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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104586
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】ダブルスキン構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/88 20060101AFI20220701BHJP
   E04B 1/82 20060101ALI20220701BHJP
   E04B 1/86 20060101ALI20220701BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
E04B1/88 Z
E04B1/82 T
E04B1/86 K
G10K11/16 110
G10K11/16 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209262
(22)【出願日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2020218138
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021093651
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【氏名又は名称】片寄 武彦
(72)【発明者】
【氏名】増田 崇
【テーマコード(参考)】
2E001
5D061
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001DF05
2E001FA31
2E001FA32
2E001GA12
2E001GA55
2E001HB01
5D061BB37
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製造が容易で、簡単に設置可能であり、コストを抑制できるダブルスキン構造を提供する。
【解決手段】ダブルスキン構造は、屋内側のインナースキン2と、インナースキン2から所定の距離W0離され、建物の少なくとも一つの側面を略全面にわたり覆うことで建物の外壁部を構成し、インナースキン2との間で空気層10を形成するアウタースキン6と、インナースキン2とアウタースキン6との間で水平方向にわたり、下方側で形成される下方開口部とからなり、インナースキン2側には水平方向に、アウタースキン6側に突出する第1遮音部材31が配されており、アウタースキン6側には水平方向に、インナースキン2側に突出する第2遮音部材41が配されており、第1遮音部材31が突出する距離W1と、第2遮音部材41が突出する距離W2と、インナースキン2とアウタースキン6との間の距離W0との間には、W1+W2≧0.35W0の関係を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内側のインナースキンと、前記インナースキンから所定の距離W0離され、建物の少なくとも一つの側面を略全面にわたり覆うことで前記建物の外壁部を構成し、前記インナースキンとの間で空気層を形成するアウタースキンと、
前記インナースキンと、前記アウタースキンとの間で水平方向にわたり、下方側で形成される開口部である下方開口部と、からなるダブルスキン構造であって、
前記インナースキン側には、水平方向にわたり、前記アウタースキン側に突出するように第1遮音部材が配されており、
前記アウタースキン側には、水平方向にわたり、前記インナースキン側に突出するように第2遮音部材が配されており、
前記第1遮音部材が前記アウタースキン方向に突出する距離W1と、
前記第2遮音部材が前記インナースキン方向に突出する距離W2と、
前記インナースキンと前記アウタースキンとの間の距離W0と、の間には、
1+W2≧0.35W0の関係を有することを特徴とするダブルスキン構造。
【請求項2】
前記第1遮音部材の長手方向を垂直にきった断面が第1の矩形形状をなし、前記第2遮音部材の長手方向を垂直にきった断面が第2の矩形形状をなすことを特徴とする請求項1に記載のダブルスキン構造。
【請求項3】
前記第1の矩形形状と前記第2の矩形形状とが、同一の形状であることを特徴とする請求項2に記載のダブルスキン構造。
【請求項4】
前記第1の矩形形状における鉛直方向の辺と、前記第2の矩形形状における鉛直方向の辺と、が対向していることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のダブルスキン構造。
【請求項5】
前記第1の矩形形状における鉛直方向の辺と、前記第2の矩形形状における鉛直方向の辺の一部のみが水平方向で対向していることを特徴とする請求項4に記載のダブルスキン構造。
【請求項6】
前記第1の矩形形状における鉛直方向の辺と、前記第2の矩形形状における鉛直方向の辺の長さが等しいことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のダブルスキン構造。
【請求項7】
前記第1遮音部材及び/又は前記第2遮音部材にスリット状開口部を有する共鳴器が組み込まれることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のダブルスキン構造。
【請求項8】
前記共鳴器が前記第1遮音部材及び前記第2遮音部材のそれぞれに組み込まれることを特徴とする請求項7に記載のダブルスキン構造。
【請求項9】
前記第1遮音部材及び前記第2遮音部材に組み込まれた前記共鳴器の互いの前記スリット状開口部が対向するように配されることを特徴とする請求項8に記載のダブルスキン構造。
【請求項10】
前記第1遮音部材及び前記第2遮音部材が、下方開口部側に配されることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のダブルスキン構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁部を構成するダブルスキン構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の断熱性能を高めるために採用される外装壁の1つして、図1に示されるようなダブルスキン構造を有するものが知られている。このようなダブルスキン構造においては、アウタースキン(外側部材)とインナースキン(内側部材)の間に空間(空気層)が設けられている。夏季には、この空間内の温度上昇を防止する為に、アウタースキンとインナースキンの間の開口部、或いはアウタースキンの一部に設けられた開口により、空気層内への外気導入と空気の流通を確保する。
【0003】
このようなダブルスキン構造においては、開口部などから空気層に対して、外気と共に建物外部の騒音なども入り込むこととなる。開口部を介して入射した外部騒音は、空気層の中を、通常建物の低層階側から上層階側へと伝搬する。この為、開口部が遮音欠損となり、開口部が無い場合と比較して、ダブルスキン構造の遮音性能は大きく低下する。これまで、発明者は、上記のダブルスキン構造の遮音性能低下に関連して、特許文献1(特開2018-53463号公報)や特許文献2(特開2018-131895号公報)に示すような対策方法を提案してきた。
