略されてもよい。この場合、基材41の上面に薬品が塗布されることで上記1つの感熱層が形成されてもよい。
【0156】
上記実施形態において複数の感熱層42は2層で構成されてもよい。つまり、第三感熱層423は省略されてもよい。この場合、第二遮熱層432も省略されてもよい。この場合、第一遮熱層431の下面に薬品が塗布されることで第一感熱層421が形成され、第一遮熱層431の上面に薬品が塗布されることで第二感熱層422が形成されてもよい。つまり、感熱テープ4には少なくとも1つの遮熱層が設けられていればよい。
【0157】
上記実施形態において複数の感熱層42は4層以上で構成されてもよい。例えば第三感熱層423に対して第二感熱層422とは反対側に第四感熱層(図示略)が設けられてもよい。この場合、第四感熱層は例えば第四温度を超えた場合に第四色に発色する。第四温度は第三温度よりも高い。第四色は例えばブラックである。この場合、厚み方向において第三感熱層423と第四感熱層との間には第三遮熱層(図示略)が設けられる。
【0158】
上記実施形態において第一色、第二色、および第三色はそれぞれシアン、マゼンタ、およびイエロー以外の色でもよく、例えばそれぞれ同じ色でもよい。ラベルテープ9は同じ色の層を複数重ね合わせることで、形成された画像の奥行きを表現できる。
【0159】
上記実施形態において複数の感熱層42はそれぞれ複数の遮熱層43の上面に薬品が塗布されることで形成されてもよい。複数の感熱層42はあらかじめシート状に形成され、複数の遮熱層43に接着されてもよい。
【0160】
プリントデータ生成装置1は上記実施形態で説明した背景(粘着テープ7、被着体11等)の色、背景画像80の形状・色以外の背景の状態を判断し、プリントデータを生成してもよい。例えば、プリントデータ生成装置1は背景の模様を判断し、背景の模様に応じたプリントデータを生成してもよい。
図17(A)に示すように、背景である被着体11には45度のハッチングが形成される。被着体11の色は白色である。粘着テープ7は無色透明である。プリントデータ生成装置1は被着体11の画像データから被着体11に45度のハッチングが形成されていると判断し、画像90に135度のハッチングを描写するようにプリントデータを生成する。プリントデータに基づき印刷されたラベルテープ9において、画像90内で被着体11のハッチングが透けて視認されるので画像90内には45度のハッチングと135度のハッチングによる格子が形成される。また、
図17(B)に示すように、プリントデータ生成装置1は被着体11にドット柄が形成されていると判断し、画像90に被着体11と同じドット柄を形成するようにプリントデータを生成してもよい。
【0161】
上記実施形態においてS1の処理はユーザはプリントデータ生成装置1と双方向に通信できる汎用の外部撮像装置(例えば、デジタルカメラ等)で撮像した画像の画像データをCPU51に送信することでCPU51に入力してもよい。同様にS15、S22の処理で上記実施形態と異なる手段(例えば、ユーザによるキーボード2の操作)でCPU51にテープ種類(粘着テープ7の色)、被着体11の画像データ(被着体11の色)を入力してもよい。S15、S16、S22、S62の処理は何れか一つが実行されればよい。この場合、実行されないS15、S16、S22、S62の処理は省略されてもよい。
【0162】
S15にて粘着テープ7の色が判断できない場合、S16にて粘着テープ7の透明性が判断できない場合、およびS22にて被着体11の色が判断できない場合、CPU51は処理をS71に移行することで、背景の状態に応じて補正したプリントデータを生成しなくてもよい。CPU51はS13で背景ラベルテープ8を指定した後、印刷指示を受信する前までに背景ラベルテープ8の背景画像80の形状・色を判断してもよい。この場合、S62の処理は省略されてもよい。
【0163】
プリントデータ生成装置1はS71~S77の処理を省略してもよい。S33の処理、およびS34、S36の処理は何れかが実行されればよい。S33の処理が省略される場合、プリントデータ生成装置1は被着体11の周囲領域13の色を判断しなくてもよい。
【0164】
S41の処理において、CPU51は一時プリントデータの合成色範囲を装置色範囲に変換すればよく、更に濃度データ(C,M,Y)に変換しなくてもよい。S41の処理において、CPU51は装置色範囲に変換した後、シアン、マゼンタ、イエローにブラック(K)を加えた色要素となる濃度データ(C,M,Y,K)に変換してもよい。S41の処理において、CPU51は装置色範囲に変換した後、誤差拡散法やディザ法を用いたハーフトーン処理を行ってもよい。例えば、重ね貼り用のラベルテープ9を作成する際に、S22で背景画像80が灰色と判断された場合、CPU51はS41の処理でハーフトーン処理を行う際に、複数の感熱層42の発色による画像90の色をブラックとする。
【0165】
装置色範囲、背景画像80の形状、背景ラベルテープ8の色はフラッシュメモリ52に記憶されなくてもよい。装置色範囲、背景画像80の形状、背景ラベルテープ8の色はネットワークに接続されたサーバに記憶され、CPU51がプリントデータ生成処理を実行する際にサーバからダウンロードされてもよい。
【0166】
CPU51、61の代わりにマイクロコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等がプロセッサとして用いられてもよい。プリントデータ生成処理、ラベルテープ作成処理は複数のプロセッサによって分散処理されてもよい。非一時的な記憶媒体は情報を記憶する期間に関わらず、情報を留めておくことが可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。プログラムは例えばネットワークに接続されたサーバからダウンロードされて(すなわち、伝送信号として送信され)、フラッシュメモリ52、62に記憶されてもよい。この場合、プログラムはサーバに備えられたハードディスクドライブ等の非一時的な記憶媒体に保存されていればよい。なお上述した変形例は矛盾が生じない限り、互いに組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0167】
1 プリントデータ生成装置
4 感熱テープ
6 重ね貼りラベル
7 粘着テープ
8 背景ラベルテープ
9 ラベルテープ
10 サーマルヘッド
11 被着体
12 重畳領域
13 周囲領域
20 印刷装置
30 テープカセット
31 カセットケース
41、72 基材
42 感熱層
51、61 CPU
55、65 通信部
60、90、91 画像
71 両面粘着テープ
80 背景画像
100 印刷システム
421 第一感熱層
422 第二感熱層
423 第三感熱層