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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104612
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】固形製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5415 20060101AFI20220701BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220701BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 9/24 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 9/26 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 31/485 20060101ALI20220701BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
A61K31/5415
A61P43/00 121
A61P11/00
A61K31/375
A61K9/24
A61K9/26
A61K31/192
A61K31/167
A61K31/137
A61K31/485
A61K31/522
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212162
(22)【出願日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2020218292
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517129485
【氏名又は名称】アリナミン製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】西 晶子
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA40
4C076AA41
4C076BB01
4C076CC15
4C076DD29
4C076DD41
4C076DD43
4C076DD67
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE38
4C076FF65
4C086AA01
4C086AA10
4C086BA18
4C086BC27
4C086CB07
4C086CB17
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA03
4C086ZA59
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA10
4C206DA24
4C206FA01
4C206GA02
4C206GA31
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA55
4C206MA72
4C206NA03
4C206ZA59
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】メキタジン及びアスコルビン酸又はその塩を含む固形製剤、及びその製造法を提供する。
【解決手段】(A)メキタジン、及び(B)アスコルビン酸又はその塩を含有する固形製剤において、(A)成分、及び(B)成分が別々の造粒物であるか、又は、(A)成分、及び(B)成分の一方の成分のみが造粒物であって、かつもう一方の成分が該造粒物内に含まれていないことを特徴とする、固形製剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)メキタジン、及び(B)アスコルビン酸又はその塩を含有する固形製剤において、
(A)成分、及び(B)成分が別々の造粒物であるか、又は、
(A)成分、及び(B)成分の一方の成分のみが造粒物であって、かつもう一方の成分が該造粒物内に含まれていないことを特徴とする、固形製剤。
【請求項2】
多層錠である、請求項1に記載の固形製剤。
【請求項3】
アスコルビン酸又はその塩がアスコルビン酸カルシウムである、請求項1又は2に記載の固形製剤。
【請求項4】
(A)メキタジン、及び(B)アスコルビン酸又はその塩を含有する固形製剤の製造法であって、
(A)成分、及び(B)成分を別々に造粒するか、又は、
(A)成分、及び(B)成分の一方の成分のみを造粒した後に、もう一方の成分を添加して製造する、固形製剤の製造法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メキタジン及びアスコルビン酸又はその塩を含有する固形製剤、並びにその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
