(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104682
(43)【公開日】2022-07-11
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
B62K 11/04 20060101AFI20220704BHJP
B62J 11/16 20200101ALI20220704BHJP
B62K 19/30 20060101ALI20220704BHJP
B62M 7/02 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
B62K11/04 C
B62J11/16
B62K19/30
B62M7/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219790
(22)【出願日】2020-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】今村 充利
(72)【発明者】
【氏名】西倉 唯
【テーマコード(参考)】
3D011
3D212
【Fターム(参考)】
3D011AF01
3D011AF03
3D011AH01
3D011AK03
3D011AK14
3D011AK15
3D011AK23
3D011AK33
3D212BH01
(57)【要約】
【課題】鞍乗型車両に要求される剛性を満たしながら、鞍乗型車両の複数のモデルにおいて車体フレームを容易に共通化する。
【解決手段】ピボット支持部は、メインフレームに接続され、ピボット軸と、ピボット軸を支持するピボット支持フレームとを含む。第1リアフレームは、メインフレームから後方へ延び、車両左右方向において第1リアアームよりも内方でメインフレームに接続される。第1補強部品は、第1リアフレームと別体である。第1補強部品は、車両左右方向において第1リアアームの外方に配置される。第1補強部品は、ピボット支持部と第1リアフレームとに接続される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後輪と、
前記後輪を回転可能に支持する第1リアアームと、
ヘッドパイプと、前記ヘッドパイプに接続されたメインフレームと、前記第1リアアームを回転可能に支持するピボット軸と前記ピボット軸を支持するピボット支持フレームとを含み前記メインフレームに接続されるピボット支持部と、前記メインフレームから後方へ延び車両左右方向において前記第1リアアームよりも内方で前記メインフレームに接続される第1リアフレームと、を含む車体フレームと、
前記第1リアフレームと別体であり、前記車両左右方向において前記第1リアアームの外方に配置され、前記ピボット支持部と前記第1リアフレームとに接続された第1補強部品と、
を備える鞍乗型車両。
【請求項2】
前記第1補強部品は、車両側面視で前記第1リアアームと重なる、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記後輪は、スプロケットを含み、
前記鞍乗型車両は、前記スプロケットに巻回されるチェインをさらに備え、
前記第1補強部品は、前記車両左右方向において前記チェインの外方に配置される、
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記第1補強部品は、車両側面視で前記ピボット支持部と前記第1リアフレームと重なる、
請求項1から3のいずれかに記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記第1補強部品は、
前記ピボット支持部に接続される第1下補強部材と、
前記第1下補強部材と別体であり、前記第1リアフレームに接続される第1上補強部材と、
を含む、
請求項1から4のいずれかに記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記第1上補強部材は、着脱可能に前記第1下補強部材に取り付けられ、着脱可能に前記第1リアフレームに取り付けられる、
請求項5に記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記第1下補強部材と前記ピボット軸とを共に前記ピボット支持フレームに固定するボルトをさらに備える、
