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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104607
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】藻類培養装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
C12M1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212019
(22)【出願日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2020219634
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520015793
【氏名又は名称】株式会社Megaderu
(74)【代理人】
【識別番号】100173934
【弁理士】
【氏名又は名称】久米 輝代
(72)【発明者】
【氏名】米澤 智紀
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB04
4B029CC01
4B029DA07
4B029DG10
4B029GA02
4B029GB01
(57)【要約】
【課題】少ないエネルギーで多くの水流を作ることができ、その水流により電力(エネルギー)を発生させ、当該発生した電力(エネルギー)を用いて藻類が光合成を行うことが可能な藻類培養装置を提供する。
【解決手段】内部に水および藻類を入れるための透明な円筒11と、円筒11の上部パーツ12と、円筒11の下部パーツ13と、円筒11の内部に設置される螺旋水車20と、からなる円筒型水槽10を複数本(m本:mは2以上の自然数)備え、円筒型水槽10の1本目の上部パーツ12およびm本目の上部パーツ12は、外部のポンプに接続するためのポンプ接続口122を備えており、下部パーツ連結部14および上部パーツ連結部15の内部には水路が設けられているとともに、下部パーツ連結部14は、円筒型水槽10に入れられる水および藻類を取り出すための排水口142を備えている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の発電機と外部のポンプに接続されて、藻類を培養する藻類培養装置であって、
内部に水および前記藻類を入れるための透明な円筒と、前記円筒の上部パーツと、前記円筒の下部パーツと、前記円筒の内部に設置される螺旋水車と、からなる円筒型水槽を複数本(m本:mは2以上の自然数)備え、
前記円筒型水槽のn本目(nは1以上m未満の奇数)とn+1本目を、当該2本の円筒型水槽の前記下部パーツ同士で連結する下部パーツ連結部と、前記円筒型水槽が3本以上ある場合(mが3以上の場合)には、前記円筒型水槽のp本目(pは2以上m未満の偶数)とp+1本目を、当該2本の円筒型水槽の前記上部パーツ同士で連結する上部パーツ連結部を備え、
前記螺旋水車は、その中心に軸を備え、その軸を中心に回転する螺旋形状の羽根を有しており、前記軸は上部に突出した上軸部と下部に突出した下軸部を備えるとともに、前記軸の内部は中空になっており、かつ、前記螺旋水車の軸が前記発電機に接続されるものであり、
前記円筒型水槽の前記上部パーツには、前記螺旋水車の上軸部を受けるための上部軸受を有する蓋が設けられ、前記下部パーツの底には、前記螺旋水車の下軸部を受けるための下部軸受が設けられているとともに、前記1本目の上部パーツおよび前記m本目の上部パーツは、前記ポンプに接続するためのポンプ接続口を備えており、
前記下部パーツ連結部および前記上部パーツ連結部の内部には水路が設けられているとともに、前記下部パーツ連結部は、前記円筒型水槽に入れられる水および藻類を取り出すための排水口を備えている
ことを特徴とする藻類培養装置。
【請求項2】
前記下部パーツ連結部および前記上部パーツ連結部は、前記円筒型水槽の円の中心からずれた片側の位置に設置されている
ことを特徴とする請求項1記載の藻類培養装置。
【請求項3】
前記下部パーツ連結部は、前記n本目(nは1以上m未満の奇数)の円筒型水槽の円の中心からずれた一方の片側の位置に設置されるとともに、前記n+1本目の円筒型水槽の円の中心からずれた他方(もう一方)の片側の位置に設置され、
前記円筒型水槽が3本以上ある場合(mが3以上の場合)には、前記p本目(pは2以上m未満の偶数)の円筒型水槽の円の中心からずれた前記他方(もう一方)の片側の位置に設置されるとともに、前記p+1本目の円筒型水槽の円の中心からずれた前記一方の片側の位置に設置される
ことを特徴とする請求項1記載の藻類培養装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、藻類を水槽で培養する藻類培養装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、化石燃料に替わる燃料として、バイオ燃料が注目されている。バイオ燃料とは、植物などを原料として製造される燃料であり、代表的なものとしては、トウモロコシやサトウキビなどの糖質をアルコール発酵させて得られるバイオエタノールや、植物油などの油脂を改質して得られるバイオディーゼルが知られているが、それらのバイオ燃料の製造については、原料の確保が難しいという問題があった。
【0003】
そこで、近年、化石燃料に替わる新たなバイオ燃料の原料として、光合成により油を生産することが可能な光合成微生物や微細藻類が注目されており、これらの光合成微生物や藻類を培養する様々な装置が提案されてきている。例えば、特許文献1には、光合成細菌や微細藻類などの光合成微生物を高速、高効率に培養する光合成微生物培養装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-219940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば特許文献1等に示すような従来の光合成微生物培養装置では、培養液を循環させるための撹拌装置などの機械を必要としたり、光合成のために必要な光を照射させる照明にエネルギーを必要とし、大がかりな装置になってしまう、という課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、少ないエネルギーで多くの水流を作ることができ、その水流により電力(エネルギー)を発生させ、当該発生した電力(エネルギー)を用いて藻類が光合成を行うことが可能な藻類培養装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明は、外部の発電機と外部のポンプに接続されて、藻類を培養する藻類培養装置であって、内部に水および前記藻類を入れるための透明な円筒と、前記円筒の上部パーツと、前記円筒の下部パーツと、前記円筒の内部に設置される螺旋水車と、からなる円筒型水槽を複数本(m本:mは2以上の自然数)備え、前記円筒型水槽のn本目(nは1以上m未満の奇数)とn+1本目を、当該2本の円筒型水槽の前記下部パーツ同士で連結する下部パーツ連結部と、前記円筒型水槽が3本以上ある場合(mが3以上の場合)には、前記円筒型水槽のp本目(pは2以上m未満の偶数)とp+1本目を、当該2本の円筒型水槽の前記上部パーツ同士で連結する上部パーツ連結部を備え、前記螺旋水車は、その中心に軸を備え、その軸を中心に回転する螺旋形状の羽根を有しており、前記軸は上部に突出した上軸部と下部に突出した下軸部を備えるとともに、前記軸の内部は中空になっており、かつ、前記螺旋水車の軸が前記発電機に接続されるものであり、前記円筒型水槽の前記上部パーツには、前記螺旋水車の上軸部を受けるための上部軸受を有する蓋が設けられ、前記下部パーツの底には、前記螺旋水車の下軸部を受けるための下部軸受が設けられているとともに、前記1本目の上部パーツおよび前記m本目の上部パーツは、前記ポンプに接続するためのポンプ接続口を備えており、前記下部パーツ連結部および前記上部パーツ連結部の内部には水路が設けられているとともに、前記下部パーツ連結部は、前記円筒型水槽に入れられる水および藻類を取り出すための排水口を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明の藻類培養装置によれば、従来のような大がかりな装置を必要とせず、少ないエネルギーで多くの水流を作ることができ、その水流により電力(エネルギー)を発生させ、当該発生した電力(エネルギー)を用いて、藻類が光合成を行うための照明の照射や、ポンプを動かすことができる。また、円筒型水槽の本数を変更することにより、簡単に、規模に合わせた大きさの装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1における藻類培養装置の一例を示す外観斜視図(連結部が視認できる側から見た斜視図)である。
