(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104556
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】電界発光表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20220701BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220701BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220701BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 670J
G09G3/20 621L
G09G3/20 624B
G09G3/20 623R
G09G3/20 642A
G09G3/20 670N
H05B33/14 A
H01L27/32
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199701
(22)【出願日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0184551
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲ミン▼
(72)【発明者】
【氏名】金 赫 俊
(72)【発明者】
【氏名】崔 智 水
(72)【発明者】
【氏名】李 泰 瑛
【テーマコード(参考)】
3K107
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC33
3K107EE03
3K107FF04
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3K107HH05
5C080AA06
5C080BB05
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5C380AB22
5C380AB23
5C380AB36
5C380BA38
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5C380CF24
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5C380CF48
5C380CF49
5C380CF52
5C380DA49
5C380FA02
5C380FA03
5C380GA05
5C380GA09
(57)【要約】
【課題】 検出の正確度を高めるようにした電界発光表示装置を提供する。
【解決手段】 検出動作の際、データライン(14A)に連結されるゲート電極及びリードアウトライン(14B)に連結されるソース電極を有する駆動素子を含むピクセル(PXL)と、前記検出動作の際、前記駆動素子に流れるピクセル電流によって変化する前記リードアウトラインの電圧を検出する検出回路(SU)と、前記データラインと前記リードアウトラインとの間に連結され、前記検出動作の際、前記リードアウトラインの電圧変化量の分だけ前記データラインの電圧を変化させる昇圧回路(BST)とを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データライン(14A)に連結されるゲート電極及びリードアウトライン(14B)に連結されるソース電極を有する駆動素子を含むピクセル(PXL)と、
検出動作の際、前記駆動素子に流れるピクセル電流によって変化する前記リードアウトラインの電圧を検出する検出回路(SU)と、
前記データラインと前記リードアウトラインとの間に連結され、前記検出動作の際、前記リードアウトラインの電圧変化量にしたがって前記データラインの電圧を変化させる昇圧回路(BST)とを含む、電界発光表示装置。
【請求項2】
前記検出動作の際、前記昇圧回路によって前記リードアウトラインの前記電圧が変化することによって前記ピクセル電流と対応する前記駆動素子のゲート-ソース間電圧が変化し、その結果、前記ピクセル電流及び前記ピクセル電流に対応する前記駆動素子のゲート・ソース間の電圧は一定に維持される、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項3】
前記ピクセルは、
前記データラインと前記駆動素子のゲート電極との間に連結された第1スイッチトランジスタ(ST1)と、
前記リードアウトラインと前記駆動素子のソース電極との間に連結された第2スイッチトランジスタ(ST2)と、
前記駆動素子のゲート電極とソース電極との間に連結されたストレージキャパシタ(Cst)と、
前記駆動素子のソース電極に連結された発光素子(EL)とをさらに含み、
前記第1スイッチトランジスタのゲート電極と前記第2スイッチトランジスタのゲート電極はゲートライン(15)に連結され、
前記第1スイッチトランジスタと前記第2スイッチトランジスタは、前記検出動作の際、前記ゲートライン(15)からの検出用ゲート信号(SCAN)に応じてオン状態を維持する、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項4】
前記検出動作の際、前記ピクセル電流のために前記駆動素子のゲート電極に印加される検出用データ電圧(Von)を出力するデジタル/アナログコンバータをさらに含む、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項5】
前記検出動作は、前記ピクセル電流のために前記駆動素子のゲート・ソース間の電圧をセットするプログラミング期間、前記ピクセル電流によって前記リードアウトラインの電圧が変化する検出期間、及び変化した前記リードアウトラインの電圧がサンプリングされるサンプリング期間を含み、
前記昇圧回路は、
前記プログラミング期間に前記検出用データ電圧を前記データラインに伝達し、
前記検出期間及び前記サンプリング期間に前記データラインをフローティングさせ、前記リードアウトラインを前記フローティングされたデータラインにカップリングさせる、請求項4に記載の電界発光表示装置。
【請求項6】
前記検出回路は、
前記プログラミング期間に、前記駆動素子のソース電極に印加される検出用基準電圧(VPRES)を前記リードアウトラインに出力し、
前記サンプリング期間に、前記変化した前記リードアウトラインの電圧をサンプリング信号(SAM)に応じてサンプリングする、請求項5に記載の電界発光表示装置。
【請求項7】
前記昇圧回路は、
前記データラインに連結された電圧バッファー(BUF)と、
一側電極が前記リードアウトラインに連結され、他側電極が前記電圧バッファーに連結された昇圧キャパシタ(Cbst)と、