請求項5又は6に記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
前記第1上補強部材は、前記車両左右方向において外方へ膨出した形状を有している、
請求項5から7のいずれかに記載の鞍乗型車両。
【請求項9】
前記第1上補強部材は、前記第1上補強部材の内面に設けられた補強リブを含む、
請求項5から8のいずれかに記載の鞍乗型車両。
【請求項10】
前記車両左右方向において前記第1リアアームから離れて配置され、前記後輪を回転可能に支持する第2リアアームと、
第2補強部品と、
をさらに備え、
前記車体フレームは、第2リアフレームをさらに含み、
第2リアフレームは、前記メインフレームから後方へ延び、前記車両左右方向において前記第1リアフレームから離れて配置され、車両左右方向において前記第2リアアームよりも内方で前記メインフレームに接続され、
前記第2補強部品は、前記第2リアフレームと別体であり、前記車両左右方向において前記第2リアアームの外方に配置され、前記ピボット支持部と前記第2リアフレームとに接続される、
請求項1から9のいずれかに記載の鞍乗型車両。
【請求項11】
前記第1補強部品と前記第2補強部品とに接続される横部材をさらに備える、
請求項10に記載の鞍乗型車両。
【請求項12】
前記横部材は、前記ピボット支持フレームに接続される、
請求項10又は11に記載の鞍乗型車両。
【請求項13】
前記第2補強部品は、
前記ピボット支持部に接続される第2下補強部材と、
前記第2下補強部材と別体であり、前記第2リアフレームに接続される第2上補強部材と、
を含む、
請求項10から12のいずれかに記載の鞍乗型車両。
【請求項14】
前記第2上補強部材は、着脱可能に前記第2下補強部材に接続され、着脱可能に前記第2リアフレームに接続されている、
請求項13に記載の鞍乗型車両。
【請求項15】
前記後輪を制動するリアブレーキと、
前記リアブレーキに接続され、前記第2リアアームに沿って配置されたブレーキホースと
をさらに備え、
前記ブレーキホースは、前記車両左右方向において前記第2上補強部材の内方に配置されている、
請求項13又は14に記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗型車両は、メインフレームと、リアフレームと、ピボット支持部と、リアアームとを備えている。ピボット支持部は、メインフレームに接続されている。ピボット支持部は、ピボット軸を含む。リアアームは、ピボット軸回りに回転可能にメインフレームに支持される。リアアームは、後輪を回転可能に支持する。リアフレームは、メインフレームに接続され、メインフレームから後方へ延びている。例えば、特許文献1の鞍乗型車両では、リアフレームが、車両左右方向においてリアアームの内方に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鞍乗型車両の開発においては、複数のモデルにおいて車体フレームを共通化することが、開発コスト低減の観点から好ましい。しかし、車体フレームに要求される剛性は、モデルによって異なる。例えば、街中で用いられるモデルと、レースで用いられるモデルとでは、要求される剛性に大きな違いがある。大きな剛性を必要としないモデルに対して、高い剛性を有する車体フレームが用いられると、車両の重量が重くなる、或いは、車幅が大きくなってしまう。逆に、大きな剛性を必要とするモデルに対して、低い剛性を有する車体フレームが用いられると、剛性が不足してしまう。そのため、複数のモデルにおいて車体フレームを共通化すること困難である。
【0005】
本発明の課題は、鞍乗型車両に要求される剛性を満たしながら、鞍乗型車両の複数のモデルにおいて車体フレームを容易に共通化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る鞍乗型車両は、後輪と、第1リアアームと、車体フレームと、第1補強部品とを備える。第1リアアームは、後輪を回転可能に支持する。車体フレームは、ヘッドパイプと、メインフレームと、ピボット支持部と、第1リアフレームとを含む。メインフレームは、ヘッドパイプに接続される。ピボット支持部は、ピボット軸と、ピボット支持フレームとを含み、メインフレームに接続される。ピボット軸は、第1リアアームを回転可能に支持する。ピボット支持フレームは、ピボット軸を支持する。第1リアフレームは、メインフレームから後方へ延び、車両左右方向において第1リアアームよりも内方でメインフレームに接続される。第1補強部品は、第1リアフレームと別体である。第1補強部品は、車両左右方向において第1リアアームの外方に配置される。第1補強部品は、ピボット支持部と第1リアフレームとに接続される。
