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特開2022-104569薬剤並びに感染症予防シート及びマスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104569
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】薬剤並びに感染症予防シート及びマスク
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/00 20060101AFI20220701BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 31/26 20060101ALI20220701BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220701BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220701BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20220701BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220701BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220701BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
A61K33/00
A61K31/353
A61K31/26
A61P37/04
A61P37/06
A61P31/12
A61P11/00
A61P29/00
A41D13/11 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206145
(22)【出願日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2020219422
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521003047
【氏名又は名称】ZenPhar合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】木村 公一
(72)【発明者】
【氏名】中下 慎一郎
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086HA01
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA32
4C086MA56
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA07
4C086ZA08
4C086ZA59
4C086ZB08
4C086ZB09
4C086ZB33
4C206AA01
4C206AA02
4C206JA70
4C206MA01
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA37
4C206MA52
4C206MA76
4C206MA83
4C206NA08
4C206NA09
4C206NA14
4C206ZA59
4C206ZB08
4C206ZB09
4C206ZB33
(57)【要約】
【課題】肺障害に対する治療薬、ワクチンの効果を増強する免疫増強薬、ワクチンによる副反応を抑制する抑制薬、及び、レトロウイルスによる疾病を予防する予防薬、である薬剤を提供すること。
【解決手段】薬剤は、水素ガスとフラバノール類(flavanols)を含有する水溶液である。水素ガスが、肺炎、肺感染症、肺水腫、COPDなどの肺障害の原因のひとつとされる活性酸素を除去し、フラバノール類が、肺障害の原因となるウイルスの感染症を抑制し、相乗効果によって、肺障害の治療の効果を促進するものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガス及びフラバノール類(flavanols)を含有する水溶液であることを特徴とする薬剤。
【請求項2】
水素ガスを含有する薬剤ガス、及び、フラバノール類(flavanols)を含有する水溶液、のセットであることを特徴とする薬剤。
【請求項3】
前記水溶液が水素水を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤。
【請求項4】
前記フラバノール類がエピガロカテキンガラート(epigallocatechin gallate(EGCg))を含有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の薬剤。
【請求項5】
前記水溶液がアリルイソチオシアネート(allyl isothiocyanate(AITC))を含有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の薬剤。
【請求項6】
新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の症状を含む肺障害に対する治療薬であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の薬剤。
【請求項7】
