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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104630
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】熱交換体
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20220701BHJP
   F28F 3/04 20060101ALI20220701BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20220701BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20220701BHJP
   F28F 21/00 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
F28F3/08 301A
F28F3/04 B
F28F3/00 301A
F28D9/00
F28F21/00
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214789
(22)【出願日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】202011582385.9
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111438607.4
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522001770
【氏名又は名称】中山市福維環境科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhongshan Fortune Way Environmental Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】2nd FLOOR, BUILDING B, NO.9, HUAN MAO 2nd ROAD, TORCH DEVELOPMENT ZONE, ZHONGSHAN,GUANGDONG,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】万子潜
(72)【発明者】
【氏名】黄曦
(72)【発明者】
【氏名】陳喜満
(72)【発明者】
【氏名】劉洋
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA01
3L103AA37
3L103AA50
3L103BB42
3L103CC23
3L103DD15
3L103DD57
(57)【要約】      (修正有)
【課題】熱交換効率を改善することができ、且つ構造が簡単であり、工業的な実施が容易であり、コストを抑えることができる熱交換体を提供する。
【解決手段】複数の隣り合うシート材を含み、前記隣り合うシート材の間は、その周縁部又は中間の少なくとも一部で互いに接続され、前記シート材は、その上面に、平行に間隔を置いて列をなして配置された、上に凸となる突起クレスト線20を複数有し、その下面に、平行に間隔を置いて列をなして配置された、下に凸となる突起輪郭線30を複数有し、前記列をなして配置された突起クレスト線20及び突起輪郭線30は、いずれも、連続した山と谷を接続して形成されてなり、3枚の隣り合うシート材の間は、第1の流路と第2の流路を形成し、流体は、第1の流路内を第1の方向及び第2の方向に流通し、第2の流路内を第1の方向及び第3の方向に流通し、第1の流路及び第2の流路を通過して対流を形成する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一方向に互いに平行に延在する複数の隣り合うシート材を含み、
前記隣り合うシート材の間は、その周縁部又は中間の少なくとも一部で互いに接続され、流体が流れる流路を形成し、
前記シート材は、その上面に、平行に間隔を置いて列をなして配置された、上に凸となる突起クレスト線を複数有し、その下面に、平行に間隔を置いて列をなして配置された、下に凸となる突起輪郭線を複数有し、前記列をなして配置された突起クレスト線及び突起輪郭線は、いずれも、連続した山と谷を接続して形成されてなり、