図2図1に示す藻類培養装置を、反対側から見た外観斜視図(連結部が視認できない側から見た斜視図)である。
図3図1に示す藻類培養装置を、連結部が設置される位置で縦に切った円筒型水槽と、内部の螺旋水車とにわけて示した分解図である。
図4】実施の形態1における藻類培養装置の内部に設置される螺旋水車の一例を示す説明図である。
図5】実施の形態1における藻類培養装置の内部に設置される螺旋水車の別の一例を示す説明図である。
図6図3(a)に示す円筒型水槽の断面、および、水路を示す説明図である。
図7】実施の形態2における藻類培養装置の一例を示す外観図である。
図8】実施の形態2における藻類培養装置の別の一例を示す外観図である。
図9】実施の形態2における下部パーツと下部パーツ連結部および設置器具を示す説明図である。
図10】実施の形態2における上部パーツと上部パーツ連結部を示す説明図である。
図11】実施の形態1,2における藻類培養装置の変形例として、藻類培養装置の内部に設置される螺旋水車の別の一例を示す説明図である。
図12】実施の形態1,2における藻類培養装置の変形例として、藻類培養装置の内部に設置される螺旋水車の水車パーツ(羽根パーツ)の接続方法の別の例を示す説明図である。
図13】実施の形態1,2における藻類培養装置の変形例として、藻類培養装置の内部に設置される螺旋水車の水車パーツ(羽根パーツ)の接続方法のさらに別の一例を示す説明図である。
図14】実施の形態1,2における藻類培養装置の変形例として、水槽の上部パーツに内蓋が付いている場合の一例を示す説明図である。
図15】実施の形態2における藻類培養装置の変形例として、水槽の上部パーツ部分の別の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明は、藻類を水槽で培養する藻類培養装置に関するものである。
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における藻類培養装置の一例を示す外観斜視図(連結部が視認できる側から見た斜視図)である。この実施の形態1における藻類培養装置1は、外部の発電機(発電モーター)と外部のポンプに接続されて、藻類を水槽で培養する装置であって、図1に示すとおり、円筒型水槽10を複数本(m本:mは2以上の自然数。図1では8本であるので、m=8)備えている。
【0012】
それぞれの円筒型水槽10は、内部に水および藻類を入れるための透明な円筒11と、円筒11の上部パーツ12と、円筒11の下部パーツ13と、円筒11の内部に設置される螺旋水車20と、からなる。
【0013】
また、m本の円筒型水槽10のn本目(nは1以上m未満の奇数)とn+1本目を、当該2本の円筒型水槽10(n本目の円筒型水槽10と、n+1本目の円筒型水槽10)の下部パーツ13同士で連結する下部パーツ連結部14を備えている。すなわち、図1では、m=8であるので、1以上m未満の奇数であるnは、1,3,5,7ということになるため、8本の円筒型水槽10の1本目と2本目の下部パーツ13同士を連結する下部パーツ連結部14-1、3本目と4本目の下部パーツ13同士を連結する下部パーツ連結部14-2、5本目と6本目の下部パーツ13同士を連結する下部パーツ連結部14-3、7本目と8本目の下部パーツ13同士を連結する下部パーツ連結部14-4を備えている。
【0014】
さらに、円筒型水槽10が3本以上ある場合(mが3以上の場合)には、円筒型水槽10のp本目(pは2以上m未満の偶数)とp+1本目を、当該2本の円筒型水槽10(p本目の円筒型水槽10と、p+1本目の円筒型水槽10)の上部パーツ12同士で連結する上部パーツ連結部15を備えている。すなわち、図1では、m=8であるので、2以上m未満の偶数であるpは、2,4,6ということになるため、8本の円筒型水槽10の2本目と3本目の上部パーツ12同士を連結する上部パーツ連結部15-1、4本目と5本目の上部パーツ12同士を連結する上部パーツ連結部15-2、6本目と7本目の上部パーツ12同士を連結する上部パーツ連結部15-3を備えている。
【0015】
螺旋水車20は、その中心に軸を備え、その軸を中心に回転する螺旋形状の羽根を有している。また、この螺旋水車20の軸は、上部に突出した上軸部(後述する図4図5における上軸部211)と下部に突出した下軸部(後述する図4図5における下軸部231)を備えるとともに、軸の内部は中空になっている(後述する図4図5参照)。そして、この螺旋水車20の軸は、外部の発電機(図示せず)に接続されるものである。
【0016】
また、円筒型水槽10の上部パーツ12には、螺旋水車20の上軸部(図4図5に示す上軸部211)を受ける(通して支える)ための上部軸受120を有する上蓋121が設けられ、下部パーツ13の底には、螺旋水車20の下軸部(図4図5に示す下軸部231)を受ける(支える)ための下部軸受130(図3参照)が設けられているとともに、円筒型水槽10を(藻類培養装置1を)床にボルトで固定するための設置器具131が設けられている。また、円筒型水槽10の1本目の上部パーツ12およびm本目(ここでは8本目)の上部パーツ12は、外部のポンプ(図示せず)に接続するためのポンプ接続口122を備えている。
【0017】
また、後述する図3において詳細に説明するが、円筒型水槽10の下部パーツ連結部14および上部パーツ連結部15は、円筒型水槽10の円の中心からずれた片側の位置に設置され、それぞれの連結部14,15の内部には水路が設けられているとともに、それぞれの下部パーツ連結部14は、円筒型水槽10に入れられる水および藻類を取り出すための排水口142を備えている。なお、排水口142は、そのまま排水される排水口であってもよいし、排水管を接続する排水管接続口であってもよい。
【0018】
ここで、下部パーツ連結部14および上部パーツ連結部15が、円筒型水槽10の円の中心からずれた片側の位置に設置される、ということについて、もう少し詳細に説明する。円筒型水槽10の円の中心からずれた片側の位置、とは、複数本(m本)の円筒型水槽10のそれぞれの円の中心軸を含む平面に対して、片方の側に少しだけずれた位置、という意味であり、図1の場合には図の手前側にずれた位置に設置されていることがわかる(後述する図3も参照)。
【0019】
このように、下部パーツ連結部14および上部パーツ連結部15が、円筒型水槽10の円の中心からずれた片側の位置に設置されることにより、後述する図3の説明のとおり、連結される隣同士のパーツ間に水路が確保できる。なお、それぞれの連結部が設置される位置は、隣同士のパーツ間に水路が確保できる程度に中心からずれた片側の位置であればよく、円筒型水槽10の円の中心が少しだけかかっているような場合も含む。
【0020】
なお、下部パーツ連結部14および上部パーツ連結部15が、上記のように円筒型水槽10の円の中心からずれた片側の位置に寄っておらず、連結される隣同士の円筒型水槽10の円の中心同士を連結するような位置だった場合であっても、水路は確保でき、水流も発生するが、水流が渦を巻く(回転する)ことがないため、効率が悪い(水力が弱い)。すなわち、円の中心からずれた片側の位置に寄せることにより、水流が渦を巻きながら(回転しながら)流れるため、効率が良くなる(水力が強くなる)というメリットがある。
【0021】
図2は、図1に示す藻類培養装置1を、反対側から見た外観斜視図(連結部が視認できない側から見た斜視図)である。図2に示す側から見た外観斜視図では、上部パーツ連結部15および下部パーツ連結部14は視認できず、円筒型水槽10の1本目の上部パーツ12およびm本目(ここでは8本目)の上部パーツ12に備えられたポンプ接続口122がよく見える状態となっている。