前記電圧バッファーと前記デジタル/アナログコンバータとの間に連結され、前記プログラミング期間にオンになり、前記検出期間及び前記サンプリング期間にオフになる第1スイッチ(SW1)とを含む、請求項5に記載の電界発光表示装置。
【請求項8】
前記電圧バッファー及び前記第1スイッチ(SW1)はソースドライバー集積回路(SDIC)に位置し、
前記昇圧キャパシタは前記ソースドライバー集積回路の外の表示パネル(10)に位置し、
前記表示パネルで前記ピクセルと前記昇圧キャパシタは互いに異なる領域に位置する、請求項7に記載の電界発光表示装置。
【請求項9】
前記電圧バッファー及び前記第1スイッチ(SW1)はソースドライバー集積回路(SDIC)に位置し、
前記昇圧キャパシタは前記ソースドライバー集積回路の外のコントロールプリント基板(CPCB)に位置する、請求項7に記載の電界発光表示装置。
【請求項10】
前記昇圧回路は、
前記昇圧キャパシタの他側電極と前記電圧バッファーとの間に連結された第2スイッチ(SW3)と、
前記昇圧キャパシタの他側電極と前記データラインとの間に連結された第3スイッチ(SW4)とをさらに含む、請求項7に記載の電界発光表示装置。
【請求項11】
前記ピクセルは、
第1データライン及び前記リードアウトラインに連結された第1ピクセルと、第2データライン及び前記リードアウトラインに連結された第2ピクセルとを含み、
前記昇圧回路は、
前記第1データラインに連結された第1電圧バッファー(BUF)と、
前記第2データラインに連結された第2電圧バッファー(BUF)と、
一側電極が前記リードアウトラインに連結され、他側電極が第1電圧バッファー及び前記第2電圧バッファーに選択的に連結される昇圧キャパシタ(Cbst)と、
前記昇圧キャパシタの他側電極と前記第1電圧バッファーとの間に連結された第1マルチプレックススイッチと、
前記昇圧キャパシタの他側電極と前記第2電圧バッファーとの間に連結された第2マルチプレックススイッチとを含む、請求項5に記載の電界発光表示装置。
【請求項12】
前記昇圧回路は、
前記データラインに連結された電圧バッファー(BUF)と、
前記リードアウトラインと前記電圧バッファーとの間に連結され、総容量値がコントロール信号(CTR)に応じて制御される昇圧キャパシタ回路と、
前記電圧バッファーと前記デジタル/アナログコンバータとの間に連結され、前記プログラミング期間にオンになり、前記検出期間及び前記サンプリング期間にオフになる第1スイッチ(SW1)とを含む、請求項5に記載の電界発光表示装置。
【請求項13】
前記昇圧キャパシタ回路は、
前記リードアウトラインと前記電圧バッファーとの間に連結された複数の昇圧キャパシタユニット(PSC)を含み、
各昇圧キャパシタユニットは、互いに直列で連結された昇圧キャパシタ(Cbst)及び調節スイッチ(SWx)を含み、
前記コントロール信号に応じてオンになる調節スイッチの個数が決定される、請求項12に記載の電界発光表示装置。
【請求項14】
データライン(14A)に連結されるゲート電極及びリードアウトライン(14B)に連結されるソース電極を有する駆動素子を含むピクセル(PXL)と、
検出動作の際、前記駆動素子に流れるピクセル電流によって変化する前記リードアウトラインの電圧を検出する検出回路(SU)と、
前記データラインと前記リードアウトラインとの間に電気的に連結され、前記検出動作の際、前記リードアウトラインの前記変化した電圧を前記データラインに結合させるように構成された昇圧キャパシタとを含む、電界発光表示装置。
【請求項15】
前記ピクセルは、
前記データラインと前記駆動素子の前記ゲート電極との間に連結された第1スイッチトランジスタ(ST1)と、
前記リードアウトラインと前記駆動素子の前記ソース電極との間に連結された第2スイッチトランジスタ(ST2)と、
前記駆動素子の前記ゲート電極と前記ソース電極との間に連結されたストレージキャパシタ(Cst)と、
前記駆動素子のソース電極に連結された発光素子(EL)とをさらに含み、
前記第1スイッチトランジスタの前記ゲート電極と前記第2スイッチトランジスタの前記ゲート電極は前記ゲートライン(15)に連結され、
前記第1スイッチトランジスタと前記第2スイッチトランジスタは、前記検出動作の際、前記ゲートライン(15)からの検出用ゲート信号(SCAN)に応じてオン状態を維持する、請求項14に記載の電界発光表示装置。
【請求項16】
前記検出動作は、前記ピクセル電流のために前記駆動素子のゲート・ソース間の電圧をセットするプログラミング期間、前記ピクセル電流によって前記リードアウトラインの電圧が変化する検出期間、及び変化した前記リードアウトラインの電圧がサンプリングされるサンプリング期間を含み、
前記プログラミング期間に前記駆動素子の前記ゲート電極に検出用データ電圧を印加し、前記検出期間及び前記サンプリング期間に前記昇圧キャパシタを介して前記リードアウトラインに前記データラインをフローティング接続する、請求項14に記載の電界発光表示装置。
【請求項17】
前記プログラミング期間に前記駆動素子の前記ソース電極に前記リードアウトライン及び前記昇圧キャパシタを介して検出用基準電圧を印加する、請求項16に記載の電界発光表示装置。
【請求項18】
前記昇圧キャパシタはソースドライバー集積回路の外の表示パネルに位置し、
前記ピクセルと前記昇圧キャパシタは前記表示パネルの異なる領域に位置する、請求項14に記載の電界発光表示装置。
【請求項19】
前記昇圧キャパシタはソースドライバー集積回路の外のコントロールプリント基板に位置する、請求項14に記載の電界発光表示装置。
【請求項20】
前記ピクセルは、
第1データライン及び前記リードアウトラインに連結された第1ピクセルと、第2データライン及び前記リードアウトラインに連結された第2ピクセルとを含み、
前記昇圧キャパシタは、前記リードアウトラインと第1電圧バッファーとの間、又は
前記リードアウトラインと第2電圧バッファーとの間に選択的に接続される、請求項14に記載の電界発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電界発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電界発光表示装置は、発光層の材料によって、無機発光表示装置と電界発光表示装置とに区分される。電界発光表示装置の各ピクセルは自ら発光する発光素子を含み、映像データの階調によるデータ電圧で発光素子の発光量を制御して輝度を調節する。
