(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104492
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
H01F17/00 A
H01F17/00 Z
H01F17/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063815
(22)【出願日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0184277
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ボン、カン ウーク
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジェ ヨウン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジン ウォン
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070CB12
5E070CB20
(57)【要約】
【課題】コイル部品を提供する。
【解決手段】
本発明の一側面によるコイル部品は、本体と、上記本体内に配置された支持基板と、上記支持基板の少なくとも一面に配置されたコイル部と、上記本体に互いに離隔配置され、それぞれ上記コイル部と連結された第1及び第2外部電極と、を含むコイル部品であって、上記コイル部は、上記支持基板に配置された第1導電層と、上記第1導電層に配置され、上記支持基板から離隔した第2導電層と、上記第2導電層に配置され、上記第2導電層の側面の少なくとも一部を覆い、かつ上記第1導電層の側面を露出するように上記支持基板から離隔した第3導電層と、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体内に配置された支持基板と、
前記支持基板の少なくとも一面に配置されたコイル部と、
前記本体に互いに離隔して配置され、それぞれ前記コイル部と連結された第1及び第2外部電極と、を備えるコイル部品であって、
前記コイル部は、
前記支持基板に配置された第1導電層と、
前記第1導電層に配置され、前記支持基板から離隔した第2導電層と、
前記第2導電層に配置され、前記第2導電層の側面の少なくとも一部を覆い、かつ前記第1導電層の側面を露出するように前記支持基板から離隔した第3導電層と、を含む、コイル部品。
【請求項2】
前記第2導電層は、前記第2導電層の側面とそれぞれ連結されて互いに向かい合う下面と上面を有し、
前記支持基板の一面に垂直な断面において、
前記第3導電層のうち前記第2導電層の上面に配置された領域の厚さが、前記第3導電層のうち前記第2導電層の側面に配置された領域の幅よりも大きい、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第1導電層と接する前記第2導電層の下面の面積が、前記第2導電層の上面の面積と同一である、請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第1導電層と接する前記第2導電層の下面の面積が、前記第2導電層の上面の面積よりも大きい、請求項2に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記支持基板の一面に平行な断面の面積を断面積としたときに、
前記第2導電層の断面積が、前記第2導電層の上面から前記第2導電層の下面に向かうにつれて増加する、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記支持基板の一面に垂直な断面において、前記第3導電層の上部側が凸状を有する、請求項2から5のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記コイル部は、
前記第3導電層に配置され、前記第3導電層の側面の少なくとも一部を露出する第4導電層をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記支持基板の一面に垂直な断面において、
前記第4導電層のうち前記第3導電層の上面に配置された領域の厚さが、前記第4導電層のうち前記第3導電層の側面に配置された領域の幅よりも大きい、請求項7に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記コイル部は、前記支持基板の一面で複数のターンを形成し、
前記複数のターンのうち、隣接したターンの前記第2導電層間の離隔距離が10μm以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記第1及び第2導電層は互いに異なる金属を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記第2導電層は銅(Cu)を含む、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記第1導電層は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、及びモリブデン(Mo)のうち少なくとも1つを含む、請求項10または11に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記第1導電層の厚さが5μm以下である、請求項1から12のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項14】
本体と、
前記本体内に配置された支持基板と、
前記支持基板に配置された第1導電層、前記第1導電層に配置された第2導電層、及び前記第2導電層に配置され、前記第2導電層の側面の少なくとも一部を覆う第3導電層を含むコイル部と、
前記コイル部を覆って前記コイル部と前記本体との間に配置され、前記第1導電層の側面と接する絶縁膜と、
