(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104676
(43)【公開日】2022-07-11
(54)【発明の名称】ショックアブソーバ
(51)【国際特許分類】
A62B 35/04 20060101AFI20220704BHJP
【FI】
A62B35/04
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219784
(22)【出願日】2020-12-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】521004114
【氏名又は名称】デフン テキスタイル カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョンソク
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184LB03
(57)【要約】
【課題】広い範囲の作業者の質量及び使用条件に対応できる衝撃吸収性を有する新規なショックアブソーバを提供する。
【解決手段】ショックアブソーバ100は、第1のツギ糸51、52と第2のツギ糸61、62とが、2つのベルト121、122を1つに縫合してなる衝撃吸収領域110と、前記衝撃吸収領域110以外において、縫合されていない分離領域120と、を備え、第1のツギ糸51、52が通るベルト121、122の長さ方向に並ぶ横糸の本数と、第2のツギ糸61、62が通るベルト121、122の長さ方向に並ぶ横糸の本数と、が、a:a、及びb:bで表され、ここで、aは、第1のツギ糸が通る横糸の本数であり、bは第2のツギ糸が通る横糸の本数であり、a及びb共に1以上の整数であり、かつ、b>aである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2本のベルトを備えた、第1のツギ糸及び第2のツギ糸で縫合されてなるショックアブソーバであって、
前記第1のツギ糸と前記第2のツギ糸とが、前記2つのベルトを1つに縫合してなる衝撃吸収領域と、
前記衝撃吸収領域以外において、前記2つのベルト同士が縫合されていない分離領域と、を備え、
前記ベルトは、長さ方向に垂直に走る横糸を含んでおり、前記衝撃吸収領域において、前記第1のツギ糸が通る前記ベルトの長さ方向に並ぶ前記横糸の本数と、前記第2のツギ糸が通る前記ベルトの長さ方向に並ぶ前記横糸の本数とが、a:a、及びb:bで表され、ここで、aは、第1のツギ糸が通る横糸の本数であり、bは第2のツギ糸が通る横糸の本数であり、a及びb共に1以上の整数であり、かつ、b>aである、ショックアブソーバ。
【請求項2】
前記aは、1であり、前記bは2以上である、請求項1に記載のショックアブソーバ。
【請求項3】
前記衝撃吸収領域において、前記第1及び第2のツギ糸が、2つのベルト同士において互いに接するベルト同士を縫合してなる、請求項1又は2に記載のショックアブソーバ。
【請求項4】
1つの前記衝撃吸収領域の両端に繋がる2つの前記分離領域を備えている、請求項1~3の何れか1項に記載のショックアブソーバ。
【請求項5】
1つの前記分離領域の両端に繋がる2つの前記衝撃吸収領域を備えている、請求項1~3の何れか1項に記載のショックアブソーバ。
【請求項6】
第1及び第2のツギ糸は、強度が2~25g/Dの化学繊維を含んでなる、請求項1~5の何れか1項に記載のショックアブソーバ。
【請求項7】
前記衝撃吸収領域は、第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部における横糸の糸密度は6.5pick/cm以上8.5pick/cm以下であり、第2の端部における横糸の糸密度は7.5pick/cm以上9.5pick/cm以下である、請求項1~6の何れか1項に記載のショックアブソーバ。
【請求項8】
前記ベルトにおける縦糸は、強度が5g/D以上の化学繊維を含んでなる、請求項1~7の何れか1項に記載のショックアブソーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショックアブソーバに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、人体ベルトと、フックと、この人体ベルトとフックとを連結するための連結ベルトとを備えており、この連結ベルトがタテ糸とヨコ糸とを備えている安全帯であって、タテ糸として地糸及び芯糸が用いられており、連結ベルトが25%まで伸長する間に芯糸の少なくとも一部が破断し地糸が破断しないように構成されている、安全帯が記載されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、細幅帯状のベルトで構成される相互に独立して形成されている第1のベルト部と第2のベルト部とで構成されている分離部と、当該分離部の双方の端部のそれぞれから外方に連続状に延展されており、且つ、当該第1と第2のベルト部とが吊糸を介して積層一体化されている細幅帯状のベルトで構成されるエネルギー衝撃吸収部とから構成されているショックアブソーバが記載されている。当該ショックアブソーバは、当該第1と第2のベルト部を構成する縦糸及び横糸は化学繊維糸条であり、縦糸は当該分離部及び当該エネルギー衝撃吸収部を通して連続していること、吊糸の一部は第1のベルト部を構成する当該縦糸の間に分散して配列され縦糸としての機能を発揮していると共に、他方の一部は、第2のベルト部を構成する縦糸の間に分散して配列され縦糸としての機能を発揮していることが特許文献2には記載されている。