駆動時間経過によってピクセルの間に駆動特性偏差が発生することがある。このような駆動特性偏差は輝度不均一をもたらして画像品位を落とす。電界発光表示装置で、ピクセル間の駆動特性偏差を補償するための多様な試みが行われているが、検出の正確度が低いため、輝度均一性を確保するのに限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本明細書に開示した実施例は前述した問題点を解決するためのものであり、検出の正確度を高めるようにした電界発光表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例による電界発光表示装置は、データラインに連結されるゲート電極及びリードアウトラインに連結されるソース電極を有する駆動素子を含むピクセルと、前記検出動作の際、前記駆動素子に流れるピクセル電流によって変化する前記リードアウトラインの電圧を検出する検出回路と、前記データラインと前記リードアウトラインとの間に連結され、前記検出動作の際、前記リードアウトラインの電圧変化量にしたがって前記データラインの電圧を変化させる昇圧回路とを含む。
【発明の効果】
【0006】
本実施例は次のような効果がある。本発明の実施例による電界発光表示装置は、検出動作の際、データラインとリードアウトラインをカップリングさせる昇圧回路を含む。昇圧回路は昇圧キャパシタを含み、検出動作の際、リードアウトラインの電圧変化量の分だけデータラインの電圧を変化させることにより、駆動素子のゲート・ソース間の電圧を設定の大きさに維持させる。これにより、本発明は駆動素子の電子移動度に関連した検出性能及び補償性能を極大化することができる。本発明による効果は以上で例示した内容によって制限されず、より多様な効果が本発明内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施例による電界発光表示装置を示すブロック図である。
【
図2】リードアウトラインを共有する1単位ピクセルの接続例を示す図である。
【
図3】ピクセルアレイとソースドライバーICの構成例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施例によるピクセル回路、検出回路及び昇圧回路の一構成例を示す図である。
【
図6】昇圧回路の有無による作用及び効果の相違点を説明するための図である。
【
図7a】
図5のプログラミング期間に対応する等価回路図である。
【
図7b】
図5の検出期間に対応する等価回路図である。
【
図7c】
図5のサンプリング期間に対応する等価回路図である。
【
図8】昇圧回路に含まれた昇圧キャパシタが表示パネルに形成された例を示す図である。
【
図9】昇圧回路に含まれた昇圧キャパシタがコントロールプリント基板に形成された例を示す図である。
【
図10】本発明の他の実施例によるピクセル回路、検出回路及び昇圧回路の一構成例を示す図である。
【
図12】1単位ピクセルに対応する4個の昇圧回路が1個の昇圧キャパシタを共有することを示す図である。
【
図13】総容量値が調節できるように構成された昇圧キャパシタユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は添付図面に基づいて詳細に後述する実施例を参照すると明らかになるであろう。しかし、本発明は以下で開示する実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現され得る。ただ、本実施例は本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を知らせるために提供するものである。本発明は請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0009】
本発明の実施例を説明するための図面に開示した形状、サイズ、縮尺、角度、個数などは例示的なものであるので、本発明が図面に示した事項に限定されるものではない。明細書全般にわたって同じ構成要素は同じ参照符号で指称する。本発明で言及する‘含む’、‘有する’、‘なる’などを使う場合、‘~のみ’という表現を使わない限り、他の部分をさらに含むことができる。構成要素を単数で表現する場合、特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む場合を含む。
【0010】
構成要素の解釈において、別途の明示的記載がなくても誤差範囲を含むものとして解釈する。
【0011】
位置関係についての説明の場合、例えば、‘~の上に’、‘~の上部に’、‘~の下部に’、‘~のそばに’などで二つの部分の位置関係を説明する場合、‘すぐ’又は‘直接’という表現を使わない限り、二つの部分の間に一つ以上の他の部分が位置することができる。
【0012】
第1、第2などを多様な構成要素を記述するために使うが、これらの構成要素はこれらの用語に制限されない。これらの用語はただ一構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。よって、以下で言及する第1構成要素は本発明の技術的思想内で第2構成要素であることもできる。
【0013】
本明細書で表示パネルの基板上に形成されるピクセル回路はnタイプMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)構造のTFTから具現されるか又はpタイプMOSFET構造のTFTから具現され得る。TFTはゲート(gate)、ソース(source)及びドレイン(drain)を含む3電極素子である。ソースはキャリア(carrier)をトランジスタに供給する電極である。TFT内でキャリアはソースから流れる。ドレインはTFTからキャリアが外部に出る電極である。すなわち、MOSFETにおけるキャリアはソースからドレインに流れる。nタイプTFT(NMOS)の場合、キャリアが電子(electron)であるため、ソースからドレインに電子が流れるようにソース電圧がドレイン電圧より低い電圧を有する。nタイプTFTで電子がソースからドレイン側に流れるから、電流はドレインからソース側に流れる。これに対し、pタイプTFT(PMOS)の場合、キャリアが正孔(hole)であるため、ソースからドレインに正孔が流れるようにソース電圧がドレイン電圧より高い。pタイプTFTで正孔がソースからドレイン側に流れるから、電流がソースからドレイン側に流れる。MOSFETのソースとドレインは固定されたものではないことに留意すべきである。例えば、MOSFETのソースとドレインは印加電圧によって変更される場合がある。
【0014】
一方、本発明で、TFTの半導体層は、オキシド素子、アモルファスシリコン素子、及びポリシリコン素子の少なくとも一つから形成できる。
【0015】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。以下の説明で、本発明に関連した公知の技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0016】
図1は本発明の一実施例による電界発光表示装置を示すブロック図である。
図2はリードアウトラインを共有する1単位ピクセルの接続例を示す図である。そして、
図3はピクセルアレイとソースドライバー集積回路(Integrated Circuit、IC)の構成例を示す図である。