【特許文献1】特開2018-53463号公報
【特許文献2】特開2018-131895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような提案の中で、例えば、特許文献1の図4に示す共鳴器を用いる方法や、特許文献2の図10に示す特殊な形状のルーバー部材を用いる方法は、その複雑な形状や部材点数が多いことから高コスト化しがちである、という問題があった。また、製造及び設置の工数が多くなることもコスト増につながる。
【0005】
また、特許文献2の図11図14に示す方法は、遮音板を、外側部材(アウタースキン)を通り越すように、空気層外に配置するものであり、建物外装の意匠に大きく影響を与えるという問題があった。
【0006】
また、特許文献2の図15に示す方法は、遮音板を空気層内に互い違いに設置する必要があり、多段の設置部材が必要となる。加えてこの方法では、特許文献2の図16に示すように遮音板に吸音材を組み合わせないと大きな効果が得られないという問題があった。このような吸音材の組み合わせはコスト増につながると共に、半屋外であるダブルスキンの空気層に吸音材を配置することは、劣化や汚れに対するメンテナンスが必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決するものであって、本発明に係るダブルスキン構造は、屋内側のインナースキンと、前記インナースキンから所定の距離W0離され、建物の少なくとも一つの側面を略全面にわたり覆うことで前記建物の外壁部を構成し、前記インナースキンとの間で空気層を形成するアウタースキンと、前記インナースキンと、前記アウタースキンとの間で水平方向にわたり、下方側で形成される開口部である下方開口部と、からなるダブルスキン構造であって、前記インナースキン側には、水平方向にわたり、前記アウタースキン側に突出するように第1遮音部材が配されており、前記アウタースキン側には、水平方向にわたり、前記インナースキン側に突出するように第2遮音部材が配されており、前記第1遮音部材が前記アウタースキン方向に突出する距離W1と、前記第2遮音部材が前記インナースキン方向に突出する距離W2と、前記インナースキンと前記アウタースキンとの間の距離W0と、の間には、W1+W2≧0.35W0の関係を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るダブルスキン構造は、前記第1遮音部材の長手方向を垂直にきった断面が第1の矩形形状をなし、前記第2遮音部材の長手方向を垂直にきった断面が第2の矩形形状をなすことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るダブルスキン構造は、前記第1の矩形形状と前記第2の矩形形状とが、同一の形状であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るダブルスキン構造は、前記第1の矩形形状における鉛直方向の辺と、前記第2の矩形形状における鉛直方向の辺と、が対向していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るダブルスキン構造は、前記第1の矩形形状における鉛直方向の辺と、前記第2の矩形形状における鉛直方向の辺の一部のみが水平方向で対向していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るダブルスキン構造は、前記第1の矩形形状における鉛直方向の辺と、前記第2の矩形形状における鉛直方向の辺の長さが等しいことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るダブルスキン構造は、前記第1遮音部材及び/又は前記第2遮音部材にスリット状開口部を有する共鳴器が組み込まれることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るダブルスキン構造は、前記共鳴器が前記第1遮音部材及び前記第2遮音部材のそれぞれに組み込まれることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るダブルスキン構造は、前記第1遮音部材及び前記第2遮音部材に組み込まれた前記共鳴器の互いの前記スリット状開口部が対向するように配されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るダブルスキン構造は、前記第1遮音部材及び前記第2遮音部材が、下方開口部側に配されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るダブルスキン構造によれば、第1遮音部材がアウタースキン方向に突出する距離W1と第2遮音部材がインナースキン方向に突出する距離W2と、インナースキンとアウタースキンとの間の距離W0と、の間に、W1+W2≧0.35W0の関係を持たせることで、第1遮音部材及び第2遮音部材の双方の効果により、空気層内への外気導入と空気層内での空気の流通は維持しつつも、空気層内を騒音が伝搬することを効率的に防止することができ、これにより、従来の方法に比較して、製造が容易な部品(各遮音部材)を、簡単に設置することが可能となり、コストを抑制することが可能となる。
【0018】
また、本発明に係るダブルスキン構造によれば、第1遮音部材及び第2遮音部材の双方は、空気層内に配されているので、建物外装の意匠に影響を与えることがない。
【0019】
また、本発明に係るダブルスキン構造によれば、遮音部材と共に吸音材を組み合わせて用いる必要はないので、吸音材を設けるコストを削減できるし、吸音材のメンテナンスも不要となる。
【0020】
また、本発明に係るダブルスキン構造によれば、遮音部材を空気層の下方開口部付近に設置することで、下方開口部が遮音欠損となることを防ぎ、ダブルスキン構造に基づく外装壁の遮音性能を向上することができる。
【0021】
また、本発明に係るダブルスキン構造によれば、下方開口部から空気層内へ屋外騒音が伝搬することを防止することで、インナースキンに入射する騒音の音圧レベルが低くなる。これにより、インナースキンに遮音性能の高い部材が不要になり、コストダウンが実現できる。例えば、厚さの薄いガラスでインナースキンを構成することが可能になる。
【0022】
また、本発明に係るダブルスキン構造によれば、第1遮音部材及び第2遮音部材は、断面が矩形の長尺体で構成可能であり、構造が単純であり低コストで騒音低減を実現できる。
【0023】
また、本発明に係るダブルスキン構造においては、第1遮音部材及び第2遮音部材を一組設けるだけであるので、多段の設置部材などは不要となる。さらに、第1遮音部材及び第2遮音部材を設ける上では、例えば、ダブルスキン構造の清掃用足場として空気層内に設置されるグレーチング等に付属させることも可能で、設置が容易かつ意匠上の影響も小さい。
【0024】
また、第2実施形態に係るダブルスキン構造1によっても、上記のような第1実施形態に係るダブルスキン構造により得られる騒音低減効果をある程度実現できる、という効果を享受することができる。そして、第2実施形態に係るダブルスキン構造1によれば、第1実施形態に係るダブルスキン構造1の効果に加え、ダブルスキン構造1における第1遮音部材、第2遮音部材の寸法やレイアウトの自由度が増す、という効果を得ることも可能となる。