新型コロナウイルスワクチンの効果を増強する免疫増強薬であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の薬剤。
【請求項8】
新型コロナウイルスワクチンによる副反応を抑制する抑制薬であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の薬剤。
【請求項9】
新型コロナウイルスの感染又は新型コロナウイルスワクチン接種に起因するレトロウイルスによる疾病を予防する予防薬であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の薬剤。
【請求項10】
フラバノール類又はアリルイソチオシアネートの少なくとも何れか1種を含有することを特徴とする感染症予防シート。
【請求項11】
請求項10に記載の感染症予防シートが貼付されたことを特徴とするマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肺障害に対する治療薬、ワクチンの効果を増強する免疫増強薬、ワクチンによる副反応を抑制する抑制薬、及び、レトロウイルスによる疾病を予防する予防薬、である薬剤、並びに、感染症予防シート及びマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
肺炎、肺感染症、肺水腫、肺の線維化によるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの肺障害に対して、水素吸入治療法の有効性が示され、医療機関において臨床試験が盛んに行なわれている。また、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の症状としても、肺障害の事例が多々報告されている。特許文献1には、肺障害の治療に有効な水素ガス吸引具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2018/047877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された水素ガス吸引具は、水素ガスを吸引することができるものであるものの、吸引成分について検討されているものではなかった。つまり、吸引成分によって、肺炎、肺感染症、肺水腫、COPDなどの肺障害に対して、水素吸入治療法の有効性について改善の余地があるという課題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、肺障害に対する治療薬、ワクチンの効果を増強する免疫増強薬、ワクチンによる副反応を抑制する抑制薬、及び、レトロウイルスによる疾病を予防する予防薬、である薬剤、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る薬剤は、水素ガス及びフラバノール類(flavanols)を含有する水溶液であることを特徴とする。
【0007】
本発明の薬剤によれば、水溶液が、水素ガスを含有していることにより、肺炎、肺感染症、肺水腫、COPDなどの肺障害に対する治療に有効に作用し、フラバノール類を含有していることにより、肺障害の原因となるウイルスの感染症を抑制し、治療の効果を促進することができる。
【0008】
また、本発明に係る薬剤は、水素ガスを含有する薬剤ガス、及び、フラバノール類(flavanols)を含有する水溶液、のセットであることを特徴とする。
【0009】
本発明の薬剤によれば、治療薬ガスが水素ガスを含有していることにより、肺炎、肺感染症、肺水腫、COPDなどの肺障害に対する治療に有効に作用し、水溶液がフラバノール類を含有していることにより、肺障害の原因となるウイルスの感染症を抑制し、治療の効果を促進することができる。
【0010】
また、本発明に係る薬剤は、前記水溶液が水素水を含有するものとすることができる。
【0011】
これによれば、治療の効果をより促進することができる。
【0012】
ここで、上記薬剤において、前記フラバノール類がエピガロカテキンガラート(epigallocatechin gallate(EGCg))を含有するものとすることができる。
【0013】
これによれば、エピガロカテキンガラートがウイルスの感染症の抑制力が高いため、ウイルスの感染症をより抑制することができる。
【0014】
また、上記薬剤において、前記水溶液がアリルイソチオシアネート(allyl isothiocyanate(AITC))を含有するものとすることができる。
【0015】
これによれば、アリルイソチオシアネートが抗菌作用を有しているため、肺障害の原因となる細菌の感染症を抑制することができる。
【0016】
また、上記薬剤において、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の症状を含む肺障害に対する治療薬であるものとすることができる。
【0017】
これによれば、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の症状を含む肺障害に対する治療に有効に作用し、水肺障害の原因となるウイルスの感染症を抑制し、治療の効果を促進することができる。
【0018】
また、上記薬剤において、新型コロナウイルスワクチンの効果を増強する免疫増強薬であるものとすることができる。
【0019】
これによれば、水素ガスとフラバノール類が、ワクチンの接種によるインターフェロンやインターロイキンによる副反応及び副作用を軽減し、ワクチンの効果を増強することができる。
【0020】