3枚の隣り合うシート材の間は、第1の流路と第2の流路を形成するように、突起輪郭線の山は、2つの突起クレスト線の谷の間に位置し、突起輪郭線の山と2つの突起クレスト線の谷の間が交互に配置され、流体は、第1の流路内を第1の方向及び第2の方向に流通し、第2の流路内を第1の方向及び第3の方向に流通し、第1の流路及び第2の流路を通過して対流を形成し、
前記第1の方向は、第2の方向及び第3の方向と挟角をなして配置され、前記第2の方向及び第3の方向は、平行で且つ反対方向である
ことを特徴とする熱交換体。
【請求項2】
前記流体は、第1の流路内を第1の方向Aに流通し、第2の流路内を第1の方向Bに流通し、前記第1の方向Aと第1の方向Bとは、反対方向であり、流体は、第1の流路と第2の流路とを通過して少なくとも2つの対流を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換体。
【請求項3】
前記流体が第1の方向に流通して形成される軌跡は、交互に現れる山と谷を有する曲線であり、
前記流体が第2の方向と第3の方向に流通して形成される軌跡は、直線であり、前記第2の方向と第3の方向が平行で且つ反対方向であり、
前記第1の方向と第2の方向及び第3の方向との間の水平面挟角をαとし、αは30~90°である
ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換体。
【請求項4】
前記流体が第1の方向に流通して形成される軌跡は、交互に現れる三角形の山と三角形の谷を有する三角波であり、
前記第1の方向と第2の方向及び第3の方向とが直交する
ことを特徴とする請求項3に記載の熱交換体。
【請求項5】
前記突起輪郭線の山は、2つの突起クレスト線の谷にまで深く入り込み、前記突起クレスト線の山は、2つの突起輪郭線の谷にまで深く入り込み、前記突起輪郭線と前記突起クレスト線とが平行である
ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換体。
【請求項6】
前記突起輪郭線と突起クレスト線との間の距離をdとし、dが0.5~5mmであり、
前記突起輪郭線の2つの隣り合う山の間の距離をLとし、Lが2~100mmであり、
前記突起輪郭線の山と前記突起輪郭線の谷との間の垂直距離をHとし、Hが(H*H)/(L*L)≧0.75を満たし、
前記突起輪郭線の山の挟角をδ1とし、前記突起クレスト線の谷の挟角をδ2とし、δ1≧20.5°、δ2≧20.5°である
ことを特徴とする請求項5に記載の熱交換体。
【請求項7】
前記dが1~3mmであり、前記Lが3~50mmであり、前記Hが1.25≦(H*H)/(L*L)≦6.6を満たし、22°≦δ1≦60°、22°≦δ2≦60°である
ことを特徴とする、請求項6に記載の熱交換体。
【請求項8】
前記突起輪郭線の山は、2つの突起クレスト線の谷にまで深く入り込み、前記突起クレスト線の山は、2つの突起輪郭線の谷にまで深く入り込み、入り込み長さが谷深さの1/4から2/3をであり、
前記突起輪郭線のピークトップは、2つの突起クレスト線の谷の中心線の上に位置し、前記突起クレスト線のピークトップは、2つの突起輪郭線の谷の中心線の上に位置する
ことを特徴とする、請求項1に記載の熱交換体。
【請求項9】
列をなす突起クレスト線の両側のシート材の上に、裏側端部が突起クレスト線の端部に接合される突起導流バーが複数設けられており、前記シート材は、突起導流バーの外側端部に位置する外縁が開放設置され、残りの外縁にリブが設置される
ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換体。
【請求項10】
前記突起導流バーは、前記第2の方向又は第3の方向に対して挟角β(0°<β<90°)をなして設置される
ことを特徴とする請求項9に記載の熱交換体。
【請求項11】
隣り合うシート材の前記突起導流バーは、挟角γ(0°<γ<180°)をなして設置される
ことを特徴とする請求項9に記載の熱交換体。
【請求項12】
前記シート材は、孔径0.01~0.3μmのマイクロポア構造を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換体。
【請求項13】
前記シート材の上に、水分子に対して選択透過性を有する高分子複合コーティング層が少なくとも一層設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気熱交換の技術分野に属し、特に熱交換体に関する。
【背景技術】
【0002】
