(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104662
(43)【公開日】2022-07-11
(54)【発明の名称】3次元表示装置および画像表示システム
(51)【国際特許分類】
G03B 35/18 20210101AFI20220704BHJP
G03B 17/00 20210101ALI20220704BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20220704BHJP
【FI】
G03B35/18
G03B17/00 Q
G03B15/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219753
(22)【出願日】2020-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】草深 薫
(72)【発明者】
【氏名】忠内 諒
(72)【発明者】
【氏名】島田 卓
【テーマコード(参考)】
2H020
2H059
【Fターム(参考)】
2H020MD16
2H059AA24
2H059AA35
2H059AA38
2H059AB06
2H059AB13
2H059AC02
(57)【要約】
【課題】 クロストークを減少させ、表示品質が改善された視差画像を表示する3次元表示装置および移動体を提供する。
【解決手段】 3次元表示装置10は、液晶パネル12、第1光学パネル13および第2光学パネル14を備え、さらにバックライト11および制御部15を備えてよい。第1光学パネル13および第2光学パネル14は、入射する光の進行方向を規定するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視差画像を表示可能に構成される液晶パネルと、
前記液晶パネルの第1面上にある第1光学パネルと、
前記液晶パネルの第2面上にある第2光学パネルと、を備え、
前記第1光学パネルおよび前記第2光学パネルは、前記視差画像の画像光の進行方向を規定するように構成される、3次元表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の3次元表示装置であって、
前記第1光学部材は、第1方向に沿って交互に並ぶ第1減光部と第1透光部とを有し、
前記第2光学部材は、第1方向に沿って交互に並ぶ第2減光部と第2透光部とを有する、3次元表示装置。
【請求項3】
請求項2記載の3次元表示装置であって、
前記第1光学パネルは、第1透光板と、前記第1透光板の一方の表面に、第1方向に沿って間隔を空けて位置する第1減光材と、を含み、
前記第2光学パネルは、第2透光板と、前記第2透光板の一方の表面に、第1方向に沿って間隔を空けて位置する第2減光材と、を含み、
前記第1光学パネルは、前記第1減光材が前記液晶パネル側にあり、
前記第2光学パネルは、前記第2減光材が前記液晶パネル側にある、3次元表示装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の3次元表示装置であって、
前記第1光学パネルと前記第2光学パネルとは開口率が異なる、3次元表示装置。
【請求項5】
請求項4記載の3次元表示装置であって、
前記画像光が、前記第1光学パネルから利用者に向かって進行するように構成され、
前記第1光学パネルは、前記第2光学パネルより開口率が大きい、3次元表示装置。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1つに記載の3次元表示装置であって、
前記第1光学パネルと前記第2光学パネルとは開口率が同じである、3次元表示装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の3次元表示装置であって、
前記第1光学パネルおよび前記第2光学パネルは、単一の利用者の両眼に前記視差画像を投影するように構成される、3次元表示装置。
【請求項8】
視差画像を表示可能に構成される液晶パネルと、前記液晶パネルの第1面上にある第1光学パネルと、前記液晶パネルの第2面上にある第2光学パネルと、を備え、前記第1光学パネルおよび前記第2光学パネルは、前記視差画像の画像光の進行方向を規定するように構成される、3次元表示装置と、
利用者の顔を撮像するように構成されるカメラと、