総合感冒薬においては、複数の薬効成分を配合した医薬製剤が広く利用されている。総合感冒薬には、例えば、解熱鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、鎮咳薬、気管支拡張薬、消炎薬、カフェイン類、ビタミン類など多くの成分が配合されている。しかしながら、医薬製剤の薬効成分の中には、特定の薬効成分と組み合わせると安定性が低下し、保存中において含量が低下するものがある。医薬製剤において、所望の効果を発揮し、予期しない副作用などを防ぐという安全性の観点から、薬効成分の含量低下は防止する必要がある。
【0003】
メキタジンは、フェノチアジン系抗ヒスタミン薬として知られており、抗ヒスタミン作用に基づく抗アレルギー薬や、抗ヒスタミン成分として総合感冒薬や鼻炎薬などに用いられている薬物である。メキタジンは、その薬理作用から様々な薬物と組み合わせて用いることが検討されており、ビタミン類であるアスコルビン酸又はその塩と組み合わせて総合感冒薬に用いられることがある。
【0004】
特許文献1は、メキタジンの含量低下を防止した固形製剤として、メキタジンと、アセトアミノフェン、エフェドリン類およびビタミンB類から選ばれる1種以上を含有する固形製剤が開示している。しかしながら、特許文献1には、メキタジンとアスコルビン酸又はその塩の組合せ、及び当該組合せを別々に造粒して製剤化することについては記載も示唆されていない。
【0005】
特許文献2は、メキタジン及びアスコルビン酸又はその塩を含有する錠剤を開示している。しかしながら、特許文献2には、メキタジンとアスコルビン酸又はその塩を固形製剤に同時配合すると、保存中にメキタジンの含量が低下することについて記載も示唆もされておらず、また当該組合せを別々に造粒して製剤化することについても記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-169367号公報
【特許文献2】特開平11-209305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、メキタジンとアスコルビン酸又はその塩を固形製剤に同時配合すると、保存中にメキタジンの含量が低下する問題を生じることを見出した。したがって、本発明は、メキタジンとアスコルビン酸又はその塩が同時配合された固形製剤において、製剤中のメキタジンの含量低下を抑制した、安定な固形製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、メキタジン及びアスコルビン酸又はその塩を含有する固形製剤において、メキタジン及びアスコルビン酸又はその塩を群分けして、固形製剤を製造することにより、メキタジンの含量低下を抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1] (A)メキタジン、及び(B)アスコルビン酸又はその塩を含有する固形製剤において、
(A)成分、及び(B)成分が別々の造粒物であるか、又は、
(A)成分、及び(B)成分の一方の成分のみが造粒物であって、かつもう一方の成分が該造粒物内に含まれていないことを特徴とする、固形製剤。
[2] 多層錠である、[1]に記載の固形製剤。
[3] アスコルビン酸又はその塩がアスコルビン酸カルシウムである、[1]又は[2]に記載の固形製剤。
[4] (A)メキタジン、及び(B)アスコルビン酸又はその塩を含有する固形製剤の製造法であって、
(A)成分、及び(B)成分を別々に造粒するか、又は、
(A)成分、及び(B)成分の一方の成分のみを造粒した後に、もう一方の成分を添加して製造する、固形製剤の製造法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メキタジン及びアスコルビン酸又はその塩を同時配合した固形製剤であって、メキタジンの含量低下を抑制することができる固形製剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における「メキタジン」は、日本薬局方に準拠したメキタジンであり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
本発明における固形製剤中に含まれるメキタジンの含量は、特に限定されないが、例えば、固形製剤全体の0.01~10質量%、好ましくは0.02~2質量%、より好ましくは0.05~0.5質量%である。
【0011】
本発明における「アスコルビン酸又はその塩」は、アスコルビン酸及びその薬学上許容される塩を含む。これらは、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
上記薬学上許容される塩としては、例えば、ナトリウム及びカリウムなどのアルカリ金属並びにカルシウム及びマグネシウムなどのアルカリ土類金属などの塩が挙げられる。
上記「アスコルビン酸又はその塩」の具体例としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸亜鉛、アスコルビン酸マグネシウムなどが挙げられ、好ましくは、アスコルビン酸カルシウムである。また本発明において、アスコルビン酸又はその塩は、1種であっても2種以上であってもよい。