社会の高速度の発展に伴い、人民の生活レベルは高まる一方で、周囲の生活環境もひどく破壊され、空気質はひどく低下してきている。室内の空気質を変えるために、空気清浄機及び消毒換気システム(Ventilation System)が開発される。消毒換気システムは室外の新鮮な空気をろ過し、浄化してから室内に取り入れ、室内の汚れた空気を室外に排出し、室内外の空気の効率的な循環を完成し、室内の空気が新鮮で快適であることを保証する。
【0003】
従来の消毒換気システムの熱交換コアは、熱交換効率が低いという欠点を有しており、この問題に対して我々は新たな技術案を開発した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、熱交換効率を改善することができる熱交換体を提供することにある。
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、構造が簡単で、工業的な実施が容易で、コストを抑えることができる熱交換体を提供することに更にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した技術効果を達成するために、本発明は、
同一方向に互いに平行に延在する複数の隣り合うシート材を含み、
前記隣り合うシート材の間は、その周縁部又は中間の少なくとも一部で互いに接続され、流体が流れる流路を形成し、
前記シート材は、その上面に、平行に間隔を置いて列をなして配置された、上に凸となる突起クレスト線を複数有し、その下面に、平行に間隔を置いて列をなして配置された、下に凸となる突起輪郭線を複数有し、前記列をなして配置された突起クレスト線及び突起輪郭線は、いずれも、連続した山と谷を接続して形成されてなり、
3枚の隣り合うシート材の間は、第1の流路と第2の流路を形成するように、突起輪郭線の山は、2つの突起クレスト線の谷の間に位置し、突起輪郭線の山と2つの突起クレスト線の谷の間が交互に配置され、流体は、第1の流路内を第1の方向及び第2の方向に流通し、第2の流路内を第1の方向及び第3の方向に流通し、第1の流路及び第2の流路を通過して対流を形成し、
前記第1の方向は、第2の方向及び第3の方向と挟角をなして配置され、前記第2の方向及び第3の方向は、平行で且つ反対方向である、熱交換体を提供する。
【0007】
更なる改善した技術案において、前記流体は、第1の流路内を第1の方向Aに流通し、第2の流路内を第1の方向Bに流通し、前記第1の方向Aと第1の方向Bとは、反対方向であり、流体は、第1の流路と第2の流路とを通過して少なくとも2つの対流を形成する。
【0008】
更なる改善した技術案において、前記流体が第1の方向に流通して形成される軌跡は、交互に現れる山と谷を有する曲線であり、
前記流体が第2の方向と第3の方向に流通して形成される軌跡は、直線であり、前記第2の方向と第3の方向が平行で且つ反対方向であり、
前記第1の方向と第2の方向及び第3の方向との間の水平面挟角をαとし、αは30~90°である。
【0009】
更なる改善した技術案において、前記流体が第1の方向に流通して形成される軌跡は、交互に現れる三角形の山と三角形の谷を有する三角波であり、
前記第1の方向と第2の方向及び第3の方向とが直交する。
【0010】
更なる改善した技術案において、前記突起輪郭線の山は、2つの突起クレスト線の谷にまで深く入り込み、前記突起クレスト線の山は、2つの突起輪郭線の谷にまで深く入り込み、前記突起輪郭線と前記突起クレスト線とが平行である。
【0011】
更なる改善した技術案において、前記突起輪郭線と突起クレスト線との間の距離をdとし、dが0.5~5mmであり、
前記突起輪郭線の2つの隣り合う山の間の距離をLとし、Lが2~100mmであり、
前記突起輪郭線の山と前記突起輪郭線の谷との間の垂直距離をHとし、Hが(H*H)/(L*L)≧0.75を満たし、
前記突起輪郭線の山の挟角をδ1とし、前記突起クレスト線の谷の挟角をδ2とし、δ1≧20.5°、δ2≧20.5°である。
【0012】
更なる改善した技術案において、前記dが1~3mmであり、Lが3~50mmであり、Hが1.25≦(H*H)/(L*L)≦6.6を満たし、22°≦δ1≦60°、22°≦δ2≦60°である。
【0013】
更なる改善した技術案において、前記突起輪郭線の山は、2つの突起クレスト線の谷にまで深く入り込み、突起クレスト線の山は、2つの突起輪郭線の谷にまで深く入り込み、入り込み長さが谷深さの1/4から2/3であり、
前記突起輪郭線のピークトップは、2つの突起クレスト線の谷の中心線の上に位置し、突起クレスト線のピークトップは、2つの突起輪郭線の谷の中心線の上に位置する。
【0014】