前記カメラから出力された撮像画像から人の両眼の位置を検出するように構成される検出部と、
前記検出部で検出された人の両眼の位置に応じて前記液晶パネルを制御する制御部と、を備える画像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3次元表示装置および画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネルに表示される画像を、視差バリアを介して利用者の両眼に投影し、立体視を可能とする表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
視差バリア方式では、視差バリアおよび表示パネルを透過する光が屈折したり、反射したりすることによって、クロストークが生じる場合がある。クロストークは、視差画像の表示品質を低下させてしまう。
【0005】
本開示は、視差画像の表示品質を改善した3次元表示装置および画像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の3次元表示装置は、視差画像を表示可能に構成される液晶パネルと、前記液晶パネルの第1面上にある第1光学パネルと、前記液晶パネルの第2面上にある第2光学パネルと、を備える。前記第1光学パネルおよび前記第2光学パネルは、前記視差画像の画像光の進行方向を規定するように構成される。
【0007】
本開示の画像表示システムは、3次元表示装置と、カメラと、検出部と、制御部と、を備える。3次元表示装置は、視差画像を表示可能に構成される液晶パネルと、前記液晶パネルの第1面上にある第1光学パネルと、前記液晶パネルの第2面上にある第2光学パネルと、を備え、前記第1光学パネルおよび前記第2光学パネルは、前記視差画像の画像光の進行方向を規定するように構成される。カメラは、利用者の顔を撮像するように構成される。検出部は、前記カメラから出力された撮像画像から人の両眼の位置を検出するように構成される。制御部は、前記検出部で検出された人の両眼の位置に応じて前記液晶パネルを制御する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の3次元表示装置によれば、クロストークを減少させ、表示品質が改善された視差画像を表示することができる。
【0009】
本開示の画像表示システムによれば、クロストークを減少させ、表示品質が改善された視差画像を表示することができる画像表示システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る3次元表示装置の概略構成図である。
【
図2】利用者の眼と液晶パネルと第1光学パネルおよび第2光学パネルとの関係を示す模式図である。
【
図3A】液晶パネルに表示される視差画像の第1例を説明する図である。
【
図3B】液晶パネルに表示される視差画像の第2例を説明する図である。
【
図4】本開示の他の実施形態に係る3次元表示装置の構成を示す概略構成図である。
【
図5】車両等の移動体に搭載される本開示の表示装置の一実施形態であるヘッドアップディスプレイの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は現実のものとは一致していない。
【0012】
図1は、本開示の実施形態に係る3次元表示装置の構成を示す概略構成図である。
図1に示す概略構成図は、説明のために分解斜視図としている。3次元表示装置10は、液晶パネル12、第1光学パネル13および第2光学パネル14を備え、さらにバックライト11および制御部15を備えてよい。
【0013】
一実施形態において、バックライト11、液晶パネル12、第1光学パネル13および第2光学パネル14は、利用者に対して表示される画像の画像光の光路に沿って、利用者から遠い側から、バックライト11、第2光学パネル14、液晶パネル12、第1光学パネル13の順に配置される。
【0014】
バックライト11は、光源、導光板、拡散板、拡散シート等を含んで構成されてよい。バックライト11は、例えば、光源からの光を、導光板、拡散板、拡散シート等によって面方向に均一化して出射する面発光型バックライトであってよい。バックライト11から出射された面状の光は、第2光学パネル14、液晶パネル12、第1光学パネル13の順に透過し、画像光として利用者の眼に照射される。バックライト11は、光源としてLED(Light Emission Diode)又は有機EL若しくは無機EL等の発光素子を用いてよい。バックライト11は、発光強度、及び、その分布を制御可能に構成されてよい。
