IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッドの特許一覧

特開2022-104579ポジ型感光性樹脂組成物及びそれから調製される硬化膜
<>
  • 特開-ポジ型感光性樹脂組成物及びそれから調製される硬化膜 図1
  • 特開-ポジ型感光性樹脂組成物及びそれから調製される硬化膜 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104579
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】ポジ型感光性樹脂組成物及びそれから調製される硬化膜
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/023 20060101AFI20220701BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220701BHJP
   G03F 7/075 20060101ALI20220701BHJP
   C08F 220/10 20060101ALI20220701BHJP
   C08G 77/14 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
G03F7/023
G03F7/004 501
G03F7/075 521
C08F220/10
C08G77/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207572
(22)【出願日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0184357
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ・ウンヨン
(72)【発明者】
【氏名】チュン・チュヨン
(72)【発明者】
【氏名】イム・チンキュ
【テーマコード(参考)】
2H225
4J100
4J246
【Fターム(参考)】
2H225AC36
2H225AE13P
2H225AF01P
2H225AN39P
2H225BA05P
2H225BA21P
2H225BA33P
2H225CA21
2H225CB02
2H225CC03
2H225CC21
4J100AL03S
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100AL10R
4J100BC12P
4J100BC23Q
4J100BC37P
4J100CA03
4J100CA06
4J100DA01
4J100JA38
4J246AA01
4J246AB11
4J246BA110
4J246BA11X
4J246BB020
4J246BB022
4J246BB02X
4J246BB120
4J246BB121
4J246BB12X
4J246CA240
4J246CA24X
4J246CA400
4J246CA40X
4J246FA071
4J246FA131
4J246FB101
4J246GA01
4J246GB04
4J246GC26
4J246GD08
4J246HA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ポジ型感光性樹脂組成物及びそれから調製される硬化膜を提供する。
【解決手段】本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物及びそれから調製される硬化膜に関する。アクリルコポリマーとシロキサンコポリマーとが一緒に使用され、一方で嵩高いモノマーがアクリルコポリマー中へ導入される、ポジ型感光性樹脂組成物は、現像液の浸透を容易にし、同時に、酸基の抑制効率を高めて感受性を改善する効果を生み出す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アクリルコポリマーと;
(B)シロキサンコポリマーと;
(D)1,2-キノンジアジド化合物と
を含む、ポジ型感光性樹脂組成物であって、
前記アクリルコポリマーは、1:4~4:1の重量比で以下の式1によって表される構造単位(a-1)及び以下の式2によって表される構造単位(a-2)を含み:
【化1】
上記の式において、
及びRは、それぞれ独立して、水素又はメチル基であり;
及びLは、それぞれ独立して、単結合又は1つ以上のヘテロ原子あり若しくはなしで1~6個の炭素原子を有する鎖であり;
【化2】
は、単結合又は二重結合であり;
環Bは、ヘテロ原子あり若しくはなしで5~12個の炭素原子を有する単環式環であり、ここで、前記環Bは、1~12個の炭素原子を有する炭化水素を含む置換基を有するか、又は置換基を有さず、
前記ヘテロ原子は、それぞれ、N、O、及びSからなる群から選択される
組成物。
【請求項2】
前記構造単位(a-2)は、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメチルアクリレート、シクロヘキシルメチルメタクリレート、4-メチルシクロヘキシルメチルアクリレート、及び4-メチルシクロヘキシルメチルメタクリレートからなる群から選択される1つ以上の化合物に由来する、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記アクリルコポリマーは、
(A1)構造単位(a-1)及び構造単位(a-2)を含む第1アクリルコポリマーと;
(A2)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物、又はそれらの組合せに由来する構造単位(a-3)及び前記構造単位(a-1)、(a-2)、及び(a-3)とは異なるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位(a-4)を含む第2アクリルコポリマーと
を含む、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記シロキサンコポリマーは、以下の式3:
[式3]
(RSi(OR4-n
(式3において、
nは、0~3の整数であり;
は、それぞれ独立して、C1~12アルキル、C2~10アルケニル、C6~15アリール、3~12員ヘテロアルキル、4~10員ヘテロアルケニル、又は6~15員ヘテロアリールであり;
は、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C2~6アシル、又はC6~15アリールであり、
ここで、前記ヘテロアルキル、前記ヘテロアルケニル、及び前記ヘテロアリール基は、それぞれ独立して、N、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する)
によって表される2つ以上のシラン化合物に由来する構造単位を含む、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
溶媒を除いた固形分を基準として、
10重量%~90重量%の前記アクリルコポリマーと、
5重量%~50重量%の前記シロキサンコポリマーと、
1重量%~20重量%の前記1,2-キノンジアジド化合物と
を含む、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
エポキシ化合物を更に含む、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物から調製される硬化膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物に及びそれから調製される硬化膜に関する。より具体的には、本発明は、優れた感受性を提供する、ポジ型感光性樹脂組成物に、及び液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等において使用されるそれから調製される硬化膜に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイデバイス、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)型の液晶ディスプレイデバイスにおいて、例えば、窒化ケイ素でできた無機保護膜が、TFT回路を保護する及び絶縁するための保護膜として使用されてきた。しかしながら、そのような無機保護膜は、その高い誘電率のために開口率を高めることが困難であるという問題を有するので、低い誘電率を有する有機絶縁膜に対する需要が増加し続けている。
【0003】
光又は電子ビームと化学的に反応して特定の溶媒へのその溶解性を変化させるポリマー化合物である、感光性樹脂が、一般に、そのような絶縁膜のために使用される。感光性樹脂は、現像液への露光部分の溶解性に応じてポジ型及びネガ型へ分類される。ポジ型においては、露光部分は、現像液によって溶かされてパターンを形成する。ネガ型においては、露光部分は、現像液によって溶かされず、一方で非露光部分が溶かされてパターンを形成する。
【0004】
ポジ型有機絶縁膜は、ネガ型有機絶縁膜と比べて光硬化成分を有さないので、それは、感受性及び下位膜への接着性を確保することが困難であるという点で不都合である。
【0005】
そういうわけで、ポリシロキサン樹脂及びアクリル樹脂が一緒に用いられ、それによって優れた感受性及び接着性を有する感光性樹脂組成物及びそれから調製される硬化膜が提案されている((特許文献1)を参照されたい)。しかしながら、感受性は、依然として満足できるレベルまで改善されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本特許第5099140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、アクリルコポリマーとシロキサンコポリマーとが一緒に使用され、一方で嵩高いモノマーがアクリルコポリマー中へ導入され、それによって現像液の浸透を容易にし、同時に、酸基の抑制効率を高めて感受性を改善する効果を生み出すポジ型感光性樹脂組成物を提供することである。
