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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104679
(43)【公開日】2022-07-11
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/04 20060101AFI20220704BHJP
   F25D 23/06 20060101ALI20220704BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20220704BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20220704BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
F25D21/04 B
F25D23/06 Q
F25D23/02 305A
F25D23/06 L
F25D21/04 G
F25D23/00 305A
F25D19/00 510C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219787
(22)【出願日】2020-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】徐 暁ハン
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA06
3L102KC02
3L102KC03
3L102LB12
3L102LE01
3L102LE02
(57)【要約】
【課題】冷蔵庫の断熱扉に結露が発生することを抑制する。
【解決手段】冷蔵庫10は、内部に貯蔵室が形成される断熱箱体11と、貯蔵室の前面開口30を閉鎖する断熱扉と、貯蔵室を冷却する冷凍サイクル31と、を具備する。また、断熱箱体11の前面部32の内側には、冷凍サイクル31で用いられる高温冷媒が流通する冷媒配管33と、ヒータ34と、が内蔵される。このようにすることで、前面部32の内部に配置された冷媒配管33およびヒータ34により、断熱箱体11の前面部32を介して、断熱扉を昇温することで、断熱扉の表面に結露が発生することを抑止できる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に貯蔵室が形成される断熱箱体と、
前記貯蔵室の前面開口を閉鎖する断熱扉と、
前記貯蔵室を冷却する冷凍サイクルと、を具備し、
前記断熱箱体の前面部の内側には、前記冷凍サイクルで用いられる高温冷媒が流通する冷媒配管と、ヒータと、が内蔵されることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記断熱扉は、
前記断熱箱体の前面において、左右方向一端側に回転可能に取りつけられた第1断熱扉と、
前記断熱箱体の前面において、左右方向他端側に回転可能に取りつけられた第2断熱扉と、を具備し、
前記断熱箱体の前記前面部に、前記第1断熱扉の左右方向内側端部と、前記第2断熱扉の左右方向内側端部とが当接することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記断熱箱体の前記前面部は、前方に露出する前面板を有し、
前記冷媒配管および前記ヒータは、前記前面板の後方に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記冷媒配管および前記ヒータと、前記前面板との間には、伝熱部材が配置されることを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記前面部は、合成樹脂から成る前面本体部を有し、
前記前面本体部は、前記冷媒配管が収納される第1凹状部と、前記ヒータが収納される第2凹状部と、を有することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の冷蔵庫。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関し、特に、各貯蔵室の前面開口が断熱扉で閉される冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、冷蔵庫においては、貯蔵室の前面開口を塞ぐ断熱扉のハンドルに結露が発生する課題があった。特に、冷凍室の前面開口を塞ぐ断熱扉のハンドルにおいては、外部雰囲気と冷凍室との温度差が大きいため、結露が発生する課題が顕著であった。
【0003】