【0017】
図1~
図3を参照すると、本発明の一実施例による電界発光表示装置は、表示パネル10、タイミングコントローラ11、データドライバー12、ゲートドライバー13、メモリ16、補償回路20、及び電源生成回路30を備える。
【0018】
表示パネル10には、多数のデータライン14A及び多数のリードアウトライン14Bと多数のゲートライン15とが交差し、この交差領域ごとにピクセルPXLがマトリックス状に配置されてピクセルアレイを構成する。
【0019】
互いに異なるデータライン14Aに連結された2以上のピクセルPXLが同じリードアウトライン14Bと同じゲートライン15を共有することができる。例えば、
図2のように、互いに水平に隣り合って同じゲートライン15に接続された赤色表示用Rピクセル、白色表示用Wピクセル、緑色表示用Gピクセル、及び青色表示用Bピクセルが単一のリードアウトライン14Bに共通して接続されることができる。このようなリードアウトライン共有構造によれば、ピクセルアレイの構造が単純化するので、表示パネルの開口率を確保することが容易であり、工程マージンを確保することが容易である。リードアウトライン共有構造で、隣接したリードアウトライン14Bの間ごとに複数のデータライン14Aが配置され得る。
【0020】
Rピクセル、Wピクセル、Gピクセル及びBピクセルは、
図2のように単一の単位ピクセルを構成することができる。単位ピクセル内で、赤色、白色、緑色及び青色の映像は互いに組み合わせられて階調比(又は発光比)によって多様なカラーを具現することができる。一方、単位ピクセルは、Rピクセル、Gピクセル及びBピクセルから構成されることもできる。この場合、互いに水平に隣り合って同じゲートライン15に接続されたRピクセル、Gピクセル及びBピクセルが単一のリードアウトライン14Bに共通して接続され得る。
【0021】
ピクセルPXLのそれぞれは電源生成回路30から高電位ピクセル電圧EVDD及び低電位ピクセル電圧EVSSを受ける。本発明のピクセルPXLは、駆動時間経過及び/又はパネル温度などの環境条件による駆動素子の電子移動度特性変化を正確に検出するのに適した回路構造を有し得る。
【0022】
タイミングコントローラ11は、検出動作のための検出モード及びディスプレイ駆動のためのディスプレイモードを所定の制御シーケンスで実行し得る。ここで、検出動作は駆動素子の電子移動度変化を検出し、それによる補償値をアップデートするための駆動であり、ディスプレイ駆動は補償値が反映された補正映像データCDATAを表示パネル10に書き込んで表示映像を再現する駆動である。タイミングコントローラ11の制御により、検出動作はディスプレイ駆動中の垂直ブランク区間で遂行され得る。垂直ブランク区間はディスプレイ用データ電圧がピクセルPXLに書き込まれる垂直アクティブ区間の間に位置する。垂直ブランク区間の間にはディスプレイ用データ電圧がピクセルPXLに書き込まれない。垂直ブランク区間の間には検出用データ電圧が検出ピクセルPXLに書き込まれる。
【0023】
検出動作はピクセルラインL1~Ln単位で遂行できる。例えば、検出動作は、ピクセルアレイに含まれた第1カラーの全てのピクセルのみを対象として1ピクセルラインずつ順次方式又は非順次方式で遂行した後、第2カラーの全てのピクセルのみを対象として1ピクセルラインずつ順次方式又は非順次方式で遂行する。そして、同様な方法で第3及び第4カラーのピクセルに対しても検出動作を遂行できる。ここで、ピクセルラインL1~Lnのそれぞれは物理的な信号ラインを意味するものではなく、水平方向に隣接したピクセルPXLの集合体を意味する。
【0024】
一方、検出動作は1ピクセルラインに含まれた互いに異なるカラーの一部ピクセルのみ対象として遂行でき、前記一部の検出ピクセルを除いた残りのピクセルに対する検出動作を省略できる。この場合、前記残りのピクセルに対する補償値は補間ロジック(interpolation logic)によって算出され得る。補間ロジックは同じカラーの検出ピクセルの補償値に基づいて前記同じカラーの非検出ピクセルの補償値を計算することができる。このようにすれば、検出アップデート周期が短くなり、電子移動度の実時間変化に対応することができる補償性能が極大化することができる。
【0025】
タイミングコントローラ11は、ホストシステムから入力される垂直同期信号Vsync、水平同期信号Hsync、ドットクロック信号DCLK及びデータイネーブル信号DEなどのタイミング信号に基づいてデータドライバー12の動作タイミングを制御するためのデータタイミング制御信号DDCと、ゲートドライバー13の動作タイミングを制御するためのゲートタイミング制御信号GDCとを生成できる。タイミングコントローラ11は、ディスプレイ駆動のためのタイミング制御信号DDC、GDCと検出動作のためのタイミング制御信号DDC、GDCとを互いに異なるように生成できる。
【0026】
ゲートタイミング制御信号GDCは、ゲートスタートパルス(Gate Start Pulse)、ゲートシフトクロック(Gate Shift Clock)などを含む。ゲートスタートパルスは一番目出力を生成するゲートステージに印加されてそのゲートステージを制御する。ゲートシフトクロックはゲートステージに入力されるクロック信号で、ゲートスタートパルスをシフトさせるためのクロック信号である。
データタイミング制御信号DDCは、ソーススタートパルス(Source Start Pulse)、ソースサンプリングクロック(Source Sampling Clock)、及びソース出力イネーブル信号(Source Output Enable)などを含む。ソーススタートパルスはデータドライバー12のデータサンプリング開始タイミングを制御する。ソースサンプリングクロックは立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジに基づいてデータのサンプリングタイミングを制御するクロック信号である。ソース出力イネーブル信号はデータドライバー12の出力タイミングを制御する。
タイミングコントローラ11は補償回路20を内蔵することができるが、これに限定されない。補償回路20は別途の補償集積回路に内蔵され得る。
【0027】
補償回路20は、検出動作の際、駆動素子の電子移動度に対する検出結果データSDATAを検出回路SUから受ける。補償回路20は検出結果データSDATAに基づいて駆動素子の劣化(すなわち、電子移動度変化)による輝度偏差を補償することができる補償値を計算し、この補償値をメモリ16に保存する。補償値は検出動作を遂行する度にメモリ16にアップデートされ得る。メモリ16はフラッシュメモリとして実装できるが、これに限定されない。
【0028】
補償回路20は、ディスプレイ駆動の際、メモリ16から読み込んだ補償値に基づいて入力映像のデータDATAを補正し、補正された映像データCDATAをデータドライバー12に供給できる。補正された映像データCDATAによって駆動素子の電子移動度特性差による輝度偏差を補償できる。