【0008】
加えて、本発明の目的は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等において使用される、ポジ型樹脂組成物から調製された硬化膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、(A)アクリルコポリマーと;(B)シロキサンコポリマーと;(C)1,2-キノンジアジド化合物とを含む、ポジ型感光性樹脂組成物であって、アクリルコポリマーが、1:4~4:1の重量比で以下の式1によって表される構造単位(a-1)及び以下の式2によって表される構造単位(a-2)を含む:
【化1】
ポジ型感光性樹脂組成物を提供する。
【0010】
上記の式において、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はメチル基であり;L及びLは、それぞれ独立して、単結合又は1つ以上のヘテロ原子あり若しくはなしで1~6個の炭素原子を有する鎖であり;
【化2】
は、単結合又は二重結合であり;環Bは、ヘテロ原子あり若しくはなしで5~12個の炭素原子を有する単環式環であり、ここで、環Bは、1~12個の炭素原子を有する炭化水素を含む置換基を有するか、又は置換基を有さず、ヘテロ原子は、それぞれ、N、O、及びSからなる群から選択される。
【0011】
加えて、本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物から形成される硬化膜を提供する。
【0012】
発明の有利な効果
アクリルコポリマーとシロキサンコポリマーとが一緒に使用され、一方で嵩高いモノマーがアクリルコポリマー中へ導入される、ポジ型感光性樹脂組成物は、現像液の浸透を容易にし、同時に、酸基の抑制効率を高めて感受性を改善する効果を生み出す。
【0013】
したがって、本ポジ型感光性樹脂組成物は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等において使用される硬化膜を調製するために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】テスト実施例4における良好な表面粗さ(表面粗さ1)を有する硬化膜の電子顕微鏡画像である。
図2】テスト実施例4における悪い表面粗さ(表面粗さ5)を有する硬化膜の電子顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、下記で説明されるものに限定されない。むしろ、本発明の主旨が変えられない限り、それは、様々な形態へ修正することができる。
【0016】
本明細書の全体にわたって、ある部分がある要素を「含む」と言われる場合、特に明記しない限り、他の要素が除外されるよりもむしろ、他の要素が含まれ得ると理解される。加えて、本明細書で用いられる成分の量、反応条件等に関する全ての数字及び表現は、特に明記しない限り、用語「約」で修飾されていると理解されるべきである。
【0017】
本明細書で用いるところでは、用語「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を言い、用語「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を言う。
【0018】
本明細書では、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶離液:テトラヒドロフラン)によって及びポリスチレン標準を基準として測定される重量平均分子量を言う。典型的には、それは単位を伴わないが、それはg/モル又はDaの単位を有すると理解され得る。
【0019】
ポジ型感光性樹脂組成物
本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物が(A)アクリルコポリマーと、(B)シロキサンコポリマーと、(c)1,2-キノンジアジド化合物とを含む、ポジ型感光性樹脂組成物に関する。
【0020】
例として、ポジ型感光性樹脂組成物は、溶媒を除いた固形分を基準として10重量%~90重量%のアクリルコポリマーと、5重量%~50重量%のシロキサンコポリマーと、1重量%~20重量%の1,2-キノンジアジド化合物とを含む。
【0021】
加えて、感光性樹脂組成物は、(D)多官能性モノマー、(E)溶媒、(F)エポキシ化合物、(G)界面活性剤、及び/又は(I)シラン化合物を任意選択的に更に含み得る。
【0022】
本明細書では以下、感光性樹脂組成物の各成分が詳細に説明される。
【0023】
(A)アクリルコポリマー
本発明による感光性樹脂組成物は、アクリルコポリマーを含む。
【0024】
アクリルコポリマーは、現像ステップにおいて現像性を達成するためのアルカリ可溶性樹脂であり、また、コーティング時に膜を形成するためのベース及び最終パターンを形成するための構造体の役割を果たす。
【0025】
アクリルコポリマーは、1:4~4:1の重量比で以下の式1によって表される構造単位(a-1)及び以下の式2によって表される構造単位(a-2)を含む。
【化3】
【0026】
上記の式において、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はメチル基であり;L及びLは、それぞれ独立して、単結合又は1つ以上のヘテロ原子あり若しくはなしで1~6個の炭素原子を有する鎖であり;
【化4】
は、単結合又は二重結合であり;環Bは、ヘテロ原子あり若しくはなしで5~12個の炭素原子を有する単環式環であり、ここで、環Bは、1~12個の炭素原子を有する炭化水素を含む置換基を有するか、又は置換基を有さず、ヘテロ原子は、それぞれ、N、O、及びSからなる群から選択される。
【0027】
アクリルコポリマー(A)は、構造単位(a-1)及び構造単位(a-2)を一緒に含むので、それは、フィルム保持率を維持しながら、感受性を改善するために有利である。
【0028】
加えて、アクリルコポリマーは、構造単位(a-1)及び構造単位(a-2)を1:4~4:1の重量比で含むので、本組成物から形成される硬化膜の表面状態を向上させることができる。例えば、構造単位間の(a-1:a-2)の重量比は、1:4~4:1、1:4~1:1、1:1~4:1、1:3~1:1、1:1~3:1、1:2~4:1、1:4~2:1、1:4~3:2、又は2:3~4:1であり得る。
【0029】
構造単位(a-1)は、式1に示されるような基Rとして水素又はメチル基を有する。加えて、Lは、具体的には、単結合であり得るか、又は1~6個の炭素原子若しくは1~3個の炭素原子を有するアルキレン若しくはオキシアルキレンであり得る。
【0030】
具体的な例として、構造単位(a-1)は、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1つの化合物に由来し得る。
【0031】
構造単位(a-1)の含量は、アクリルコポリマー(A)の総重量を基準として、5~80重量%、特に、10重量%~70重量%、より特に、20重量%~60重量%であり得る。上記の範囲内で、それは、優れた膜保持率、コーティングフィルム特性、及び感受性を確保するために有利である。
【0032】
式2に示されるように、構造単位(a-2)は、環Bのようなヘテロ原子あり若しくはなしで5~12個の炭素原子を有する単環式部分を有し、ここで、環Bは、1~12個の炭素原子を有する炭化水素を含む置換基を有するか、又は置換基を有さない。
【0033】
例として、環Bは、5~12個の炭素原子を有する単環式の脂環式炭化水素基、具体的には、5~10個の炭素原子を有するシクロアルキル、例えばシクロヘキシルであり得る。或いは、それは、N、O、及びSからなる群から選択される1~3つのヘテロ原子が脂環式炭化水素基に挿入されている基であり得る。特に、環Bを構成する炭素原子の数は、5~12、5~10、又は5~8であり得る。
【0034】
加えて、環Bは、1つ以上の置換基であって、この置換基が、1~12個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、より具体的には、1~12個の炭素原子を有するアルキル、例えばメチルであり得る、置換基を有し得る。或いは、それは、1~3つのヘテロ原子が脂肪族炭化水素基に挿入されている基であり得る。特に、環Bにおける置換基を構成する炭素原子の数は、1~12、1~6、又は1~3であり得る。
【0035】
加えて、Lは、単結合であってもよいし、又は1~6個の炭素原子若しくは1~3個の炭素原子を有するアルキレン若しくはオキシアルキレン基であり得る。
【0036】
具体的な例として、構造単位(a-2)は、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメチルアクリレート、シクロヘキシルメチルメタクリレート、4-メチルシクロヘキシルメチルアクリレート、及び4-メチルシクロヘキシルメチルメタクリレートからなる群から選択される1つ以上の化合物に由来し得る。
【0037】
構造単位(a-2)の含量は、アクリルコポリマー(A)の総重量を基準として、5~80重量%、特に、10重量%~70重量%、より特に、20重量%~60重量%であり得る。上記の範囲内で、それは、優れた膜保持率、コーティングフィルム特性、及び感受性を確保するために有利である。
【0038】