特許文献1では、この課題を解決するべく、断熱箱体の前面開口の近傍を加熱する構成が記載されている。具体的には、断熱箱体の前面開口の近傍に冷媒配管を引き回し、この冷媒配管に、高温冷媒を流通させている。このようにすることで、断熱箱体の前面開口および断熱扉を昇温し、断熱扉のハンドル部分に結露が発生することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-101337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1に記載された冷蔵庫では、冷蔵庫の運転時において、依然として結露が発生してしまう課題があった。
【0006】
具体的には、断熱箱体の前面開口の近傍に冷媒配管を引き回すのみでは、昇温効果が十分ではなく、前面開口や、その近傍の断熱扉に結露が発生してしまう課題があった。特に、冷蔵庫が高温多湿の状況下で運転された場合、冷蔵庫の前面開口や断熱扉に結露が発生する課題が顕著となる。
【0007】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、断熱扉に結露が発生することを抑制する冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の冷蔵庫は、内部に貯蔵室が形成される断熱箱体と、前記貯蔵室の前面開口を閉鎖する断熱扉と、前記貯蔵室を冷却する冷凍サイクルと、を具備し、前記断熱箱体の前面部の内側には、前記冷凍サイクルで用いられる高温冷媒が流通する冷媒配管と、ヒータと、が内蔵されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の冷蔵庫では、前記断熱扉は、前記断熱箱体の前面において、左右方向一端側に回転可能に取りつけられた第1断熱扉と、前記断熱箱体の前面において、左右方向他端側に回転可能に取りつけられた第2断熱扉と、を具備し、前記断熱箱体の前記前面部に、前記第1断熱扉の左右方向内側端部と、前記第2断熱扉の左右方向内側端部とが当接することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の冷蔵庫では、前記断熱箱体の前記前面部は、前方に露出する前面板を有し、前記冷媒配管および前記ヒータは、前記前面板の後方に配置されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の冷蔵庫では、前記冷媒配管および前記ヒータと、前記前面板との間には、伝熱部材が配置されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の冷蔵庫では、前記前面部は、合成樹脂から成る前面本体部を有し、前記前面本体部は、前記冷媒配管が収納される第1凹状部と、前記ヒータが収納される第2凹状部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の冷蔵庫は、内部に貯蔵室が形成される断熱箱体と、前記貯蔵室の前面開口を閉鎖する断熱扉と、前記貯蔵室を冷却する冷凍サイクルと、を具備し、前記断熱箱体の前面部の内側には、前記冷凍サイクルで用いられる高温冷媒が流通する冷媒配管と、ヒータと、が内蔵されることを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、断熱扉に結露が発生することを抑制することができる。具体的には、前面部の内部に配置された冷媒配管およびヒータにより、断熱箱体の前面部を介して、断熱扉を昇温することで、断熱扉の表面に結露が発生することを抑止できる。
【0014】
また、本発明の冷蔵庫では、前記断熱扉は、前記断熱箱体の前面において、左右方向一端側に回転可能に取りつけられた第1断熱扉と、前記断熱箱体の前面において、左右方向他端側に回転可能に取りつけられた第2断熱扉と、を具備し、前記断熱箱体の前記前面部に、前記第1断熱扉の左右方向内側端部と、前記第2断熱扉の左右方向内側端部とが当接することを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、第1断熱扉および第2断熱扉を有する観音開き式の冷蔵庫において、第1断熱扉および第2断熱扉に結露が発生することを抑制できる。
【0015】
また、本発明の冷蔵庫では、前記断熱箱体の前記前面部は、前方に露出する前面板を有し、前記冷媒配管および前記ヒータは、前記前面板の後方に配置されることを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、前面板が断熱扉に密着することで、冷媒配管およびヒータから発生する熱を、前面板を経由して効果的に断熱扉に伝導させることができる。
【0016】
また、本発明の冷蔵庫では、前記冷媒配管および前記ヒータと、前記前面板との間には、伝熱部材が配置されることを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、冷媒配管およびヒータから発生する熱を、前面板および伝熱部材を経由して、更に効果的に断熱扉に伝導させることができる。
【0017】
