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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104585
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】多重分析物の検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20220701BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20220701BHJP
   C12Q 1/6886 20180101ALI20220701BHJP
   C12Q 1/6881 20180101ALI20220701BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20220701BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20220701BHJP
   C12N 5/078 20100101ALN20220701BHJP
   C12N 5/09 20100101ALN20220701BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20220701BHJP
【FI】
G01N33/53 Y
G01N33/543 541
C12Q1/6886 Z
C12Q1/6881 Z
C07K16/28 ZNA
C07K14/705
C12N5/078
C12N5/09
C12N15/12
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021209218
(22)【出願日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】63/130,857
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/194,188
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】姜 文▲チン▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 建安
(72)【発明者】
【氏名】陳 振泰
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA14
4B063QA18
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR62
4B063QR77
4B063QS34
4B063QX02
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AC14
4B065BA21
4B065CA46
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA61
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
【目的】検出感度を上げる効果を有する多重分析物の検出方法を提供する。
【解決手段】多重分析物の検出方法は、以下のステップを含む。ミクロン粒子を提供する。ミクロン粒子は、少なくとも1種の第1リガンドに結合され、且つ本体および本体の表面に形成された複数の第1突起物を含む。続いて、ミクロン粒子と複数種類の被分析物を含むサンプルを混合して、第1複合物を形成する。その後、第1複合物と複数種類の第1標識を有する複数種類の第2リガンドを混合することにより、複数種類の第2リガンドが第1複合物中の複数種類の被分析物に結合して、第2複合物を形成する。最後に、第2複合物中の複数種類の第1標識を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の第1リガンドに結合され、
本体と、
前記本体の表面に形成された複数の第1突起物と、
を含むミクロン粒子を提供するステップと、
前記ミクロン粒子と複数種類の被分析物を含むサンプルを混合して、第1複合物を形成するステップと、
前記第1複合物と複数種類の第1標識を有する複数種類の第2リガンドを混合することにより、前記複数種類の第2リガンドが前記第1複合物中の前記複数種類の被分析物に結合して、第2複合物を形成するステップと、
前記第2複合物中の前記複数種類の第1標識を検出するステップと、
を含む多重分析物の検出方法。
【請求項2】
前記ミクロン粒子が、瘤状微粒子であり、且つ前記瘤状微粒子の前記本体が、内側から外側に向かって、共重合体コア、ポリマー層、およびシリコンベース層を含み、前記共重合体コアの表面に、複数の第2突起物が形成され、前記複数の第2突起物の平均高さが、100nm~5000nmである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ミクロン粒子が、瘤状磁性微粒子であり、且つ前記瘤状磁性微粒子の本体が、内側から外側に向かって、共重合体コア、ポリマー層、磁性物質層、およびシリコンベース層を含み、前記共重合体コアの表面に、複数の第2突起物が形成され、前記複数の第2突起物の平均高さが、100nm~5000nmである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の第1突起物の平均高さと前記本体の平均粒径の比率が、0.005~0.25である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の第1突起物の平均体積と前記本体の平均体積の比率が、1×10-7~2×10-2であり、前記複数の第1突起物の総体積が、前記ミクロン粒子全体の体積の10-1~6×10-1を占める請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の第1突起物の平均数量が、5~500であり、前記ミクロン粒子の平均粒径が、1μm~20μmである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ミクロン粒子が、非球形である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数種類の被分析物が、前記サンプルの表面に配置され、且つ前記第1複合物を形成する方法が、前記少なくとも1種の第1リガンドが前記サンプルの前記表面にある標的物を識別して直接結合することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の第1リガンドが、第1特異性抗体を含み、前記第1特異性抗体が、抗ヒトエクソソーム表面抗原に対する抗体、抗ヒト血液細胞表面抗原に対する抗体、抗ヒト免疫細胞表面抗原に対する抗体、抗ヒト腫瘤細胞表面抗原に対する抗体、またはこれらの組み合わせを含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプルが、ヒトエクソソーム、ヒト血液細胞、ヒト免疫細胞、ヒト腫瘤細胞、またはこれらの組み合わせを含み、前記複数種類の被分析物が、ヒトエクソソームの表面抗原、ヒト血液細胞の表面抗原、ヒト免疫細胞の表面抗原、ヒト腫瘤細胞の表面抗原、またはこれらの組み合わせを含む請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記複数種類の第2リガンドが、複数種類の第2特異性抗体を含み、前記複数種類の第2特異性抗体が、抗ヒトエクソソーム表面抗原に対する抗体、抗ヒト血液細胞表面抗原に対する抗体、抗ヒト免疫細胞表面抗原に対する抗体、抗ヒト腫瘤細胞表面抗原に対する抗体、またはこれらの組み合わせを含む請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1種の第1リガンドが、複数種類の第1リガンドを含み、前記第1複合物を形成する方法が、前記複数種類の第1リガンドが前記複数種類の被分析物を識別して直接結合することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記複数種類の第1リガンドが、複数種類の核酸プローブを含み、前記複数種類の核酸プローブが、複数種類のプライマーまたはアプタマーを含み、前記複数種類の被分析物が、複数種類の第2標識を有する複数種類の核酸配列を含み、前記複数種類の第2標識が、ビオチン、複数種類の抗原領域、またはこれらの組み合わせを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも複数種類のリガンドに結合され、
本体と、
前記本体の表面に形成された複数の突起物と、
を含むミクロン粒子を提供するステップと、
前記ミクロン粒子と複数種類の被分析物を含むサンプルを混合して、複合物を形成し、前記複数種類の被分析物が、複数の標識を有するステップと、
前記複合物中の前記複数種類の標識を検出するステップと、
を含む多重分析物の検出方法。
【請求項15】
前記複数種類のリガンドが、複数種類の核酸プローブを含み、前記複数種類の標識が、複数種類の蛍光標識、複数種類の冷光標識、またはこれらの組み合わせを含み、且つ前記複数種類の被分析物が、複数種類の核酸配列を含む請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析物の検出方法に関するものであり、特に、多重分析物の検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リガンド結合法(ligand binding assay, LBA)は、リガンド分子の分析物への親和性結合に依存する検出方法であり、中でも、酵素免疫測定法(enzyme-linked immunosorbent assay, ELISA)が最も幅広く使用されている測定方法である。従来のELISAは、抗体と抗原の特異的な結合の特性を利用して、酵素反応により測定する方法であり、技術の発展は既にかなり成熟しているが、ELISAは測定時間が長く、1つの反応から1種類の分析物しか測定できないことが欠点である。
【0003】