更なる改善した技術案において、列をなす突起クレスト線の両側のシート材の上に、裏側端部が突起クレスト線の端部に接合される突起導流バーが複数設けられており、前記シート材は、突起導流バーの外側端部に位置する外縁が開放設置され、残りの外縁にリブが設置される。
【0015】
更なる改善した技術案において、前記突起導流バーは、前記第2の方向又は第3の方向に対して挟角β(0°<β<90°)をなして設置される。
【0016】
更なる改善した技術案において、隣り合うシート材の前記突起導流バーは、挟角γ(0°<γ<180°)をなして設置される。
【0017】
更なる改善した技術案において、前記シート材は、孔径0.01~0.3μmのマイクロポア構造を有する。
【0018】
更なる改善した技術案において、前記シート材の上に、水分子に対して選択透過性を有する高分子複合コーティング層が少なくとも一層設けられる。
【0019】
従来技術と比べて本発明の利点は、以下の通りである:
本発明は、複数のシート材を積み重ね、隣り合って接続することにより、熱交換体として一体化する。隣り合う2枚のシート材の間は流路が形成され、具体的には、列をなして配置された突部クレスト線と列をなして配置された突部輪郭線との間に複数の流路が形成され、突部クレスト線と突部輪郭線との間に形成された流路内を流体(空気流)が流れ、上層のシート材と下層のシート材とが交互に平行に配置される。積み重ね後、上層のシート材の突部輪郭線と下層のシート材の突部クレスト線とが交互し、突部輪郭線の山が突部クレスト線の谷にまで下へ挿入され、突部クレスト線の山が突部輪郭線の谷にまで上へ挿入され、突部輪郭線の山の両側と突部クレスト線の谷の両側とが両側の隙間を形成し、突部輪郭線の谷の底部、突部クレスト線の谷の底部及び両側の隙間に沿って流体が流通し、流体の熱交換面積が大幅に増大し、熱交換効率が著しく向上する。
隣り合う3枚のシート材の間は、山と谷で形成される流路の間に第1の流路と第2の流路が形成され、それぞれの第1の流路、第2の流路はバイパスとされ、流体が第1の流路内を第1の方向と第2の方向に流通し、第2の流路内を第1の方向と第3の方向に流通する。熱交換過程では、2つの空気流が中間のシート材を通過して対流熱伝達、物質移動を実現する。紙面に垂直な方向に対流を形成するように、第1の空気流は第1の流路を流れて第2の方向に進み、第2の空気流は第2の流路を流れて第2の方向と平行でかつ反対方向である第3の方向に進む。同時に、水平方向に別の対流を形成するように、第1の空気流と第2の空気流は、更に、突部輪郭線と突部クレスト線との間に形成される隙間を通過して蛇行し、第1の空気流は第1の流路内を第1の方向Aに蛇行し、第2の空気流は第2の流路内を第1の方向Aと反対方向の第1の方向Bに蛇行する。
【0020】
そこで、本発明は、複数の空気流が中間のシート材を通過することで対流伝熱、物質移動を実現し、空気流の流れ速度をより均一に分布させるとともに、空気流の流れ速度を低下させ、空気流が流路を通過する抵抗を低下させ、熱交換効率を向上させることができる。
【0021】
また、本発明は、構造が簡単で、工業的な実施が容易であり、コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による熱交換体の斜視模式図である。
図2】本発明による熱交換体の分解構造の模式図の一である。
図3】本発明による熱交換体の分解構造の模式図の二である。
図4】本発明による熱交換体の断面図である。
図5図4に示すA部の部分拡大図である。
図6】本発明によるシート材の斜視模式図の一である。
図7】本発明によるシート材の斜視模式図の二である。
図8】本発明によるシート材の正面図である。
図9】隣り合うシート材の間の断面の一実施例の模式図である。
図10図9に示す流路の模式図である。
図11】本発明の流路内の最大速度変化の模式図である。
図12】本発明の流路内の流路中心の速度変化の模式図である。
図13】本発明の実施例1による速度流れ場分布図である。
図14】本発明の実施例2による速度流れ場分布図である。
図15】本発明の実施例3による速度流れ場分布図である。
図16】本発明の実施例4による速度流れ場分布図である。
図17】本発明の実施例5による速度流れ場分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本発明をより詳細に説明する。
【0024】
図面に示す方向は、本発明の具体的な保護範囲を制限するものと理解すべきではなく、単に好ましい実施例を参照や理解するために供え、図面に示す製品の部品の位置の変更、数量の追加、又は構造の簡略化を行うことができる。
【0025】