【0029】
データドライバー12は、少なくとも一つ以上のソースドライバー集積回路(Source Driver Integrated Circuit)SDICを含む。ソースドライバーIC SDICは、各データライン14Aに連結されたデジタル/アナログコンバータ(以下、DAC)、各リードアウトライン14Bに連結された検出回路SU、複数の検出回路SUの出力を時分割して出力するマルチプレクサーMUX、及びマルチプレクサーMUXに連結され、検出回路SUのアナログ出力を検出結果データSDATAに変換するアナログ/デジタルコンバータ(以下、ADC)を含み得る。
【0030】
DACは、ディスプレイ駆動の際、タイミングコントローラ11から印加されるデータタイミング制御信号DDCに応じて補正映像データCDATAをディスプレイ用データ電圧に変換してデータライン14Aに供給する。一方、ソースドライバーIC SDICのDACは、検出動作の際、タイミングコントローラ11から印加されるデータタイミング制御信号DDCに応じて検出用データ電圧を生成してデータライン14Aに供給できる。
【0031】
検出用データ電圧は、駆動素子をオン駆動させられるオンレベルデータ電圧Von(
図4)と、駆動素子をオフ駆動させられるオフレベルデータ電圧Voff(
図4)とを含み得る。オンレベルデータ電圧はリードアウトライン14Bを共有するピクセルの中で検出ピクセルに印加され、オフレベルデータ電圧はリードアウトライン14Bを共有するピクセルの中で非検出ピクセルに印加される。オンレベルデータ電圧は、検出動作の際、検出ピクセルに含まれた駆動素子のゲート電極に印加されて駆動素子をターンオンさせる電圧(すなわち、ピクセル電流を発生させる電圧)であり、オフレベルデータ電圧は、検出動作の際、非検出ピクセルに含まれた駆動素子のゲート電極に印加されて駆動素子をターンオフさせる電圧(すなわち、ピクセル電流を遮断する電圧)である。オンレベルデータ電圧は、カラー別に駆動素子/発光素子駆動特性が違うことを考慮し、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)及びW(白色)ピクセルで互いに異なる大きさに設定できるが、これに限定されない。
【0032】
オンレベルデータ電圧は1単位ピクセル内で検出ピクセルに印加され、オフレベルデータ電圧は前記1単位ピクセル内で前記検出ピクセルとともにリードアウトライン14Bを共有する非検出ピクセルに印加される。例えば、
図2で、Rピクセルが検出され、W、G及びBピクセルが検出されない場合、オンレベルデータ電圧はRピクセルの駆動素子に印加され、オフレベルデータ電圧はW、G及びBピクセルのそれぞれの駆動素子に印加され得る。
【0033】
各検出回路SUはリードアウトライン14Bに連結されるとともに、マルチプレクサーMUXを介してADCに選択的に連結され得る。各検出回路SUは、検出動作の際、検出ピクセルの駆動素子に流れるピクセル電流によって変化するリードアウトライン14Bの電圧を検出できるように電圧検出型として実装される。一方、検出回路SUは、ディスプレイ駆動の際、電源生成回路30から受けたディスプレイ用基準電圧VPRERをピクセルPXLに印加し、検出動作の際、電源生成回路30から受けた検出用基準電圧VPRESをピクセルPXLに印加する。
【0034】
ADCは各検出回路SUから出力されたアナログ検出電圧をデジタル検出結果データSDATAに変換して補償回路20に出力できる。
【0035】
ゲートドライバー13は、検出動作の際、ゲート制御信号GDCに基づいて検出用ゲート信号を生成した後、検出ピクセルに連結されたゲートライン15に供給できる。検出用ゲート信号は検出用データ電圧に同期される検出用スキャン信号である。検出用ゲート信号と検出用データ電圧によってピクセルラインL1~Lnは順次又は非順次検出動作され得る。
【0036】
ゲートドライバー13を、ディスプレイ駆動の際、ゲート制御信号GDCに基づいてディスプレイ用ゲート信号を生成した後、ゲートライン15に順次供給できる。ディスプレイゲート信号はディスプレイ用データ電圧に同期されるディスプレイ用スキャン信号である。ディスプレイゲート信号とディスプレイ用データ電圧によってピクセルラインL1~Lnは順次ディスプレイ駆動され得る。
【0037】
電源生成回路30は、各ピクセルPXLに供給される高電位ピクセル電圧EVDD、低電位ピクセル電圧EVSS、ディスプレイ基準電圧VPRER、及び検出用基準電圧VPRESを生成する。電源生成回路30はゲートドライバー13の動作に必要なゲートオン電圧とゲートオフ電圧を生成してゲートドライバー13に供給できる。検出用又はディスプレイ用ゲート信号はゲートオン電圧(すなわち、オンレベル)とゲートオフ電圧(すなわち、オフレベル)との間でスイングする。電源生成回路30はDACの動作に必要な高電位駆動電圧を生成してデータドライバー12に供給できる。
【0038】
このような本発明の一実施例による電界発光表示装置は、検出動作によって各ピクセルに含まれた駆動素子の電子移動度変化を補償する。この電界発光表示装置は、検出動作の際、ピクセル電流によって変化するリードアウトライン14Bの電圧を検出し、計算によって得られたリードアウトライン14Bの電圧変化の傾きに基づいて検出ピクセルの電子移動度変化量を求める。
【0039】
ピクセル電流は駆動素子の電子移動度に比例する。駆動素子の電子移動度は駆動時間、温度などによって変えることができる。第1ピクセルに含まれた第1駆動素子の電子移動度と第2ピクセルに含まれた第2駆動素子の電子移動度とが互いに異なる場合、検出動作の際、同じゲート・ソース間の電圧に対応する第1駆動素子の第1ピクセル電流と第2駆動素子のピクセル電流は互いに変化する。このようなピクセル電流の差は同じ時間にリードアウトライン14Bに充電される電圧差によって現れ、その結果、単位時間当たりのリードアウトライン14Bの電圧変化の傾きを計算することができる。駆動素子の電子移動度が大きいほどリードアウトライン14Bの電圧充電速度が増加するので、リードアウトライン14Bの電圧変化の傾きは電子移動度の大きさに比例する。
【0040】
駆動素子の電子移動度変化を正確に検出するためには、検出動作中に駆動素子のゲート・ソース間の電圧(すなわち、検出用データ電圧と検出用基準電圧との間の差電圧)を一定の大きさに維持しなければならない。すなわち、各検出ピクセルは定電流源によって動作しなければならない。しかし、駆動素子のゲート・ソース間の電圧は駆動素子周辺の寄生キャパシタによって損失することがある。このような損失は検出歪みをもたらす。
【0041】
本発明の一実施例による電界発光表示装置は、前記損失を抑制するために、
図3のような昇圧回路BSTを含む。