前記本体に互いに離隔して配置され、それぞれ前記コイル部と連結された第1及び第2外部電極と、を備える、コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル部品の1つであるインダクター(inductor)は、抵抗(Resistor)及びキャパシター(Capacitor)とともに電子機器に用いられる代表的な受動電子部品である。
【0003】
薄膜型インダクターは、基板にめっきによりコイル部を形成した後、フィラー及び樹脂を混合させた樹脂複合体を基板に形成及び硬化することで部品本体を製造し、部品本体の外側に外部電極を形成することにより製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の1つは、めっき工程数を減少させながらも、コイル部の高さを増加させることができるコイル部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によると、本体と、上記本体内に配置された支持基板と、上記支持基板の少なくとも一面に配置されたコイル部と、上記本体に互いに離隔して配置され、それぞれ上記コイル部と連結された第1及び第2外部電極と、を含むコイル部品であって、上記コイル部は、上記支持基板に配置された第1導電層と、上記第1導電層に配置され、上記支持基板から離隔した第2導電層と、上記第2導電層に配置され、上記第2導電層の側面の少なくとも一部を覆い、かつ上記第1導電層の側面を露出するように上記支持基板から離隔した第3導電層と、を含む、コイル部品が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によると、めっき工程数を減少させながらも、コイル部の高さを増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態によるコイル部品を概略的に示す図である。
【
図2】
図1のI-I'線に沿った断面を示す図である。
【
図3】
図1のII-II'線に沿った断面を示す図である。
【
図4】
図2のA部分の一例を拡大して概略的に示した図である。
【
図5】
図2のA部分の他の例を拡大して概略的に示した図である。
【
図6】
図2のA部分のさらに他の例を拡大して概略的に示した図である。
【
図7a】
図4に示されたコイル部の製造工程を順に示す図である。
【
図7b】
図4に示されたコイル部の製造工程を順に示す図である。
【
図7c】
図4に示されたコイル部の製造工程を順に示す図である。
【
図7d】
図4に示されたコイル部の製造工程を順に示す図である。
【
図7e】
図4に示されたコイル部の製造工程を順に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本出願で用いられた用語は、特定の実施形態を説明するために用いられたものであるだけで、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は文脈上明確に異なる意味でない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書に記載の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらの組み合わせが存在することを指定するものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらの組み合わせの存在または付加可能性をあらかじめ排除するものではないと理解されるべきである。また、明細書全体において、「上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味し、必ずしも重力方向を基準として上側に位置することを意味するものではない。
【0010】
また、「結合」とは、各構成要素間の接触関系において、各構成要素の間において物理的に直接接触する場合のみを意味するのではなく、他の構成が各構成要素の間に介在し、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触する場合までを包括する概念で用いられる。
【0011】
図面に示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示したものであるため、本発明が必ずしも示されたものに限定されない。
【0012】
図面において、L方向は第1方向または長さ方向、W方向は第2方向または幅方向、T方向は第3方向または厚さ方向と定義されることができる。
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるコイル部品を詳細に説明する。添付図面を参照して説明するにあたり、同一または対応する構成要素には同一の図面番号を付け、これについての重複説明は省略する。
【0014】
電子機器には種々の電子部品が用いられるが、かかる電子部品の間には、ノイズの除去などを目的として種々のコイル部品が適宜用いられることができる。
【0015】
すなわち、電子機器におけるコイル部品は、パワーインダクター(Power Inductor)、高周波インダクター(HF Inductor)、通常のビーズ(General Bead)、高周波用ビーズ(GHz Bead)、コモンモードフィルター(Common Mode Filter)などに用いられることができる。
【0016】
図1は本発明の一実施形態によるコイル部品を概略的に示す図である。
図2は
図1のI-I'線に沿った断面を示す図である。
図3は
図1のII-II'線に沿った断面を示す図である。
図4は
図2のA部分の一例を拡大して概略的に示した図である。
図7aから
図7eは
図4に示されたコイル部の製造工程を順に示す図である。
【0017】
図1から
図4を参照すると、本発明の一実施形態によるコイル部品1000は、本体100と、支持基板200と、コイル部300と、外部電極400、500と、絶縁膜IFと、を含む。
【0018】
本体100は、本実施形態によるコイル部品1000の外観を成すものであって、内部にコイル部300と支持基板200が配置される。
【0019】
本体100は、全体的に六面体形状を有することができる。