【0022】
図3は、図1に示す藻類培養装置1を、連結部14,15が設置される位置で縦に切った円筒型水槽10と、その内部に設置される螺旋水車20とにわけて示した分解図であり、図3(a)は円筒型水槽10を、図3(b)は螺旋水車20を示している。図3(a)の上部パーツ12のところで破線の円で囲んだ3箇所の部分が、図1に示す上部パーツ連結部15(15-1,15-2,15-3)が設置される位置であり、横方向に(連結される隣同士の上部パーツ12間に)水路が設けられていることが示されている。また、同様に下部パーツ13のところで破線の円で囲んだ4箇所の部分が、図1に示す下部パーツ連結部14(14-1,14-2,14-3,14-4)が設置される位置であり、同じく横方向に(連結される隣同士の下部パーツ13間に)水路が設けられていることが示されている。
【0023】
図4は、実施の形態1における藻類培養装置1の内部に設置される螺旋水車20の一例を示す説明図であり、図4(a)は、図1図3に示す螺旋水車20の全体図、図4(b)は、図4(a)に示す螺旋水車20の分解図、図4(c)は、図4(b)に示す分解された螺旋水車を中心軸を通る面で縦に切断した断面図である。図4(b)、図4(c)に示すように、この実施の形態1における螺旋水車20は、上軸部211付きの上部水車21、中間水車22、中間水車22、下軸部231付きの下部水車23の4つの部品から構成されており、これらを接続することにより図4(a)に示すような1本の螺旋水車20が形成されている。
【0024】
また、螺旋水車20の長さは、中間水車22の数によって調整できるものであり、この実施の形態1では、中間水車22が2つあるものとして説明するが、中間水車22は1つだけであってもよいし、3つ以上であっても構わない。すなわち、螺旋水車20は、少なくとも上軸部211付きの上部水車21と、上部水車に接続される中間水車22と、中間水車22に接続される下軸部231付きの下部水車23とから成るものである。
【0025】
この実施の形態1では、図4に示すように、中間水車22が2つある長さの螺旋水車20を使用しているため、図1図3に示すとおり、円筒型水槽10の中間に、透明な円筒11を2つ接続する円筒接続部16が1つ使用されているが、中間水車22が1つだけであれば、この円筒接続部16は不要であり、また、中間水車22が例えば3つ接続されている場合には、円筒接続部16は2つ必要となる。
【0026】
また、図4(c)に示すとおり、螺旋水車20の上軸部211付きの上部水車21は、中空部210を有しており、中間水車22は中空部220を有しており、下軸部231付きの下部水車23は中空部230を有している。すなわち、この実施の形態1における螺旋水車20は中空になっており、これにより、浮力を得ることができるものである。そして、中空で浮力を得られることにより、その軸に接続された外部の発電機(発電モーター)を回すためのエネルギーが少なくて済む、という効果がある。
【0027】
さらに図5は、実施の形態1における藻類培養装置1の内部に設置される螺旋水車20の別の一例を示す説明図であり、図4と同様に、図5(a)は、図1図3に示す螺旋水車20の全体図、図5(b)は、図5(a)に示す螺旋水車20の分解図、図5(c)は、図5(b)に示す分解された螺旋水車20を中心軸を通る面で縦に切断した断面図である。図5(b)、図5(c)に示すように、この実施の形態1における螺旋水車20は、上軸部211付きの上部水車21、中間水車22、中間水車22、下軸部231付きの下部水車23の4つの部品から構成されている。
【0028】
図5に示す螺旋水車20と図4に示す螺旋水車20との違いとしては、図5に示す螺旋水車20は、図5(c)に示すように、上部水車21、中間水車22のそれぞれの下部の接続部分にも穴があいており、それぞれの中空部210,220の下部が解放されていることである。これにより、図5(a)のように接続した場合に、軸の上部から下部まで穴があき上から下まで空洞がつながって、すなわち、中空部210、220,230がつながって全体に1つの中空部が形成されるので、より浮力を得ることができるものである。
【0029】
なお、円筒型水槽10の直径が大きくなった場合には、中心部(螺旋水車20の軸付近)に光が通りにくくなる可能性があるので、空洞(中空部)にライトを入れるようにして中心部からも光を照射するようにしてもよい。また、螺旋水車20の軸を透明なプラスチック部材としたり、軸も含めた螺旋水車20全体を透明な部材とするなど、軸の素材を透明な素材にすれば、中心に光が通りにくくなることはないので、そのようにしてもよい。
【0030】
なお、この実施の形態1では、図4および図5において説明したとおり、螺旋水車20を4つの部品からなる構成とし、必要に応じて螺旋水車20の長さを調節できるようにしたが、全体で1つの部品からなる螺旋水車20であってもよいことは言うまでもない。ただし、図4図5に示すように複数の部品(21,22,23)からなる螺旋水車20であれば、前述のとおり、長さを調節できるというメリットに加えて、スペースが限られた屋内において、動かしたり組み立てたりしやすくなるため、設置作業が行いやすい、という効果もある。
【0031】
図6は、図3(a)に示す円筒型水槽10の断面、および、水路を示す説明図である。すなわち、図6(a)は、図1に示す8本の円筒型水槽10が連結された藻類培養装置1を、連結部14,15が設置される位置で縦に切った円筒型水槽10の断面図であり、図6(b)は、図6(a)の断面図における水路を太線で示した図である。
【0032】
このような図1図5に示す藻類培養装置1において、円筒型水槽10の1本目とm本目のポンプ接続口122に、外部のポンプ(図示せず)を接続して水を循環させる。この際、図6(b)の太線で示した水路を流れる水流は、1本の円筒型水槽10ごとに、すなわち、隣り合う円筒型水槽10ごとに逆向き(下向きと上向き)になるので、図1図3に示したとおり、円筒型水槽10の内部に設置される螺旋水車20の螺旋形状の羽根は、1本の円筒型水槽10ごとに、すなわち、隣り合う円筒型水槽10ごとに逆向きの螺旋形状になるよう設計されている。
【0033】
また、この発明の実施の形態1における藻類培養装置1は、螺旋水車20の軸に、外部の発電機(図示せず)が取り付けられることにより、発電をし、その電気を照明やポンプに回すことができるものであるが、発電機(発電モーター)の取付方については、例えば、螺旋水車20の上軸部211(図1において円筒型水槽10の上部パーツ12の上蓋121より上に見えている部分)に歯車またはプーリーを付け、発電機(発電モーター)側に取り付けられた歯車と組み合わせてもよいし、それぞれのプーリーをベルトでつなぐなどすればよい。なお、発電機(発電モーター)については、1つの螺旋水車20に対して1つの発電機(発電モーター)を取り付けてもよいし、複数の螺旋水車20に対して1つの発電機(発電モーター)を取り付けてもよく、規模に応じて適宜決定すればよい。なお、発電機としては、増速機付きの発電モーターであってもよいし、増速機が付かない発電モーターであってもよい。また、上蓋121にはベアリングが設けられている。
【0034】
そして、このように外部のポンプと発電機(発電モーター)にこの発明の実施の形態1における藻類培養装置1を接続することにより、複数(m本)の円筒型水槽10からなる藻類培養装置1にポンプで水を循環させることができ、これにより、少ないエネルギーで多くの水流を作ることができる。また、円筒型水槽10の内部に設置された螺旋水車20の軸に発電機(発電モーター)を取り付けることで、ポンプによる循環によって作られた水流により、電力(エネルギー)を発生させることができる。なお、水流には、上下に流れる動きと、回転する動きの2種類の力があるが、螺旋水車20の羽根が螺旋形状になっていることにより、この両方の力を受けることができる。
【0035】
さらに、そうして回収されたエネルギーを、藻類が光合成を行うために必要な光を照射するための照明に利用したり、ポンプを動かすために利用したりすることができるので、大がかりな装置を必要とせず、少ないエネルギーで多くの水流を作ることができ、その水流により電力(エネルギー)を発生させ、当該発生した電力(エネルギー)を用いて、藻類が光合成を行うことが可能となる。