【0004】
また、例えば、特許文献3には、少なくとも2つの破断部を備え、当該破断部のそれぞれは、それぞれが長さ方向に沿って広がる表層と裏層とを有する上部及び下部の少なくとも2枚重ねのベルトと、より上のベルトの表層上の付着点と、より下の布の裏層上の付着点との間を行きつ戻りつ、正弦波状に前後して通る、外部の破断要素と、より上の布の裏層の付着点と、より下の布の表層の付着点との間を、行きつ戻りつ、正弦波状に前後して内部の破断要素とを備えている、人体落下防止用のショックアブソーバが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-275333号公報
【特許文献2】特開2018-68915号公報
【特許文献4】米国公開2008/0179136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~3に記載されているようなショックアブソーバの衝撃緩和性の国際的な基準には、ISO基準が挙げられる。しかしながら、国ごとにおいて標準的とされる体格が異なるという事情があり、国ごとに異なる規格が存在する。また、各国において需要がある対応質量及び使用条件の分類がなされ、対応質量及び使用条件毎に規格を満たす製品が製造販売されている。各国共通の基準及び分類によらず、1つのショックアブソーバで広い範囲の質量及び使用条件に対応できることは極めて有用であるが、特許文献1~3はそのようなショックアブソーバについて何ら知見を開示していない。
【0007】
本発明の一態様は、広い範囲の作業者の質量及び多用な使用条件に対応できる衝撃吸収性を有する新規なショックアブソーバを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るショックアブソーバは、少なくとも2本のベルトを備えた、第1のツギ糸及び第2のツギ糸で縫合されてなるショックアブソーバであって、前記第1のツギ糸と前記第2のツギ糸とが、前記2つのベルトを1つに縫合してなる衝撃吸収領域と、前記衝撃吸収領域以外において、前記2つのベルト同士が縫合されていない分離領域と、を備え、前記ベルトは、長さ方向に垂直に走る横糸を含んでおり、前記衝撃吸収領域において、前記第1のツギ糸が通る前記ベルトの長さ方向に並ぶ前記横糸の本数と、前記第2のツギ糸が通る前記ベルトの長さ方向に並ぶ前記横糸の本数とが、a:a、及びb:bで表され、ここで、aは、第1のツギ糸が通る横糸の本数であり、bは第2のツギ糸が通る横糸の本数であり、a及びb共に1以上の整数であり、かつ、b>aである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、広い範囲の作業者の質量及び多用な使用条件に対応できる衝撃吸収性を有する新規なショックアブソーバを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るショックアブソーバ100の概略を説明する断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るショックアブソーバ100における、第1のツギ糸51によるパターンの概略を説明する断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るショックアブソーバ100における、第1のツギ糸52によるパターンの概略を説明する断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るショックアブソーバ100における、第2の継糸61によるパターンの概略を説明する断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るショックアブソーバ100における、第2の継糸62によるパターンの概略を説明する断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るショックアブソーバ100の概略を説明する別の図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るショックアブソーバ101の概略を説明する図である。
【
図8】実施例1のショックアブソーバにおけるJIS T8165:2018 第1種規格に沿った荷重100kgの条件における落下衝撃試験の結果を示すグラフである。
【
図9】実施例1のショックアブソーバにおけるJIS T8165:2018 第1種規格に沿った荷重110kgの条件における落下衝撃試験の結果を示すグラフである。
【
図10】実施例1のショックアブソーバにおけるJIS T8165:2018 第1種規格に沿った荷重120kgの条件における落下衝撃試験の結果を示すグラフである。
【