【0020】
本体100は、
図1、
図2、及び
図4の方向を基準として、長さ方向(L)に互いに向かい合う第1面101及び第2面102、幅方向(W)に互いに向かい合う第3面103及び第4面104、厚さ方向(T)に向かい合う第5面105及び第6面106を含む。本体100の第1~第4面101、102、103、104はそれぞれ、本体100の第5面105と第6面106を連結する本体100の壁面に該当する。以下では、本体100の両端面(一端面及び他端面)は本体の第1面101及び第2面102を意味し、本体100の両側面(一側面及び他側面)は本体の第3面103及び第4面104を意味し、本体100の一面と他面はそれぞれ本体100の第6面106と第5面105を意味することができる。本体100の第6面106は、本実施形態によるコイル部品1000が印刷回路基板などの実装基板に実装される際に、実装面として提供されることができる。
【0021】
本体100は、例示的に、後述の外部電極400、500が形成された本実施形態によるコイル部品1000が2.0mmの長さ、1.2mmの幅、及び0.65mmの厚さを有するように形成されることができるが、これに制限されるものではない。一方、上述の数値は、工程誤差などを反映していない設計上の数値に過ぎないため、工程誤差と認められる範囲までは、本発明の範囲に属するとすべきである。
【0022】
上述のコイル部品1000の長さとは、コイル部品1000の幅方向(W)の中央部における長さ方向(L)-厚さ方向(T)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡またはSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準に、上記断面写真に示されたコイル部品1000の最外側の境界線を連結し、長さ方向(L)に平行な複数の線分の長さ(dimension)のうち最大値を意味するものであってもよい。または、上記断面写真に示されたコイル部品1000の最外側の境界線を連結し、長さ方向(L)に平行な複数の線分のうち少なくとも2つの長さ(dimension)の算術平均値を意味するものであってもよい。
【0023】
上述のコイル部品1000の厚さとは、コイル部品1000の幅方向(W)の中央部における長さ方向(L)-厚さ方向(T)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡またはSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準に、上記断面写真に示されたコイル部品1000の最外側の境界線を連結し、厚さ方向(T)に平行な複数の線分の長さ(dimension)のうち最大値を意味するものであってもよい。または、上記断面写真に示されたコイル部品1000の最外側の境界線を連結し、厚さ方向(T)に平行な複数の線分のうち少なくとも2つの長さ(dimension)の算術平均値を意味するものであってもよい。
【0024】
上述のコイル部品1000の幅とは、コイル部品1000の厚さ方向(T)の中央部における長さ方向(L)-幅方向(W)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡またはSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準に、上記断面写真に示されたコイル部品1000の最外側の境界線を連結し、幅方向(W)に平行な複数の線分の長さ(dimension)のうち最大値を意味するものであってもよい。または、上記断面写真に示されたコイル部品1000の最外側の境界線を連結し、幅方向(W)に平行な複数の線分のうち少なくとも2つの長さ(dimension)の算術平均値を意味するものであってもよい。
【0025】
または、コイル部品1000の長さ、幅、及び厚さはそれぞれ、マイクロメータ測定法により測定されてもよい。マイクロメータ測定法は、Gage R&R(Repeatability and Reproducibility)されたマイクロメータで零点を設定し、マイクロメータのチップの間に本実施形態によるコイル部品1000を挿入し、マイクロメータの測定レバーを回して測定することができる。一方、マイクロメータ測定法によりコイル部品1000の長さを測定するにあたり、コイル部品1000の長さは、1回測定された値を意味してもよく、複数回測定された値の算術平均を意味してもよい。これは、コイル部品1000の幅及び厚さにも同様に適用可能である。
【0026】
本体100は、絶縁樹脂と、絶縁樹脂に分散されたフィラーと、を含むことができる。フィラーは、誘電材料(dielectric)または磁性材料(magnetic)であることができる。磁性材料はフェライトまたは金属磁性粉末であることができる。誘電材料は有機フィラーまたは無機フィラーであることができる。例えば、本体100は、金属磁性粉末が絶縁樹脂に分散された磁性複合シートを1層以上積層することで形成されることができる。
【0027】
フェライトは、例えば、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系などのスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系などの六方晶型フェライト類、Y系などのガーネット型フェライト、及びLi系フェライトのうち少なくとも1つ以上であることができる。
【0028】
金属磁性粉末は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、及びニッケル(Ni)からなる群から選択される何れか1つ以上を含むことができる。例えば、金属磁性粉末は、純鉄粉末、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、Fe-Ni-Co系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Si-Cu-Nb系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末のうち少なくとも1つ以上であることができる。