アクリルコポリマーは、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物、又はそれらの組合せに由来する構造単位(a-3)を更に含み得る。
【0039】
エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物、又はそれらの組合せは、分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を含有する重合性不飽和化合物である。それは、不飽和モノカルボン酸、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、アルファ-クロロアクリル酸、及びケイ皮酸;不飽和ジカルボン酸及びそれの無水物、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物、及びメサコン酸;3以上の価数を有する不飽和ポリカルボン酸及びそれの無水物;並びに二価以上のポリカルボン酸のモノ[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]エステル、例えばモノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]スクシネート、モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタレート等から選択される少なくとも1つであり得る。しかし、それは、それらに限定されない。上記の中で、(メタ)アクリル酸が現像性の観点から好ましい。
【0040】
構造単位(a-3)の含量は、アクリルコポリマー(A)の総重量を基準として5~30重量%であり得る。上記の範囲内で、良好な現像性を持ったコーティングフィルムのパターンを達成することが可能である。
【0041】
アクリルコポリマー(A)は、構造単位(a-1)、(a-2)、及び(a-3)とは異なるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位(a-4)を更に含み得る。構造単位(a-1)、(a-2)、及び(a-3)とは異なるエチレン性不飽和化合物は、芳香環を有するエチレン性不飽和化合物、例えばフェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、プロポキシスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、アセチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルフェノール、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、及びp-ビニルベンジルメチルエーテル;不飽和カルボン酸エステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、メチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα-ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクトフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート;エポキシ基を含有する不飽和モノマー、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、4,5-エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5,6-エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロペンチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、α-エチルグリシジルアクリレート、α-n-プロピルグリシジルアクリレート、α-n-ブチルグリシジルアクリレート、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルベンジル)アクリルアミド、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルフェニルプロピル)アクリルアミド、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、及び2-メチルアリルグリシジルエーテル;N-ビニル基を含有するN-ビニル第三級アミン、例えばN-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール、及びN-ビニルモルホリン;不飽和エーテル、例えばビニルメチルエーテル及びビニルエチルエーテル;並びに不飽和イミド、例えばN-フェニルマレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド、及びN-シクロヘキシルマレイミドからなる群から選択される少なくとも1つであり得る。
【0042】
上記で例示された化合物に由来する構造単位は、単独で又は2つ以上の組合せでコポリマー中に含まれ得る。
【0043】
コポリマーが、好ましくは、上記の中でエポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位、より好ましくはグリシジル(メタ)アクリレート又は3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を含む場合、それは、共重合可能性及び絶縁膜の強度の改善の観点からより有利であり得る。
【0044】
構造単位(a-4)の含量は、アクリルコポリマー(A)を構成する構造単位の総重量を基準として、5~70重量%、好ましくは、15~65重量%であり得る。上記の範囲内で、アクリルコポリマー(すなわちアルカリ可溶性樹脂)の機械的特性及び熱硬化性要因を増加させることが可能であり、その結果、感光性樹脂組成物からのコーティングフィルムの形成時の機械的膜特性及び耐薬品性特性を著しく向上させることができる。
【0045】
アクリルコポリマー(A)は、構造単位(a-1)、(a-2)、(a-3)、及び(a-4)を提供する化合物のそれぞれを配合し、それに分子量制御剤、重合開始剤、溶媒等を加え、続いてそれに窒素を装入し、重合のために混合物をゆっくりと撹拌することによって調製され得る。
【0046】
分子量制御剤は、メルカプタン化合物、例えばブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン等、又はα-メチルスチレン二量体であり得るが、それは、特にそれらに限定されない。重合開始剤は、アゾ化合物、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル);又はベンゾイルペルオキシド;ラウリルペルオキシド;t-ブチルペルオキシピバレート;1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等であり得るが、それは、それらに限定されない。重合開始剤は、単独で又はそれらの2つ以上の組合せで使用され得る。加えて、溶媒は、アクリルコポリマーの調製に一般的に使用される任意の溶媒であり得る。それは、好ましくは、メチル3-メトキシプロピオネート又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)であり得る。
【0047】
特に、重合反応中に反応条件をより穏やかに維持する一方で反応時間をより長く保つことによって未反応モノマーの残留量を低減させることが可能である。反応条件及び反応時間は、特に限定されない。例えば、反応温度は、従来の温度より低い温度、例えば室温~60℃又は室温~65℃に調節され得る。そのとき、反応時間は、十分な反応が行われるまで維持されるべきである。
【0048】
アクリルコポリマーが上記のプロセスによって調製される場合、アクリルコポリマーにおける未反応モノマーの残留量を非常にわずかなレベルまで低減させることが可能である。ここで、アクリルコポリマーの未反応モノマー(又は残留モノマー)という用語は、本明細書で用いるところでは、アクリルコポリマー(A)の構造単位(a-1)~(a-4)を提供することを目的とするが、反応に関与しない(すなわち、コポリマーの鎖を形成しない)化合物(すなわち、モノマー)の量を言う。具体的には、本発明の感光性樹脂組成物中に残留するアクリルコポリマー(A)の未反応モノマーの含量は、(固形分に基づく)アクリルコポリマーの100重量部を基準として、2重量部以下、好ましくは、1重量部以下であり得る。ここで、固形分という用語は、溶媒を除いて、組成物の成分を言い得る。
【0049】
アクリルコポリマーの重量平均分子量(Mw)は、5,000~20,000、好ましくは8,000~13,000であり得る。上記の範囲内で、基板への接着性は優れており、物理的及び化学的特性は良好であり、粘度は適切である。
【0050】
加えて、アクリルコポリマーは、上記の構造単位を含む1つ以上のアクリルコポリマーの混合物であってもよい。例として、アクリルコポリマーは、(A1)構造単位(a-1)及び構造単位(a-2)を含む第1アクリルコポリマー;並びに(A2)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物、又はそれらの組合せに由来する構造単位(a-3)及び構造単位(a-1)、(a-2)、及び(a-3)とは異なるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位(a-4)を含む第2アクリルコポリマーを含み得る。上で記載されたような2つ以上のタイプからなるアクリルコポリマーは、溶媒を除いて、本発明の感光性樹脂組成物の固形分を基準として、10重量%以上、又は30重量%以上の量で組成物中に用いられ得る。