本発明における固形製剤中に含まれる「アスコルビン酸又はその塩」の含量は、特に限定されないが、例えば、アスコルビン酸カルシウムとして固形製剤全体の1~80質量%、好ましくは7~70質量%、より好ましくは15~45質量%である。
【0012】
本発明における固形製剤に含まれる「メキタジン」と「アスコルビン酸又はその塩」の質量比は、特に限定されないが、メキタジンの1質量部に対して、アスコルビン酸又はその塩が12.5質量部以上、好ましくは75~200質量部、より好ましくは100~150質量部である。
【0013】
本発明における固形製剤には、本発明の効果を阻害しない限り、メキタジン及びアスコルビン酸又はその塩以外の有効成分、例えば、解熱鎮痛剤、鼻炎用薬、メキタジン以外の抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、去痰剤、気管支拡張剤、胃粘膜保護剤、カフェイン類、アスコルビン酸又はその塩以外のビタミン類、催眠鎮静剤、喀痰溶解剤、抗炎症剤、抗コリン剤、生薬類、漢方処方などを配合してもよい。
【0014】
解熱鎮痛剤としては、例えば、アスピリン(アセチルサリチル酸)、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、イブプロフェン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、エテンザミド、サザピリン、ラクチルフェネチジン、ケトプロフェン、イソプロピルアンチピリン、ロキソプロフェンナトリウムなどが例示できる。
鼻炎用薬として、プソイドエフェドリン塩酸塩、dl-マレイン酸クロルフェニラミン、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド、グリチルリチン酸ジカリウムなどが例示できる。
メキタジン以外の抗ヒスタミン剤としては、例えば、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、タンニン酸ジフェンヒドラミン、酒石酸アリメマジン、塩酸イソチペンジル、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、塩酸ジフェテロール、リン酸ジフェテロール、トリプロリジン塩酸塩水和物、塩酸トリペレナミン、塩酸トンジルアミン、塩酸フェネタジン、塩酸メトジラジン、ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン、ナパジシル酸メブヒドロリン、マレイン酸カルビノキサミン、塩酸イプロヘプチン、塩酸プロメタジン、酒石酸アリメマジン、タンニン酸フェネタジン、クレマスチンフマル酸塩などが例示できる。
麻薬性鎮咳剤としては、例えば、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩などが例示できる。
非麻薬性鎮咳剤としては、例えば、アロクラミド、イソアミニル、エプラジノン、オキセラジン、クロフェダノール、クロブチノール、クロペラスチン、ジブナート、ジメモルファン、チペピジン、デキストロメトルファン、ノスカピン、ヒドロコタルニン、ペントキシベリン、ベンプロペリン及びホミノベン、並びにそれらの塩及び水和物が挙げられ、それらの塩及び水和物としては、例えば、塩酸アロクラミド、クロペラスチン塩酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸塩、ジブナートナトリウム、ジメモルファンリン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、チペピジンクエン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、デキストロメトルファンフェノールフタリン塩、ペントキシベリンクエン酸塩及びそれらの水和物が例示できる。
去痰剤としては、例えば、グアヤコールスルホン酸カリウム、ブロムヘキシン塩酸塩、グアイフェネシン、クエン酸チペピジン、L-カルボシステイン、塩化アンモニウム、l-メントール、アンモニア・ウイキョウ精、クレゾールスルホン酸カリウムなどが例示できる。
気管支拡張剤としては、例えば、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、dl-メチルエフェドリンサッカリン塩、塩酸トリメトキノール、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩酸メトキシフェナミン、l-塩酸メチルエフェドリン、プソイドエフェドリン塩酸塩、アミノフィリン、ジプロフィリン、テオフィリン、プロキシフィリンなどが例示できる。
胃粘膜保護剤としては、例えば、グリシン、アミノ酢酸、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩、水酸化アルミニウムゲル、乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウムなどが例示できる。