【0025】
また、本発明の第3実施形態に係るダブルスキン構造によれば、第1遮音部材及び第2遮音部材のそれぞれにスリット状開口部を有する共鳴器が組み込まれることで、幅広い周波数範囲に成分を持つ騒音を低減しようとした場合に特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来の一般的なダブルスキン構造1を説明する図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るダブルスキン構造1において騒音低減を実現するための構成を説明する図である。
図3】ダブルスキン構造1の他の寸法例を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るダブルスキン構造1が設けられた建物100の例を示す図である。
図5】2次元境界要素法を用いた解析における解析条件を説明する図である。
図6】数値解析による騒音低減効果の結果を示す図である。
図7】数値解析による騒音低減効果の結果を示す図である。
図8】数値解析による騒音低減効果の結果を示す図である。
図9】数値解析による騒音低減効果の結果を示す図である。
図10】本発明の第2実施形態に係るダブルスキン構造1において騒音低減を実現するための構成を説明する図である。
図11】数値解析による騒音低減効果の結果を示す図である。
図12】本発明の第3実施形態に係るダブルスキン構造1において騒音低減を実現するための構成を説明する図である。
図13】本発明の第3実施形態に係るダブルスキン構造1に用いる共鳴器50を説明する図である。
図14】第3実施形態に係るダブルスキン構造1における他の共鳴器50の組み込み態様を示す図である。
図15】2次元境界要素法を用いた解析における解析条件を説明する図である。
図16】数値解析結果を示す図である。
図17】数値解析結果を示す図である。
図18】数値解析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図2は本発明の第1実施形態に係るダブルスキン構造1において騒音低減を実現するための構成を説明する図である。また、図4は本発明の実施形態に係るダブルスキン構造1が設けられた建物100の例を示す図である。
【0028】
ダブルスキン構造1は、建物100の屋内側のインナースキン2と、このインナースキン2から所定の距離W0離され、建物100の少なくとも一つの側面を略全面にわたり覆うことで建物100の外壁部を構成するアウタースキン6とを有している。以下の第1実施形態では、アウタースキン6が建物100の一つの側面を覆う例に基づいて説明するが、このようなアウタースキン6は建物100の複数の側面に設けられるようにしてもよい。
【0029】
図4に示すように、ダブルスキン構造1が設けられる建物は、通常、複数階の建物が想定されている。複数階の建物のインナースキン2には、複数階の建物を構成するための構造物である介在部材4が含まれていてもよい。ただし、インナースキン2の主要な構成はガラスが一般的に想定される。また、アウタースキン6の主要な構成もガラスである。アウタースキン6は、図4(A)に示すように実質的に1枚のガラスとみなせるような構造を有してもよいし、また、図4(B)に示すようにガラスの間に間隙7が設けられるような構造を有していてもよい。
【0030】
インナースキン2の主面とアウタースキン6の主面とは、互いに平行とされており、本明細書では、インナースキン2とアウタースキン6との間に構成される空間を空気層10と称する。
【0031】
下方開口部11は、インナースキン2と、アウタースキン6との間で水平方向にわたり、ダブルスキン構造1の下方側で形成される開口である。ダブルスキン構造1においては、このような下方開口部11から空気層10に対して外気導入が導入されることが想定される。また、建物100の上方においては上方開口部15が設けられている。このような上方開口部15からも空気層10との間で空気の流通が実現される。また、建物100の側方においても、側方開口部12を設けるようにしてもよい。
【0032】
夏季においては、ダブルスキン構造1の空気層10には、下方開口部11から空気を流入させて、上方開口部15から排出することで、日射の影響を緩和したり、室内温熱環境を改善したりする。しかし一方で、下方開口部11が遮音欠損となり、下方開口部11が無い場合と比較して、ダブルスキン構造を有する外装壁の遮音性能は大きく低下してしまう。そこで、本発明に係るダブルスキン構造1においては、空気層10における良好な通気性を阻害することなく、騒音低減を図るものである。
【0033】
下方開口部11の上方には、水平方向にわたり第1遮音部材31と、第2遮音部材41とが設けられている。図2(A)は、本発明に係るダブルスキン構造1は、インナースキン2と、アウタースキン6との間に設けられた第1遮音部材31と第2遮音部材41とを斜視的にみた図であり、図2(B)は、インナースキン2とアウタースキン6との間を側方からみた図である。図2(B)は図2(A)の点線で囲まれた部分を示している。
【0034】
第1遮音部材31は、インナースキン2側において、水平方向にわたり、アウタースキン6側に突出するように配されている。また、第2遮音部材41は、アウタースキン6側において、水平方向にわたり、前記インナースキン側に突出するように配されている。第1遮音部材31と第2遮音部材41は、低減したい騒音の周波数成分に対して、十分な遮音性能(音響透過損失)を有するものであれば、どのような材料のものを用いてもよいが、例えば、中空状の金属材料を用いることができる。
【0035】
図2においては、空気層10の下方開口部11付近に第1遮音部材31と第2遮音部材41を配置した例を示したが、上方開口部15付近或いは側方開口部12付近に設置するようにしても良い。側方開口部12付近に第1遮音部材31と第2遮音部材41を設ける際には、それぞれの長手方向が鉛直方向に延びるように配される。また、図2では、対向する第1遮音部材31と第2遮音部材41を一対設置した例を示したが、複数対の遮音部材を多段で設置するようにしてもよい。
【0036】
図2に示す例では、第1遮音部材31と第2遮音部材41とが水平方向に延びる方向をそれぞれの遮音部材の長手方向とする。また、また、長手方向と水平面内で直交する方向を突出方向とする。本発明に係るダブルスキン構造1においては、第1遮音部材31がアウタースキン6の方向に突出する距離(第1遮音部材31の幅)をW1とし、第2遮音部材41がインナースキン2の方向に突出する距離(第2遮音部材41の幅)をW2とし、インナースキン2とアウタースキン6との間の距離(空気層10の幅)W0とするとき、W1+W2≧0.35W0の関係となるように構成している。これにより、空気層10内への外気導入と空気層10内での空気の流通は維持しつつも、空気層10内を騒音が伝搬することを効率的に防止するようにしている。このような効果の検証については後述する。
【0037】
また、本発明に係るダブルスキン構造1において、第1遮音部材31の長手方向を垂直にきった断面は第1の矩形形状35をなし、第2遮音部材41の長手方向を垂直にきった断面は第2の矩形形状45をなしている。以下、本実施形態では、このように矩形断面の第1遮音部材31、第2遮音部材41を例に説明するが、遮音部材の形状はこれに限定される分けではない。
【0038】