【0015】
液晶パネル12は、例えば透過型の液晶パネルなどの表示素子を採用しうる。液晶パネル12は、公知の液晶パネルの構成を有してよい。公知の液晶パネルとしては、IPS(In-Plane Switching)方式、FFS(Fringe Field Switching)方式、VA(Vertical Alignment)方式、および、ECB(Electrically Controlled Birefringence)方式等の種々の液晶パネルを採用しうる。液晶パネル12は、液晶層12a、液晶層12aを挟むように配置されるガラス基板12bおよび12c、ならびに、液晶層12aとガラス基板12cとの間に配置されたカラーフィルタ12dを含むことができる。液晶パネル12の画像を表示する表示領域は、液晶層12aとカラーフィルタ12dとの界面付近に位置するとみなすことができる。液晶パネル12の画像を表示する表示領域は、3次元表示装置10のアクティブエリアと呼ぶことができる。アクティブエリアは、実際に画像が表示される領域である。液晶パネル12は、さらに、配光膜、透明電極、および、偏向板等を含むことができる。配光膜、透明電極、および、偏光板等の配置および構成は、一般的な液晶パネルにおいて公知なので説明を省略する。なお、液晶パネル12は、カラーフィルタ12dを有さず、白黒表示の3次元表示装置10としてよい。
【0016】
第1光学パネル13および第2光学パネル14は、入射する光の進行方向を規定するように構成される。第1光学パネル13および第2光学パネル14は、パララックスバリアとして機能するように構成される。バックライト11から出射される光の光路に沿って液晶パネル12よりバックライト11に近い側に位置する第2光学パネル14は、バックライト11から射出される光が、第2光学パネル14に入射し、さらに液晶パネル12に入射する。第2光学パネル14は、バックライト11から射出される光の一部を遮ったり減衰させたりし、他の一部を液晶パネル12に向けて透過させるように構成される。液晶パネル12は、第2光学パネル14によって規定された方向に進行する入射光を、同じ方向に進行する画像光としてそのまま射出するように構成される。バックライト11から出射される光の光路に沿って液晶パネル12よりバックライト11から遠い側に位置する第1光学パネル13には、液晶パネル12を透過した光が入射する。第1光学パネル13は、液晶パネル12から射出される画像光の一部を遮ったり減衰させたりし、他の一部を利用者の眼5に向けて照射させるように構成される。
【0017】
図2に示すように、第1光学パネル13および第2光学パネル14は、液晶パネル12から出射される画像光の一部を利用者の左眼5L及び右眼5Rのいずれかに到達させ、画像光の他の一部を利用者の左眼5L及び右眼5Rの他方に到達させるように構成される。つまり、第1光学パネル13および第2光学パネル14は、画像光の少なくとも一部の進行方向を利用者の左眼5Lと右眼5Rとに分割するように構成される。第1光学パネル13および第2光学パネル14によって画像光の進行方向が規定されることで、利用者の左眼5L及び右眼5Rそれぞれに異なる画像光が到達しうる。その結果、利用者は、左眼5L及び右眼5Rそれぞれで異なる画像を視認しうる。
【0018】
液晶パネル12は、利用者の左眼5Lで視認される左眼視認領域201Lと、利用者の右眼5Rで視認される右眼視認領域201Rとを含む。液晶パネル12は、利用者の左眼5Lに視認させる左眼画像と、利用者の右眼5Rに視認させる右眼画像とを含む視差画像を表示するように構成される。視差画像は、利用者の左眼5L及び右眼5Rそれぞれに投影される画像であって、利用者の両眼に視差を与える画像であるとする。液晶パネル12は、左眼視認領域201Lに左眼画像を表示し、右眼視認領域201Rに右眼画像を表示するように構成される。つまり、液晶パネル12は、左眼視認領域201Lと右眼視認領域201Rとに視差画像を表示するように構成される。左眼視認領域201Lと右眼視認領域201Rとは、視差方向を表すu軸方向に並んでいるとする。左眼視認領域201L及び右眼視認領域201Rは、視差方向に直交するv軸方向に沿って延在してよいし、v軸方向に対して所定角度で傾斜する方向に延在してよい。つまり、左眼視認領域201L及び右眼視認領域201Rは、視差方向の成分を含む所定方向に沿って交互に並んでいてよい。左眼視認領域201Lと右眼視認領域201Rとが交互に並ぶピッチは、視差画像ピッチともいう。左眼視認領域201Lと右眼視認領域201Rとは、間隔をあけて位置していてよいし、互いに隣接していてよい。液晶パネル12は、平面画像を表示する表示領域をさらに有していてよい。平面画像は、利用者の眼5に視差を与えず、立体視されない画像であるとする。