【0036】
また、円筒型水槽10の本数を変更することにより、簡単に、規模に合わせた大きさの装置とすることができる。また、円筒型水槽10の本数が多い(例えば、10本以上などの)規模の装置が必要な場合であっても、1本ずつの円筒型水槽10について組み立て作業を行ってから最終的に全体の設置を行うことができるので、スペースが限られた屋内において、動かしたり組み立てたりしやすくなるため、設置作業が行いやすい、という効果もある。なお、この藻類培養装置1の設置手順はこれらに限られるものではなく、例えば天井までの距離があまりない場合(縦長の水槽を設置した場合に天井までの距離があまりあかない場合)など、円筒型水槽10の下部分を先に設置し、その中に縦長の螺旋水車20を設置しながら、上部分を組み立てていく、というような設置方法としてもよい。
【0037】
なお、この実施の形態1では、外部の発電機(発電モーター)と外部のポンプに接続されて、藻類を水槽で培養する藻類培養装置1として説明したが、発電機(発電モーター)とポンプを備えた藻類培養装置としてもよい。
【0038】
以上のように、この実施の形態1の藻類培養装置1によれば、従来のような大がかりな装置を必要とせず、少ないエネルギーで多くの水流を作ることができ、その水流により電力(エネルギー)を発生させ、当該発生した電力(エネルギー)を用いて、藻類が光合成を行うための照明の照射や、ポンプを動かすことができる。また、円筒型水槽10の本数を変更することにより、簡単に、規模に合わせた大きさの装置とすることができる。
【0039】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2における藻類培養装置の一例を示す外観図であり、図7(a)はこの藻類培養装置2を正面左上方から見た斜視図、図7(b)は真正面上方から見た図である。また、図8は、実施の形態2における藻類培養装置の別の一例を示す外観図であり、図8(a)はこの藻類培養装置3を正面左上方から見た斜視図、図8(b)は真正面上方から見た図である。
【0040】
この実施の形態2における藻類培養装置2,3は、実施の形態1における藻類培養装置1と同様に、外部の発電機(発電モーター)と外部のポンプに接続されて、藻類を水槽で培養する装置であって、図7図8に示すとおり、円筒型水槽10を複数本(m本:mは2以上の自然数。図7図8では8本であるので、m=8)備えている。ただし、図7図8においては、外部の発電機(発電モーター)80と外部のポンプ90も図示されている。なお、発電機(発電モーター)80は、増速機付きの発電モーターであるものとして図示されているが、増速機が付かない発電モーターであってもよい。なお、実施の形態1において説明したものと同様の構成には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0041】
この実施の形態2における藻類培養装置2,3は、m本の円筒型水槽10のn本目(nは1以上m未満の奇数)とn+1本目を、当該2本の円筒型水槽10(n本目の円筒型水槽10と、n+1本目の円筒型水槽10)の下部パーツ13同士で連結する下部パーツ連結部24を備えている。すなわち、図7図8では、m=8であるので、1以上m未満の奇数であるnは、1,3,5,7ということになるため、8本の円筒型水槽10の1本目と2本目の下部パーツ13同士を連結する下部パーツ連結部24-1、3本目と4本目の下部パーツ13同士を連結する下部パーツ連結部24-2、5本目と6本目の下部パーツ13同士を連結する下部パーツ連結部24-3、7本目と8本目の下部パーツ13同士を連結する下部パーツ連結部24-4を備えている。
【0042】
ただし、図8に示す藻類培養装置3では、複数本の円筒型水槽10を、横一列に並べるのではなく、ジグザグに配置している点が、実施の形態1における藻類培養装置1および図7に示す藻類培養装置2とは異なっている。
【0043】
さらに、円筒型水槽10が3本以上ある場合(mが3以上の場合)には、円筒型水槽10のp本目(pは2以上m未満の偶数)とp+1本目を、当該2本の円筒型水槽10(p本目の円筒型水槽10と、p+1本目の円筒型水槽10)の上部パーツ112同士で連結する上部パーツ連結部25を備えている。すなわち、図7図8では、m=8であるので、2以上m未満の偶数であるpは、2,4,6ということになるため、8本の円筒型水槽10の2本目と3本目の上部パーツ112同士を連結する上部パーツ連結部25-1、4本目と5本目の上部パーツ112同士を連結する上部パーツ連結部25-2、6本目と7本目の上部パーツ112同士を連結する上部パーツ連結部25-3を備えている。
【0044】
また、円筒型水槽10の上部パーツ112には、螺旋水車20の上軸部(図4図5に示す上軸部211)を受ける(通して支える)ための上部軸受120を有する上蓋121(図1図2等参照)が設けられ、下部パーツ13の底には、螺旋水車20の下軸部(図4図5に示す下軸部231)を受ける(支える)ための下部軸受130(図3参照)が設けられているとともに、円筒型水槽10を(藻類培養装置2を)床にボルトで固定するための設置器具132が設けられている。また、円筒型水槽10の1本目の上部パーツ112およびm本目(ここでは8本目)の上部パーツ112は、外部のポンプ90に接続するためのポンプ接続口123を備えている。
【0045】
そして、この実施の形態2における藻類培養装置2,3と、実施の形態1における藻類培養装置1とでは、以下の(1)~(5)の違いがある。
(1)隣り合う2つ(奇数本目と偶数本目)の円筒型水槽10を下部パーツ13同士で連結する下部パーツ連結部24が異なる形状である。
(2)隣り合う2つ(偶数本目と奇数本目)の円筒型水槽10を上部パーツ112同士で接続する上部パーツ連結部25が異なる形状である。
(3)下部パーツ連結部24が下部パーツ13に接続されている位置が異なるとともに、上部パーツ連結部25が上部パーツ112に接続されている位置も異なる。
【0046】
(4)円筒型水槽10の内部に設置される螺旋水車20の螺旋形状の羽根は、すべての円筒型水槽10において同じ向きである。
(5)円筒型水槽10を床にボルトで固定するための設置器具132が、実施の形態1における設置器具131とは異なる形状になっているとともに、円筒型水槽10を床に固定するための底上げ部材133が取り付けられている。
【0047】
また、図7に示す藻類培養装置2は、以下の(6)についても実施の形態1における藻類培養装置1と違いがある。
(6)螺旋水車20の軸の長さが、隣り合う円筒型水槽10で交互に異なり、それによりプーリーの高さも交互に異なっている。
【0048】
また、図8に示す藻類培養装置3は、以下の(7)についても実施の形態1における藻類培養装置1と違いがある。
(7)複数本の円筒型水槽10を、横一例に並べるのではなく、ジグザグに配置している点が異なっている。
【0049】
上記(1)~(7)について、もう少し詳細に説明する。
(1)隣り合う2つ(奇数本目と偶数本目)の円筒型水槽10を下部パーツ13同士で連結する下部パーツ連結部24が異なる形状であり、下部パーツ連結部24の上部に空気の注入口である空気注入ノズル241が設けられ、下部パーツ連結部24の下部に排水口242が設けられている(後述する図9参照)。つまり、この排水口242は、実施の形態1における排水口142とは異なり、連結水路の側面方向ではなく、連結水路の底面方向へ排水するよう、取り付けられている。なお、排水口242は、そのまま排水される排水口であってもよいし、排水管を接続する排水管接続口であってもよい。
【0050】
また、水槽の底面(下部パーツ連結部24の底面)に排水口242を取り付けるために、円筒型水槽10を床に設置するための設置器具132には排水口242が通る穴があけられているとともに、円筒型水槽10を床から一段高いところに設置するよう、設置器具132には底上げ部材133が一体に取り付けられている。
【0051】
(2)隣り合う2つ(偶数本目と奇数本目)の円筒型水槽10を上部パーツ112同士で連結する上部パーツ連結部25が異なる形状であり、上部パーツ連結部25の上部に空気を抜くための空気抜きバルブ251を取り付ける空気抜き穴250が設けられている(後述する図10図14参照)。