図11】実施例1のショックアブソーバにおけるJIS T8165:2018 第1種規格に沿った荷重130kgの条件における落下衝撃試験の結果を示すグラフである。
【
図12】実施例2のショックアブソーバにおけるJIS T8165:2018 第1種規格に沿った荷重100kgの条件における落下衝撃試験の結果を示すグラフである。
【
図13】実施例2のショックアブソーバにおけるJIS T8165:2018 第1種規格に沿った荷重110kgの条件における落下衝撃試験の結果を示すグラフである。
【
図14】実施例2のショックアブソーバにおけるJIS T8165:2018 第1種規格に沿った荷重120kgの条件における落下衝撃試験の結果を示すグラフである。
【
図15】実施例2のショックアブソーバにおけるJIS T8165:2018 第1種規格に沿った荷重130kgの条件における落下衝撃試験の結果を示すグラフである。
【
図16】実施例2のショックアブソーバにおけるJIS T8165:2018 第2種規格に沿った荷重100kgの条件における落下衝撃試験の結果を示すグラフである。
【
図17】実施例2のショックアブソーバにおけるJIS T8165:2018 第2種規格に沿った荷重110kgの条件における落下衝撃試験の結果を示すグラフである。
【
図18】実施例2のショックアブソーバにおけるJIS T8165:2018 第2種規格に沿った荷重120kgの条件における落下衝撃試験の結果を示すグラフである。
【
図19】実施例2のショックアブソーバにおけるJIS T8165:2018 第2種規格に沿った荷重130kgの条件における落下衝撃試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<ショックアブソーバ100>
図1~6を用いて、本発明の一態様に係るショックアブソーバ100についてより詳細に説明する。
【0012】
図1及び
図6は、本発明の一実施形態に係るショックアブソーバ100の概略を説明する図であり、
図2~5は、ショックアブソーバ100におけるツギ糸51及び52、並びにツギ糸61及び62によるパターンの概略を説明する図である。なお、
図1には、ショックアブソーバ100における長手方向に沿った側断面の概略が図示されている。
【0013】
図1に示すように、ショックアブソーバ100は、衝撃吸収領域110と、当該衝撃吸収領域110における両端のそれぞれとに分離領域120を備えており、ここで、衝撃吸収領域110及び分離領域120は、上側ベルト121及び下側ベルト122から形成されている。上側ベルト121は、ベルト10及びベルト20の2本のベルトを備え、下側ベルト122は、ベルト30及びベルト40の2本のベルトを備えている。
図1を始めとする各図において、上側ベルト121及び下側ベルト122を構成するベルト10~40における地糸としての横糸はハッチングを付して図示されているが、便宜上、ベルト10~40において長手方向に伸びる地糸としての縦糸は図示することを省略されている。
【0014】
なお、本明細書中、ツギ糸とは、少なくとも2本のベルトを繋ぐ糸のことを意味し、この点においてベルトに含まれる地糸としても縦糸と相違する。
【0015】
衝撃吸収領域とは、ショックアブソーバにおいて第1のツギ糸、及び第2のツギ糸によって上側ベルト及び下側ベルトが縫合されている領域である。また、分離領域とは、衝撃吸収領域以外の領域であり、第1のツギ糸及び第2のツギ糸が、上側ベルト及び下側ベルトを1つになるように縫合していない領域のことである。
【0016】
ショックアブソーバ100は、分離領域120における上側ベルト121と下側ベルト122とが互いに離れる方向に荷重が加わることにより、衝撃吸収領域110においてツギ糸51及びツギ糸52、並びに、ツギ糸61及び62が、ベルト10~40の横糸との縫い目の間ごとに順次破断していく。これにより、ショックアブソーバ100を装着した作業者が、高所から落下したときに受ける衝撃を、当該ショックアブソーバ100により好適に吸収することができる。
【0017】
図1に示すショックアブソーバ100は、ツギ糸51及び52、並びにツギ糸61及び62のそれぞれが、
図2~5に示すようなパターンによってベルト10~40を縫い合わせる。これにより、横糸の密度を高くしたり低くしたりすることができる。
図1においては、衝撃吸収領域110内において横糸の密度を均一に示しているが、例えば、後述する本発明の一態様におけるツギ糸の縫合によって、この密度を調整できる。より具体的には、例えば、ベルト10~40における横糸11、21、31、及び41は一定の速度で供給し、それ以外のツギ糸51及び52、並びに61及び62、並びに縦糸(不図示)の供給速度を調整することで密度を調節するとよい。これにより、例えば、衝撃吸収領域110を、半分を高体重の使用者に合わせ密度を高くして、残り半分を低体重の使用者に合わせ密度を低くすることができる。これにより、本発明の一実施形態に係るショックアブソーバ100は広い範囲の質量及び使用条件に対応することができる。
【0018】
また、
