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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104681
(43)【公開日】2022-07-11
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/25 20180101AFI20220704BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
F25C1/25 305P
F25C1/25 305D
F25D11/00 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219789
(22)【出願日】2020-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】青木 均史
(72)【発明者】
【氏名】大谷 貴史
【テーマコード(参考)】
3L045
3L110
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045AA05
3L045BA03
3L045CA04
3L045KA07
3L045LA13
3L045MA16
3L045MA18
3L045NA15
3L045NA25
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L110AA02
3L110AA07
3L110AC04
3L110BA04
(57)【要約】
【課題】従来の冷蔵庫では、加熱部の稼働状態により、冷蔵庫の消費電力量を抑制し難く、また、給水パイプ内の水の菌が増殖する恐れがあるという課題がある。
【解決手段】本発明の冷蔵庫10の製氷装置30は、主に、給水タンク31と、製氷皿32と、貯氷容器33と、給水ポンプ34と、給水パイプ35と、加熱部36と、を備える。そして、制御部40は、赤外線センサ44を介して給水タンク31内の水の有無を判断すると共に、その判断内容に応じて加熱部36への通電率を可変制御する。この構造により、給水パイプ内に残存する水に菌が増殖することが防止されると共に、冷蔵庫10の消費電力量の抑制が実現される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留する給水タンクと、
前記水を製氷する製氷皿と、
前記製氷皿に製氷された氷を脱氷させる製氷機と、
前記給水タンク内の前記水を吸引する給水ポンプと、
前記給水ポンプにて吸引した前記水を前記製氷皿へと送る給水パイプと、
前記給水パイプを加熱する加熱部と、
前記給水タンク内の前記水の有無を判断すると共に、前記加熱部への通電率を可変制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記給水ポンプの稼働前における前記加熱部への前記通電率を前記給水ポンプの稼働後における前記加熱部への前記通電率よりも高くすることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記制御部は、前記給水タンクが空状態であると1回目に判断し、前記加熱部への前記通電率を最大としてから一定時間経過した後、前記加熱部への前記通電率を低下させると共に、2回目の前記給水タンク内の前記水の有無の判断を行うことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記制御部は、前記給水タンクが空状態であると連続して2回判断すると共に、更に前記給水タンクが配設された庫内を開閉自在に塞ぐ断熱扉が開動作していないと判断した後、前記加熱部への通電を停止することを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記制御部は、前記給水タンクが空状態であると連続して2回判断すると共に、更に前記給水タンクが配設された庫内を開閉自在に塞ぐ断熱扉が開閉動作したと判断した後、前記加熱部への前記通電率を最大としてから前記一定時間経過した後、前記加熱部への前記通電率を低下させてから、前記給水ポンプを駆動させることを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
冷凍サイクルを構成する圧縮機と、を備え、
前記制御部は、前記圧縮機の稼働時には、前記圧縮機の停止時よりも前記加熱部への前記通電率を増大させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記制御部は、前記給水ポンプを駆動させる際に、前記給水ポンプを駆動させるモータを最初に逆転方向に稼働させた後、正転方向に稼働させ、最後に再び逆転方向に稼働させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷装置を備えた冷蔵庫に関し、特に、製氷装置の給水パイプに残存した水が凍結し給水パイプを閉塞することを防止すると共に、製氷装置の加熱部の通電率を可変制御することで消費電力量を抑制する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の冷蔵庫が開示されている。冷蔵庫は、製氷装置を備え、製氷装置は、冷蔵室内に配設される給水タンクと、製氷室内に配設される製氷皿及び貯氷ケースと、給水タンク内の水を製氷皿へと供給する給水ポンプ及び給水パイプと、を有する。