また、本発明の冷蔵庫では、前記前面部は、合成樹脂から成る前面本体部を有し、前記前面本体部は、前記冷媒配管が収納される第1凹状部と、前記ヒータが収納される第2凹状部と、を有することを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、ヒータと冷媒配管とを個別の凹状部に配置することで、前面部においてヒータと冷媒配管とを離間して配置することができ、断熱扉に対して多くの熱を伝導させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の外観を示す斜視図であり、各断熱扉が閉状態の場合を示している。
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の外観を示す正面図であり、各断熱扉が開状態の場合を示している。
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の内部構成を示す側方断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の外観を示す図であり、(A)は前面部と断熱扉とを部分的に示す断面図であり、(B)は前面部を拡大して示す断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、(A)は前面部を示す前面図であり、(B)は前面部を示す側方断面図である。
図6】本発明の他の形態に係る冷蔵庫を示す図であり、(A)は前面部を示す断面図であり、(B)は前面部を示す前面図であり、(C)は前面部を部分的に示す側方断面図である。
図7】本発明の他の形態に係る冷蔵庫を示す図であり、(A)は前面部を示す断面図であり、(B)は前面部を部分的に示す側方断面図である。
図8】本発明の他の形態に係る冷蔵庫を示す図であり、冷媒配管の具体的構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。更に、以下の説明では、上下前後左右の各方向を適宜用いるが、左右とは冷蔵庫10を前方から見た場合の左右を示している。また、本実施形態では、冷蔵庫10として冷凍温度帯域および冷蔵温度帯域の貯蔵室を有するものを例示するが、冷蔵庫10は、何れかの貯蔵室のみを有するものでも良い。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を、前方左側から見た斜視図である。冷蔵庫10は、断熱箱体11と、断熱箱体11の内部に形成された貯蔵室とを有している。貯蔵室として、上方側から、冷蔵室12および冷凍室13を有している。冷蔵室12の前方開口は、回転式の断熱扉18および断熱扉19で閉鎖されている。冷凍室13の前面開口は、断熱扉20および断熱扉21で閉鎖されている。断熱扉18、断熱扉19、断熱扉20および断熱扉21は、回転式の扉であり、左右方向外側端部を回転中心として回転することができる。ここで、例えば、断熱扉20が第1断熱扉であり、断熱扉21が第2断熱扉である。
【0021】
図2は、断熱扉18、断熱扉19、断熱扉20および断熱扉21が開放状態となっている冷蔵庫10を示す正面図である。
【0022】
前面部32は、断熱箱体11の一部であり、冷凍室13の前面開口を左右方向に区画する部材である。断熱扉20が前面開口30を閉鎖する閉状態において、断熱扉20の左右方向内側端部が前面部32に当接する。また、断熱扉21が前面開口30を閉鎖する閉状態において、断熱扉21の左右方向内側端部が前面部32に当接する。冷凍室13は冷凍温度帯域に冷却される貯蔵室であるため、冷凍室13を閉鎖する断熱扉20および断熱扉21の表面には結露が発生しやすい。本実施形態では、後述するように、前面部32の内部には、断熱扉20および断熱扉21の表面で結露が発生することを抑止するために、断熱扉20および断熱扉21を昇温するための昇温手段が内蔵されている。
【0023】
図3を参照して、冷蔵庫10の断面構成を説明する。図3は、冷蔵庫10の側方断面図である。
【0024】
断熱箱体11は、所定形状に曲折加工された鋼板からなる外箱15と、外箱15と離間した内側に配置された合成樹脂板から成る内箱16と、外箱15と内箱16との間に充填された断熱材17とから構成されている。
【0025】
断熱箱体11の内部の貯蔵室は、上記したように、上方から冷蔵室12および冷凍室13に区画されている。また、冷蔵室12と冷凍室13とは断熱壁27で区画されている。
【0026】
冷凍室13の奥側には、冷却室24が形成されており、冷凍室13と冷却室24とは区画されている。冷却室24の内部には、冷却器である蒸発器25が配設されている。また、冷蔵庫10の下端後方には機械室14が区画形成され、機械室14には圧縮機22が配置されている。蒸発器25および圧縮機22は、ここでは図示しない凝縮器および膨張手段と共に、蒸気圧縮冷凍サイクルである冷凍サイクル31を形成している。冷凍サイクル31を運転することで、蒸発器25により冷却室24の内部の冷気を冷却し、この冷気を各貯蔵室に送風することで、各貯蔵室の庫内温度が所定の冷却温度帯域とされる。即ち、冷蔵室12は冷蔵温度帯域とされ、冷凍室13は冷凍温度帯域とされる。また、蒸気圧縮冷凍サイクルの各構成機器は、ここでは図示しない冷媒配管を経由して相互に接続されている。