また、本発明に係るダブルスキン構造1においては、第1の矩形形状35と第2の矩形形状45とは、同一形状とされている。また、第1の矩形形状35における鉛直方向の辺37と、第2の矩形形状45における鉛直方向の辺47とは対向するように、第1遮音部材31と第2遮音部材41とがそれぞれインナースキン2とアウタースキン6とに配されている。
【0039】
第1の矩形形状35における鉛直方向の長さをH1、第2の矩形形状45における鉛直方向の長さをH2とする。すなわち、第1遮音部材31の高さをH1、第2遮音部材41の高さをH2とすると、高さH1及び高さH2は、大きいほど騒音低減の効果が大きい。具体的には、高さH1及び高さH2は、100mm以上であることが好ましい。ただし、後述するように、高さH1及び高さH2が20mm程度の略板状の形状をした第1遮音部材31、第2遮音部材41でも騒音低減果は得られることを確認している。
【0040】
また、第1の矩形形状35における鉛直方向の長さ(高さ)をH1、第2の矩形形状45における鉛直方向の長さ(高さ)をH2とするとき、W1≦H1、かつ、W2≦H2の関係を有することも好ましい。
【0041】
図2に示す例では、第1遮音部材31がアウタースキン6の方向に突出する距離(第1遮音部材31の幅)W1と、第2遮音部材41がインナースキン2の方向に突出する距離(第2遮音部材41の幅)W2と、が等しい場合について説明したが、これは必ずしも必須の要件ではない。例えば、図3に示すように、W1とW2とが等しくない場合においても、W1+W2≧0.35W0の関係を満たせば、本発明は成立し得る。また、第1遮音部材31の辺(37)と、第2遮音部材4の辺(47)とは対向し互いに平行であればよく、これらの辺が図2図3に示すように鉛直方向に対して平行であることも必須ではない。
【0042】
以上のように構成される、本発明に係るダブルスキン構造1の騒音低減効果について、コンピューターを用いた計算による解析を行ったので説明する。なお、解析には2次元境界要素法を用いた。図5を参照して、解析条件について説明する。
【0043】
解析対象は、空気層10の幅W0を425mm又は680mmとしたダブルスキン構造1である。図5(A)に示すように俯角45度方向から音波を入射し、図中に一点鎖線で示した仮想面を図面上における上方向に通過する音響エネルギーを計算により求めた。
【0044】
図5(A)に示す遮音部材を設置しない基本形を基準の条件として、図5(B)に示す遮音部材(31、41)を対向配置した条件において、仮想面を上方向に通過する音響エネルギーの低減量、すなわち、遮音部材の挿入損失を求めた。また、比較対象として図5(C)に示す片側、すなわち、インナースキン2にのみ遮音部材(31)を配置した条件においても同様に挿入損失を求めた。
【0045】
解析は1/45オクターブ毎の純音について行い、得られた仮想面を上方向に通過する音響エネルギーを1/3オクターブバンド中心周波数を中心とした15ずつエネルギー平均することで、1/3オクターブバンドにおける解析結果とした。得られた解析結果について、上述のように「基本形」の条件を基準として、遮音部材を設置した場合における仮想面を上方向に通過する音響エネルギーの低減量を求め、1/3オクターブバンドにおける遮音部材の挿入損失とした。
【0046】
解析結果について以下に述べる。
【0047】
図6に遮音部材(31、41)の高さH1及びH2を100mmに固定し、2つの遮音部材(31、41)の幅は等しい(W1=W2)としてその幅W1及びW2を変化させた場合の結果を示す。図の横軸は周波数(対数尺度)、縦軸は遮音部材(31、41)の幅W1及びW2として挿入損失の分布を示す。2つの遮音部材(31、41)の幅の合計(W1+W2)は図の縦軸の2倍に相当する。また、図6(A)は空気層10の幅W0=425mmの場合、図6(B)はW0=680mmの場合の結果である。
【0048】
空気層10の幅W0=425mmの場合、2つの遮音部材(31、41)それぞれの幅が約75mm以上の時に、空気層10の幅W0=680mmの場合、2つの遮音部材(31、41)それぞれの幅が約120mm以上の時に、W1+W2≧0.35W0の関係となる。
【0049】
概ね、W1+W2≧0.35W0の関係が成り立つ範囲において、遮音部材(31、41)の設置による挿入損失は5dB以上となり、これが2つの遮音部材(31、41)の幅を両方合わせて空気層10の幅の35%以上とする本発明の要件の根拠である。
【0050】
遮音部材(31、41)の設置効果が得られる周波数は、概ね空気層10の幅が半波長に相当する周波数から高周波数側に4/3オクターブ程度の範囲である。空気層10の幅が半波長に相当する周波数は、W0=425mmの場合は約400Hz、W0=680mmの場合は約250Hzである。
【0051】
図7に遮音部材の高さH1及びH2を250mmに固定した場合における、同様のパラメータスタディの結果を示す。図7(A)は空気層10の幅W0=425mmの場合、図7(B)はW0=680mmの場合の結果である。
【0052】
遮音部材(31、41)の高さH1及びH2を100mmに固定した場合(図6)と比較して、全体として若干効果が大きくなるが、効果が得られる周波数範囲はほぼ変わらない。2つの遮音部材の幅の合計(W1+W2)が0.35W0以下であっても、効果が5dB以上となる周波数もあることが確認できるが、その周波数範囲は比較的狭い。なるべく広い周波数範囲で効果を得るためには、W1+W2≧0.35W0の関係を満たす必要がある。
【0053】
図8に遮音部材の高さH1及びH2を20mmに固定した場合における、同様のパラメータスタディの結果を示す。図8(A)は空気層10の幅W0=425mmの場合、図8(B)はW0=680mmの場合の結果である。
【0054】
1,H2=20mmの場合、遮音部材(31、41)はほぼ板状の形状となる。H1及びH2を100mmに固定した場合(図6)と比較して、全体として効果は小さくなるが、ある程度の効果は得られている。また、効果の得られる周波数範囲はほぼ変わらない。
【0055】
図9に比較対象として、遮音部材(31)を片側、すなわち、インナースキン2の屋外側にのみ配置した場合の結果を示す。空気層10幅はW0=680mmとして、図9(A)は遮音部材(31)の高さH1=100mmの場合、図9(B)は遮音部材(31)の高さH1=250mmの場合である。
【0056】
何れの場合も遮音部材(31)のみの設置効果は殆ど得られておらず、第2遮音部材41をアウタースキン6の屋内側と、第1遮音部材31をインナースキン2の屋外側に対向して設置する本発明に係るダブルスキン構造1の有効性が確認できる。
【0057】
以上、本発明に係るダブルスキン構造1によれば、第1遮音部材31がアウタースキン6方向に突出する距離W1と第2遮音部材41がインナースキン2方向に突出する距離W2と、インナースキン2とアウタースキン6との間の距離W0と、の間に、W1+W2≧0.35W0の関係を持たせることで、第1遮音部材31及び第2遮音部材41の双方の効果により、空気層10内への外気導入と空気層10内での空気の流通は維持しつつも、空気層10内を騒音が伝搬することを効率的に防止することができ、これにより、従来の方法に比較して、製造が容易な部品(各遮音部材)を、簡単に設置することが可能となり、コストを抑制することが可能となる。
【0058】