【0052】
そして、上記(1)に記載の空気注入ノズル241と、(2)に記載の空気抜きバルブ251とが設けられていることにより、藻類の光合成に必要な二酸化炭素を培養液内に増やすことができ、また、それにより藻類培養装置2,3の内部の圧力が高まることを防ぐことができる。
【0053】
(3)下部パーツ連結部24が下部パーツ13に接続されている位置が異なり、n本目の円筒型水槽10の円の中心より前方(一方の片側)と、n+1本目の円筒型水槽10の円の中心より後方(他方(もう一方)の片側)とが接続される。すなわち、下部パーツ連結部24が、円筒型水槽10の円の中心からずれた位置に接続されることは実施の形態1における藻類培養装置1と同じであるが、n本目の円筒型水槽10の円の中心からずれた一方の片側(前方)の位置に設置されるとともに、n+1本目の円筒型水槽10の円の中心からずれた他方(もう一方)の片側(後方)の位置に設置される。なお、図7図8において、図の手前側を「前方」と呼び、奥側を「後方」と呼んでいるが、逆に呼ぶことにしても構わない。
【0054】
この違いについて、図を参照して説明すると、図1に示す藻類培養装置1の下部パーツ連結部14は、円筒型水槽10の円の中心からずれた片側(図1では手前側(前方)で、n本目の円筒型水槽10の円の中心より前方(手前側)と、n+1本目の円筒型水槽10の円の中心より前方(手前側)、つまり、片側)の位置に設置されているので、下部パーツ連結部14の側面が平行に見えているが、図7に示す藻類培養装置2の下部パーツ連結部24の側面は、前方(手前側)から後方(奥側)へ斜めに接続されているように見えることから、そのように接続されていることがわかる。図8に示す藻類培養装置3についても同様である。
【0055】
また、円筒型水槽10が3本以上ある場合(mが3以上の場合)には、上部パーツ連結部25が上部パーツ112に接続されている位置についても同様に異なり、p本目の円筒型水槽10の円の中心より後方(他方(もう一方)の片側)と、p+1本目の円筒型水槽10の円の中心より前方(一方の片側)とが接続される。図7に示す藻類培養装置2の上部パーツ連結部25の側面は、後方(奥側)から前方(手前側)へ斜めに接続されているように見えることから、そのように接続されていることがわかる。図8に示す藻類培養装置3についても同様である。
【0056】
これにより、上部パーツ112および下部パーツ13の連結位置を通って円筒型水槽10に水流が流れ込むと、円筒型水槽10の中の水流が、奇数本目と偶数本目とで時計回りに回るか反時計回りに回るかが異なる状態になるため、円筒型水槽10の内部に設置される螺旋水車20の螺旋形状の羽根は、すべての円筒型水槽10において同じ向きとなる。これが、上記(4)である。すなわち、上記(3)に記載の構成にした結果、(4)円筒型水槽10の内部に設置される螺旋水車20の螺旋形状の羽根は、すべての円筒型水槽10において同じ向きとなっている。
【0057】
すなわち、実施の形態1における藻類培養装置1では、円筒型水槽10の内部に設置される螺旋水車20の螺旋形状の羽根は、1本の円筒型水槽10ごとに、すなわち、隣り合う円筒型水槽10ごとに逆向きの螺旋形状になるよう設計されていたが、この実施の形態2における藻類培養装置2,3では、下部パーツ連結部24が下部パーツ13に接続されている位置と、上部パーツ連結部25が上部パーツ112に接続されている位置を前述の(3)に記載のように変えたことにより、上部および下部の連結位置を通って隣の水槽に水流が流れると、今までとは反対に水流が回るようになる。そのことにより、実施の形態1における藻類培養装置1では交互に水車の螺旋の回り方が反対のものを設置する必要があったが、水流が交互に反対に回るようになったことにより、前記(4)に記載のとおり、すべての水車の螺旋の回り方(方向)が同じでよくなり、ポンプ90が取り付けられる2つの上部パーツも、実施の形態1における藻類培養装置1では左右対称のものであったが、それが2つとも同じものでよくなった。
【0058】
このように、下部パーツ連結部24が下部パーツ13に接続されている位置と、上部パーツ連結部25が上部パーツ112に接続されている位置を前述の(3)に記載のように変えたことにより、使用する部品の種類を減らすことができる、というメリットもある。
【0059】
(5)円筒型水槽10を床にボルトで固定するための設置器具132が、実施の形態1における設置器具131とは異なる形状になっているとともに、円筒型水槽10を床に固定するための底上げ部材133が取り付けられている、ということについては、図9も参照しながら説明する。
【0060】
なお、実施の形態2における藻類培養装置2,3の円筒型水槽10の内部に設置される螺旋水車20の構造については、実施の形態1における藻類培養装置1で示した図4図5と同様であるので、ここでは図示および説明を省略する。
また、この実施の形態2では、実施の形態1の図6で示したような水路を示す図についても省略するが、この実施の形態2における藻類培養装置2,3においても、円筒型水槽10の1本目とm本目のポンプ接続口123に、外部のポンプ90を接続して水を循環させる。
【0061】
図9は、実施の形態2における下部パーツ13と下部パーツ連結部24および設置器具132を示す説明図であり、図9(a)、図9(b)は、図7に示す藻類培養装置2において、奇数本目であるn本目と隣り合うn+1本目の円筒型水槽10の下部パーツ13と下部パーツ連結部24および設置器具132を正面上方から見た斜視図と正面下方から見た斜視図である。また、図9(c)、図9(d)は、図8に示す藻類培養装置3において、奇数本目であるn本目と隣り合うn+1本目の円筒型水槽10の下部パーツ13と下部パーツ連結部24および設置器具132を正面上方から見た斜視図と正面下方から見た斜視図である。
【0062】
図9(b)、図9(d)に示すように、それぞれの下部パーツ連結部24は、円筒型水槽10に入れられる水および藻類を取り出すための排水口242を備えているが、この排水口242は、実施の形態1における排水口142とは異なり、連結水路の側面方向ではなく、連結水路の底面方向へ排水するよう、取り付けられている。そして、水槽の底面に排水口242を取り付けるために、円筒型水槽10を一段高いところに設置するよう、設置器具132には底上げ部材133が一体に取り付けられている(図7図8参照)。
【0063】
また、円筒型水槽10を床にボルトで固定するための設置器具132は、この排水口242の部分だけ穴開けされた状態のものになるため、実施の形態1における設置器具131とは少しだけ異なる形状になっている。なお、設置器具132は、隣り合う2本の円筒型水槽10の下部パーツ13と一体型の部品として製造されるものであってもよい。
【0064】
また、図9に示すように、それぞれの下部パーツ連結部24の上部には、空気の注入口である空気注入ノズル241が設けられており、その空気注入ノズル241には、空気を送り込むためのチューブが取り付けられることになるが、このチューブについては図示していない(図7図8においても同様である。)。
【0065】
図10は、実施の形態2における上部パーツ112と上部パーツ連結部25を示す説明図であり、図10(a)は、図7に示す藻類培養装置2において、偶数本目であるp本目と隣り合うp+1本目の円筒型水槽10の上部パーツ112と上部パーツ連結部25を正面上方から見た斜視図、図10(b)は、図8に示す藻類培養装置3において、偶数本目であるp本目と隣り合うp+1本目の円筒型水槽10の上部パーツ112と上部パーツ連結部25を正面上方から見た斜視図である。なお、図10(a)と図10(b)は角度が異なるのみであり、まったく同じもの(同じ構造)である。
【0066】
また、図10(a)、図10(b)に示すように、それぞれの上部パーツ連結部25の上部には、空気抜き穴250(図14参照)が設けられており、この空気抜き穴250に取り付けられた空気抜きバルブ251から空気を抜くようになっている。これは、図9に示した下部パーツ連結部24の空気注入ノズル241から空気を注入すると、この藻類培養装置2,3の内部の圧力が高まるため、それを防ぐためには空気を抜く必要が出てくるからである。