【0003】
製氷装置では、給水ポンプに対して駆動電流が通電し、給水タンク内から吸い上げられた水は、給水パイプを介して製氷皿へと供給される。そして、給水パイプの製氷室内へと配設される部分には、加熱手段であるパイプヒータが配設され、給水パイプにて残存した水が、給水パイプ内にて凍結することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4740072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の冷蔵庫では、マイコンにて給水タンク内の水の有無を検出し、給水タンク内に水があると検出した場合にはパイプヒータを稼働させ、給水タンクが空であると検出した場合にはパイプヒータを停止させる。このように、パイプヒータを適宜稼働させることで、冷蔵庫の消費電力量の抑制を図っている。
【0006】
しかしながら、従来の冷蔵庫では、給水タンク内に水がある場合には、パイプヒータが稼働状態となる。そして、少なくとも製氷皿への給水作業が開始される直前において、給水パイプ内が開通状態であれば良く、必要以上にパイプヒータを稼働させることで、消費電力量を低減し難いという課題がある。
【0007】
また、必要以上にパイプヒータが稼働することで、給水パイプが高温状態となり、給水パイプ内に残存した水の温度が上昇し、菌が増殖する恐れもある。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、製氷装置の給水パイプに残存した水が凍結し給水パイプを閉塞することを防止すると共に、製氷装置の加熱部の通電率を可変制御することで消費電力量を抑制する冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の冷蔵庫では、水を貯留する給水タンクと、前記水を製氷する製氷皿と、前記製氷皿に製氷された氷を脱氷させる製氷機と、前記給水タンク内の前記水を吸引する給水ポンプと、前記給水ポンプにて吸引した前記水を前記製氷皿へと送る給水パイプと、前記給水パイプを加熱する加熱部と、前記給水タンク内の前記水の有無を判断すると共に、前記加熱部への通電率を可変制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記給水ポンプの稼働前における前記加熱部への前記通電率を前記給水ポンプの稼働後における前記加熱部への前記通電率よりも高くすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の冷蔵庫では、前記制御部は、前記給水タンクが空状態であると1回目に判断し、前記加熱部への前記通電率を最大としてから一定時間経過した後、前記加熱部への前記通電率を低下させると共に、2回目の前記給水タンク内の前記水の有無の判断を行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の冷蔵庫では、前記制御部は、前記給水タンクが空状態であると連続して2回判断すると共に、更に前記給水タンクが配設された庫内を開閉自在に塞ぐ断熱扉が開動作していないと判断した後、前記加熱部への通電を停止することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の冷蔵庫では、前記制御部は、前記給水タンクが空状態であると連続して2回判断すると共に、更に前記給水タンクが配設された庫内を開閉自在に塞ぐ断熱扉が開閉動作したと判断した後、前記加熱部への前記通電率を最大としてから前記一定時間経過した後、前記加熱部への前記通電率を低下させてから、前記給水ポンプを駆動させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の冷蔵庫では、冷凍サイクルを構成する圧縮機と、を備え、前記制御部は、前記圧縮機の稼働時には、前記圧縮機の停止時よりも前記加熱部への前記通電率を増大させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の冷蔵庫では、前記制御部は、前記給水ポンプを駆動させる際に、前記給水ポンプを駆動させるモータを最初に逆転方向に稼働させた後、正転方向に稼働させ、最後に再び逆転方向に稼働させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の冷蔵庫では、制御部は、給水ポンプの稼働前における加熱部への通電率を給水ポンプの稼働後における加熱部への通電率よりも高くすると共に、加熱部への通電率を給水ポンプの稼働後の一定時間に渡り給水パイプ内の水が凍結しない程度の低い通電率とする。この制御方法により、給水パイプ内に残存した水が凍結し、給水パイプを閉塞することを防止すると共に、冷蔵庫の消費電力量を抑制することが出来る。
【0016】
また、本発明の冷蔵庫では、制御部は、1回目に給水タンク内が空状態であると判断し、加熱部への通電率を最大にして給水パイプを加熱する。この制御方法により、冷蔵庫部品の組み付けのばらつき等により、給水パイプ内の水の凍結により閉塞状態となった場合でも、上記凍結状態を融解し、製氷皿への給水作業を実施することが出来る。