現在、市場において多重タンパク質免疫測定に応用されている製品は、従来のサンドイッチ法を基礎としており、まず、異なる色を有する球状ミクロン粒子を用いて抗体と結合させ、続いて、抗体に結合した球状ミクロン粒子を標的抗原に結合させてから、特定の蛍光標識を有する検出抗体を用いて被分析抗原に結合させ、フローサイトメトリー(flow cytometry)で分析を行うことにより、多重タンパク質測定の目的を達成する。しかしながら、上述した多重タンパク質免疫測定は、依然として、複数種類の蛍光色のミクロン粒子を使用しなければならない、測定前に異なる蛍光色のミクロン粒子に対して蛍光スペクトルを設定しなければならない、および操作時に異なる標識の粒子を区分してから信号分析を行わなければならないといった欠点を有する。したがって、全般的に、測定時間が長く、且つ操作が複雑であるため、誤差が生じやすい。
【0004】
したがって、多重分析物を同時に分析することができ、且つ操作が便利で、検出感度が高い検出方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、検出感度を上げる効果を有する多重分析物の検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の多重分析物の検出方法は、以下のステップを含む。ミクロン粒子を提供する。ミクロン粒子は、少なくとも1種の第1リガンドに結合され、且つ本体および本体の表面に形成された複数の第1突起物を含む。続いて、ミクロン粒子と複数種類の被分析物を含むサンプルを混合して、第1複合物を形成する。その後、第1複合物と複数種類の第1標識を有する複数種類の第2リガンドを混合することにより、複数種類の第2リガンドが第1複合物中の複数種類の被分析物に結合して、第2複合物を形成する。最後に、第2複合物中の複数種類の第1標識を検出する。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、前記ミクロン粒子は、瘤状(knobby)微粒子である。瘤状微粒子の本体は、内側から外側に向かって、共重合体コア、ポリマー層、およびシリコンベース層を含む。共重合体コアの表面は、複数の第2突起物を形成する。複数の第2突起物の平均高さは、100nm~5000nmである。
【0008】
本発明の1つの実施形態において、前記ミクロン粒子は、瘤状磁性微粒子である。瘤状磁性微粒子の本体は、内側から外側に向かって、共重合体コア、ポリマー層、磁性物質層、およびシリコンベース層を含む。共重合体コアの表面は、複数の第2突起物を形成する。複数の第2突起物の平均高さは、100nm~5000nmである。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、前記複数の第1突起物の平均高さと本体の平均粒径の比率は、0.005~0.25である。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、前記複数の第1突起物の平均体積と本体の平均体積の比率は、1×10-7~2×10-2である。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、前記複数の第1突起物の総体積は、前記ミクロン粒子全体の体積の10-1~6×10-1を占める。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、前記複数の第1突起物の平均数量は、5~500である。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、前記ミクロン粒子の平均粒径は、1μm~20μmである。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、前記ミクロン粒子は、非球形である。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、上述した少なくとも1種のリガンドをミクロン粒子に結合させる方法は、非共有結合、共有結合、アビジン(avidin)-ビオチン(biotin)作用、静電吸着作用、疎水性吸着作用、またはこれらの組み合わせを含む。
【0016】
本発明の1つの実施形態において、前記複数種類の被分析物は、サンプルの表面に配置される。上述した第1複合物を形成する方法は、少なくとも1種の第1リガンドがサンプルの表面にある標的物を識別して直接結合することを含む。
【0017】
本発明の1つの実施形態において、前記少なくとも1種の第1リガンドは、第1特異性抗体を含む。第1特異性抗体は、抗ヒトエクソソーム(exosome)表面抗原に対する抗体、抗ヒト血液細胞表面抗原に対する抗体、抗ヒト免疫細胞表面抗原に対する抗体、抗ヒト腫瘤細胞表面抗原に対する抗体、またはこれらの組み合わせを含む。
【0018】
本発明の1つの実施形態において、前記サンプルは、ヒトエクソソーム、ヒト血液細胞、ヒト免疫細胞、ヒト腫瘤細胞、またはこれらの組み合わせを含む。複数種類の被分析物は、ヒトエクソソームの表面抗原、ヒト血液細胞の表面抗原、ヒト免疫細胞の表面抗原、ヒト腫瘤細胞の表面抗原、またはこれらの組み合わせを含む。
【0019】
本発明の1つの実施形態において、前記複数種類の第2リガンドは、複数種類の第2特異性抗体を含む。前記複数種類の第2特異性抗体は、抗ヒトエクソソーム表面抗原に対する抗体、抗ヒト血液細胞表面抗原に対する抗体、抗ヒト免疫細胞表面抗原に対する抗体、抗ヒト腫瘤細胞表面抗原に対する抗体、またはこれらの組み合わせを含む。
【0020】
本発明の1つの実施形態において、前記少なくとも1種の第1リガンドは、複数種類の第1リガンドを含む。上述した前記第1複合物を形成する方法は、複数種類の第1リガンドが複数種類の被分析物を識別して直接結合することを含む。
【0021】
本発明の1つの実施形態において、前記複数種類の第1リガンドは、複数種類の核酸プローブを含む。複数種類の核酸プローブは、複数種類のプライマー(primer)またはアプタマー(aptamer)を含む。
【0022】
本発明の1つの実施形態において、前記複数種類の被分析物は、複数種類の第2標識を有する複数種類の核酸配列を含む。
【0023】
本発明の1つの実施形態において、前記複数種類の第2標識は、ビオチン、複数種類の抗原領域、またはこれらの組み合わせを含む。
【0024】
本発明の1つの実施形態において、前記複数種類の第2リガンドは、特異性タンパク質を含む。特異性タンパク質は、抗ビオチン抗体、アビジン、ストレプトアビジン(streptavidin)、中和アビジン(neutravidin)、第3特異性抗体、またはこれらの組み合わせを含む。
【0025】
本発明の1つの実施形態において、前記複数種類の第1標識は、複数種類の蛍光標識または複数種類の冷光標識を含む。
【0026】
本発明の1つの実施形態において、前記複数種類の蛍光標識は、FITC、Alexa、PE、BV、PerCP、APC、Pacific Blue、またはこれらの組み合わせを含む。前記複数種類の冷光標識は、ルシフェラーゼ(luciferase)を含む。
【0027】
本発明の多重分析物の検出方法は、以下のステップを含む。ミクロン粒子を提供する。ミクロン粒子は、少なくとも複数種類のリガンドに結合され、且つ本体および本体の表面に形成された複数の突起物を含む。続いて、ミクロン粒子と複数種類の被分析物を含むサンプルを混合して、複合物を形成する。複数種類の被分析物は、複数の標識を有する。最後に、複合物中の複数種類の標識を検出する。
【0028】
本発明の1つの実施形態において、前記複数種類のリガンドは、複数種類の核酸プローブを含む。前記複数種類の標識は、複数種類の蛍光標識または複数種類の冷光標識、またはこれらの組み合わせを含む。前記複数種類の被分析物は、複数種類の核酸配列を含む。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明のミクロン粒子は、不規則な形状の複数の第1突起物を本体の表面に配置するため、ミクロン粒子の表面積(つまり、本体の表面積と第1突起物の表面積の総和)を増やすことができる。それにより、ミクロン粒子をより多くの第1リガンドに結合させ、より多くの標的物を識別して結合することができるため、検出信号を増強し、検出の感度を上げることができる。
【0030】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれ、且つその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
【0032】
図1図1は、本発明の1つの実施形態に係る多重分析物の検出方法のフロー図である。
図2図2は、本発明の1つの実施形態に係る多重分析物の検出方法のフロー概略図である。
図3図3Aは、本発明の1つの実施形態に係る瘤状微粒子の断面概略図である。図3Bは、本発明の1つの実施形態に係る瘤状磁性微粒子の断面概略図である。
図4図4は、本発明の別の実施形態に係る多重分析物の検出方法のフロー概略図である。
図5図5A図5Fは、それぞれ走査型電子顕微鏡およびマルチサイザーを用いて球状ミクロン粒子または瘤状微粒子の規格を分析したものである。
図6図6Aおよび図6Fは、それぞれAnti-Human CD63に結合した比較例1~3と実例1、3~4を使用して、SKBr3のエクソソームのCD9の発現量を測定したものである。図6Gおよび図6Lは、それぞれAnti-Human CD9に結合した比較例1~3と実例1、3~4を使用して、SKBr3のエクソソームのCD9の発現量を測定したものである。
図7図7A図7Cは、それぞれAnti-Human CD9に結合した実例1と実例2を使用して、異なる溶液中のSKBr3のエクソソームのCD9の発現量を測定したものである。
図8図8A図8Cは、それぞれAnti-Human CD9に結合した実例1と実例2を使用して、異なる溶液中のSKBr3のエクソソームのCD81の発現量を測定したものである。
図9図9A図9Dは、それぞれAnti-Human CD9に結合した実例2を使用して、SKBr3のエクソソームのCD9、CD29、CD63、およびCD81のうちのいずれか3つの発現量を同時に測定したものである。
図10図10A図10Dは、それぞれAnti-Human Her2に結合した実例2を使用して、SKBr3のエクソソームのCD9、CD29、CD63、およびCD81のうちのいずれか3つの発現量を同時に測定したものである。
図11図11A図11Dは、それぞれ異なる第1特異性抗体に結合した実例2を使用して、臨床検体中のエクソソームのCD9およびCD63の発現量を同時に測定したものである。