図3で昇圧回路BSTはリードアウトライン14Bにのみ連結されたもののように示されているが、これは昇圧回路BSTの一部連結のみを模式的に表現したものに過ぎない。昇圧回路BSTはデータライン14Aとリードアウトライン14Bとの間に連結され得る。昇圧回路BSTは昇圧キャパシタ(
図4、Cbst)を含み、検出動作の際、リードアウトライン14Bの電圧変化量の分だけデータライン14Aの電圧を変化させることにより、駆動素子のゲート・ソース間の電圧を設定の大きさに維持させる。本発明の電界発光表示装置は昇圧回路BSTを含むことにより、駆動素子の電子移動度に関連した検出性能及び補償性能を極大化できる。
【0042】
図4は本発明の一実施例によるピクセル回路、検出回路及び昇圧回路の一構成例を示す図である。
図5は
図4に示した回路の駆動波形図である。そして、
図6は昇圧回路の有無による作用及び効果の相違点を説明するための図である。
【0043】
図4を参照すると、本発明の一実施例による電界発光表示装置は、検出動作の際、データライン14Aに連結されるゲート電極と、リードアウトライン14Bに連結されるソース電極とを有する駆動素子DTを含むピクセルPXL、前記検出動作の際、前記駆動素子に流れるピクセル電流によって変化する前記リードアウトラインの電圧を検出する検出回路SU、及びデータライン14Aとリードアウトライン14Bとの間に連結され、前記検出動作の際、リードアウトライン14Bの電圧変化量の分だけデータライン14Aの電圧を変化させる昇圧回路BSTを含む。本発明の一実施例による電界発光表示装置は、データ電圧(Vdata、Von又はVoff)を出力するDACをさらに含む。
【0044】
図4を参照すると、ピクセルPXLは、駆動素子DTに加え、発光素子EL、ストレージキャパシタCst、第1スイッチトランジスタST1、及び第2スイッチトランジスタST2をさらに含むことができる。駆動素子DTは駆動トランジスタから具現されることができる。本実施例で、駆動トランジスタDT及びスイッチトランジスタST1、ST2はnタイプ薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下TFT)から具現されることができるが、これに限定されず、pタイプTFTから具現されることもできる。また、ピクセルを構成するTFTの半導体層は、アモルファスシリコン又はポリシリコン又は酸化物を含むことができる。
【0045】
駆動トランジスタDTは、第1ノードN1に連結されたゲート電極と、第2ノードN2に連結されたソース電極と、高電位ピクセル電圧EVDDの入力端に連結されたドレイン電極とを含む。駆動トランジスタDTはゲート・ソース間の電圧によるピクセル電流を生成する。ピクセル電流はゲート・ソース間の電圧の二乗に比例する大きさに生成されることができる。駆動トランジスタDTの電子移動度は劣化偏差又は温度などによってピクセル別に変化することができる。よって、検出動作の際、ピクセル電流によるリードアウトライン14Bの電圧を検出すれば、そのピクセルに含まれた駆動トランジスタDTの駆動特性変化を求めることができる。
【0046】
発光素子ELは、ディスプレイ駆動の際、ピクセル電流による第2ノードN2の電圧が動作点レベルになるときにターンオンになり、ピクセル電流によって発光する。発光素子ELは、第2ノードN2に接続されたアノード電極と、低電位ピクセル電圧EVSSの入力端に接続されたカソード電極と、アノード電極とカソード電極との間に位置する有機又は無機化合物層とを含む。有機又は無機化合物層は、正孔注入層(Hole Injection layer、HIL)、正孔輸送層(Hole transport layer、HTL)、発光層(Emission layer、EML)、電子輸送層(Electron transport layer、ETL)及び電子注入層(Electron Injection layer、EIL)からなる。アノード電極に印加される第2ノードN2の電圧がカソード電極に印加される低電位ピクセル電圧EVSSに比べて動作点レベル以上に高くなれば、発光素子ELはターンオンになる。発光素子ELがターンオンになれば、正孔輸送層HTLを通過した正孔と電子輸送層ETLを通過した電子が発光層EMLに移動して励起子を形成し、その結果、発光層EMLが光を発生させる。
【0047】
一方、検出の分別力向上(又は検出の正確度向上)のために、発光素子ELがオフになった状態で検出動作が行われる。言い換えれば、第2ノードN2の電圧が動作点レベルより低い範囲内で検出動作が行われる。このために、第2ノードN2に印加される検出用基準電圧VPRESは、前記動作点レベルに比べ、かつディスプレイ用基準電圧VPRERに比べて充分に低く設定できる。
【0048】
ストレージキャパシタCstは第1ノードN1と第2ノードN2との間に接続される。ストレージキャパシタCstは駆動トランジスタDTのゲート・ソース間の電圧を保存するが、寄生キャパシタのため、前記ゲート・ソース間の電圧を漏洩なしに維持しにくい。
【0049】
第1スイッチトランジスタST1はゲート信号SCANに応じてデータライン14Aと第1ノードN1を連結する。第1スイッチトランジスタST1は、ゲートライン15に接続されたゲート電極、データライン14Aに接続された第1電極(ソース及びドレインのいずれか一つ)、及び第1ノードN1に接続された第2電極(ソース及びドレインの残りの一つ)を備える。
【0050】
第2スイッチトランジスタST2は、ゲート信号SCANに応じて第2ノードN2とリードアウトライン14Bを連結する。第2スイッチトランジスタST2は、ゲートライン15に接続されたゲート電極、リードアウトライン14Bに接続された第1電極、及び第2ノードN2に接続された第2電極を備える。
【0051】
第1及び第2スイッチトランジスタST1、ST2のゲート電極は同じゲートライン15に連結されるから、ピクセル及びゲートドライバーの構造が簡素になる。ディスプレイ駆動の際、第1及び第2スイッチトランジスタST1、ST2がディスプレイ用ゲート信号SCANに応じてターンオンになるとき、駆動トランジスタDTの第1ゲート・ソース間の電圧(Vdata-VPRER)がディスプレイ駆動条件に合うようにプログラミングされる。検出動作の際、第1及び第2スイッチトランジスタST1、ST2が検出用ゲート信号SCANに応じてターンオンになるとき、駆動トランジスタDTの第2ゲート・ソース間の電圧(Von-VPRES)が検出動作条件に合うようにプログラミングされる。検出動作の際、第1及び第2スイッチトランジスタST1、ST2は
図5の検出用ゲート信号SCANに応じて続いてオン状態を維持する。
【0052】
図4を参照すると、DACは、ディスプレイ駆動の際、ディスプレイ用データ電圧Vdataを出力し、検出動作の際、検出用データ電圧(Von又はVoff)を出力する。
【0053】