また、本発明に係るダブルスキン構造1によれば、第1遮音部材31及び第2遮音部材41の双方は、空気層10内に配されているので、建物外装の意匠に影響を与えることがない。
【0059】
また、本発明に係るダブルスキン構造1によれば、遮音部材と共に吸音材を組み合わせて用いる必要はないので、吸音材を設けるコストを削減できるし、吸音材のメンテナンスも不要となる。
【0060】
また、本発明に係るダブルスキン構造1によれば、遮音部材を空気層10の下方開口部11付近に設置することで、下方開口部11が遮音欠損となることを防ぎ、ダブルスキン構造1に基づく外装壁の遮音性能を向上することができる。
【0061】
また、本発明に係るダブルスキン構造1によれば、下方開口部11から空気層10内へ屋外騒音が伝搬することを防止することで、インナースキン2に入射する騒音の音圧レベルが低くなる。これにより、インナースキン2に遮音性能の高い部材が不要になり、コストダウンが実現できる。例えば、厚さの薄いガラスでインナースキン2を構成することが可能になる。
【0062】
また、本発明に係るダブルスキン構造1によれば、第1遮音部材31及び第2遮音部材41は、断面が矩形の長尺体で構成可能であり、構造が単純であり低コストで騒音低減を実現できる。
【0063】
また、本発明に係るダブルスキン構造1においては、第1遮音部材31及び第2遮音部材41を一組設けるだけであるので、多段の設置部材などは不要となる。さらに、第1遮音部材31及び第2遮音部材41を設ける上では、例えば、ダブルスキン構造1の清掃用足場として空気層10内に設置されるグレーチング等に付属させることも可能で、設置が容易かつ意匠上の影響も小さい。
【0064】
次に本発明の他の実施形態について説明する。図10は本発明の第2実施形態に係るダブルスキン構造1において騒音低減を実現するための構成を説明する図である。図10は第2実施形態に係るダブルスキン構造1におけるインナースキン2とアウタースキン6との間を側方からみた図である。以下の例では、ダブルスキン構造1における第1遮音部材31の高さH1と第2遮音部材41の高さH2とが共に等しい場合を想定しているが、このように遮音部材(31、41)の高さを等しくすることは必須の構成要件ではない。
【0065】
先に説明した第1実施形態に係るダブルスキン構造1では、第1遮音部材31の第1の矩形形状35における鉛直方向の辺37と、第2の矩形形状45の第2の矩形形状45における鉛直方向の辺47の全てが水平方向で対向するように構成されていた。
【0066】
本実施形態に係るダブルスキン構造1においては、第1遮音部材31の第1の矩形形状35における鉛直方向の辺37と、第2の矩形形状45の第2の矩形形状45における鉛直方向の辺47の一部のみが水平方向で対向している。図10に示す例では、第1の矩形形状35の左の辺37と、第2遮音部材41の右の辺47は水平方向で一部のみが対向しており、かつ、鉛直方向において、第1の矩形形状35の上の辺の高さが、第2の矩形形状45の上の辺の高さよりS高くされている。このSを第1遮音部材31と第2遮音部材41と間のずれ量として定義する。なお、本例では、第1遮音部材31の高さが高くなるように、第2遮音部材41をずらすようにしているが、この上下の関係は逆であっても構わない。また、第1実施形態に係るダブルスキン構造1の場合は、S=0である。
【0067】
以上のように構成される第2実施形態に係るダブルスキン構造1は、遮音部材(31、41)を鉛直方向にある程度ずらした配置となるが、このような実施形態によっても、騒音低減効果は部分的に実現できる。
【0068】
第2実施形態に係るダブルスキン構造1においては、遮音部材(31、41)をずらす量Sは、50mm以内であると完全に対向している場合とほぼ同程度の騒音低減効果が見込まれるため、S≦50mmとすることが望ましい。
【0069】
ただし、2つの遮音部材(31、41)の鉛直方向の辺(37、47)のうち、水平方向で対向している部分が遮音部材(31、41)の高さ(H1及びH2)の40%以上であれば、Sが50mmを超えても完全に対向している場合(S=0)と同程度の周波数範囲においてある程度の騒音低減効果を得ることができる。
【0070】
下記に示す数値解析例では、遮音部材(31、41)の高さH1及びH2を150mmまたは250mm、幅W1及びW2を120mmとした例を示したが、遮音部材の寸法はこれに限定されるものではない。
【0071】
図10では、インナースキン2側の第1遮音部材31がアウタースキン6側の第2遮音部材41より上方に配置される例を示しているが、両遮音部材の位置関係は逆でも良い。
【0072】
以上のように構成される第2実施形態に係るダブルスキン構造1の騒音低減効果について、コンピューターを用いた計算による解析を行ったので説明する。なお、解析には先の実施形態と同様に2次元境界要素法を用いた。
【0073】
解析条件は以下の通りである。
【0074】
解析対象は、空気層10の幅W0を425mmとしたダブルスキン構造1である。先の実施形態同様、俯角45度方向から音波を入射し、図10中に一点鎖線で示した仮想面を図面上の上方向に通過する音響エネルギーを計算により求めた。
【0075】
図5(A)に示す遮音部材を設置しない基本形を基準の条件として、第2実施形態に係るダブルスキン構造1に係る遮音部材(31、41)をずれ量Sずらして対向配置した条件において、仮想面を上方向に通過する音響エネルギーの低減量、即ち遮音部材の挿入損失を求めた。
【0076】
数値解析は1/45オクターブ毎の純音について行い、得られた仮想面を上方向に通過する音響エネルギーを1/3オクターブバンド中心周波数を中心とした15ずつエネルギー平均することで、1/3オクターブバンドにおける解析結果とした。得られた解析結果について、前記のように「基本形」の条件を基準として、遮音部材(31、41)をずらして設置した場合における仮想面を上方向に通過する音響エネルギーの低減量を求め、1/3オクターブバンドにおける遮音部材の挿入損失とした。
【0077】
図11は数値解析に騒音低減効果の結果を示す図である。以下、解析結果について以下に述べる。
【0078】
図11に2つの遮音部材のずれ量Sと各周波数帯域における遮音部材の挿入損失の関係を示す。図の横軸は周波数(対数尺度)、縦軸は遮音部材のずれ量Sとして挿入損失の分布を示す。
【0079】
図11(A)に遮音部材(31、41)の高さH1及びH2を150mmとした場合、図11(B)に遮音部材(31、41)の高さH1及びH2を250mmとした場合の結果を示す。
【0080】
遮音部材(31、41)の高さH1及びH2が150mmの場合(図11(A))、250mmの場合(図11(B))共に、ずれ量Sが0の場合(完全に対向している場合)が最も挿入損失が大きい。ずれ量Sが大きくなるにしたがい挿入損失が徐々に低下することが示されているが、ずれ量Sが0<S≦50mmの範囲ではS=0の場合とほぼ同程度の挿入損失が得られている。
【0081】
また、遮音部材(31、41)の高さH1及びH2が150mmの場合(A)はずれ量SがS≦90mmの範囲において、遮音部材(31、41)の高さH1及びH2が250mmの場合(B)はずれ量SがS≦150mmの範囲において、S=0の場合とほぼ同程度の周波数範囲においてある程度の騒音低減効果が得られている。S=0の場合と比較して挿入損失の値は低下するものの、上記の範囲では挿入損失は概ね5dB以上となっている。