図12図12A図12Bは、それぞれAIVプローブに結合した瘤状磁性微粒子を使用して、ビオチンを標識したAB被分析核酸またはビオチンを標識したAIV被分析核酸を測定したものである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の1つの実施形態に係る多重分析物の検出方法のフロー図である。図2は、本発明の1つの実施形態に係る多重分析物の検出方法のフロー概略図である。図3Aは、本発明の1つの実施形態に係る瘤状微粒子の断面概略図である。図3Bは、本発明の1つの実施形態に係る瘤状磁性微粒子の断面概略図である。
【0034】
図1図2図3A、および図3Bを参照すると、まず、ステップS10を実行し、ミクロン粒子110を提供する。本実施形態において、ミクロン粒子110は、本体111および本体111の表面111aに形成された複数の第1突起物112を含むため、ミクロン粒子100は、非球形である。外形を見ると、複数の第1突起物112は、不規則状であり、且つ本体111の表面111aに均一に分布しても、不均一に分布してもよい。実質的に、複数の第1突起物112と本体111は、一体成形され、且つ複数の第1突起物112と本体111の間は、シームレスに接続される。本実施形態において、複数の第1突起物112は、平均高さH1(つまり、複数の第1突起物112の頂端から本体111の表面111aまでの平均垂直距離)を有する。
【0035】
具体的には、図2図3A、および図3Bを同時に参照すると、本実施形態において、ミクロン粒子110は、瘤状微粒子110aであっても、瘤状磁性微粒子110bであってもよく、瘤状微粒子110aは、磁性を有さないが、瘤状磁性微粒子110bは、磁性を有する。図3Aに示すように、瘤状微粒子110aの本体111は、内側から外側に向かって、共重合体コア113、ポリマー層114、およびシリコンベース層115を含む。共重合体コア113の表面113aは、複数の第2突起物113bを形成する。複数の第2突起物113bは、不規則状であり、且つ共重合体コア113の表面113aに均一に分布しても、不均一に分布してもよい。実質的に、複数の第2突起物113bと共重合体コア113は、一体成形され、且つ複数の第2突起物113bと共重合体コア113の間は、シームレスに接続される。本実施形態において、複数の第2突起物113bの平均高さH2(つまり、複数の第2突起物113bの頂端から共重合体コア113の表面113aまでの平均垂直距離)は、100nm~5000nmであってもよく、例えば、約200nm~4500nm、約500nm~4000nm、約800nm~3500nm、約300nm~1000nm、約600nm~1800nm、約750nm~2500nm、約900nm~3000nm、約1000nm~3600nm、約1500nm~4800nm等であるが、本発明はこれらに限定されない。本実施形態において、ポリマー層114とシリコンベース層115は、概して、共形の方法で、共重合体コア113の上に順番に形成される。したがって、瘤状微粒子110aの複数の第1突起物112は、基本的に、共重合体コア113の複数の第2突起物113bに対応して設置されるが、本発明はこれに限定されない。
【0036】
図3Bに示すように、瘤状磁性微粒子110bの本体111は、内側から外側に向かって、共重合体コア113、ポリマー層114、磁性物質層116、およびシリコンベース層115を含む。共重合体コア113の表面113aは、複数の第2突起物113bを形成する。複数の第2突起物113bは、不規則状であり、且つ共重合体コア113の表面113aに均一に分布しても、不均一に分布してもよい。実質的に、複数の第2突起物113bと共重合体コア113は、一体成形され、且つ複数の第2突起物113bと共重合体コア113の間は、シームレスに接続される。本実施形態において、複数の第2突起物113bの平均高さH2は、100nm~5000nmであってもよく、例えば、約200nm~4500nm、約500nm~4000nm、約800nm~3500nm、約300nm~1000nm、約600nm~1800nm、約750nm~2500nm、約900nm~3000nm、約1000nm~3600nm、約1500nm~4800nm等であるが、本発明はこれらに限定されない。本実施形態において、ポリマー層114、磁性物質層116、およびシリコンベース層115は、概して、共形の方法で、共重合体コア113の上に順番に形成される。瘤状磁性微粒子110bの複数の第1突起物112は、基本的に、共重合体コア113の複数の第2突起物113bに対応して設置されるが、本発明はこれに限定されない。
【0037】
本実施形態において、共重合体コア113は、例えば、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体、メチルメタクリレート/トリエチレングリコールジメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート/エチレングリコールジメタクリレート共重合体、スチレン/トリエチレングリコールジメタクリレート共重合体、スチレン/エチレングリコールジメタクリレート共重合体、またはメチルメタクリレート/ジビニルベンゼン共重合体であるが、本発明はこれに限定されない。ポリマー層114は、官能基修飾(modification)された共重合体コア113の表面であってもよく、且つ少なくとも1つの官能基(例えば、カルボキシル基、アミノ基、またはその組み合わせであるが、本発明はこれらに限定されない)を含む。シリコンベース層115の材料は、テトラメトキシシラン(tetramethoxysilane, TMOS)、テトラエトキシシラン(tetraethoxysilane, TEOS)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(~3-aminopropyltriethoxysilane, APTES)、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3-glycidoxypropyltrimethoxysilane, GOPTS)を含むことができるが、本発明はこれらに限定されない。磁性物質層116の材料は、常磁性体、超常磁性体、強磁性体、フェライト磁性体、またはその組み合わせを含むことができるが、本発明はこれらに限定されない。
【0038】
再度図2図3A、および図3Bを参照すると、本実施形態において、第1突起物112の平均高さH1は、0.1μm~5μmであってもよく、例えば、約0.2μm~4.5μm、約0.3μm~4μm、約0.4μm~3.5μm、約0.5μm~3μm、約0.6μm~2.5μm等であるが、本発明はこれらに限定されない。第1突起物112の平均体積V1は、0.00052μm3~65μm3であってもよく、例えば、約0.001μm3~60μm3、約0.01μm3~50μm3、約0.1μm3~40μm3等であるが、本発明はこれらに限定されない。本体111の平均粒径D1は、1μm~20μmであってもよく、例えば、約2μm~15μm、約3μm~18μm、約4μm~10μm、約5μm~12μm等であるが、本発明はこれらに限定されない。本体111の平均体積V2は、0.52μm3~4200μm3であってもよく、例えば、約1μm3~4000μm3、約10μm3~3800μm3、約20μm3~3600μm3、約30μm3~3300μm3、約40μm3~2900μm3、約50μm3~2500μm3、約60μm3~2300μm3、約80μm3~2000μm3、約100μm3~1000μm3等であるが、本発明はこれらに限定されない。ここで、第1突起物112の平均高さH1と本体111の平均粒径D1の比率は、0.005~0.25であってもよく、例えば、約0.001~0.23、約0.05~0.20、約0.01~0.18、約0.05~0.15等であるが、本発明はこれらに限定されない。第1突起物112の平均体積V1と本体の平均体積V2の比率は、1×10-7~2×10-2であってもよく、例えば、1×10-6~1.5×10-2、1×10-5~1.2×10-2、1×10-5~1×10-2等であるが、本発明はこれらに限定されない。ミクロン粒子110の平均粒径D(つまり、ミクロン粒子110の最短粒径と最長粒径の平均、例えば、瘤状微粒子110aまたは瘤状磁性微粒子110bの最短粒径D2と最長粒径D3の平均)は、1μm~20μmであってもよく、例えば、約2μm~18μm、約3μm~15μm、約5μm~10μm等であるが、本発明はこれらに限定されない。
【0039】
再度図2を参照すると、本実施形態において、ミクロン粒子110は、少なくとも1種の第1リガンド120(図1は、第1リガンドを例として示しているが、本発明はこれに限定されない)に結合される。ここで、第1リガンド120は、ミクロン粒子110の本体111の表面111aおよび第1突起物112上に結合される。第1リガンド120をミクロン粒子110に結合する方法は、非共有結合、共有結合、アビジン-ビオチン作用、静電吸着作用、疎水性吸着作用、またはこれらの組み合わせを含む。本実施形態において、第1リガンド120は、例えば、特異性抗体を含むが、本発明はこれに限定されない。
【0040】
続いて、再度図1および図2を参照すると、ステップS20を実行し、ミクロン粒子110と複数種類の被分析物130a、130b、130cを混合して、第1複合物140を形成する。本実施形態において、複数種類の被分析物130a、130b、130cは、サンプルSの表面S1に配置される。第1複合物140を形成する方法は、少なくとも1種の第1リガンド120がサンプルSの表面S1にある標的物Tを識別して直接結合することを含む。
【0041】
本実施形態において、第1リガンド120は、特異性抗体を含み、標的物Tを識別して直接結合する能力を有する。第1特異性抗体は、抗ヒトエクソソーム表面抗原に対する抗体(例えば、Anti-Human CD9、Anti-Human CD63、Anti-Human CD29、Anti-Human CD81、Anti-Human Her2 Anti-Human EGFR、Anti-Human EpCAM等)、抗ヒト血液細胞表面抗原に対する抗体(例えば、Anti-Human CD45、Anti-Human CD235a等)、抗ヒト免疫細胞表面抗原に対する抗体(例えば、Anti-Human CD3、Anti-Human CD19等)、抗ヒト腫瘤細胞表面抗原に対する抗体(例えば、Anti-Human CEA、Anti-Human PD-L1、Anti-Human Her2等)、またはこれらの組み合わせを含むが、本発明はこれらに限定されない。