図2~5に例示するパターンによってベルト10~40を縫合することにより、ショックアブソーバ100の分離領域120では、ツギ糸51及びツギ糸61は、上側ベルト121のベルト10及びベルト20を縫合しているが、ベルト30及びベルト40を縫合していない。また、ツギ糸52及びツギ糸62は、ベルト30及びベルト40を縫合しているが、ベルト10及びベルト20を縫合していない。これにより上側ベルト121及び下側ベルト122が互いに縫合されていない。これにより、衝撃吸収領域110では上側ベルト121及び下側ベルト122が縫合され、分離領域120では上側ベルト121及び下側ベルト122が縫合されていない1つのショックアブソーバ100が形成されている。
【0019】
図2には、第1のツギ糸50に属するツギ糸51が、ベルト10~30を縫い合わせるときのパターンが図示されている。ツギ糸51は、ショックアブソーバ100において、上面側に位置するベルト10からベルト20及びベルト30を縫合する。
図2の紙面向かって左側から右側に向かって縫合したとすると、ツギ糸51は、まず、分離領域120におけるベルト10及びベルト20を縫合し、上側ベルト121の一部を形成する。ここで、ツギ糸52は、
図2に例示されるように、ベルト10の横糸11と、ベルトの長さ方向において当該横糸11に隣接するベルト20の横糸21とを1本毎、つまり1:1で縫合しているとよい。引き続き、ツギ糸51は、ベルト10における1つの横糸11と、ベルトの長さ方向において当該横糸11に隣接するベルト30における1つの横糸31とをベルト20を通過するようにして縫合し、横糸11と横糸31とを1:1で縫合している。これにより、上側ベルト121の一部を形成しつつ、上側ベルト121におけるベルト20側にベルト30を縫合している。そして、ツギ糸51は、ベルト10における1つの横糸11とベルト20における1つの横糸21とを1:1で縫合するとよく、これにより、紙面向かって右側の上側ベルト121の一部を形成する。ここで、第1のツギ糸51及び52が通る上側ベルト121及び下側ベルト122の長さ方向に並ぶ横糸の本数と、第2のツギ糸61及び62が通る上側ベルト121及び下側ベルト122の長さ方向に並ぶ横糸の本数とが、a:a、及びb:bで表され、ここで、aは、第1のツギ糸51及び52が通る本数であり、bは第2のツギ糸61及び62が通る横糸の本数である。本実施形態では前記aは1であり、前記bは2であるが、本発明はこのような数字に限定されず、a及びb共に1以上の整数であり、かつ、b>aであればよい。なお、本明細書において、ベルトの長さ方向に並ぶ横糸一本一本の間にツギ糸を通す縫合について、「ツギ糸を1:1で縫合する」などという。また、ベルトの長さ方向に並ぶ横糸の複数本と複数本との間にツギ糸を通す方向については、その数を用いて同様に表現する。つまり、横糸2本毎にツギ糸を通している場合は、「ツギ糸を2:2で縫合する」などという。
【0020】
図3には、第1のツギ糸50に属するツギ糸52が、ベルト20~40を縫い合わせるときのパターンが図示されている。ツギ糸52は、ショックアブソーバ100の下面側に位置するベルト40側からベルト30及びベルト20を縫合する。
図3の紙面向かって左側から右側に向かって縫合したとすると、ツギ糸52は、まず、分離領域120における下側ベルト122の一部を形成する。ここで、ツギ糸52は、
図3に例示されるように、ベルト30の横糸31とベルト40の横糸41とを1:1で縫合しているとよい。引き続き、ツギ糸52は、ベルト40における1つの横糸41とベルト20における1つの横糸21とをベルト30を通過するようにして縫合し、横糸21と横糸41とを1:1で縫合している。ここで、下側ベルト122の一部を形成しつつ、下側ベルト122におけるベルト30側にベルト20を縫合している。そして、ツギ糸52は、ベルト40における1つの横糸41とベルト30における1つの横糸31とを1:1で縫合するとよく、これにより、紙面向かって右側の下側ベルト122の一部を形成している。
【0021】
図3に示す、ツギ糸51及びツギ糸52は、それぞれショックアブソーバ100の上面側及び下面側の両方から、ベルト10~40を縫合している。より具体的には、ツギ糸51はベルト30における横糸31の一本を紙面下方向からくぐり、且つ、ベルト40の横糸41の下はくぐらせずに、ベルト10の表面に戻り、再度、当該横糸31とベルトの長さ方向に隣接する別の横糸31の一本を紙面下方向からくぐり、且つ、横糸41の下はくぐらせずに縫合していく。同様に、ツギ糸52は、ベルト20における横糸21を紙面上方向からまたぎ、かつ、ベルト10における横糸11の上はくぐらせずに、ベルト40の表面に戻り、再度、当該横糸21とベルトの長さ方向に隣接する別の横糸21の一本を紙面上方向からまたぎ、且つ、ベルト10における横糸11の上はくぐらせずに、は通過させないように縫合していく。これを繰り返すことで、ベルト20とベルト30とが縫合され、ひいては、ベルト10~40が縫合される。
【0022】
図4には、第2のツギ糸60に属するツギ糸61が、ベルト10~40を縫い合わせるときのパターンが図示されている。ツギ糸61は、ショックアブソーバ100において、上面側に位置するベルト10側から下面側に位置するベルト40に至るまでの全てのベルトを縫合する。ここで、
図4の紙面向かって左側から右側に向かって縫合したとすると、ツギ糸61は、まず、ベルト40の横糸41とベルト30の横糸31とを1:1で縫合するとよく、これにより上側ベルト121の一部を形成することはツギ糸51と同じである。すなわち、ツギ糸61は、
