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特開2022-104518スパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体、その製造方法及びスパッタリングターゲットの回収方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104518
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】スパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体、その製造方法及びスパッタリングターゲットの回収方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
C23C14/34 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144277
(22)【出願日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】P 2020218600
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000136561
【氏名又は名称】株式会社フルヤ金属
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】丸子 智弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄
(72)【発明者】
【氏名】大友 将平
(72)【発明者】
【氏名】中村 紘暢
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029DC04
4K029DC05
4K029DC08
4K029DC22
4K029DC23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本開示は、曲げ強度の低いターゲットを用いた場合や、ターゲットとバッキングプレートとの線膨張係数の差が大きく異なる場合であっても、ターゲットの破損や剥離が抑制でき、不純物の揮発による汚染が抑制でき、ターゲット材として使われる高価な材料の損失を抑制しながら、ターゲット材の剥離回収を容易にすることができるスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体を提供する。
【解決手段】本開示に係る接合体は、バッキングプレート1及びスパッタリングターゲット2は、いずれか一方が鉤状部6を有し、他方が鉤受け部10を有し、鉤状部と鉤受け部とは当接し合っており、スパッタリングターゲット2の鉤状部又は鉤受け部は、外周側面9に設けられており、かつ、鉤状部6が鉤受け部10に当接することによって、スパッタリングターゲット2がバッキングプレート1に固定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッキングプレートにスパッタリングターゲットが接合されたスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体において、
前記バッキングプレートは、プレート面と、プレート裏面と、プレート側面と、を有し、
前記スパッタリングターゲットは、ターゲット面と、前記プレート面と向かい合うターゲット裏面と、外周側面と、を有し、
前記バッキングプレート及び前記スパッタリングターゲットは、いずれか一方がさらに鉤状部を有し、他方がさらに鉤受け部を有し、該鉤状部と該鉤受け部とは当接し合っており、
前記スパッタリングターゲットの鉤状部又は鉤受け部は、前記スパッタリングターゲットの外周側面に設けられており、かつ、
前記鉤状部が前記鉤受け部に当接することによって、前記スパッタリングターゲットが前記バッキングプレートに固定されることを特徴とするスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体。
【請求項2】
前記バッキングプレートは前記プレート面に凸部を有し、該凸部が前記鉤状部又は前記鉤受け部を有することを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体。
【請求項3】
前記バッキングプレートは前記プレート面又は前記プレート側面に留め具を有し、該留め具が前記鉤状部又は前記鉤受け部を有することを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体。
【請求項4】
前記留め具は側面の一部を残して前記外周側面に入り込んでおり、
前記留め具は前記バッキングプレートに固定されていることを特徴とする請求項3に記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体。
【請求項5】
前記留め具の側面が前記外周側面から突出しており、
少なくとも前記留め具の突出した部分が前記バッキングプレートに固定されていることを特徴とする請求項3に記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体。
【請求項6】
前記バッキングプレートは前記プレート面に凹部を有し、
前記バッキングプレートは前記凹部に留め具を有し、
該留め具が前記鉤状部又は前記鉤受け部を有し、
前記スパッタリングターゲットの少なくとも一部と前記留め具の少なくとも一部は前記凹部に嵌め込まれており、
前記バッキングプレートの凹部に前記留め具が固定されていることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体。
【請求項7】
前記バッキングプレートは前記プレート面に凹部を有し、
前記バッキングプレートは前記凹部の内周側面に前記鉤状部又は前記鉤受け部を有し、
前記スパッタリングターゲットの一部は前記凹部に嵌め込まれていることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体。
【請求項8】
前記鉤状部は第1の凹凸形状部を有し、前記鉤受け部は前記第1の凹凸形状部に合わさる第2の凹凸形状部を有することを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体。
【請求項9】
前記鉤状部は前記バッキングプレートから前記スパッタ面への方向における鉤先端が最大引っ掛かり箇所となる鉤形を有し、前記鉤受け部は前記鉤形に合わさる鉤穴を有することを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体。
【請求項10】
前記スパッタリングターゲットと前記バッキングプレートの界面に2.5mm以下の中間層を有し、該中間層は、Ni、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種の金属又はNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種を含む合金からなる板材、粉末、又は該板材と該粉末の組み合わせからなることを特徴とする請求項1~9のいずれか一つに記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体。
【請求項11】
前記スパッタリングターゲットと前記バッキングプレートの界面に10μm以下の中間層を有し、該中間層は、Ni、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種の金属又はNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種を含む合金からなる薄膜であることを特徴とする請求項1~9のいずれか一つに記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体。
【請求項12】
前記スパッタリングターゲットと前記バッキングプレートの界面に1.0mm以下の中間層を有し、該中間層は、In、Znの少なくともいずれか一種の金属又はIn、Znの少なくともいずれか一種を含む合金からなる板材、粉末、又は該板材と該粉末の組み合わせからなることを特徴とする請求項1~9のいずれか一つに記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体。
【請求項13】
前記スパッタリングターゲットと前記バッキングプレートの界面に2層以上の中間層を有し、該中間層は、
2.5mm以下のNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種の金属又はNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種を含む合金からなる板材、粉末、又は該板材と該粉末の組み合わせ、
10μm以下のNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種の金属又はNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種を含む合金からなる薄膜、または、
1.0mm以下のIn、Znの少なくともいずれか一種の金属又はIn、Znの少なくともいずれか一種を含む合金からなる板材、粉末、又は該板材と該粉末の組み合わせからなることを特徴とする請求項1~9のいずれか一つに記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体。
【請求項14】
前記スパッタリングターゲットの材質がAl-Sc合金、Ru、Ru合金、Ir、又はIr合金であることを特徴とする請求項1~13のいずれか一つに記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体。
【請求項15】
前記スパッタリングターゲットの材質がLi系酸化物、Co系酸化物、Ti系酸化物又はMg系酸化物であることを特徴とする請求項1~13のいずれか一つに記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体。
【請求項16】
前記バッキングプレートの材質がAl、Al合金、Cu、Cu合金、Fe又はFe合金であり、前記バッキングプレートの線膨張係数が30.0×10-6/℃以下であることを特徴とする請求項1~15のいずれか一つに記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体。
【請求項17】
プレート面とプレート裏面とプレート側面と鉤状部又は鉤受け部のいずれか一方とを有するバッキングプレート、及び、ターゲット面とターゲット裏面と外周側面と該外周側面に設けられた前記鉤状部又は前記鉤受け部の他方とを有するスパッタリングターゲットを準備する工程1と、
前記バッキングプレートを加熱して熱膨張させる工程2と、
前記プレート面と前記ターゲット裏面とが向かい合わせになるように、かつ、前記鉤受け部と前記鉤状部とが向かい合わせになるように、前記スパッタリングターゲットと前記バッキングプレートとを配置する工程3と、
前記スパッタリングターゲットと前記バッキングプレートとを冷却して、前記鉤受け部に前記鉤状部を当接させることによって、前記スパッタリングターゲットを前記バッキングプレートに固定する工程4と、を有することを特徴とするスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法。
【請求項18】
前記工程4の後に、前記スパッタリングターゲットの前記ターゲット面から前記バッキングプレートへの押圧又は前記スパッタリングターゲット及び前記バッキングプレートの加熱と前記スパッタリングターゲットの前記ターゲット面から前記バッキングプレートへの押圧の工程、及び、前記スパッタリングターゲット及び前記バッキングプレートの冷却の工程を1組として1回行う又は2回以上繰り返し行うことを特徴とする請求項17に記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法。
【請求項19】
プレート面とプレート裏面とプレート側面とを有するバッキングプレート、鉤状部又は鉤受け部のいずれか一方を有する留め具、及び、ターゲット面とターゲット裏面と外周側面と該外周側面に前記鉤状部又は前記鉤受け部の他方とを有するスパッタリングターゲットを準備する工程1と、
前記プレート面と前記ターゲット裏面とが向かい合わせになるように、前記スパッタリングターゲットと前記バッキングプレートとを配置する工程2と、
前記留め具を前記プレート面又は前記プレート側面に配置し、かつ、前記鉤受け部と前記鉤状部とが向かい合わせになるように、前記スパッタリングターゲットと前記留め具とを配置する工程3と、
該工程3の配置状態で前記留め具を前記バッキングプレートに固定する工程4と、
を有することを特徴とするスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法。
【請求項20】
前記工程4の後に、前記スパッタリングターゲットの前記ターゲット面から前記バッキングプレートへの押圧又は前記スパッタリングターゲット及び前記バッキングプレートの加熱と前記スパッタリングターゲットの前記ターゲット面から前記バッキングプレートへの押圧の工程、及び、前記スパッタリングターゲット及び前記バッキングプレートの冷却の工程を1組として1回行う又は2回以上繰り返し行うことを特徴とする請求項19に記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法。
【請求項21】
請求項1~16のいずれか一つに記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体を加熱して、前記鉤受け部から前記鉤状部を離すまで熱膨脹させる工程Aと、
前記スパッタリングターゲットを前記バッキングプレートから取り外して、前記スパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体から前記スパッタリングターゲットを回収する工程Bと、有することを特徴とするスパッタリングターゲットの回収方法。
【請求項22】
請求項3に記載のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の前記留め具は前記バッキングプレートに固定されており、
前記留め具を前記バッキングプレートから取り外して、前記スパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体から前記スパッタリングターゲットを回収する工程Cを有することを特徴とするスパッタリングターゲットの回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、HDD(ハードディスクドライブ)、半導体等の製造工程で使用されるスパッタリング装置に設置するための好適なスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体、その製造方法及びスパッタリングターゲットの回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スパッタリングターゲットをHDD、半導体等の製造工程で使用されるスパッタリング装置に設置するために、一般的には、バッキングプレートと呼ばれる部材にスパッタリングターゲットを接合したスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体が用いられる。スパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体において、バッキングプレートを固定することによって、バッキングプレートを介してスパッタリングターゲットがスパッタリング装置に設置されることとなる。
【0003】
バッキングプレートは、スパッタリングターゲットを支持する部材であり、またプラズマに晒される事によるスパッタリングターゲットの温度の上昇を抑制するための冷却を担う部材であることから、銅系材料、アルミニウム系材料などの熱伝導の高い材料で形成される。また、スパッタリングターゲットとバッキングプレートとは熱伝導のために密着性が維持されていなければならない。
【0004】
スパッタリングターゲットとバッキングプレートとの接合は、一般的にボンディングと呼ばれる、インジウムやスズなどの低融点で真空における蒸気圧の低い材料をインサート材として使用する接合方法や、導電性を有する樹脂を用いて接合する方法が行われている。
【0005】
しかし、スパッタリングターゲットの温度が、インサート材として使用しているインジウムやスズなどの融点より上昇してしまうと、インジウムやスズが揮発することにより成膜した膜に不純物として混入することがあり、高純度が要求される用途においては致命的な問題となる。
【0006】
ボンディングの問題を解決するために、インサート材となる低融点金属を使用せずにスパッタリングターゲットとバッキングプレートに向かい合わせの圧力を掛け、温度を上げた状態で時間を掛けて拡散接合を行う技術がある(例えば、特許文献1~3を参照。)。
【0007】
特許文献1では、耐力15~20kgf/mmの耐力15~20kgf/mm耐力15~20kgf/mmタンタルからなるスパッタリングターゲットに対してバッキングプレートの耐力がスパッタリングターゲットの耐力よりも同じ又は高い材料とし、スパッタリングターゲットとバッキングプレートとを拡散接合した組立体とすることにより、熱膨張と収縮によって生じるスパッタリングターゲットの反りの方向を制御していることが開示されている。
【0008】
特許文献2では、1000℃以上の融点を有するターゲット材と、該ターゲット材の融点よりも低い融点を有する金属または合金から選択される1種以上のインサート材と、バッキングプレートとを固相拡散接合することで100%接合率の高い密着性と高い接合強度が得られることが開示されている。
【0009】
特許文献3では、スパッタリングターゲットの全面を埋め込むサンドイッチ構造とした後に、熱間等静水圧圧縮(HIP)や単軸熱間圧縮(UHP)で400-600℃に加熱圧縮を施して拡散接合させ、その後、スパッタリングターゲットとバッキングプレートを削り出すことでアセンブリを作製する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2015-183258号公報
【特許文献2】特開平06-108246号公報
【特許文献3】特表2014-511436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1に記載の発明のように、曲げ強度の低い材料で形成されたスパッタリングターゲットの場合、スパッタリングターゲットとバッキングプレートとの線膨張係数の差が大きく異なると、高温で拡散接合したのち冷却して熱収縮したときにスパッタリングターゲットが破損することがある。そのため、拡散接合を低温で行うこともあるが、拡散接合しないか十分な強度が得られない。
【0012】
また、線膨張係数の差が大きく異なるスパッタリングターゲットとバッキングプレートとを、加熱と加圧によって拡散接合のみ行っても、スパッタリングターゲットの使用時において、温度の上昇下降を繰り返すと接合界面に疲労が蓄積して破壊し、剥離することがある。
【0013】
また、特許文献2に記載の発明では、スパッタリングターゲットの使用時において、温度がインサート材の融点まで上昇するとインサート材が溶融されてスパッタリングターゲットが剥離することもある。この様な傾向は、大型のターゲットを使用し、高純度を要求される半導体製造で発生しやすい。
【0014】
また、線膨張係数の差を緩和するためにスパッタリングターゲットとバッキングプレートの中間付近の線膨張係数を持つインサート材を入れるなどの応力を緩和させる手段もあるが、ボンディングによって金属接合したときや導電性樹脂を使用して接合したときと同様に、インサート材が揮発し、不純物の混入の問題が解決されない。
【0015】
また、特許文献3に記載の発明では、スパッタリングターゲットとバッキングプレートは強固な拡散接合が形成されるまで行われるため、スパッタリングターゲットとバッキングプレートとの線膨張係数の差が大きく、かつ、スパッタリングターゲットの材質によっては、スパッタリングターゲットの拡散接合工程において、スパッタリングターゲットの割れが発生することがある。
【0016】
そこで、本開示の目的は、曲げ強度の低いスパッタリングターゲットを用いた場合や、スパッタリングターゲットとバッキングプレートとの線膨張係数の差が大きく異なる場合であっても、スパッタリングターゲットの破損や剥離が抑制でき、また、不純物の揮発による汚染が抑制でき、さらには、ターゲット材として使われる高価な材料の損失を抑制しながら、ターゲット材の剥離回収を容易にすることができるスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体、その製造方法及びスパッタリングターゲットの回収方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、鋭意検討した結果、バッキングプレートに鉤状部又は鉤受け部のいずれか一方を設け、スパッタリングターゲットの外周側面に鉤状部又は鉤受け部の他方を設け、鉤状部を鉤受け部に当接させ、スパッタリングターゲットをバッキングプレートに固定する構造とすることにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体は、バッキングプレートにスパッタリングターゲットが接合されたスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体において、前記バッキングプレートは、プレート面と、プレート裏面と、プレート側面と、を有し、前記スパッタリングターゲットは、ターゲット面と、前記プレート面と向かい合うターゲット裏面と、外周側面と、を有し、前記バッキングプレート及び前記スパッタリングターゲットは、いずれか一方がさらに鉤状部を有し、他方がさらに鉤受け部を有し、該鉤状部と該鉤受け部とは当接し合っており、前記スパッタリングターゲットの鉤状部又は鉤受け部は、前記スパッタリングターゲットの外周側面に設けられており、かつ、前記鉤状部が前記鉤受け部に当接することによって、前記スパッタリングターゲットが前記バッキングプレートに固定されることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体では、前記バッキングプレートは前記プレート面に凸部を有し、該凸部が前記鉤状部又は前記鉤受け部を有することが好ましい。スパッタリングターゲットの側面方向におけるスパッタリングターゲットとバッキングプレートとの接合強度を向上させることに加え、スパッタリングターゲットの厚さ方向に対してもスパッタリングターゲットとバッキングプレートとの接合強度を向上させることができ、その結果、スパッタリングターゲットの使用時の接合強度を保ち、熱伝導を良好に保つことができる。