【0029】
金属磁性粉末は非晶質または結晶質であることができる。例えば、金属磁性粉末はFe-Si-B-Cr系非晶質合金粉末であることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0030】
無機フィラーとしては、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、硫酸バリウム(BaSO4)、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、ホウ酸アルミニウム(AlBO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、及びジルコン酸カルシウム(CaZrO3)からなる群から選択される少なくとも1つ以上が使用できる。
【0031】
フィラーは、それぞれの平均直径が約0.1μm~30μmであることができるが、これに制限されるものではない。
【0032】
本体100は、樹脂に分散された2種類以上のフィラーを含むことができる。ここで、フィラーが異なる種類とは、樹脂に分散されたフィラーが、平均直径、組成、結晶性、形状、及び磁性特性(例えば、透磁率が同じであるか否か)のうち何れか1つによって互いに区別されることを意味する。
【0033】
一方、以下では、フィラーが金属磁性粉末であることを前提に説明するが、本発明の範囲が、絶縁樹脂に金属磁性粉末が分散された構造を有する本体100のみに及ぶわけではない。
【0034】
絶縁樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独または混合して含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0035】
本体100は、後述の支持基板200及びコイル部300を貫通するコア110を含む。コア110は、磁性複合シートが、コイル部300及び支持基板200のそれぞれの中央部を貫通する貫通孔に充填されることで形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0036】
支持基板200は本体100内に配置される。支持基板200は、後述のコイル部300を支持する構成である。
【0037】
支持基板200は、エポキシ樹脂などの熱硬化性絶縁樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性絶縁樹脂、または感光性絶縁樹脂を含む絶縁材料で形成されるか、このような絶縁樹脂にガラス繊維または無機フィラーなどの補強材が含浸された絶縁材料で形成されることができる。例えば、支持基板200は、プリプレグ(prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)樹脂、PID(Photo Imagable Dielectric)などの絶縁材料で形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0038】
無機フィラーとしては、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、硫酸バリウム(BaSO4)、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、ホウ酸アルミニウム(AlBO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、及びジルコン酸カルシウム(CaZrO3)からなる群から選択される少なくとも1つ以上が使用できる。
【0039】
支持基板200が補強材を含む絶縁材料で形成される場合、支持基板200は、より優れた剛性を提供することができる。支持基板200がガラス繊維を含まない絶縁材料で形成される場合、本実施形態によるコイル部品1000の厚さの薄型化に有利である。また、同一の体積の部品を基準に、コイル部300及び/または磁性材料の有効体積を増加させることができるため、部品特性を向上させることができる。支持基板200が感光性絶縁樹脂を含む絶縁材料で形成される場合、コイル部300の形成のための工程数が減少して生産コストの低減に有利であり、微細なビアを形成することができる。
【0040】
コイル部300は支持基板200に配置され、本体100内に配置される。コイル部300はコイル部品の特性を発現する。例えば、本実施形態のコイル部品1000がパワーインダクターとして活用される場合、コイル部300は、電場を磁場として貯蔵して出力電圧を維持することにより、電子機器の電源を安定させる役割を果たすことができる。
【0041】
コイル部300は、コイルパターン311、312と、ビア320と、引き出しパターン331、332と、を有する。
【0042】
具体的に、
図1から
図3の方向を基準として、本体100の第5面105と向かい合う支持基板200の上面に第1コイルパターン311及び第1引き出しパターン331が配置され、支持基板200の上面と向かい合う支持基板200の下面に第2コイルパターン312及び第2引き出しパターン332が配置される。
【0043】
図1から
図3を参照すると、支持基板200の上面で、第1コイルパターン311が第1引き出しパターン331と接触して連結される。また、支持基板200の下面で、第2コイルパターン312が第2引き出しパターン332と接触して連結される。ビア320は、支持基板200を貫通し、第1コイルパターン311と第2コイルパターン312のそれぞれの内側端部に接触して連結される。第1引き出しパターン331は、本体100の第1面101に露出し、本体100の第1面101に配置された後述の第1外部電極400に接触して連結される。第2引き出しパターン332は、本体100の第2面102に露出し、本体100の第2面102に配置された後述の第2外部電極500に接触して連結される。このようにすることで、コイル部300は、第1外部電極400と第2外部電極500との間に直列連結された1つのコイルとして機能することができる。
