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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104629
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20220701BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20220701BHJP
【FI】
G06Q50/16
G06Q30/02 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214769
(22)【出願日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2020218105
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】511206216
【氏名又は名称】西川 忠男
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(74)【代理人】
【識別番号】100166659
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 和也
(72)【発明者】
【氏名】西川 忠男
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
5L049CC29
(57)【要約】
【課題】建築物における共有設備の利用対象者が対象の共有設備を使用しない場合に当該利用対象者に対して特典を付与すること。
【解決手段】記録装置と、サーバ装置と、情報端末とを備え、該情報端末には、利用対象者の共有設備の不使用動作を検出する不使用動作検出部と、不使用動作を検出した場合にサーバ装置に対して不使用動作検出情報を送信する検出結果送信部とが設けられ、サーバ装置は、利用対象者を特定するための利用対象者情報を記録装置に記録して登録する登録部と、情報端末からの不使用動作検出情報を受信し、利用対象者を特定した状態で記録装置に記録する不使用動作記録部と、不使用動作記録部において記録した利用対象者の不使用動作の検出結果に基づいて、該利用対象者に対する特典を決定する特典決定部とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物における共有設備の利用対象者が対象の共有設備を使用しない場合に該利用対象者に対して特典を付与する処理を実行するための情報処理システムであって、
情報を記録する記録装置と、
サーバ装置と、
前記建築物側の情報端末と、前記利用対象者が所持する情報端末との少なくとも何れか一方とを備え、
前記情報端末には、
前記利用対象者の前記共有設備の不使用動作を検出する不使用動作検出部と、
前記不使用動作を検出した場合に前記サーバ装置に対して不使用動作検出情報を送信する検出結果送信部とが設けられ、
前記サーバ装置は、
前記利用対象者を特定するための情報である利用対象者情報を前記記録装置に記録して登録する登録部と、
前記情報端末からの不使用動作検出情報を受信し、前記利用対象者を特定した状態で前記記録装置に記録する不使用動作記録部と、
前記不使用動作記録部において記録した前記利用対象者の不使用動作の検出結果に基づいて、該利用対象者に対する特典を決定する特典決定部とを有する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記共有設備は、前記建築物に設置されたエレベータと、エスカレータとの少なくとも何れか一方であり、
前記不使用動作を、前記建築物に設置された階段を上り下りする動作である階段利用動作とし、
前記不使用動作検出部は、センサによって前記階段利用動作を直接的又は間接的に検出する
請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記不使用動作検出部は、前記利用対象者の情報端末であるユーザ端末に設けられた位置推定手段に基づいて前記ユーザ端末が不使用動作検出対象の階段に近づいたことを検知し、該ユーザ端末に設けられた方位センサ、加速度センサ又はジャイロセンサの挙動に基づいて階段の上り下り動作を検知することにより、前記階段利用動作を検出する