【0007】
本態様に係る鞍乗型車両では、第1補強部品が、第1リアアームの外方を通って、ピボット支持部と第1リアフレームとに接続されている。それにより、車体フレームの剛性が向上する。また、製造時に、第1補強部品の剛性を調整することで、或いは第1補強部品を設けないことで、大きな剛性を必要としないモデルにも、車体フレームを共通に適用できる。それにより、複数のモデルでのフレームの共用が容易である。さらに、第1補強部品は、第1リアアームの外方に配置されるため、第1リアアームよりも内方に位置する第1リアフレームよりも、第1補強部品の形状の変更が容易である。そのため、効率よく車体フレームの剛性を調整することができる。
【0008】
第1補強部品は、車両側面視で第1リアアームと重なってもよい。この場合、第1補強部品によって、車体フレームの剛性が向上する。
【0009】
後輪は、スプロケットを含んでもよい。鞍乗型車両は、スプロケットに巻回されるチェインをさらに備えてもよい。第1補強部品は、車両左右方向においてチェインの外方に配置されてもよい。この場合、第1補強部品によって、車体フレームの剛性が向上する。また、第1補強部品の剛性の調整が容易である。
【0010】
第1補強部品は、車両側面視でピボット支持部と第1リアフレームとに重なってもよい。この場合、第1補強部品によって、ピボット支持部と第1リアフレームとが保護される。
【0011】
第1補強部品は、第1下補強部材と第1上補強部材とを含んでもよい。第1下補強部材は、ピボット支持部に接続されてもよい。第1上補強部材は、第1下補強部材と別体であってもよい。第1上補強部材は、第1リアフレームに接続されてもよい。この場合、第1補強部品が複数の部材に分かれていることで、第1補強部品の形成が容易である。
【0012】
第1上補強部材は、着脱可能に第1下補強部材に取り付けられてもよい。第1上補強部材は、着脱可能に第1リアフレームに取り付けられてもよい。この場合、第1上補強部材を車体フレームから取り外すことで、第1補強部品の内方に配置されている部品へのアクセスが容易になる。
【0013】
鞍乗型車両は、ボルトをさらに備えてもよい。ボルトは、第1下補強部材とピボット軸とを共にピボット支持フレームに固定してもよい。この場合、ピボット軸の取付に第1下補強部材が干渉せず、ピボット軸の取付が容易である。
【0014】
第1上補強部材は、車両左右方向において外方へ膨出した形状を有してもよい。この場合、第1上補強部材の剛性が向上する。
【0015】
第1上補強部材は、第1上補強部材の内面に設けられた補強リブを含んでもよい。この場合、第1上補強部材の剛性が向上する。
【0016】
鞍乗型車両は、第2リアアームと第2補強部品とをさらに備えてもよい。第2リアアームは、車両左右方向において第1リアアームから離れて配置されてもよい。第2リアアームは、後輪を回転可能に支持してもよい。車体フレームは、第2リアフレームをさらに含んでもよい。第2リアフレームは、メインフレームから後方へ延びていてもよい。第2リアフレームは、車両左右方向において第1リアフレームから離れて配置されてもよい。第2リアフレームは、車両左右方向において第2リアアームよりも内方でメインフレームに接続されてもよい。第2補強部品は、第2リアフレームと別体であってもよい。第2補強部品は、車両左右方向において第2リアアームの外方に配置されてもよい。第2補強部品は、ピボット支持部と第2リアフレームとに接続されてもよい。この場合、第2補強部品によって、車体フレームの剛性が向上する。また、製造時に、第2補強部品を設けないことで、大きな剛性を必要としないモデルにも、車体フレームを共通に適用できる。それにより、複数のモデルでのフレームの共用が容易である。
【0017】
第1補強部品と第2補強部品とに接続される横部材をさらに備えてもよい。この場合、車体フレームの剛性がさらに向上する。
【0018】
横部材は、ピボット支持フレームに接続されてもよい。この場合、フレームの剛性がさらに向上する。