【0044】
第1コイルパターン311と第2コイルパターン312はそれぞれ、コア110を軸として少なくとも1つのターン(turn)を形成した平面スパイラル状であることができる。例えば、第1コイルパターン311は、支持基板200の上面において、コア110を軸として少なくとも1つのターン(turn)を形成することができる。
【0045】
コイル部300は、少なくとも3以上の導電層300A、300B、300Cを含むことができる。具体的に、コイル部300は、支持基板200に配置された第1導電層300Aと、第1導電層300Aに配置され、支持基板200から離隔した第2導電層300Bと、第2導電層300Bに配置され、第2導電層300Bの側面の少なくとも一部を覆い、かつ第1導電層300Aの側面を露出するように支持基板200から離隔した第3導電層300Cと、を含む。一方、コイル部300がコイルパターン311、312、ビア320、及び引き出しパターン331、332を有するため、コイルパターン311、312、ビア320、及び引き出しパターン331、332はそれぞれ、第1~第3導電層300A、300B、300Cを含む。以下では、
図4を参照して第1コイルパターン311のみについて説明するが、第2コイルパターン312、第1及び第2引き出しパターン331、332、及びビア320もそれぞれ、第1コイルパターン311で説明する第1~第3導電層300A、300B、300Cを含む。
【0046】
図4を参照すると、第1コイルパターン311は、支持基板200の上面に接触した第1導電層300Aと、第1導電層300Aに配置され、支持基板200から離隔した第2導電層300Bと、第2導電層300Bに配置され、第2導電層300Bの側面の少なくとも一部を覆い、かつ第1導電層300Aの側面を露出するように支持基板200から離隔した第3導電層300Cと、を含む。
【0047】
第1導電層300Aは、第2導電層300Bをめっきにより形成するためのシード層であることができる。第1導電層300Aは、例えば、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、及びクロム(Cr)のうち少なくとも1つを含むことができる。本実施形態では、第1導電層300Aが、例えば、スパッタリングなどの気相蒸着法により形成され、モリブデン(Mo)を含むことができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。第1導電層300Aの厚さは5μm以下であることができる。第1導電層300Aの厚さが5μmを超える場合には、経済的ではない。一方、第1導電層300Aの厚さとは、本体100の幅方向(W)の中央部において本体100の長さ方向(L)-厚さ方向(T)に切り取った断面(LT断面)に対する光学顕微鏡またはSEM写真を基準に、上記写真に示された第1導電層300Aの最外側の境界線のうち厚さ方向(T)に向かい合う2つの境界線を連結し、厚さ方向(T)に平行な複数の線分のそれぞれの長さ(dimension)のうち最大値を意味するものであってもよい。または、上記断面写真に示された第1導電層300Aの最外側の境界線のうち厚さ方向(T)に向かい合う2つの境界線を連結し、厚さ方向(T)に平行な複数の線分のそれぞれの長さ(dimension)のうち最小値を意味するものであってもよい。または、上記断面写真に示された第1導電層300Aの最外側の境界線のうち厚さ方向(T)に向かい合う2つの境界線を連結し、厚さ方向(T)に平行な複数の線分のうち少なくとも2つの長さ(dimension)の算術平均値を意味するものであってもよい。一方、第1導電層300Aの厚さを前述の方法により算出するにあたり、コイル部300が複数のターン(turn)を有する場合には、何れか1つのターンにおける第1導電層300Aに対してのみ前述の方法を適用して第1導電層300Aの厚さを算出してもよく、少なくとも2つのターンのそれぞれにおいて、前述の方法により各ターンにおける第1導電層300Aの厚さを算出し、それらの算術平均値を第1導電層300Aの厚さとしてもよい。
【0048】
第2導電層300Bは、第1導電層300Aに配置され、支持基板200から離隔する。すなわち、第2導電層300Bは、第1導電層300Aの側面を露出する形態で、第1導電層300Aに接触するように配置されることができる。例えば、
図4と、
図7aから
図7dを参照すると、第1及び第2導電層300A、300Bは、支持基板200の上面の全体に金属膜300A'を形成し(
図7a)、金属膜300A'に第2導電層形成用めっきレジストRを形成し(
図7a)、めっきレジストの開口部Oに第2導電層300Bを充填し(
図7b)、支持基板200の上面からめっきレジストRを除去し(
図7c)、金属膜300A'のうち、めっきレジストRの除去により外部に露出した部分を除去することで形成されることができる(
図7d)。このような例示的な製造工程により第1及び第2導電層300A、300Bを形成することで、第2導電層300Bが第1導電層300Aの側面を露出することができる。
【0049】
第2導電層300Bは、第1導電層300Aをシード層として電解めっきにより形成されることができる。第2導電層300Bは、第1導電層300Aと異なる金属を含むことができる。例えば、第1導電層300Aがモリブデン(Mo)を含む場合、第2導電層300Bは、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、及び銅(Cu)のうち少なくとも1つを含むことができ、一例として、第2導電層300Bは電解銅めっき層であることができる。第2導電層300Bの厚さTaは、例えば、100μm以上200μm以下であることができるが、これに制限されるものではない。第2導電層300Bは、第1導電層300Aと接する下面の面積が、上面の面積と同一であることができる。すなわち、第2導電層300Bは、支持基板200の一面に垂直な断面(例えば、
図2及び
図4のような長さ方向(L)-厚さ方向(T)の断面)を基準として長方形の断面形状を有することができる。
【0050】