請求項2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記建築物内の定められた所定の場所であって且つ前記利用対象者が前記共有設備を使用する場合にはその通過が想定され難い場所である不使用予測地点を、前記利用対象者が通過する動作を、前記不使用動作としてセンサによって検出する
請求項1乃至3の何れかに記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記共有設備は、前記建築物側に設置され電力を消費する電力消費部と、前記建築物側に設置され水を消費する水消消費部と、前記建築物側に設置されガスを消費するガス消費部との少なくとも何れか一方であり、
前記不使用動作検出部は、前記利用対象者の前記建築物への入場と、その後の該建築物からの退場とがセンサによって検知された場合、その間に前記利用対象者が前記共有設備を使用したことがセンサによって検出されなかったことを条件として、前記不使用動作を検出する
請求項1乃至4の何れかに記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記検出結果送信部は、前記不使用動作検出情報と共に、前記利用対象者を識別する識別情報を、前記サーバ装置に送信するように構成され、
前記登録部は、前記利用対象者情報を、前記情報端末から送られてくる前記識別情報と関連付けして前記記憶装置に記録して登録するように構成された
請求項1乃至5の何れかに記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記識別情報は、前記利用対象者の情報端末であるユーザ端末を識別する情報である
請求項6記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記建築物側の情報端末である建築物側端末は、前記建築物側に設けられた生体情報取得手段によって取得される前記利用対象者の生体情報又はカメラによって撮影された前記利用対象者の画像情報を前記識別情報として取得する識別情報取得部を有する
請求項6記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記特典決定部は、前記不使用動作記録部による不使用動作の記録結果が所定条件を満たす場合には、日常的に不使用動作を実行している利用対象者であると認定して前記特典の決定に反映させる
請求項1乃至8の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記特典は、共有設備に対する共益費の減額である
請求項1乃至9の何れか一項に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物における共有設備の利用対象者が対象の共有設備を使用しない場合に当該利用対象者に対して特典を付与する処理を実行するための情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
マンションやテナントビルなど、複数の入居者が利用する建築物においては、エレベータ、エスカレータ、照明、多目的ルームなど様々な共有設備について、入居者から共益費を徴収することで共有設備の維持管理や不具合時の修繕に必要な費用などを賄う仕組みが導入されていることが多い。共益費は、一般的には利用率に関わらず一定額を徴収する仕組みである場合が多く、その場合、共有設備を全く利用しない入居者にとっては不公平感が残る。
【0003】
ここで、例えば、特許文献1には、ビル内の各テナントのキーをキーボックスで管理し、キーボックスからカギが持ち出されて再度キーボックスに戻されるまでの期間である利用時間の積算時間に応じてビルの共益費の分担金を算出する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平02-125396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1によれば、テナントの利用時間に応じて共益費の分担割合を算出できるが、テナントを長時間利用することと共有設備を利用することとには必ずしも相関関係が存在するとはいえない。例えば、ビルの2階の入居者がテナント内で最も利用時間が長いとしても、2階までの移動を必ず階段を使用している場合には、その入居者はエレベータという共有設備の中でも費用負担の大きい設備を利用していないことになり、そのような入居者の共益費の分担率を上げることは公平性に欠けるといえる。