【0019】
第1光学パネル13は、減光部130と、透光部131とを有する。第1光学パネル13は、画像光の光路上において、利用者から見て液晶パネル12よりも近い側に位置し、液晶パネル12から出射される画像光の透過率を制御するように構成される。透光部131は、液晶パネル12から第1光学パネル13に入射する光を透過させるように構成される。透光部131は、第1所定値以上の透過率で光を透過させてよい。第1所定値は、例えば100%であってよいし、100%に近い値であってよい。減光部130は、液晶パネル12から第1光学パネル13に入射する光を減光するように構成される。減光部130は、第2所定値以下の透過率で光を透過させてよい。第2所定値は、例えば0%であってよいし、0%に近い値であってよい。第1所定値は、第2所定値より大きい。
【0020】
第1光学パネル13の減光部130と透光部131とは、第1方向である視差方向を表すu軸方向に交互に並ぶとする。減光部130と透光部131との境界は、視差方向に直交するv軸方向に沿ってよいし、v軸方向に対して所定角度で傾斜する方向に沿ってよい。言い換えれば、減光部130と透光部131とは、視差方向の成分を含む所定方向に沿って交互に並んでよい。
【0021】
第2光学パネル14は、減光部140と、透光部141とを有する。第2光学パネル14は、画像光の光路上において、利用者から見て液晶パネル12よりも遠い側に位置し、バックライト11から出射され液晶パネル12に入射する光の透過率を制御するように構成される。透光部141は、バックライト11から第2光学パネル14に入射する光を透過させるように構成される。透光部141は、前記第1所定値以上の透過率で光を透過させてよい。減光部140は、バックライト11から第2光学パネル14に入射する光を減光するように構成される。減光部140は、前記第2所定値以下の透過率で光を透過させてよい。第1光学パネル13の透光部131の透過率と、第2光学パネル14の透光部141の透過率とは、同じであってよく、異なっていてよい。第1光学パネル13の減光部130の透過率と、第2光学パネル14の減光部140の透過率とは、同じであってよく、異なっていてよい。
【0022】
第1光学パネル13の減光部130と透光部131とは、視差方向を表すu軸方向に交互に並ぶとする。第2光学パネル14の減光部140と透光部141とは、視差方向を表すu軸方向に交互に並ぶとする。減光部130と透光部131との境界および減光部140と透光部141との境界は、視差方向に直交するv軸方向に沿ってよいし、v軸方向に対して所定角度で傾斜する方向に沿ってよい。言い換えれば、減光部130と透光部131および減光部140と透光部141は、視差方向の成分を含む所定方向に沿って交互に並んでよい。
【0023】
第2光学パネル14によって、バックライト11から出射され液晶パネル12に入射する光の一部が透光し、一部が減光する。第1光学パネル13によって、液晶パネル12から出射される光の一部が透光し、一部が減光する。このようにして透光した光のうち、液晶パネル12の左眼視認領域201Lを透過した光は、左眼5Lに到達し、液晶パネル12の右眼視認領域201Rを透過した光は、右眼5Rに到達する。
【0024】
本実施形態の3次元表示装置10は、液晶パネル12に入射する光および液晶パネル12を透過して出射する光が、それぞれ第2光学パネル14および第1光学パネル13によって規定されるので、視差画像のクロストークを減少させ、表示品質が改善された視差画像を表示することができる。
【0025】
第1光学パネル13の減光部130および透光部131と、第2光学パネル14の減光部140および透光部141とは、透光部131および透光部141が、第1所定値以上の透過率で光を透過させ、減光部130および減光部140が、第2所定値以下の透過率で光を透過させれば、どのような構成であってもよい。
【0026】