隣接したターンにおいて、第2導電層300B間の離隔距離(space)S1は10μm以下であることができる。後述のように、第2導電層300Bの側面において、第3導電層300Cの幅成長(
図4の方向を基準として長さ方向(L)への成長)が極めて制限されるため、第2導電層300Bの隣接したターン間の離隔距離S1を10μm以下にしても、コイル部300の第3導電層300Cの隣接したターン間の電気的短絡のリスクが少ない。一方、第2導電層300B間の離隔距離S1とは、本体100の幅方向(W)の中央部において本体100の長さ方向(L)-厚さ方向(T)切り取った断面(LT断面)に対する光学顕微鏡またはSEM写真を基準に、上記写真に示されたコイル部300の隣接したターンにおける第2導電層300B間の互いに向かい合う境界線を連結し、長さ方向(L)に平行な複数の線分のそれぞれの長さ(dimension)のうち最大値を意味するものであってもよい。または、上記断面写真に示されたコイル部300の隣接したターンにおける第2導電層300B間の互いに向かい合う境界線を連結し、長さ方向(L)に平行な複数の線分のそれぞれの長さ(dimension)のうち最小値を意味するものであってもよい。または、上記断面写真に示されたコイル部300の隣接したターンにおける第2導電層300B間の互いに向かい合う境界線を連結し、長さ方向(L)に平行な複数の線分のうち少なくとも2つの長さ(dimension)の算術平均値を意味するものであってもよい。
【0051】
第3導電層300Cは、第2導電層300Bに配置され、第2導電層300Bの側面の少なくとも一部を覆い、かつ第1導電層300Aの側面を露出するように支持基板200から離隔する。第3導電層300Cは第2導電層300Bの上面と下面との間のレベルに位置するため、第3導電層300Cは、第2導電層300Bの側面の少なくとも一部を覆い、かつ第1導電層300Aの側面を露出させる。
【0052】
第3導電層300Cは、第2導電層300Bをシード層として電解めっきにより形成されることができる。第3導電層300Cは、第2導電層300Bの上面に配置された領域の厚さ(dimension)duが、第2導電層300Bの側面に配置された領域の幅(dimension)dsよりも大きいことができる。すなわち、第3導電層300Cは、横方向への成長に比べて、縦方向への成長がより大きい異方的形状を有することができる。第3導電層300Cの異方的形状により(du>>ds)、第3導電層300Cが形成された最終コイルの隣接したターン間の電気的短絡(short-circuit、S2≠0)を防止するとともに、コイル部300を構成する導体の断面積をさらに増加させることができる。例えば、第3導電層300Cは、第2導電層300Bに異方性めっきを行うことで形成されることができるが、この場合、最終コイルの厚さTbを基準として、総工程数を減少させることができる。すなわち、最終コイルの厚さTbが100μmを超えるように実現するに際し、めっきレジストを用いたパターンめっき法により最終コイルを実現する場合、現在の技術の限界上、少なくとも2以上のめっきレジスト及び少なくとも2以上のめっき工程が必要である。しかし、本実施形態では、めっきレジストを用いたパターンめっきにより第2導電層300Bを形成し、第2導電層300Bをシード層として異方性めっきにより第3導電層300Cを形成するため、従来技術に比べて、少なくとも1回のめっきレジストの積層、露光、及び現像工程を省略することができる。
【0053】
一方、第3導電層300Cのうち第2導電層300Bの上面に配置された領域の厚さ(dimension)duとは、本体100の幅方向(W)の中央部において本体100の長さ方向(L)-厚さ方向(T)に切り取った断面(LT断面)に対する光学顕微鏡またはSEM写真を基準に、上記写真に示された第2導電層300Bの上面に該当する境界線と、第3導電層300Cの上面に該当する境界線とを厚さ方向(T)に連結する複数の線分のそれぞれの厚さ方向(T)に沿った長さ(dimension)のうち最大値を意味するものであってもよい。または、上記断面写真に示された第2導電層300Bの上面に該当する境界線と、第3導電層300Cの上面に該当する境界線とを厚さ方向(T)に連結する複数の線分のそれぞれの厚さ方向(T)に沿った長さ(dimension)のうち最小値を意味するものであってもよい。または、上記断面写真に示された第2導電層300Bの上面に該当する境界線と、第3導電層300Cの上面に該当する境界線とを厚さ方向(T)に連結する複数の線分のうち少なくとも2つの厚さ方向(T)に沿った長さ(dimension)の算術平均値を意味するものであってもよい。また、第3導電層300Cのうち第2導電層300Bの側面に配置された領域の幅(dimension)dsとは、本体100の幅方向(W)の中央部において本体100の長さ方向(L)-厚さ方向(T)に切り取った断面(LT断面)に対する光学顕微鏡またはSEM写真を基準に、上記写真に示された第2導電層300Bの側面を厚さ方向(T)に延ばした仮想の線と、第3導電層300Cの側面を厚さ方向(T)に延ばした仮想の線とを長さ方向(L)に連結する複数の線分のそれぞれの長さ(dimension)のうち最大値を意味するものであってもよい。または、上記断面写真に示された第2導電層300Bの側面を厚さ方向(T)に延ばした仮想の線と、第3導電層300Cの側面を厚さ方向(T)に延ばした仮想の線とを長さ方向(L)に連結する複数の線分のそれぞれの長さ(dimension)のうち最小値を意味するものであってもよい。または、上記断面写真に示された第2導電層300Bの側面を厚さ方向(T)に延ばした仮想の線と、第3導電層300Cの側面を厚さ方向(T)に延ばした仮想の線とを長さ方向(L)に連結する複数の線分のうち少なくとも2つの長さ(dimension)の算術平均値を意味するものであってもよい。
【0054】
第3導電層300Cは、支持基板200の上面に垂直な断面(cross-section)で、上部側が上部に凸の形状であることができる。すなわち、第3導電層300Cの上面は、上に凸の形態の曲面であることができる。この場合、第3導電層300Cの角張った部分を最小化することができるため、コイル部300の直流抵抗(Rdc)を減少させることができる。