また、上記薬剤において、新型コロナウイルスワクチンによる副反応を抑制する抑制薬であるものとすることができる。
【0021】
これによれば、水素ガスとフラバノール類が人体のアレルギー反応を抑制し、新型コロナウイルスワクチンの副反応を抑制することができる。
【0022】
また、上記薬剤において、新型コロナウイルスの感染又は新型コロナウイルスワクチン接種に起因するレトロウイルスによる疾病を予防する予防薬であるものとすることができる。
【0023】
これによれば、水素ガスとフラバノール類が新型コロナウイルスなどのレトロウイルス化を抑制するため、レトロウイルスによる疾病を予防することができる。
【0024】
ここで、本発明に係る感染症予防シートは、フラバノール類又はアリルイソチオシアネートの少なくとも何れか1種を含有することを特徴とする。
【0025】
本発明の感染症予防シートによれば、人体又は人体が触れるものなどを拭浄することによって、ウイルス及び/又は細菌の増殖を抑制することができる。
【0026】
また、本発明に係るマスクは、上記の感染症予防シートが貼付されたことを特徴とする。
【0027】
本発明のマスクによれば、人が着用することにより、体内での、ウイルス及び/又は細菌の感染症を抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の薬剤によれば、肺炎、肺感染症、肺水腫、COPDなどの肺障害に対する治療に有効に作用し、肺障害の原因となるウイルスの感染症を抑制し、治療の効果を促進することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について説明する。第一実施形態の治療薬は、水素ガスとフラバノール類(flavanols)を含有する治療薬水溶液である。
【0030】
本願発明者は、ネブライザなどの吸入器を用いて、治療薬水溶液に含有される水素ガスとフラバノール類を、患者の患部である肺に直接投与させることにより、肺炎、肺感染症、肺水腫、COPDなどの肺障害の治療の効果を促進することができることを見いだしたものである。水素ガスは、肺炎、肺感染症、肺水腫、COPDなどの肺障害に対して、吸入治療法の効果の有効性が示されているものである。水素が肺障害の原因のひとつとされる活性酸素を除去するためと推測される。
【0031】
また、本願発明者らは、水素ガスとフラバノール類を、人の肺に直接投与させることにより、新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの効果を増強すること、新型コロナウイルスワクチンの副反応(アナフィラキシーショック、痛み、だるさ、発熱など)を抑制すること、を見いだしたものである。水素ガスとフラバノール類が、ワクチンの接種によるインターフェロンやインターロイキンによる副反応及び副作用を軽減するためであると推測する。
【0032】
さらに、本願発明者らは、水素ガスとフラバノール類を、新型コロナウイルス発病者や新型コロナウイルスワクチン接種者の肺に直接投与させることにより、新型コロナウイルスなどのレトロウイルス化を抑制する効果があることを見いだしたものである。水素ガスとフラバノール類にレトロウイルスの複製を抑制する効果があるためと推測する。レトロウイルス化を抑制することにより、新型コロナウイルス発病者や新型コロナウイルスワクチン接種者に将来起こり得るADE(抗体依存性感染増強)、心筋梗塞、糖尿病、リウマチ、脳梗塞、アルツハイマーやパーキンソン病などの脳神経疾患、癌、皮膚疾患などの発症を抑制・緩和する効果が期待できる。
【0033】
水素ガスは、治療薬水溶液に溶解させて霧状にした治療薬水溶液を患者に吸引させることによって、患者の患部である肺に直接投与させる。治療薬水溶液における水素ガスの含有量は、0.4~1.62ppmであることが好ましい。有効に吸入治療を行なうことができるためである。治療薬水溶液における水素ガスの含有量が0.4ppm未満である場合には、吸入治療を有効に行うことができないおそれがある。一方、1.62ppmを超えると、飽和溶解度(20℃1気圧)を超えるため、取り扱いが困難になるおそれがある。より好ましくは、肺障害治療薬の治療薬水溶液における水素ガスの含有量は1~1.5ppmである。
【0034】
フラバノール類(flavanols)とは、ポリフェノールのフラボノイドの一種であり、単量体としてのカテキン類とその重合体のことである。カテキン類には、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガラート、エピガロカテキンガラートがある。カテキン類の重合体として、テアフラビン類、テアルビジン類、プロアントシアニジン類がある。フラバノール類として、これらの単体または混合物を使用することができる。
【0035】
本願発明者は、フラバノール類を含有する水溶液に水素ガスを溶解させた肺障害治療薬をネブライザなどの吸入器を用いて、患者の直接気管支に投与させることにより、肺炎、肺感染症、肺水腫、COPDなどの肺障害の治療の効果を促進することができることを見いだしたものである。水素ガスが肺障害の原因のひとつとされる活性酸素を除去し、フラバノール類が肺障害の原因となるウイルスの感染症を抑制し、相乗効果によって、肺障害の治療の効果を促進することができるものである。
【0036】