【0051】
アクリルコポリマーの含量は、溶媒を除いて、本発明の感光性樹脂組成物の固形分を基準として、10~90重量%、好ましくは、10~70重量%、より好ましくは、10~60重量%であり得る。上記の含量範囲内で、現像性は適切に制御され、それは、膜保持率の観点から有利である。
【0052】
(B)シロキサンコポリマー
本発明による感光性樹脂組成物は、ポリシロキサン、特に、シロキサンコポリマーを含む。
【0053】
シロキサンコポリマーには、シラン化合物の縮合物及び/又はそれの加水分解物が含まれる。そのような事象において、シラン化合物又はそれの加水分解物は、単官能性~四官能性シラン化合物であり得る。
【0054】
結果として、シロキサンコポリマーは、以下のQ、T、D、及びM型から選択されるシロキサン構造単位を含み得る:
- Q型シロキサン構造単位:例えば、四官能性シラン化合物又は4つの加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解物に由来し得る、ケイ素原子及び4個の隣接酸素原子を含むシロキサン構造単位。
- T型シロキサン構造単位:例えば、三官能性シラン化合物又は3つの加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解物に由来し得る、ケイ素原子及び3個の隣接酸素原子を含むシロキサン構造単位。
- D型シロキサン構造単位:例えば、二官能性シラン化合物又は2つの加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解物に由来し得る、ケイ素原子及び2個の隣接酸素原子を含むシロキサン構造単位(すなわち、線状シロキサン構造単位)。
- M型シロキサン構造単位:例えば、単官能性シラン化合物又は1つの加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解物に由来し得る、ケイ素原子及び1個の隣接酸素原子を含むシロキサン構造単位。
【0055】
例えば、シロキサンコポリマーは、以下の式3によって表される2つ以上のシラン化合物に由来する構造単位を含み得る。例えば、シロキサンコポリマーは、以下の式3によって表される2つ以上のシラン化合物の縮合物及び/又はそれの加水分解物であり得る。
[式3]
(RSi(OR4-n
【0056】
式3において、nは、0~3の整数であり、Rは、それぞれ独立して、C1~12アルキル、C2~10アルケニル、C6~15アリール、3~12員ヘテロアルキル、4~10員ヘテロアルケニル、又は6~15員ヘテロアリールであり、Rは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C2~6アシル、又はC6~15アリールであり、ここで、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、及びヘテロアリール基は、それぞれ独立して、O、N、及びSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する。
【0057】
がヘテロ原子を有する構造単位の例としては、エーテル、エステル、及びスルフィドが挙げられる。
【0058】
式3において、化合物は、四官能性シラン化合物(ここで、nは0である)、三官能性シラン化合物(ここで、nは1である)、二官能性シラン化合物(ここで、nは2である)、又は単官能性シラン化合物(ここで、nは3である)であり得る。
【0059】
シラン化合物の特定の例としては、例えば、四官能性シラン化合物として、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジルオキシシラン、及びテトラプロポキシシラン;三官能性シラン化合物として、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、d-メチルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、p-ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、1-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシ-5-(p-ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン、[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及び3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸;二官能性シラン化合物として、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3-クロロプロピルジメトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、シクロヘキシルジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、及びジメトキシジ-p-トリルシラン;並びに単官能性シラン化合物として、トリメチルメトキシシラン、トリブチルエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、及び(3-グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランが挙げられ得る。
【0060】
四官能性シラン化合物の中で、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びテトラブトキシシランが好ましく;三官能性シラン化合物の中で、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、及びブチルトリメトキシシランが好ましく;二官能性シラン化合物の中で、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、及びジメチルジエトキシシランが好ましい。
【0061】
これらのシラン化合物の2つ以上が、シロキサンコポリマーを調製するために組合せで使用され得る。
【0062】
上記の式3のシラン化合物の加水分解物又は縮合物を得るための条件は、特に限定されない。例えば、式3のシラン化合物は、任意選択的に、溶媒、例えばエタノール、2-プロパノール、アセトン、酢酸ブチル等で希釈され、触媒としての水及び酸(例えば、塩酸、酢酸、硝酸等)又は塩基(例えば、アンモニア、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム等)がそれに加えられ、続いて混合物を撹拌して所望の加水分解物又はそれの縮合物を得る。
【0063】
上記の式3のシラン化合物の加水分解重合によって得られる縮合物(すなわち、シロキサンコポリマー)の重量平均分子量は、好ましくは、500~50,000の範囲にある。上記の範囲内で、それは、フィルム形成特性、溶解性、現像液への溶解速度等の観点からより好ましい。
【0064】
溶媒又は酸若しくは塩基触媒のタイプ及び量は、特に限定されない。加えて、加水分解重合反応は、20℃以下の低温で実施され得る。或いは、反応は、加熱又は還流によって促進され得る。
【0065】
必要とされる反応時間は、シラン構造単位のタイプ及び濃度、反応温度等によって調節され得る。例えば、このようにして得られる縮合物の分子量がおよそ500~50,000になるまで反応が実施されるために通常15分~30日を要する。しかし、それは、それらに限定されない。
【0066】
シロキサンコポリマーは、線状シロキサン構造単位(すなわち、D型シロキサン構造単位)を含み得る。この線状シロキサン構造単位は、二官能性シラン化合物、例えば、上記の式3(式中、nは2である)によって表される化合物に由来し得る。特に、シロキサンコポリマーは、Si原子のモル数を基準として、0.5~50モル%、好ましくは、1~30モル%の量で、上記の式3(式中、nは2である)のシラン化合物に由来する構造単位を含み得る。上記の含量範囲内で、特定のレベルの硬度を維持する一方で、硬化膜は可撓性特性を有し得ることが可能であり、それによって外部応力への亀裂抵抗を更に高めることができる。
【0067】
更に、シロキサンコポリマーは、上記の式3(式中、nは1である)によって表されるシラン化合物に由来する構造単位(すなわち、T型構造単位)を含み得る。好ましくは、シロキサンコポリマーは、Si原子のモル数を基準として、40~85モル%、より好ましくは、50~80モル%の量で、上記の式3(式中、nは1である)のシラン化合物に由来する構造単位を含み得る。上記の含量範囲内で、それは、正確なパターンプロファイルを形成するためにより有利である。
【0068】
加えて、硬化膜の硬度、感受性、及び保持率を考慮して、シロキサンコポリマーがアリール基を有するシラン化合物に由来する構造単位を含むことが好ましい。例えば、シロキサンコポリマーは、Si原子のモル数を基準として、30~70モル%、好ましくは、35~50モル%の量で、アリール基を有するシラン化合物に由来する構造単位を含み得る。上記の含量範囲内で、1,2-ナフトキノンジアジド化合物とのシロキサンコポリマーの相溶性が優れており、それは、硬化膜のより有利な透明性を達成する一方で、感受性の過度の低下を防止し得る。アリール基を有するシラン化合物に由来する構造単位は、例えば、上記の式3(式中、Rはアリール基である)のシラン化合物、好ましくは、上記の式3(式中、nは1であり、Rはアリール基である)のシラン化合物、特に、上記の式3(式中、nは1であり、Rはフェニル基である)のシラン化合物に由来する構造単位であり得る。