【0082】
これらのずれ量Sの範囲は、言い換えると2つの遮音部材の鉛直方向の辺のうち、対向している部分(第1遮音部材31のH1-Sの部分、または第2遮音部材41のH2-Sの部分)が遮音部材(31、41)の高さの40%以上となる範囲である。
【0083】
以上のように、第2実施形態に係るダブルスキン構造1によっても、第1実施形態に係るダブルスキン構造1により得られる騒音低減効果をある程度実現できる、という効果を享受することができる。そして、第2実施形態に係るダブルスキン構造1によれば、第1実施形態に係るダブルスキン構造1の効果に加え、ダブルスキン構造1における第1遮音部材31、第2遮音部材41の寸法やレイアウトの自由度が増す、という効果を得ることも可能となる。
【0084】
次に本発明の他の実施形態について説明する。これまで説明してきた、W1+W2≧0.35W0の関係を有する第1遮音部材31、第2遮音部材41による騒音低減効果が得られる周波数範囲は、概ね空気層10の幅が半波長に相当する周波数から高周波数側に4/3オクターブ程度の範囲である。
【0085】
上記周波数範囲においては、互いに対向するようにして突出する、張出し型遮音部材(31、41)の効果、即ち挿入損失は概ね5dB程度得られるが、上記周波数範囲から離れた周波数では殆ど効果が得られないという課題がある。
【0086】
この課題は、例えば道路騒音のような幅広い周波数範囲に成分を持つ騒音を低減しようとした場合に特に顕著になる。即ち、上記周波数範囲に含まれる騒音の成分は低減できても、それ以外の騒音の成分が低減できないため、騒音全体に対する騒音低減効果は小さくなる。
【0087】
また、上記周波数範囲は、上述のように空気層の幅(インナースキン2とアウタースキン6との間の距離W0)によって決まる。空気層幅は主に意匠、建物の省エネルギー性能、メンテナンス性といった要件で決まるため、騒音対策の観点から空気層幅、即ち上記周波数範囲を調整できる余地は少ない。
【0088】
以下に説明する本発明の第3実施形態に係るダブルスキン構造1は、上記のような課題を解決するものである。図12は本発明の第3実施形態に係るダブルスキン構造1において騒音低減を実現するための構成を説明する図である。なお、以下の例示では、第1実施形態に係るダブルスキン構造1に対して、本第3実施形態を適用したものについて例示するが、第3実施形態は、第2実施形態に係るダブルスキン構造1に対しても適用し得る。
【0089】
この第3実施形態に係るダブルスキン構造1では、インナースキン2とアウタースキン6にそれぞれ設けた、W1+W2≧0.35W0の関係を有する第1遮音部材31、第2遮音部材41のそれぞれに対して、さらに、特許文献1(特開2018-53463号広報)に記載のスリット状開口部55を有する共鳴器50を組込むことで、上記課題を解決する。
【0090】
図12は本発明の第3実施形態に係るダブルスキン構造1を示す図であり、図12(A)は、第1遮音部材31、第2遮音部材41に共鳴器50が適用された、第3実施形態に係るダブルスキン構造1の斜視図であり、図12(B)は、図12(A)のダブルスキン構造1を、スリット状開口部55の長手方向に対して垂直に切って見た断面図である。
【0091】
図12に示すように、共鳴器50は、第1遮音部材31、第2遮音部材41のそれぞれに対して、一対が組み込まれるようになっている。第1遮音部材31、第2遮音部材41のそれぞれに対して組み込まれる共鳴器50は互いに同寸法を有している、同じ規格のものであることが好ましい。ただし、それぞれの遮音部材に組み込む共鳴器50の規格は変更することもできる。
【0092】
また、第1遮音部材31、第2遮音部材41のそれぞれに対して組み込まれる共鳴器50は、それぞれのスリット状開口部55が水平方向で対向するように配されている。すなわち、水平方向における、それぞれのスリット状開口部55の投影はちょうど重畳している。
【0093】
スリット状開口部55が延びる方向は、水平方向と平行であり、かつ、遮音部材(31、41)の長手方向と平行な方向である。また、実施形態では、スリット状開口部55の両側に配され、対となる隔壁部56の長さ(後述するl)が互いに等しい場合について説明するが、スリット状開口部55の両側に配される対となる隔壁部56の長さは、異なっていてもよい。
【0094】
図12に示すような空気層10のダブルスキン構造1によれば、共鳴器50の共鳴周波数において、対向した共鳴器50のスリット状開口部55における音響インピーダンス比がほぼ0となり、建物の下方側(下層階側)から入射した騒音は、下方側へ反射され建物の上方側(上層階側)に伝搬することがない。従って、本発明の第3実施形態に係るダブルスキン構造1では、先の周波数範囲に加えて、当該共鳴周波数に対する騒音低減を実現することができる。
【0095】
ここで、第1遮音部材31、第2遮音部材41に対して組み込む共鳴器50について説明する。図13は本発明の第3実施形態に係るダブルスキン構造1に用いる共鳴器50を説明する図である。ダブルスキン構造1に組み込む共鳴器50は、インナースキン2とアウタースキン6の各面を、音響的に“ソフト”な状態とすることを意図している。
【0096】
空気層10内側で対向する、インナースキン2とアウタースキン6の面が音響的に“ソフト”な状態、すなわち、壁面の表面における音響インピーダンス比Zが0であるとき、騒音源がある上流側から伝搬してきた騒音は、上流側へ反射され下流側へ伝搬しないことが知られている。
【0097】
音響的に“ソフト”な状態とするために、図13に示す背後に密閉された空洞を持つスリット構造による共鳴現象が生じる共鳴器50を利用する。図13(A)は共鳴器50の斜視図である。また、図13(B)は、図13(A)の共鳴器50のスリット状開口部55の長手方向を垂直で切って見た断面図である。
【0098】
図13に示すように、本発明に係るダブルスキン構造1に用いる共鳴器50は、基本的に、内側の空間が中空である四角柱状の筐体54から構成されている。共鳴器50を構成する筐体54の一面には、長手状のスリット状開口部55と、このスリット状開口部55の両側に配され、共鳴器50の内側の空間に延在する隔壁部56と、を有することを特徴としている。ここで、共鳴器50の各寸法は図13に示す記号で表す。なお、スリット状開口部55が構成されている筐体54の一面と、隔壁部56とは互いに直交している。

共鳴器50の各寸法が波長に対して十分に小さい場合、スリット状開口部55における音響インピーダンス比Zは次式(1)で求めることができる。
【0099】
【数1】
【0100】
ただし、fは騒音の周波数、cは音速、ρは媒質(空気)密度を表す。また、Vnは、スリット状開口部55と隔壁部56とで囲まれた、図2(B)の斜線部以外の空間の体積で、開口端補正を考慮して次式(2)で計算される。なお、式(2)における[ ]内の第2項が、開口端補正に関連する項である。また、図13(B)で斜線部の空間は、共鳴器として機能する共鳴器50の空気層に相当する。
【0101】
【数2】
【0102】
また、Vは共鳴器50の空洞部の体積(空気層の体積)で、次式(3)で計算される。
【0103】
【数3】
【0104】
また、Sは、スリット状開口部55(スリット開口)の面積で、次式(4)で計算される。
【0105】
【数4】
【0106】