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、建築物における共有設備の利用対象者が対象の共有設備を使用しない場合に当該利用対象者に対して特典を付与する処理を実行可能な情報処理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理システムは、建築物における共有設備の利用対象者が対象の共有設備を使用しない場合に該利用対象者に対して特典を付与する処理を実行するための情報処理システムであって、情報を記録する記録装置と、サーバ装置と、前記建築物側の情報端末と、前記利用対象者が所持する情報端末との少なくとも何れか一方とを備え、前記情報端末には、前記利用対象者の前記共有設備の不使用動作を検出する不使用動作検出部と、前記不使用動作を検出した場合に前記サーバ装置に対して不使用動作検出情報を送信する検出結果送信部とが設けられ、前記サーバ装置は、前記利用対象者を特定するための情報である利用対象者情報を前記記録装置に記録して登録する登録部と、前記情報端末からの不使用動作検出情報を受信し、前記利用対象者を特定した状態で前記記録装置に記録する不使用動作記録部と、前記不使用動作記録部において記録した前記利用対象者の不使用動作の検出結果に基づいて、該利用対象者に対する特典を決定する特典決定部とを有することを特徴とする。
【0008】
また、前記共有設備は、前記建築物に設置されたエレベータと、エスカレータとの少なくとも何れか一方であり、前記不使用動作を、前記建築物に設置された階段を上り下りする動作である階段利用動作とし、前記不使用動作検出部は、センサによって前記階段利用動作を直接的又は間接的に検出することを特徴とする。
【0009】
また、前記不使用動作検出部は、前記利用対象者の情報端末であるユーザ端末に設けられた位置推定手段に基づいて前記ユーザ端末が不使用動作検出対象の階段に近づいたことを検知し、該ユーザ端末に設けられた方位センサ、加速度センサ又はジャイロセンサの挙動に基づいて階段の上り下り動作を検知することにより、前記階段利用動作を検出することを特徴とする。
【0010】
また、前記建築物内の定められた所定の場所であって且つ前記利用対象者が前記共有設備を使用する場合にはその通過が想定され難い場所である不使用予測地点を、前記利用対象者が通過する動作を、前記不使用動作としてセンサによって検出することを特徴とする。
【0011】
また、前記共有設備は、前記建築物側に設置され電力を消費する電力消費部と、前記建築物側に設置され水を消費する水消消費部と、前記建築物側に設置されガスを消費するガス消費部との少なくとも何れか一方であり、前記不使用動作検出部は、前記利用対象者の前記建築物への入場と、その後の該建築物からの退場とがセンサによって検知された場合、その間に前記利用対象者が前記共有設備を使用したことがセンサによって検出されなかったことを条件として、前記不使用動作を検出することを特徴とする。
【0012】
また、前記検出結果送信部は、前記不使用動作検出情報と共に、前記利用対象者を識別する識別情報を、前記サーバ装置に送信するように構成され、前記登録部は、前記利用対象者情報を、前記情報端末から送られてくる前記識別情報と関連付けして前記記憶装置に記録して登録するように構成されたことを特徴とする。
【0013】
また、前記識別情報は、前記利用対象者の情報端末であるユーザ端末を識別する情報であることを特徴とする。
【0014】
また、前記建築物側の情報端末である建築物側端末は、前記建築物側に設けられた生体情報取得手段によって取得される前記利用対象者の生体情報又はカメラによって撮影された前記利用対象者の画像情報を前記識別情報として取得する識別情報取得部を有することを特徴とする。
【0015】
また、前記特典決定部は、前記不使用動作記録部による不使用動作の記録結果が所定条件を満たす場合には、日常的に不使用動作を実行している利用対象者であると認定して前記特典の決定に反映させることを特徴とする。
【0016】
また、前記特典は、共有設備に対する共益費の減額であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、利用対象者の不使用動作検出結果情報に基づいて当該利用対象者に対する特典を決定することが可能となるため、例えば、エレベータの替わりに階段を利用していることが不使用動作として検出された利用対象者については、共益費を減額する等の特典が付与されるので、使用していない共有設備についての費用負担の公平性を担保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る情報処理システム100の構成の一例を表したブロック図である。