フラバノール類は、緑茶、紅茶、ウーロン茶及び月桃茶などの茶葉、葡萄、林檎及びベリー類などの果物、カカオ豆などの豆類などから抽出することができる。これらの中でも、茶葉から抽出されたフラバノール類が好ましい。茶葉は、高濃度でフラバノール類を含有し、肺障害の原因となるウイルスの感染症の抑制力が高いエピガロカテキンガラート(epigallocatechin gallate(EGCg))を多く含有しているためである。エピガロカテキンガラートの構造式を化1に記載する。
【0037】
【化1】
【0038】
エピガロカテキンガラートは、構造異性体を含むものである。
【0039】
治療薬水溶液におけるフラバノール類の含有量は、4~800ppmであることが好ましい。好適にウイルスの感染症を抑制することができるためである。治療薬水溶液におけるフラバノール類の含有量が4ppm未満である場合には、ウイルスの感染症を抑制する効果が得られないおそれがある。一方、800ppmを超えると、人が吸引する際に、にがみを感じさせ、吸引そのものが困難になるおそれがある。より好ましくは、治療薬水溶液におけるフラバノール類の含有量は6~500ppmであり、さらに好ましくは、8~100ppmである。
【0040】
アリルイソチオシアネート(allyl isothiocyanate(AITC))は、マスタードやワサビなどの辛み成分であり、抗菌作用を有しているため、肺障害の原因となる細菌の感染症を抑制することができるものである。アリルイソチオシアネートの構造式を化2に記載する。
【0041】
【化2】
【0042】
アリルイソチオシアネートは、クロガラシやカラシナなどから抽出することができ、また、塩化アリルとチオシアン酸カリウムとの反応によって合成することもできる。
【0043】
治療薬水溶液におけるアリルイソチオシアネートの含有量は、1~200ppmであることが好ましい。好適に細菌の感染症を抑制することができるためである。治療薬水溶液におけるアリルイソチオシアネートの含有量が1ppm未満である場合には、細菌の感染症を抑制する効果が得られないおそれがある。一方、200ppmを超えると、人が吸引する際に、刺激臭として感じられ、吸引そのものが困難になるおそれがある。より好ましくは、治療薬水溶液におけるアリルイソチオシアネートの含有量は10~150ppmであり、さらに好ましくは、20~100ppmである。
【0044】
第一実施形態の肺障害治療方法は、ネブライザを使用して、治療薬水溶液を患者の患部である肺に直接送り込むことによって治療を行なう。ネブライザは、圧縮空気で治療薬水溶液を霧状にして、患者に鼻から吸引させて、霧状の治療薬水溶液を患部である肺に直接送り込む治療機器である。
【0045】
治療は、ネブライザを用いて、圧縮空気によって治療薬水溶液を霧状にし、患者に鼻から吸引させて、霧状の治療薬水溶液を患部である肺に直接送り込むことによって行なう。これにより、治療薬水溶液に含有される水素ガスとフラバノール類などの成分が肺に直接送り込まれる。
【0046】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態の肺障害治療薬は、水素ガスを含有する治療薬ガスと、フラバノール類(flavanols)を含有する治療薬水溶液と、のセットである。第二実施形態の肺障害治療薬は、第一実施形態の肺障害治療薬と比較して、水素ガスが、治療薬水溶液に含有されず、治療薬ガスに含有されている点で異なる。その他については第一実施形態の肺障害治療薬と同じであり、第二実施形態において、第一実施形態と共通する要素については、その説明を省略する。なお、水素ガスを含有する治療薬水溶液であっても、水素ガスを含有する治療薬ガスを使用する肺障害治療薬であれば、もちろん、第二実施形態の肺障害治療薬として使用することができる。
【0047】
治療薬ガスは、水素ガスを含有する空気を用いることができる。治療薬ガスの水素ガスの含有量は、0.4~4000ppmであることが好ましい。有効に肺障害に対して吸入治療を行なうことができるためである。治療薬ガスにおける水素ガスの含有量が0.4ppm未満である場合には、肺障害に対して吸入治療を有効に行うことができないおそれがある。一方、4000ppmを超えると、水素ガスの濃度によって爆発が生じるおそれがある。より好ましくは、肺障害治療薬の治療薬ガスにおける水素ガスの含有量は4~3000ppmであり、さらに好ましくは、40~2000ppmである。
【0048】
第二実施形態の肺障害治療薬の治療薬水溶液は、治療薬ガスとともに、患者の患部である肺に直接送り込まれるものである。治療薬水溶液は、フラバノール類を含有し、アリルイソチオシアネートを含有することができる水溶液である。治療薬ガスの水素ガスが肺障害の原因のひとつとされる活性酸素を除去し、フラバノール類が肺障害の原因となるウイルスの感染症を抑制し、アリルイソチオシアネートが肺障害の原因となる細菌の感染症を抑制し、相乗効果によって、肺障害の治療の効果を促進するものである。
【0049】
第二実施形態の肺障害治療方法は、ネブライザを用いて、圧縮した治療薬ガスを噴出させることにより治療薬水溶液を霧状にし、患者に鼻から吸引させて、霧状の治療薬水溶液を患部である肺に直接送り込むことによって治療を行なうことができる。これにより、治療薬ガスに含有される水素ガスと治療薬水溶液に含有されるフラバノール類などの成分が肺に直接送り込まれる。
【0050】
また、第二実施形態の肺障害治療方法として、治療薬ガスを直接吸引し、治療薬水溶液を直接摂取することもできる。
【0051】
(感染症予防シート)
実施形態の感染症予防シートは、フラバノール類又はアリルイソチオシアネートの少なくとも何れか1種を含有するものである。フラバノール類がウイルスの増殖を抑制し、アリルイソチオシアネートが細菌の増殖を抑制する。実施形態の感染症予防シートによれば、人体又は人体が触れるものなどを拭浄することによって、ウイルス及び/又は細菌の増殖を抑制することができる。