【0019】
第2補強部品は、第2下補強部材と第2上補強部材とを含んでもよい。第2下補強部材は、ピボット支持部に接続されてもよい。第2上補強部材は、第2下補強部材と別体であってもよい。第2上補強部材は、第2リアフレームに接続されてもよい。この場合、第2補強部品が複数の部材に分かれていることで、第2補強部品の形成が容易である。
【0020】
第2上補強部材は、着脱可能に第2下補強部材に接続されてもよい。第2上補強部材は、着脱可能に第2リアフレームに接続されてもよい。この場合、第2上補強部材を車体フレームから取り外すことで、第2補強部品の内方に配置されている部品へのアクセスが容易になる。
【0021】
鞍乗型車両は、リアブレーキとブレーキホースとをさらに備えてもよい。リアブレーキは、後輪を制動してもよい。ブレーキホースは、リアブレーキに接続されてもよい。ブレーキホースは、第2リアアームに沿って配置されてもよい。ブレーキホースは、車両左右方向において、第2上補強部材の内方に配置されてもよい。この場合、第2上補強部材を車体フレームから取り外すことで、ブレーキホースへのアクセスが容易になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、鞍乗型車両に要求される剛性を満たしながら、鞍乗型車両の複数のモデルにおいて車体フレームを容易に共通化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図5】車体フレームと、鞍乗型車両の後部の構成を示す左側面図である。
【
図6】車体フレームと、鞍乗型車両の後部の構成を示す右側面図である。
【
図8】鞍乗型車両の後部の構成を示す斜視図である。
【
図9】車体フレームと、第1補強部品と、第2補強部品との正面図である。
【
図10】第1補強部品が取り外された鞍乗型車両の後部の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して実施形態に係る鞍乗型車両について説明する。
図1は、実施形態に係る鞍乗型車両1の側面図である。
図1に示すように、鞍乗型車両1は、ステアリング装置2と、前輪3と、燃料タンク4と、シート5と、パワーユニット6と、後輪7と、リアアーム8と、車体カバー9とを含む。また、鞍乗型車両1は、
図2に示す車体フレーム10を含む。なお、本実施形態において、前後左右の方向は、シート5に着座したライダーから見た前後左右の方向を意味するものとする。
【0025】
ステアリング装置2は、ライダーによって操舵される。ステアリング装置2は、フロントフォーク11と、ハンドル部材12とを含む。フロントフォーク11は、前輪3を回転可能に支持している。ハンドル部材12は、フロントフォーク11に接続されている。燃料タンク4は、ハンドル部材12の後方に配置されている。シート5は、燃料タンク4の後方に配置されている。パワーユニット6は、前輪3と後輪7との間に配置される。パワーユニット6は、後輪7を回転させる駆動力を発生させる。パワーユニット6は、例えば内燃エンジンとトランスミッションとを含む。ただし、パワーユニット6は、電動モータを含んでもよい。
【0026】
後輪7は、パワーユニット6の後方に配置される。後輪7は、リアアーム8に回転可能に支持されている。後輪7は、スプロケット13を含む。スプロケット13には、チェイン14が巻回されている。チェイン14は、パワーユニット6の出力軸(図示せず)に巻回されている。チェイン14の上方には、チェインガード15が配置されている。チェインガード15は、リアアーム8に接続されている。車体カバー9は、車体フレーム10を覆う。
【0027】
図3は、車体フレーム10の正面図である。
図4は、車体フレーム10の背面図である。
図2から
図4に示すように、車体フレーム10は、ヘッドパイプ16と、メインフレーム17と、第1リアフレーム18と、第2リアフレーム19と、ピボット支持部20とを含む。ヘッドパイプ16と、メインフレーム17と、第1リアフレーム18と、第2リアフレーム19とは、パイプ状である。ただし、ヘッドパイプ16と、メインフレーム17と、第1リアフレーム18と、第2リアフレーム19との一部は、板状であってもよい。
【0028】