【0019】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体では、前記バッキングプレートは前記プレート面又は前記プレート側面に留め具を有し、該留め具が前記鉤状部又は前記鉤受け部を有することが好ましい。スパッタリングターゲットの側面方向におけるスパッタリングターゲットとバッキングプレートとの接合強度を向上させることに加え、スパッタリングターゲットの厚さ方向に対してもスパッタリングターゲットとバッキングプレートとの接合強度を向上させることができ、その結果、スパッタリングターゲットの使用時の接合強度を保ち、熱伝導を良好に保つことができる。
【0020】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体では、前記留め具は側面の一部を残して前記外周側面に入り込んでおり、前記留め具は前記バッキングプレートに固定されていることが好ましい。スパッタリングターゲットの側面方向におけるスパッタリングターゲットとバッキングプレートとの接合強度を向上させることに加え、スパッタリングターゲットの厚さ方向に対してもスパッタリングターゲットとバッキングプレートとの接合強度を向上させることができ、その結果、スパッタリングターゲットの使用時の接合強度を保ち、熱伝導を良好に保つことができる。
【0021】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体では、前記留め具の側面が前記外周側面から突出しており、少なくとも前記留め具の突出した部分が前記バッキングプレートに固定されていることが好ましい。留め具を前記スパッタリングターゲットの外周側面に固定した後でも留め具を前記バッキングプレートに固定することができる。
【0022】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体では、前記バッキングプレートは前記プレート面に凹部を有し、前記バッキングプレートは前記凹部に留め具を有し、該留め具が前記鉤状部又は前記鉤受け部を有し、前記スパッタリングターゲットの少なくとも一部と前記留め具の少なくとも一部は前記凹部に嵌め込まれており、前記バッキングプレートの凹部に前記留め具が固定されていることが好ましい。バッキングプレートのプレート面に対して留め具の位置を調整しながら留め具をバッキングプレートに固定することができる。
【0023】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体では、前記バッキングプレートは前記プレート面に凹部を有し、前記バッキングプレートは前記凹部の内周側面に前記鉤状部又は前記鉤受け部を有し、前記スパッタリングターゲットの一部は前記凹部に嵌め込まれていることが好ましい。スパッタリングターゲットの側面方向におけるスパッタリングターゲットとバッキングプレートとの接合強度を向上させることに加え、スパッタリングターゲットの厚さ方向に対してもスパッタリングターゲットとバッキングプレートとの接合強度を向上させることができ、その結果、スパッタリングターゲットの使用時の接合強度を保ち、熱伝導を良好に保つことができる。
【0024】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体では、前記鉤状部は第1の凹凸形状部を有し、前記鉤受け部は前記第1の凹凸形状部に合わさる第2の凹凸形状部を有することが好ましい。スパッタリングターゲットの側面方向におけるスパッタリングターゲットとバッキングプレートとの接合強度を向上させることに加え、スパッタリングターゲットの厚さ方向に対してもスパッタリングターゲットとバッキングプレートとの接合強度を向上させることができ、その結果、スパッタリングターゲットの使用時の接合強度を保ち、熱伝導を良好に保つことができる。
【0025】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体では、前記鉤状部は前記バッキングプレートから前記スパッタ面への方向における鉤先端が最大引っ掛かり箇所となる鉤形を有し、前記鉤受け部は前記鉤形に合わさる鉤穴を有することが好ましい。スパッタリングターゲットの側面方向におけるスパッタリングターゲットとバッキングプレートとの接合強度を向上させることに加え、スパッタリングターゲットの厚さ方向に対してもスパッタリングターゲットとバッキングプレートとの接合強度を向上させることができ、その結果、スパッタリングターゲットの使用時の接合強度を保ち、熱伝導を良好に保つことができる。
【0026】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体では、前記スパッタリングターゲットと前記バッキングプレートの界面に2.5mm以下の中間層を有し、該中間層は、Ni、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種の金属又はNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種を含む合金からなる板材、粉末、又は該板材と該粉末の組み合わせからなることが好ましい。中間層を設けることでスパッタリングターゲットのターゲット裏面とバッキングプレートのプレート面若しくは凹部底面との接合強度を向上させるとともに、密着性が向上して熱伝導を良好に保つことができる。また、バッキングプレートとスパッタリングターゲットで中間層は覆われるため、中間層の材質が揮発して不純物となって基板に付着することを抑制することができる。
【0027】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体では、前記スパッタリングターゲットと前記バッキングプレートの界面に10μm以下の中間層を有し、該中間層は、Ni、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種の金属又はNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種を含む合金からなる薄膜であることが好ましい。中間層を設けることでスパッタリングターゲットのターゲット裏面とバッキングプレートのプレート面若しくは凹部底面との接合強度を向上させるとともに、密着性が向上して熱伝導を良好に保つことができる。また、バッキングプレートとスパッタリングターゲットで中間層は覆われるため、中間層の材質が揮発して不純物となって基板に付着することを抑制することができる。
【0028】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体では、前記スパッタリングターゲットと前記バッキングプレートの界面に1.0mm以下の中間層を有し、該中間層は、In、Znの少なくともいずれか一種の金属又はIn、Znの少なくともいずれか一種を含む合金からなる板材、粉末、又は該板材と該粉末の組み合わせからなることが好ましい。中間層を設けることでスパッタリングターゲットのターゲット裏面とバッキングプレートのプレート面若しくは凹部底面の接合強度を向上させるとともに、密着性が向上して熱伝導を良好に保つことができる。また、バッキングプレートとスパッタリングターゲットで中間層は覆われるため、中間層の材質が揮発して不純物となって基板に付着することを抑制することができる。
【0029】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体では、前記スパッタリングターゲットと前記バッキングプレートの界面に2層以上の中間層を有し、該中間層は、2.5mm以下のNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種の金属又はNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種を含む合金からなる板材、粉末、又は該板材と該粉末の組み合わせ、10μm以下のNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種の金属又はNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種を含む合金からなる薄膜、または、1.0mm以下のIn、Znの少なくともいずれか一種の金属又はIn、Znの少なくともいずれか一種を含む合金からなる板材、粉末、又は該板材と該粉末の組み合わせからなることが好ましい。中間層を2層以上設けることでスパッタリングターゲットのターゲット裏面とバッキングプレートのプレート面若しくは凹部底面の接合強度を向上させるとともに、密着性が向上して熱伝導を良好に保つことができる。また、バッキングプレートとスパッタリングターゲットで中間層は覆われるため、中間層の材質が揮発して不純物となって基板に付着することを抑制することができる。
【0030】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体では、前記スパッタリングターゲットの材質がAl-Sc合金、Ru、Ru合金、Ir、又はIr合金であることが好ましい。1000℃以上の高融点材料でもスパッタリングターゲットの反りや割れを抑制しつつ、スパッタリングターゲットとバッキングプレートの接合強度を向上させることができる。
【0031】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体では、前記スパッタリングターゲットの材質がLi系酸化物、Co系酸化物、Ti系酸化物又はMg系酸化物であることが好ましい。1000℃以上の高融点材料でもスパッタリングターゲットの反りや割れを抑制しつつ、スパッタリングターゲットとバッキングプレートの接合強度を向上させることができる。
【0032】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体では、前記バッキングプレートの材質がAl、Al合金、Cu、Cu合金、Fe又はFe合金であり、前記バッキングプレートの線膨張係数が30.0×10-6/℃以下であることが好ましい。バッキングプレートの熱伝導性が良いものを用いることで、加熱時においてバッキングプレートが膨張し、バッキングプレートの凸部若しくは凹部の内周側面にスパッタリングターゲットを挿入することができるとともに、冷却時においてバッキングプレートが収縮し、バッキングプレートの凸部若しくは凹部の内周側面とスパッタリングターゲットの外周側面を当接させることにより接合体を形成することができる。
【0033】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法は、プレート面とプレート裏面とプレート側面と鉤状部又は鉤受け部のいずれか一方とを有するバッキングプレート、及び、ターゲット面とターゲット裏面と外周側面と該外周側面に設けられた前記鉤状部又は前記鉤受け部の他方とを有するスパッタリングターゲットを準備する工程1と、前記バッキングプレートを加熱して熱膨張させる工程2と、前記プレート面と前記ターゲット裏面とが向かい合わせになるように、かつ、前記鉤受け部と前記鉤状部とが向かい合わせになるように、前記スパッタリングターゲットと前記バッキングプレートとを配置する工程3と、前記スパッタリングターゲットと前記バッキングプレートとを冷却して、前記鉤受け部に前記鉤状部を当接させることによって、前記スパッタリングターゲットを前記バッキングプレートに固定する工程4と、を有することを特徴とする。熱膨脹及び熱収縮を利用して、鉤状部と鉤受け部とを当接することにより容易にスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体を製造することができる。
【0034】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法では、前記スパッタリングターゲットと前記バッキングプレートとを冷却して、前記鉤受け部に前記鉤状部を当接させることによって、前記スパッタリングターゲットを前記バッキングプレートに固定する工程4の後に、前記スパッタリングターゲットの前記ターゲット面から前記バッキングプレートへの押圧又は前記スパッタリングターゲット及び前記バッキングプレートの加熱と前記スパッタリングターゲットの前記ターゲット面から前記バッキングプレートへの押圧の工程、及び、前記スパッタリングターゲット及び前記バッキングプレートの冷却の工程を1組として1回行う又は2回以上繰り返し行うことが好ましい。スパッタリングターゲットの反りを抑制しつつ、スパッタリングターゲットのターゲット裏面とバッキングプレートのプレート面若しくは凹部底面との接合強度をより向上させることができ、密着性が向上して熱伝導を効率よく行うことができる。
【0035】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体は、プレート面とプレート裏面とプレート側面とを有するバッキングプレート、鉤状部又は鉤受け部のいずれか一方を有する留め具、及び、ターゲット面とターゲット裏面と外周側面と該外周側面に前記鉤状部又は前記鉤受け部の他方とを有するスパッタリングターゲットを準備する工程1と、前記プレート面と前記ターゲット裏面とが向かい合わせになるように、前記スパッタリングターゲットと前記バッキングプレートとを配置する工程2と、前記留め具を前記プレート面又は前記プレート側面に配置し、かつ、前記鉤受け部と前記鉤状部とが向かい合わせになるように、前記スパッタリングターゲットと前記留め具とを配置する工程3と、該工程3の配置状態で前記留め具を前記バッキングプレートに固定する工程4と、を有することを特徴とする。鉤状部又は鉤受け部を留め具に設けることで、鉤状部と鉤受け部とを容易に当接することが可能となり、スパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体を容易に製造することができる。
【0036】
本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法では、前記工程3の配置状態で前記留め具を前記バッキングプレートに固定する工程4の後に、前記スパッタリングターゲットの前記ターゲット面から前記バッキングプレートへの押圧又は前記スパッタリングターゲット及び前記バッキングプレートの加熱と前記スパッタリングターゲットの前記ターゲット面から前記バッキングプレートへの押圧の工程、及び、前記スパッタリングターゲット及び前記バッキングプレートの冷却の工程を1組として1回行う又は2回以上繰り返し行うことが好ましい。スパッタリングターゲットの反りを抑制しつつ、スパッタリングターゲットのターゲット裏面とバッキングプレートのプレート面若しくは凹部底面との接合強度をより向上させることができ、密着性が向上して熱伝導を効率よく行うことができる。
【0037】
本発明に係るスパッタリングターゲットの回収方法は、本発明に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体を加熱して、前記鉤受け部から前記鉤状部を離すまで熱膨脹させる工程Aと、前記スパッタリングターゲットを前記バッキングプレートから取り外して、前記スパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体から前記スパッタリングターゲットを回収する工程Bと、有することを特徴とする。
【0038】
本発明に係るスパッタリングターゲットの回収方法は、留め具によってスパッタリングターゲットをバッキングプレートに固定したスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体から前記スパッタリングターゲットを回収する方法であって、前記留め具は前記バッキングプレートに固定されており、前記留め具を前記バッキングプレートから取り外して、前記スパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体から前記スパッタリングターゲットを回収する工程Cを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
本開示は、曲げ強度の低いスパッタリングターゲットを用いた場合や、スパッタリングターゲットとバッキングプレートとの線膨張係数の差が大きく異なる場合であっても、スパッタリングターゲットの破損や剥離が抑制でき、また、不純物の揮発による汚染が抑制でき、さらには、ターゲット材として使われる高価な材料の損失を抑制しながら、ターゲット材の剥離回収を容易にすることができるスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体、その製造方法及びスパッタリングターゲットの回収方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本実施形態に係る円板状のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の平面概略図である。
図2図1の第1例のA‐A断面概略図であり、形態1-1を示す。
図2(A)】図2の破線で囲った部分の別形態(1)の概略図である。
図2(B)】図2の破線で囲った部分の別形態(2)の概略図である。
図2(C)】図2の破線で囲った部分の別形態(3)の概略図である。
図2(D)】図2の破線で囲った部分の別形態(4)の概略図である。
図2(E)】図2の破線で囲った部分の別形態(5)の概略図である。
図2(F)】図2の破線で囲った部分の別形態(6)の概略図である。
図2(G)】図2の破線で囲った部分の別形態(7)の概略図である。
図2(H)】図2の破線で囲った部分の別形態(8)の概略図である。
図2(I)】図2の破線で囲った部分の別形態(9)の概略図である。
図2(J)】図2の破線で囲った部分の別形態(10)の概略図である。
図2(K)】図2の破線で囲った部分の別形態(11)の概略図である。
図2(L)】図2の破線で囲った部分の別形態(12)の概略図である。
図2(M)】図2の破線で囲った部分の別形態(13)の概略図である。
図2(N)】図2の破線で囲った部分の別形態(14)の概略図である。
図3】本実施形態に係る長方形板状のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の平面概略図である。
図4】本実施形態に係る別形態の円板状のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の平面概略図である。
図5図4の第1例のA‐A断面概略図であり、形態1‐2を示す。
図5(A)】図5の破線で囲った部分の別形態(1)の概略図である。
図5(B)】図5の破線で囲った部分の別形態(2)の概略図である。
図5(C)】図5の破線で囲った部分の別形態(3)の概略図である。
図5(D)】図5の破線で囲った部分の別形態(4)の概略図である。
図5(E)】図5の破線で囲った部分の別形態(5)の概略図である。
図5(F)】図5の破線で囲った部分の別形態(6)の概略図である。
図5(G)】図5の破線で囲った部分の別形態(7)の概略図である。
図5(H)】図5の破線で囲った部分の別形態(8)の概略図である。
図5(I)】図5の破線で囲った部分の別形態(9)の概略図である。
図5(J)】図5の破線で囲った部分の別形態(10)の概略図である。
図5(K)】図5の破線で囲った部分の別形態(11)の概略図である。
図5(L)】図5の破線で囲った部分の別形態(12)の概略図である。
図6】本実施形態に係る別形態の長方形板状のスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の平面概略図である。
図7】形態2-1の断面概略図である。
図7(A)】図7の破線で囲った部分の別形態(1)の概略図である。
図7(B)】図7の破線で囲った部分の別形態(2)の概略図である。
図7(C)】図7の破線で囲った部分の別形態(3)の概略図である。
図7(D)】図7の破線で囲った部分の別形態(4)の概略図である。
図7(E)】図7の破線で囲った部分の別形態(5)の概略図である。
図7(F)】図7の破線で囲った部分の別形態(6)の概略図である。
図7(G)】図7の破線で囲った部分の別形態(7)の概略図である。
図7(H)】図7の破線で囲った部分の別形態(8)の概略図である。
図7(I)】図7の破線で囲った部分の別形態(9)の概略図である。
図7(J)】図7の破線で囲った部分の別形態(10)の概略図である。
図7(K)】図7の破線で囲った部分の別形態(11)の概略図である。
図7(L)】図7の破線で囲った部分の別形態(12)の概略図である。
図7(M)】図7の破線で囲った部分の別形態(13)の概略図である。
図7(N)】図7の破線で囲った部分の別形態(14)の概略図である。
図8】形態3-1の断面概略図である。
図8(A)】図8の破線で囲った部分の別形態(1)の概略図である。
図8(B)】図8の破線で囲った部分の別形態(2)の概略図である。
図8(C)】図8の破線で囲った部分の別形態(3)の概略図である。
図8(D)】図8の破線で囲った部分の別形態(4)の概略図である。
図8(E)】図8の破線で囲った部分の別形態(5)の概略図である。
図8(F)】図8の破線で囲った部分の別形態(6)の概略図である。
図8(G)】図8の破線で囲った部分の別形態(7)の概略図である。
図8(H)】図8の破線で囲った部分の別形態(8)の概略図である。
図8(I)】図8の破線で囲った部分の別形態(9)の概略図である。
図8(J)】図8の破線で囲った部分の別形態(10)の概略図である。
図8(K)】図8の破線で囲った部分の別形態(11)の概略図である。
図8(L)】図8の破線で囲った部分の別形態(12)の概略図である。
図8(M)】図8の破線で囲った部分の別形態(13)の概略図である。
図8(N)】図8の破線で囲った部分の別形態(14)の概略図である。
図9】形態4-1の断面概略図である。
図9(A)】図9の破線で囲った部分の別形態(1)の概略図である。
図9(B)】図9の破線で囲った部分の別形態(2)の概略図である。
図9(C)】図9の破線で囲った部分の別形態(3)の概略図である。
図9(D)】図9の破線で囲った部分の別形態(4)の概略図である。
図9(E)】図9の破線で囲った部分の別形態(5)の概略図である。
図9(F)】図9の破線で囲った部分の別形態(6)の概略図である。
図9(G)】図9の破線で囲った部分の別形態(7)の概略図である。
図9(H)】図9の破線で囲った部分の別形態(8)の概略図である。
図9(I)】図9の破線で囲った部分の別形態(9)の概略図である。
図9(J)】図9の破線で囲った部分の別形態(10)の概略図である。
図9(K)】図9の破線で囲った部分の別形態(11)の概略図である。
図9(L)】図9の破線で囲った部分の別形態(12)の概略図である。
図9(M)】図9の破線で囲った部分の別形態(13)の概略図である。
図9(N)】図9の破線で囲った部分の別形態(14)の概略図である。
図10】形態5-1の断面概略図である。
図10(A)】図10の破線で囲った部分の別形態(1)の概略図である。