【0017】
また、本発明の冷蔵庫では、制御部は、1回目の給水タンクが空状態であると判断した後、加熱部への通電率を最大にした後、連続して2回給水タンクが空状態であると判断すると共に、制御の一定条件下において、加熱部への通電を停止する。この制御方法により、制御部は、給水パイプが閉塞状態でなく、給水タンクが空状態であると判断することで、冷蔵庫の消費電力量を抑制することが出来る。
【0018】
また、本発明の冷蔵庫では、給水タンクが空状態であると連続して2回判断すると共に、更に前記給水タンクが配設された庫内を開閉自在に塞ぐ断熱扉が開閉動作したと判断した後、加熱部への通電率を最大としてから一定時間経過した後、加熱部への通電率を低下させてから、給水ポンプを駆動させることにより、給水パイプ内の凍結による閉塞を防止すると共に、給水パイプ内に残存する水が高温状態になることを抑制することで、水に菌が増殖することを防止することができる。
【0019】
また、本発明の冷蔵庫では、圧縮機の稼働時より圧縮機の停止時の方が、給水パイプへの加熱量を低減することにより、給水パイプ内に残存する水が高温状態になることを抑制することで、水に菌が増殖することが防止される。
【0020】
また、本発明の冷蔵庫では、制御部は、給水ポンプを稼働させる際には、その駆動用モータを逆転、正転、逆転の順序にて稼働させる。この制御方法により、加熱部による加熱により溶けた水が給水パイプの先端近傍に表面張力により残っていた場合でも、最初に、駆動用モータを逆転方向に稼働させ、給水パイプ先端近傍の水を吸い上げることで、上記水が突沸的に製氷皿へと飛び散る現象を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明する図であり、(A)は冷蔵庫を前方から見た斜視図であり、(B)は冷蔵庫の側方断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明する図であり、(A)は製氷装置を説明する側方断面図であり、(B)は製氷装置の概要を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製氷運転を説明する表である。
図4】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製氷運転を説明するフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製氷運転を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本実施形態の冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。尚、以下の説明では、上下方向は冷蔵庫10の高さ方向を示し、左右方向は冷蔵庫10を前方から見た横幅方向を示し、前後方向は冷蔵庫10の奥行方向を示している。また、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0023】
図1(A)は、本実施形態の冷蔵庫10を前方から見た斜視図である。図1(B)は、本実施形態の冷蔵庫10の側方断面図である。図2(A)は、本実施形態の冷蔵庫10に配設される製氷装置30を説明する側方断面図である。図2(B)は、本実施形態の冷蔵庫10の製氷装置30を説明するブロック図である。尚、図1(B)では、冷気の流れを矢印にて示している。
【0024】
図1(A)に示す如く、冷蔵庫10の断熱箱体11の内部は貯蔵室として用いられ、貯蔵室は断熱仕切り壁27(図1(B)参照)により、冷蔵室12(図1(B)参照)及び冷凍室13(図1(B)参照)へと区画される。冷蔵室12の前面開口は断熱扉18にて開閉自在に塞がれ、冷凍室13の前面開口は断熱扉19にて開閉自在に塞がれる。断熱扉18,19は、右方側の端部が断熱箱体11に回転可能に軸支された回転式の扉である。尚、断熱扉18,19としては、引出式扉や観音式扉が採用される場合でも良い。
【0025】
図1(B)に示す如く、冷凍室13の後方には冷却室21が区画形成され、冷却室21には蒸発器20が配設される。また、断熱箱体11の最下部後方には機械室14が区画形成され、機械室14には圧縮機23等が配設される。蒸発器20及び圧縮機23は、図示しない膨張手段および凝縮器と冷媒配管を経由して接続され、蒸気圧縮冷凍サイクルを形成する。尚、蒸発器20の下方には、蒸発器20の着霜を溶融するための除霜ヒータ26が配設される。
【0026】
冷却室21の上部には送風機25が配設され、蒸発器20が冷却した冷却室21の内部の冷気は、送風機25を介して冷蔵室12及び冷凍室13へと送風される。冷蔵室12への風路には、ダンパ24が介装される。
【0027】
ここで、制御部40(図2(B)参照)は、冷蔵室12の庫内温度を庫内温度センサ42(図2(B)参照)にて検知し、ダンパ24の開閉を制御する。そして、冷蔵室12への冷気の流量を調整し、冷蔵室12の庫内温度を一定に保つ。そして、制御部40による上記制御により、冷蔵室12は冷蔵温度帯域に冷却される。同様の制御により、冷凍室13は冷凍温度帯域に冷却される。尚、冷蔵室12及び冷凍室13を冷却した冷気は、帰還風路を介して冷却室21に帰還する。