図2】本発明に係る情報処理システム100におけるサーバ装置10の構成の一例を表したブロック図である。
図3】本発明に係る情報処理システム100におけるユーザ端末20の構成の一例を表したブロック図である。
図4】本発明に係る情報処理システム100における情報処理の流れの一例を表したフローチャート図である。
図5】本発明の別実施形態に係る情報処理システム100´の構成の一例を表したブロック図である。
図6】本発明の別実施形態に係る情報処理システム100´における建築物側端末40の構成の一例を表したブロック図である。
図7】本発明の別実施形態に係る情報処理システム100´における情報処理の流れの一例を表したフローチャート図である。
図8】IoT端末として機能するセンサの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る情報処理システムの例について説明する。図1は、本発明に係る情報処理システム100の構成の一例を表したブロック図である。図1に示すように、情報処理システム100は、サーバ装置10と、情報処理システム100によって管理する共有設備の利用対象者が所持する情報端末であるユーザ端末(20,201~20n(nは任意の整数)とを含む。サーバ10と複数のユーザ端末20,201~20nは、それぞれインターネットなどの無線、有線又はこれらの組み合わせた通信ネットワーク30に接続されている。なお、図示しないが、複数のユーザ端末20,201~20nは、通信業者によって管理される基地局と無線通信回線によるデータ通信を行うことによって、通信ネットワーク30と接続する。
【0020】
サーバ10は、情報処理システム100の管理者によって管理され、複数のユーザ端末20,201~20Nに対して各種処理に関する情報を提供するための各種機能を有する。本例において、サーバ10は、WWWサーバなどの情報処理装置によって構成され、各種情報を格納する図示しない記憶媒体(記録装置)を備える。サーバ10の構成は、制御部や通信部などコンピュータとして各種処理を行うための一般的な構成を備えていれば特に限定されない。以下、サーバ10のハードウェア構成の例について簡単に説明する。なお、サーバ装置10は、一般的なコンピュータやサーバ装置が通常備えているであろうCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)と、メモリと、ハードディスクドライブ、SSD等のストレージと、通信ネットワークと接続するための通信装置とを備えており、これらがバスを介して接続されているものとする。ちなみに、上述した記録装置は、主にストレージから構成されるが、メモリによってその一部を構成してもよい。また、GPU(Graphics Processing Unit:画像処理装置)を備える構成であってもよい。サーバ装置10の各部における処理は、これらの各部における処理を実行するためのプログラムをメモリから読み込んで制御部(制御回路、Processing circuit、Processing circuitry)として機能するCPUやGPUにおいて実行することで実現する。言い換えると、当該プログラムの実行により、プロセッサ(処理回路)が、各装置の各処理を実行できるように構成される。
【0021】
複数のユーザ端末20,201~20nは、それぞれ、ユーザによって管理され、例えば、スマートフォンなどの携帯電話端末やPDA(Personal Digital Assistants)、携帯型ゲーム装置や所謂ウェアラブルデバイスなどのネットワーク接続が可能な通信端末によって構成される。また、複数のユーザ端末20,201~20nは、それぞれ、通信ネットワーク30に接続し、サーバ10との通信を行うことにより各種処理を実行するためのハードウェア及びソフトウェアを備える。
【0022】
図2は、本発明に係る情報処理システム100におけるサーバ装置10の構成の一例を表したブロック図である。この図2に示すように、サーバ装置10は、登録部11と、不使用動作記録部12と、特典決定部13とを備えている。
【0023】