【0042】
本実施形態において、サンプルSは、ヒトエクソソーム、ヒト血液細胞、ヒト免疫細胞、ヒト腫瘤細胞、またはこれらの組み合わせを含むが、本発明はこれらに限定されない。被分析物130a、130b、130cは、ヒトエクソソームの表面抗原(例えば、CD9、CD63、CD81、Her2、EGFR、EpCAM等)、ヒト血液細胞の表面抗原(例えば、CD45、CD235a等)、ヒト免疫細胞の表面抗原(例えば、CD3、CD19等)、ヒト腫瘤細胞の表面抗原(例えば、CEA、PD-L1、Her2等)、またはこれらの組み合わせを含むが、本発明はこれらに限定されない。
【0043】
本実施形態において、標的物Tは、ヒトエクソソームの表面抗原のうちの少なくとも1種の表面抗原、ヒト血液細胞の表面抗原のうちの少なくとも1種の表面抗原、ヒト免疫細胞の表面抗原のうちの少なくとも1種の表面抗原、ヒト腫瘤細胞の表面抗原のうちの少なくとも1種の表面抗原、またはこれらの組み合わせであってもよいが、本発明はこれらに限定されない。標的物Tは、複数種類の被分析物130a、130b、130cのいずれか1種と同じであっても、異なっていてもよい。例を挙げて説明すると、1つの実施形態において、標的物Tは、例えば、ヒトエクソソームの表面抗原CD9であり、被分析物は、例えば、ヒトエクソソームの表面抗原CD9、CD63、およびCD81である。別の実施形態において、標的物Tは、例えば、ヒトエクソソームの表面抗原Her2であり、被分析物は、例えば、ヒトエクソソームの表面抗原CD9、CD63、およびCD81であるが、本発明はこれらに限定されない。説明すべきこととして、標的物Tと被分析物が同じ種類の表面抗原であっても、標的物Tと被分析物130aは、同じ表面抗原ではない。例を挙げて説明すると、図2に示すように、標的物Tと被分析物130aは、同じ種類の表面抗原13aである。ここで、第1リガンド120によって識別されて結合される部分は、標的物Tであり、第1リガンド120によって結合されない他の部分は、後続の検出に用いる被分析物130aとすることができる。
【0044】
続いて、ステップS30を実行し、第1複合物と複数種類の第1標識151a、151b、151cを有する複数種類の第2リガンド150a、150b、150cを混合することにより、複数種類の第2リガンド150a、150b、150cが第1複合物140中の複数種類の被分析物130a、130b、130cに結合して、第2複合物160を形成する。わかりやすくするため、図2では、1個のサンプルSおよび1個の第2リガンド(150a、または150b、または150c)の結合のみを示す。実際には、サンプルSの表面が複数種類(または複数)の被分析物130a、130b、130cを有していれば、サンプルSに複数種類(または複数)の第2リガンド150a、150b、150cを同時に結合させることができる。
【0045】
本実施形態において、複数種類の第2リガンド150a、150b、150cは、例えば、複数種類の第2特異性抗体である。本実施形態において、複数種類の第2特異性抗体は、抗ヒトエクソソーム表面抗原に対する抗体、抗ヒト血液細胞表面抗原に対する抗体、抗ヒト免疫細胞表面抗原に対する抗体、抗ヒト腫瘤細胞表面抗原に対する抗体、またはこれらの組み合わせを含む。ここで、複数種類の第2特異性抗体は、第1特異性抗体と同じであっても、異なっていてもよい。複数種類の第1標識151a、151b、151cは、複数種類の異なる蛍光標識または冷光標識を含むが、本発明はこれに限定されない。蛍光標識は、FITC、Alexa(例えば、AF-488、AF- 594、AF-647、AF-700等)、PE(例えば、PE、PE-Cyanine5、PE-Cyanine7、PE-Dazzle594等)、PerCP(例えば、PerCP、PerCP-Cyanine5.5等)、BV(Brilliant Violet、例えば、BV421、BV450、BV510、BV570、BV605、BV650、BV711、BV750、BV785等)、APC(例えば、APC、APC-Cyanine7等)、Pacific Blue、またはこれらの組み合わせを含むが、本発明はこれらに限定されない。冷光標識は、ルシフェラーゼを含むが、本発明はこれに限定されない。本技術分野において通常の知識を有する者であれば、実際の要求(例えば、サンプルの供給源、または分析物の数量)に応じて、第1リガンド、第1標識、および第2リガンドを選択することができるため、本発明では特に限定しない。
【0046】
最後に、ステップS40を実行し、第2複合物160中の複数種類の第2リガンド150a、150b、150cの複数種類の第1標識151a、151b、151cを検出する。検出結果は、被分析物130a、130b、130cのサンプルSの表面S1における相対含有量(または発現量)を表すことができる。本実施形態において、例えば、フローサイトメトリー(flow cytometry)を使用して検出するが、本発明はこれに限定されない。ここまでで、本実施形態の多重分析物の検出方法がほぼ完了する。
【0047】
本実施形態において、一般的な球状ミクロン粒子と比較して、本実施形態のミクロン粒子110は、不規則な形状の複数の第1突起物を本体の表面に設置するため、ミクロン粒子110の表面積(つまり、本体の表面積と第1突起物の表面積の総和)を増やすことができる。それにより、本実施形態は、ミクロン粒子110をより多くの第1リガンド120に結合させ、より多くの標的物Tを識別して結合することができるため、検出信号を増強し、検出の感度を上げることができる。
【0048】
また、本実施形態の瘤状磁性微粒子110bの磁性物質層140の表面は、粗面である(または小突起を有する)ため、瘤状磁性微粒子110bの表面(つまり、本体111の表面111aと第1突起物112の表面)も粗面である。また、瘤状微粒子110aと比較して、瘤状磁性微粒子110bは、表面が粗面であるため、瘤状磁性微粒子110bは、より大きな表面積を有することができる。それにより、瘤状磁性微粒子110bをより多くの第1リガンド120に結合させ、より多くの標的物Tを識別して結合することができるとともに、より多くの被分析物130a、130b、130cを検出することができるため、検出信号を増強し、検出の感度を上げることができる。また、瘤状磁性微粒子110bは、磁性を有するため、検出時間を短縮し、検出の効率と便利性を向上させることができる。
【0049】
以下、その他の実施形態について説明する。ここで説明すべきこととして、上述した実施形態の構成要素符号および一部の内容を以下の実施形態において援用するが、同一の符号は、同一または類似する構成要素を示すものとし、同じ技術内容については、説明を省略する。省略した詳細説明については、上述した実施形態を参照することができるため、以下の実施形態では繰り返し説明しない。
【0050】
図4は、本発明の別の実施形態に係る多重分析物の検出方法のフロー概略図である。図2および図4を同時に参照すると、本実施形態の方法と図2の方法は類似しているが、両者の主な相違点は、少なくとも1種の第1リガンド120が、複数種類の第1リガンド120a、120b、120cを含み、且つ複数種類の第1リガンド120a、120b、120cが、例えば、複数種類の核酸プローブ(例えば、複数種類のプライマーまたはアプタマー)であることである。複数種類の被分析物130a、130b、130cは、複数種類の第2標識132a、132b、132c(例えば、ビオチン、抗原領域、またはこれらの組み合わせであるが、本発明はこれらに限定されない)を有する複数種類の核酸配列を含む。複数種類の第2リガンド150a、150b、150cは、特異性タンパク質(例えば、抗ビオチン抗体(anti-biotin antibody)、アビジン、ストレプトアビジン、中和アビジン、第3特異性抗体、またはこれらの組み合わせを含むが、本発明はこれらに限定されない)を含む。
【0051】
具体的には、図4を参照すると、まず、複数種類の第1リガンド120a、120b、120cに結合したミクロン粒子110と複数種類の被分析物130a、130b、130cを混合することにより、複数種類の第1リガンド120a、120b、120cが対応する(または配列相補的な)複数種類の被分析物130a、130b、130cの配列部分131a、131b、131cを識別して直接結合して、第1複合物140を形成する。続いて、第1複合物140と複数種類の第1標識151a、151b、151cを有する複数種類の第2リガンド150a、150b、150cを混合することにより、複数種類の第2リガンド150a、150b、150cが第1複合物140中の複数種類の被分析物130a、130b、130cの第2標識132a、132b、132cに結合して、第2複合物160を形成する。最後に、第2複合物160中の複数種類の第2リガンド150a、150b、150cの複数種類の第1標識151a、151b、151cを検出する。
【0052】
また、別の実施形態において、第2標識132a、132b、132cは、第1標識150a、150b、150cであってもよい。このように、第1リガンド120a、120b、120cと被分析物130a、130b、130cの配列部分131a、131b、131cが結合した後、形成される第1複合物140は、複数種類の蛍光標識または冷光標識を有するため、第2リガンドを追加して第2複合物を形成しなくても、直接検出を行うことができる。ここまでで、本実施形態の多重分析物の検出方法がほぼ完了する。
【0053】
以下、図面および実施形態を組み合わせて、本発明が目的を達成するために採用する技術手段について説明する。しかしながら、下記の実施形態および組み合わせた図面は、単に説明を補足するためのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0054】
[実施形態]
【0055】
実施形態1:瘤状微粒子の規格分析
【0056】
本実施形態において、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope, SEM)およびマルチサイザー(multisizer)を利用して、一般的な球状ミクロン粒子または瘤状微粒子の規格を分析し、結果を図5A図5Fに示す。ここで、図5A図5C、および図5Eは、球状ミクロン粒子を分析した結果であり、図5B図5D、および図5Eは、瘤状微粒子を分析した結果である。