図10(B)】図10の破線で囲った部分の別形態(2)の概略図である。
図10(C)】図10の破線で囲った部分の別形態(3)の概略図である。
図10(D)】図10の破線で囲った部分の別形態(4)の概略図である。
図10(E)】図10の破線で囲った部分の別形態(5)の概略図である。
図10(F)】図10の破線で囲った部分の別形態(6)の概略図である。
図10(G)】図10の破線で囲った部分の別形態(7)の概略図である。
図10(H)】図10の破線で囲った部分の別形態(8)の概略図である。
図10(I)】図10の破線で囲った部分の別形態(9)の概略図である。
図10(J)】図10の破線で囲った部分の別形態(10)の概略図である。
図10(K)】図10の破線で囲った部分の別形態(11)の概略図である。
図10(L)】図10の破線で囲った部分の別形態(12)の概略図である。
図10(M)】図10の破線で囲った部分の別形態(13)の概略図である。
図10(N)】図10の破線で囲った部分の別形態(14)の概略図である。
図11】形態6-1、形態7‐1又は形態8‐1の断面概略図である。
図12】形態6-2、形態7‐2又は形態8‐2の断面概略図である。
図13】形態9-1の断面概略図である。
図14】形態9‐2の断面概略図である。
図15】本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法の第1例を説明するための概略工程図である。
図16】本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法の第2例を説明するための概略工程図である。
図17】本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法の第3例を説明するための概略工程図である。
図18】本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法の第4例を説明するための概略工程図である。
図19】本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法の第5例を説明するための概略工程図である。
図20】本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法の第6例を説明するための概略工程図である。
図21】本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法の第7例を説明するための概略工程図である。
図22】本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法の第8例を説明するための概略工程図である。
図23】本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法の第9例を説明するための概略工程図である。
図24】本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法の第10例を説明するための概略工程図である。
図25】本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法の第11例を説明するための概略工程図である。
図26】実施例1における当接部位を示す画像である。
図27】比較例1における接合結果を示す画像である。
図28】比較例2における接合結果を示す画像である。
図29】比較例3における接合結果を示す画像である。
図30】比較例4における接合結果を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以降、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。図中、各接合体において、同一名称の部位には、形状によらず、同一の符号を付した。
【0042】
〈スパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体〉
(形態1-1:バッキングプレートが鉤状部を有し、スパッタリングターゲットが鉤受け部を有する形態)
図1及び図2を参照して、本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体を説明する。本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体100は、バッキングプレート1にスパッタリングターゲット2が接合されたスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体において、バッキングプレート1は、プレート面3と、プレート裏面4と、プレート側面5と、を有し、スパッタリングターゲット2は、ターゲット面7と、プレート面3と向かい合うターゲット裏面8と、外周側面9と、を有し、バッキングプレート1及びスパッタリングターゲット2は、バッキングプレート1がさらに鉤状部6を有し、スパッタリングターゲット2がさらに鉤受け部10を有し、鉤状部6と鉤受け部10とは当接し合っており、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に設けられており、かつ、鉤状部6が鉤受け部10に当接することによって、スパッタリングターゲット2がバッキングプレート1に固定される。鉤状部6が鉤受け部10に当接されることによって、バッキングプレート1のプレート面3の側面方向に対してスパッタリングターゲット2を固定するとともに、バッキングプレート1のプレート面3の厚さ方向に対してスパッタリングターゲット2を固定することができる。
【0043】
図1及び図2に示した形態では、バッキングプレート1はプレート面3に凸部13を有し、凸部13が鉤状部6を有する形態である。バッキングプレート1を切削して凸部13を形成して凸部13の内側に鉤状部6を形成する。鉤状部6はバッキングプレート1に一体化されているため、スパッタリングターゲット2を固定することができる。
【0044】
図2における鉤状部6と鉤受け部10については、スパッタリングターゲット2の外周形状を全周にわたって鉤状部6と鉤受け部10を当接させることが好ましい。図1において、環状に網掛けをした箇所は、バッキングプレート1のプレート面3に設けた凸部13の天面を示し、凸部13がスパッタリングターゲット2の外周形状を全周にわたってあることを示している。ただし、スパッタリングターゲット2の破損や剥離が抑制でき、不純物の揮発による汚染が抑制できるときは、鉤状部6と鉤受け部10を部分的に2つ以上形成して当接させてもよい。
【0045】
図2における鉤状部6と鉤受け部10については、図2(A)~図2(N)に示される鉤状部、鉤受け部の形態を用いて当接させてもよい。
【0046】
また、鉤状部6と鉤受け部10が当接されていればバッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の接合強度を担保することができるが、接合強度に加え、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の密着性が必要なときは、鉤状部6と鉤受け部10を当接したときに、鉤状部6から鉤受け部10に向けて押圧していることが好ましい。
【0047】
図1及び図2では、円板形状のバッキングプレート1に円板形状のスパッタリングターゲット2が接合されている形態を示したが、図3に示すように長方形のバッキングプレート1に長方形のスパッタリングターゲット2が接合されている形態であってもよい。B‐B断面は、図2に示したA-A断面と同様の形状を有する。また、長方形の形状には正方形の形状が包含される。図3においても、環状に網掛けをした箇所は、バッキングプレート1のプレート面3に設けた凸部13の天面を示す。
【0048】
(形態1-2:バッキングプレートが鉤受け部を有し、スパッタリングターゲットが鉤状部を有する形態)
図4及び図5を参照して、本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の別形態を説明する。本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体101は、バッキングプレート1にスパッタリングターゲット2が接合されたスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体において、バッキングプレート1は、プレート面3と、プレート裏面4と、プレート側面5と、を有し、スパッタリングターゲット2は、ターゲット面7と、プレート面3と向かい合うターゲット裏面8と、外周側面9と、を有し、バッキングプレート1及びスパッタリングターゲット2は、バッキングプレート1がさらに鉤受け部10を有し、スパッタリングターゲット2がさらに鉤状部6を有し、鉤状部6と鉤受け部10とは当接し合っており、スパッタリングターゲット2の鉤状部6は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に設けられており、かつ、鉤状部6が鉤受け部10に当接することによって、スパッタリングターゲット2がバッキングプレート1に固定される。鉤状部6が鉤受け部10に当接することによって、バッキングプレート1のプレート面3の側面方向に対してスパッタリングターゲット2を固定するとともに、バッキングプレート1のプレート面3の厚さ方向に対してスパッタリングターゲット2を固定することができる。
【0049】
図4及び図5に示した形態では、バッキングプレート1はプレート面3に凸部13を有し、凸部13が鉤受け部10を有する形態である。バッキングプレート1を切削して凸部13を形成して凸部13の内側に鉤受け部10を形成する。鉤受け部10はバッキングプレート1に一体化されているため、スパッタリングターゲット2を固定することができる。
【0050】
図5における鉤状部6と鉤受け部10については、スパッタリングターゲット2の外周形状を全周にわたって鉤状部6と鉤受け部10を当接させることが好ましいが、スパッタリングターゲット2の破損や剥離が抑制でき、不純物の揮発による汚染が抑制できるときは、鉤状部6と鉤受け部10を部分的に2つ以上形成して当接させてもよい。
【0051】
図5における鉤状部6と鉤受け部10については、図5(A)~図5(L)などに示される鉤状部、鉤受け部の形態を用いて当接させてもよい。
【0052】
また、鉤状部6と鉤受け部10が当接されていればバッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の接合強度を担保することができるが、接合強度に加え、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の密着性が必要なときは、鉤状部6と鉤受け部10を当接したときに、鉤受け部10から鉤状部6に向けて押圧していることが好ましい。
【0053】
図4及び図5では、円板形状のバッキングプレート1に円板形状のスパッタリングターゲット2が接合されている形態を示したが、図6に示すように長方形のバッキングプレート1に長方形のスパッタリングターゲット2が接合されている形態であってもよい。B‐B断面は、図5に示したA-A断面と同様の形状を有する。また、長方形の形状には正方形の形状が包含される。図6において、環状に網掛けをした箇所は、バッキングプレート1のプレート面3に設けた凸部13の天面を示す。
【0054】
以降、スパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の断面概略図を種々示しながら、本実施形態についてさらに説明する。スパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体は、円板形状、長方形板状又は正方形板状のいずれであってもよい。
【0055】
(形態2‐1:バッキングプレートが留め具を有し、留め具が鉤状部を有する形態)
図7に示すように、本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体200では、バッキングプレート1が留め具14を有し、留め具14が鉤状部6を有することが好ましい。スパッタリングターゲット2は、鉤受け部10を有し、鉤状部6が鉤受け部10に当接している。形態1-1では、バッキングプレート1がプレート面3に凸部13を有し、凸部13が鉤状部6を有する形態であるのに対して、形態2-1では、凸部13の代わりに留め具14を有している。バッキングプレート1が留め具14を有することで留め具14は凸部13と同じ役割を果たす。バッキングプレート1が留め具14を有することで、加工の容易化、接合体の組み立ての容易化を図ることができる。図7に示すように、本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体200では、留め具14の側面が外周側面9から突出しており、少なくとも留め具14の突出した部分がバッキングプレート1に固定されていることが好ましい。図2に示す形態と異なるところは、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2とは別に留め具を準備し、留め具のスパッタリングターゲット2と接する側に鉤状部6を形成し、スパッタリングターゲット2の外周側面9に鉤受け部10を形成し、留め具14の鉤状部6とスパッタリングターゲット2の鉤受け部10を当接させた後、スパッタリングターゲット2に覆われていない箇所の留め具からバッキングプレート1に向けて固定を行うことによって、バッキングプレート1にスパッタリングターゲット2を固定することができる。固定は、例えば、ねじ止め箇所11においてねじ止めによって固定する。このような構造とすることで、バッキングプレート1の鉤状部6の外側がスパッタリングターゲット2の外周側面9よりも外側に位置することとなり、鉤状部6が鉤受け部10に当接されると、バッキングプレート1のプレート面3の側面方向に対してスパッタリングターゲット2が固定されるとともに、バッキングプレート1のプレート面3の厚さ方向に対してスパッタリングターゲット2を固定することもできる。留め具14は、バッキングプレート1にねじ止めによる固定の他、拡散接合、溶接などの接合手段によって固定してもよい。図7では、ねじ止め箇所11において、ねじ止めによって、留め具14をバッキングプレート1のプレート面3に固定した形態を示したが、プレート面3だけでなく、バッキングプレート1の側面又は裏面にて固定してもよい。
【0056】
図7に示す形態では、図2に示す形態と同様に、鉤状部6と鉤受け部10を当接させることができるが、さらに、次のような構造としてもよい。
(1)スパッタリングターゲット2の外周形状を全周にわたって鉤状部6と鉤受け部10を当接させることが好ましいが、鉤状部6と鉤受け部10を部分的に2つ以上形成して当接させてもよい。
(2)鉤状部6と鉤受け部10については、図7(A)~図7(N)などに示される鉤状部及び鉤受け部の形態を用いて当接させてもよい。
(3)接合強度に加え、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の密着性が必要なときは、鉤状部6と鉤受け部10を当接したときに、鉤状部6から鉤受け部10に向けて押圧してもよい。
【0057】
(形態2‐2:バッキングプレートが留め具を有し、留め具が鉤受け部を有する形態)
形態1-1と形態1-2との関係、すなわち、鉤状部と鉤受け部との配置が逆関係であることと同様に、形態2‐1において、鉤状部6と鉤受け部10との配置を逆にしてもよい(不図示)。
【0058】
(形態3‐1:バッキングプレートが留め具を有し、留め具が鉤状部を有する形態)
図8に示すように、本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体201では、留め具14は側面の一部を残して外周側面9に入り込んでおり、留め具14はバッキングプレート1に固定されていることが好ましい。留め具14がスパッタリングターゲット2の形状に含まれるため、留め具14の角部の露出を少なくすることができる。また、このような構造とすることで、鉤状部6が鉤受け部10に当接されると、バッキングプレート1のプレート面3の側面方向に対してスパッタリングターゲット2が固定されるとともに、バッキングプレート1のプレート面3の厚さ方向に対してスパッタリングターゲット2を固定することができる。留め具14は、バッキングプレート1にねじ止めによる固定の他、拡散接合、溶接などの接合手段によって固定してもよい。図8では、ねじ止め箇所11において、ねじ止めによって、留め具14をバッキングプレート1のプレート面3に固定した形態を示したが、プレート面3だけでなく、バッキングプレート1の側面又は裏面にて固定してもよい。
【0059】
図8に示す形態では、図2に示す形態と同様に、鉤状部6と鉤受け部10を当接させることができるが、さらに、次のような構造としてもよい。
(1)スパッタリングターゲット2の外周形状を全周にわたって鉤状部6と鉤受け部10を当接させることが好ましいが、鉤状部6と鉤受け部10を部分的に2つ以上形成して当接させてもよい。
(2)鉤状部6と鉤受け部10については、図8(A)~図8(N)などに示される鉤状部及び鉤受け部の形態を用いて当接させてもよい。
(3)接合強度に加え、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の密着性が必要なときは、鉤状部6と鉤受け部10を当接したときに、鉤状部6から鉤受け部10に向けて押圧してもよい。
【0060】
(形態3‐2:バッキングプレートが留め具を有し、留め具が鉤受け部を有する形態)
形態1-1と形態1-2との関係、すなわち、鉤状部と鉤受け部との配置が逆関係であることと同様に、形態3‐1において、鉤状部6と鉤受け部10との配置を逆にしてもよい(不図示)。
【0061】
(形態4‐1:バッキングプレートが凹部を有し、凹部が鉤状部を有する形態)
図9に示すように、本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体300では、バッキングプレート1はプレート面3に凹部17を有し、バッキングプレート1は凹部17の内周側面16に鉤状部6を有し、スパッタリングターゲット2の一部は凹部17に嵌め込まれていることが好ましい。図9の形態では、スパッタリングターゲット2の外周側面9に鉤受け部10を設け、鉤状部6が鉤受け部10に当接されることによって、バッキングプレート1のプレート面3の側面方向に対してスパッタリングターゲット2を固定するとともに、バッキングプレート1のプレート面3の厚さ方向に対してスパッタリングターゲット2を固定することができる。図2に示す形態と異なるところは、スパッタリングターゲット2の底部がバッキングプレート1の凹部17の深さ分だけ凹部17内に埋め込まれているため、バッキングプレート1のプレート面3の側面方向に対してスパッタリングターゲット2を固定するとともに、バッキングプレート1のプレート面3の厚さ方向に対してスパッタリングターゲット2を固定することができる。
【0062】
図9に示す形態では、図2に示す形態と同様に、鉤状部6と鉤受け部10を当接させることができるが、さらに、次のような構造としてもよい。
(1)スパッタリングターゲット2の外周形状を全周にわたって鉤状部6と鉤受け部10を当接させることが好ましいが、鉤状部6と鉤受け部10を部分的に2つ以上形成して当接させてもよい。
(2)鉤状部6と鉤受け部10については、図9(A)~図9(N)などに示される鉤状部及び鉤受け部の形態を用いて当接させてもよい。
(3)接合強度に加え、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の密着性が必要なときは、鉤状部6と鉤受け部10を当接したときに、鉤状部6から鉤受け部10に向けて押圧してもよい。
【0063】
(形態4‐2:バッキングプレートが凹部を有し、凹部が鉤受け部を有する形態)
形態1-1と形態1-2との関係、すなわち、鉤状部と鉤受け部との配置が逆関係であることと同様に、形態4‐1において、鉤状部6と鉤受け部10との配置を逆にしてもよい(不図示)。
【0064】
(形態5‐1:バッキングプレートが凹部を有し、留め具が鉤状部を有する形態)
図10に示すように、本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体400では、バッキングプレート1はプレート面3に凹部17を有し、バッキングプレート1は凹部17に留め具14を有し、留め具14が鉤状部6を有し、スパッタリングターゲット2の少なくとも一部と留め具14の少なくとも一部は凹部17に嵌め込まれており、バッキングプレート1の凹部17に留め具14が固定されていることが好ましい。図9に示す形態と異なるところは、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2とは別に留め具14を準備し、留め具14のスパッタリングターゲット2と接する側に鉤状部6を形成し、スパッタリングターゲット2の外周側面9に鉤受け部10を形成し、留め具14の鉤状部6とスパッタリングターゲット2の鉤受け部10を当接させた後、バッキングプレート1の凹部17に留め具14とスパッタリングターゲット2を埋め込み、スパッタリングターゲット2に覆われていない箇所の留め具14からバッキングプレート1に向けて固定を行うことによって、バッキングプレート1にスパッタリングターゲット2を固定することができる。バッキングプレート1のプレート面3の側面方向に対してスパッタリングターゲット2を固定するとともに、バッキングプレート1のプレート面3の厚さ方向に対して前記スパッタリングターゲット2を固定することができる。留め具14は、バッキングプレート1にねじ止めによる固定の他、拡散接合、溶接などの接合手段によって固定してもよい。
【0065】
図10に示す形態では、図9に示す形態と同様に、鉤状部6と鉤受け部10を当接させることができるが、さらに、次のような構造としてもよい。
(1)スパッタリングターゲット2の外周形状を全周にわたって鉤状部6と鉤受け部10を当接させることが好ましいが、鉤状部6と鉤受け部10を部分的に2つ以上形成して当接させてもよい。
(2)鉤状部6と鉤受け部10については、図10(A)~図10(N)などに示される鉤状部及び鉤受け部の形態を用いて当接させてもよい。
(3)接合強度に加え、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の密着性が必要なときは、鉤状部6と鉤受け部10を当接したときに、鉤状部6から鉤受け部10に向けて押圧してもよい。
【0066】
(形態5‐2:バッキングプレートが凹部を有し、留め具が鉤受け部を有する形態)
形態1-1と形態1-2との関係、すなわち、鉤状部と鉤受け部との配置が逆関係であることと同様に、形態5‐1において、鉤状部6と鉤受け部10との配置を逆にしてもよい(不図示)。
【0067】
(鉤状部及び鉤受け部の形状の変形例1)