図2に示すツギ糸51と共に分離領域120における上側ベルト121の一部を形成している。引き続き、ツギ糸61は、ベルト10における1つの横糸11とベルト40における1つの横糸41とをベルト20及びベルト30を通り抜けるようにして縫合し、上側ベルト121の横糸11及び横糸21と、下側ベルト122の横糸31及び横糸41とを、複数本ごと、具体的には2:2で縫合している。これにより、上側ベルト121の一部を形成しつつ、ベルト10~40の全てを縫合している。そして、ツギ糸61は、ベルト10における1つの横糸11とベルト20における1つの横糸21とを1:1で縫合するとよく、紙面向かって右側の上側ベルト121の一部を形成していることはツギ糸51と同じである。このように本実施形態ではツギ糸は2:2であるが、本発明においては複数:複数であれば同様の効果が得られる。ただし、2:2が最も好ましい。
【0023】
図5には、第2のツギ糸60に属するツギ糸62が、ベルト10~40を縫い合わせるときのパターンが図示されている。ツギ糸62は、ショックアブソーバ100において、下面側に位置するベルト40側から上面側に位置するベルト10に至るまでの全てのベルトを縫合している。ここで、
図5の紙面向かって左側から右側に向かって縫合したとすると、ツギ糸62は、まず、ベルト40の横糸41とベルト30の横糸31とを1:1で縫合するとよく、これにより下側ベルト122の一部を形成することはツギ糸52と同じである。すなわち、ツギ糸62は、
図3に示すツギ糸52と共に分離領域120における下側ベルト122の一部を形成している。引き続き、ツギ糸62は、ベルト40における1つの横糸41とベルト10における1つの横糸11とをベルト20及びベルト30を通り抜けるようにして縫合し、上側ベルト121の横糸11及び横糸21と、下側ベルト122の横糸31及び横糸41とを、複数本ごと、具体的には2:2で縫合している。これにより、下側ベルト122の一部を形成しつつ、ベルト10~40の全てを縫合している。その後、ツギ糸61は、ベルト10における1つの横糸11とベルト20における1つの横糸21とを1:1で縫合しているとよく、紙面向かって右側の上側ベルト121の一部を形成することはツギ糸51と同じである。
【0024】
また、
図5から、ツギ糸61及びツギ糸62が、それぞれショックアブソーバ100の上面側及び下面側の両方から、これらベルトを縫合している。このため、落下衝撃による荷重が加わったとき、第1のツギ糸50及び第2のツギ糸60のそれぞれは異なるタイミングで破断する。より具体的には、
図1に示された衝撃吸収領域110の最も左側に位置するツギ糸51及び52が破断したときに、その次に破断されるべき位置に縫い目があるツギ糸61及びツギ糸62は破断していない。このため、引き続き、ツギ糸61及び62により十分に衝撃を吸収でき、かつ、ツギ糸61及び62の次に破断されるべき位置に縫い目がある第1のツギ糸50が、先の縫い目において破断したことに伴い引っ張られ、解けることを好適に防止できる。同様に、ツギ糸61及び62がその縫い目において破断したときに、その次に破断すべき位置に縫い目があるツギ糸51及び52は破断していない。このため、第1のツギ糸50により、十分に衝撃を吸収でき、かつ、次に破断されるべき第2のツギ糸60の縫い目において、第2のツギ糸60が解けることを好適に防止できる。よって、本発明の一実施形態に係るショックアブソーバ100は、第1のツギ糸50及び第2のツギ糸60が破断し、ベルト121及び122が分離するときに、第1のツギ糸50及び第2のツギ糸60が解けることを防止でき、これにより、広い範囲の質量に対応して衝撃を吸収できる。また、各ベルトを縫合するときに、ツギ糸の1:1の縫合及び2:2の縫合を併用することで、衝撃吸収が滑らかになる。糸密度の設計の自由度が広がる。例えば、衝撃吸収領域を設け得る、限られた長さの中で、高い糸密度で吸収可能な衝撃量を増やすことなどができる。よって、広範囲の衝撃を好適に吸収し、かつ、当該範囲として設定し得る範囲の設計の自由度が向上する。また、横糸1:1、及び横糸2:2横糸により各ベルトを縫合することで、横糸1:1のみで縫合する場合より、衝撃吸収を滑らかにできること、及び出来上がった製品が柔らかく、加工し易いことが利点である。横糸1:1のみで縫合すると衝撃吸収を滑らかではない。
【0025】
ショックアブソーバの衝撃緩和性の国際的な基準には、ISO基準が挙げられるが、例えば、日本では、所定の式により求められる自由落下距離、並びに、人体衝撃荷重、及び落下後のショックアブソーバの伸びに基づき、JIS T8165:2018に規格が定められている。この規格に基づき、日本では最大自由落下距離、つまり使用条件で分類される1種(2.3m以下)及び2種(4.0m)ごとに100kg以下の製品、及び130kg前後以下のものが、主に製造販売されている。一実施形態に係るショックアブソーバ100は、100kg以下、及び130kg以下のそれぞれにおいて、上述のJIS規格における1種及び2種の使用条件を満たすことができる。なお、JIS T8165:2018の4.2.2最大使用質量には、「墜落制止用器具の最大使用質量(作業者の体重及び装備品の質量との合計)は、耐衝撃性及び関連性能試験を行った落下体(砂のう、トルソーまたは重すい)の質量を上回ってはならない。この耐衝撃性及び関連性能試験を行う落下体の質量は、85kg又は100kgとする。また、100kgを超える重量者用の特別な落下体を使用する事ができる。」と規定されており、「特別な落下体」として、130kg以下の製品が主に製造販売されている。