カフェイン類としては、例えば、安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェイン水和物、無水カフェインなどが例示できる。
アスコルビン酸又はその塩以外のビタミン類としては、例えば、ビタミンB類又はその誘導体若しくはそれらの塩、例えばチアミン硝化物、ビタミンB類又はその誘導体若しくはそれらの塩、例えばリボフラビン、ビタミンP(ヘスペリジン)又はその誘導体若しくはそれらの塩などが例示できる。
催眠鎮静剤として、例えば、アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロムワレリル尿素などが例示できる。
喀痰溶解剤としては、例えば、塩化リゾチーム、L-エチルシステイン塩酸塩、塩酸メチルシステインなどが例示できる。
抗炎症剤としては、例えば、塩化リゾチーム、セラプターゼ、グリチルリチン酸及びその塩、トラネキサム酸及びその塩などが例示できる。
抗コリン剤としては、例えば、ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミドなどが例示できる。
生薬類としては、例えば、マオウ、ナンテンジツ、オウヒ、オンジ、カンゾウ、キキョウ、シャゼンシ、シャゼンソウ、セキサン、セネガ、バイモ、ウイキョウ、オウバク、オウレン、ガジュツ、カミツレ、ケイヒ、ゲンチアナ、ゴオウ、獣胆(ユウタン含む)、シャジン、ショウキョウ、ソウジュツ、チョウジ、チンピ、ビャクジュツ、ジリュウ、チクセツニンジン、ニンジンなどが例示できる。
漢方処方としては、例えば、葛根湯、葛根湯加桔梗、桂皮湯、香蘇散、柴胡桂皮湯、小柴胡湯、小青竜湯、麦門冬湯、半夏厚朴湯、麻黄湯などが例示できる。
【0015】
本発明における固形製剤は、上記有効成分の他、本発明の効果を阻害しない限り、製剤技術分野において慣用の薬学的に許容される担体又は添加剤をさらに含有していてもよい。
担体又は添加剤としては、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤、安定化剤、矯味剤、香料などが挙げられる。これら担体又は添加剤は、製剤技術分野において慣用の量が用いられる。
【0016】
賦形剤としては、例えば、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギコデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、有孔デンプンなどのデンプン類;乳糖水和物、精製白糖、果糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、トレハロース、マルチトール、粉末還元麦芽糖水アメ、ラクチトールなどの糖又は糖アルコール類;無水リン酸水素カルシウム、結晶セルロース、粉末セルロース、沈降炭酸カルシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)、ヒドロキシプロピルスターチなどが用いられ、好ましくは、クロスカルメロースナトリウム、L-HPCである。
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ポリビニルピロリドン、コポリビドン、アラビアゴム末、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、デキストリン、部分アルファー化デンプン、プルラン、アラビアゴム、カンテン、ゼラチン、トラガント、アルギン酸ナトリウムなどが用いられ、好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルクなどが用いられ、好ましくは、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムである。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
着色剤としては、例えば、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、食用青色1号、食用青色2号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用レーキ色素、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、酸化チタンなどが挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、リン酸、炭酸、酒石酸、フマル酸、酢酸、アミノ酸及びそれらの塩などが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールなどが挙げられる。
安定化剤としては、例えば、トコフェロール、エデト酸四ナトリウム、ニコチン酸アミド、シクロデキストリン類などが挙げられる。
矯味剤としては、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、スクラロース、ステビアエキスなどが挙げられる。