本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体では、鉤状部6は第1の凹凸形状部を有し、鉤受け部10は第1の凹凸形状部に合わさる第2の凹凸形状部を有することが好ましい。スパッタリングターゲットの側面方向におけるスパッタリングターゲットとバッキングプレートとの接合強度を向上させることに加え、スパッタリングターゲットの厚さ方向に対してもスパッタリングターゲットとバッキングプレートとの接合強度を向上させることができ、その結果、スパッタリングターゲットの使用時の接合強度を保ち、熱伝導を良好に保つことができる。ここで、第1の凹凸形状部に合わさる第2の凹凸形状部とは、凹凸形状部同士が隙間なく接面し合っている形態の他、凹凸形状部同士が隙間を有しながらも引っかかり合ってズレない形態を含む。このような形態を有する例として、例えば、図2(L)、図2(M)、図2(N)、図5(J)、図5(K)、図5(L)、図7(L)、図7(M)、図7(N)、図8(L)、図8(M)、図8(N)、図9(L)、図9(M)、図9(N)、図10(L)、図10(M)又は図10(N)に示した。
【0068】
(鉤状部及び鉤受け部の形状の変形例2)
本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体では、鉤状部6はバッキングプレート1からスパッタ面への方向における鉤先端が最大引っ掛かり箇所となる鉤形を有し、鉤受け部10は鉤形に合わさる鉤穴を有することが好ましい。スパッタリングターゲット2の側面方向におけるスパッタリングターゲット2とバッキングプレート1との接合強度を向上させることに加え、スパッタリングターゲット2の厚さ方向に対してもスパッタリングターゲット2とバッキングプレート1との接合強度を向上させることができ、その結果、スパッタリングターゲットの使用時の接合強度を保ち、熱伝導を良好に保つことができる。ここで、鉤受け部は鉤形に合わさる鉤穴を有するとは、鉤形に鉤穴が隙間なく嵌っている形態の他、鉤穴に鉤形を差し込んだ時に隙間を有しながらも引っかかり合ってズレない形態を含む。このような形態を有する例として、例えば、図2(D)、図2(F)、図7(D)、図7(F)、図8(D)、図8(F)、図9(D)、図9(F)、図10(D)又は図10(F)に示した。
【0069】
(形態6‐1:中間層を有する形態)
図11に示すように、本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体500では、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の界面に2.5mm以下の中間層12を有し、中間層12は、Ni、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種の金属又はNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種を含む合金からなる板材、粉末、又は該板材と該粉末の組み合わせからなることが好ましい。中間層12によってスパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の線膨張係数の差を緩和することで加熱による膨張や冷却による収縮の繰り返しによるスパッタリングターゲット2の破損や反りをより抑制することができる。また、中間層12を設けることでスパッタリングターゲット2のターゲット裏面8とバッキングプレートのプレート面3との接合強度を向上させるとともに、密着性が向上して熱伝導を良好に保つことができる。また、スパッタリングターゲット2の外周側面9の全周にバッキングプレート1の鉤状部6が設けられている場合は、バッキングプレート1のプレート面3とバッキングプレート1の鉤状部6が設けられている内側の箇所とスパッタリングターゲット2のターゲット裏面8に囲まれた箇所に中間層12が設けられていることとなる。その結果、中間層12は、スパッタリングターゲット2で覆われるため、中間層12の材質が揮発して不純物となって基板に付着することを抑制することができる。中間層12についてNi、Cr、Al、Cuの元素を選択した理由は、密着性、熱伝導及び線膨張係数の観点から好適だからである。中間層12が板材である場合、板材が2.5mmより厚いとバッキングプレート1の鉤状部6が設けられている箇所の高さをより高く設けなければならない。中間層12が粉末層である場合、加熱によって、粉末の状態である形態、粉末が焼結した形態、又は粉末が加熱によって溶融した形態がある。なお、粉末が加熱によって溶融した形態は、中間層12が板材である形態と類似する。中間層12は、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8とバッキングプレート1のプレート面3との間に設けることが好ましいが、これに加えてさらに、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10を含む外周側面9とバッキングプレート1の鉤状部6が設けられている内側の箇所との界面に設けてもよい。鉤状部6と鉤受け部10については、図8(A)~図8(N)などに示される鉤状部及び鉤受け部の形態を用いて当接させてもよい。
【0070】
(形態6‐2:中間層を有する形態)
図11に示したスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体500では、バッキングプレート1のプレート面3上に設置した鉤状部6の形態に中間層12を設けることについて説明したが、図12に示すスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体501のように、バッキングプレート1のプレート面3に凹部17を形成した場合においても同様に2.5mm以下の中間層12を設けることができる。
【0071】
(形態7‐1:中間層を有する形態)
図11に示した形態と同様に、本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体は、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の界面に10μm以下の中間層12を有し、中間層12は、Ni、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種の金属又はNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種を含む合金からなる薄膜であることが好ましい。中間層12によってスパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の線膨張係数の差を緩和することで加熱による膨張や冷却による収縮の繰り返しによるスパッタリングターゲット2の破損や反りをより抑制することができる。中間層12の膜厚が10μmより厚くても中間層12を形成する時間を要するだけであり、中間層12としての効果は10μm以下のものとあまり効果が変わらない。また、中間層12を設けることでスパッタリングターゲット2のターゲット裏面8とバッキングプレート1のプレート面3との接合強度を向上させるとともに、密着性が向上して熱伝導を良好に保つことができる。また、スパッタリングターゲット2の外周側面9の全周にバッキングプレート1の鉤状部6が設けられている場合は、バッキングプレート1のプレート面3とバッキングプレート1の鉤状部6が設けられている内側の箇所とスパッタリングターゲット2のターゲット裏面8に囲まれた箇所に中間層12が設けられていることとなる。その結果、中間層12は、スパッタリングターゲット2で覆われるため、中間層12の材質が揮発して不純物となって基板に付着することを抑制することができる。中間層12についてNi、Cr、Al、Cuの元素を選択した理由は、密着性、熱伝導及び線膨張係数の観点から好適だからである。薄膜は、スパッタリングによる薄膜であることが好ましく、バッキングプレート1のプレート面3に成膜することが好ましい。また、厚さ10μm以下の箔でもよい。中間層12は、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8とバッキングプレート1のプレート面3との間に設けることが好ましいが、これに加えてさらに、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10を含む外周側面9とバッキングプレート1の鉤状部6が設けられている内側の箇所との界面に設けてもよい。鉤状部6と鉤受け部10については、図8(A)~図8(N)などに示される鉤状部及び鉤受け部の形態を用いて当接させてもよい。
【0072】
(形態7‐2:中間層を有する形態)
図11に示したスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体500では、バッキングプレート1のプレート面3上に設置した鉤状部6の形態に中間層12を設けることについて説明したが、図12に示すスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体501のように、バッキングプレート1のプレート面3に凹部17を形成した場合においても同様に10μm以下の中間層12を設けることができる。
【0073】
(形態8‐1:中間層を有する形態)
図11に示した形態と同様に、本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体は、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の界面に1.0mm以下の中間層12を有し、中間層12は、In、Znの少なくともいずれか一種の金属又はIn、Znの少なくともいずれか一種を含む合金からなる板材、粉末、又は該板材と該粉末の組み合わせからなることが好ましい。中間層12によってスパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の線膨張係数の差を緩和することで加熱による膨張や冷却による収縮の繰り返しによるスパッタリングターゲット2の破損や反りをより抑制することができる。中間層12についてIn、Znの元素を選択した理由は、密着性、熱伝導及び線膨張係数の観点から好適だからである。中間層12が板材である場合、板材が1.0mmより厚いとInやZnは酸化しやすい材料であるため硬度が上昇し、割れてしまうことがある。また、中間層12を設けることでスパッタリングターゲット2のターゲット裏面8とバッキングプレート1のプレート面3との接合強度を向上させるとともに、密着性が向上して熱伝導を良好に保つことができる。また、スパッタリングターゲット2の外周側面9の全周にバッキングプレート1の鉤状部6が設けられている場合は、バッキングプレート1のプレート面3とバッキングプレート1の鉤状部6が設けられている内側の箇所とスパッタリングターゲット2のターゲット裏面8に囲まれた箇所に中間層12が設けられていることとなる。その結果、中間層12は、スパッタリングターゲット2で覆われるため、中間層12の材質が揮発して不純物となって基板に付着することを抑制することができる。中間層12が粉末層である場合、加熱によって、粉末の状態である形態、粉末が焼結した形態、又は粉末が加熱によって溶融した形態がある。なお、粉末が加熱によって溶融した形態は、中間層12が板材である形態と類似する。中間層12は、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8とバッキングプレート1のプレート面3との間に設けることが好ましいが、これに加えてさらに、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10を含む外周側面9とバッキングプレート1の鉤状部6が設けられている内側の箇所との界面に設けてもよい。鉤状部6と鉤受け部10については、図8(A)~図8(N)などに示される鉤状部及び鉤受け部の形態を用いて当接させてもよい。
【0074】
(形態8‐2:中間層を有する形態)
図11に示したスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体500では、バッキングプレート1のプレート面3上に設置した鉤状部6の形態に中間層12を設けることについて説明したが、図12に示すスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体501のように、バッキングプレート1のプレート面3に凹部17を形成した場合においても同様に1.0mm以下の中間層12を設けることができる。
【0075】
(形態9‐1:中間層を有する形態)
図13に示すように、本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体600は、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の界面に2層の中間層12を有し、中間層12aは、2.5mm以下のNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種の金属又はNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種を含む合金からなる板材、粉末、又は該板材と該粉末の組み合わせ、10μm以下のNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種の金属又はNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種を含む合金からなる薄膜、または、1.0mm以下のIn、Znの少なくともいずれか一種の金属又はIn、Znの少なくともいずれか一種を含む合金からなる板材、粉末、又は該板材と該粉末の組み合わせのいずれかからなり、中間層12bは、2.5mm以下のNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種の金属又はNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種を含む合金からなる板材、粉末、又は該板材と該粉末の組み合わせ、10μm以下のNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種の金属又はNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種を含む合金からなる薄膜、または、1.0mm以下のIn、Znの少なくともいずれか一種の金属又はIn、Znの少なくともいずれか一種を含む合金からなる板材、粉末、又は該板材と該粉末の組み合わせのいずれかからなることが好ましい。中間層12によってスパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の線膨張係数の差を緩和することで加熱による膨張や冷却による収縮の繰り返しによるスパッタリングターゲット2の破損や反りをより抑制することができる。バッキングプレート1との界面に設置された中間層12aをNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種の金属又はNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種を含む合金、In、Znの少なくともいずれか一種の金属又はIn、Znの少なくともいずれか一種を含む合金からなる各種形態の材料で形成する理由は、密着性、熱伝導及び線膨張係数の観点から好適だからである。また、スパッタリングターゲット2との界面に設置された中間層12bをNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種の金属又はNi、Cr、Al、Cuの少なくともいずれか一種を含む合金、In、Znの少なくともいずれか一種の金属又はIn、Znの少なくともいずれか一種を含む合金からなる各種形態の材料で形成する理由は、密着性、熱伝導及び線膨張係数の観点から好適だからである。なお、図13では中間層が2層の形態を示したが、上記で説明した中間層の効果が得られていれば、中間層が3層以上の形態でもよい。中間層12は、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8とバッキングプレート1のプレート面3との間に設けることが好ましいが、これに加えてさらに、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10を含む外周側面9とバッキングプレート1の鉤状部6が設けられている内側の箇所との界面に設けてもよい。鉤状部6と鉤受け部10については、図8(A)~図8(N)などに示される鉤状部及び鉤受け部の形態を用いて当接させてもよい。
【0076】
(形態9‐2:中間層を有する形態)
図13に示したスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体600では、バッキングプレート1のプレート面3上に設置した鉤状部6の形態に中間層12を設けることについて説明したが、図14に示すスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体601のように、バッキングプレート1のプレート面3に凹部17を形成した場合においても同様に中間層12を設けることができる。
【0077】
(スパッタリングターゲットの材質)
本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体は、スパッタリングターゲット2の材質がAl-Sc合金、Ru、Ru合金、Ir又はIr合金を用いることができる。また、Li系酸化物、Co系酸化物、Ti系酸化物又はMg系酸化物なども用いることもできる。1000℃以上の高融点材料でもスパッタリングターゲットの反りや割れを抑制しつつ、スパッタリングターゲットとバッキングプレートの接合強度を向上させることができる。
【0078】
本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体は、バッキングプレート1の材質がAl、Al合金、Cu、Cu合金、Fe又はFe合金であり、線膨張係数が30.0×10-6/℃以下であることが好ましい。線膨脹係数は、好ましくは28.5×10-6/℃以下であり、さらに好ましくは27.3×10-6/℃以下である。線膨張係数が30.0×10-6/℃より大きいと、バッキングプレート1の加熱による膨張や冷却による収縮が繰り返し発生することによってスパッタリングターゲットの割れや反りが発生してしまうため、線膨張係数が30.0×10-6/℃以下であることが好ましい。また、バッキングプレートの熱伝導性が良いものを用いることで、加熱時においてバッキングプレートが膨張し、バッキングプレート1のプレート面3とバッキングプレート1の鉤状部6が設けられている内側の箇所とスパッタリングターゲット2のターゲット裏面8に囲まれた箇所、または、バッキングプレートの凹部にスパッタリングターゲットを挿入することができるとともに、冷却時においてバッキングプレートが収縮し、バッキングプレートの鉤状部6によってスパッタリングターゲットの鉤受け部10を当接または当接と押圧をすることにより接合体を形成することができる。線膨張係数の下限は、6.0×10-6/℃以上であることが好ましい。
【0079】
[線膨脹係数を含む関係式](ΔTが共通)
鉤状部6と鉤受け部10が当接しているときに、当接面にてバッキングプレートからスパッタリングターゲットに押圧がかかるようにすることで、前記スパッタリングターゲットを前記バッキングプレートにより強固に固定させてもよい。鉤状部6と鉤受け部10が当接しているときに、バッキングプレートからスパッタリングターゲットに押圧をかけているバッキングプレートの面を押圧面という。また、バッキングプレートから押圧を受けているスパッタリングターゲットの面を接触面という。
バッキングプレート1の押圧面によってスパッタリングターゲット2の接触面を押圧するとき、前記押圧面は前記接触面を挟んで向かい合わせの位置に配置された対となる面を少なくとも有し、該対となる押圧面同士の距離と、前記対となる押圧面と接触している接触面同士の距離との関係が(数1)~(数5)を満たすことが好ましい。
(数1)DTG>DBP
(数2)DBP=DTG-ΔD×C
(数3)ΔD=DBP×ΔT×CTEBP-DTG×ΔT×CTETG
(数4)DTG-ΔD×4.0≦DBP≦DTG-ΔD×0.5
(数5)CTEBP>CTETG
ただし、DBP、DTG、ΔD、C、T、ΔT、CTEBP及びCTETGはそれぞれ次のことを意味する。
BP:室温における、前記対となる押圧面同士の距離(mm)
TG:室温における、前記対となる押圧面と接触する接触面同士の距離(mm)
T:バッキングプレートを熱膨張させてスパッタリングターゲットを嵌合させる温度(℃)(ただし、T>室温)
ΔT:T-室温(℃)
CTEBP:温度Tにおけるバッキングプレートの線膨張係数(1/℃)
CTETG:温度Tにおけるスパッタリングターゲットの線膨張係数(1/℃)
C:係数(ただし、C=0.5~4.0)
ΔD:室温から温度Tまで昇温させたときのバッキングプレートとスパッタリングターゲットの熱膨張量の差(mm)
ここで、バッキングプレート1の平面の形状が長方形であるとき、スパッタリングターゲット2の長辺とバッキングプレート1の長辺を対応させ、スパッタリングターゲット2の短辺とバッキングプレート1の短辺とを対応させる。(数1)に示されるごとく、室温では、スパッタリングターゲット2の接触面同士の距離の方がバッキングプレート1の押圧面同士の距離よりも大きく、スパッタリングターゲット2をバッキングプレート1の押圧面の内側に入れることはできない。ここで、室温は25℃とする。ここで、(1)の形態として、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の両方を温度Tまで昇温させる形態を考える。バッキングプレート1を室温からバッキングプレートを熱膨張させる温度Tまで昇温させると、バッキングプレート1の押圧面同士の距離は、(DBP×ΔT×CTEBP)で求められる長さの熱膨張をする。また、スパッタリングターゲット2を室温から温度Tまで昇温させると、スパッタリングターゲット2の接触面同士の距離は、(DTG×ΔT×CTETG)で求められる長さの熱膨張をする。したがって、線膨脹係数について(数5)の関係が成立するとき、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の両方を温度Tまで昇温させると、ΔDの長さ分だけ、バッキングプレート1の押圧面がスパッタリングターゲット2の接触面よりも熱膨張する。この熱膨張によって、バッキングプレート1の押圧面同士の距離がスパッタリングターゲット2の接触面同士の距離と同じ又は大きくなれば、バッキングプレート1の押圧面の内側にスパッタリングターゲット2を嵌め込むことが可能となる。そして、室温まで降温させると、(数1)に示される関係によって、スパッタリングターゲット2の接触面をバッキングプレート1の押圧面で押圧することになる。前記の(1)の形態において、スパッタリングターゲット2の接触面をバッキングプレート1の押圧面で押圧することを可能にするには、バッキングプレート1の熱膨脹によって、バッキングプレート1の押圧面同士の距離がスパッタリングターゲット2の接触面同士の距離を逆転しなければならない。そこで、室温におけるバッキングプレート1の押圧面同士の距離を、室温におけるスパッタリングターゲット2の接触面同士の距離と比較して、どれだけ小さく設定することができるかの関係を示したのが(数2)及び(数4)である。(数2)及び(数4)においてCは係数であるが、Cが0.5~4.0の範囲内であるとき、スパッタリングターゲット2の接触面をバッキングプレート1の押圧面で押圧してスパッタリングターゲットとバッキングプレートとを接合するときに、スパッタリングターゲットの割れや反りを抑制することができる。