【0026】
ショックアブソーバ100における衝撃吸収領域110の長手方向に沿った長さは、使用条件及び衝撃による荷重に応じて設計するとよい。
【0027】
また、ショックアブソーバ100における分離領域120の長さは、後述するリング等を十分な強度で取り付けることができれば限定されない。
【0028】
図6は、ショックアブソーバ100の概略を説明する、
図1とは別の図である。
図6には、分離領域120における上側ベルト121に端部121A及び端部121Bが図示され、下側ベルト122に端部122A及び122Bが図示されている。ショックアブソーバ100は、例えば、上側ベルト121をOリング又はDリング等のリング等(不図示)に通し、端部121A及び端部121Bを縫合することで当該リング等を取り付けるとよい。同様に、分離領域120における下側ベルト122をリング等に通し、端部122A及び端部122Bを縫合することで、リング等を取り付けるとよい。このようにして取り付けられた2つのリング等の一方に、例えば、カラビナ等を介してハーネスベルト、腰ベルト、又は補助ベルト等を取り付けるとよく、残りの他方にランヤード(命綱)等を取り付けるとよい。ショックアブソーバ100は、このように、当該ショックアブソーバ100を作製した後、別工程としてリング等を取り付けることができるため、製造の単純化が可能であり、製造コストを削減でき、管理容易性を向上させることができる。
【0029】
〔材料〕
各図に示す、ベルト10~40の地糸としての縦糸及び横糸には、高い耐衝撃性を有するという観点から化学繊維を用いることができ、化学繊維には、例えば、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、及び超高分子ポリエチレン繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維並びにこれら化学繊維の組み合わせたものが挙げられる。特に、ベルトの耐衝撃性を高めつつ、ショックアブソーバの本体幅を短くすることと共に薄くすることができ、これによりショックアブソーバを軽量化できるという観点から、化学繊維は、アラミド繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、超高分子ポリエチレン繊維などを主たる繊維として用いることがより好ましい。
【0030】
ベルト10~40は、各枚ごと平織又は綾織されたベルトが例示され、糸密度を高めるという観点から、平織されたベルトであることがより好ましい。また、ベルト10~40における地糸としての縦糸及び横糸は、合糸であってもよく、撚糸であってもよい。
図1の紙面に向かって衝撃吸収領域110の左側における第1の端部110A側が高荷重に対応し、右側における第2の端部110B側が低荷重に対応する。ここで衝撃吸収領域110左側の高荷重、右側の低荷重のそれぞれにおける糸密度(織密度ともいう)は、横糸において衝撃吸収領域110右側は6.5pick/cm以上8.5pick/cm以下であることが好ましく、衝撃吸収領域110左側は7.5pick/cm以上9.5pick/cm以下であることがより好ましい。また、ベルト10~40における化学繊維の破断荷重(引張強度)は、5g/D(g/デニール)以上であることが好ましい。
【0031】
また、ベルト10~40における縦糸の破断荷重(引張強度)は、5g/D(g/デニール)以上、40g/D以下であることが好ましい。
【0032】
ベルト10~40における長手方向に沿った長さ、短手方向における幅は、各国の規格に応じて設計すればよく、限定されるものではない。
【0033】
第1のツギ糸50、及び第2のツギ糸60には、ベルト10~40の地糸と同じく、例えば、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、及び超高分子ポリエチレン繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維等の化学繊維が好ましく用いられる。特に、軽量であり、高い耐衝撃性を有しているという観点から、第1のツギ糸50、及び第2のツギ糸60においては、ポリエステル繊維がより好ましく用いられる。第1のツギ糸50、及び第2のツギ糸60は、合糸であってもよく、撚糸であってもよい。また、第1のツギ糸50及び第2のツギ糸60のそれぞれは、強度が2~25g/Dの化学繊維を含んでなることがより好ましい。
【0034】