式(1)の右辺第1項のrは、共鳴器として機能する共鳴器50の隔壁部56表面と空気の間に生じる摩擦などの音響抵抗である。隔壁部56を金属など表面が平滑な材料で構成する場合、音響抵抗rは極めて小さな値となり、次式を満足する共鳴周波数fにおいてスリット状開口部55の開口における音響インピーダンス比Zがほぼ0となる。
【0107】
【数5】
【0108】
このような共鳴器として機能する、2つの共鳴器50を、図12に示すように、第1遮音部材31、第2遮音部材41のそれぞれに組み込んで対向配置すると、上記の周波数fにおいては対向するスリット部が音響的に“ソフト”な状態となり、騒音源がある上流側から伝搬してきた周波数fの騒音は上流側へ反射され下流側に伝搬しない。
【0109】
以下、本発明の第3実施形態に係るダブルスキン構造1について、より詳細に説明する。
【0110】
図12に示すように、本発明の第3実施形態に係るダブルスキン構造1は、スリット状開口部55を有する共鳴器50を組込んだ第1遮音部材31、第2遮音部材41をインナースキン2及びアウタースキン6に配したものである。第1遮音部材31、第2遮音部材41は、ダブルスキン構造の下方開口部11付近に配されている。
【0111】
共鳴器50のスリット状開口部55は、空気層10を挟んで互いに対向するように配されている。スリット状開口部55を除き、共鳴器50の筐体が十分な遮音性能を持つ部材で構成されているとすると、共鳴器50が組み込まれた第1遮音部材31、第2遮音部材41は、W1+W2≧0.35W0の関係を有する際の騒音低減効果も享受できる。
【0112】
図12では、第1遮音部材31、第2遮音部材41全体が共鳴器50を構成する例を示した。一方、図14図12(B)に相当する断面図)には、第1遮音部材31、第2遮音部材41の一部に共鳴器50が組み込まれた例を示す。共鳴器50を比較的高い周波数で共鳴するように設計した場合、図12に示すように遮音部材(31、41)全体が共鳴器50を構成するようにしようとすると、共鳴器50の寸法が小さくW1+W2≧0.35W0が満たせない場合がある。この場合は、図14に示すように遮音部材(31、41)の一部に共鳴器50を組込むことでW1+W2≧0.35W0を満たすことができる。なお、この例においても、共鳴器50のスリット状開口部55は、空気層10を挟んで互いに対向するように配されている。
【0113】
図12及び図14に示した例では、第1遮音部材31及び第2遮音部材41の両方に共鳴器50が組み込まれた例を示したが、どちらか一方の遮音部材(31、41)のみに共鳴器50を組込んでも良い。ただし、両方の遮音部材(31、41)に共鳴器50を組込んだ方が騒音低減効果は大きいので、効果の観点からは望ましい。
【0114】
インナースキン2に配される第1遮音部材31組み込みの共鳴器50、及び、アウタースキン6に配される第2遮音部材41組み込みの共鳴器50の共鳴周波数が同じになるように共鳴器の各寸法を設計した方が、共鳴周波数付近における騒音低減効果は大きい。
【0115】
ただし、後述の数値解析例で示すように、第1遮音部材31組み込みの共鳴器50と第2遮音部材41組み込みの共鳴器50の共鳴周波数をずらすことで、騒音低減効果の絶対値は若干小さくなるものの、より広い周波数範囲で効果を得ることも可能である。この場合、図12に示すように遮音部材全体が共鳴器50を構成するようにしたものと、図14に示すように遮音部材の一部に共鳴器50が組み込まれたものとが、組み合わせされるようにしても良い。
【0116】
次に、遮音部材(31、41)に組み込む共鳴器50共鳴周波数の設定指針を以下に述べる。共鳴周波数は共鳴器50の各部寸法によって決定されるので、以下は共鳴器50の設計指針ともなる。
【0117】
スリット状開口部55を有する共鳴器50による騒音低減効果が得られる周波数範囲は、経験上、共鳴周波数が属する1/3オクターブ帯域及びその帯域を含めて高周波数側に概ね2/3から1オクターブ程度の範囲である。
【0118】
また、上述の通り、W1+W2≧0.35W0の関係を有する遮音部材(31、41)の騒音低減効果が得られる周波数範囲は、概ね空気層10の幅が半波長に相当する周波数から高周波数側に4/3オクターブ程度の範囲である。ここで、この周波数範囲の下限周波数、即ち空気層10の幅が半波長に相当する周波数が属する1/3オクターブ帯域をf1/3Oct, L、そこから4/3オクターブ高周波数側の帯域、即ち上記周波数範囲の上限周波数が属する帯域をf1/3Oct, Hとする。
【0119】
そこで、遮音部材(31、41)による騒音低減効果の得られる周波数範囲を低周波数側に拡げたい場合、f1/3Oct, Lから低周波数側に1オクターブ以内の帯域に共鳴周波数が属する共鳴器50を遮音部材(31、41)に組み込む。このようにすることで、騒音低減効果の得られる周波数範囲が連続することになり、例えば道路騒音のような幅広い周波数範囲に成分を持つ例えば道路騒音のような幅広い周波数範囲に成分を持つ騒音を低減しようとした場合に有効である。
【0120】
なお、共鳴器50よる騒音低減効果は、共鳴周波数から離れるほど小さくなる。このため、上記共鳴周波数は、f1/3Oct, Lから低周波数側に2/3オクターブ以内の帯域に属するようにすることが望ましい。
【0121】
また、遮音部材(31、41)による騒音低減効果の得られる周波数範囲を高周波数側に拡げたい場合、f1/3Oct, Hあるいは、高周波数側に隣接する1/3オクターブ帯域に共鳴周波数が属する共鳴器50を遮音部材(31、41)に組み込む。このようにすることで、騒音低減効果の得られる周波数範囲が連続することになり、例えば道路騒音のような幅広い周波数範囲に成分を持つ例えば道路騒音のような幅広い周波数範囲に成分を持つ騒音を低減しようとした場合に有効である。
【0122】
また、第1遮音部材31組み込みの共鳴器50と第2遮音部材41組み込みの共鳴器50の共鳴周波数をずらす場合、第1遮音部材31組み込みの共鳴器50と第2遮音部材41組み込みの共鳴器50の共鳴周波数の関係は、本願発明者による特願2018-83197号(特開2019-191343号公報)にも記載の下記指針を満たすようにすることが好ましい。
【0123】
低周波数側に拡げた上記周波数範囲を更に低周波数側に拡げる場合、第1遮音部材31組み込みの共鳴器50、第2遮音部材41組み込みの共鳴器50それぞれの共鳴周波数が属する1/3オクターブ帯域をf1/3Oct, L1、f1/3Oct, L2(f1/3Oct, L1>f1/3Oct, L2)とした場合に、f1/3Oct, L2はf1/3Oct, L1から低周波数側に1オクターブ以内(上述の通り2/3オクターブ以内が更に望ましい)とする。
【0124】
また、高周波数側に拡げた上記周波数範囲を更に高周波数側に拡げる場合、第1遮音部材31組み込みの共鳴器50、第2遮音部材41組み込みの共鳴器50それぞれの共鳴周波数が属する1/3オクターブ帯域をf1/3Oct, H1、f1/3Oct, H2(f1/3Oct, H1<f1/3Oct, H2)とした場合に、f1/3Oct, H2はf1/3Oct, H1に高周波数側に1オクターブ以内(2/3オクターブ以内が更に望ましい)とする。
【0125】
以上では、遮音部材長手方向に対する断面でみて、矩形断面の遮音部材(31、41)及び共鳴器50を想定して記述しているが、遮音部材及び共鳴器の形状はこれに限ったものではない。また、遮音部材(31、41)及び共鳴器50を構成する部材は十分な遮音性能を有していれば、材質が限定されるものではない。