【0067】
また、図10(c)、図10(d)は、図7図8に示す藻類培養装置2,3において、1本目およびm本目の上部パーツ112の上蓋121および内蓋113(後述する図14参照)をはずして正面上方から見た斜視図であり、ポンプ90につながるポンプ接続口123と、その上に、注水用の管をつなげるための注水接続口125が設けられている。なお、図10(c)と図10(d)も、同じものを正面から見たか斜めから見たか、という違いがあるだけで、同じものである。
【0068】
そして、図7図8図10(c)、図10(d)から明らかなとおり、この実施の形態2における藻類培養装置2,3では、1本目およびm本目の円筒型水槽10の上部パーツ112はまったく同じ形状のものでよく、この点でも使用する部品の種類を減らすことができる、というメリットがある。
【0069】
なお、図7図8図10の上部パーツ112は、後述する[変形例]において図14を参照しながら説明するとおり、実施の形態1の藻類培養装置1における上部パーツ112とは異なり、上蓋121および内蓋113付きの上部パーツ112であり、この内蓋付きである点においても実施の形態1とは異なるが、この上部パーツ112に代えて、実施の形態1に示す上部パーツ12を用いるようにしてもよい。
【0070】
また、図7に示す藻類培養装置2についての上記(6)螺旋水車20の軸の長さが、隣り合う円筒型水槽10で交互に異なり、それによりプーリーの高さも交互に異なっている、および、図8に示す藻類培養装置3についての上記(7)複数本の円筒型水槽10を、横一例に並べるのではなく、ジグザグに配置している、という点については、実施の形態2の変形例であり、必ずしもこのような構成でなくてもよいものであるが、このように構成することのメリットについて説明する。
【0071】
(6)螺旋水車20の軸の長さが、隣り合う円筒型水槽10で交互に異なり、それによりプーリーの高さも交互に異なっている、というのは、図7に示すとおりであるが、図7に示す藻類培養装置2は、プーリーまたは歯車を取り付ける位置の高さを、奇数の水車と偶数の水車とで変えている点が、実施の形態1における藻類培養装置1とは異なっている。
【0072】
図7に示す藻類培養装置2では、偶数の水車の列のプーリーまたは歯車を取り付ける位置を、奇数の水車の列よりも高い位置に設置している。すなわち、奇数本目の円筒型水槽10の列(以下、「奇数列」と呼ぶ。)と、偶数本目の円筒型水槽10の列(以下、「偶数列」と呼ぶ。)との2列にわかれた構成になっている、と考えることもできる。このようにすることにより、奇数の水車の列と偶数の水車の列という、それぞれ同じ方向に回転する水車の列を作ることができるので、それぞれの列にそれぞれ1台の発電機(発電モーター)80、合計で2台の発電機(発電モーター)80を接続するだけでよい、というメリットがある。
【0073】
また、図8に示す藻類培養装置3では、上記(7)に示したとおり、複数本の円筒型水槽10を、横一例に並べるのではなく、ジグザグに配置している点が異なっている。すなわち、この図8に示す藻類培養装置3の場合であっても、奇数列と偶数列との2列にわかれた構成になっている、と見ることができる。実施の形態1における藻類培養装置1では、すべての円筒型水槽10が1列に配置されていて、内部に設置される螺旋水車20の向きが1本おきに反対向きであったため、1台の発電機(発電モーター)で複数本の円筒型水槽10を稼働させることは難しかったが、この図8に示す藻類培養装置3のように円筒型水槽10がジグザグな配置になっている構成であれば、3本以上の複数本の円筒型水槽10であっても、1列に1台ずつ、合計2台の発電機(発電モーター)80を接続するだけでよい、というメリットがある。
【0074】
ここで、この発明の実施の形態2における藻類培養装置2,3も、螺旋水車20の軸に、外部の発電機(発電モーター)80が取り付けられることにより、発電をし、その電気を照明やポンプに回すことができるものであるが、発電機(発電モーター)80の取付方については、例えば、図7図8に示すように、螺旋水車20の上軸部211(図1において円筒型水槽10の上部パーツ112の上蓋121より上に見えている部分(図4等参照))に歯車またはプーリーを付け、発電機(発電モーター)80側に取り付けられた歯車と組み合わせてもよいし、それぞれのプーリーをベルト31,32でつなぐなどすればよい。なお、ここではベルト31,32は平ベルトであるものとして図示されているが、歯付きベルトであってもよい。
【0075】
また、発電機(発電モーター)については、1つの螺旋水車20に対して1つの発電機(発電モーター)を取り付けてもよいし、複数の螺旋水車20に対して1つの発電機(発電モーター)を取り付けてもよく、規模に応じて適宜決定すればよいものであることは、実施の形態1と同様である。ただし、上記(6)記載のとおり、図7に示す藻類培養装置2のように、螺旋水車20の軸の高さとプーリーの高さを隣り合う円筒型水槽10で交互に異なるようにしたり、上記(7)記載のとおり、図8に示す藻類培養装置3のように、円筒型水槽10をジグザグに配置することにより、図7図8に示すようなベルト31,32や歯車などを用いて、奇数列に1台の発電機(発電モーター)80を接続し、偶数列にも1台の発電機(発電モーター)80を接続すれば、合計2台の発電機(発電モーター)80によってこの藻類培養装置2,3を稼働させることができる。
【0076】
そして、このように外部のポンプと発電機(発電モーター)にこの発明の実施の形態2における藻類培養装置2,3を接続することにより、複数(m本)の円筒型水槽10からなる藻類培養装置2にポンプで水を循環させることができ、これにより、少ないエネルギーで多くの水流を作ることができる。また、円筒型水槽10の内部に設置された螺旋水車20の軸に発電機(発電モーター)を取り付けることで、ポンプによる循環によって作られた水流により、電力(エネルギー)を発生させることができる。なお、水流には、上下に流れる動きと、回転する動きの2種類の力があるが、螺旋水車20の羽根が螺旋形状になっていることにより、この両方の力を受けることができる。
【0077】
さらに、そうして回収されたエネルギーを、藻類が光合成を行うために必要な光を照射するための照明に利用したり、ポンプを動かすために利用したりすることができるので、大がかりな装置を必要とせず、少ないエネルギーで多くの水流を作ることができ、その水流により電力(エネルギー)を発生させ、当該発生した電力(エネルギー)を用いて、藻類が光合成を行うことが可能となる。
【0078】
また、円筒型水槽10の本数を変更することにより、簡単に、規模に合わせた大きさの装置とすることができる。また、円筒型水槽10の本数が多い(例えば、10本以上などの)規模の装置が必要な場合であっても、1本ずつの円筒型水槽10について組み立て作業を行ってから最終的に全体の設置を行うことができるので、スペースが限られた屋内において、動かしたり組み立てたりしやすくなるため、設置作業が行いやすい、という効果もある。なお、この藻類培養装置2,3の設置手順はこれらに限られるものではなく、例えば天井までの距離があまりない場合(縦長の水槽を設置した場合に天井までの距離があまりあかない場合)など、円筒型水槽10の下部分を先に設置し、その中に縦長の螺旋水車20を設置しながら、上部分を組み立てていく、というような設置方法としてもよい。
【0079】
なお、この実施の形態2でも、外部の発電機(発電モーター)と外部のポンプに接続されて、藻類を水槽で培養する藻類培養装置2,3として説明したが、発電機(発電モーター)とポンプを備えた藻類培養装置としてもよい。
【0080】
以上のように、この実施の形態2の藻類培養装置2,3によれば、実施の形態1の藻類培養装置1と同様に、従来のような大がかりな装置を必要とせず、少ないエネルギーで多くの水流を作ることができ、その水流により電力(エネルギー)を発生させ、当該発生した電力(エネルギー)を用いて、藻類が光合成を行うための照明の照射や、ポンプを動かすことができる。また、円筒型水槽10の本数を変更することにより、簡単に、規模に合わせた大きさの装置とすることができる。
【0081】
[変形例](その他の実施の形態).