【0069】
シロキサンコポリマーは、上記の式3(式中、nは0である)によって表されるシラン化合物に由来する構造単位(すなわち、Q型構造単位)を含み得る。好ましくは、シロキサンコポリマーは、Si原子のモル数を基準として、10~40モル%、好ましくは、15~35モル%の量で、上記の式3(式中、nは0である)によって表されるシラン化合物に由来する構造単位を含み得る。上記の含量範囲内で、感光性樹脂組成物は、パターンの形成中に適切なレベルでアルカリ性水溶液へのその溶解性を維持し得、それによって、それは、組成物の溶解性の低減又は溶解性の劇的な増加によって引き起こされるいかなる欠陥をも防止するために有利である。
【0070】
用語「Si原子のモル数を基準とするモル%」は、本明細書で用いるところでは、シロキサンポリマーを構成する構造単位の全てに含有されるSi原子の総モル数に対して、特定の構造単位中に含有されるSi原子のモル数の百分率を言う。
【0071】
シロキサンコポリマー中のシロキサン単位のモル量は、Si-NMR、H-NMR、13C-NMR、IR、TOF-MS、元素分析、灰の測定等の組合せによって測定され得る。例えば、フェニル基を有するシロキサン単位のモル量を測定するために、Si-NMR分析が全シロキサンコポリマーに関して行われ、それにフェニル結合Siピーク面積及びフェニル非結合Siピーク面積の分析が続く。次いで、モル量は、それらの間のピーク面積比からコンピューター計算することができる。
【0072】
シロキサンコポリマーの含量は、溶媒を除いて、本発明の感光性樹脂組成物の固形分を基準として、5~90重量%、好ましくは、5~50重量%、より好ましくは、5~40重量%であり得る。上記の含量範囲内で、現像性は適切に制御され、それは、膜保持率の観点から有利である。
【0073】
加えて、シロキサンコポリマーは、予備硬化させられる場合に、1.5重量%の水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液において、50Å/秒以上、好ましくは、500Å/秒以上、より好ましくは、1,500Å以上の溶解速度を有し得る。上記の範囲の溶解速度内で、現像液への高い現像性は、より良好な感受性及び解像度を確保し得る。それと同時に、溶解速度の上限は、特に限定されない。しかし、それは、例えば、100,000Å/秒以下、50,000Å/秒以下、又は10,000Å/秒以下であり得る。
【0074】
(C)1,2-キノンジアジド化合物
本発明による感光性樹脂組成物は、1,2-キノンジアジド化合物を含む。
【0075】
1,2-キノンジアジド化合物は、フォトレジストの分野における感光剤として使用される化合物であり得る。
【0076】
1,2-キノンジアジド化合物の例としては、フェノール化合物及び1,2-ベンゾキノンジアジド-4-スルホン酸又は1,2-ベンゾキノンジアジド-5-スルホン酸のエステル;フェノール化合物及び1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸又は1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸のエステル;フェノール化合物(ここで、ヒドロキシル基は、アミノ基で置換される)及び1,2-ベンゾキノンジアジド-4-スルホン酸又は1,2-ベンゾキノンジアジド-5-スルホン酸のスルホンアミド;フェノール化合物(ここで、ヒドロキシル基は、アミノ基で置換される)及び1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸又は1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸のスルホンアミドが挙げられる。上記の化合物は、単独で又はそれらの2つ以上の組合せで使用され得る。
【0077】
フェノール化合物の例としては、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、トリ(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリ(p-ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3-トリス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロパン、4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、ビス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインデン-5,6,7,5’,6’,7’-ヘキサノール、2,2,4-トリメチル-7,2’,4’-トリヒドロキシフラバン等が挙げられる。
【0078】
1,2-キノンジアジド化合物のより特定の例としては、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン及び1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸のエステル、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン及び1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸のエステル、4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール及び1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸のエステル、4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール及び1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸のエステル等が挙げられる。
【0079】
これらは、単独で又は2つ以上の組合せで使用され得る。これらの好ましい化合物が使用される場合、感光性樹脂組成物の透明性は高められ得る。
【0080】
1,2-キノンジアジド化合物の含量は、溶媒を除いて、本発明の感光性樹脂組成物の固形分を基準として、1~20重量%、好ましくは、1~15重量%、より好ましくは、2~10重量%であり得る。上記の含量範囲内で、パターンは、より容易に形成され、それの形成時に被覆膜の粗い表面のような欠陥及び現像時にパターンの底部部分において出現するスカムのようなパターン形状を抑えることが可能である。
【0081】
(D)多官能性モノマー
本発明による感光性樹脂組成物は、耐薬品性を高めるために二官能性又はより高い多官能性モノマーを含み得る。
【0082】
多官能性モノマーは、2以上の官能基を有し、それはまた、1つ以上のエチレン性二重結合を有し、その結果それは、光重合開始剤の作用によって重合することができる。
【0083】
具体的には、多官能性化合物は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとコハク酸とのモノエステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとコハク酸とのモノエステル、カプロラクトン修飾ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート-ヘキサメチレンジイソシアネート(ペンタエリスリトールトリアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物)、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択され得るが、それらに限定されない。
【0084】
市販の多官能性モノマーの例としては、(i)二官能性(メタ)アクリレート、例えば、東亞合成株式会社によって製造されるAronix M-210、M-240、及びM-6200、日本化薬株式会社によって製造されるKAYARAD HDDA、HX-220、及びR-604、並びに大阪有機化学工業株式会社によって製造されるV-260、V-312、及びV-335 HP;並びに(ii)三以上の官能性(メタ)アクリレート、例えば、東亞合成株式会社によって製造されるAronix M-309、M-400、M-403、M-405、M-450、M-7100、M-8030、M-8060、及びTO-1382、日本化薬株式会社によって製造されるKAYARAD TMPTA、DPHA、DPHA-40H、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、及びDPCA-120、並びに大阪有機化学工業株式会社によって製造されるV-295、V-300、V-360、V-GPT、V-3PA、V-400、及びV-802が挙げられ得る。
【0085】
多官能性モノマーの含量は、溶媒を除いて、本発明の感光性樹脂組成物の固形分を基準として、0.001~30重量%、好ましくは、0.1~20重量%、より好ましくは、1~10重量%であり得る。上記の含量範囲内で、それは、優れた感受性を確保するために有利であり、それの形成時に被覆フィルムの粗い表面のような欠陥及び現像時にパターンの底部部分において出現するスカムのようなパターン形状を抑えることが可能である。
【0086】
(E)溶媒
本発明による感光性樹脂組成物は、上記の成分が溶媒と混合されている液体組成物として調製され得る。溶媒は、例えば、有機溶媒であり得る。
【0087】