ヘッドパイプ16は、前方且つ下方へ向かって傾斜している。ヘッドパイプ16は、上述したステアリング装置2を左右に回転可能に支持する。メインフレーム17は、ヘッドパイプ16に接続されている。メインフレーム17は、ヘッドパイプ16から後方へ延びている。
図3に示すように、メインフレーム17は、第1メインフレーム21と第2メインフレーム22とを含む。第1メインフレーム21と第2メインフレーム22とは、互いに左右に離れて配置されている。
図2に示すように、第1メインフレーム21は、下方へ向かって屈曲した形状を有している。第2メインフレーム22は、第1メインフレーム21と同様の形状を有している。
【0029】
第1リアフレーム18と第2リアフレーム19とは、左右方向に互いに離れている。第1リアフレーム18と第2リアフレーム19とは、メインフレーム17から後方へ延びている。第1リアフレーム18と第2リアフレーム19とは、シート5の下方に配置される。第1リアフレーム18は、第1上フレーム23と第1下フレーム24とを含む。第1下フレーム24は、第1上フレーム23の下方に配置されている。第1上フレーム23と第1下フレーム24とは、それぞれメインフレーム17に接続されている。第1下フレーム24は、第1接続部25を含む。第1下フレーム24は、第1接続部25において第1メインフレーム21に接続されている。
【0030】
図4に示すように、第2リアフレーム19は、第2上フレーム26と第2下フレーム27とを含む。第2下フレーム27は、第2上フレーム26の下方に配置されている。第2上フレーム26と第1下フレーム24とは、それぞれメインフレーム17に接続されている。第2下フレーム27は、第2接続部28を含む。第2下フレーム27は、第2接続部28において第2メインフレーム22に接続されている。
【0031】
ピボット支持部20は、メインフレーム17に接続されている。ピボット支持部20は、メインフレーム17の下端に接続されている。ピボット支持部20は、ピボット支持フレーム29とピボット軸30を支持する。ピボット支持フレーム29は、ピボット軸30を支持する。ピボット支持フレーム29は、第1板部31と、第2板部32と、連結部33とを含む。第1板部31と第2板部32とは、左右方向に互いに離れて配置されている。第1板部31は、第1メインフレーム21の下端に接続される。第2板部32は、第2メインフレーム22の下端に接続される。連結部33は、左右方向に延びており、第1板部31と第2板部32とを連結している。
【0032】
ピボット軸30は、左右方向に延びている。ピボット軸30は、第1板部31と第2板部32とに接続されている。ピボット軸30は、第1板部31から左右方向における外方に突出している。ピボット軸30は、第2板部32から左右方向における外方に突出している。ピボット軸30は、リアアーム8を回転可能に支持している。ピボット支持部20は、第1連結シャフト34と第2連結シャフト35とを含む。第1連結シャフト34と第2連結シャフト35とは、左右方向に延びている。第1連結シャフト34と第2連結シャフト35とは、第1板部31と第2板部32とに接続されている。
【0033】
車体フレーム10は、横部材36をさらに備える。横部材36は、ピボット支持フレーム29の下部に接続されている。横部材36は、第1板部31と第2板部32とに接続されている。横部材36は、ピボット軸30よりも下方に配置されている。横部材36は、第1板部31から左右方向における外方に突出している。横部材36は、第2板部32から左右方向における外方に突出している。
【0034】
図5は、車体フレーム10と、鞍乗型車両1の後部の構成を示す左側面図である。
図6は、車体フレーム10と、鞍乗型車両1の後部の構成を示す右側面図である。
図7は、リアアーム8の斜視図である。
図5から
図7に示すように、リアアーム8は、第1リアアーム37と、第2リアアーム38と、アーム連結部39とを含む。第1リアアーム37と第2リアアーム38とは、左右方向に互いに離れた配置される。第1リアアーム37と第2リアアーム38とは、後輪7を回転可能に支持する。第1リアアーム37は、後輪7の左方に配置される。第2リアアーム38は、後輪7の右方に配置される。アーム連結部39は、第1リアアーム37と第2リアアーム38との間に配置される。アーム連結部39は、第1リアアーム37と第2リアアーム38とを連結する。第1リアアーム37は、第1リアアーム37の前端に位置する第1軸部41を含む。第2リアアーム38は、第2リアアーム38の前端に位置する第2軸部42を含む。リアアーム8は、第1軸部41と第2軸部42とにおいて、ピボット軸30に回転可能に支持される。