【0055】
第3導電層300Cは、例えば、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、及びクロム(Cr)のうち少なくとも1つを含むことができる。本実施形態では、第3導電層300Cが銅異方性めっき層であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0056】
例えば、第1コイルパターン311、ビア320、及び第1引き出しパターン331を支持基板200の上面側にめっきにより形成する場合、第1コイルパターン311、ビア320、及び第1引き出しパターン331のそれぞれの第1導電層300Aは同一の工程でともに形成され、互いに一体に形成されることができる。すなわち、第1コイルパターン311、ビア320、及び第1引き出しパターン331のそれぞれの第1導電層300Aの間には、相互間に境界が形成されないことができる。
【0057】
絶縁膜IFは、コイル部300と本体100との間、及び、支持基板200と本体100との間に配置される。絶縁膜IFは、コイルパターン311、312及び引き出しパターン331、332が形成された支持基板200の表面に沿って形成されることができるが、これに制限されるものではない。絶縁膜IFは、コイル部300と本体100を絶縁させるためのものであって、パリレンなどの公知の絶縁材料を含むことができるが、これに制限されるものではない。他の例として、絶縁膜IFは、パリレンではなくエポキシ樹脂などの絶縁材料を含んでもよい。絶縁膜IFは気相蒸着法により形成されることができるが、これに制限されるものではない。さらに他の例として、絶縁膜IFは、コイル部300が形成された支持基板200の両面に、絶縁膜IFを形成するための絶縁フィルムを積層及び硬化することで形成されてもよく、コイル部300が形成された支持基板200の両面に、絶縁膜IFを形成するための絶縁ペーストを塗布及び硬化することで形成されてもよい。絶縁膜IFは、コイル部300のターン間の離隔空間を満たす形態で形成されることができるが、この場合、絶縁膜IFは第1及び第2導電層300A、300Bのそれぞれの側面と接するようになる。
【0058】
第1及び第2外部電極400、500は、本体100の第6面106に互いに離隔して配置される。本実施形態では、第1及び第2外部電極400、500は、本体100の第1及び第2面101、102をそれぞれ覆い、本体100の第3~第6面103、104、105、106のそれぞれの少なくとも一部に延びる。具体的に、第1外部電極400は、本体100の第1面101を覆い、本体100の第1面101に露出した第1引き出しパターン331と接触して連結され、本体100の第1面101から本体100の第3~第6面103、104、105、106のそれぞれの少なくとも一部に延びる。第2外部電極500は、本体100の第2面102を覆い、本体100の第2面102に露出した第2引き出しパターン332と接触して連結され、本体100の第2面102から本体100の第3~第6面103、104、105、106のそれぞれの少なくとも一部に延びる。
【0059】
外部電極400、500は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、またはこれらの合金などの導電性材料で形成されることができるが、これに限定されるものではない。外部電極400、500は、単層または複数層の構造で形成されることができる。例えば、第1外部電極400は、本体100に配置された第1層と、第1層に配置された第2層と、を含むことができる。第1層は、銅(Cu)めっき層または導電性樹脂層であることができる。導電性樹脂層は、銅(Cu)及び/または銀(Ag)を含む導電性粉末が樹脂に分散された導電性ペーストを本体100に塗布及び硬化することで形成されることができる。第2層は、ニッケル(Ni)及びスズ(Sn)を含むことができる。第2層は、例えば、第1層に配置されてニッケル(Ni)を含むニッケルめっき層と、ニッケルめっき層に配置されてスズ(Sn)を含むスズめっき層と、を含むことができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0060】
以下では、
図7aから
図7eを参照して、
図4に示されたコイル部の製造方法の一例を説明する。
【0061】
先ず、
図7aを参照すると、支持基板200に金属膜300A'とめっきレジストRを形成する。
【0062】
金属膜300A'は、後続工程により上述の第1導電層300Aになる構成であり、コイル部300の第2導電層300Bをめっきにより形成するためのシード層であることができる。
【0063】
金属膜300A'は、支持基板200の一面全体に形成される。一方、支持基板200には、前述のビア320を形成するためのビアホールが形成されていることができるが、金属膜300A'は、支持基板の一面及びビアホールの内壁全体を覆う形態で形成されることができる。
【0064】
金属膜300A'は、無電解めっき工程またはスパッタリングなどの気相蒸着工程により形成されることができる。金属膜300A'は、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、またはこれらの合金のうち少なくとも1つを含み、少なくとも1つ以上の層で形成されることができる。金属膜300A'は、例えば、モリブデン(Mo)を含むことができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0065】
めっきレジストRは、第2導電層300Bを選択的にめっきにより形成するためのめっきレジストである。めっきレジストRは、金属膜300A'が形成された支持基板200の一面全体に絶縁壁形成用絶縁材料を形成した後、第2導電層300Bの線幅Waと同一の直径の開口部O、及び第2導電層300Bの離隔距離S1と同一の線幅を有するようにパターニングされることができる。開口部Oはフォトリソグラフィにより形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0066】