本明細書に記載の「接続」および図面に示される部品の、互いの「接続」関係は、固定して接続するか、取り外し可能に接続するか、または一体化して接続すると理解され得る。直接的に接続しても、中間媒体を介して接続してもよく、当業者は、接続関係を具体的な状況から理解することにより、ネジ止めやリベット止めや溶接やクリップ止めや嵌合などの方式で適宜異なる実施形態に取り替えられることができる。
【0026】
明細書に記載された上、下、左、右、頂、底などの方位用語、および図面に示される方向は、直接またはそれらの間のさらなる特徴を介して部品が接触し得ることを意味する。例えば、上方は、真上及び斜め上方であってもよく、又は単に他のものよりも高いことを意味し、他の方位も類推理解することができる。
【0027】
本発明は、図1~6に示すように、複数の隣り合うシート材10を含み、複数の隣り合うシート材10を積み重ねてなる熱交換体を提供する。この実施例において、前記シート材は六角形のものである。
【0028】
前記隣り合うシート材10は、同一方向に互いに平行に延在し、その周縁部又は中間の少なくとも一部で互いに接続され、流体が流れる流路を形成する。前記シート材10は、その上面に、平行に間隔を置いて列をなして配置された、上に凸となる突起クレスト線20を複数有し、その下面に、平行に間隔を置いて列をなして配置された、下に凸となる突起輪郭線30を複数有し、前記列をなして配置された突起クレスト線20及び突起輪郭線30は、いずれも、連続した山と谷を接続して形成される。隣り合う2つのシート材10の間で、突起輪郭線30の山は、2つの突起クレスト線20の谷の間に位置し、突起輪郭線30の山と2つの突起クレスト線20の谷の間が交互に配置される。
【0029】
図6~10に示すように、突部輪郭線30の山30Aが突部クレスト線20の谷20Bにまで下へ挿入され、突部クレスト線20の山20Aが突部輪郭線30の谷30Bにまで上へ挿入され、突部輪郭線30の山30Aの両側と突部クレスト線20の谷20Bの両側とが両側の隙間を形成し、突部輪郭線30の谷30Bの底部、突部クレスト線20の谷20Bの底部及び両側の隙間に沿って流体が流通する。
【0030】
3枚の隣り合うシート材の間は、山と谷で形成される流路の間に第1の流路40と第2の流路50が形成され、前記第1の流路40、第2の流路50のそれぞれはバイパスとされ、流体は、第1の流路40内を第1の方向と第2の方向に流通し、第2の流路50内を第1の方向と第3の方向に流通し、第1の流路40と第2の流路50を通過して対流を形成する。前記第1の方向は、第2の方向及び第3の方向と挟角をなして配置され、前記第2の方向及び第3の方向は、平行で且つ反対方向である。
【0031】
図10に示すように、第1の方向は水平方向であり、第2の方向、第3の方向は紙面に垂直な方向であり、ここで、第2の方向は紙面に垂直な内向き方向であり、第3の方向は紙面に垂直な外向き方向である。
【0032】
説明する必要があるように、第1の方向は、水平左方向に蛇行する方向を含む水平方向であり、水平右方向に蛇行する方向であってもよい。第2の方向は、紙面に垂直な内向き方向を示す図中に×で示される方向であり、第3の方向は、紙面に垂直な外向き方向を示す図中に・で示される方向である。
【0033】
好ましくは、前記流体は、第1の流路内を第1の方向Aに流通し、第1の方向Aは、水平右方向に蛇行する方向であり、第2の流路内を第1の方向Bに流通し、第1の方向Bは、水平左方向に蛇行する方向であり、前記第1の方向Aと第1の方向Bとは反対方向であり、流体が第1の流路と第2の流路とを通過して少なくとも2つの対流を形成する。
【0034】
熱交換プロセスにおいて、隣り合う3つのシート材内の少なくとも2つの空気流は、中間のシート材を通過して対流熱伝達、物質移動を実現する。紙面に垂直な方向に対流を形成するように、第1の空気流は第1の流路を流れて第2の方向に進み、第2の空気流は第2の流路を流れて第2の方向と平行でかつ反対方向である第3の方向に進む。また、第1の空気流と第2の空気流は、更に、突起輪郭線と突起クレスト線との間に形成される隙間を通過して蛇行し、水平方向に別の対流を形成するように、第1の空気流は第1の流路内を第1の方向Aに蛇行し、第2の空気流は第2の流路内を第1の方向Aと反対方向である第1の方向Bに蛇行する。
【0035】
好ましくは、前記流体が第1の方向に流通して形成される軌跡は、交互に現れる山と谷を有する曲線であり、空気流は第1の通路40と第2の通路50を流れて突起輪郭線30と突起クレスト線20との間に形成される隙間を通過して蛇行する。空気流が進む軌跡は、正弦波、三角波など多様であってよいが、これらに限定されない。
【0036】