【0028】
また、図示したように、断熱箱体11は、主に、冷蔵庫10の外形を形成する鋼板から成る外箱15と、外箱15の内側に形成された箱形の合成樹脂板から成る内箱16と、外箱15と内箱16との間に配設された断熱材17と、を有する。断熱材17としては、例えば、発泡ウレタンが採用される。
【0029】
図2(A)では、冷蔵庫10の製氷装置30が冷蔵室12及び冷凍室13内へと配設される状態を示す。尚、冷凍室13には、貯氷容器33及び収納容器38,39が配設され、その高さ方向に渡り3段に区画される。そして、収納容器38,39には、例えば、冷凍食品等が収納され、収納容器38,39を冷凍室13の奥行方向へとスライド移動さることで取り出し出来る。
【0030】
図示したように、製氷装置30は、主に、給水タンク31と、製氷皿32と、貯氷容器33と、給水ポンプ34と、給水パイプ35と、加熱部36と、製氷機37と、を備える。そして、給水タンク31は、製氷皿32へと供給する水を貯留し、冷蔵室12の断熱仕切り壁27の上面に配設される。ユーザは、断熱扉18を開け、適宜、給水タンク31を取り出し、給水タンク31内へと水を給水する。
【0031】
また、給水ポンプ34も給水タンク31近傍の冷蔵室12に配設され、給水ポンプ用のモータ45(図2(B)参照)が制御部40により制御され、通常の製氷運転時には、例えば、1サイクルが120分間隔にて、給水タンク31内の水を吸い上げ製氷皿32へと供給する。
【0032】
製氷機37は、冷凍室13の貯氷容器33の上方に配設され、製氷皿32に製氷された氷を貯氷容器33内へと自動落下させる回転捩じり部(図示せず)と、貯氷容器33内の貯氷量を検知する貯氷量検知部(図示せず)と、を有する。また、図示したように、製氷皿32は、製氷機37の内部であり、例えば、断熱仕切り壁27の下方であり、貯氷容器33の上方に配設される。
【0033】
給水パイプ35は、給水ポンプ34に接続され、断熱仕切り壁27の内部を通して冷蔵室12から冷凍室13へと渡り配設される。そして、給水パイプ35の外周面に対しては、加熱部36としてのパイプヒータが配設され、給水パイプ35内に残存した水が凍結することが防止される。尚、詳細は後述するが、制御部40による制御により、加熱部36への通電率が適宜可変制御され、冷蔵庫10の消費電力量の抑制が図られる。
【0034】
制御部40は、冷蔵庫10を制御するための各種の演算等を実行する電子制御ユニット(ECU)を構成し、製氷装置30の製氷運転を制御する。そして、制御部40には、タイマ41、庫内温度センサ42、扉開閉センサ43、赤外線センサ44、圧縮機23、給水ポンプ34用のモータ45(以下、「モータ45」と呼ぶ。)、加熱部36、製氷機37等が接続される。
【0035】
タイマ41は、冷蔵庫10を構成する各種機器、例えば、圧縮機23や製氷装置30等の稼働時間や停止時間等を計測する。また、庫内温度センサ42は、冷蔵室12や冷凍室13の庫内温度を計測する。また、扉開閉センサ43は、冷蔵室12や冷凍室13の断熱扉18,19の開閉状態を検出する。また、赤外線センサ44は、製氷皿32の底面温度を検知する。
【0036】
また、制御部40は、タイマ41、庫内温度センサ42、扉開閉センサ43や赤外線センサ44からの入力情報に基づいて所定の演算処理を実行し、当該演算処理に基づいて、圧縮機23、給水ポンプ34、加熱部36、製氷機37の稼働や停止を制御する。
【0037】
図3は、本実施形態の冷蔵庫10の製氷装置30の製氷運転において、加熱部36への通電率を可変制御する状況を説明する表である。図4は、本実施形態の冷蔵庫10の製氷装置30の製氷運転を説明するフローチャートであり、図3の通電率A及び通電率Dに対応するフローチャートである。図5は、本実施形態の冷蔵庫10の製氷装置30の製氷運転を説明するフローチャートであり、図3の通電率B及び通電率Cに対応するフローチャートである。尚、図3から図5の説明の際には、図1及び図2及びその説明を適宜参照する。
【0038】
図3に示す如く、製氷運転における条件1とは、「冷凍室13の冷却強度が10段階の7以上またはクイック製氷モードまたはクイック冷凍モードであり、且つ、冷凍室13の温度が-18℃より低い稼働状況」である。製氷運転における条件2とは、「給水タンク31の1回目の空検知後の稼働状況」である。製氷運転における条件3とは、「上記条件1、2以外の稼働状況」である。そして、冷蔵庫10の製氷装置30では、上記条件1から条件3の冷蔵庫10の稼働状況において、圧縮機23の稼働時または停止時により、加熱部36への通電率を可変制御する。
【0039】
尚、クイック製氷モードとは、通常の製氷運転よりも短時間の1サイクルにて製氷を行うモードであり、クイック冷凍モードとは、冷凍室13を冷蔵室12よりも優先的に急冷するモードである。
【0040】
図示したように、本実施形態では、上記条件1から条件3の冷蔵庫10の稼働状況において、通電率Aから通電率Dの4つのパターンを有する。そして、通電率Aから通電率Dのパターンでは、それぞれ圧縮機23の稼働時の方が、圧縮機23の停止時よりも加熱部36への通電率が高くなる。
【0041】
圧縮機23の稼働時には、送風機25が稼働し、冷却室21の内部の冷気が庫内を循環することで、その際に給水パイプ35も冷却される。そのため、加熱部36からの発熱量を増大させ、給水パイプ35を加熱することで、給水パイプ35内での水の凍結が防止される。