【0035】
図3及び
図4では、ピボット軸30に支持される第1軸部41と第2軸部42とが示されている。
図3に示すように、ピボット支持フレーム29の第1板部31は、第1軸部41よりも左右方向における内方に位置する。ピボット支持フレーム29の第2板部32は、第2軸部42よりも左右方向における内方に位置する。従って、左右方向において、第1板部31と第2板部32との間の距離は、第1軸部41と第2軸部42との間の距離よりも小さい。
【0036】
図4に示すように、第1接続部25の少なくとも一部は、第1軸部41よりも左右方向における内方に位置する。すなわち、第1リアフレーム18は、第1軸部41よりも左右方向における内方において、メインフレーム17に接続されている。第2接続部28の少なくとも一部は、第2軸部42よりも左右方向における内方に位置する。すなわち、第2リアフレーム19は、第2軸部42よりも左右方向における内方において、メインフレーム17に接続されている。
【0037】
図5に示すように、鞍乗型車両1は、第1補強部品51を含む。
図6に示すように、鞍乗型車両1は、第2補強部品52を含む。第1補強部品51と第2補強部品52とは、例えばアルミニウムなどの金属製である。
図8は、鞍乗型車両1の後部の斜視図である。
図9は、車体フレーム10と、第1補強部品51と、第2補強部品52との正面図である。
【0038】
第1補強部品51は、第1リアフレーム18及びピボット支持部20と別体である。第1補強部品51は、第1リアフレーム18及びピボット支持部20に対して着脱可能に取り付けられる。
図10は、第1補強部品51が取り外された鞍乗型車両1の後部の斜視図である。
【0039】
第1補強部品51は、左右方向において第1メインフレーム21の外方に配置されている。第1補強部品51は、車両側面視で第1メインフレーム21と重なる。第1補強部品51は、左右方向において第1リアフレーム18の外方に配置されている。第1補強部品51は、車両側面視で第1リアフレーム18と重なる。第1補強部品51は、左右方向において第1リアアーム37の外方に配置されている。第1補強部品51は、車両側面視で第1リアアーム37と重なる。第1補強部品51は、左右方向においてピボット支持部20の外方に配置されている。第1補強部品51は、車両側面視でピボット支持部20と重なる。
【0040】
第1補強部品51は、左右方向においてチェイン14の外方に配置される。第1補強部品51は、車両側面視でチェイン14と重なる。
図9では、チェイン14の位置が二転鎖線で示されている。
図9に示すように、チェイン14は、左右方向においてピボット支持フレーム29と第1補強部品51との間に配置されている。すなわち、ピボット支持フレーム29は、左右方向においてチェイン14の内方に配置されている。詳細には、第1板部31は、左右方向においてチェイン14の内方に配置されている。
【0041】
図5に示すように、鞍乗型車両1は、第1ステー53と、第1フットレスト54と、シフトペダル55とを含む。第1ステー53は、第1補強部品51に取り付けられている。第1フットレスト54とシフトペダル55とは、第1ステー53に取り付けられている。第1フットレスト54とシフトペダル55とは、第1ステー53から左右方向における外方へ突出している。シフトペダル55には、シフトロッド56が接続されている。シフトロッド56は、パワーユニット6に接続されている。
図9に示すように、車両正面視で、第1フットレスト54とシフトペダル55とシフトロッド56とは、左右方向において第1補強部品51の外方に配置されている。
【0042】
第1補強部品51は、第1下補強部材57と第1上補強部材58とを含む。第1下補強部材57と第1上補強部材58とは、互いに別体である。第1下補強部材57は、着脱可能にピボット支持部20に接続される。第1下補強部材57は、着脱可能に横部材36に接続される。第1上補強部材58は、第1下補強部材57の上方に配置される。第1上補強部材58は、着脱可能に第1リアフレーム18に接続される。第1上補強部材58は、着脱可能に第1下補強部材57に取り付けられる。