前記流体が第2の方向又は第3の方向に流通して形成される軌跡は、直線であり、前記第2の方向、第3の方向が平行で且つ反対方向であり、第1の通路40と第2の通路50内で対流を形成するのに寄与する。前記第1の方向と第2の方向及び第3の方向との間の水平面挟角をαとし、αは30~90°である。
【0037】
より好ましくは、図9及び図10に示すように、前記流体が第1の方向に流通して形成される軌跡は、交互に現れる三角形の山と三角形の谷を有する三角波である。前記流体が第1の方向に流通して形成される軌跡は、sawtooth関数を満たす。流体が第1の通路40と第2の通路50内で第1の方向に流通して形成される軌跡が三角波である場合、突起クレスト線20の山20A、突起クレスト線20の谷20B、突起輪郭線30の山30A、突起輪郭線30の谷30Bは、いずれも挟角をなす。前記挟角は鋭角であることが好ましい。
【0038】
流体が第1の方向に流通して形成される軌跡が三角波となり、流体と流路との熱交換面積が大きく、空気流の流れ速度を低下させ、空気流が流路を通過する抵抗を低下させ、空気流の流れ速度分布をより均一にし、熱交換効率を著しく向上させることができる。
【0039】
より好ましくは、前記突起輪郭線30の山30Aは、2つの突起クレスト線20の谷20Bにまで深く入り込み、突起クレスト線20の山20Aは、2つの突起輪郭線30の谷30Bにまで深く入り込み、前記突起輪郭線30と突起クレスト線20とが平行であり、同じ長さ方向に両者の傾きが同じである。前記突起輪郭線30のピークトップは、2つの突起クレスト線20の谷の中心線の上に位置し、突起クレスト線20のピークトップは、2つの突起輪郭線30の谷の中心線の上に位置する。
【0040】
流路の別の実施例として、前記流体が第1の方向に流通して形成される軌跡は三角波に近いが、突起クレスト線20の山20A、突起クレスト線20の谷20B、突起輪郭線30の山30A、突起輪郭線30の谷30Bは、折り曲げ移行部が設けられる。
あるいは、突起クレスト線20の山20Aと、突起クレスト線20の谷20Bと、突起輪郭線30の山30Aと、突起輪郭線30の谷30Bとの挟角が丸み移行であるが、これに限定されない。本発明は、折り曲げ移行または丸み移行を設けることにより、工業的な実施に有利である。
さらに説明する必要があるように、前記シート材は、種々の形状のシート材であってもよいが、六角形のシート材であることが好ましい。前記シート材は、正方形のシート材、円形のシート材、楕円形のシート材、八角形のシート材、菱形のシート材などであってもよく、これらに限定されない。
【0041】
したがって、本発明は、複数のシート材を積み重ね、隣り合って接続することにより、熱交換体として一体化する。複数のシート材は、交互に第1の流路と第2の流路を形成するように積み重ねられる。
隣り合うシート材の間に流路が形成され、具体的には、列をなして配置された突部クレスト線20と列をなして配置された突部輪郭線30との間に複数の流路が形成され、突部クレスト線20と突部輪郭線30との間に形成された流路内を流体(空気流)が流れ、上層のシート材と下層のシート材とが交互に平行に配置される。積み重ね後、上層のシート材の突部輪郭線30と下層のシート材の突部クレスト線20とが交互し、突部クレスト線20の山20Aが突部輪郭線30の谷30Bにまで上へ挿入され、突部輪郭線30の山30Aの両側と突部クレスト線20の谷20Bの両側とが両側の隙間を形成し、突部輪郭線30の谷30Bの底部、突部クレスト線20の谷20Bの底部及び両側の隙間に沿って流体が流通し、流体の熱交換面積が大幅に増大し、熱交換効率が著しく向上する。
【0042】
本発明は、複数の空気流が中間のシート材を通過することで対流伝熱、物質移動を実現し、複数の空気流が第1の流路と第2の流路を流れ、空気流の流れ速度をより均一に分布させるとともに、空気流の流れ速度を低下させ、空気流が流路を通過する抵抗を低下させ、熱交換効率を向上させることができる。
【0043】
さらに、前記突起輪郭線と突起クレスト線との間の距離をdとし、dが0.5~5mmであることが好ましく、具体的には、0.5mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mmとしてもよいが、これらに限定されない。より好ましくは、dは1~4mmである。最も好ましくは、dは1~3mmである。
【0044】
突起輪郭線と突起クレスト線との間の距離dは、空気流の最大速度及び流路中心の速度変化に影響を及ぼすことができ、さらに空気流の均一性に影響を及ぼす。本発明のdは0.5~5mmとしてもよく、dが0.5~5mmで、入口風速が1m/sである場合、空気流の最大速度が2.6m/s未満で、流路中心の速度変化量が12%以下であり、比較的良好な空気の流れの均一性が得られる。