第1のツギ糸50は、ベルトの縦糸に沿ってショックアブソーバの上面側及び下面側から少なくとも1本ずつ用いられていればよい。また、第1のツギ糸50のそれぞれは、ショックアブソーバの長手方向に平行であり、短手方向の中心を通る中心線に沿って互いに平行になるようにベルトを縫合していてもよく、当該中心線上においてベルトを縫合していてもよい。同様に、第2のツギ糸60も、ベルトの縦糸に沿ってショックアブソーバ100の上面側及び下面側から少なくとも1本ずつ用いられていればよく、ショックアブソーバ100の短手方向の中心線に沿って互いに平行になるようにベルトを縫合していてもよく、中心線上においてベルトを縫合していてもよい。
【0035】
〔別の実施形態〕
本発明に係るショックアブソーバは上述のショックアブソーバ100に限定されない。
図7に示すように、別の実施形態に係るショックアブソーバ101は、例えば、1つの分離領域120の両端に繋がる2つの衝撃吸収領域110を備えている。なお、ショックアブソーバ101における各ベルト、破断帯、及び第1のツギ糸及び第2のツギ糸、並びに第1の端部及び第2の端部の構成については、ショックアブソーバ100と同様であるため、その説明を省略する。
【0036】
別の実施形態に係るショックアブソーバ101は、2つの衝撃吸収領域110の間に位置する分離領域120における上側ベルト121と下側ベルト122とのそれぞれに、少なくとも1つずつのOリング又はDリング等のリング等(不図示)が取り付けられる。各リング等は、ショックアブソーバ100の場合と同じく、一方はカラビナ等を介してハーネスベルト、腰ベルト、又は補助ベルトに取り付けられ、他方はランヤードに取り付けられる。
【0037】
さらに別の実施形態に係るショックアブソーバは、3つの分離領域と2つ衝撃吸収領域とを備え、各分離領域が2つの衝撃吸収領域によって繋がっていてもよい。ここで、リング等、ハーネスベルト等、及びランヤードは、ショックアブソーバの両端における分離領域において、一実施形態に係るショックアブソーバ100と同じ方法で取り付けるとよい。
【0038】
さらには、本発明の一実施形態に係るショックアブソーバは、少なくとも1つの衝撃吸収領域と、少なくとも1つの分離領域とを備えていれば、これら衝撃吸収領域及び分離領域のそれぞれの数は限定されず、例えば、4つの分離利用域と2つの衝撃吸収領域を備える実施形態もあり得る。
【0039】
また、さらに別の実施形態に係るショックアブソーバは、1つの分離領域と、1つの衝撃吸収領域を備えていればよく、当該1つの分離領域における上側ベルト及び下側ベルトの両方を1つのハーネスベルトに強固に縫合してもよい。このようなショックアブソーバは一般的にシングルタイプのショックアブソーバと称される。
【0040】
〔まとめ〕
以上の通り、本発明の態様1に係るショックアブソーバは、前記第1のツギ糸と前記第2のツギ糸とが、前記2つのベルトを1つに縫合してなる衝撃吸収領域と、前記衝撃吸収領域以外において、前記2つのベルト同士が縫合されていない分離領域と、を備え、前記ベルトは、長さ方向に垂直に走る横糸を含んでおり、前記衝撃吸収領域において、前記第1のツギ糸が通る前記ベルトの長さ方向に並ぶ前記横糸の本数と、前記第2のツギ糸が通る前記ベルトの長さ方向に並ぶ前記横糸の本数とが、a:a、及びb:bで表され、ここで、aは、第1のツギ糸が通る横糸の本数であり、bは第2のツギ糸が通る横糸の本数であり、a及びb共に1以上の整数であり、かつ、b>aである。
【0041】
また、本発明の態様2に係るショックアブソーバは、前記態様1において、前記aは1であり、前記bは2以上であることがより好ましい。
【0042】
また、本発明の態様3に係るショックアブソーバは、前記態様1又は2において、前記衝撃吸収領域において、前記第1及び第2のツギ糸が、2つのベルト同士において互いに接するベルト同士を縫合してなることがより好ましい。
【0043】
また、本発明の態様4に係るショックアブソーバは、前記態様1~3の少なくとも何れかの態様において、1つの前記衝撃吸収領域の両端に繋がる2つの前記分離領域を備えているとよい。
【0044】
また、本発明の態様5に係るショックアブソーバは、前記態様1~3の少なくとも何れかの態様において、1つの前記分離領域の両端に繋がる2つの前記衝撃吸収領域を備えているとよい。
【0045】
また、本発明の態様6に係るショックアブソーバは、前記態様1~5の少なくとも何れかの態様において、第1及び第2のツギ糸は、強度が2~25g/Dの化学繊維を含んでいることがより好ましい。
【0046】
また、本発明の態様7に係るショックアブソーバは、前記態様1~6の少なくとも何れかの態様において、前記衝撃吸収領域は、第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部における横糸の糸密度は6.5pick/cm以上8.5pick/cm以下であり、第2の端部における横糸の糸密度は7.5pick/cm以上9.5pick/cm以下である。
【0047】
また、本発明の態様8に係るショックアブソーバは、前記態様1~7の少なくとも何れかの態様において、前記ベルトにおける縦糸は、強度が5g/D以上の化学繊維を含んでなる。
【0048】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例0049】
実施例1及び実施例2のショックアブソーバを作製し、JIS T8165:2018において第1種、第2種に規定されたショックアブソーバの条件に準拠して、質量100kg、110kg、120kg、130kgのそれぞれの条件における落下衝撃試験を行なった。