登録部11は、利用対象者を特定するための情報である利用対象者情報と、利用対象者の所持するユーザ端末の識別情報とを関連付けて記録装置に記録して登録する機能を有する。ここで、利用対象者とは、共有設備を正当に利用できる者のことをいい、例えば、建築物の一部又は全部を所有している自然人又は法人(以下、単に「者」と称する)、建築物の一部又は全部を借りている者、それらの者に雇われている者、建築物に設けられた店舗に客として訪れる者等が利用対象者として想定され、さらに、これらの者以外で共益費を支払っている者を利用対象者に含めてもよい。共有設備を備える建築物としては、例えば、マンション、デパート、テナントビル、駅、空港、港などが考えられる。オフィスとして利用している企業が共益費を支払っている場合、上述した通り、その企業の従業員全員を利用対象者として設定してもよい。利用対象者情報とは、利用対象者を特定するための様々な情報のことをいう。ユーザ端末の識別情報とは、本例では、サーバ装置10にて通信相手のユーザ端末20が誰の所持する端末であるかを特定するための情報のことをいい、例えば、スマートフォンなどの携帯端末のSIMカードが備える固有の識別番号が該当する。この登録部11では、通信相手のユーザ端末20が何れの利用対象者の所有する端末であるかを予め登録しておく。要するに、利用対象者の識別情報があれば、該識別情報がその者の利用対象者情報と関連付けされた状態でサーバ装置10の記憶部に予め記憶されているので、そこからその者の利用対象者情報が分かり、これによってその者が個別具体的に特定できる。
【0024】
不使用動作記録部12は、ユーザ端末20から、それを所持する利用対象者の不使用動作検出情報を、該利用対象者の識別情報と共に受信し、利用対象者を特定した状態で記録する機能を有する。ここで、不使用動作とは、その動作を検出することが何れかの共有設備を使用していないことを特定する関係性となる動作のことをいう。具体的には、共有設備がエレベータ若しくはエスカレータである場合に、階段を利用する動作は不使用動作といえる。このように、不使用動作を定義してこれを検出することで共有設備を利用していない利用対象者を特定する。この不使用動作記録部12は、ユーザ端末20において検出した不使用動作の検出結果の情報を受信して、そのユーザ端末20の所有者である利用対象者に関連付けて上記記録装置に記録する。
【0025】
特典決定部13は、不使用動作記録部において記録した利用対象者の不使用動作検出結果情報に基づいて、当該利用対象者に対する特典を決定する機能を有する。不使用動作を実行した利用対象者に付与される特典はどのようなものであってもよい。例えば、共益費や家賃を減額する特典が考えられる。また、直接に共益費の金額には影響しないが、別途、買い物等に利用可能な何らかのカードのポイント、商品の提供の他、現金自体の提供などが考えられる。また、不使用動作の検出回数や検出頻度に応じて特典の内容を変化させるようにしてもよい。例えば、不使用動作の検出回数や頻度が所定条件を満たす場合に、日常的に不使用動作を実行している利用対象者であると認定して特典を大幅に優遇することが考えられる。また、不使用動作の検出回数や頻度によって、ランク分けするような方法も考えられる。階段を例にすると、日常的にほぼ階段を使用する人、高頻度で階段を使用する人、たまに階段を使用する人、全く階段を使用しない人、というようにランク分けして、ランクに応じて特典の優遇度合いを変化させるようにすることが考えられる。
【0026】
図3は、本発明に係る情報処理システム100におけるユーザ端末20の構成の一例を表したブロック図である。この図3に示すように、ユーザ端末20は、不使用動作検出部21と、検出結果送信部22とを備えている。また、ユーザ端末20の状態を詳細に把握して不使用動作を高精度に検出するためには、ユーザ端末20についての位置推定手段23と、方位センサ24、加速度センサ25と、ジャイロセンサ26などの各種センサとを備えていることが好ましい。
【0027】
不使用動作検出部21は、共有設備の不使用動作を検出する機能を有する。不使用動作の検出手法は、高精度に検出可能なように対象の共有設備ごとに適宜設定されるものである。具体例として、不使用動作は階段利用動作である場合を例に説明すると、先ず、ユーザ端末20が備える位置推定手段23に基づいて前記ユーザ端末が不使用動作検出対象の階段に近づいたことを検出する。位置推定手段23は、GPS機能231や、近距離無線通信機能232などが考えられる。GPS機能231は、GPS信号に基づいてユーザ端末20の位置を推定するものであり、近距離無線通信機能232は、階段の踊り場などに別途設置したビーコン発信機などの無線装置からの無線信号を受信して、その受信強度に基づいて位置を推定するものである。そして、方位センサ24、加速度センサ25と、ジャイロセンサ26などの各種センサの挙動に基づいて、歩いて階段の上り下り動作を行っている状態を検出して、不使用動作を実行していることを検出することが考えられる。予め階段の上り下り時の各種センサの挙動を記憶させておくことで検出が可能となる。使用するセンサは1つであってもよいし、適宜複数を組み合わせてもよい。また、高度計センサ(気圧センサ)を備えさせ、上記の各種センサの挙動に基づいて階段昇降動作を検出するとともに、そのときに高度の変化が生じていることを検出することで、より高精度に階段昇降動作を不使用動作と検出するようにしてもよい。