【0057】
図5A図5Fからわかるように、図5Aの球状ミクロン粒子の平均粒径は、約2.421μmであり、図5Bの瘤状微粒子の平均粒径は、約3.280μmであり、図5Cの球状ミクロン粒子の平均粒径は、約4.541μmであり、図5Dの瘤状微粒子の平均粒径は、約4.153μmであり、図5Eの球状ミクロン粒子の平均粒径は、約7.568μmであり、図5Fの瘤状微粒子の平均粒径は、約7.189μmである。
【0058】
続いて、図5B図5D、および図5Fの瘤状微粒子の規格をさらに分析する。詳しく説明すると、図5Bにおいて、瘤状微粒子の平均体積は、約13.86μm3であり、本体の平均粒径は、約2.5μmであり、本体の平均体積は、約6.14μm3であり、第1突起物の平均高さは、約1.2μmであり、第1突起物の平均体積は、約0.679μm3であり、第1突起物の総体積は、7.72μm3である。つまり、図5Bの瘤状微粒子において、第1突起物の平均高さと本体の平均粒径の比率は、約0.48であり、第1突起物の平均体積と本体の平均体積の比率は、約0.111であり、各瘤状微粒子は、約11個の第1突起物を有し、且つ第1突起物の総体積は、瘤状微粒子の総体積の55.7%である。
【0059】
図5Dにおいて、瘤状微粒子の平均体積は、約49.09μm3であり、本体の平均粒径は、約4.5μmであり、本体の平均体積は、約35.78μm3であり、第1突起物の平均高さは、約0.8μmであり、第1突起物の平均体積は、約0.268μm3であり、第1突起物の総体積は、13.31μm3である。つまり、図5Dの瘤状微粒子において、第1突起物の平均高さと本体の平均粒径の比率は、約0.18であり、第1突起物の平均体積と本体の平均体積の比率は、約0.007であり、各瘤状微粒子は、約49個の第1突起物を有し、且つ第1突起物の総体積は、瘤状微粒子の総体積の27.1%である。
【0060】
図5Fにおいて、瘤状微粒子の平均体積は、約201μm3であり、本体の平均粒径は、約7.5μmであり、本体の平均体積は、約166μm3であり、第1突起物の平均高さは、約1μmであり、第1突起物の平均体積は、約0.392μm3であり、第1突起物の総体積は、35μm3である。つまり、図5Fの瘤状微粒子において、第1突起物の平均高さと本体の平均粒径の比率は、約0.133であり、第1突起物の平均体積と本体の平均体積の比率は、約0.0024であり、各瘤状微粒子は、約89個の第1突起物を有し、且つ第1突起物の総体積は、瘤状微粒子の総体積の17.4%である。
【0061】
特に説明すべきこととして、瘤状微粒子の第1突起物の平均高さ(または平均体積)と本体の平均高さ(または平均体積)の比率は、当該瘤状微粒子の表面形状(すなわち、全体の外観)に関連する。例を挙げて説明すると、図5Bの瘤状微粒子において、第1突起物の平均高さと本体の平均粒径の比率は、0.25よりも大きく、第1突起物の平均体積と本体の平均体積の比率は、2×10-2よりも大きいため、図5Bの瘤状微粒子の表面形状は、不規則である。つまり、本体と第1突起物の位置を容易に識別することができない。図5Dの瘤状微粒子と図5Fの瘤状微粒子において、第1突起物の平均高さと本体の平均粒径の比率は、いずれも0.005~0.25の間であり、第1突起物の平均体積と本体の平均体積の比率は、いずれも1×10-7~2×10-2の間であるため、図5Dの瘤状微粒子と図5Fの瘤状微粒子は、いずれも本体と第1突起物の位置を識別することができる。
【0062】
実施形態2:特異性抗体のグラフト量試験
【0063】
本実施形態において、まず、第1特異性抗体(Anti-Human CD9、Anti-Human CD63、またはAnti-Human Her2)をそれぞれ一般的な球状ミクロン粒子および本実施形態のミクロン粒子(瘤状微粒子または瘤状磁性微粒子)に結合させる。続いて、第1特異性抗体に結合した球状ミクロン粒子、第1特異性抗体に結合した瘤状微粒子、および第1特異性抗体に結合した瘤状磁性微粒子に対して、特異性抗体のグラフト量試験および比較を行う。本実施形態において使用したミクロン粒子の類型と粒径は、表1に示した通りである。
【0064】
【表1】
【0065】
本実施形態において、Anti-Human CD9(またはAnti-Human CD63、またはAnti-Human Her2)をそれぞれ球状ミクロン粒子、瘤状微粒子、および瘤状磁性微粒子に結合させるステップは、概して、以下の通りである:(1)1×10-6の粒子表面にアミノ基を修飾した粒子(すなわち、比較例1~3の球状ミクロン粒子;実例1および実例3~4の瘤状微粒子;実例2の瘤状磁性微粒子)を200μLのMES緩衝液で3回洗浄する。次に、20mgのEDC(1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl) carbodiimide hydrochloride)、20mgのNHS(N-Hydroxysulfosuccinimide sodium salt)、および4mgのPAA(15 kDa poly acrylic acid)を400μLのMES緩衝液中で溶解し、洗浄後の粒子と混合する。続いて、室温において、回転速度が1000rpmの試験管ミキサー(vortex)で混合し、30分間反応させる。そして、粒子を収集する。ここで、球状ミクロン粒子と瘤状微粒子は、10000rpmの回転速度で3分間遠心する方法で収集し、瘤状磁性微粒子は、磁石で収集して、少なくとも1分間磁石を留置する。反応溶液を除去した後、200μLのMES緩衝液で粒子を3回洗浄して、20μLのAnti-Human CD9(またはAnti-Human CD63、またはAnti-Human Her2)をpH3のクエン酸(citric acid)-PBS溶液(0.625Mのクエン酸をPBS溶液に溶かしたもの、pH3.0)に溶解し、4°Cで一晩反応させることにより、Anti-Human CD9(またはAnti-Human CD63、またはAnti-Human Her2)を粒子の表面に結合させる。その後、200μLのウシ血清アルブミン溶液(10mg/mLのBSAをMES溶液に溶かしたもの)を追加して、4°Cで一晩反応させることにより、粒子の表面においてAnti-Human CD9(またはAnti-Human CD63、またはAnti-Human Her2)が結合していないその他の表面を覆う。(2)反応が完了した粒子を収集する。ここで、球状ミクロン粒子と瘤状微粒子は、10000rpmの回転速度で3分間遠心する方法で収集し、瘤状磁性微粒子は、磁石で収集して、少なくとも1分間留置する。反応溶液を除去して、PBS溶液(0.1%のBSAおよび0.01%のアジ化ナトリウム(sodium azide)をPBSに溶かしたもの)で粒子を3回洗浄し、最後に、Anti-Human CD9(またはAnti-Human CD63、またはAnti-Human Her2)に結合した粒子を100μLのPBS溶液中に分散させる。(3)細胞自動カウント装置を使用して粒子の濃度を計算し、濃度が約3~8×10-6/mLの表面にAnti-Human CD9(またはAnti-Human CD63、またはAnti-Human Her2)を結合させた粒子を得る。
【0066】
続いて、表面にAnti-Human CD9(またはAnti-Human CD63、またはAnti-Human Her2)を結合させた粒子に対して特異性抗体のグラフト量試験を行うステップは、概して、以下の通りである:(1)50μL(1250粒)の表面にAnti-Human CD9(またはAnti-Human CD63、またはAnti-Human Her2)を結合させた粒子を5uLのAnti-mouse IgG-FITCに追加した後、反応総体積が200μLになるまでPBS溶液を追加する。室温において、回転速度が1500rpmの試験管ミキサーで混合し、30分間反応させる。反応が完了した後、上記の粒子を収集する。ここで、球状ミクロン粒子と瘤状微粒子は、10000rpmの回転速度で3分間遠心する方法で収集し、瘤状磁性微粒子は、磁石で収集して、少なくとも1分間磁石を留置する。(2)反応溶液を除去し、PBS溶液で2回洗浄する。(3)洗浄が完了した後、100μLのPBS溶液を追加し、得られた粒子に対して、フローサイトメトリーで蛍光信号解析を行い、Anti-Human CD9(またはAnti-Human CD63、またはAnti-Human Her2)のグラフト量を測定する(平均蛍光強度で表示する、すなわち、平均蛍光強度が強ければ強いほど、フラフト量が多い)。(4)統計分析を行い、試験結果を蛍光強度倍数で表示する。ここで、表2は、同じ粒径(8.5μm)を有する球状ミクロン粒子(比較例1)、瘤状微粒子(実例1)、および瘤状磁性微粒子(実例2)のグラフト量を比較したものである。表3は、異なる粒径(2.5、4.5、8.5μm)を有する球状ミクロン粒子(比較例1~3)および瘤状微粒子(実例1、3~4)のグラフト量を比較したものである。表4は、同じ粒径(2.5、4.5、8.5μm)を有する球状ミクロン粒子(比較例1~3)および瘤状微粒子(実例1、3~4)のグラフト量を比較したものである。
【0067】
【表2】
【0068】
表2の結果からわかるように、第1特異性抗体がAnti-Human CD9の時、実例1のグラフト量は、比較例1のグラフト量の約1.71倍である。第1特異性抗体がAnti-Human CD63の時、実例1のグラフト量は、比較例1のグラフト量の約4.55倍である。つまり、第1特異性抗体がAnti-Human CD9であるか、Anti-Human CD63であるかに関わらず、実例1のグラフト量は、いずれも比較例1のグラフト量より大きい。したがって、一般的なミクロン粒子と比較して、本実施形態の瘤状微粒子は、明らかに、より多くの第1特異性抗体に結合することができる。
【0069】
また、第1特異性抗体がAnti-Human CD9の時、実例2のグラフト量は、実例1のグラフト量の約2.24倍である。第1特異性抗体がAnti-Human Her2の時、実例2のグラフト量は、実例1のグラフト量の約3.81倍である。つまり、第1特異性抗体がAnti-Human CD9であるか、Anti-Human Her2であるかに関わらず、実例2のグラフト量は、いずれも実例1のグラフト量より大きい。したがって、本実施形態の瘤状微粒子と比較して、本実施形態の瘤状磁性微粒子は、明らかに、より多くの第1特異性抗体に結合することができる。