本発明の溶媒は、それが上述の成分を溶解させることができ、且つ、化学的に安定である限り、特に限定されない。例えば、溶媒は、アルコール、エーテル、グリコールエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールアルキルエーテルプロピオネート、芳香族炭化水素、ケトン、エステル等であり得る。
【0088】
溶媒の特定の例としては、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、アセト酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、エチル2-ヒドロキシプロピオネート、エチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオネート、エトキシ酢酸エチル、エチルヒドロキシアセテート、メチル2-ヒドロキシ-3-メチルブタノエート、メチル2-メトキシプロピオネート、メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、メチル3-エトキシプロピオネート、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0089】
上記の中で、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、ケトン等が好ましい。特に、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、メチル2-メトキシプロピオネート、γ-ブチロラクトン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン等が好ましい。
【0090】
上記で例示された溶媒は、単独で又はそれらの2つ以上の組合せで使用され得る。
【0091】
本発明による感光性樹脂組成物中の溶媒の量は、特に限定されない。例えば、溶媒は、固形分が感光性組成物の総重量を基準にして、10~90重量%、好ましくは、10~80重量%、より好ましくは10~70重量%であるように用いられ得る。固形分という用語は、溶媒を除いて、組成物の成分を言い得る。溶媒の量が上記の範囲内である場合、組成物のコーティングを容易に実施することができ、それの流動性を適切なレベルで維持することができる。
【0092】
(F)エポキシ化合物
本発明による感光性樹脂組成物は、シロキサンバインダー(すなわち、シロキサンコポリマー)の内部密度を増加させ、それによってそれから調製される硬化膜の耐薬品性を高め得るようにエポキシ化合物を更に含み得る。
【0093】
エポキシ化合物は、少なくとも1つのエポキシ基を含有する不飽和モノマーのホモオリゴマー又はヘテロオリゴマーであり得る。
【0094】
少なくとも1つのエポキシ基を含有する不飽和モノマーの例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、4,5-エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5,6-エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロペンチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、α-エチルグリシジルアクリレート、α-n-プロピルグリシジルアクリレート、α-n-ブチルグリシジルアクリレート、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルベンジル)アクリルアミド、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルフェニルプロピル)アクリルアミド、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0095】
エポキシ化合物は、当技術分野において周知の任意の方法によって合成され得る。
【0096】
市販のエポキシ化合物の例は、GHP03(グリシジルメタクリレートホモポリマー、Miwon Commercial Co.,Ltd.)であり得る。
【0097】
エポキシ化合物は、追加の構造単位を更に含み得る。具体的な例として、それは、スチレン;アルキル置換基を含有するスチレン、例えばメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン及びオクチルスチレン;ハロゲンを含有するスチレン、例えばフルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、及びヨードスチレン;アルコキシ置換基を含有するスチレン、例えばメトキシスチレン、エトキシスチレン、及びプロポキシスチレン;アセチルスチレン、例えばp-ヒドロキシ-α-メチルスチレン;p-ヒドロキシ;芳香環を含有するエチレン性不飽和化合物、例えばジビニルベンゼン、ビニルフェノール、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル;不飽和カルボン酸エステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、メチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα-ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート;N-ビニル基を含有する第三級アミン、例えばN-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール、及びN-ビニルモルホリン;不飽和エーテル、例えばビニルメチルエーテル及びビニルエチルエーテル;不飽和イミド、例えばN-フェニルマレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等に由来する構造単位を更に含み得る。上記で例示された化合物に由来する構造単位は、単独で又はそれらの2つ以上の組合せでのどちらかでエポキシ化合物を構成し得る。
【0098】
それは、エポキシ化合物が、これらの例の中でも、スチレン系化合物に由来する構造単位を更に含む組成物の重合性のためにより有利である。他方では、耐薬品性の観点から、エポキシ化合物はカルボキシル基を含有しないことが好ましい。したがって、それはカルボキシル基を有するモノマーに由来する構造単位を含有しないことが好ましい。
【0099】
追加の構造単位は、エポキシ化合物を構成する構造単位の総モル数に対して、0~70モル%、好ましくは、10~60モル%の量で用いられ得る。上記の含量範囲内で、それは、フィルム強度の観点からより有利であり得る。
【0100】
エポキシ化合物の重量平均分子量は、好ましくは100~30,000、より好ましくは、1,000~15,000であり得る。エポキシ化合物の重量平均分子量が少なくとも100である場合、硬化膜は、より優れた硬度を有し得る。また、エポキシ化合物の重量平均分子量が30,000以下である場合、硬化膜は、その上での任意のステップを平坦化するのに好適である、一様な厚さを有し得る。
【0101】
エポキシ化合物の含量は、溶媒を除いて、本発明の感光性樹脂組成物の固形分を基準として、0.001~20重量%、好ましくは、0.001~10重量%、より好ましくは、0.001~5重量%であり得る。上記の含量範囲内で、感光性樹脂組成物から調製された硬化膜の耐薬品性及び接着性はより優れたものであり得る。
【0102】
(G)界面活性剤
本発明の感光性樹脂組成物は、必要ならば、その塗布性を向上させるために界面活性剤を更に含み得る。
【0103】
界面活性剤の種類は特に限定されないが、それの例としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、非イオン界面活性剤等が挙げられる。
【0104】
界面活性剤の具体例としては、フッ素及びケイ素をベースとする界面活性剤、例えばDow Corning Toray Co.,Ltd.によって供給されるFZ-2122、BM CHEMIE Co.,Ltd.によって供給されるBM-1000及びBM-1100、大日本インキ化学工業株式会社によって供給されるMegapack F-142D、F-172、F-173、及びF-183、住友3M株式会社によって供給されるFlorad FC-135、FC-170C、FC-430、及びFC-431、旭硝子株式会社によって供給されるSufron S-112、S-113、S-131、S-141、S-145、S-382、SC-101、SC-102、SC-103、SC-104、SC-105、及びSC-106、Shinakida Kasei Co.,Ltd.によって供給されるEftop EF301、EF303、及びEF352、Toray Silicon Co.,Ltd.によって供給されるSH-28PA、SH-190、SH-193、SZ-6032、SF-8428、DC-57、及びDC-190;非イオン界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどを含むポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等を含むポリオキシエチレンアリールエーテル;及びポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレート等を含むポリオキシエチレンジアルキルエステル;並びにオルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業株式会社によって製造される)、(メタ)アクリレートをベースとするコポリマーPolyflow No.57及び95(Kyoei Yuji Chemical Co.,Ltd.によって製造される)等が挙げられ得る。それらは、単独で又はそれらの2つ以上の組合せで使用され得る。