第1光学パネル13は、例えば、第1透光板13aと、第1透光板13aの一方の表面に、視差方向に沿って間隔を空けて位置する第1減光材13bと、を含む構成であってよい。第1透光板13aは、液晶パネル12から出射される光を第1所定値以上の透過率で透過させる材料で構成された板状部材である。板状部材は、板状、シート状またはフィルム状などと称される部材を含む。第1透光板13aを構成する材料としては、例えば、樹脂材料およびガラス材料などを用いることができる。第1減光材13bは、液晶パネル12から出射される光を第2所定値以下の透過率で透過させる材料で構成される。第1減光材13bを構成する材料としては、例えば、樹脂中に光吸収物質が分散されたもの、ガラス中に光吸収物質が分散されたもの、金属材料などを用いることができる。第1光学パネル13において、第1減光材13bが位置する部分が減光部130となり、それ以外の部分が透光部131となる。第1光学パネル13は、第1透光板13aの表面に第1減光材13bを貼り付け、印刷、蒸着など第1減光材13bを構成する材料に応じた方法で作製することができる。
【0027】
第2光学パネル14は、例えば、第2透光板14aと、第2透光板14aの一方の表面に、視差方向に沿って間隔を空けて位置する第2減光材14bと、を含む構成であってよい。第2透光板14aは、バックライト11から出射される光を第1所定値以上の透過率で透過させる材料で構成された板状部材である。第2透光板14aを構成する材料としては、例えば、第1透光板13aと同様に、樹脂材料およびガラス材料などを用いることができる。第2減光材14bは、バックライト11から出射される光を第2所定値以下の透過率で透過させる材料で構成される。第2減光材14bを構成する材料としては、例えば、第1減光材13bと同様に、樹脂中に光吸収物質が分散されたもの、ガラス中に光吸収物質が分散されたもの、金属材料などを用いることができる。第2光学パネル14において、第2減光材14bが位置する部分が減光部140となり、それ以外の部分が透光部141となる。第2光学パネル14は、第1光学パネル13と同様に、第2透光板14aの表面に第2減光材14bを貼り付け、印刷、蒸着など第2減光材14bを構成する材料に応じた方法で作製することができる。
【0028】
第1光学パネル13および第2光学パネル14がこのような構成である場合、第1光学パネル13は、第1減光材13bが液晶パネル12側にあり、第2光学パネル14も、第2減光材14bが液晶パネル12側にあるようにそれぞれ配置されてよい。
【0029】
第1光学パネル13と第2光学パネル14とは、開口率が同じであってよく、異なっていてよい。第1光学パネル13の開口率は、例えば、第1光学パネル13における透光部131の割合であってよい。第2光学パネル14の開口率は、例えば、第2光学パネル14における透光部141の割合であってよい。透光部と減光部との幅(視差方向長さ)が一定であるとすると、開口率は、それぞれの幅寸法とは関係なく、透光部と減光部の幅の比によって決まる。例えば、第1光学パネル13において、透光部131と減光部130との幅が同じであれば、開口率は50%である。例えば、第1光学パネル13において、透光部131と減光部130との幅の比が、3:5であれば、開口率は37.5%である。例えば、第1光学パネル13において、透光部131と減光部130との幅の比が、1:3であれば開口率は25%である。第2光学パネル14の開口率も同様である。
【0030】
図2に示す例では、第1光学パネル13において、透光部131と減光部130の幅が同じであるので、開口率は50%であり、第2光学パネル14において、透光部141と減光部140との幅が同じであるので、開口率は、第1光学パネル13と同じ50%である。第1光学パネル13によって規定される光の割合と、第2光学パネル14によって規定される光の割合とが、同じであるので、視差画像のクロストークをさらに減少させて、より高い表示品質の視差画像を表示することができる。
【0031】
第1光学パネル13と第2光学パネル14との開口率が異なっている場合は、第1光学パネル13の開口率が、第2光学パネル14の開口率より大きくてよい。液晶パネル12より利用者側にある第1光学パネル13の開口率が大きいので、例えば、製造時に第1光学パネル13の配置にずれがあるような場合であっても、透光部131が第2光学パネル14で規定された光を透過させることができる。
【0032】