図4を参照すると、検出回路SUは、ディスプレイ用基準電圧VPRERの入力端子とリードアウトライン14Bとの間の電流の流れをオン/オフさせるためのスイッチSR、検出用基準電圧VPRESの入力端子とリードアウトライン14Bとの間の電流の流れをオン/オフさせるためのスイッチSW2、及びサンプリング信号SAMに応じて動作するサンプリング回路SHを含む。
【0054】
ディスプレイ駆動の際、ディスプレイ用ゲート信号SCANに連動してスイッチSRがターンオンになる。ディスプレイ基準電圧VPRERはリードアウトライン14Bと第2スイッチトランジスタST2を介して第2ノードN2に印加される。
【0055】
検出動作は、
図5のように、垂直ブランク区間VBで行われる。
図5で、VAはディスプレイ駆動がなされる垂直アクティブ区間である。検出動作は、プログラミング期間T1、検出期間T2、及びサンプリング期間T3に時分割され得る。プログラミング期間T1に検出用ゲート信号SCANのオン区間内でスイッチSW2がターンオンになる。検出用基準電圧VPRESはリードアウトライン14Bと第2スイッチトランジスタST2を介して第2ノードN2に印加される。サンプリング期間T3に対応する検出用ゲート信号SCANのオン区間内でスイッチSW2がオフになり、サンプリング信号SAMがオンになる。
【0056】
サンプリング回路SHはサンプリング信号SAMに応じてリードアウトライン14Bの電圧をサンプリングする。
【0057】
図4及び
図5を参照すると、検出動作の際、ピクセル電流は駆動トランジスタDTのゲート・ソース間の電圧(すなわち、第1ノード電圧VN1と第2ノード電圧VN2との間の差電圧、Von-VPRES)によって決定される。昇圧回路BSTは、DACから出力された検出用データ電圧Vonをプログラミング期間T1にデータライン14Aに伝達し、検出期間T2及びサンプリング期間T3にデータライン14Aをフローティングさせ、リードアウトライン14Bをフローティングされたデータライン14Aにカップリング(coupling)させることにより、リードアウトライン14Bの電圧変化量の分だけデータライン14Aの電圧を変化させ得る。検出期間T2にスイッチトランジスタST1、ST2がオン状態を維持するから、検出期間T2に第2ノード電圧VN2はリードアウトライン14Bの電圧と同様に変わり、第1ノード電圧VN1はデータライン14Aの電圧と同様に変化する。言い換えれば、
図6の(B)のように、昇圧回路BSTにより、ピクセル電流による第2ノード電圧VN2の変化の分だけ第1ノード電圧VN1も変化するから、駆動トランジスタDTのゲート・ソース間の電圧(Von-VPRES)とピクセル電流を一定に維持することができる。
【0058】
図6の(A)は昇圧回路BSTがないときのゲート・ソース間の電圧損失ΔVgsを示す図である。ゲート・ソース間の電圧損失ΔVgsは下記の式1のように駆動トランジスタDTのゲート電極にカップリングされた寄生容量CDTによって引き起こされる。式1で、CSTはストレージキャパシタCstの容量であり、ΔVSIOは寄生容量CDTによる第2ノード電圧VN2の損失量である。寄生容量CDTはパネル設計スペックによって決定されるものであるから、寄生容量CDTに対する人為的なコントロールが不可である。また、ゲート・ソース間の電圧損失ΔVgsが減るようにストレージキャパシタCstの容量CSTを増やす方案を考慮することができるが、ストレージキャパシタCstの容量CSTが増加すれば表示パネルの開口率が低くなるので、前記方案は採用しにくい。
【数1】
【0059】
図6の(B)のように、ゲート・ソース間の電圧損失ΔVgsは昇圧回路BSTによって最小化することができる。昇圧回路BSTがあるときのゲート・ソース間の電圧損失ΔVgsは下記の式2で表現することができる。式2で、CBSTは昇圧キャパシタCbstの容量であり、Cpinは、
図4に示したように、電圧バッファーBUFの(+)入力端子で現れる等価寄生容量である。
【数2】
【0060】
式2から明らかに分かるように、CBSTが大きいほどゲート・ソース間の電圧損失ΔVgsが最小化することができる。昇圧キャパシタCbstの容量CBSTに対しては人為的なコントロールが可能である。昇圧キャパシタCbstの容量CBSTは表示パネルの開口率に関係ないので、コントロール許容範囲がストレージキャパシタCstの容量CSTに比べて広い。
【0061】
一方、検出期間T2に検出回路SUのスイッチSW2もオフ状態を維持するから、この際にリードアウトライン14Bもフローティング(floating)される。よって、リードアウトライン14Bの電圧変化量が昇圧回路BSTによって検出期間T2にデータライン14Aの電位に効果的に反映され得る。
【0062】
昇圧回路BSTは、電圧バッファーBUF、昇圧キャパシタCbst、及びスイッチSW1を含むことができる。
【0063】
電圧バッファーBUFはデータライン14Aに連結される。電圧バッファーBUFの(-)入力端子と出力端子は互いに連結されている。昇圧キャパシタCbstの一側電極はリードアウトライン14Bに連結され、他側電極は電圧バッファーBUFの(+)入力端子に連結される。スイッチSW1は電圧バッファーBUFの(+)入力端子とDACとの間に連結される。スイッチSW1はプログラミング期間T1にのみターンオンになる。検出期間T2及びサンプリング期間T3にオフ状態を維持するスイッチSW1によってデータライン14Aがフローティングされる。
【0064】
図7aは
図5のプログラミング期間T1に対応する等価回路図である。
図7bは
図5の検出期間T3に対応する等価回路図である。そして、
図7cは
図5のサンプリング期間T3に対応する等価回路図である。
【0065】
検出動作は、プログラミング期間T1、検出期間T2、及びサンプリング期間T3の順に行われる。検出動作中にオンレベルの検出用ゲート信号SCANに応じて第1及び第2スイッチトランジスタST1、ST2は続いてオン状態を維持する。
【0066】
図7aを参照すると、プログラミング期間T1にスイッチSW1及びスイッチSW2がオンになる。オンレベルの検出用データ電圧VonがスイッチSW1、電圧バッファーBUF、データライン14A、及び第1スイッチトランジスタST1を介してピクセルの第1ノードN1に印加される。そして、検出用基準電圧VPRESがスイッチSW2、リードアウトライン14B、及び第2スイッチトランジスタST2を介してピクセルの第2ノードN2に印加される。その結果、検出動作のための駆動トランジスタDTのゲート・ソース間の電圧(VN1-VN2)がセットされる。
【0067】
図7bを参照すると、検出期間T2にスイッチSW1及びスイッチSW2がオフになり、データライン14A及びリードアウトライン14Bがフローティングされる。ここで、駆動トランジスタDTにはゲート・ソース間の電圧(VN1-VN2)に対応する大きさのピクセル電流Ipが流れる。ピクセル電流Ipによって第2ノードの電圧VN2とリードアウトライン14Bの電圧が検出用基準電圧VPRESから上昇する。リードアウトライン14Bの電圧上昇分は昇圧キャパシタCbstと電圧バッファーBUFを介してデータライン14Aの電位に反映され、データライン14Aの電圧も検出用データ電圧Vonから上昇する。昇圧キャパシタCbstによるカップリング効果により、データライン14Aの電圧上昇の傾きはリードアウトライン14Bの電圧上昇の傾きと同一になる。