【0080】
本実施形態では、上記で説明した(1)バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の両方を温度Tまで昇温させる形態のみならず、(2)バッキングプレート1を温度Tまで昇温させ、スパッタリングターゲット2を温度Tよりも低い温度Tまでしか昇温させない形態、及び(3)バッキングプレート1を温度Tまで昇温させ、スパッタリングターゲット2を昇温させない形態を包含する。
【0081】
[線膨脹係数を含む関係式](ΔT(BP)とΔT(TG)で異なる)
バッキングプレート1の押圧面によってスパッタリングターゲット2の接触面を押圧するとき、前記押圧面は前記接触面を挟んで向かい合わせの位置に配置された対となる面を少なくとも有し、該対となる押圧面同士の距離と、前記対となる押圧面と接触している接触面同士の距離との関係が(数6)~(数10)を満たすことが好ましい。
(数6)DTG>DBP
(数7)DBP=DTG-ΔD×C
(数8)ΔD=DBP×ΔT×CTEBP-DTG×ΔT×CTTG
(数9)DTG-ΔD×4.0≦DBP≦DTG-ΔD×0.5
(数10)CTEBP>CTTG
ただし、DBP、DTG、ΔD、C、T、ΔT、T、ΔT、CTEBP及びCTTGはそれぞれ次のことを意味する。
BP:室温における、前記対となる押圧面同士の距離(mm)
TG:室温における、前記対となる押圧面と接触する接触面同士の距離(mm)
T:バッキングプレートを熱膨張させてスパッタリングターゲットを嵌合させるときのバッキングプレートの温度(℃)(ただし、T>室温、T>T
ΔT:T-室温(℃)
:バッキングプレートを熱膨張させてスパッタリングターゲットを嵌合させるときのスパッタリングターゲットの温度(℃)(ただし、T≧室温、T>T
ΔT:T-室温(℃)
CTEBP:温度Tにおけるバッキングプレートの線膨張係数(1/℃)
CTTG:温度Tにおけるスパッタリングターゲットの線膨張係数(1/℃)
C:係数(ただし、C=0.5~4.0)
ΔD:室温から温度Tまで昇温させたときのバッキングプレートと室温から温度Tまで昇温させたときのスパッタリングターゲットの熱膨張量の差(mm)
ここで、(3)の形態について、同様に検討すると、バッキングプレート1を室温からバッキングプレートを熱膨張させる温度Tまで昇温させると、バッキングプレート1の押圧面同士の距離は、(DBP×ΔT×CTEBP)で求められる長さの熱膨張をする。また、スパッタリングターゲット2は室温のままであるから、スパッタリングターゲット2の接触面同士の距離は、熱膨張しない。そうすると、バッキングプレート1のみを温度Tまで昇温することによって熱膨脹させると、バッキングプレート1の押圧面同士の距離は(DBP×ΔT×CTEBP)で求められる長さ分だけ熱膨張し、バッキングプレート1の押圧面同士の距離がスパッタリングターゲット2の接触面同士の距離よりも熱膨張することによってバッキングプレート1の押圧面の内側にスパッタリングターゲット2を嵌め込むことが可能となる。そして、室温まで降温させると、(数6)に示される関係によって、スパッタリングターゲット2の接触面をバッキングプレート1の押圧面で押圧することになる。前記の(3)の形態において、スパッタリングターゲット2の接触面をバッキングプレート1の押圧面で押圧することを可能にするには、バッキングプレート1の熱膨脹によって、バッキングプレート1の押圧面同士の距離がスパッタリングターゲット2の接触面同士の距離を逆転しなければならない。そこで、室温におけるバッキングプレート1の押圧面同士の距離を、室温におけるスパッタリングターゲット2の接触面同士の距離と比較して、どれだけ小さく設定することができるかの関係を示したのが(数7)及び(数9)である。(数7)及び(数9)においてCは係数であるが、Cが0.5~4.0の範囲内であるとき、スパッタリングターゲット2の接触面をバッキングプレート1の押圧面で押圧してスパッタリングターゲットとバッキングプレートとを接合するときに、スパッタリングターゲットの割れや反りを抑制することができる。
【0082】
(2)の形態は、(1)の形態と(3)の形態の中間の形態であるから、同様にスパッタリングターゲット2の接触面をバッキングプレート1の押圧面で押圧することになる。
【0083】
〈スパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体の製造方法〉
[製造方法の第1例]
(工程1)
次に、図15を参照しながら、図2に示したスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体100の製造方法について説明する。まず、図15(A)に示すように、バッキングプレート1と、ターゲット面7、バッキングプレートのプレート面3と向かい合うターゲット裏面8、外周側面9を備えたスパッタリングターゲット2を準備する。次に、図15(B)に示すように、バッキングプレート1にプレート面3、プレート裏面4、プレート側面5、鉤状部6を形成できる程度の凸部13を形成する。バッキングプレート1の形成手段としては、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、凸部13の内側のプレート面もプレート面3とする。スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1が接合できれば、凸部13の内側のプレート面3と凸部13の外側のプレート面の高さは一致していてもよく、異なっていてもよい。次に、図15(B)に示すように、バッキングプレート1に形成される凸部13の高さ及び幅を考慮し、凸部13に形成される鉤状部6とスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に形成される鉤受け部10とが当接できる程度までスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を取り除く。スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を取り除く手段としては、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、取り除かれた箇所の外周も外周側面9とする。次に、図15(C)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部と向かい合う箇所でバッキングプレート1に形成される凸部13に鉤状部6を形成する。鉤状部6の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、凸部13の鉤状部6は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に対して全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に対して部分的に設けてもよい。次に、図15(C)に示すように、バッキングプレート1に形成される凸部13の鉤状部6と当接できる箇所でスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に鉤受け部10を形成する。鉤受け部10の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に部分的に設けてもよいが、鉤状部6と当接する位置に設けることが必要である。
【0084】
(工程2)
次に、図15(D)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部をバッキングプレート1の鉤状部6の内側に挿入できる程度までバッキングプレート1を加熱して熱膨張させる。このとき、バッキングプレート1の鉤状部6の内側にスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を挿入する目的が果たせるのであれば、バッキングプレート1を加熱しているときにスパッタリングターゲット2が加熱されてもよい。加熱は、例えば、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などによって行うことができる。なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の界面に中間層を設けるときは、図15(D)の工程内または図15(D)の工程の前後で行うことが好ましく、換言すると図15(C)と図15(D)の間の工程、図15(D)を行っている間または図15(D)と図15(E)の間の工程で中間層を形成することが好ましい(図15では不図示)。
【0085】
(工程3)
次に、図15(E)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部をバッキングプレート1の鉤状部6の内側に挿入し、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8とバッキングプレート1のプレート面3を合わせ、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10とバッキングプレート1の鉤状部6が向かい合わせになるように配置する。このとき、バッキングプレート1の鉤状部6やスパッタリングターゲット2の鉤受け部10が変形しない程度であれば、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1に向けて押圧を加えてもよい。
【0086】
(工程4)
次に、図15(F)に示すように、バッキングプレート1を冷却して熱収縮させ、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10とバッキングプレート1の鉤状部6を当接させることにより、スパッタリングターゲット2の側面方向の動きを抑制するとともに、スパッタリングターゲット2の厚さ方向の動きを抑制しているため、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の接合強度を確保することができる。冷却は、例えば、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などによって温度を調整しながら冷却を行うことができるが、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などで行ってきた加熱を停止して自然放冷してもよい。
【0087】
(工程4の後の付加工程)
なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の密着性をより確保したいときは、工程4の後に、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧、又は、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の加熱とスパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧の工程及びスパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の冷却の工程を1組として1回行う又は2回以上繰り返し行ってもよい。また、バッキングプレート1の凸部13の位置、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部の取り除く量、鉤状部6の位置、鉤受け部10の位置などを調整し、バッキングプレート1の鉤状部6側からスパッタリングターゲット2の鉤受け部10側に押圧が加わるようにしてもよく、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8からバッキングプレート1のプレート面3に押圧が加わるようにしてもよい。
【0088】
[製造方法の第2例]
(工程1)
次に、図16を参照しながら、図8に示したスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体201の製造方法について説明する。本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体201の製造方法は、まず、図16(A)に示すように、プレート面3、プレート裏面4及びプレート側面5を備えたバッキングプレート1と、ターゲット面7、プレート面3と向かい合うターゲット裏面8、外周側面9を備えたスパッタリングターゲット2と留め具14を準備する。次に、図16(B)に示すように、バッキングプレート1に固定される留め具14の高さ及び幅を考慮し、留め具14に形成される鉤状部6とスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に形成される鉤受け部10が当接できる程度までスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を取り除く。スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を取り除く手段としては、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、前記取り除かれた箇所の外周も外周側面9とする。次に、留め具14に形成される鉤状部6とスパッタリングターゲットの外周側面9の下部に形成される鉤受け部10を当接することを考慮し、バッキングプレート1のプレート面3に留め具14を固定する。バッキングプレート1のプレート面3に留め具14を固定する手段としては、ねじ止めによる固定の他、拡散接合、溶接などの接合手段によって行うことができる。次に、図16(C)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部と向かい合う箇所でバッキングプレート1に固定される留め具14に鉤状部6を形成する。鉤状部6の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、留め具14の鉤状部6は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に対して全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に対して部分的に設けてもよい。次に、図16(C)に示すように、バッキングプレート1に固定される留め具14の鉤状部6と当接できる箇所でスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に鉤受け部10を形成する。鉤受け部10の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に部分的に設けてもよいが、留め具14の鉤状部6と当接する位置に設けることが必要である。
【0089】
(工程2)
次に、図16(D)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部をバッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6の内側に挿入できる程度までバッキングプレート1を加熱して熱膨張させる。このとき、バッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6の内側にスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を挿入する目的が果たせるのであれば、バッキングプレート1を加熱しているときにスパッタリングターゲット2が加熱されてもよい。加熱は、例えば、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などによって行うことができる。なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の界面に中間層を設けるときは、図16(D)の工程内または図16(D)の工程の前後で行うことが好ましく、換言すると図16(C)と図16(D)の間の工程、図16(D)を行っている間または図16(D)と図16(E)の間の工程で中間層を形成することが好ましい(図16では不図示)。
【0090】
(工程3)
次に、図16(E)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部をバッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6の内側に挿入し、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8とバッキングプレート1のプレート面3を合わせ、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10とバッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6が向かい合わせになるように配置する。このとき、バッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6やスパッタリングターゲット2の鉤受け部10が変形しない程度であれば、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1に向けて押圧を加えてもよい。
【0091】
(工程4)
次に、図16(F)に示すように、バッキングプレート1を冷却して熱収縮させ、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10とバッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6を当接させることにより、スパッタリングターゲット2の側面方向の動きを抑制するとともに、スパッタリングターゲット2の厚さ方向の動きを抑制しているため、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の接合強度を確保することができる。冷却は、例えば、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などによって温度を調整しながら冷却を行うことができるが、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などで行ってきた加熱を停止して自然放冷してもよい。
【0092】
(工程4の後の付加工程)
なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の密着性をより確保したいときは、工程4の後に、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧、又は、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の加熱とスパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧の工程及びスパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の冷却の工程を1組として1回行う又は2回以上繰り返し行ってもよい。また、バッキングプレート1の留め具14の位置、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部の取り除く量、鉤状部6の位置、鉤受け部10の位置などを調整し、バッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6側からスパッタリングターゲット2の鉤受け部10側に押圧が加わるようにしてもよく、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8からバッキングプレート1のプレート面3に押圧が加わるようにしてもよい。
【0093】
[製造方法の第3例]
(工程1)
次に、図17を参照しながら、図8に示したスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体201の製造方法の別形態について説明する。本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体201の製造方法は、まず、図17(A)に示すように、プレート面3、プレート裏面4及びプレート側面5を備えたバッキングプレート1と、ターゲット面7、前記プレート面3と向かい合うターゲット裏面8、外周側面9を備えたスパッタリングターゲット2と留め具14を準備する。次に、図17(B)に示すように、バッキングプレート1に固定される留め具14の高さ及び幅を考慮し、留め具14に形成される鉤状部6とスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に形成される鉤受け部10が当接できる程度までスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を取り除く。スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を取り除く手段としては、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、前記取り除かれた箇所の外周も外周側面9とする。次に、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部と向かい合う箇所でバッキングプレート1に固定される留め具14に鉤状部6を形成する。鉤状部6の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、留め具14の鉤状部6は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に対して全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に対して部分的に設けてもよい。次に、図17(C)に示すように、バッキングプレート1に固定される留め具14の鉤状部6と当接できる箇所でスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に鉤受け部10を形成する。鉤受け部10の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に部分的に設けてもよいが、留め具14の鉤状部6と当接する位置に設けることが必要である。次に、図17(C)に示すように、留め具14に形成される鉤状部6とスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に形成される鉤受け部10を当接することを考慮し、バッキングプレート1のプレート面3に留め具14を固定する。バッキングプレート1のプレート面3に留め具14を固定する手段としては、ねじ止めによる固定の他、拡散接合、溶接などの接合手段によって行うことができる。