【0027】
冷却室24の内部において、蒸発器25の上方側には送風機29が配置されている。送風機29は、軸流送風機または遠心送風機であり、蒸発器25が冷却した蒸発器25の内部の冷気を、冷蔵室12および冷凍室13に向けて送風する。
【0028】
蒸発器25の内部であって、蒸発器25の下方には、除霜ヒータ26が配置される。冷凍サイクル31の運転に伴い、蒸発器25の表面に厚い着霜が生じる。このようになると、図示しない制御手段は、圧縮機22を停止して冷却室24を閉鎖し、除霜ヒータ26を通電して加熱することで、霜を溶融除去する除霜運転を行う。また、ここでは図示しないが、送風機29の近傍には、風路を適宜閉鎖するための遮蔽装置が配設されている。
【0029】
冷却室24から上方に向かって送風路28が形成されている。送風機29で送風された空気の一部は送風路28および吹出口23を介して冷蔵室12に吹き出される。また、送風機29により送風された空気の一部は、冷凍室13に送風される。更に、冷蔵室12および冷凍室13を冷却した空気は、ここでは図示しない帰還風路を経由して冷却室24に帰還する。
【0030】
図4(A)は前面部32と断熱扉20および断熱扉21とを部分的に示す断面図であり、図4(B)は前面部32を拡大して示す断面図である。ここで、図4(A)および図4(B)は、図2の切断面線A-Aにおける断面図である。
【0031】
図4(A)を参照して、前面部32の前面には、断熱扉20の右端部、および、断熱扉21の左端部が当接する。具体的には、断熱扉20の後面に枠状に取り付けられるガスケット40が、前面部32の前面に当接する。同様に、断熱扉21の後面に枠状に取り付けられるガスケット41が、前面部32の前面に当接する。前面部32の前面には、冷蔵庫10の運転時において、断熱扉20および断熱扉21の結露を防止するための発熱機構が内蔵されている。
【0032】
図4(B)を参照して、前面部32の前面近傍に内蔵される発熱機構を説明する。前面本体部37は、所定形状に成形された合成樹脂板から成り、前面部32の本体部分を形成している。前面本体部37の前面の略中央部分を後方に向かって窪ませることで、凹部42が形成されている。
【0033】
凹部42には、前面板35、伝熱部材36、冷媒配管33、ヒータ34、断熱部43および伝熱テープ44が収納されている。
【0034】
前面板35は、凹部42を前面から塞ぎ、熱伝導率の高い材料からなる板状の部材である。凹部42としては、例えば表面が防錆加工された金属板等を採用することができる。伝熱部材36の前面と、前面部32の前面とは、略同一平面上に配置されている。ここで、凹部42の熱伝導性を向上するために、伝熱部材36が配置される部分の前面板35は、他の部分よりも薄く形成されても良い。また、図4(A)に示した、断熱扉20のガスケット40、および、断熱扉21のガスケット41は、前面板35に当接する。
【0035】
伝熱部材36は、前面板35の略中央部に配置された熱伝導率の高い材料から成る板状の部材である。伝熱部材36は、冷媒配管33から伝導される熱を、上記した断熱扉20および断熱扉21の側に良好に伝導させる機能を有する。
【0036】
伝熱部材36としては、例えば、後方側に配置された金属層362と、前方側に配置された樹脂層361との積層体を採用することができる。金属層362としては、アルミニウム等の金属から成る金属膜を採用することができる。樹脂層361としては、例えば、ゴムなどの軟性樹脂を採用することができる。金属層362を採用することで、伝熱部材36の熱伝導性を向上することができる。樹脂層361を採用することで、製造時に樹脂層361が変形し、部材形状や取付精度の公差を吸収することができる。
【0037】
冷媒配管33は、上記した冷凍サイクル31の圧縮機22で圧縮されることで高温とされた高温冷媒が流通する。冷媒配管33を流通する高温冷媒から発生された熱は、伝熱部材36および前面板35を介して、上記した断熱扉20および断熱扉21に伝導する。
【0038】
断熱部43は、前面本体部37の前面と冷媒配管33との間に配置された板状の部材である。断熱部43の材料としては、前面本体部37、前面板35および伝熱部材36よりも熱伝導率が低い部材を採用することができ、例えば発泡樹脂を採用することができる。
【0039】
ヒータ34は、例えば、通電により発熱する電熱ヒータであり、前面板35と前面本体部37との間に配置されている。また、ヒータ34は、伝熱部材36の左右方向外側に、2つが配置されている。冷蔵庫10の運転状況下において、ヒータ34は通電されることにより発熱する。ここで、ヒータ34を冷媒配管33よりも高温に発熱させることで、断熱扉20および断熱扉21を更に昇温させ、結露の発生を抑制する効果を顕著にできる。