【0028】
検出結果送信部22は、不使用動作を検出した場合に、サーバ装置10に対して不使用動作検出情報を、該検出結果送信部22が設けられたユーザ端末20を所持する利用対象者の識別情報と共に送信する機能を有する。ユーザ端末20で不使用動作を検出したことをサーバ装置10に送信し、サーバ装置10の不使用動作記録部12においてこれを記録するようにする。
【0029】
次に、情報処理システム100における情報処理の流れについて説明する。図4は、本発明に係る情報処理システム100における情報処理の流れの一例を表したフローチャート図である。図4に示すように、情報処理は、情報処理システム100を構成するユーザ端末20において不使用動作を検出することによって開始される(ステップS11)。次に、ユーザ端末20は、不使用動作検出情報をサーバ装置10に対して送信する(ステップS12)。次に、不使用動作検出情報を受信したサーバ装置10は、不使用動作検出情報をユーザ端末20と関連付けて記録する(ステップS13)。そして、サーバ装置10は、記録した不使用動作検出情報が所定条件を満たした場合に、そのユーザ端末20を所持する利用対象者に対する特典を決定して(ステップS14)、情報処理を終了する。
【0030】
以上のように、本発明に係る情報処理システム100によれば、利用対象者の不使用動作検出結果情報に基づいて当該利用対象者に対する特典を決定することが可能となるため、例えば、エレベータの替わりに階段を利用していることが不使用動作として検出された利用対象者については、共益費を減額する等の特典が付与されるので、使用していない共有設備についての費用負担の公平性を担保することが可能となる。
【0031】
なお、図3に仮想線で示すように、ユーザ端末20に、利用対象者の共有設備の使用動作を検出する使用動作検出部27を設けるとともに、サーバ装置10に、利用対象者のユーザ端末20からの使用動作の検出の情報である使用動作検出情報を該利用対象者の識別情報と共に受信し、該利用対象者を特定した状態で上記記録装置に記録する使用記録部14とを設けてもよい。使用動作の検出は、基本的には、不使用動作を検出するのに用いた各種のセンサ24,25,26や位置推定手段23を用いることによって実現可能である。この利用対象者の使用動作の検出結果は、該利用対象者の識別情報と共に、検出結果送信部22により通信ネットワーク30を介してサーバ装置10に送信される。このようにして記録装置に蓄積された各利用対象者の使用動作検出情報は、その回数や頻度や内容によって分析され、その分析の結果は特典の内容に適宜活用することが可能である他、利用対象者がユーザ端末20を介して自己の共有設備の不使用や使用の頻度の確認に利用してもよい。
【0032】
また、記録装置をサーバ装置10に設けた例について説明したが、該記録装置を、サーバ装置10と通信ネットワーク30を介して通信可能な別のファイルサーバに設けてもよい。この場合、サーバ装置10は、このファイルサーバの記録装置によってデータの読書を実行し、同様の処理を行う。
【0033】
次に、図5乃至図7に基づき、本発明の別実施形態につき、上述の形態と異なる部分を説明する。
【0034】
図5は、本発明の別実施形態に係る情報処理システム100´の構成の一例を表したブロック図である。上述の実施形態では、情報端末として利用対象者が所持するユーザ端末20のみを設けていたが、本実施形態では、ユーザ端末20とは別に建築物側に移動可能又は固定的に配置された建築物側端末40を情報端末として設けている。建築物側端末40は、そのハードウェア構成はユーザ端末20と同一又は略同一であり、サーバ装置10及びユーザ端末20に対し、通信ネットワーク30を介し、無線又は有線によって相互通信することが可能である。なお、図示する例では、ユーザ端末20及び建築物側端末40の両方を設けているが、建築物側端末40は、基本的には、ユーザ端末20と同様に機能をするため、ユーザ端末20は省略してもよい。ちなみに、IoT端末として機能し且つセンサを含むセンサ装置自体を建築物側端末40としてもよいし、或いは、スマートフォンやPC等の専用の情報端末を建築物側端末40としてもよい。