【0068】
図7cを参照すると、サンプリング期間T3にサンプリング信号SAMがオンになる。サンプリング回路SHはサンプリング信号SAMに応じてリードアウトライン14Bの電圧をサンプリングする。
【0069】
図8は昇圧回路に含まれた昇圧キャパシタが表示パネルに形成された例を示す図である。そして、
図9は昇圧回路に含まれた昇圧キャパシタがコントロールプリント基板に形成された例を示す図である。
【0070】
図8を参照すると、電圧バッファーBUF及びスイッチSW1はソースドライバー集積回路SDICに位置し、昇圧キャパシタCbstはソースドライバー集積回路SDICの外の表示パネル10に位置し得る。これにより、ソースドライバー集積回路SDICのサイズ及び構成を簡素化できる。表示パネル10で、昇圧キャパシタCbstはピクセルPXL領域の外に、例えば表示パネル10の非表示領域に形成できる。このようにすれば、昇圧キャパシタCbstによってピクセルPXLの開口率が低下する副作用を防止できる。
【0071】
図9を参照すると、電圧バッファーBUF及びスイッチSW1はソースドライバー集積回路SDICに位置し、昇圧キャパシタCbstはソースドライバー集積回路SDICの外のコントロールプリント基板CPCBに位置し得る。これにより、ソースドライバー集積回路SDICのサイズ及び構成を簡素化できる。コントロールプリント基板CPCBにはタイミングコントローラなどが実装されることができる。コントロールプリント基板CPCBはフレキシブルプリント回路フィルムなどを介してソースドライバー集積回路SDICに電気的に連結される。
【0072】
図10は本発明の他の実施例によるピクセル回路、検出回路及び昇圧回路の一構成例を示す図である。そして、
図11は
図10に示した回路の駆動波形図である。
【0073】
図10及び
図11の実施例で、昇圧回路BSTを除いた残りの構成は
図4及び
図5の実施例と実質的に同様である。よって、実質的に同様な構成についての説明は省略する。
【0074】
図10及び
図11を参照すると、昇圧回路BSTは、電圧バッファーBUF、昇圧キャパシタCbst、及びスイッチSW1に加え、スイッチSW3及びスイッチSW4をさらに含むことができる。
【0075】
電圧バッファーBUF、昇圧キャパシタCbst、及びスイッチSW1は
図4及び
図5で説明したものと実質的に同様である。
【0076】
スイッチSW3は昇圧キャパシタCbstの他側電極と電圧バッファーBUFの(+)入力端子との間に連結される。スイッチSW4は昇圧キャパシタCbstの他側電極とデータライン14Aとの間に連結される。
【0077】
スイッチSW3はプログラミング期間T1にオフ状態を維持し、検出期間T2及びサンプリング期間T3にオン状態を維持する。そして、スイッチSW4はプログラミング期間T1にのみオン状態を維持し、検出期間T2とサンプリング期間T3にはオフ状態を維持する。
【0078】
プログラミング期間T1にスイッチSW3がオフになるから、検出用データ電圧Vonがデータライン14Aにより早く充電されることができる。このように、
図10及び
図11の実施例はDACの充電能力が低いときに効果的である。一方、検出期間T2及びサンプリング期間T3に昇圧キャパシタCbstの他側電極はスイッチSW3と電圧バッファーBUFを介してデータライン14Aに連結される。
【0079】
図12は1単位ピクセルに対応する4個の昇圧回路が1個の昇圧キャパシタを共有するものを示す図である。
【0080】
図12を参照すると、R、W、G及びBピクセルに対応する4個の昇圧回路が1個の昇圧キャパシタCbstを共有することができる。この場合、昇圧回路に含まれた電圧バッファーBUFはマルチプレックススイッチSMR、SMW、SMG及びSMBを介して選択的に昇圧キャパシタCbstに連結され得る。マルチプレックススイッチを介して昇圧キャパシタCbstに連結される電圧バッファーは検出ピクセルに対応し、その他の電圧バッファーは非検出ピクセルに対応する。このような
図12は複数の昇圧回路が1個の昇圧キャパシタを共有する一例に過ぎない。本発明の技術的思想は次のように一般化することができる。
【0081】
ピクセルは、第1データライン及びリードアウトラインに連結された第1ピクセルと、第2データライン及び前記リードアウトラインに連結された第2ピクセルとを含み得る。この場合、昇圧回路は、前記第1データラインに連結された第1電圧バッファーBUFと、第2データラインに連結された第2電圧バッファーBUFと、一側電極が前記リードアウトラインに連結され、他側電極が第1電圧バッファー及び前記第2電圧バッファーに選択的に連結される昇圧キャパシタCbstと、前記昇圧キャパシタの他側電極と前記第1電圧バッファーとの間に連結された第1マルチプレックススイッチと、前記昇圧キャパシタの他側電極と前記第2電圧バッファーとの間に連結された第2マルチプレックススイッチとを含み得る。
【0082】
図13は総容量値を調節することができるように構成された昇圧キャパシタユニットを示す図である。
【0083】
図13を参照すると、昇圧回路は、前記データラインに連結された電圧バッファーBUF、リードアウトライン14Bと電圧バッファーBUFとの間に連結され、総容量値がコントロール信号CTRに応じて制御される昇圧キャパシタ回路、及び電圧バッファーBUFとDACとの間に連結され、プログラミング期間にオンになり、検出期間及びサンプリング期間にオフになるスイッチSW1を含み得る。
【0084】
昇圧キャパシタ回路は、リードアウトライン14Bと電圧バッファーBUFとの間に連結された複数の昇圧キャパシタユニットPSCを含み得る。各昇圧キャパシタユニットPSCは、互いに直列で連結された昇圧キャパシタCbstと調節スイッチSWxとを含む。コントロール信号CTRに応じてオンになる調節スイッチの個数が決定されるから、前記式2の説明のようにCBSTに対する人為的なコントロールが可能になる。
【0085】
以上で説明した内容から、当業者であれば本発明の技術思想を逸脱しない範疇内で多様な変更及び修正が可能であろう。したがって、本発明の技術的範囲は明細書の詳細な説明に記載された内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって決定されなければならないであろう。
【符号の説明】
【0086】
10 表示パネル
11 タイミングコントローラ
12 データドライバー
13 ゲートドライバー
14A データライン
14B リードアウトライン
15 ゲートライン
20 補償回路
SU 検出回路