この発明の実施の形態1,2における藻類培養装置1,2,3において、円筒型水槽10の内部に設置される螺旋水車20は、図4図5に示すように、羽根の傾きが一定であるものとして説明したが、図11に示すように、中央部分の羽根の傾きが垂直軸に対してもっとも倒れているようにし、そこから徐々に上下それぞれの方向へいくにしたがって羽根の傾きが起き上がっていくようにしてもよい。
【0082】
図11は、実施の形態1,2における藻類培養装置の変形例として、藻類培養装置1,2,3の内部に設置される螺旋水車の別の一例を示す説明図であり、この別の一例である螺旋水車40の全体図を示している。この図11では、この螺旋水車40が3つの水車パーツ41,42,43によって構成されている例を示しており、中央の水車パーツ42の羽根の傾きがより上下2つの水車パーツ41,43の羽根の傾きよりも倒れている状態を示している。なお、1つの水車パーツの中でも、徐々に羽根の傾きが変化するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0083】
通常、小さな水力発電に用いられる螺旋水車は、水路を一定方向に流れる水流に対して設置されるが、この発明は、渦を巻きながら流れる水流に対して設置するものであり、その水流の回転する方の力が一定ではなく、特に水槽が長くなるほどその傾向が出やすい。そして、回転の元となる上部パーツまたは下部パーツの連結部から離れるほど回転は弱くなるが、回転が弱くなると、羽根は寝ている(倒れている)方がよいため、図11の螺旋水車40では、中央の水車パーツ42の羽根の傾きをより倒れた傾きの羽根にして、円筒型水槽10の長さに合わせて水車の羽根の角度(傾き)を調節することにより、水流に対する螺旋の羽根を最適に近づけようとするものである。
【0084】
また、図12は、実施の形態1,2における藻類培養装置の変形例として、藻類培養装置1,2,3の内部に設置される螺旋水車の水車パーツ(羽根パーツ)の接続方法の別の例を示す説明図であり、図13は、実施の形態1,2における藻類培養装置の変形例として、藻類培養装置1,2,3の内部に設置される螺旋水車の水車パーツ(羽根パーツ)の接続方法のさらに別の一例を示す説明図である。
【0085】
図12(a)、図12(b)は、2つの水車パーツ(羽根パーツ)51,52を連結パーツ53で連絡する場合の例を示しており、図12(a)は、2つの水車パーツ51,52が連結パーツ53で連結された螺旋水車50を示している。これは、それぞれの水車パーツを取り付けやすくするためのものであり、中空の水車パーツ51,52の中に連結パーツ53を差し込み、両者を連結するものであり、連結パーツ53には、水車パーツ51,52の挟まる位置にパッキンがついている。なお、図12(a)、図12(b)は連結パーツ53を差し込むだけのものを示しているが、ネジ式等の一般的に知られている接続方法であってもよい。
【0086】
図13(a)は、2つの水車パーツ(羽根パーツ)61,62が円筒接続部66で連結された場合の螺旋水車60を示している。すなわち、この円筒接続部66は、水車パーツ61,52の連結部(連結パーツ)も兼ねている。これは、水槽が大型化した場合など、建設が難しくなった場合に、水車を固定しながらの方が工事を行いやすい、ということを考慮したものである。
【0087】
また、図13(b)は、図13(a)の中の円筒接続部66のみを示す斜視図であり、この円筒接続部66は、円筒型水槽を上に連結するためのパーツである。また、図13(c)は、図13(b)の手前側を切断して内部を見やすくした図、図13(d)は、図13(b)を90度回転させてから手前側を切断して内部を見やすくした図である。この円筒接続部66の中心には、水車パーツを通すための輪67が備えられており、輪67の内側にはベアリングが設けられている。また、水車を通す輪67は水流が流れる方向より少し傾斜した板状部品68により円筒接続部66の外枠と接続されている。すなわち、板状部品68は、円筒接続部66の中心の輪67と円筒接続部66の外枠とを接続する部品であり、円筒接続部66の一部である。
【0088】
この傾斜した板状部品68を利用して、水流に回転をつけることができる。すなわち、水車パーツ61,62は、水流が流れる方向に沿って、それより少し角度が寝た(倒れた)板状部品68によって連結されて固定されるため、回転の元となる上部パーツまたは下部パーツの連結部から離れるほど回転が弱くなるという問題の解決策にもなる、というメリットもある。
なお、ここでは一例として、図11図13のような変形例を示したが、工事の内容や装置の規模によって、他の螺旋水車や接続方法を用いるようにしてもよい。
【0089】
また、図14は、実施の形態1,2における藻類培養装置の変形例として、水槽の上部パーツに内蓋が付いている場合の一例を示す説明図であり、上蓋をはずした状態を正面上方から見た斜視図である。図14(a)は、2本の隣り合う円筒型水槽10の上部パーツ112部分の斜視図であり、図14(b)は、図14(a)の手前側部分を切って断面が見える状態になっている図である。ただし、図14(b)の左側の上部パーツ112には内蓋113が取り付けられておらず、図14(b)の右側の上部パーツ112には内蓋113が取り付けられている状態を示している。また、図14(a)および図14(b)では、前述の上部パーツ連結部25の空気抜き穴250も見える状態になっている。
【0090】
この図14に示す上部パーツ112は、実施の形態1の藻類培養装置1に示した上部パーツ12とは異なり、内蓋113を固定するための構造、および、内蓋113を備えている。また、図14(c)および図14(d)は、内蓋113のみの状態を示す図であり、図14(c)は内蓋113のみの斜視図、図14(d)は図14(c)を正面(側面)から見た図である。
【0091】
この内蓋113は、揺れなどにより水が漏れる可能性を小さくするためのものであり、図14(a)、図14(b)に示すように、上部パーツ112に固定されている。固定の方法としては、図14(c)、図14(d)に示すように、内蓋113の側面に溝115が掘られており、円筒型水槽10の上部パーツ112内部にある突起114(図14(b)参照)をその溝115に入るように内蓋113を上から差し込み、内蓋113の上部にある2つの突起116を使って円筒型水槽10内で回転させることにより固定されるものや、ネジの溝を内蓋113の側面と上部パーツ112内部に設けるネジ式など、どのような固定方法であってもよい。
【0092】
また、この内蓋113には、中心に軸受117(図14(c)参照)が取り付けられ、形状としては、下部は下方向に膨らんでおり(図14(d)参照)、上部は下方向に凹んでいる。この軸受117の下部の膨らみは、水を漏れにくくするためのものであり、上部の凹みは、水が内蓋113の上部へと漏れても、下方向へ戻りやすくするためのものである。なお、内蓋113の中央(中心)にはベアリングが設けられているが、ベアリングが設けられていないものであってもよい。
このように、上部パーツ112に内蓋113を備えるようにすれば、揺れなどにより水が漏れることを、できる限り防ぐことができる。
【0093】