【0035】
図6は、本発明の別実施形態に係る情報処理システム100´における建築物側端末40の構成の一例を表したブロック図である。同図に示す通り、建築物側端末40は、ユーザ端末20と同様、不使用動作検出部41と、使用動作検出部42と、検出結果送信部44と、使用動作や不使用動作に関係する各種の状態を検出する一又は複数の検出センサ(センサ)45とを有している他、利用対象者を識別する識別情報取得部43と、それに用いる生体情報取得手段46及びカメラ47が設けられている。不使用動作検出部41は上述した不使用動作検出部21と同一又は略同一に構成され、使用動作検出部42は上述した使用動作検出部27と同一又は略同一に構成され、検出結果送信部44は上述した検出結果送信部22と同一又は略同一に構成されている。ところで、利用対象者毎の所持が前提になっているユーザ端末20では、ユーザ端末20が識別できれば、それを所持している利用対象者も識別可能であるが、建築物側端末40は、建築物側に設けられているものであるため、利用対象者を識別する識別情報を別途取得する必要があり、このために上述した識別情報取得部43が設けられている。
【0036】
このような目的で設けられた識別情報取得部43は、利用対象者が所持するユーザ端末20と無線通信することによって、該利用対象者の識別情報を取得することが可能である他、識別取得の取得に際して利用対象者自身の画像や生体情報を識別情報として活用してもよい。具体的には、識別情報取得部43は、建築物側端末40に設けられた生体情報取得手段46によって利用対象者の生体認証が可能な情報である生体情報を取得し、該生態情報を検出結果送信部44により識別情報としてそのままサーバ装置10に送信するか、或いは該利用対象者の特定が容易な情報に変換し、その変換後の情報を識別情報として検出結果送信部44によりサーバ装置10に送信する。すなわち、識別情報取得部43は、生体情報に基づいて識別情報を生成することも可能である。ちなみに、生体情報としては、指紋、静脈又は声等の情報が想定される。
【0037】
一方、この識別情報取得部43は、建築物側端末40に設けられたカメラ47によって利用対象者を撮影し、その撮影された該利用対象者の撮影画像を、検出結果送信部44により、そのまま識別情報としてサーバ装置10に送信してもよいし、或いは、該利用対象者の特定が容易な情報に変換し、その変換後の情報を識別情報として検出結果送信部44によりサーバ装置10に送信する。すなわち、識別情報取得部43は、利用対象者の画像情報に基づいて該利用対象者の全体又は顔等の予め定めた部分の認証を行い、これによって識別情報を生成することも可能である。なお、識別情報取得部43の識別情報を生成する機能は、サーバ装置10の不使用動作記録部12又は使用動作記録部14等に付与してもよい。この場合、情報端末20,40の検出結果送信部22,44からサーバ装置10に送信される識別情報は、サーバ装置10によって記録装置に記録される識別情報と完全に同一ではなく、その後、サーバ装置10によって利用対象者の識別がよりし易いものに変換される前の簡易的な識別情報になる。
【0038】
続いて検出センサ45について説明すると、本例では、建築物内の予め設定した所定の場所(範囲)である設定地点の利用対象者の通過を検出する一又は複数の通過センサを検出センサ45として設けている。この設定地点として、建築物内の利用対象者の複数の移動経路上のある地点であるとともに、利用対象者が共有設備を使用するつもりの場合にはそこを通過することが想定し難い地点である不使用予測地点を選べば、通過センサによって不使用動作が検出可能になる。具体的には、エレベータやエスカレータ等の共有設備には向かわない移動経路(例えば、エレベータやエスカレータには向かわず且つ階段に向かう移動経路)上に設定地点を設ければ、通過センサによってエレベータやエスカレータ等の共有設備の不使用を間接的に検出することが可能になる。なお、利用対象者が共有設備を使用するつもりの場合に通過することが想定される地点である使用予測地点を設定地点として設定すれば、通過センサによって使用動作を間接的に検出することが可能になる。ちなみに、通過センサは、利用対象者の移動経路の形成方向に複数設ければ、設定地点の通過のみならず、その際の利用対象者の進行方向を検出することも可能になり、不使用動作の検出精度がより向上する。
【0039】