【0040】
伝熱テープ44は、例えばアルミ箔から成る接着テープであり、ヒータ34を後方から覆っており、ヒータ34を前面板35の後面に貼り付けている。これにより、伝熱テープ44から発生する熱を、効果的に前面板35に伝導させることができる。
【0041】
また、前面板35の後面を壁状に後方に突出させることで、2つの壁状部50が形成される。上記した冷媒配管33および伝熱部材36は、左右方向において壁状部50により挟まれる領域に配置される。更に、上記したヒータ34は、左右方向において、壁状部50の外側直近に配置される。
【0042】
冷蔵庫10の運転状況下において、冷媒配管33に高温冷媒が流通すると、この高温冷媒から発せられた熱は、伝熱部材36で左右方向に広げられつつ良好に前方に伝導する。その後、前面板35を経由した熱は、図4(A)に示す、ガスケット40およびガスケット41を介して、断熱扉20および断熱扉21に伝導する。更に、本実施形態では、通電されたヒータ34から発生した熱も、前面板35、ガスケット40およびガスケット41を介して、断熱扉20および断熱扉21に伝導する。
【0043】
このようにすることで、冷媒配管33およびヒータ34から発生する熱により、断熱扉20および断熱扉21の表面は、効果的に昇温され、結露が発生することが抑制されている。また、冷媒配管33の後方側に断熱部43が配置されていることから、冷媒配管33およびヒータ34から発生した熱が後方に向かって伝道することが抑制され、より多くの熱を前方に向かって伝導させ、断熱扉20および断熱扉21を更に効果的に昇温させることができる。
【0044】
図5(A)は前面部32を示す前面図であり、図5(B)は前面部32を示す側方断面図である。
【0045】
図5(A)を参照して、前面本体部37の前面には、ヒータ34および伝熱部材36が配置されている。ヒータ34は上下方向に沿って往復するように配置されており、その上端は、前面本体部37の上端近傍に配置されたコネクタ45で、冷蔵庫10の内部に配設されたハーネスと接続されている。
【0046】
更に、伝熱部材36の下部を部分的に不連続とすることで非連続部363が形成されている。ヒータ34は、非連続部363を、左右方向に引き回されている。このようにすることで、伝熱部材36とヒータ34とが干渉することを防止することができ、更には、製造時の組立性を向上できる。
【0047】
図5(B)を参照して、コネクタ45は、断熱箱体11の一部である前面部32の上端近傍を後方に向かって窪ませた凹部48に収納されている。このようにすることで、ヒータ34およびその配線を、断熱扉21のヒンジ等の可動部に引き回す必要が無いので、冷蔵庫10の使用状況下において、ヒータ34に繋がる配線が断線することを抑止できる。
【0048】
図6(A)は前面部32を示す断面図であり、図6(B)は前面部32を示す前面図であり、図6(C)は前面部32を部分的に示す側方断面図である。
【0049】
図6(A)を参照して、この図に示す前面部32の基本構成は、図4(B)に示した構成との同様であり、ヒータ34を収容する構成が異なる。
【0050】
具体的には、前面本体部37の左右方向における前面中央を、後方に向かって凹状に窪ませることで第1凹状部38が形成されている。また、前面本体部37の左右方向における前面両端近傍を、後方に向かって凹状に窪ませることで、2つの第2凹状部39が形成されている。
【0051】
第1凹状部38には、後方側から、断熱部43、冷媒配管33および伝熱部材36が収容されている。また、第2凹状部39には、夫々、ヒータ34が収容されている。第2凹状部39にヒータ34を収容させることで、前面部32の前面において、ヒータ34の位置を正確に規定することができる。また、ヒータ34は前面板35の後方側に配置されている。このようにすることで、冷媒配管33およびヒータ34から発生された熱は、前面板35を介して前方に伝導し、図4(A)に示した、断熱扉20および断熱扉21の表面を効果的に昇温する。
【0052】
図6(B)を参照して、第2凹状部39は、前面部32の前面において、上下方向に細長く形成された略矩形の溝として形成されている。上記したヒータ34は、第2凹状部39に沿って略矩形に引き回されている。
【0053】
図6(C)を参照して、前面本体部37の上面を略矩形に下方に窪ませることで、凹部48が形成されている。ヒータ34とハーネスに接続するコネクタ45は、凹部48に収納される。ここでは、コネクタ45を省き、ヒータ34は、図示しないハーネスを介して直接的に、ここでは図示しない主基板と接続されても良い。
【0054】
図7(A)は前面部32を示す断面図であり、図7(B)は前面部32を部分的に示す側方断面図である。
【0055】