【0042】
一方、圧縮機23の停止時には、送風機25も停止し、給水パイプ35が少なくとも庫内温度よりも冷却され難くなる。そのため、加熱部36からの発熱量を低減させ、給水パイプ35が必要以上に高温状態となることが防止される。この制御方法により、圧縮機23の停止時には、給水パイプ35内に残存する水の温度上昇により、菌の増殖を防止すると共に、冷蔵庫10の消費電力量の抑制が図られる。
【0043】
ここで、製氷装置30の通常の製氷運転では、1サイクルが120分の間隔にて給水ポンプ34を稼働させ、給水タンク31から水を吸い上げ、製氷皿32へと水を供給する。そして、通常の製氷運転では、前回の給水タンク31からの給水時から70分を基準として、上記70分経過後次回の給水タンク31からの給水開始までの加熱部36への通電率を前回の給水タンク31からの給水時から上記70分までの加熱部36への通電率よりも高くする制御を行う。尚、上記70分は本実施形態の1例であり、冷蔵庫10の機種や製氷運転のプログラム等により任意の設計変更が可能である。
【0044】
また、通電率Aから通電率Dの4つのパターンでは、給水タンク31内の水の充填状況や製氷運転時の経過時間に応じて、4段階に設定された通電率の高さの中から適した段階の通電率が採択される。
【0045】
第1段階では、圧縮機23の稼働時の通電率が15%であり、圧縮機23の停止時の通電率が10%である。第2段階では、圧縮機23の稼働時の通電率が30%であり、圧縮機23の停止時の通電率が25%である。第3段階では、圧縮機23の稼働時の通電率が50%であり、圧縮機23の停止時の通電率が40%である。第4段階では、圧縮機23の稼働時及び停止時においても通電率が100%である。
【0046】
先ず、図4を用いて、冷蔵庫10の通電率Aの制御方法を説明する。図示したように、通電率Aの制御方法は、制御部40が、前回の給水作業後、赤外線センサ44により給水タンク31が空の状態であると2回連続して検出した場合である。そして、図4のステップS10からステップS16が、通電率Aでの制御方法に該当する。
【0047】
ステップS10では、制御部40は、ステップS61のNOにおいて(図5参照)、赤外線センサ44からの検知信号に基づき、製氷皿32への水の給水作業が連続して2回行われていないと判断した場合には、給水タンク31内に水が無い状態、所謂、空の状態であると判断する。
【0048】
ステップS11では、制御部40は、扉開閉センサ43からの検出信号に基づき、冷蔵室12の断熱扉18が開動作したか、否かを判断する。そして、ステップS11のYESにおいて、制御部40が、上記検出信号を受信し、冷蔵室12の断熱扉18が開いたと判断した場合には、ステップS17へと移行し、制御部40は、通電率Dの制御を開始する。
【0049】
一方、ステップS11のNOにおいて、制御部40が、上記検出信号を受信することなく、冷蔵室12の断熱扉18が開いていないと判断した場合には、ステップS12において、制御部40は、冷蔵庫10の稼働状況が、上記条件1を満たすか、否かを判断する。
【0050】
ステップS12のYESにおいて、制御部40が、冷蔵庫10の稼働状況が上記条件1を満たすと判断した場合には、ステップS13へと移行し、圧縮機23が、稼働しているか、否かを判断する。尚、ステップS12のNOにおいて、制御部40が、冷蔵庫10の稼働状況が上記条件1を満たしていないと判断した場合には、ステップS16へと移行し、制御部40は、加熱部36への通電を停止し、ステップS11へと戻る。
【0051】
ステップS13のYESにおいて、制御部40が、圧縮機23が稼働していると判断した場合には、ステップS14において、制御部40は、加熱部36への通電率を30%へと低減して通電を継続し、ステップS11へと戻る。
【0052】
一方、ステップS13のNOにおいて、制御部40が、圧縮機23が停止していると判断した場合には、ステップS15において、制御部40は、加熱部36への通電率を25%へと低減して通電を継続し、ステップS11へと戻る。
【0053】
次に、図4を用いて、冷蔵庫10の通電率Dの制御方法を説明する。図示したように、通電率Dの制御方法は、制御部40が、前回の製氷皿32への給水作業後、給水タンク31の空状態を検出した後、ユーザが給水タンク31へと水を給水した可能性がある場合である。そして、図4のステップS17からステップS21が、通電率Dでの制御方法に該当する。
【0054】
ステップS17において、扉開閉センサ43からの検出信号に基づき、冷蔵室12の断熱扉18が閉動作したか、否かを判断する。そして、ステップS17のYESにおいて、制御部40が、冷蔵室12の断熱扉18が閉じたと判断した場合には、ステップS18において、制御部40は、加熱部36への通電率を100%へと増大して通電を継続する。
【0055】
尚、ステップS17のNOにおいて、制御部40が冷蔵室12の断熱扉18が閉じていないと判断した場合には、制御部40は、引き続き、扉開閉センサ43からの検出信号に基づき、冷蔵室12の断熱扉18の閉動作を判断する。
【0056】