また、自動ドアやエレベータやエスカレータや各種のオフィス機器や照明具等の電力を消費する電力消費部と、水を消費するトイレや炊事場等の水消費部と、ガスを消費する風呂や給湯器や暖房や冷房等のガス消費部とのうちの少なくとも1つを共有設備とし、その電力、水又はガスの消費の有無を検出する消費検出センサ又はその消費量を検出する消費量検出センサを検出センサ45として設けてもよい。このような消費検出センサ又は消費量検出センサによれば、共有設備の使用動作や、その使用頻度を容易に検出可能になる。一方、消費検出センサや消費量検出センサによって利用対象者の不使用動作を検出する手段について説明すると、利用対象者の建築物への入場と退場を検出し、その入場から退場までの間において、消費検出センサ又は消費量検出センサによって、該利用対象者の電気、水又はガスの消費が確認されなかった場合、これを不使用動作として検出する。ちなみに、建築物への利用対象者の入場は該建築物の入口に設けた通過センサや該入口に設置された自動ドアの開閉をセンシングする開閉センサによって検出可能である。一方、建築物への利用対象者の退場は該建築物の出口に設けた通過センサや該出口に設置された自動ドアの開閉をセンシングする開閉センサによって検出可能である。建築物への出入の両方が可能な出入口の場合、通過センサを出入する方向に並べて複数設け、この複数の通過センサによって、利用対象者の通過の有無と共に通過時の進行方向を認識することによって、利用対象者の入場及び退場の両方を検出する。
【0040】
図7は、本発明の別実施形態に係る情報処理システム100´における情報処理の流れの一例を表したフローチャート図である。同図に示す例では、ユーザ端末20側に行っていた処理を、建築物側端末40によって行っている。ちなみに、図4に示すユーザ端末20の処理を、該ユーザ端末20と建築物側端末40とで分担してもよい。
【0041】
以上のように構成される情報処理システム100´によれば、手ぶらの利用対象者に対しても本発明の適用したシステムを提供可能になる。
【0042】
なお、IoTとして機能する電源タップを建築物側端末40として用いてもよい。この場合、建築物側端末40として機能する電源タップは、共有設備である各種の電力消費部に電力を供給することが可能であり、例えば、利用対象者が来たこと(すなわち、建築物に入場したこと)を検出した場合に自動で電力供給を開始する制御や、利用対象者が帰ったこと(すなわち、建築物から退場したこと)を検出した場合に自動で電力供給を停止する制御を実行し、節電をすることが可能である。また、このような電力の供給・停止の自動制御の実行の有無の切替を、ユーザ端末20から行うことも可能である。さらに、電源タップは地震を検出した場合に、電力供給を自動で停止させるような制御を実行することも可能である。
【0043】
次に、図3図6及び図8に基づき、本発明の別実施形態につき、上述の形態と異なる部分を説明する。
【0044】
図8は、IoT端末として機能するセンサの構成を示すブロック図である。上述した形態では、各種のセンサは、全て情報端末20,40に設けていたが、これをIoT端末として機能する通信端末50に置き換えてもよい。通信端末50は、情報端末20,40と無線通信可能であり、上述した各種のセンシング対象をセンシングするセンシング部51と、センシング部51によってセンシングされた情報であるセンシング情報(例えば、上述した検出結果等の情報)を情報端末20,40に送信する送信部52とを有している。これに対応して、ユーザ端末20や建築物側端末40には、通信端末50からのセンシング情報を受信するセンシング情報受信部28,48が設けられている。
【0045】
このような通信端末50を設けることによって、情報端末20,40自体に各種のセンサを設ける必要がなくなる。このため、後付けで、センサを必要箇所に適宜設けることも容易になり、全体の冗長性が向上する。
【符号の説明】
【0046】
100 情報処理システム
10 サーバ装置
11 登録部
12 不使用動作記録部
13 特典決定部
20、201~20n ユーザ端末(情報端末)
21 不使用動作検出部
22 検出結果送信部
23 位置推定手段
231 GPS機能
232 近距離無線通信機能
24 方位センサ
25 加速度センサ
26 ジャイロセンサ
30 通信ネットワーク
40 建築物側端末(情報端末)
43 識別情報取得部
45 検出センサ(通過センサ,消費検出センサ,消費量検出センサ)
46 生体情報取得手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8