【0094】
(工程2)
次に、図17(D)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部をバッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6の内側に挿入できる程度までバッキングプレート1を加熱して熱膨張させる。このとき、バッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6の内側にスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を挿入する目的が果たせるのであれば、バッキングプレート1を加熱しているときにスパッタリングターゲット2が加熱されてもよい。加熱は、例えば、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などによって行うことができる。なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の界面に中間層を設けるときは、図17(D)の工程内または図17(D)の工程の前後で行うことが好ましく、換言すると図17(C)と図17(D)の間の工程、図17(D)を行っている間または図17(D)と図17(E)の間の工程で中間層を形成することが好ましい(図17では不図示)。
【0095】
(工程3)
次に、図17(E)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部をバッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6の内側に挿入し、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8とバッキングプレート1のプレート面3を合わせ、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10とバッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6が向かい合わせになるように配置する。このとき、バッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6やスパッタリングターゲット2の鉤受け部10が変形しない程度であれば、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1に向けて押圧を加えてもよい。
【0096】
(工程4)
次に、図17(F)に示すように、バッキングプレート1を冷却して熱収縮させ、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10とバッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6を当接させることにより、スパッタリングターゲット2の側面方向の動きを抑制するとともに、スパッタリングターゲット2の厚さ方向の動きを抑制しているため、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の接合強度を確保することができる。冷却は、例えば、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などによって温度を調整しながら冷却を行うことができるが、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などで行ってきた加熱を停止して自然放冷してもよい。
【0097】
(工程4の後の付加工程)
なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の密着性をより確保したいときは、工程4の後に、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧、又は、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の加熱とスパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧の工程及びスパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の冷却の工程を1組として1回行う又は2回以上繰り返し行ってもよい。また、バッキングプレート1の留め具14の位置、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部の取り除く量、鉤状部6の位置、鉤受け部10の位置などを調整し、バッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6側からスパッタリングターゲット2の鉤受け部10側に押圧が加わるようにしてもよく、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8からバッキングプレート1のプレート面3に押圧が加わるようにしてもよい。
【0098】
[製造方法の第4例]
(工程1)
次に、図18を参照しながら、図7に示したスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体200の製造方法について説明する。本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体200の製造方法は、まず、図18(A)に示すように、プレート面3、プレート裏面4及びプレート側面5を備えたバッキングプレート1と、ターゲット面7、前記プレート面3と向かい合うターゲット裏面8、外周側面9を備えたスパッタリングターゲット2と留め具14を準備する。次に、図18(B)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部をバッキングプレート1に固定される留め具14の高さ及び幅を考慮し、留め具14に形成される鉤状部6とスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に形成される鉤受け部10が当接できる程度までスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を取り除く。スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を取り除く手段としては、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、前記取り除かれた箇所の外周も外周側面9とする。次に、図18(C)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部と向かい合う箇所でバッキングプレート1に固定される留め具14に鉤状部6を形成する。留め具14の鉤状部6の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、留め具14の鉤状部6は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に対して全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に対して部分的に設けてもよい。次に、図18(C)に示すように、バッキングプレート1に固定される留め具14の鉤状部6と当接できる箇所でスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に鉤受け部10を形成する。鉤受け部10の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に部分的に設けてもよいが、留め具14の鉤状部6と当接する位置に設けることが必要である。
【0099】
(工程2)
図18(C)に示すように、プレート面3とターゲット裏面8とが向かい合わせになるように、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1とを配置する。
【0100】
(工程3)
次に、図18(D)に示すように、留め具14に形成された鉤状部6とスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に形成された鉤受け部10を当接する。次に、図18(E)に示すように、留め具14をプレート面3に配置し、かつ、鉤受け部10と鉤状部6とが向かい合わせになるように、スパッタリングターゲット2と留め具14とを配置する。
【0101】
(工程4)
次に、図18(E)において、工程3の配置状態で、バッキングプレート1のプレート面3に留め具14を固定することにより、スパッタリングターゲット2の側面方向の動きを抑制するとともに、スパッタリングターゲット2の厚さ方向の動きを抑制しているため、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の接合強度を確保することができる。バッキングプレート1のプレート面3に留め具14を固定する手段としては、ねじ止めによる固定の他、拡散接合、溶接などの接合手段によって行うことができる。
【0102】
(工程4の後の付加工程)
なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の密着性をより確保したいときは、工程4の後に、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧、又は、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の加熱とスパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧の工程及びスパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の冷却の工程を1組として1回行う又は2回以上繰り返し行ってもよい。
【0103】
[製造方法の第5例]
(工程1)
次に、図19を参照しながら、図7に示したスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体200に類似する構造を有する接合体202の製造方法について説明する。本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体202の製造方法は、まず、図19(A)に示すように、プレート面3、プレート裏面4及びプレート側面5を備えたバッキングプレート1と、ターゲット面7、前記プレート面3と向かい合うターゲット裏面8、外周側面9を備えたスパッタリングターゲット2と留め具14を準備する。このとき、留め具14の底部は、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8を覆うことが可能な形状とされている。次に、図19(B)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部をバッキングプレート1に固定される留め具14の高さ及び幅を考慮し、留め具14に形成される鉤状部6とスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に形成される鉤受け部10が当接できる程度までスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を取り除く。スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を取り除く手段としては、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、前記取り除かれた箇所の外周も外周側面9とする。次に、図19(C)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部と向かい合う箇所でバッキングプレート1に固定される留め具14に鉤状部6を形成する。鉤状部6の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、留め具14の鉤状部6は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に対して全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に対して部分的に設けてもよい。次に、図19(C)に示すように、バッキングプレート1に固定される留め具14の鉤状部6と当接できる箇所でスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に鉤受け部10を形成する。鉤受け部10の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に部分的に設けてもよいが、留め具14の鉤状部6と当接する位置に設けることが必要である。
【0104】
(工程2)
図19(C)に示すように、プレート面3とターゲット裏面8とが向かい合わせになるように、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1とを配置する。
【0105】
(工程3)
次に、図19(D)に示すように、留め具14に形成された鉤状部6とスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に形成された鉤受け部10を当接する。このとき、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8を覆うようにした留め具14の底部は、スパッタリングターゲット2の裏面8と当接することが好ましい。次に、図19(E)に示すように、留め具14をプレート面3に配置し、かつ、鉤受け部10と鉤状部6とが向かい合わせになるように、スパッタリングターゲット2と留め具14とを配置する。
【0106】
(工程4)
次に、図19(E)において、工程3の配置状態で、バッキングプレート1のプレート面3に留め具14を固定することにより、スパッタリングターゲット2の側面方向の動きを抑制するとともに、スパッタリングターゲット2の厚さ方向の動きを抑制しているため、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の接合強度を確保することができる。バッキングプレート1のプレート面3に留め具14を固定する手段としては、ねじ止めによる固定の他、拡散接合、溶接などの接合手段によって行うことができる。
【0107】
(工程4の後の付加工程)
なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の密着性をより確保したいときは、工程4の後に、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧、又は、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の加熱とスパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧の工程及びスパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の冷却の工程を1組として1回行う又は2回以上繰り返し行ってもよい。
【0108】
[製造方法の第6例]
(工程1)
次に、図20を参照しながら、図9に示したスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体300の製造方法について説明する。本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体300の製造方法は、まず、図20(A)に示すように、プレート面3、プレート裏面4、プレート側面5を備えたバッキングプレート1と、ターゲット面7、バッキングプレートのプレート面3と向かい合うターゲット裏面8、外周側面9を備えたスパッタリングターゲット2を準備する。次に、図20(B)に示すように、バッキングプレート1のプレート面3にスパッタリングターゲット2のターゲット裏面8を嵌め込むための、凹部底面15と凹部側面16とを有する凹部17を形成する。このとき、バッキングプレート1の凹部底面15の大きさは、バッキングプレート1の凹部側面16に形成される鉤状部6の幅を考慮しておく必要がある。バッキングプレート1の凹部17の形成手段としては、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、バッキングプレート1の凹部底面15は、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2を固定したときに、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8と当接することが好ましい。次に、図20(B)に示すように、バッキングプレート1の凹部側面16の高さ及びバッキングプレート1の凹部側面16に形成される鉤状部6の幅を考慮し、バッキングプレート1の凹部側面16に形成される鉤状部6とスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に形成される鉤受け部10とが当接できる程度までスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を取り除く。スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を取り除く手段としては、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、前記取り除かれた箇所の外周も外周側面9とする。次に、図20(C)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部と向かい合う箇所でバッキングプレート1の凹部側面16に鉤状部6を形成する。鉤状部6の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、バッキングプレート1の凹部側面16の鉤状部6は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に対して全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に対して部分的に設けてもよい。次に、図20(C)に示すように、バッキングプレート1の凹部側面16の鉤状部6と当接できる箇所でスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に鉤受け部10を形成する。鉤受け部10の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に部分的に設けてもよいが、前記鉤状部6と当接する位置に設けることが必要である。
【0109】
(工程2)
次に、図20(D)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部をバッキングプレート1の鉤状部6の内側に挿入できる程度までバッキングプレート1を加熱して熱膨張させる。このとき、バッキングプレート1の鉤状部6の内側にスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を挿入する目的が果たせるのであれば、バッキングプレート1を加熱しているときにスパッタリングターゲット2が加熱されてもよい。加熱は、例えば、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などによって行うことができる。なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の界面に中間層を設けるときは、図20(D)の工程内または図20(D)の工程の前後で行うことが好ましく、換言すると図20(C)と図20(D)の間の工程、図20(D)を行っている間または図20(D)と図20(E)の間の工程で中間層を形成することが好ましい(図20では不図示)。
【0110】
(工程3)
次に、図20(E)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部をバッキングプレート1の鉤状部6の内側に挿入し、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8とバッキングプレート1の凹部底面15を合わせ、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10とバッキングプレート1の鉤状部6が向かい合わせになるように配置する。このとき、バッキングプレート1の鉤状部6やスパッタリングターゲット2の鉤受け部10が変形しない程度であれば、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1に向けて押圧を加えてもよい。
【0111】
(工程4)
次に、図20(F)に示すように、バッキングプレート1を冷却して熱収縮させ、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10とバッキングプレート1の鉤状部6を当接させることにより、スパッタリングターゲット2の側面方向の動きを抑制するとともに、スパッタリングターゲット2の厚さ方向の動きを抑制しているため、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の接合強度を確保することができる。冷却は、例えば、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などによって温度を調整しながら冷却を行うことができるが、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などで行ってきた加熱を停止して自然放冷してもよい。
【0112】
(工程4の後の付加工程)
なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の密着性をより確保したいときは、工程4の後に、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧、又は、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の加熱とスパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧の工程及びスパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の冷却の工程を1組として1回行う又は2回以上繰り返し行ってもよい。また、バッキングプレート1の凹部底面15の大きさ、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部の取り除く量、鉤状部6の位置、鉤受け部10の位置などを調整し、バッキングプレート1の鉤状部6側からスパッタリングターゲット2の鉤受け部10側に押圧が加わるようにしてもよく、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8からバッキングプレート1の凹部底面15に押圧が加わるようにしてもよい。
【0113】
[製造方法の第7例]
(工程1)
次に、図21を参照しながら、図9に示したスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体300に類似する構造を有する接合体301であって、留め具14を用いた接合体の製造方法について説明する。本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体301の製造方法は、まず、図21(A)に示すように、プレート面3、プレート裏面4、プレート側面5を備えたバッキングプレート1と、ターゲット面7、バッキングプレート1のプレート面3と向かい合うターゲット裏面8、外周側面9を備えたスパッタリングターゲット2と留め具14を準備する。次に、図21(B)に示すように、バッキングプレート1のプレート面3にスパッタリングターゲット2のターゲット裏面8を嵌め込むための凹部底面15と凹部側面16とを有する凹部17を形成する。このとき、バッキングプレート1の凹部底面15の大きさは、留め具14の幅を考慮しておく必要がある。バッキングプレート1の凹部17の形成手段としては、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、バッキングプレート1の凹部底面15は、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2を固定したときに、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8と当接することが好ましい。次に、図21(B)に示すように、バッキングプレート1の凹部側面16の高さ、バッキングプレート1の凹部底面15若しくは凹部側面16に固定される留め具14の高さ及び幅を考慮し、バッキングプレート1の凹部17に固定される留め具14に形成される鉤状部6とスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に形成される鉤受け部10とが当接できる程度までスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を取り除く。スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を取り除く手段としては、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、前記取り除かれた箇所の外周も外周側面9とする。次に、図21(B)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部と向かい合う箇所でバッキングプレート1の凹部底面15若しくは凹部側面16に固定される留め具14に鉤状部6を形成する。鉤状部6の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、留め具14の鉤状部6は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に対して全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に対して部分的に設けてもよい。次に、図21(C)に示すように、バッキングプレート1の凹部底面15若しくは凹部側面16に固定される留め具14に形成された鉤状部6と当接できる箇所でスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に鉤受け部10を形成する。鉤受け部10の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に部分的に設けてもよいが、留め具14の鉤状部6と当接する位置に設けることが必要である。次に、留め具14に形成される鉤状部6とスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に形成される鉤受け部10とを当接することを考慮し、バッキングプレート1の凹部底面15若しくは凹部側面16に留め具14を固定する。バッキングプレート1の凹部底面15若しくは凹部側面16に留め具14を固定する手段としては、ねじ止めによる固定の他、拡散接合、溶接などの接合手段によって行うことができる。
【0114】
(工程2)
次に、図21(D)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部をバッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6の内側に挿入できる程度までバッキングプレート1を加熱して熱膨張させる。このとき、バッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6の内側にスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を挿入する目的が果たせるのであれば、バッキングプレート1を加熱しているときにスパッタリングターゲット2が加熱されてもよい。加熱は、例えば、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などによって行うことができる。なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の界面に中間層を設けるときは、図21(D)の工程内または図21(D)の工程の前後で行うことが好ましく、換言すると図21(C)と図21(D)の間の工程、図21(D)を行っている間または図21(D)と図21(E)の間の工程で中間層を形成することが好ましい(図21では不図示)。
【0115】
(工程3)
次に、図21(E)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部をバッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6の内側に挿入し、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8とバッキングプレート1の凹部底面15を合わせ、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10とバッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6が向かい合わせになるように配置する。このとき、バッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6やスパッタリングターゲット2の鉤受け部10が変形しない程度であれば、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1に向けて押圧を加えてもよい。
【0116】
(工程4)
次に、図21(F)に示すように、バッキングプレート1を冷却して熱収縮させ、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10とバッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6を当接させることにより、スパッタリングターゲット2の側面方向の動きを抑制するとともに、スパッタリングターゲット2の厚さ方向の動きを抑制しているため、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の接合強度を確保することができる。冷却は、例えば、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などによって温度を調整しながら冷却を行うことができるが、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などで行ってきた加熱を停止して自然放冷してもよい。
【0117】
(工程4の後の付加工程)
なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の密着性をより確保したいときは、工程4の後に、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧、又は、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の加熱とスパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧の工程及びスパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の冷却の工程を1組として1回行う又は2回以上繰り返し行ってもよい。また、バッキングプレート1の凹部底面15の大きさ、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部の取り除く量、鉤状部6の位置、鉤受け部10の位置などを調整し、バッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6側からスパッタリングターゲット2の鉤受け部10側に押圧が加わるようにしてもよく、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8からバッキングプレート1の凹部底面15に押圧が加わるようにしてもよい。
【0118】
[製造方法の第8例]
(工程1)
次に、図22を参照しながら、図10に示したスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体400に類似する構造を有する接合体401であって、留め具を用いない接合体の製造方法について説明する。本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体401の製造方法は、まず、図22(A)に示すように、プレート面3、プレート裏面4、プレート側面5を備えたバッキングプレート1と、ターゲット面7、バッキングプレートのプレート面3と向かい合うターゲット裏面8、外周側面9を備えたスパッタリングターゲット2を準備する。次に、図22(B)に示すように、バッキングプレート1のプレート面3にスパッタリングターゲット2のターゲット裏面8を嵌め込むための凹部底面15と凹部側面16とを有する凹部17を形成する。このとき、バッキングプレート1の凹部底面15の大きさは、バッキングプレート1の凹部側面16に形成される鉤状部6の幅を考慮しておく必要がある。バッキングプレート1の凹部17の形成手段としては、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、バッキングプレート1の凹部底面15は、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2を固定したときに、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8と当接することが好ましい。次に、図22(C)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部と向かい合う箇所でバッキングプレート1の凹部側面16に鉤状部6を形成する。鉤状部6の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、バッキングプレート1の凹部側面16の鉤状部6は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に対して全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に対して部分的に設けてもよい。次に、図22(C)に示すように、バッキングプレート1の凹部側面16の鉤状部6と当接できる箇所でスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に鉤受け部10を形成する。鉤受け部10の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に部分的に設けてもよいが、前記鉤状部6と当接する位置に設けることが必要である。
【0119】
(工程2)
次に、図22(D)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部をバッキングプレート1の鉤状部6の内側に挿入できる程度までバッキングプレート1を加熱して熱膨張させる。このとき、バッキングプレート1の鉤状部6の内側にスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を挿入する目的が果たせるのであれば、バッキングプレート1を加熱しているときにスパッタリングターゲット2が加熱されてもよい。加熱は、例えば、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などによって行うことができる。なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の界面に中間層を設けるときは、図22(D)の工程内または図22(D)の工程の前後で行うことが好ましく、換言すると図22(C)と図22(D)の間の工程、図22(D)を行っている間または図22(D)と図22(E)の間の工程内で中間層を形成することが好ましい(図22では不図示)。
【0120】
(工程3)
次に、図22(E)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部をバッキングプレート1の鉤状部6の内側に挿入し、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8とバッキングプレート1の凹部底面15を合わせ、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10とバッキングプレート1の鉤状部6が向かい合わせになるように配置する。このとき、バッキングプレート1の鉤状部6やスパッタリングターゲット2の鉤受け部10が変形しない程度であれば、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1に向けて押圧を加えてもよい。
【0121】
(工程4)
次に、図22(F)に示すように、バッキングプレート1を冷却して熱収縮させ、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10とバッキングプレート1の鉤状部6を当接させることにより、スパッタリングターゲット2の側面方向の動きを抑制するとともに、スパッタリングターゲット2の厚さ方向の動きを抑制しているため、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の接合強度を確保することができる。冷却は、例えば、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などによって温度を調整しながら冷却を行うことができるが、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などで行ってきた加熱を停止して自然放冷してもよい。
【0122】
(工程4の後の付加工程)
なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の密着性をより確保したいときは、工程4の後に、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧、又は、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の加熱とスパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧の工程及びスパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の冷却の工程を1組として1回行う又は2回以上繰り返し行ってもよい。また、バッキングプレート1の凹部底面15の大きさ、鉤状部6の位置、鉤受け部10の位置などを調整し、バッキングプレート1の鉤状部6側からスパッタリングターゲット2の鉤受け部10側に押圧が加わるようにしてもよく、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8からバッキングプレート1の凹部底面15に押圧が加わるようにしてもよい。
【0123】
[製造方法の第9例]
(工程1)
次に、図23を参照しながら、図10に示したスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体400の製造方法について説明する。本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体400の製造方法は、まず、図23(A)に示すように、プレート面3、プレート裏面4、プレート側面5を備えたバッキングプレート1と、ターゲット面7、バッキングプレートのプレート面3と向かい合うターゲット裏面8、外周側面9を備えたスパッタリングターゲット2と留め具14を準備する。次に、図23(B)に示すように、バッキングプレート1のプレート面3にスパッタリングターゲット2のターゲット裏面8を嵌め込むための凹部底面15と凹部側面16とを有する凹部17を形成する。このとき、バッキングプレート1の凹部底面15の大きさは、留め具14の幅を考慮しておく必要がある。バッキングプレート1の凹部17の形成手段としては、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、バッキングプレート1の凹部底面15は、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2を固定したときに、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8と当接することが好ましい。次に、図23(B)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部と向かい合う箇所でバッキングプレート1の凹部底面15若しくは凹部側面16に固定される留め具14に鉤状部6を形成する。鉤状部6の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、留め具14の鉤状部6は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に対して全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に対して部分的に設けてもよい。次に、図23(B)に示すように、バッキングプレート1の凹部底面15若しくは凹部側面16に固定される留め具14に形成された鉤状部6と当接できる箇所でスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に鉤受け部10を形成する。鉤受け部10の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に部分的に設けてもよいが、留め具14の鉤状部6と当接する位置に設けることが必要である。次に、図23(C)に示すように、留め具14に形成される鉤状部6とスパッタリングターゲットの外周側面9の下部に形成される鉤受け部10とを当接することを考慮し、バッキングプレート1の凹部底面15若しくは凹部側面16に留め具14を固定する。バッキングプレート1の凹部底面15若しくは凹部側面16に留め具14を固定する手段としては、ねじ止めによる固定の他、拡散接合、溶接などの接合手段によって行うことができる。
【0124】
(工程2)
次に、図23(D)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部をバッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6の内側に挿入できる程度までバッキングプレート1を加熱して熱膨張させる。このとき、バッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6の内側にスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部を挿入する目的が果たせるのであれば、バッキングプレート1を加熱しているときにスパッタリングターゲット2が加熱されてもよい。加熱は、例えば、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などによって行うことができる。なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の界面に中間層を設けるときは、図23(D)の工程内または図23(D)の工程の前後で行うことが好ましく、換言すると図23(C)と図23(D)の間の工程、図23(D)を行っている間または図23(D)と図23(E)の間の工程で中間層を形成することが好ましい(図23では不図示)。
【0125】
(工程3)
次に、図23(E)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部をバッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6の内側に挿入し、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8とバッキングプレート1の凹部底面15を合わせ、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10とバッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6が向かい合わせになるように配置する。このとき、バッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6やスパッタリングターゲット2の鉤受け部10が変形しない程度であれば、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1に向けて押圧を加えてもよい。