ステップS19において、タイマ41からの検出信号に基づき、冷蔵室12の断熱扉18が閉じてから15分経過したか、否かを判断する。そして、ステップS19のYESにおいて、制御部40が、冷蔵室12の断熱扉18が閉じてから15分経過したと判断した場合には、ステップS20において、制御部40は、加熱部36への通電率を50%へと低減して通電を継続する。
【0057】
尚、ステップS19のNOにおいて、制御部40が、冷蔵室12の断熱扉18が閉じてから15分経過していないと判断した場合には、制御部40は、引き続き、タイマ41からの検出信号に基づき、上記15分の経過を判断する。
【0058】
ステップS21では、制御部40は、タイマ41からの検出信号に基づき、冷蔵室12の断熱扉18が閉じてから45分経過したか、否かを判断する。そして、ステップS21のYESにおいて、制御部40が、冷蔵室12の断熱扉18が閉じてから45分経過したと判断した場合には、ステップS30へと移行し、制御部40は、通電率Bの制御を開始する。
【0059】
尚、ステップS21のNOにおいて、制御部40が、冷蔵室12の断熱扉18が閉じてから45分経過していないと判断した場合には、制御部40は、引き続き、タイマ41からの検出信号に基づき、上記45分の経過を判断する。
【0060】
次に、図5を用いて、冷蔵庫10の通電率Bの制御方法を説明する。図示したように、通電率Bの制御方法は、給水タンク31内が空状態でなく、且つ、冷蔵庫10の稼働状況が上記条件1または条件3に該当する場合である。そして、図5のステップS30からステップS49が、通電率Bでの制御方法に該当する。
【0061】
ステップS30において、制御部40が、図示しない製氷機37の貯氷量検知部を介して貯氷容器33内の氷が満氷であるか、否かを判断する。ステップS30のNOにおいて、制御部40が、貯氷容器33内の氷が満氷でないと判断した場合には、ステップS31において、制御部40は、製氷皿32の脱氷作業を行った後、製氷皿32への給水作業を行う。
【0062】
ステップS32において、制御部40が、赤外線センサ44からの検知信号から、製氷皿32への1回目の水の給水作業が行われたか、否かを判断する。そして、ステップS32のNOにおいて、制御部40が、製氷皿32への1回目の水の給水作業が行われていないと判断した場合には、ステップS50へと移行し、制御部40は、通電率Cの制御を開始する。
【0063】
一方、ステップS32のYESにおいて、制御部40が、製氷皿32への1回目の水の給水作業が行われたと判断した場合には、ステップS33において、制御部40は、製氷皿32での製氷作業を開始し、ステップS34において、制御部40は、冷蔵庫10の稼働状況が、上記条件1を満たすか、否かを判断する。
【0064】
ステップS34のYESにおいて、制御部40が、冷蔵庫10の稼働状況が上記条件1を満たすと判断した場合には、ステップS35へと移行し、圧縮機23が、稼働しているか、否かを判断する。そして、ステップS35のYESにおいて、制御部40が、圧縮機23が稼働していると判断した場合には、ステップS36において、制御部40は、加熱部36への通電率を50%と維持して通電を継続する。
【0065】
一方、ステップS35のNOにおいて、制御部40が、圧縮機23が停止していると判断した場合には、ステップS37において、制御部40は、加熱部36への通電率を40%へと低減して通電を継続する。
【0066】
ステップS34のNOにおいて、制御部40が、冷蔵庫10の稼働状況が上記条件1を満たしていないと判断した場合には、ステップS38へと移行し、圧縮機23が、稼働しているか、否かを判断する。そして、ステップS38のYESにおいて、制御部40が、圧縮機23が稼働していると判断した場合には、ステップS39において、制御部40は、加熱部36への通電率を15%へと低減して通電を継続する。
【0067】
一方、ステップS38のNOにおいて、制御部40が、圧縮機23が停止していると判断した場合には、ステップS40において、制御部40は、加熱部36への通電率を10%へと低減して通電を継続する。
【0068】
ステップS41において、制御部40は、タイマ41からの検出信号に基づき、ステップS32の前回の製氷皿32への給水開始時から70分経過したか、否かを判断する。そして、ステップS41のYESにおいて、制御部40が、給水開始時から70分経過したと判断した場合には、ステップS42へと移行し、制御部40は、圧縮機23が稼働しているか、否かを判断する。
【0069】
ステップS42のYESにおいて、制御部40は、圧縮機23が稼働していると判断した場合には、ステップS43において、制御部40は、加熱部36への通電率を50%へと増大して通電を継続する。一方、ステップS42のNOにおいて、制御部40は、圧縮機23が停止していると判断した場合には、ステップS44において、制御部40は、加熱部36への通電率を40%へと増大して通電を継続する。
【0070】
ステップS45において、制御部40は、タイマ41からの検出信号に基づき、ステップS33の製氷開始時から設定時間が経過したか、否かを判断する。そして、ステップS45のYESにおいて、制御部40が、製氷開始時から設定時間が経過したと判断した場合には、ステップS30へと戻る。尚、ステップS45のNOにおいて、制御部40が、製氷開始時から設定時間が経過していないと判断した場合には、ステップS42へと戻る。