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
表3の結果からわかるように、球状ミクロン粒子であるか、瘤状微粒子であるかに関わらず、粒径が大きくなればなるほど、第1特異性抗体に結合できる表面積が増えるため、第1特異性抗体のグラフト量を増やすことができる。表4の結果からわかるように、球状ミクロン粒子(比較例3または比較例1)と比較して、同じ粒径を有する瘤状微粒子(実例4または実例1)は、明らかに、より多くの第1特異性抗体に結合することができる。また、粒径が約2.5μmの球状ミクロン粒子(比較例2)と比較して、粒径が約2.5μmの瘤状微粒子(実例3)は、おそらく表面形状が不均一であるため(図5Bを参照)、検出される蛍光信号が比較的低い。
【0073】
実施形態3:乳癌細胞株SKBr3のエクソソームの表面抗原の検出
【0074】
本実施形態において、第1特異性抗体(Anti-Human CD9またはAnti-Human CD63)に結合した球状ミクロン粒子(比較例1、比較例2、比較例3)、瘤状微粒子(実例1、実例3、実例4)、瘤状磁性微粒子(実例2)、および蛍光標識を有する第2特異性抗体(Anti-Human CD9-Alexa488またはAnti-Human CD81-APC)を利用して、エクソソームの表面にあるエクソソーム表面抗原の発現量を測定する。比較例1を例に挙げて具体的に説明すると、まず、Anti-Human CD9(またはAnti-Human CD63)に結合した比較例1と複数種類のエクソソーム表面抗原を有するエクソソームを混合することにより、Anti-Human CD9(またはAnti-Human CD63)がエクソソームの表面にあるCD9(またはCD63)を識別して直接結合し、第1複合物を形成する。次に、第1複合物とAnti-Human CD9-Alexa488(またはAnti-Human CD81-APC)を混合することにより、Anti-Human CD9-Alexa488(またはAnti-Human CD81-APC)が第1複合物中のエクソソームの表面のCD9(またはCD81)に結合して、第2複合物を形成する。続いて、第2複合物に対し、フローサイトメトリーで蛍光信号解析を行い、エクソソーム表面抗原の発現量を測定する。ここで、上述したエクソソームは、乳癌細胞株(SKBr3)の中から精製したエクソソームである。上述した球状ミクロン粒子は、粒径が約2.5μmの球状ミクロン粒子(比較例2)、粒径が約4.5μmの球状ミクロン粒子(比較例3)、および粒径が約8.5μmの球状ミクロン粒子(比較例1)を含む。上述した瘤状微粒子は、粒径が約2.5μmの瘤状微粒子(実例3)、粒径が約4.5μmの瘤状微粒子(実例4)、および粒径が約8.5μmの瘤状微粒子(実例1)を含む。上述した瘤状磁性微粒子は、粒径が約8.5μmの瘤状磁性微粒子(実例2)を含む。
【0075】
本実施形態において、Anti-Human CD9(またはAnti-Human CD63)に結合した比較例1~3、実例1、3~4、または実例2とSKBr3のエクソソームを混合することにより、Anti-Human CD9(またはAnti-Human CD63)がエクソソームの表面のCD9(またはCD63)を識別して直接結合し、第1複合物を形成するステップは、概して、以下の通りである:50μL(1250粒)の比較例1~3、実例1、3~4、または実例2と体積が20~50μLのSKBr3のエクソソームを反応させた後、総体積が200μLになるまでPBS溶液を追加し、混合して室温で90分間反応させ、反応が完了した後、比較例1~3を含む第1複合物または実例1、3~4を含む第1複合物を10000rpmの回転速度で3分間遠心する方法で収集し、実例2を含む第1複合物を磁石で収集して、少なくとも1分間磁石を留置する。反応溶液を除去して、200μLのPBS溶液で第1複合物を2回繰り返して洗浄する。
【0076】
本実施形態において、第1複合物とAnti-Human CD9-Alexa488(またはAnti-Human CD81-APC)を混合することにより、Anti-Human CD9-Alexa488(またはAnti-Human CD81-APC)が第1複合物中のエクソソームの表面のCD9(またはCD81)に結合して、第2複合物を形成するステップは、概して、以下の通りである:100μLのAnti-Human CD9-Alexa488(またはAnti-Human CD81-APC)を第1複合物に追加し、続いて、室温において、回転速度が1500rpmの試験管ミキサーで混合し、30分間反応させることにより、第2複合物を形成する。反応が完了した後、比較例1~3を含む第2複合物または実例1、3~4を含む第2複合物を10000rpmの回転速度で3分間遠心する方法で収集し、実例2を含む第2複合物を磁石で収集して、少なくとも1分間磁石を留置する。反応溶液を除去して、200μLのPBS溶液で第2複合物を2回繰り返して洗浄する。
【0077】
本実施形態において、第2複合物に対して蛍光信号解析を行い、エクソソーム表面抗原の発現量を測定するステップは、概して、以下の通りである:100μLのPBS溶液を、洗浄が完了した後の第2複合物(すなわち、比較例1を含む第2複合物、実例1を含む第2複合物、または実例2を含む第2複合物)に追加して、フローサイトメトリーで蛍光信号解析を行い、エクソソーム表面抗原の発現量(すなわち、平均蛍光強度)を測定し、その結果を図6A図6L図7A図7C、および図8A図8Cに示す。
【0078】
図6Aおよび図6Fは、それぞれAnti-Human CD63に結合した比較例1~3および実例1、3~4を使用して、SKBr3のエクソソームのCD9の発現量を測定したものである。具体的に説明すると、図6A図6C、および図6Eは、それぞれ粒径が約2.5μm、4.5μm、および8.5μmの球状ミクロン粒子(比較例2、比較例3、および比較例1)を測定したものであり、図6B図6D、および図6Fは、それぞれ粒径が約2.5μm、4.5μm、および8.5μmの瘤状微粒子(実例3、実例4、および実例1)を測定したものである。図6Aおよび図6Bからわかるように、粒径が約2.5μmの球状ミクロン粒子(比較例2)と比較して、粒径が約2.5μmの瘤状微粒子(実例3)は、おそらく表面形状が不均一であるため、検出される蛍光信号が比較的低い。図6C(または図6E)の結果からわかるように、比較例3(または比較例1)のエクソソームの数量(0、1.05×107、1.05×108、1.05×109)が増加すると、比較例3(または比較例1)は、より多くのエクソソームに結合することができるため、より多くのCD9およびより高い平均蛍光強度が検出される。図6D(または図6F)の結果からわかるように、実例4(または実例1)のエクソソームの数量(0、1.05×107、1.05×108、1.05×109)が増加すると、実例4(または実例1)は、より多くのエクソソームに結合することができるため、より多くのCD9およびより高い平均蛍光強度が検出される。しかしながら、図6C図6Fの結果からわかるように、球状ミクロン粒子を含む比較例3(または比較例1)と比較して、瘤状微粒子を含む実例4(または実例1)は、より多くのエクソソームに結合することができるため、より多くのCD9およびより高い平均蛍光強度が検出される。
【0079】
図6Gおよび図6Lは、それぞれAnti-Human CD9に結合した比較例1~3および実例1、3~4を使用して、SKBr3のエクソソームのCD9の発現量を測定したものである。具体的に説明すると、図6G図6I、および図6Kは、それぞれ粒径が約2.5μm、4.5μm、および8.5μmの球状ミクロン粒子(比較例2、比較例3、および比較例1)を測定したものであり、図6H図6J、および図6Lは、それぞれ粒径が約2.5μm、4.5μm、および8.5μmの瘤状微粒子(実例3、実例4、および実例1)を測定したものである。図6Gおよび図6Hからわかるように、粒径が約2.5μmの球状ミクロン粒子(比較例2)と比較して、粒径が約2.5μmの瘤状微粒子(実例3)は、おそらく表面形状が不均一であるため、検出される蛍光信号が比較的低い。図6I(または図6K)の結果からわかるように、比較例3(または比較例1)のエクソソームの数量(0、1.05×107、1.05×108、1.05×109)が増加すると、比較例3(または比較例1)は、より多くのエクソソームに結合することができるため、より多くのCD9およびより高い平均蛍光強度が検出される。図6J(または図6L)の結果からわかるように、実例4(または実例1)のエクソソームの数量(0、1.05×107、1.05×108、1.05×109)が増加すると、実例4(または実例1)は、より多くのエクソソームに結合することができるため、より多くのCD9およびより高い平均蛍光強度が検出される。しかしながら、図6I図6Lの結果からわかるように、球状ミクロン粒子を含む比較例3(または比較例1)と比較して、瘤状微粒子を含む実例4(または実例1)は、より多くのエクソソームに結合することができるため、より多くのCD9およびより高い平均蛍光強度が検出される。
【0080】
説明すべきこととして、図6A図6Lを全体から見ると、微粒子が大きければ大きいほど信号が強くなり、粒径が大きければ大きいほど、瘤状は、最も優れた分析信号を有する。フローサイトメトリーを使用して、粒径が大きく、且つサイズが均一なマイクロビーズに適合させ、より優れた分析信号を分析する。
【0081】
図7A図7Cは、それぞれAnti-Human CD9に結合した実例1および実例2を使用して、異なる溶液中のSKBr3のエクソソームのCD9の発現量を測定したものである。具体的に説明すると、まず、SKBr3のエクソソームをそれぞれDMEM培養液(すなわち、SKBr3から収集した培養液の上澄み液)、PBS溶液(すなわち、SKBr3のエクソソームを精製した後PBS溶液に入れたもの)、またはEDTAを含む血漿(すなわち、SKBr3のエクソソームを精製した後EDTAを含む血漿に入れたもの)の中に入れる。続いて、Anti-Human CD9に結合した実例1および実例2を使用して、DMEM培養液中のSKBr3のエクソソームのCD9の発現量を測定し、その結果を図7Aに示す。Anti-Human CD9に結合した実例1および実例2を使用して、PBS溶液中のSKBr3のエクソソームのCD9の発現量を測定し、その結果を図7Bに示す。Anti-Human CD9に結合した実例1および実例2を使用して、EDTAを含む血漿中のSKBr3のエクソソームのCD9の発現量を測定し、その結果を図7Cに示す。ここで、上述した血漿は、健康な人から得たものである。