【0126】
また、本実施形態では、空気層10の下方開口部11付近に遮音部材(31、41)を配置した例を示したが、上方開口部15付近、或いは、側方に設けられた開口(側方開口部12)付近に設置しても良い。なお、後者の場合、対向させる対の共鳴器50のスリット状開口部55が鉛直方向に延在するようにして配することが好ましい。
【0127】
また、本実施形態では、空気層10の下方開口部11付近において、共鳴器50を組込んだ対向する遮音部材(31、41)を一段設置した例を示したが、空気層10にこのような遮音部材(31、41)を多段設置するようにしても良い。
【0128】
以下、上記のような第3実施形態に係るダブルスキン構造1についての数値解析を実施したので、以下に記す。下記数値解析例では、遮音部材(31、41)の高さH1及びH2を120mm、幅W1及びW2を100mmとした例を示したが、遮音部材(31、41)の寸法がこれに限定されるものではない。
【0129】
以下の、数値解析には2次元境界要素法を用いた。解析条件は以下の通りである。
【0130】
解析対象は、空気層10の幅W0(インナースキン2とアウタースキン6との間の距離)を425mmとしたダブルスキン構造1である。図5(A)同様、俯角45度方向から音波を入射し、図中に一点鎖線で示した仮想面を図面上の上方向に通過する音響エネルギーを計算により求めた。
【0131】
図15(A)に示す共鳴器50を組み込んでいない遮音部材(31、41)を対向配置したものを基準の条件として、図15(B)~(D)に示す、共鳴器50組み込み遮音部材(31、41)を対向配置した条件において、仮想面を上方向に通過する音響エネルギーの低減量、即ち遮音部材の挿入損失を求めた。
【0132】
図15(A)に示す遮音部材(31、41)は、共鳴器を組込まない単純な遮音部材で、比較対象とする。図4(B)は、騒音低減効果の得られる周波数範囲を低周波数側に拡げるように共鳴器50を組込んだ遮音部材(31、41)である。図4(C)は、騒音低減効果の得られる周波数範囲を高周波数側に拡げるように共鳴器50を組込んだ遮音部材(31、41)である。図4(D)は、図4(B)から効果の得られる周波数範囲を更に低周波数側に拡げるように第1遮音部材31組み込みの共鳴器50の共鳴周波数と第2遮音部材41組み込みの共鳴器50の共鳴周波数をずらした遮音部材(31、41)である。
【0133】
解析は1/45オクターブ毎の純音について行い、得られた仮想面を上方向に通過する音響エネルギーを1/3オクターブバンド中心周波数を中心とした15個ずつエネルギー平均することで、1/3オクターブバンドにおける解析結果とした。得られた解析結果について、上述のように「基本形」の条件を基準として、共鳴器50組み込んだ遮音部材(31、41)を設置した場合における仮想面を上方向に通過する音響エネルギーの低減量を求め、1/3オクターブバンドにおける遮音部材(31、41)の挿入損失とした。
【0134】
解析結果について以下に述べる。
【0135】
図16に、図15(A)と図15(B)の遮音部材(31、41)の挿入損失を比較した結果を示す。空気層幅から、f1/3Oct, L及びf1/3Oct, Hはそれぞれ中心周波数400Hz、及び1kHzの1/3オクターブ帯域である。図15(B)の遮音部材(31、41)に組み込まれた共鳴器50は同じ寸法であり、共鳴周波数は中心周波数250Hzの1/3オクターブ帯域に属する。図示するように、共鳴器を組込むことで250Hz帯域から高周波数側の挿入損失が向上し、騒音低減効果の得られる周波数範囲が低周波数側に拡張されることが確認できる。
【0136】
図17に、図15(A)と図15(C)の遮音部材(31、41)の挿入損失を比較した結果を示す。図15(C)の遮音部材(31、41)に組み込まれた共鳴器50は同じ寸法で、共鳴周波数は中心周波数1kHzの1/3オクターブ帯域に属する。図示するように、共鳴器50を組込むことで1kHz及び1.25kHz帯域の挿入損失が向上し、騒音低減効果の得られる周波数範囲が高周波数側に拡張されることが確認できる。なお、共鳴器50を組込むことで500Hz~800Hz帯域の挿入損失がやや低下しているが、この帯域は元々挿入損失が大きく高い効果が得られているので、その低下によるデメリットよりも効果の得られる周波数範囲が拡張されることのメリットの方が大きい。
【0137】
図18に、図15(A)と図15(D)の遮音部材(31、41)の挿入損失を比較した結果を示す。図15(D)において、第1遮音部材31組み込みの共鳴器50と第2遮音部材41組み込みの共鳴器50は、外形寸法は同じであるがスリット状開口部55の寸法が異なり、共鳴周波数はそれぞれ中心周波数250Hz及び200Hzの1/3オクターブ帯域に属する。
【0138】
図示するように、共鳴器を組込むことで200Hzから高周波数側の挿入損失が向上し、騒音低減効果の得られる周波数範囲が低周波数側に拡張されることが確認できる。図16に示した図15(B)の共鳴器組込み型1と比較すると、200Hz帯域の挿入損失が向上して、騒音低減効果の得られる周波数範囲が更に低周波数側に拡張されることが確認できる。但し、第1遮音部材31組み込みの共鳴器50の共鳴周波数と第2遮音部材41組み込みの共鳴器50共鳴周波数とが同じ共鳴周波数である場合と比較して250Hz及び315Hz帯域の挿入損失の上昇量はやや低下する。挿入損失の上昇量を優先するか、効果が得られる周波数範囲を拡張することを優先するかは、空気層10に入射する騒音の周波数特性と空気層10内で目標とする騒音の周波数特性よって決定することになる。
【0139】
以上のような第3実施形態に係るダブルスキン構造1による効果は、先の実施形態に係る効果に加え、下記の効果が期待出る。
【0140】
共鳴器50を組み込まない遮音部材(31、41)による騒音低減効果の得られる周波数範囲を拡張することができる。このため、例えば道路騒音のような幅広い周波数範囲に成分を持つ騒音を低減しようとした場合に特に有効である。
【0141】
また、空気層10内への外気導入と空気の流通は維持したまま上のような記効果を得ることができる。
【0142】
また、吸音材を用いなくても上記のような効果を得ることが可能で、低コストかつ汚れや劣化に対するメンテナンスが不要である。
【0143】
また、共鳴器50を組込むため、先の実施形態記載の矩形断面の長尺体の遮音部材(31、41)と比較するとメリットの程度は小さくなるものの、スリット状開口部55を有する共鳴器50は同一断面の長尺体であり、押出加工や折曲げ加工により比較的低コストで騒音低減を実現できるというメリットは依然として有する。
【符号の説明】
【0144】
1・・・ダブルスキン構造
2・・・インナースキン
4・・・介在部材
6・・・アウタースキン
7・・・間隙
10・・・空気層
11・・・下方開口部
12・・・側方開口部
15・・・上方開口部
31・・・第1遮音部材
35・・・第1の矩形形状
37・・・(鉛直方向の)辺(又は、高さ)
41・・・第2遮音部材
45・・・第2の矩形形状
47・・・(鉛直方向の)辺(又は、高さ)
50・・・共鳴器
54・・・筐体
55・・・スリット状開口部
56・・・隔壁部
100・・・建物
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