【0105】
界面活性剤の含量は、溶媒を除いて、本発明の感光性樹脂組成物の固形分を基準として、0.001~5重量%、好ましくは、0.001~3重量%、より好ましくは、0.001~2重量%であり得る。上記の含量範囲内で、感光性樹脂組成物のコーティングは、よりスムーズに実施され得る。
【0106】
(H)シラン化合物
本発明の感光性樹脂組成物は、下記の式4によって表される少なくとも1つのシラン化合物、特に、T型及び/又はQ型のシランモノマーを含み、それによって、エポキシ化合物、例えば、エポキシオリゴマーと共同して、シロキサンコポリマー中の高反応性シラノール基(Si-OH)を低減させることにより後加工における処理中の耐薬品性を高め得る。
[式4]
(RSi(OR4-m
【0107】
式4において、nは、0~3の整数であり、Rは、それぞれ独立して、C1~12アルキル、C2~10アルケニル、C6~15アリール、3~12員ヘテロアルキル、4~10員ヘテロアルケニル、又は6~15員ヘテロアリールであり、Rは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C2~6アシル、又はC6~15アリールであり、ここで、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、及びヘテロアリール基は、それぞれ独立して、O、N、及びSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する。
【0108】
がヘテロ原子を有する構造単位の例としては、エーテル、エステル、及びスルフィドが挙げられる。
【0109】
本発明によれば、それは、mが0である四官能性シラン化合物、mが1である三官能性シラン化合物、mが2である二官能性シラン化合物、又はmが3である単官能性シラン化合物であり得る。
【0110】
シラン化合物の特定の例としては、例えば、四官能性シラン化合物として、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジルオキシシラン、及びテトラプロポキシシラン;三官能性シラン化合物として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、d-メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、p-ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、1-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシ-5-(p-ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン、[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及び3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸;二官能性シラン化合物として、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、シクロヘキシルジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、及びジメトキシジ-p-トリルシラン;並びに単官能性シラン化合物として、トリメチルメトキシシラン、トリブチルエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、及び(3-グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランが挙げられ得る。
【0111】
四官能性シラン化合物の中で、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びテトラブトキシシランが好ましく;三官能性シラン化合物の中で、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが好ましく;二官能性シラン化合物の中で、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、及びジメチルジエトキシシランが好ましい。
【0112】
これらのシラン化合物は、単独で又はそれらの2つ以上の組合せで使用され得る。
【0113】
シラン化合物の含量は、溶媒を除いて、本発明の感光性樹脂組成物の固形分を基準として、0.001~20重量%、好ましくは、0.001~10重量%、より好ましくは、0.001~5重量%であり得る。上記の含量範囲内で、感光性樹脂組成物のコーティングは、よりスムーズに実施され得る。
【0114】
加えて、本発明の感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物の物理的特性が悪影響を受けない限り、他の添加剤を更に含み得る。
【0115】
硬化膜
アクリルコポリマーとシロキサンコポリマーとが一緒に使用され、一方で嵩高いモノマーがアクリルコポリマー中へ導入される、本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、現像液の浸透を容易にし、同時に、酸基の抑制効率を高めて感受性を改善する効果を生み出す。具体的には、嵩高い残基を有するコポリマー単位は、酸基と光活性剤との結合を容易にするための自由な空間を提供し、その結果、露光による分解のプロセスにおいて少量の光活性剤でさえも高い効果を達成することができる。
【0116】
このように、感光性樹脂組成物は、硬化膜を調製するためのポジ型感光性樹脂組成物として使用され得る。
【0117】
したがって、本発明は、感光性樹脂組成物から形成される硬化膜を提供する。硬化膜は、当技術分野において公知の方法、例えば、感光性樹脂組成物が基板上にコートされ、次いで硬化させられる方法によって形成され得る。より具体的には、硬化ステップにおいて、基板上にコートされた感光性樹脂組成物は、溶媒を除去するために、例えば、60℃~130℃の温度でのプリベークにかけられ;次いで所望のパターンを有するフォトマスクを使用して露光させられ;コーティング層上にパターンを形成するために、現像液、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液を使用する現像にかけられ得る。その後、必要があれば、そのパターン形成されたコーティング層は、所望の硬化膜を調製するために、例えば、150~300℃の温度で10分~5時間ポストベークにかけられる。露光は、200nm~500nmの波長域において365nmの波長をベースとして10mJ/cm~200mJ/cmの照射線量で実施され得る。本発明のプロセスによれば、プロセスの観点から所望のパターンを容易に形成することが可能である。
【0118】
基板上への感光性樹脂組成物のコーティングは、スピンコーティング法、スリットコーティング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、アプリケーター法等によって、たとえば、2~25μmの所望の厚さで実施され得る。加えて、曝露(照射)のために使用される光源として、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザー等が使用され得る。必要に応じて、X線、電子線等も使用され得る。本発明の感光性樹脂組成物は、耐熱性、透明性、誘電率、耐溶媒性、耐酸性、及び耐アルカリ性の観点から優れている硬化膜を形成することができる。それ故、このように形成された本発明の硬化膜は、それが熱処理にかけられるか、又は溶媒、酸、塩基等に浸漬されるか、若しくはそれらと接触するときに、表面粗さがない優れた光透過率を有する。したがって、硬化膜は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイの薄膜トランジスタ(TFT)基板用の平坦化膜;有機ELディスプレイ用のバリアリブ;半導体デバイスの層間誘電体;光導波路のコア又はクラッド材等として効果的に使用することができる。更に、本発明は、硬化膜を保護膜(又は絶縁膜)として含む電子構成部品を提供する。
【実施例0119】
本明細書では以下、本発明を以下の実施例に関連してより詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明を例示するために提供され、本発明の範囲は、それらのみに限定されない。
【0120】
以下の調製実施例において、重量平均分子量は、ポリスチレン標準を基準とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶離液:テトラヒドロフラン)によって測定される。
【0121】
調製実施例1:アクリルコポリマー(A-1~A-6)
冷却管及び攪拌機を備えたフラスコに、溶媒としての200重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を装入し、溶媒をゆっくりと攪拌しながら溶媒の温度を60℃に上げた。次に、9.91重量部のスチレン、4.51重量部のグリシジルメタクリレート、16.38重量部のメタクリル酸、及び69.21重量部のジシクロペンタニルメタクリレートをそれに添加し、続いて温度を維持しながらラジカル重合開始剤としての3重量部の2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を5時間にわたって滴加して重合反応を実施した。結果として、23.50重量%の固形分及び約9,000~11,000の重量平均分子量を有するアクリルコポリマー(A-1)が得られた。加えて、アクリルコポリマー(A-2~A-6)を、下の表1に示されるモノマー組成に従って同じ方法で調製した。