めっきレジストRは、例えば、環状ケトン化合物及びヒドロキシ基を有するエーテル化合物を主成分として含む感光性物質を含むことができる。この際、環状ケトン化合物は、例えば、シクロペンタノンなどであることができ、ヒドロキシ基を有するエーテル化合物は、例えば、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどであることができる。または、絶縁壁20は、ビスフェノール系エポキシ樹脂を主成分として含む感光性物質を含むことができる。この際、ビスフェノール系エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテルビスフェノールAポリマー樹脂などであることができるが、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【0067】
次に、
図7bを参照すると、めっきレジストRの開口部Oに第2導電層300Bを形成する。
【0068】
第2導電層300Bは、金属膜300A'をシード層とし、めっきレジストRの開口部Oをめっき充填することで形成されることができる。第2導電層300Bは、例えば、銅(Cu)を含むことができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。一方、第2導電層300Bは、めっきレジストRの厚さを超える厚さで過めっきされてから、めっきレジストRの上面を露出するように研磨したものであることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。第2導電層300Bは、単一のめっき工程により形成され、内部に界面が存在しないか、少なくとも2回のめっき工程を経て形成され、内部に界面が存在することができる。
【0069】
次に、
図7cを参照すると、めっきレジストRを除去する。
【0070】
めっきレジストRは剥離液により除去されるか、レーザーにより除去されることができる。
【0071】
次に、
図7dを参照すると、金属膜300A'を除去する。
【0072】
めっきレジストRの除去により露出した金属膜300A'は、化学エッチング(wet etching)により除去され、前述の第1導電層300Aになる。金属膜300A'と第2導電層300Bは互いに異なる金属を含むため、金属膜300A'の除去工程において第2導電層300Bは除去されないことができる。これにより、コイルの導体損失を防止することができる。
【0073】
次に、
図7eを参照すると、第3導電層300Cを形成する。
【0074】
第3導電層300Cは、第2導電層300Bをシード層とし、隣接した第2導電層300Bのターン間の離隔空間に別のめっきレジストを形成せず、異方性めっきにより形成されることができる。
【0075】
その後、前述の絶縁膜IFの形成工程及び本体100の形成工程が後続する。
【0076】
図5は
図2のA部分の他の例を拡大して概略的に示した図である。
図6は
図2のA部分のさらに他の例を拡大して概略的に示した図である。
【0077】
図5を参照すると、本発明の他の実施形態では、第2導電層300Bは、第1導電層300Aと接する下面の面積が、上面の面積よりも大きいことができる。これは、例えば、前述の第2導電層300Bをめっきにより形成するためのめっきレジストRの開口部Oの直径を、めっきレジストRの下面で大きくし、めっきレジストRの上面で小さくすることで実現されることができる。本実施形態では、第2導電層300Bの下面の面積が第2導電層300Bの上面の面積よりも大きいため、第2導電層300Bの側面が傾斜するようになり、その結果、第3導電層300Cと第2導電層300Bとの接触面積が増加して接触抵抗などが減少し、部品特性が向上することができる。
【0078】
支持基板200の上面に平行な断面の面積を断面積としたときに、第2導電層300Bの断面積は、第2導電層300Bの上面から第2導電層300Bの下面に向かうにつれて増加することができる。すなわち、支持基板200の上面に垂直な断面を基準として、第2導電層300Bは上部から下部に向かうにつれて幅が増加する逆テーパの断面形状を有することができる。
【0079】
図6を参照すると、本発明のさらに他の実施形態では、コイル部300は、第3導電層300Cに配置され、第3導電層300Cの側面の少なくとも一部を露出する第4導電層300Dをさらに含むことができる。すなわち、本発明の一実施形態とは異なって本実施形態では、コイル部300は、最終コイル構造が4層以上の構造を有することができる。第4導電層300Dをさらに形成することで、導体であるコイル部300の体積を増加させることができる。
【0080】
第4導電層300Dは、第3導電層300Cと同様に、横方向への成長は抑制され、縦方向への成長程度が著しく大きい異方的形状であることができる。すなわち、第4導電層300Dのうち第3導電層300Cの上面に配置された領域の厚さ(dimension)が、第4導電層300Dのうち第3導電層300Cの側面に配置された領域の幅(dimension)よりも大きいことができる。例えば、第4導電層300Dは、第3導電層300Cに異方性めっきを行うことで形成されることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0081】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当技術分野において通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載の本発明の思想から外れない範囲内で、構成要素の付加、変更、または削除などによって本発明を多様に修正及び変更可能であり、これも本発明の権利範囲内に含まれるといえる。
【符号の説明】
【0082】
100 本体
110 コア
200 支持基板
300 コイル部
311、312 コイルパターン
320 ビア
331、332 引き出しパターン
400、500 外部電極
IF 絶縁膜
1000 コイル部品