【0050】
織機により、地糸として、超高分子ポリエチレンなどを用い、ベルトを作製し、ポリエステル繊維を含むツギ糸を用い、
図1に示されたショックアブソーバを実施例1として製作した。なお、実施例1のショックアブソーバにおいて、第1及び第2のツギ糸は、強度が平均6.95g/Dであり、衝撃吸収領域における第1の端部における横糸の糸密度は8.2pick/cmであり、第2の端部における横糸の糸密度は8.5pick/cmであった。また、実施例1のショックアブソーバの衝撃吸収領域の長さは800mmであった。
【0051】
また、衝撃吸収領域の長さ810mmであり、衝撃吸収領域の長さが実施例1のショックアブソーバよりも10mm長い以外は、実施例1と同じ条件である実施例2のショックアブソーバを作製した。
【0052】
実施例1及び2のショックアブソーバのサイズを、市販品として入手した以下の比較例1~8のサイズとともに表1に示す。
【0053】
【0054】
表1に示すように、実施例1のショックアブソーバは、本体長さが短く、JISの1種対応品または2種対応品である比較例1~8のショックアブソーバと比較して、軽量化、及び小型化が達成されていることを確認した。同様に、JIS1種2種兼用である実施例2のショックアブソーバにおいても、比較例1~8のショックアブソーバよりも、軽量化、及び小型化が達成されていることを確認した。
【0055】
次いで、JIS T8165:2018に準拠し、最大自由落下距離H=2.30mとして、ロードセルにショックアブソーバーを備えたランヤード先端のコネクタを取り付け、質量が100kgの重すいに取り付け、自由落下させたときの衝撃荷重値を測定した。このときの時間-荷重グラフを
図8に示し、表2に評価結果を示す。
【0056】
続いて、実施例1のショックアブソーバを備えたランヤードと同じものを準備し、100kgの重すいを110kgの重すいに変更した以外は、実施例1と同じ条件にて、衝撃荷重値を荷重計で測定した。このときの時間-荷重グラフを
図9に示し、表2に評価結果を示す。
【0057】
続いて、実施例1のショックアブソーバを備えたランヤードと同じものを準備し、100kgの重すいを120kgの重すいに変更した以外は、実施例1と同じ条件にて、衝撃荷重値を荷重計で測定した。このときの時間-荷重グラフを
図10に示し、表2に評価結果を示す。
【0058】
続いて、実施例1のショックアブソーバを備えたランヤードと同じものを準備し、100kgの重すいを130kgの重すいに変更した以外は、実施例1と同じ条件にて、衝撃荷重値を荷重計で測定した。このときの時間-荷重グラフを
図11に示し、表2に評価結果を示す。
【0059】
【0060】
平均衝撃荷重、及び試験前後差から、実施例のシックアブソーバは質量100kg、110kg、120kg及び130kgの何れの落下衝撃試験においてもJIS T8165:2018に規定された基準を満たすことが確認できた。また、実施例1のショックアブソーバは、100kg、110kg、120kg及び130kgのいずれも場合も、衝撃吸収が滑らかであることが、
図8~
図11のグラフから確認できた。
【0061】
実施例2のショックアブソーバについて、実施例1と同じく、100kg、110kg、120kg及び130kgのそれぞれの重すいを用いた条件にて、JIS T8165:2018の1種に準拠し、最大自由落下距離H=2.30mにて落下衝撃試験を行なった。実施例2のショックアブソーバにおける落下衝撃試験の評価結果を表3に示す。
【0062】
【0063】
表3に示すように、実施例1のショックアブソーバと同様に、実施例2のショックアブソーバは、平均衝撃荷重が4.0kN以下であり、試験後の伸びが、1.2m以下であったことから、JISの第1種に規定される性能を有していることを確認できた。また、実施例2のショックアブソーバは、100kg、110kg、120kg及び130kgのいずれも場合も、衝撃吸収が滑らかであることが、
図12~
図15のグラフから確認できた。
【0064】
また、実施例2のショックアブソーバと同じものとを準備し、100kg、110kg、120kg及び130kgのそれぞれの重すいを用いた条件にて、JIS T8165:2018の2種に準拠し、最大自由落下距離H=4.0mにて落下衝撃試験を行なった。結果を表4に示す。
【0065】
【0066】
表4に示すように、実施例2のショックアブソーバは、平均衝撃荷重が6.0kN以下であり、試験後の伸びが、1.75m以下であったことから、JISの第2種に規定される性能を有していることを確認できた。また、実施例2のショックアブソーバは、100kg、110kg、120kg及び130kgのいずれも場合も、衝撃吸収が滑らかであることが、
図16~
図19のグラフから確認できた。また、以上の結果から、実施例2の子ショックアブソーバは、JIS T8165:2018の第1種及び第2種の両方の規格を満たす性能を有することを確認した。
前記衝撃吸収領域において、前記第1及び第2のツギ糸が、2つのベルト同士において互いに接するベルト同士を縫合してなる、請求項1~3の何れか1項に記載のショックアブソーバ。