【0126】
(工程4)
次に、図23(F)に示すように、バッキングプレート1を冷却して熱収縮させ、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10とバッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6を当接させることにより、スパッタリングターゲット2の側面方向の動きを抑制するとともに、スパッタリングターゲット2の厚さ方向の動きを抑制しているため、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の接合強度を確保することができる。冷却は、例えば、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などによって温度を調整しながら冷却を行うことができるが、ホットプレス焼結法(HP)、熱間等方加圧焼結法(HIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)又はホットプレートによる加熱法などで行ってきた加熱を停止して自然放冷してもよい。
【0127】
(工程4の後の付加工程)
なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の密着性をより確保したいときは、工程4の後に、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧、又は、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の加熱とスパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧の工程及びスパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の冷却の工程を1組として1回行う又は2回以上繰り返し行ってもよい。また、バッキングプレート1の凹部底面15の大きさ、スパッタリングターゲット2の外周側面9の下部の取り除く量、鉤状部6の位置、鉤受け部10の位置などを調整し、バッキングプレート1に設置した留め具14の鉤状部6側からスパッタリングターゲット2の鉤受け部10側に押圧が加わるようにしてもよく、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8からバッキングプレート1の凹部底面15に押圧が加わるようにしてもよい。
【0128】
[製造方法の第10例]
(工程1)
次に図24を参照しながら、図10に示したスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体400の製造方法の別形態について説明する。本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体400の製造方法は、まず、図24(A)に示すように、プレート面3、プレート裏面4及びプレート側面5を備えたバッキングプレート1と、ターゲット面7、前記プレート面3と向かい合うターゲット裏面8、外周側面9を備えたスパッタリングターゲット2と留め具14を準備する。次に、図24(B)に示すように、バッキングプレート1のプレート面3にスパッタリングターゲット2のターゲット裏面8を嵌め込むための凹部底面15と凹部側面16とを有する凹部17を形成する。このとき、バッキングプレート1の凹部底面15の大きさは、留め具14の幅を考慮しておく必要がある。バッキングプレート1の凹部17の形成手段としては、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、バッキングプレート1の凹部底面15は、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2を固定したときに、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8と当接することが好ましい。次に、図24(B)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9と向かい合うように、バッキングプレート1に固定される留め具14に鉤状部6を形成する。留め具14の鉤状部6の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、留め具14の鉤状部6は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に対して全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に対して部分的に設けてもよい。次に、図24(B)に示すように、バッキングプレート1に固定される留め具14の鉤状部6と当接できる箇所でスパッタリングターゲット2の外周側面9に鉤受け部10を形成する。鉤受け部10の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に部分的に設けてもよいが、留め具14の鉤状部6と当接する位置に設けることが必要である。
【0129】
(工程2)
図24(C)に示すように、プレート面3とターゲット裏面8とが向かい合わせになるように、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1とを配置する。
【0130】
(工程3)
次に、図24(C)に示すように、留め具14に形成された鉤状部6とスパッタリングターゲットの外周側面9の下部に形成された鉤受け部10とを当接する。次に、図24(D)に示すように、留め具14をプレート面3に配置し、かつ、鉤受け部10と鉤状部6とが向かい合わせになるように、スパッタリングターゲット2と留め具14とを配置する。
【0131】
(工程4)
次に、図24(D)において、工程3の配置状態で、バッキングプレート1の凹部底面15若しくは凹部側面16に留め具14を固定することにより、スパッタリングターゲット2の側面方向の動きを抑制するとともに、スパッタリングターゲット2の厚さ方向の動きを抑制しているため、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の接合強度を確保することができる。バッキングプレート1のプレート面3に留め具14を固定する手段としては、ねじ止めによる固定の他、拡散接合、溶接などの接合手段によって行うことができる。
【0132】
(工程4の後の付加工程)
なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の密着性をより確保したいときは、工程4の後に、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧、又は、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の加熱とスパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧の工程及びスパッタリングターゲットとバッキングプレートの冷却の工程を1組として1回行う又は2回以上繰り返し行ってもよい。
【0133】
[製造方法の第11例]
(工程1)
次に図25を参照しながら、図10に示したスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体400に類似する構造を有する接合体402の製造方法について説明する。本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体402の製造方法は、まず、図25(A)に示すように、プレート面3、プレート裏面4及びプレート側面5を備えたバッキングプレート1と、ターゲット面7、前記プレート面3と向かい合うターゲット裏面8、外周側面9を備えたスパッタリングターゲット2と留め具14を準備する。このとき、留め具14の底部は、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8を覆うことが可能な形状とされている。次に、図25(B)に示すように、バッキングプレート1のプレート面3にスパッタリングターゲット2のターゲット裏面8を嵌め込むための凹部底面15と凹部側面16とを有する凹部17を形成する。このとき、バッキングプレート1の凹部底面15の大きさは、留め具14の幅を考慮しておく必要がある。バッキングプレート1の凹部17の形成手段としては、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、バッキングプレート1の凹部底面15は、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2を固定したときに、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8と当接することが好ましい。次に、図25(B)に示すように、スパッタリングターゲット2の外周側面9と向かい合うように、バッキングプレート1に固定される留め具14に鉤状部6を形成する。留め具14の鉤状部6の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、留め具14の鉤状部6は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に対して全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に対して部分的に設けてもよい。次に、図25(B)に示すように、バッキングプレート1に固定される留め具14の鉤状部6と当接できる箇所でスパッタリングターゲット2の外周側面9の下部に鉤受け部10を形成する。鉤受け部10の形成は、旋盤を用いた切削加工などによって行うことができる。なお、スパッタリングターゲット2の鉤受け部10は、スパッタリングターゲット2の外周側面9に全周設けてもよく、バッキングプレート1に対してスパッタリングターゲット2が剥離することがなければスパッタリングターゲット2の外周側面9に部分的に設けてもよいが、留め具14の鉤状部6と当接する位置に設けることが必要である。
【0134】
(工程2)
図25(C)に示すように、プレート面3とターゲット裏面8とが向かい合わせになるように、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1とを配置する。
【0135】
(工程3)
次に、図25(C)に示すように、留め具14に形成された鉤状部6とスパッタリングターゲットの外周側面9の下部に形成された鉤受け部10を当接する。このとき、スパッタリングターゲット2のターゲット裏面8を覆うようにした留め具14の底部は、スパッタリングターゲット2の裏面8と当接することが好ましい。次に、図25(D)に示すように、留め具14をプレート面3に配置して留め具14を凹部17に嵌め込み、かつ、鉤受け部10と鉤状部6とが向かい合わせになるように、スパッタリングターゲット2と留め具14とを配置する。
【0136】
(工程4)
次に、図25(D)において、工程3の配置状態で、バッキングプレート1の凹部底面15若しくは凹部側面16に留め具14を固定することにより、スパッタリングターゲット2の側面方向の動きを抑制するとともに、スパッタリングターゲット2の厚さ方向の動きを抑制しているため、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の接合強度を確保することができる。バッキングプレート1のプレート面3に留め具14を固定する手段としては、ねじ止めによる固定の他、拡散接合、溶接などの接合手段によって行うことができる。
【0137】
(工程4の後の付加工程)
なお、バッキングプレート1とスパッタリングターゲット2の密着性をより確保したいときは、工程4の後に、スパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧、又は、スパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の加熱とスパッタリングターゲット2のターゲット面7からバッキングプレート1への押圧の工程及びスパッタリングターゲット2とバッキングプレート1の冷却の工程を1組として1回行う又は2回以上繰り返し行ってもよい。
【0138】
(スパッタリングターゲットの回収方法の第1例)
本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体がスパッタリング装置に装着され、使用された場合であって、スパッタリングターゲットが消耗した場合について説明する。本実施形態に係るスパッタリングターゲットの回収方法は、本実施形態に係るスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体を加熱して、鉤受け部10から鉤状部6を離すまで熱膨脹させる工程Aと、スパッタリングターゲット2をバッキングプレート1から取り外して、スパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体からスパッタリングターゲット2を回収する工程Bと、有する。スパッタリングターゲット2を取り外す形態には、スパッタリングターゲット2をそのまま取り外す形態と、スパッタリングターゲット2に衝撃を加えて取り外す形態が含まれる。
【0139】
(スパッタリングターゲットの回収方法の第2例)
留め具14がバッキングプレート1に固定されているスパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体におけるスパッタリングターゲットの回収方法は、留め具14をバッキングプレート1から取り外して、スパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体からスパッタリングターゲット2を回収する工程Cを有する。スパッタリングターゲット2を取り外す形態には、スパッタリングターゲット2をそのまま取り外す形態と、スパッタリングターゲット2に衝撃を加えて取り外す形態が含まれる。
【実施例0140】
以下、実施例を示しながら本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されない。
【0141】
(実施例1)
図9に相当する接合体を作製する。まず、熔解法にて作製したΦ156×9t(単位:mm)のルテニウムスパッタリングターゲット2と、Φ240×20t(単位:mm)の黄銅のバッキングプレート1を準備した。線膨張係数は、ルテニウムが6.75×10-6/℃、黄銅が21.2×10-6/℃である。次に、スパッタリングターゲット2の外周側面9に、側面の周方向に沿って鉤受け部10となる0.5mmの環状凹部を旋盤で形成した。これによって、スパッタリングターゲット2の外周側面9に、環状凹部の底面を基準として凸となる環状凸部が形成される。次に、バッキングプレート1のスパッタリングターゲット2を設置する箇所に、スパッタリングターゲット2の直径より0.4mm小さく、深さ4mmの凹部17を旋盤にて加工する。さらにスパッタリングターゲット2の鉤状部6と符合する位置のバッキングプレートの凹部内周側面16に0.5mmの鉤受け部10を形成した。次に、バッキングプレート1の凹部底面15に0.1mm厚のNiの板材及び微量のIn粉末を充填した。この微量のIn粉末は、Niの板材周りの隙間に充填される。次に、バッキングプレート1の凹部17の上にスパッタリングターゲット2を設置した。次に、放電プラズマ焼結機を用いて10Pa以下の減圧雰囲気で250℃に昇温後、スパッタリングターゲット2をバッキングプレートの凹部17に充填する。充填後、10MPaでスパッタリングターゲット2のターゲット面7から加圧しながら、さらに400℃まで昇温し、1時間保持にて拡散接合を行った後、冷却して当接を行った。その結果を図26に示す。接合体は、スパッタリングターゲット2の外周側面9の凹凸部分とバッキングプレート1の凹部内周側面16の凹凸部分とが互いに嵌め込みあう構造を有している。図26に示すようにスパッタリングターゲット2の外周側面9とバッキングプレート1の凹部17の内周側面16とは当接により固定し、ターゲット裏面8も隙間無くNi、Inが充填されて、熱伝導が良く拡散接合が行われながら、スパッタリングターゲット2の割れは発生しなかった。
【0142】
(比較例1)
曲げ強度が138MPaであるΦ70×7t(単位:mm)のAl-30原子%Scスパッタリングターゲットと、Φ80×8t(単位:mm)のAl合金であるA6061のバッキングプレートを準備した。線膨張係数は、Al-30原子%Scが13.5×10-6/℃、A6061が23.6×10-6/℃である。次に、バッキングプレート1上にAl-30原子%Scスパッタリングターゲットを設置した。次に、放電プラズマ焼結機を用いて、真空雰囲気で500℃に昇温後、10MPaでスパッタリングターゲットのターゲット面から加圧しながら1時間保持にて拡散接合を行った。その結果を図27に示す。図27に示すように、スパッタリングターゲットとバッキングプレートは接合されているが、線膨張係数の差が大きいため、バッキングプレートの冷却時にスパッタリングターゲットが圧縮の応力を受けて割れてしまった。
【0143】
(比較例2)
曲げ強度が138MPaであるΦ70×7t(単位:mm)のAl-30原子%Scスパッタリングターゲットと、Φ80×8t(単位:mm)のAl合金であるアルミ青銅のバッキングプレートを準備した。線膨張係数は、Al-30原子%Scが13.5×10-6/℃、アルミ青銅が16.5×10-6/℃である。次に、バッキングプレート1上にAl-30原子%Scスパッタリングターゲットを設置した。次に、放電プラズマ焼結機を用いて、真空雰囲気で500℃に昇温後、10MPaでスパッタリングターゲットのターゲット面から加圧しながら1時間保持にて拡散接合を行った。その結果を図28に示す。図28に示すように、比較例1よりもスパッタリングターゲットの線膨張係数とバッキングプレートの線膨張係数を近づけてみたが、スパッタリングターゲットとバッキングプレートとの線膨張係数の差があるため、スパッタリングターゲット2が圧縮の応力を受けて割れるとともに、バッキングプレートへの接合が不十分であるためバッキングプレートからスパッタリングターゲットが剥離した。
【0144】
(比較例3)
焼結法にてΦ194×10t(単位:mm)のルテニウムスパッタリングターゲットと、Φ240×20t(単位:mm)の無酸素銅のバッキングプレートを準備した。線膨張係数は、ルテニウムが6.75×10-6/℃、無酸素銅が16.2×10-6/℃である。次に、バッキングプレート上にルテニウムスパッタリングターゲットを設置した。次に、放電プラズマ焼結機を用いて、真空雰囲気で700℃に昇温後、10MPaでスパッタリングターゲットのターゲット面から加圧しながら1時間保持にて拡散接合を行った。その結果を図29に示す。図29に示すように、スパッタリングターゲットとバッキングプレートの線膨張係数の差があるため、スパッタリングターゲットが圧縮の応力を受けて割れてしまった。
【0145】
(比較例4)
焼結法にてΦ180×5t(単位:mm)のルテニウムスパッタリングターゲットと、バッキングプレートとして用いる無酸素銅で作製したCANと呼ばれる15mm厚の容器にΦ180.1mm、深さ10mmの凹部を形成したものを準備した。線膨張係数は、ルテニウムが6.75×10-6/℃、無酸素銅が16.2×10-6/℃である。次に、CANにスパッタリングターゲットを内包した後、その上から無酸素銅で作製したΦ180×5tの蓋をスパッタリングターゲットの上に乗せ、CAN内を真空にして封止した。次に、HIP装置を用いて、500℃に昇温後、100MPaでCANを加圧して拡散接合を行った。このとき容器が全面から加圧され、容器とスパッタリングターゲットが拡散接合された。拡散接合後に、旋盤を用いてスパッタリングターゲット2とバッキングプレートを削り出した。その結果を図30に示す。図30に示すように、拡散接合は出来ていたが、スパッタリングターゲットとバッキングプレートの線膨張係数の差があるため、スパッタリングターゲットが圧縮の応力を受けて中央部から細かな割れが外周に向けて放射状に発生して割れてしまった。
【符号の説明】
【0146】
50,60,100,101,200,201,202,300,301,400,401,402,500,501,600,601 スパッタリングターゲット‐バッキングプレート接合体
1 バッキングプレート
2 スパッタリングターゲット
3 バッキングプレートのプレート面
4 バッキングプレートのプレート裏面
5 バッキングプレートの側面
6 鉤状部
7 スパッタリングターゲットのターゲット面
8 スパッタリングターゲットのターゲット裏面
9 スパッタリングターゲットの外周側面
10 鉤受け部
11 ねじ止め箇所
12 中間層
12a バッキングプレートとの界面に設置された中間層
12b スパッタリングターゲットとの界面に設置された中間層
13 バッキングプレートのプレート面に設けた凸部
14 留め具
15 バッキングプレートの凹部底面
16 バッキングプレートの凹部側面
17 凹部
図1
図2
図2(A)】
図2(B)】
図2(C)】
図2(D)】
図2(E)】
図2(F)】
図2(G)】
図2(H)】
図2(I)】
図2(J)】
図2(K)】
図2(L)】
図2(M)】
図2(N)】
図3
図4
図5
図5(A)】
図5(B)】
図5(C)】
図5(D)】
図5(E)】
図5(F)】
図5(G)】
図5(H)】
図5(I)】
図5(J)】
図5(K)】
図5(L)】
図6
図7
図7(A)】
図7(B)】
図7(C)】
図7(D)】
図7(E)】
図7(F)】
図7(G)】
図7(H)】
図7(I)】
図7(J)】
図7(K)】
図7(L)】
図7(M)】
図7(N)】
図8
図8(A)】
図8(B)】
図8(C)】
図8(D)】
図8(E)】
図8(F)】
図8(G)】
図8(H)】
図8(I)】
図8(J)】
図8(K)】
図8(L)】
図8(M)】
図8(N)】
図9
図9(A)】
図9(B)】
図9(C)】
図9(D)】
図9(E)】
図9(F)】
図9(G)】
図9(H)】
図9(I)】
図9(J)】
図9(K)】
図9(L)】
図9(M)】
図9(N)】
図10
図10(A)】
図10(B)】
図10(C)】
図10(D)】
図10(E)】
図10(F)】
図10(G)】
図10(H)】
図10(I)】
図10(J)】
図10(K)】
図10(L)】
図10(M)】
図10(N)】
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30