【0045】
図11に示すように、dを0.5mmから徐々に大きくしていくと空気流の最大速度は徐々に低下し、dを0.5mmから1~2.5mmまで大きくしていくと空気流の最大速度は最低範囲にあり、最大速度を20~30%低下させることができる。dを1~2.5mmから4~5mmまで大きくしていくと空気流の最大速度は徐々に増大し、このときの最大速度の増大の幅は10%未満である。空気流の最大速度が小さければ小さいほど、空気の流れの均一性が良好であることを示す。
【0046】
図12に示すように、dを0.5mmから3mmまで徐々に大きくしていくと、流路中心での速度変化量は非常に小さく速度はほぼ一定であり、一方、dを3mmから5mmまで徐々に大きくしていくと、流路中心での速度は徐々に大きくなり、流路中心での速度変化量は12%以下である。
【0047】
前記突起輪郭線の2つの隣り合う山の間の距離をLとし、Lが2~100mmであることが好ましい。より好ましくは、Lが3~50mmである。前記突起輪郭線の山と前記突起輪郭線の谷との間の垂直距離をHとし、Hが(H*H)/(L*L)≧0.75を満たす。より好ましくは、Hが1.25≦(H*H)/(L*L)≦6.6を満たす。
【0048】
突起輪郭線の隣り合う山の間の距離L、及び突起輪郭線の山と前記突起輪郭線の谷との間の垂直距離Hは、シート材の熱交換効果および製造性に共同で影響を及ぼす。(H*H)/(L*L)≧0.75である場合、良好な放熱効果が得られる。原則として、(H*H)/(L*L)の比値が大きいければ大きいほど、熱交換体の熱交換面積が大きくなり、熱交換効果が高くなる。しかし、(H*H)/(L*L)の比値が適切な範囲を超え、すなわち(H*H)/(L*L)の比値>6.6であると、延伸倍率が大きくなりすぎて、シート材の製造工程が困難となり、高コストとなるばかりでなく、使用寿命にも影響を及ぼす。
【0049】
前記突起輪郭線の山の挟角をδ1とし、前記突起クレスト線の谷の挟角をδ2とし、δ1≧20.5°、δ2≧20.5°である。より好ましくは、22°≦δ1≦60°,22°≦δ2≦60°である。前記δ1、δ2≧20.5°とすることで、熱交換面積を広範囲に確保することができ、良好な熱交換効率を得ることができる。δ1、δ2>60°であると、延伸倍率が小さすぎて、熱交換コアの交換面積を確保できなくなり、δ1、δ2<20.5°であると、シート材の製造工程が困難になる。
【0050】
前記突起輪郭線の山は、2つの突起クレスト線の谷にまで深く入り込み、前記突起クレスト線の山は、2つの突起輪郭線の谷にまで深く入り込み、入り込み長さが谷深さの1/4から2/3であることが好ましく、具体的には、1/4、1/3、1/2、2/3などを選択してもよく、これらに限定されず、熱交換コアの交換面積を確保し、流体速度分布の均一性を改善することができる。
【0051】
まとめて、本発明は、突起輪郭線と突起クレスト線との間の距離d、突起輪郭線の隣り合う山の間の距離L、突起輪郭線の山と前記突起輪郭線の谷との間の垂直距離H、突起輪郭線の山の挟角をδ1とし、及び前記突起クレスト線の谷の挟角をδ2とすることなどにより、空気流の流れの均一性、熱交換面積、および速度流れ場分布の均一性に共同で影響を及ぼし、さらに最適な熱交換効率が得られる。
【0052】
列をなす突起クレスト線20の両側のシート材の上に、裏側端部が突起クレスト線20の端部に接合される突起導流バー60が複数設けられており、前記シート材は、突起導流バー60の外側端部に位置する外縁が開放設置され、残りの外縁にリブ70が設置される。突起導流バー60の設置は、一方では空気流の流動経路を変えて、これにより空気流の流動経路を柔軟に変えることができ、他方では空気流の流速を変え、熱交換時間を延ばし、熱交換効率を向上させることもできる。
【0053】
流体が第1の流路内を第1の方向に流通し、第2の方向と第3の方向に流通するように、前記突起導流バー60は、前記第2の方向又は第3の方向に対して挟角βをなして設置される。好ましくは、0°<β<90°である。より好ましくは30°≦β≦60°である。
【0054】
隣り合うシート材の前記突起導流バーは、挟角γをなして設置され、好ましくは、0°<γ<180°である。より好ましくは、30°<γ<150°である。
【0055】