図3Aは、液晶パネルに表示される視差画像の第1例を説明する図である。液晶パネル12は、制御部15が、液晶層12aを制御することで、左眼視認領域201Lに左眼画像を表示し、右眼視認領域201Rに右眼画像を表示するように構成される。液晶パネル12の表示領域は、u軸方向およびu軸方向に直交するv軸方向に沿って格子配列される複数のサブピクセル120を含む。
図3Aに示す例では、左眼画像および右眼画像は、それぞれu軸方向に沿って4つのサブピクセル120で構成される。左眼画像を構成する4つのサブピクセル120をL1、L2、L3、L4で表す。右眼画像を構成する4つのサブピクセル120をR1、R2、R3、R4で表す。L4とR1とは互いに隣接するサブピクセル120であり、L1とR4とは、互いに隣接するサブピクセル120である。利用者は、左眼5Lで左眼画像を視認し、右眼5Rで右眼画像を視認する。このとき、例えば、左眼5LがR1、R4のサブピクセル120を視認してしまうとクロストークが生じてしまう。また、例えば、右眼5RがL1、L4のサブピクセル120を視認してしまうとクロストークが生じてしまう。本開示の3次元表示装置10は、第1光学パネル13と第2光学パネル14の2つの光学パネルを用いることで、画像光を規定し、クロストークを減少させることができる。
【0033】
図3Bは、液晶パネルに表示される視差画像の第2例を説明する図である。制御部15が液晶層12aを制御することで、左眼画像を構成するサブピクセル120のうち、右眼画像に隣接するサブピクセル120の階調を最も暗い階調とする。制御部15が液晶層12aを制御することで、右眼画像を構成するサブピクセル120のうち、左眼画像に隣接するサブピクセル120の階調を最も暗い階調とする。
図3に示す例では、L1、L4のサブピクセル120およびR1、R4のサブピクセル120を最も暗い階調とする。最も暗い階調のサブピクセル120は、液晶パネル12に入射する光の透過率が最も低い階調となる。クロストークを生じさせる要因となるサブピクセル120を最も暗い階調とすることで、クロストークをさらに減少させることができる。
【0034】
図4は、本開示の他の実施形態に係る3次元表示装置の構成を示す概略構成図である。本実施形態の3次元表示装置10Aは、利用者の眼5の位置を検出する検出装置17をさらに備える。利用者の眼5の位置が変化すると、液晶パネル12の左眼視認領域201Lおよび右眼視認領域201Rも変化する。左眼視認領域201Lおよび右眼視認領域201Rの変化に応じて左眼画像および右眼画像の表示を変化させるように、制御部15は液晶パネル12を制御する。検出装置17によって検出された利用者の眼5の位置に従って、制御部15が液晶パネル12を制御してよい。
【0035】
検出装置17は、利用者の眼5の瞳の位置を検出し、検出結果を入力部16に出力する。入力部16は、利用者の眼5の位置である、いわゆるアイポジションとも呼ばれる瞳孔位置情報を、検出装置17から受信することができる。入力部16は、検出装置17から受信した瞳孔位置情報を制御部15に出力することができる。入力部16は、電気コネクタまたは光コネクタを備え、検出装置17からの電気信号または光信号を受信可能に構成され得る。入力部16は、制御部15に電気信号または光信号を出力可能に構成され得る。
【0036】
検出装置17は、カメラによって利用者の顔を撮影してよい。検出装置17は、カメラの撮影画像から左眼5Lおよび右眼5Rの少なくとも一方の位置を検出してよい。検出装置17は、1個のカメラの撮影画像から、左眼5Lおよび右眼5Rの少なくとも一方の瞳位置を3次元空間の座標として検出してよい。検出装置17は、2個以上のカメラの撮影画像から、左眼5Lおよび右眼5Rの少なくとも一方の瞳位置を3次元空間の座標として検出してよい。
【0037】
検出装置17は、カメラを備えず、装置外のカメラに接続されていてよい。検出装置17は、装置外のカメラからの信号を入力する入力端子を備えてよい。装置外のカメラは、入力端子に直接的に接続されてよい。装置外のカメラは、共有ネットワークを介して入力端子に間接的に接続されてよい。カメラを備えない検出装置17は、カメラが映像信号を入力する入力端子を備えてよい。カメラを備えない検出装置17は、入力端子に入力された映像信号から左眼5Lおよび右眼5Rの少なくとも一方の瞳位置を検出してよい。
【0038】