また、図15は、実施の形態2における藻類培養装置の変形例として、水槽の上部パーツ部分の別の例を示す説明図である。なお、図15(a)と図15(b)は同じものを正面から見たか斜めから見たか、という違いがあるだけであり、図15(c)と図15(d)も、同じものを正面から見たか、斜めから見たか、という違いがあるだけである。すなわち、図15(a)、図15(b)に示す上部パーツ部分の変形例と、図15(c)、図15(d)に示す上部パーツ部分の変形例との、2つの変形例を示している。
【0094】
ここで、実施の形態2における藻類培養装置2,3では、1本目の円筒型水槽10(10-1)と、8本目(m=8の場合)の円筒型水槽10(10-8)の上部パーツ112が同じパーツでよい、ということは、前述のとおりであるが、2本目~7本目についても、1本目とm本目と同じ上部パーツ112を用いるようにして、すなわち、すべての円筒型水槽10において図10(c)、図10(d)に示すような、ポンプ接続口123と注水接続口125が取り付けられた上部パーツ112を用いるようにしてもよい。
【0095】
この場合、隣り合う2本の円筒型水槽10の上部パーツ112を連結していた上部パーツ連結部25の代わりに、それぞれのポンプ接続口123を接続管126で接続することにより、2つの上部パーツ112を連結している。ここで、図15(a)、図15(b)は、ポンプ接続口123同士を接続した接続管126に、空気抜きバルブ251を取り付けた例であり、図15(c)、図15(d)は、一方の注水接続口125に空気抜きバルブ251を取り付けた例である。2本目~7本目については、注水接続口125は機能的に必要ないため、図15(a)、図15(b)の場合には両方の注水接続口125に蓋127がされており、図15(c)、図15(d)の場合には空気抜きバルブ251が取り付けられていないもう一方の注水接続口125には蓋127がされている。
【0096】
また、図示は省略するが、この発明の実施の形態1,2における藻類培養装置1,2,3を、屋外に設置する場合には、雨、風、ほこり等からベルト部分を守るために、上部にカバーを取り付けるようにしてもよい。また、藻類培養装置の大きさによっては、装置全体をケースに収納するようにしてもよい。
【0097】
また、上記に示した実施の形態では、水槽10を円筒型であるものとして説明したが、円筒(円柱)ではなく角柱型の水槽10であってもよい。ただし、円筒型の方が、内部の螺旋水車20が回転することにより発生する水流が起きやすいため、角中型の場合には性能が落ちるため、円筒型の方が望ましいことは言うまでもない。
【0098】
[応用例].
上記のとおり、この発明は藻類を水槽で培養する藻類培養装置に関するものであるが、この発明の藻類培養装置を、発電装置または発電システムとして使用することも可能である。発電装置または発電システムの場合には、光合成の必要がないため、照明が不要なことと、水槽が透明である必要もないが、他の構成をそのまま生かして、発電装置または発電システムに応用することが可能である。なお、その場合には、実施の形態2で示した空気注入ノズルや空気抜きバルブも不要である。
【0099】
すなわち、発電装置または発電システムとして使用する場合には、外部の発電機(発電モーター)と外部のポンプに接続されて発電するための発電装置または発電システムであって、内部に水および藻類を入れるための円筒と、前記円筒の上部パーツと、前記円筒の下部パーツと、前記円筒の内部に設置される螺旋水車と、からなる円筒型水槽を複数本(m本:mは2以上の自然数)備え、前記円筒型水槽のn本目(nは1以上m未満の奇数)とn+1本目を、当該2本の円筒型水槽の前記下部パーツ同士で連結する下部パーツ連結部と、前記円筒型水槽が3本以上ある場合(mが3以上の場合)には、前記円筒型水槽のp本目(pは2以上m未満の偶数)とp+1本目を、当該2本の円筒型水槽の前記上部パーツ同士で連結する上部パーツ連結部を備え、前記螺旋水車は、その中心に軸を備え、その軸を中心に回転する螺旋形状の羽根を有しており、前記軸は上部に突出した上軸部と下部に突出した下軸部を備えるとともに、前記軸の内部は中空になっており、かつ、前記螺旋水車の軸が前記発電機に接続されるものであり、前記円筒型水槽の前記上部パーツには、前記螺旋水車の上軸部を受けるための上部軸受を有する蓋が設けられ、前記下部パーツの底には、前記螺旋水車の下軸部を受けるための下部軸受が設けられているとともに、前記1本目の上部パーツおよび前記m本目の上部パーツは、前記ポンプに接続するためのポンプ接続口を備えており、前記下部パーツ連結部および前記上部パーツ連結部の内部には水路が設けられているとともに、前記下部パーツ連結部は、前記円筒型水槽に入れられる水および藻類を取り出すための排水口を備えていることを特徴とする。
【0100】
ただし、カビなどを防ぎたい場合など、水(液体)の衛生管理のための紫外線除菌機能として、m本の円筒型水槽10のうちの1本だけとか、一部のみを透明にしたり、ポンプにつながる管を透明にするなどして、その透明の部分に紫外線を当てることにより、水(液体)を殺菌するようにしてもよい。
【0101】
このように、発電装置または発電システムとして使用する場合にも、大がかりな装置やシステムを必要とせず、少ないエネルギーで多くの水流を作ることができ、その水流により電力(エネルギー)を発生させ、当該発生した電力(エネルギー)を用いることができる。また、円筒型水槽10の本数を変更することにより、簡単に、規模に合わせた大きさの発電装置または発電システムとすることができる。
【0102】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0103】
1,2,3 藻類培養装置
10 円筒型水槽
11 透明な円筒
12,112 上部パーツ
13 下部パーツ
14,24 下部パーツ連結部
15,25 上部パーツ連結部
16,66 円筒接続部
20,40,50,60 螺旋水車
21 上軸部211付きの上部水車
22 中間水車
23 下軸部231付きの下部水車
31,32 ベルト
41,42,43,51,52,61,62 水車パーツ(羽根パーツ)
53 連結パーツ
67 円筒接続部66の中心の輪
68 円筒接続部66の中心の輪67と円筒接続部66の外枠とを接続する板状部品
80 発電機(発電モーター)
90 ポンプ
113 上部パーツ112の内蓋
114 上部パーツ112内部にある突起
115 内蓋113の溝
116 内蓋113の上部の突起
117 内蓋113の軸受
120 上部軸受
121 上蓋
122,123 ポンプ接続口
125 注水接続口
126 接続管
127 注水接続口125の蓋
130 下部軸受
131,132 設置器具
133 底上げ部材
142,242 排水口
210 上部水車21の中空部
211 上部水車21の上軸部(螺旋水車20の上軸部)
220 中間水車22の中空部
230 下部水車23の中空部
231 下部水車23の下軸部(螺旋水車20の下軸部)
241 空気注入ノズル
250 空気抜き穴
251 空気抜きバルブ


図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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図15