【0052】
(マスク)
また、実施形態のマスクは、感染症予防シートが貼付されたものである。本発明のマスクによれば、人が着用することにより、体内での、ウイルス及び/又は細菌の感染症を抑制することができる。
【実施例0053】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0054】
(実施例1(第一実施形態))
実施例1では、肺障害治療薬は、水素飽和溶解水(1.62ppmの水素が溶解した水)に、カテキン抽出物(総カテキン類55質量%含有、EGCg35質量%含有)を総カテキン類が10質量ppmとなる量、アリルイソチオシアネートを50質量ppmとなる量、を添加した、治療薬水溶液Aを用いた。
【0055】
肺疾患を患っている人に、肺障害治療薬としての治療薬水溶液Aを、ジェット式ネブライザを用いて1日に5分投与したところ、8日後に肺疾患からの回復がみられた。
【0056】
(実施例2(第一実施形態))
実施例2では、COVID-19(α株)による肺疾患を患っている人に、肺障害治療薬としての治療薬水溶液Aを、ジェット式ネブライザを用いて1日に5分投与したところ、8日後に肺疾患からの回復がみられた。
【0057】
(実施例3(第一実施形態))
実施例3では、ワクチンの副反応抑制効果を確認した。ワクチン(COVID-19ワクチンモデルナ筋注(武田/モデルナ社))1回目を接種した人10人に、2回目の接種の前日から5日間の毎日、治療薬水溶液Aを、ジェット式ネブライザを用いて1日に5分投与してもらい、1回目の副反応(アナフィラキシーショック、痛み、だるさ、発熱など)と2回目の副反応とを比較してもらった。その結果、10人すべてが、2回目の副反応が1回目の副反応と比較して同等又は抑制されたとの回答があった。これに対する比較例として、ワクチン(COVID-19ワクチンモデルナ筋注)1回目を接種した人10人に、治療薬水溶液を投与することなくワクチンの2回目を接種してもらい、1回目の副反応と2回目の副反応とを比較してもらったところ、8人が、2回目の副反応が1回目の副反応と比較して強く現れたとの回答があった。
【0058】
(実施例4(第二実施形態))
実施例4では、肺障害治療薬として、治療薬ガスと治療薬水溶液のセットを用いた。治療薬ガスは、2000質量ppmの水素を含有する空気を用いた。治療薬水溶液は、精製水に、カテキン抽出物(総カテキン類55質量%含有、EGCg35質量%含有)を総カテキン類が10質量ppmとなる量、アリルイソチオシアネートを50質量ppmとなる量、を添加した、治療薬水溶液Bを用いた。
【0059】
ネブライザは、治療薬ガスを圧縮して圧縮気体とし、圧縮気体で治療薬水溶液Bを霧状にする、ジェット式ネブライザを用いた。
【0060】
COVID-19(変異前)による肺疾患を患っている人に、この圧縮気体に治療薬ガスを使用したジェット式ネブライザを用いて、肺障害治療薬としての治療薬ガスと治療薬水溶液Bを、1日に5分投与したところ、5日後に肺疾患からの回復がみられた。
【0061】
(実施例5(第二実施形態))
実施例5では、COVID-19(α株)による肺疾患を患っている人に、実施例4の圧縮気体に治療薬ガスを使用したジェット式ネブライザを用いて、肺障害治療薬としての治療薬ガスと治療薬水溶液Bを、1日に5分投与したところ、6日後に肺疾患からの回復がみられた。
【0062】
(実施例6(第二実施形態))
実施例6では、ワクチンの副反応抑制効果を確認した。ワクチン(コミナティ筋注(ファイザー社))1回目を接種した人10人に、2回目の接種の前日から5日間の毎日、実施例4の治療薬ガスを10分間吸引と、治療薬水溶液B100ccを3回摂取してもらい、1回目の副反応と2回目の副反応とを比較してもらった。その結果、10人すべてが、2回目の副反応が1回目の副反応と比較して同等又は抑制されたとの回答があった。これに対する比較例として、ワクチン(コミナティ筋注)1回目を接種した人10人に、上記の処置をすることなくワクチンの2回目を接種してもらい、1回目の副反応と2回目の副反応とを比較してもらったところ、8人が、2回目の副反応が1回目の副反応と比較して強く現れたとの回答があった。
【0063】
(実施例7(マスク))
実施例7は、感染症予防シートが貼付されたマスクである。感染症予防シートは、アリルイソチオシアネート1g/Lの水溶液に漬け込み、水溶液が滴り落ちない程度に絞ったものを使用した。
【0064】
肺疾患を患っている人に、この感染症予防シートが貼付されたマスクを1日の内12時間(連続でない)着用させたところ、9日後に肺疾患からの回復がみられた。なお、感染症予防シートが貼付されたマスクは、毎日交換した。
【0065】
(実施例8(マスク))
実施例8は、感染症予防シートが貼付されたマスクである。感染症予防シートは、アリルイソチオシアネート1g/Lの水溶液に漬け込み、水溶液が滴り落ちない程度に絞ったものを使用した。
【0066】
COVID-19による肺疾患を患っている人に、この感染症予防シートが貼付されたマスクを飲食時以外着用させ、フラバノール類を含有する月桃茶を1日に1L服用させたところ、18日後に肺疾患からの回復がみられた。なお、感染症予防シートが貼付されたマスクは、毎日交換した。月桃茶は、月桃の葉を自然乾燥させて粉末状にした月桃茶葉を、90℃のお湯1Lに対し6g使用し、3分間抽出させたものを用いた。