本発明のより好ましい実施例として、前記シート材は、突起クレスト線と突起輪郭線とにまたがるマイクロポア構造を有する。マイクロポア構造は、水分子透過に有利であり、熱交換器の湿度交換を実現する。好ましくは、前記シート材には、孔径0.01~0.3μmのマイクロポアが複数設けられる。さらに好ましくは、前記マイクロポアの孔径は、0.02~0.15μmである。最も好ましくは、前記マイクロポアの孔径は、0.05~0.1μmである。
【0056】
マイクロポアは、第1の流路間で水分子が往復することを可能にする水分子が通過する通路を形成する。実際の使用中、第1の流路及び第2の流路内の空気流は、水蒸気含有量が不均一であり、水蒸気濃度差を形成し、水蒸気濃度差はその拡散のための駆動力を提供する。水分子は、マイクロポアを通過して低濃度側を透過することができ、最終的には第1の流路及び第2の流路内の水蒸気の交換の目的を達成し、熱交換の均一性に寄与する。
【0057】
前記シート材は、水分子に対して選択的透過性を有する少なくとも一層の高分子複合コーティング層が設けられ、温度交換機能を有すると共に湿度交換機能を有し、顕熱、潜熱の同時交換を実現でき、且つ他の気体分子の透過を許容せず、熱交換コアの密封性を保証し、消毒換気システムに適用され、新鮮な空気と排風空気の混合を回避する。好ましくは、前記高分子複合コーティング層は、具体的に、ポリオキシエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリエーテルポリアミド、脂肪族ポリウレタン、スルホン化スチレン、スルホン化ポリアクリル酸、スルホン化ポリエーテルエーテルケトンのうちの1種以上から選択することができる。
【0058】
以下、本発明を具体的な実施例を用いてさらに説明する。
熱交換体は、同一方向に互いに平行に延在する複数の隣り合うシート材を含み、
前記隣り合うシート材の間は、その周縁部又は中間の少なくとも一部で互いに接続され、流体が流れる流路を形成し、前記シート材は、その上面に、平行に間隔を置いて列をなして配置された、上に凸となる突起クレスト線を複数有し、その下面に、平行に間隔を置いて列をなして配置された、下に凸となる突起輪郭線を複数有し、前記列をなして配置された突起クレスト線及び突起輪郭線は、いずれも、連続した山と谷を接続して形成されてなり、隣り合う2つのシート材の間で、突起輪郭線の山は、2つの突起クレスト線の谷の間に位置し、突起輪郭線の山と2つの突起クレスト線の谷の間が交互に配置され、突起輪郭線と突起クレスト線との間の距離をdとし、突起輪郭線の2つの隣り合う山の間の距離をLとし、突起輪郭線の山と前記突起輪郭線の谷との間の垂直距離をHとし、突起輪郭線の山の挟角をδ1とし、突起クレスト線の谷の挟角をδ2とする。
【0059】
3枚の隣り合うシート材の間は、第1の流路と第2の流路を形成するように、突起輪郭線の山が2つの突起クレスト線の谷の間に位置し、突起輪郭線の山と2つの突起クレスト線の谷の間が交互に配置され、流体は、第1の流路内を第1の方向及び第2の方向に流通し、第2の流路内を第1の方向B及び第3の方向に流通し、第1の流路及び第2の流路を通過して対流を形成する。
【0060】
実施例1~5に示した熱交換体は、表1を参照してそのサイズを設定する。
【0061】
実施例1-5に示す熱交換体を流体速度分布計算機シミュレーションし、結果として、図13-17に示すように、実施例1~3の熱交換体は、流体速度分布が非常に均一である;実施例4の熱交換体は、流体速度分布も比較的に均一である;実施例5の熱交換体は、実施例1~4に比べて流体速度分布が比較的に悪く、要求が低い場合には要求を実質的に満たすことができる。
【0062】
実施例1~5に示した熱交換体を熱交換効率の測定に供し、その実験結果を下記表2に示した。
【0063】
表2の実験結果は、室外温度35℃、室外湿度28℃、室内温度27℃、室内湿度19.5℃、風速1m/s、投影熱交換面積20mの条件に基づくものである。
【0064】
説明する必要があるように、上記実験に用いる実験機器は熱回収エンタルピー差室であり、実験方法は『GB/T21087-2020』熱回収空気調節群を参照して行った。
【0065】
上記湿度とは露点温度を指し、水分量及び気圧がいずれも変化しない条件で空気が飽和温度まで冷却されたことを示し、乾湿球湿度計により測定される。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができ、これらの修正及び変更も本発明の保護範囲にあることを指摘すべきである。
図1
図2
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図5
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