検出装置17は、カメラに代えて、例えば、センサを備えてよい。センサは、超音波センサまたは光センサ等であってよい。検出装置17は、センサによって利用者の頭部の位置を検出し、頭部の位置に基づいて左眼5Lおよび右眼5Rの少なくとも一方の瞳孔位置を推定してよい。検出装置17は、1個または2個以上のセンサによって、左眼5Lおよび右眼5Rの少なくとも一方の位置を3次元空間の座標として検出してよい。
【0039】
検出装置17は、左眼5Lおよび右眼5Rの一方のみの瞳位置を検出した場合、利用者の眼間距離の情報または一般的な眼間距離の情報から、他方の眼の瞳孔位置を推定しうる。他方の眼の瞳孔位置の推定は、検出装置17ではなく、制御部15が行なってよい。
【0040】
3次元表示装置10Aはさらに、光学系18を含むことができる。光学系18は、液晶パネル12に表示される画像を変倍して利用者の視野に投影しうる。光学系18は、反射光学素子および屈折光学素子などを含んで構成されうる。制御部15は、利用者の眼5の位置に対する、光学系18による変倍率を考慮して、液晶パネル12を制御する。
【0041】
図5は、車両等の移動体に搭載される本開示の表示装置の一実施形態であるヘッドアップディスプレイの概略構成を示す図である。ヘッドアップディスプレイ51は、HUD(Head Up Display)ともいう。ヘッドアップディスプレイ51は、3次元表示装置52および検出装置53を含む画像表示システムである。検出装置53は、移動体50の運転者である利用者の眼5の位置を検出して3次元表示装置52に送信する。3次元表示装置52は、3次元表示装置10と同様の構成を有する。すなわち、3次元表示装置52は、バックライト11、液晶パネル12、第1光学パネル13、第2光学パネル14および制御部15を備えてよい。
【0042】
3次元表示装置52は、さらに、利用者の視野内に液晶パネル12に表示される画像を虚像60として投影する光学系を備える。光学系は、第1の光学部材57、第2の光学部材58および被投影部材59を含む。第1の光学部材57は、3次元表示装置52から出射された画像光を反射するミラーである。第2の光学部材58は、第1の光学部材57により反射された画像光を、被投影部材59に向けて反射するミラーである。第1の光学部材57および第2の光学部材58の双方または何れか一方は、正の屈折力を有する凹面鏡とすることができる。被投影部材59は、入射した画像光を利用者の眼5に向けて反射するとともに、利用者の前方から入射する光を透過させる半透明の部材である。被投影部材59として、ウインドシールドの一部が使用されることがある。また、被投影部材59として、専用のコンバイナが使用されることがある。なお、光学系の構成は、ミラーを組み合わせたものに限られない。光学系は、ミラーとレンズ等を組み合わせる等の種々の構成が可能である。
【0043】
以上のような構成により、ヘッドアップディスプレイ51は、利用者の眼5の位置に応じて、利用者の視野内に画像を虚像60として投影することができる。この画像は、利用者に虚像60の表示位置に表示されているものと知覚される。また、3次元表示装置52を備えることにより、ヘッドアップディスプレイ51は、クロストークを減少させ、表示品質が改善された虚像を表示することができる。
【0044】
本開示に係る構成は、以上説明してきた実施形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、各構成部に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0045】
本開示における「移動体」には、車両、船舶、航空機を含む。本開示における「車両」には、自動車および産業車両を含むが、これに限られず、鉄道車両および生活車両、滑走路を走行する固定翼機を含めてよい。自動車は、乗用車、トラック、バス、二輪車、およびトロリーバス等を含むがこれに限られず、道路上を走行する他の車両を含んでよい。産業車両は、農業および建設向けの産業車両を含む。産業車両には、フォークリフト、およびゴルフカートを含むがこれに限られない。農業向けの産業車両には、トラクター、耕耘機、移植機、バインダー、コンバイン、および芝刈り機を含むが、これに限られない。建設向けの産業車両には、ブルドーザー、スクレーバー、ショベルカー、クレーン車、ダンプカー、およびロードローラを含むが、これに限られない。車両は、人力で走行するものを含む。車両の分類は、上述に限られない。例えば、自動車には、道路を走行可能な産業車両を含んでよく、複数の分類に同じ車両が含まれてよい。本開示における船舶には、マリンジェット、ボート、タンカーを含む。本開示における航空機には、固定翼機、回転翼機を含む。