【0071】
ここで、ステップS30のYESにおいて、制御部40が、貯氷容器33内の氷が満氷であると判断した場合には、ステップS46へと移行し、圧縮機23が、稼働しているか、否かを判断する。そして、ステップS46のYESにおいて、制御部40が、圧縮機23が稼働していると判断した場合には、ステップS47において、制御部40は、加熱部36への通電率を50%と増大して通電を継続する。
【0072】
一方、ステップS46のNOにおいて、制御部40は、圧縮機23が停止していると判断した場合には、ステップS49において、制御部40は、加熱部36への通電率を40%へと増大して通電を継続する。
【0073】
その後、ステップS48において、制御部40は、タイマ41からの検出信号に基づき、ステップS30の貯氷容器33内の満氷検知から所定の設定時間、例えば、1時間が経過したか、否かを判断する。そして、ステップS48のYESにおいて、制御部40が、上記満氷検知から所定の設定時間が経過したと判断した場合には、ステップS30へと戻る。尚、ステップS48のNOにおいて、制御部40が、上記満氷検知から所定の設定時間が経過していないと判断した場合には、ステップS46へと戻る。
【0074】
尚、ステップS41のNOにおいて、制御部40が、給水開始時から70分経過していない判断した場合には、ステップS33へと戻る。
【0075】
次に、図5を用いて、冷蔵庫10の通電率Cの制御方法を説明する。図示したように、通電率Cの制御方法は、給水タンク31内が空の状態でなく、且つ、冷蔵庫10の稼働状況が上記条件2に該当する場合である。そして、図5のステップS50からステップS62が、通電率Cでの制御方法に該当する。
【0076】
ステップS50において、制御部40が、赤外線センサ44からの検知信号に基づき、製氷皿32への1回目の水の給水作業が行われていないと判断する。次に、ステップS51において、制御部40は、扉開閉センサ43からの検出信号に基づき、冷蔵室12の断熱扉18が開動作したか、否かを判断する。
【0077】
ステップS51のNOにおいて、制御部40が、上記検出信号を受信することなく、冷蔵室12の断熱扉18が開いていないと判断した場合には、ステップS52において、制御部40が、圧縮機23が稼働しているか、否かを判断する。
【0078】
ステップS52のYESにおいて、制御部40が、圧縮機23が稼働していると判断した場合には、ステップS53において、制御部40は、加熱部36への通電率を30%として通電する。一方、ステップS52のNOにおいて、制御部40が、圧縮機23が停止していると判断した場合には、ステップS54において、制御部40は、加熱部36への通電率を25%として通電する。
【0079】
ステップS55において、制御部40は、タイマ41からの検出信号に基づき、前回の製氷皿32への給水開始時から70分経過したか、否かを判断する。そして、ステップS55のYESにおいて、制御部40が、前回の製氷皿32への給水開始時から70分経過したと判断した場合には、ステップS56へと移行し、制御部40は、加熱部36への通電率を100%へと増大して通電を継続する。
【0080】
ステップS57において、制御部40は、タイマ41からの検出信号に基づき、前回の製氷皿32への給水開始時から85分経過したか、否かを判断する。そして、ステップS57のYESにおいて、制御部40が、前回の製氷皿32への給水開始時から85分経過したと判断した場合には、ステップS58へと移行し、制御部40は、加熱部36への通電率を50%へと低減して通電を継続する。
【0081】
ステップS59において、制御部40は、タイマ41からの検出信号に基づき、前回の製氷皿32への給水開始時から設定時間(1サイクルの120分)が経過したか、否かを判断する。そして、ステップS59のYESにおいて、制御部40が、前回の製氷皿32への給水開始時から設定時間が経過したと判断した場合には、ステップS60へと移行し、制御部40が、製氷機37を介して貯氷容器33内の検氷作業や製氷皿32からの脱氷作業を行い、その後、製氷皿32への給水作業を行う。
【0082】
一方、ステップS59のNOにおいて、制御部40が、前回の製氷皿32への給水開始時から設定時間が経過していないと判断した場合、ステップS55のNOにおいて、制御部40が、前回の製氷皿32への給水開始時から70分経過していない判断した場合またはステップS57のNOにおいて、制御部40が、前回の製氷皿32への給水開始時から85分経過していないと判断した場合には、ステップS51へと戻る。
【0083】
ステップS61において、制御部40が、赤外線センサ44からの検知信号から、製氷皿32への2回目の水の給水作業が行われたか、否かを判断する。そして、ステップS61のNOにおいて、制御部40が、製氷皿32への2回目の水の給水作業が行われていないと判断した場合には、ステップS10へと移行し、制御部40は、通電率Aの制御を開始する。
【0084】
ステップS61のYESにおいて、制御部40が、製氷皿32への給水作業が行われたと判断した場合には、ステップS33へと移行し、制御部40は、通電率Bの制御による製氷作業を開始する。
【0085】