【0122】
調製実施例2:アクリルコポリマー(A-7~A-10)
冷却管及び攪拌機を備えたフラスコに、溶媒としての200重量部のPGMEAを装入し、溶媒をゆっくりと攪拌しながら溶媒の温度を70℃に上げた。次に、19.76重量部のスチレン、28.50重量部のメチルメタクリレート、26.97重量部グリシジルメタクリレート、11.70重量部のメタクリル酸、及び13.07重量部のメチルメタクリレートをそれに添加し、続いてラジカル重合開始剤としての3重量部の2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を5時間にわたって滴加して重合反応を実施した。結果として、33.00重量%の固形分及び約9,000~11,000の重量平均分子量を有するアクリルコポリマー(A-7)が得られた。加えて、アクリルコポリマー(A-8~A-10)を、下の表1に示されるモノマー組成に従って同じ方法で調製した。
【0123】
調製実施例3:シロキサンコポリマー(B-1)
還流冷却器を備えた反応器に、20重量部のフェニルトリメトキシシラン、30重量部のメチルトリメトキシシラン、20重量部のテトラエトキシシラン、15重量部の脱イオン水、及び15重量部のPGMEを装入した。その後、混合物を、50ppmのリン酸触媒の存在下で還流下に6時間撹拌し、冷却し、次いでPGMEAで希釈した。結果として、30重量%の固形分及び約6,000~11,000の重量平均分子量を有するシロキサンコポリマーが得られた。
【0124】
シロキサンコポリマーのアルカリ溶解速度(ADR)を測定し、下の表2に示した。具体的には、シロキサンコポリマーを、17重量%の固形分までPGMEAで希釈し、105℃で90秒間硬化させて10,000Åの厚さのコーティングフィルムを形成した。次いで、1秒当たりの溶解速度を、1.5重量%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液を使用して測定した。
【0125】
調製実施例4:エポキシ化合物(F-1)
三つ口フラスコに冷却管を備え付け、サーモスタットを備えた攪拌機上に配置した。フラスコに、モノマーとしての100重量部の3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、開始剤としての10重量部の2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、及び溶媒としての100重量部PGMEAを装入し、続いてそれに窒素を装入した。その後、溶液をゆっくりと攪拌しながら溶液の温度を80℃まで上げ、それを5時間維持し、次いでPGMEAで希釈した。結果として、20重量%の固形分及び約3,000~6,000の重量平均分子量を有するエポキシコポリマーが得られた。
【0126】
調製実施例1~3において調製されたコポリマーのモノマー含量、固形分、及び重量平均分子量を下の表1及び2に示す。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】
【表3】
【0130】
実施例1:感光性樹脂組成物の調製
アクリルコポリマーとしての調製実施例1及び2において得られた15.46重量部のA-4、12.37重量部のA-9、及び41.24重量部のA-10、シロキサンコポリマーとしての調製実施例3において得られた30.93重量部のB-1、1,2-キノンジアジド化合物としての7.29重量部のC-1及び9.94重量部のC-2、多官能性モノマーとしての5.30重量部のD-1、エポキシ化合物としての3.09重量部のF-1、界面活性剤としての0.32重量部のG-1、及びシラン化合物としての6.63重量部のH-1を混合し、これに、それの希釈のための溶媒としてのE-1の添加及び3時間の混合物の撹拌が続いた。それを、0.2μmの細孔サイズを有するメンブランフィルターを通して濾過し、20重量%の固形分を有する組成物を得た。
【0131】
実施例2及び3並びに比較例1~3:感光性樹脂組成物の調製
下の表4~6に示される成分を混合し、溶媒で希釈し、撹拌し、実施例と同じ方法で濾過して20重量%の固形分を有する組成物を得た。ここで、E-1とE-2との混合物(7:3、w/w)を、比較例1において溶媒として使用し、E-1を、実施例2及び3並びに比較例2及び3において溶媒として使用した。
【0132】
実施例及び比較例において調製された組成物の成分及び含量(固形分)を表4~6に示す。
【0133】
【表4】
【0134】
【表5】
【0135】
【表6】
【0136】
テスト実施例1:感受性の評価
実施例及び比較例において調製された組成物を、それぞれ、スピンコーティングによってガラス基板上へコートし、次いで、105℃に保たれたホットプレート上で105秒間それをプリベークして乾燥した膜を形成した。1μm~30μmの範囲のサイズの角穴のパターンを有するマスクを、乾燥した膜上に配置した。次いで、200nm~450nmの波長を有する光を発する露光装置(モデル名:MA6)を使用して膜を露光させた。この曝露は、25μmにセットされたマスクと基板との間の距離で365nmをベースとして150mJ/cmの照射線量で一定期間実施した。次いで、23℃でパドルノズルを通して、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38重量%の水溶液である、現像液で85秒間それを現像した。次いで、200nm~450nmの波長を有する光を発する露光装置(モデル名:MA6)を使用して一定期間365nmの波長をベースとして200mJ/cmの照射線量で、現像された膜を露光させた(すなわち、漂白ステップ)。次いで、対流オーブン中で、240℃で20分間それをポストベークして3.5μmの厚さを有する硬化膜を調製した。上記のプロセスにおいて、露光エネルギー(mJ/cm)は、マスクにおける11μmサイズの穴を通して形成されたパターンの限界寸法(CD)が10μmであることが達成されたときに測定した。露光エネルギーが低ければ低いほど、感受性はより良好である。
【0137】
テスト実施例2:膜保持率
実施例及び比較例において調製された組成物を、それぞれ、スピンコーティングによってガラス基板上へコートし、次いで、105℃に保たれたホットプレート上で105秒間それをプリベークして乾燥した膜を形成した。23℃でパドルノズルを通して、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38重量%の水溶液である、現像剤で80秒間それを現像した。次いで、200nm~450nmの波長を有する光を発する露光装置(モデル名:MA6)を使用して一定期間365nmの波長をベースとして200mJ/cmの照射線量で、現像された膜を露光させた(すなわち、漂白ステップ)。次いで、対流オーブン中で、240℃で20分間それをポストベークして2.1μmの厚さを有する硬化膜を調製した。プリベーク後の膜厚さ及びポストベーク後の膜厚さを、膜厚さ測定装置(SNU Precision)を使用して測定した。膜保持率(%)を以下の方程式に従って計算した。
【0138】
膜保持率(%)=(ハードベーク時の膜の厚さ/プリベーク時の膜の厚さ)×100
【0139】
膜保持率が大きければ大きいほど、より優れている。それが65%以上である場合、それは有利であると考えられ得る。
【0140】
テスト実施例3:表面粗さ
実施例及び比較例において調製された組成物を、それぞれ、スピンコーティングによってガラス基板上へコートし、次いで、105℃に保たれたホットプレート上で105秒間それをプリベークして乾燥した膜を形成した。1μm~30μmの範囲のサイズの角穴のパターンを有するマスクを、乾燥した膜上に配置した。次いで、i-ライン光学フィルターを通して、200nm~450nmの波長を有する光を発する露光装置(モデル名:MA6)を使用して膜を露光させた。この曝露は、25μmにセットされたマスクと基板との間の距離で365nmをベースとして150mJ/cmの照射線量で一定期間実施した。23℃でパドルノズルを通して、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38重量%の水溶液である、現像剤で85秒間それを現像した。次いで、200nm~450nmの波長を有する光を発する露光装置(モデル名:MA6)を使用して一定期間365nmの波長をベースとして200mJ/cmの照射線量で、現像された膜を露光させた(すなわち、漂白ステップ)。次いで、対流オーブン中で、240℃で20分間それをポストベークして3.5μmの厚さを有する硬化膜を調製した。
【0141】
上記の手順によって形成された膜の表面をSEMによって観察し、表面粗さを「1~5」として数値化した。図1は、表面粗さ1に相当する膜の電子顕微鏡画像である。図2は、表面粗さ5に相当する膜の電子顕微鏡画像である。表面粗さが小さければ小さいほど、より良好である。下の表7において、表面粗さが1~2である場合、それは○として示し;さもなければ、それは×として示した。
【0142】
テスト実施例の結果を下の表に示す。
【0143】
【表7】
【0144】
表7に示されるように、実施例1~3の組成物は、ポストベーク後に65%以上の良好な膜保持率を有しながら、感受性及び表面粗さの点で優れていた。対照的に、比較例1~3の組成物は、硬化プロセス中に評価された感受性の点で不十分であり、且つ、硬化膜の表面粗さの点でもまた不十分であった。
図1
図2