【0082】
図7Aの結果からわかるように、瘤状微粒子を含む実例1と比較して、瘤状磁性微粒子を含む実例2は、DMEM培養液中にあるより多くのエクソソームに結合することができるため、より多くのCD9およびより高い平均蛍光強度が検出される。図7Bの結果からわかるように、瘤状微粒子を含む実例1と比較して、瘤状磁性微粒子を含む実例2は、PBS溶液中にあるより多くのエクソソームに結合することができるため、より多くのCD9およびより高い平均蛍光強度が検出される。図7Cの結果からわかるように、瘤状微粒子を含む実例1と比較して、瘤状磁性微粒子を含む実例2は、EDTAを含む血漿中にあるより多くのエクソソームに結合することができるため、より多くのCD9およびより高い平均蛍光強度が検出される。また、図7A図7Cの結果からわかるように、瘤状微粒子を含む実例1または瘤状磁性微粒子を含む実例2は、PBS溶液中にあるエクソソームを検出できるだけでなく、DMEM培養液またはEDTAを含む血漿等の複雑な環境にあるエクソソームを検出することもできる。
【0083】
図8A図8Cは、それぞれAnti-Human CD9に結合した実例1および実例2を使用して、異なる溶液中のSKBr3のエクソソームのCD81の発現量を測定したものである。具体的に説明すると、まず、SKBr3のエクソソームをそれぞれDMEM培養液(すなわち、SKBr3から収集した培養液の上澄み液)、PBS溶液(すなわち、SKBr3のエクソソームを精製した後PBS溶液に入れたもの)、またはEDTAを含む血漿(すなわち、SKBr3のエクソソームを精製した後EDTAを含む血漿に入れたもの)の中に入れる。続いて、Anti-Human CD9に結合した実例1および実例2を使用して、DMEM培養液中のSKBr3のエクソソームのCD81の発現量を測定し、その結果を図8Aに示す。Anti-Human CD9に結合した実例1および実例2を使用して、PBS溶液中のSKBr3のエクソソームのCD81の発現量を測定し、その結果を図8Bに示す。Anti-Human CD9に結合した実例1および実例2を使用して、EDTAを含む血漿中のSKBr3のエクソソームのCD81の発現量を測定し、その結果を図8Cに示す。ここで、上述した血漿は、健康な人から得たものである。
【0084】
図8Aの結果からわかるように、瘤状微粒子を含む実例1と比較して、瘤状磁性微粒子を含む実例2は、DMEM培養液中にあるより多くのエクソソームに結合することができるため、より多くのCD81およびより高い平均蛍光強度が検出される。図8Bの結果からわかるように、瘤状微粒子を含む実例1と比較して、瘤状磁性微粒子を含む実例2は、PBS溶液中にあるより多くのエクソソームに結合することができるため、より多くのCD81およびより高い平均蛍光強度が検出される。図8Cの結果からわかるように、瘤状微粒子を含む実例1と比較して、瘤状磁性微粒子を含む実例2は、EDTAを含む血漿中にあるより多くのエクソソームに結合することができるため、より多くのCD81およびより高い平均蛍光強度が検出される。また、図8A図8Cの結果からわかるように、瘤状微粒子を含む実例1または瘤状磁性微粒子を含む実例2は、PBS溶液中にあるエクソソームを検出できるだけでなく、DMEM培養液またはEDTAを含む血漿等の複雑な環境にあるエクソソームを検出することもできる。
【0085】
実施形態4:乳癌細胞株SKBr3のエクソソームの表面抗原の検出
【0086】
図9A図9Dは、Anti-Human CD9に結合した実例2を使用して、SKBr3のエクソソームのCD9、CD29、CD63、およびCD81のうちのいずれか3つの発現量を同時に測定したものである。具体的に説明すると、本実施形態は、実施形態3に類似する実験ステップで乳癌細胞株SKBr3のエクソソームの複数種類の表面抗原を同時に検出するため、ここでは繰り返し説明しない。本実施形態と実施形態3の相違点は、本実施形態において、まず、EDTAを含む血漿中にSKBr3のエクソソームを入れることである。続いて、Anti-Human CD9に結合した実例2および蛍光標識を有する第2特異性抗体(Anti-Human CD9-Alexa488、Anti-Human CD63-PerCPCy5.5、およびAnti-Human CD81-APC)を使用して、エクソソームのCD9、CD63、およびCD81の発現量を同時に測定し、その結果を図9Aに示す。Anti-Human CD9に結合した実例2および蛍光標識を有する第2特異性抗体(Anti-Human CD29-PE、Anti-Human CD63-PerCPCy5.5、およびAnti-Human CD81-APC)を使用して、エクソソームのCD29、CD63、およびCD81の発現量を同時に測定し、その結果を図9Bに示す。Anti-Human CD9に結合した実例2および蛍光標識を有する第2特異性抗体(Anti-Human CD9-Alexa488、Anti-Human CD29-PE、およびAnti-Human CD63-PerCPCy5.5)を使用して、エクソソームのCD9、CD29、およびCD63の発現量を同時に測定し、その結果を図9Cに示す。Anti-Human CD9に結合した実例2および蛍光標識を有する第2特異性抗体(Anti-Human CD9-Alexa488、Anti-Human CD29-PE、およびAnti-Human CD81-APC)を使用して、エクソソームのCD9、CD29、およびCD81の発現量を同時に測定し、その結果を図9Dに示す。ここで、上述した血漿は、健康な人から得たものである。また、図9A図9Dにおいて、エクソソームのCD9の発現量は、符号□で示し、エクソソームのCD29の発現量は、符号×で示し、エクソソームのCD63の発現量は、符号○で示し、エクソソームのCD81の発現量は、符号△で示す。
【0087】
図9A図9Dの結果からわかるように、エクソソームがEDTAを含む血漿の比較的複雑な環境にある場合でも、本実施形態の検出方法は、実例2(すなわち、Anti-Human CD9に結合した瘤状磁性微粒子)および蛍光標識を有する任意の3種類の第2特異性抗体(すなわち、Anti-Human CD9-Alexa488、Anti-Human CD29-PE、Anti-Human CD63-PerCPCy5.5、およびAnti-Human CD81-APCのうちのいずれか3種)を利用して、エクソソーム上の任意の3種類のエクソソーム表面抗原(すなわち、CD9、CD29、CD63、およびCD81のうちのいずれか3種)の発現量を同時に測定することができるため、多重分析物を同時に検出する目的を達成することができる。また、本実施形態は、3種類の被分析物を同時に検出する場合を例に挙げているが、本発明は、同時に検出する被分析物の数量を限定しない。つまり、いくつかの実施形態において、2種類または3種類以上の被分析物を同時に検出してもよい。
【0088】
図10A図10Dは、Anti-Human Her2に結合した実例2を使用して、SKBr3のエクソソームのCD9、CD29、CD63、およびCD81のうちのいずれか3つの発現量を同時に測定したものである。具体的に説明すると、まず、EDTAを含む血漿中にSKBr3のエクソソームを入れる。続いて、Anti-Human Her2に結合した実例2および蛍光標識を有する第2特異性抗体(Anti-Human CD9-Alexa488、Anti-Human CD63-PerCPCy5.5、およびAnti-Human CD81-APC)を使用して、エクソソームのCD9、CD63、およびCD81の発現量を同時に測定し、その結果を図10Aに示す。Anti-Human CD9に結合した実例2および蛍光標識を有する第2特異性抗体(Anti-Human CD29-PE、Anti-Human CD63-PerCPCy5.5、およびAnti-Human CD81-APC)を使用して、エクソソームのCD29、CD63、およびCD81の発現量を同時に測定し、その結果を図10Bに示す。Anti-Human CD9に結合した実例2および蛍光標識を有する第2特異性抗体(Anti-Human CD9-Alexa488、Anti-Human CD29-PE、およびAnti-Human CD63-PerCPCy5.5)を使用して、エクソソームのCD9、CD29、およびCD63の発現量を同時に測定し、その結果を図10Cに示す。Anti-Human CD9に結合した実例2および蛍光標識を有する第2特異性抗体(Anti-Human CD9-Alexa488、Anti-Human CD29-PE、およびAnti-Human CD81-APC)を使用して、エクソソームのCD9、CD29、およびCD81の発現量を同時に測定し、その結果を図10Dに示す。ここで、上述した血漿は、健康な人から得たものである。また、図10A図10Dにおいて、エクソソームのCD9の発現量は、符号□で示し、エクソソームのCD29の発現量は、符号×で示し、エクソソームのCD63の発現量は、符号○で示し、エクソソームのCD81の発現量は、符号△で示す。
【0089】
図10A図10Dの結果からわかるように、エクソソームがEDTAを含む血漿の比較的複雑な環境にある場合でも、本実施形態の検出方法は、実例2(すなわち、Anti-Human Her2に結合した瘤状磁性微粒子)および蛍光標識を有する任意の3種類の第2特異性抗体(すなわち、Anti-Human CD9-Alexa488、Anti-Human CD29-PE、Anti-Human CD63-PerCPCy5.5、およびAnti-Human CD81-APCのうちのいずれか3種)を利用して、エクソソーム上の任意の3種類のエクソソーム表面抗原(すなわち、CD9、CD29、CD63、およびCD81のうちのいずれか3種)の発現量を同時に測定することができるため、多重分析物を同時に検出する目的を達成することができる。
【0090】
また、図9A図10A図9B図10B図9C図10C、および図9D図10Dの結果からわかるように、Anti-Human CD9またはAnti-Human Her2のいずれに結合した瘤状磁性微粒子を利用して、SKBr3のエクソソーム表面抗原(すなわち、CD9、CD29、CD63、およびCD81)の発現量を分析するかに関わらず、検出結果は、高い一致性を有するため、本実施形態の検出方法の正確度が高く、且つ誤差が少ないことを示している。