また、ステップS51のYESにおいて、制御部40が、冷蔵室12の断熱扉18が開いたと判断した場合には、ステップS62へと移行し、制御部40は、扉開閉センサ43からの検出信号に基づき、冷蔵室12の断熱扉18が閉動作したか、否かを判断する。そして、ステップS62のYESにおいて、制御部40が、冷蔵室12の断熱扉18が閉じたと判断した場合には、ステップS33へと移行し、制御部40は、通電率Bの制御による製氷作業を開始する。尚、ステップS62のNOにおいて、制御部40は、引き続き、断熱扉18の閉動作を判断する。
【0086】
上述したように、本実施形態の冷蔵庫10では、通電率Aの制御方法において、制御部40が、給水タンク31の空検知を連続して2回判定した後に、上記条件3であると判断した場合には、制御部40は、給水パイプ35を加熱したにも関わらず、2回連続して製氷皿32への水の給水作業が行われず、給水タンク31内に水が無い状態、所謂、空状態であると判断する。この場合には、ユーザが給水タンク31内に水を給水するまでは製氷運転が行われないので、加熱部36へと通電を停止し、冷蔵庫10の消費電力量の抑制が実現される。
【0087】
また、通電率Dの制御方法では、冷蔵室12の断熱扉18が開閉動作したと検知した場合には、ユーザが給水タンク31に水を給水した可能性があるため、短時間に高い通電率にて加熱部36へと通電を行うことで、給水パイプ35の凍結防止を実現し、給水作業の際に、給水パイプ35内の水の凍結による閉塞を防止する。
【0088】
また、通電率Bの制御方法では、製氷皿32への給水作業後70分経過までは、加熱部36への通電率を給水パイプ35内の水が凍結しない程度に低下させると共に、製氷皿32の給水作業から70分経過後には、再び、加熱部36の通電率を高める。この制御方法により、加熱部36への通電が継続することで給水パイプ35内に残存する水の凍結による閉塞が防止される。更には、加熱部36への通電率が一時的に低い状態となることで、給水パイプ35が高温状態を維持することがなく、給水パイプ35内に残存する水に菌が増殖することを防止し、冷蔵庫10の消費電力量の抑制が実現される。
【0089】
また、通電率Cの制御方法では、給水タンク31の1回目の空検知後、一度、加熱部36の通電率を最大にした後、その15分後にその通電率を低下させる。そして、冷蔵庫10の製造過程において、給水パイプ35と加熱部36との組み付け位置、給水パイプ35の長さのばらつきや冷蔵庫10の各部品の組み付けばらつき、また、製氷運転時の給水パイプ35内への水の残存量等、種々な要因により給水パイプ35内の水の凍結による閉塞の可能性がある。
【0090】
上記制御方法により、給水パイプ35内の水が凍結した場合でも、加熱部36の通電率を最大とすることで、上記凍結状態を溶解することが出来る。そして、給水タンク31内には水が充填されているが、給水パイプ35が水の凍結により閉塞することで、製氷皿32へ水が供給出来なくなる現象が防止される。一方、制御部40では、給水パイプ35内の凍結による閉塞でなく、給水タンク31が空状態であると判断することが出来る。また、長時間に渡り加熱部36の通電率を最大にすることを防止することで、上記菌の増殖を防止し、冷蔵庫10の消費電力量の抑制が実現される。
【0091】
最後に、図2(A)及び(B)に示す如く、本実施形態の製氷皿32への給水作業では、制御部40が、モータ45を逆転方向に稼働させ、次に、正転方向に稼働させ、最後に逆転方向に稼働させることで、給水ポンプ34は給水タンク31から水を吸い上げた後、給水パイプ35を経由して吸い上げた水を製氷皿32へと供給する。
【0092】
この制御方法により、給水作業前に加熱部36による加熱により溶けた水が給水パイプ35の先端近傍に表面張力により残っていた場合でも、最初に、モータ45を逆転方向に稼働させることで、給水パイプ35先端近傍の水を吸い上げると共に、給水パイプ35内を空気が導通した状態とする。そして、次に、モータ45を正転方向に稼働させた際に、給水パイプ35内部の空気が圧縮され、上記先端の水が突沸的に製氷皿32へと飛び散る現象を防止することができる。そして、最後に、モータ45を逆転方向に稼働させることで、サイフォン現象が発生しないようにする。
【0093】
尚、本実施形態では、赤外線センサ44にて製氷皿32の底面温度を検知し、制御部40は、上記検知信号により給水タンク31内の水の有無を判断する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、給水ポンプ34の電流波形を検知した後、抵抗を介して電圧値に変換し、上記電圧値を予め設定された閾値と比較する。そして、制御部40では、上記比較結果に基づき、給水ポンプ34から水を排出したか、否かを検知し、上記検知信号により給水タンク31内の水の有無を判断する場合でも良い。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0094】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
12 冷蔵室
13 冷凍室
23 圧縮機
25 送風機
27 断熱仕切り壁
30 製氷装置
31 給水タンク
32 製氷皿
33 貯氷容器
34 給水ポンプ
35 給水パイプ
36 加熱部
40 制御部
42 庫内温度センサ
43 扉開閉センサ
44 赤外線センサ
図1
図2
図3
図4
図5