香料としては、例えば、L-メントール、ハッカ油、レモン油、バニリンなどが挙げられる。
【0017】
本発明の(A)メキタジン及び(B)アスコルビン酸又はその塩を含有する固形製剤において、
(A)メキタジン、及び(B)アスコルビン酸又はその塩は、別々の造粒物であるか、又は(A)メキタジン、及び(B)アスコルビン酸又はその塩の一方の成分のみが造粒物であって、かつもう一方の成分が該造粒物内に含まれていない。
【0018】
したがって、本発明の固形製剤において、メキタジン及びアスコルビン酸又はその塩は、同一造粒物内には含まれない。メキタジンのみが造粒物である場合、アスコルビン酸又はその塩は当該メキタジン造粒物内には含まれず、アスコルビン酸又はその塩は固形製剤に非造粒物として含まれる。一方、アスコルビン酸又はその塩のみが造粒物である場合、メキタジンは当該アスコルビン酸又はその塩の造粒物内には含まれず、メキタジンは固形製剤に非造粒物として含まれる。
【0019】
本発明におけるメキタジンの造粒物は、アスコルビン酸又はその塩を含まなければ、メキタジン以外に必要に応じて他の有効成分及び添加剤を含んでもよい。また、本発明の固形製剤において、メキタジンの造粒物は、必要に応じて他の有効成分及び添加剤と混合されて製剤化され得る。
【0020】
本発明におけるアスコルビン酸又はその塩の造粒物は、メキタジンを含まなければ、アスコルビン酸又はその塩以外に必要に応じて他の有効成分及び添加剤を含んでもよい。また、本発明の固形製剤において、アスコルビン酸又はその塩の造粒物は、必要に応じて他の有効成分及び添加剤と混合されて製剤化され得る。
【0021】
本発明における固形製剤としては、例えば、錠剤(素錠、コーティング錠、フィルムコーティング錠、糖衣錠、薄層糖衣錠、口腔内崩壊錠、チュアブル錠などを含む)、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤が挙げられ、好ましくは錠剤である。例えば、本発明における固形製剤が錠剤の場合、固形製剤は、好ましくは多層錠であり、より好ましくは二層錠である。
【0022】
本発明において、多層錠は、異なる組成を有する2層又は3層以上から形成される錠剤であり、二層錠は、異なる組成を有する2層から形成される錠剤である。
【0023】
本発明の(A)メキタジン及び(B)アスコルビン酸又はその塩を含有する固形製剤の製造法では、
(A)メキタジン、及び(B)アスコルビン酸又はその塩を別々に造粒するか、又は
(A)メキタジン、及び(B)アスコルビン酸又はその塩の一方の成分のみを造粒した後に、もう一方の成分を添加する。
【0024】
したがって、本発明の固形製剤の製造法において、メキタジン及びアスコルビン酸又はその塩を別々に造粒する場合、各々の造粒後、製剤化する。あるいは、メキタジンのみを造粒する場合、造粒後、アスコルビン酸又はその塩を添加して、固形製剤を製造する。また、アスコルビン酸又はその塩のみを造粒する場合、造粒後、アスコルビン酸又はその塩を添加して、固形製剤を製造する。
【0025】
本発明の固形製剤は、常法、例えば、造粒ハンドブック(日本粉体工業技術協会編、オーム社)、経口投与製剤の処方設計(京都大学大学院薬学研究科教授橋田充編、薬業時報社)、粉体の圧縮成形技術(粉体工学・製剤と粒子設計部会編、日刊工業新聞社)、製剤機械技術ハンドブック(第2版、製剤機械技術研究会設立20周年記念出版編集委員会編、製剤機械技術研究会)のような刊行物に記載されている方法を用いて製造することができる。
【0026】
造粒方法は特に限定されず、公知の方法(押し出し造粒、転動造粒、撹拌造粒、流動層造粒、噴霧乾燥造粒、破砕造粒、溶融造粒等)を用いればよい。必要に応じて、得られた造粒物を、製剤一般に用いられる方法により、乾燥、整粒などを行ってもよい。
【0027】
例えば、本発明の固形製剤が錠剤である場合、メキタジン及びアスコルビン酸又はその塩を別々に造粒し、メキタジン造粒物及びアスコルビン酸又はその塩の造粒物を、必要により更なる添加剤とともに、上記の造粒ハンドブックなどの刊行物に記載されている方法を用いて、例えば、製剤一般に用いられる各種打錠機(例えば、ロータリー式打錠機など)を使用して打錠し、錠剤とすることができる。あるいは、メキタジンのみを造粒して、当該メキタジン造粒物及びアスコルビン酸又はその塩を、必要により更なる添加剤とともに打錠し、錠剤としてもよい。また、アスコルビン酸又はその塩のみを造粒して、当該アスコルビン酸又はその塩の造粒物及びメキタジンを、必要により更なる添加剤とともに打錠し、錠剤としてもよい。
【0028】
特に、本発明における固形製剤が多層錠である場合、メキタジン及びアスコルビン酸又はその塩を別々に造粒し、メキタジン造粒物及びアスコルビン酸又はその塩の造粒物、必要により更なる添加剤を、層状に積み重ねて打錠して多層錠を製造することができる。あるいは、メキタジンのみを造粒して、当該メキタジン造粒物及びアスコルビン酸又はその塩、必要により更なる添加剤を、層状に積み重ねて打錠して多層錠を製造してもよい。また、アスコルビン酸又はその塩のみを造粒して、当該アスコルビン酸又はその塩の造粒物及びメキタジン、必要により更なる添加剤を、層状に積み重ねて打錠して多層錠を製造してもよい。