図7(A)を参照して、断熱扉21の左方側面は、把持部46が形成されている。把持部46は、所定形状に湾曲形成された合成樹脂板から成り、断熱扉21の左方側面を形成する。更に、把持部46は、ユーザが断熱扉21の開動作および閉動作を行うべく、把持しやすい凹凸形状を呈している。
【0056】
図7(B)を参照して、把持部46の外側面を伝熱テープ47が被覆している。ここでは、伝熱テープ47を太線で示している。把持部46の後方端部は、上記した前面部32の前面に対向する。伝熱テープ47の後方部分は、対向面49を後方から覆っている。このようにすることで、前面部32の前部に配置された冷媒配管33およびヒータ34(図6(A)参照)から発せられた熱が、対向面49を覆う部分の伝熱テープ47から良好に伝導する。よって、把持部46の表面部分が効果的に昇温され、把持部46の表面に結露が発生することが抑制される。
【0057】
図8は、冷媒配管33の具体的構成を示す斜視図である。上記したように、冷媒配管33は前面部32に内蔵される。また、左右方向に沿って伸びる冷媒配管51は、図3に示した断熱壁27の前面近傍の内側に配置される。ここで、図6(C)に示したコネクタ45は、冷媒配管33の上端部と、冷媒配管51との間に配置される。このようにすることで、コネクタ45と冷媒配管51が干渉することを防止できる。更に、冷媒配管33および冷媒配管51により、ヒータコネクタ或いは配線を収納するため、断熱部材の庫内側への断熱厚さを薄くしても、前面板35のあたり部分(収納部)において、結露を防止できる。
【0058】
本実施形態によれば、以下に記載する主要な効果を奏することができる。
【0059】
図4(B)を参照して、本発明の冷蔵庫10によれば、断熱扉20に結露が発生することを抑制することができる。具体的には、前面部32の内部に配置された冷媒配管33およびヒータ34により、断熱箱体11の前面部32を介して、断熱扉20を昇温することで、断熱扉20の表面に結露が発生することを抑止できる。特に、断熱扉20のハンドル部分は、断熱扉20の他の部分と比較して薄くされており、冷蔵庫10の運転状況下において結露が発生しやすい条件である。本実施形態では、冷媒配管33およびヒータ34から発生する熱を、伝熱部材36および前面板35を経由して、断熱扉20に良好に伝導させることで、断熱扉20のハンドル部分に結露が発生することを防止している。かかる事項は、断熱扉21に関しても同様である。
【0060】
更に、図2(B)を参照して、断熱扉20および断熱扉21を有する観音開き式の冷蔵庫10において、断熱扉20および断熱扉21に結露が発生することを抑制できる。
【0061】
図4(A)および図4(B)を参照して、前面板35が断熱扉20,21に密着することで、冷媒配管33およびヒータ34から発生する熱を、前面板35を経由して効果的に断熱扉20,21に伝導させることができる。
【0062】
図4(B)を参照して、冷媒配管33およびヒータ34から発生する熱を、前面板35および伝熱部材36を経由して、更に効果的に断熱扉20,21に伝導させることができる。
【0063】
図6(A)を参照して、ヒータ34と冷媒配管33とを個別の凹状部に配置することで、前面部32においてヒータ34と冷媒配管33とを離間して配置することができ、断熱扉20,21に対して多くの熱を伝導させることができる。
【0064】
本発明は、前述実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0065】
例えば、図4(B)を参照して、ヒータ34の通電率を、外部湿度や外部温度などの環境条件に応じて、変化させることができる。例えば、断熱扉21や断熱扉20に結露が発生し難い環境条件である場合、具体的には、外部湿度が低い場合や、外部温度が高い場合、ヒータ34への通電を少なくする、または無くすことができる。これにより、冷媒配管33から発生する熱のみで、断熱扉21や断熱扉20に結露が発生することを抑制でき、ヒータ34によるエネルギー消費が低減される。
【符号の説明】
【0066】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
12 冷蔵室
13 冷凍室
14 機械室
15 外箱
16 内箱
17 断熱材
18 断熱扉
19 断熱扉
20 断熱扉
21 断熱扉
22 圧縮機
23 吹出口
24 冷却室
25 蒸発器
26 除霜ヒータ
27 断熱壁
28 送風路
29 送風機
30 前面開口
31 冷凍サイクル
32 前面部
33 冷媒配管
34 ヒータ
35 前面板
36 伝熱部材
361 樹脂層
362 金属層
363 非連続部
37 前面本体部
38 第1凹状部
39 第2凹状部
40 ガスケット
41 ガスケット
42 凹部
43 断熱部
44 伝熱テープ
45 コネクタ
46 把持部
47 伝熱テープ
48 凹部
49 対向面
50 壁状部
51 冷媒配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8