【0091】
また、図9A図9Dおよび図10A図10Dの結果をまとめるとわかるように、Anti-Human CD9またはAnti-Human Her2のいずれに結合した瘤状磁性微粒子を利用してSKBr3のエクソソームを結合し、蛍光標識を有する任意の3種類の第2特異性抗体(すなわち、Anti-Human CD9-Alexa488、Anti-Human CD29-PE、Anti-Human CD63-PerCPCy5.5、およびAnti-Human CD81-APCのうちのいずれか3種)を組み合わせてエクソソーム表面抗原(すなわち、CD9、CD29、CD63、およびCD81のうちのいずれか3種)の発現量を分析するかに関わらず、概して、いずれもCD9の発現量が最も高く、且つCD81の発現量がCD63の発現量およびCD29の発現量よりもわずかに高いか、それに近いため、本実施形態の検出方法に2種類以上の変異パラメータが存在していても、得られる検出結果が依然として比較可能性を有することを示している。
【0092】
実施形態5:臨床検体のエクソソームの表面抗原の検出
【0093】
図11A図11Dは、それぞれ異なる第1特異性抗体に結合した実例2を使用して、臨床検体の血漿中のエクソソームのCD9およびCD63の発現量を同時に検出したものである。ここで、第1特異性抗体は、Anti-Human CD9、Anti-Human Her2、Anti-Human EGFR、またはAnti-Human EpCAMであり、臨床検体は、8個の良性腫瘤(benign)の血漿、20個の管腔状乳癌(luminal)の血漿、8個のHer2陽性乳癌(Her2+)の血漿、および4個のトリプルネガティブ(triple-negative, TN)乳癌から得たものであり、蛍光標識を有する第2特異性抗体は、Anti-Human CD9-Alexa488およびAnti-Human CD63-PEである。具体的に説明すると、本実施形態は、実施形態3に類似する実験ステップで臨床検体中のエクソソームのCD9およびCD63を同時に検出するため、ここでは繰り返し説明しない。本実施形態と実施形態3の相違点は、本実施形態において、まず、EDTAを含む血漿中に異なる臨床検体中のエクソソームを入れることである。続いて、Anti-Human CD9に結合した実例2を使用して、エクソソームのCD9およびCD63の発現量を同時に測定し、その結果を図11Aに示す。Anti-Human Her2に結合した実例2を使用して、エクソソームのCD9およびCD63の発現量を同時に測定し、その結果を図11Bに示す。Anti-Human EGFRに結合した実例2を使用して、エクソソームのCD9およびCD63の発現量を同時に測定し、その結果を図11Cに示す。Anti-Human EpCAMに結合した実例2を使用して、エクソソームのCD9およびCD63の発現量を同時に測定し、その結果を図11Dに示す。
【0094】
図11A図11Dの結果からわかるように、異なる臨床検体に対し、本実施形態の検出方法は、実例2(すなわち、Anti-Human CD9、Anti-Human Her2、Anti-Human EGFR、またはAnti-Human EpCAMに結合した瘤状磁性微粒子)および蛍光標識を有する2種類の第2特異性抗体(すなわち、Anti-Human CD9-Alexa488およびAnti-Human CD63-PE)を利用して、エクソソーム上の2種類のエクソソーム表面抗原(すなわち、CD9およびCD63)の発現量を同時に測定することができるため、多重分析物を同時に検出する目的を達成することができる。
【0095】
実施形態6:核酸の検出
【0096】
プローブの結合方法
【0097】
本実施形態において、まず、プローブ(Avian Influenza Virus primer、AIVプローブ)を本実施形態の瘤状磁性微粒子に結合してから、ビオチンを標識した核酸配列(AB被分析核酸またはAIV被分析核酸)を追加して、分析を行う。
【0098】
本実施形態において、AIVプローブは、配列識別番号1の核酸配列を有し、AB被分析核酸は、配列識別番号2の核酸配列を有し、AIV被分析核酸は、配列識別番号3の核酸配列を有し、詳しい配列を下記の表に示す。
【0099】
【表5】
【0100】
本実施形態において、AIVプローブを瘤状磁性微粒子に結合するステップは、以下の通りである:(1)1×10-6の粒子表面にアミノ基を修飾した瘤状磁性微粒子を200μLのMES緩衝液で3回洗浄する。次に、20mgのEDC、20mgのNHS、および4mgのPAAを400μLのMES緩衝液中で溶解し、洗浄後の瘤状磁性微粒子と混合する。続いて、室温において、回転速度が1000rpmの試験管ミキサー(vortex)で混合し、30分間反応させる。そして、磁石で瘤状磁性微粒子を収集して、少なくとも1分間磁石を留置する。反応溶液を除去し、200μLのMES緩衝液で瘤状磁性微粒子を3回繰り返し洗浄してから、20μLのAIVプローブおよび80μLのPBS溶液を追加し、1000rpmの回転速度で室温において2時間反応させる。(2)反応が完了した瘤状磁性微粒子を磁石で収集して、少なくとも1分間磁石を留置する。反応溶液を除去して、トリス(Tris)溶液(25mMのトリス、pH7.4)で瘤状磁性微粒子を3回洗浄し、毎回少なくとも1分間留置する。最後に、AIVプローブに結合した瘤状磁性微粒子を100μLのトリス溶液中に分散させる。(3)細胞自動カウント装置を使用して瘤状磁性微粒子の濃度を計算し、濃度が約3~8×10-6/mLの表面にAIVプローブを結合させた瘤状磁性微粒子を得る。
【0101】
プローブに結合した瘤状磁性微粒子で核酸の検出を行う
【0102】
本実施形態において、AIVプローブに結合した瘤状磁性微粒子を利用して、ビオチンを有するAB被分析核酸またはAIV被分析核酸を検出する。そのステップは、概して、以下の通りである:30μLのハイブリダイゼーション(hybridization)溶液(TEGOハイブリダイゼーション溶液)と30μLのビオチンを有するAB被分析核酸またはAIV被分析核酸の異なる濃度(0.05μM、0.1μM、0.5μM、15μM、10 μM)の溶液を混合する。次に、50μL(1250粒)の表面にAIVプローブを結合させた瘤状磁性微粒子を追加し、60℃において、回転速度が1000rpmの試験管ミキサー(vortex)で混合し、30分間反応させる。ここで、ビオチンを有するAIV被分析核酸は、AIVプローブに結合した瘤状磁性微粒子中のAIVプローブと特異的に対結合し、第1複合物を形成する。反応が完了した後、磁石で瘤状磁性微粒子を収集する。そして、反応溶液を除去した後、200μLのPBS溶液で2回繰り返し洗浄する。(2)100μLの蛍光を有する抗ビオチン抗体(Anti-Biotin PE)を瘤状磁性微粒子に追加して混合し、室温で30分間反応させる。ここで、蛍光を有する抗ビオチン抗体は、上述した第1複合物中のビオチンに結合して、第2複合物を形成する。反応が完了した後、瘤状磁性微粒子を磁石で収集して、反応溶液を除去し、200μLのPBS緩衝溶液(PBS溶液、pH7.4)で2回繰り返し洗浄する。(3)洗浄が完了した後、150μLのPBS緩衝溶液を追加して、フローサイトメトリーで蛍光信号解析を行い、その結果を図12Aおよび図12Bに示す。
【0103】
図12Aに示すように、ビオチンを有するAB被分析核酸は、AIVプローブに結合した瘤状磁性微粒子中のAIVプローブと結合しないため、第1複合物を形成せず、それにより、第2複合物も形成しない。そのため、測定される平均蛍光強度は、0に近い。
【0104】
図12Bに示すように、ビオチンを有するAIV被分析核酸は、AIVプローブに結合した瘤状磁性微粒子中のAIVプローブと特異的に対結合して、第1複合物を形成し、それにより、第1複合物中のビオチンが再度蛍光を有する抗ビオチン抗体と結合して、第2複合物を形成するため、平均蛍光強度を測定することができる。また、平均蛍光強度の数値も、基本的に、ビオチンを有するAIV被分析核酸の濃度が高くなるにつれて、増加する。
【産業状の利用可能性】
【0105】
以上のように、本発明のミクロン粒子は、不規則な形状の複数の第1突起物を本体の表面に配置することにより、ミクロン粒子の表面積(つまり、本体の表面積と第1突起物の表面積の総和)を増やすことができる。それにより、本発明は、ミクロン粒子をより多くの第1リガンドに結合させ、より多くの標的物を識別して結合することができるため、検出信号を増強し、検出の感度を上げることができる。
【0106】
また、瘤状微粒子と比較して、本発明の瘤状磁性微粒子は、磁性物質層の表面が粗面である(または小突起を有する)ため、瘤状磁性微粒子の表面(つまり、本体の表面と第1突起物の表面)も粗面である。したがって、瘤状磁性微粒子は、より大きな表面積を有することができ、それにより、瘤状磁性微粒子をより多くの第1リガンドに結合させ、より多くの標的物Tを識別して結合することができるため、検出信号を増強し、検出の感度を上げることができる。また、瘤状磁性微粒子は、磁性を有するため、検出時間を短縮し、検出の効率と便利性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0107】
110 ミクロン粒子
110a 瘤状微粒子
110b 瘤状磁性微粒子
113 共重合体コア
114 ポリマー層
115 シリコンベース層
111 本体
111a、113a、S1 表面
112 第1突起物
113b 第2突起物
120 第1リガンド
13a 表面抗原
130a、130b、130c 被分析物
131a、131b、131c 配列部分
132a、132b、132c 第2標識
140 第1複合物
150a、150b、150c 第2リガンド
151a、151b、151c 第1標識
160 第2複合物
H1、H2 平均高さ
S サンプル
T 標的物
S10、S20、S30、S40 ステップ
D、D1 平均粒径
D2 最短粒径
D3 最長粒径
V1、V2 平均体積
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図6-4】
図6-5】
図6-6】
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図10-1】
図10-2】
図11-1】
図11-2】
図12
【配列表】
2022104585000001.app
【外国語明細書】