【0029】
本発明における固形製剤がカプセル剤である場合、メキタジン及びアスコルビン酸又はその塩を別々に造粒し、メキタジン造粒物及びアスコルビン酸又はその塩の造粒物、必要により更なる添加剤を、カプセルに充填しカプセル剤を製造することができる。あるいは、メキタジンのみを造粒して、当該メキタジン造粒物及びアスコルビン酸又はその塩、必要により更なる添加剤を、カプセルに充填しカプセル剤を製造してもよい。また、アスコルビン酸又はその塩のみを造粒して、当該アスコルビン酸又はその塩の造粒物及びメキタジン、必要により更なる添加剤を、カプセルに充填しカプセル剤を製造してもよい。
【0030】
本発明における固形製剤は、通常配合されるコーティング基剤を用いて常法によりコーティングされてもよい。例えば、錠剤を、コーティング基剤を用いてコーティングし、フィルムコーティング錠としてもよい。
コーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポビドン、コポリビドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール共重合体、マクロゴールなどの水溶性基剤、エチルセルロースなどの水不溶性基剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、メタクリル酸コポリマー、アクリル酸コポリマー、カルボキシビニルポリマーなどの腸溶性基剤、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、ポリビニルアセタートジエチルアミノアセテートなどの胃溶性基剤、アラビアゴム、プルラン、カルナウバロウ、セラック、マクロゴール類、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
また、本発明において、コーティング基剤は、1種であっても2種以上であってもよい。
さらに、コーティングにコーティング添加剤を用いてもよい。コーティング添加剤としては、例えば、遮光剤、流動化剤、着色剤、可塑剤などが挙げられる。
可塑剤としては、例えば、コポリビドン、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、ヒマシ油、ポリソルベートなどが挙げられる。
【実施例0031】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0032】
(実施例1)
下記表1の区分Aに示した処方に従って各成分を混合して造粒し、1層目造粒物及び2層目造粒物をそれぞれ得た。得られた1層目造粒物及び2層目造粒物をそれぞれ、区分Bに示した処方に従って各成分と混合し、1層目混合物及び2層目混合物を得た。得られた1層目混合物及び2層目混合物を打錠機に投入し、積層に打錠して、二層錠を得た。
(実施例2)
下記表1の区分Aに示した処方に従って各成分を混合して造粒し、第1群造粒物及び第2群造粒物をそれぞれ得た。得られた第1群造粒物及び第2群造粒物を、区分Bに示した処方に従って各成分と混合した。得られた混合物を打錠機に投入し、打錠して、錠剤を得た。
(比較例1)
下記表1の区分Aに示した処方に従って各成分を混合し、造粒した。得られた造粒物を、区分Bに示した処方に従って各成分と混合した。得られた混合物を打錠機に投入し、打錠して、単層錠を得た。
【表1】
【0033】
(試験例)
上記で得られた錠剤を、加速条件下(40℃)で保存した。3か月又は6か月保存後のメキタジンの残存率(%)を測定した。その結果を表2に示す。
【表2】
【0034】
表2に示すとおり、メキタジンとアスコルビン酸カルシウムを同群で造粒し単層錠とした場合(比較例1)、保存後、メキタジンの残存率が低下した。一方、メキタジン及びアスコルビン酸カルシウムを含む二層錠にした場合(実施例1)及びメキタジンとアスコルビン酸カルシウムを別群で造粒した場合(実施例2)、メキタジンの残存率は高いまま維持され、メキタジンの保存安定性が改善した。
【0035】
(製造例)
下記表3の区分Aに示した処方に従って各成分を混合して造粒し、1層目造粒物及び2層目造粒物をそれぞれ得た。得られた1層目造粒物及び2層目造粒物をそれぞれ、区分Bに示した処方に従って各成分と混合し、1層目混合物及び2層目混合物を得た。得られた1層目混合物及び2層目混合物を打錠機に投入し、積層に打錠して、素錠を得た。得られた素錠を区分Cに示した処方に従ってコーティングし、コーティング錠を得た。
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0036】
メキタジン及びアスコルビン酸又はその塩を含む固形製剤において、メキタジン及びアスコルビン酸又はその塩が別々の造粒物であるか、又は、メキタジン及びアスコルビン酸又はその塩の一方の成分のみが造粒物であって、かつもう一方の成分が該造粒物内に含まれていない固形製剤にすることにより、メキタジンの含量低下を抑制することができ、良好な安定性を有する固形製剤を提供することができる。