【0046】
本開示において「第1」および「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」および「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1光学パネルは、第2光学パネルと識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」および「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠、大きい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【0047】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、また、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。上記各実施形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【実施例0048】
本開示の3次元表示装置について、実施例および比較例のクロストークを測定して比較した結果を示す。実施例および比較例は、同じ液晶パネル12を使用した。実施例は、光学パネルの開口率を変化させたもの(実施例1~3)および液晶パネルの視差画像を変化させたもの(実施例4,5)とした。光学パネルは、透光板の表面に減光材を設けた構成のものを用い、減光材が液晶パネル側にあるように配置した。
【0049】
(実施例および比較例の構成)
・実施例1
第1光学パネル13の開口率:25%
第2光学パネル14の開口率:25%
液晶パネル12の表示視差画像:第1例
・実施例2
第1光学パネル13の開口率:37.5%
第2光学パネル14の開口率:25%
液晶パネル12の表示視差画像:第1例
・実施例3
第1光学パネル13の開口率:25%
第2光学パネル14の開口率:37.5%
液晶パネル12の表示視差画像:第1例
・実施例4
第1光学パネル13の開口率:25%
第2光学パネル14の開口率:25%
液晶パネル12の表示視差画像:第2例
・実施例5
第1光学パネル13の開口率:37.5%
第2光学パネル14の開口率:25%
液晶パネル12の表示視差画像:第2例
・比較例1
第1光学パネル13の開口率:25%
第2光学パネル14:使用しない
液晶パネル12の表示視差画像:第1例
・比較例2
第1光学パネル13:使用しない
第2光学パネルの開口率:25%
液晶パネル12の表示視差画像:第1例
【0050】
(クロストーク測定)
図5に示すヘッドアップディスプレイ51の構成とし、利用者の眼に相当する位置に分光放射計(商品名SR―LEDW、株式会社トプコンテクノハウス製)を配置して、以下の各条件の輝度(cd/m
2)を測定した。
・条件1
放射計を左(右)眼の位置に配置し、バックライト11を点灯し、液晶パネル12の左(右)眼視認領域のサブピクセルを最も暗い階調とし、右(左)眼視認領域のサブピクセルを最も明るい階調として輝度を測定した。
・条件2
放射計を左(右)眼の位置に配置し、バックライト11を点灯し、液晶パネル12の左(右)眼視認領域のサブピクセルを最も明るい階調とし、右(左)眼視認領域のサブピクセルを最も暗い階調として輝度を測定した。
・条件3
放射計を左(右)眼の位置に配置し、バックライト11を点灯し、液晶パネル12の全サブピクセルを最も暗い階調として輝度を測定した。
クロストーク(%)は、下記式によって算出した。
クロストーク(%)=((条件1の輝度-条件3の輝度)/(条件2の輝度-条件3の輝度))×100
【0051】
各条件の測定結果とクロストークの算出結果を表1に示す。なお、測定結果は、比較例2の条件2の輝度を1000として規格化したものである。
【0052】
【0053】
実施例1~5は、比較例1,2に比べて、クロストークが減少していることがわかった。実施例1~3を比較するとわかるように、第1光学パネルと第2光学パネルの開口率が同じ構成(実施例1)は、開口率が異なる構成(実施例2,3)よりさらにクロストークが減少した。また、実施例1と実施例4との比較、実施例2と実施例5との比較からわかるように、液晶パネル12の表示視差画像を第2例(
図3B)とすることで、第1例(
図3A)よりクロストークがさらに減少した。