【0043】
図11は、第1下補強部材57と第1上補強部材58との分解斜視図である。
図12は、第1補強部品51の内面を示す図である。
図11に示すように、第1下補強部材57は、第1下固定部61を含む。第1下固定部61は、ピボット支持部20に固定される。
図3に示すように、鞍乗型車両1は、ボルト60を含む。ボルト60は、ピボット軸30をピボット支持部20に固定している。第1下固定部61は、ボルト60が通される孔を有する。第1下補強部材57は、ボルト60によってピボット軸30に固定される。第1下補強部材57は、ピボット軸30と共にボルト60によってピボット支持フレーム29に固定される。
【0044】
第1下補強部材57は、第2下固定部62を含む。第2下固定部62は、第1上補強部材58に固定される。第2下固定部62は、ボルトが通される孔を含む。第2下固定部62は、ボルトによって第1上補強部材58に固定される。第1下補強部材57は、第3下固定部63を含む。第3下固定部63は、横部材36に固定される。第3下固定部63は、ボルトが通される孔を含む。第3下固定部63は、ボルトによって横部材36に固定される。第1下補強部材57は、第4下固定部64を含む。第4下固定部64には、第1ステー53が固定される。第4下固定部64は、ボルトが通される孔を含む。第4下固定部64には、ボルトによって第1ステー53が固定される。
【0045】
第1上補強部材58は、第1上固定部65を含む。第1上固定部65は、第1リアフレーム18に固定される。第1上固定部65は、ボルトが通される孔を含む。第1上固定部65は、ボルトによって、第1下フレーム24に固定される。第1上補強部材58は、第2上固定部66を含む。第2上固定部66は、第1下補強部材57に固定される。第2上固定部66は、ボルトが通される孔を含む。第2上固定部66は、ボルトによって第1下補強部材57の第2下固定部62に固定される。
【0046】
第1上補強部材58は、車両左右方向において外方へ膨出した形状を有している。第1上補強部材58は、縁部67を含む。第1上補強部材58は、縁部67において屈曲した形状を有しており、縁部67は、第1上補強部材58の内面から突出している。第1上補強部材58の内面には、補強リブ68が設けられている。補強リブ68は、第1上固定部65から第2上固定部66まで延びている。
【0047】
第1下補強部材57は、第1補強リブ71と、第2補強リブ72と、第3補強リブ73とを含む。第1補強リブ71と第2補強リブ72と第3補強リブ73とは、第1下固定部61から放射状に延びている。第1補強リブ71は、第1下固定部61から第2下固定部62まで延びている。第2補強リブ72は、第1下固定部61から第3下固定部63まで延びている。第3補強リブ73は、第1下固定部61から第4下固定部64まで延びている。
【0048】
第2補強部品52は、第1補強部品51と同様の構造を有している。第2補強部品52は、第2リアフレーム19及びピボット支持部20と別体である。第2補強部品52は、第2リアフレーム19及びピボット支持部20に対して着脱可能に取り付けられる。
【0049】
第2補強部品52は、左右方向において第2メインフレーム22の外方に配置されている。第2補強部品52は、車両側面視で第2メインフレーム22と重なる。第2補強部品52は、左右方向において第2リアフレーム19の外方に配置されている。第2補強部品52は、車両側面視で第2リアフレーム19と重なる。第2補強部品52は、左右方向において第2リアアーム38の外方に配置されている。第2補強部品52は、車両側面視で第2リアアーム38と重なる。第2補強部品52は、左右方向においてピボット支持部20の外方に配置されている。第2補強部品52は、車両側面視でピボット支持部20と重なる。
【0050】
左右方向における第1補強部品51と第2補強部品52との間の距離は、ピボット支持フレーム29の左右方向における幅よりも大きい。左右方向において、第1補強部品51と第2補強部品52との間の距離は、第1リアアーム37の第1軸部41と第2リアアーム38の第2軸部42との間の距離よりも大きい。左右方向において、第1補強部品51と第2補強部品52との間の距離は、第1リアフレーム18と第2リアフレーム19との間の距離よりも大きい。左右方向において、第1補強部品51と第2補強部品52との間の距離は、第1メインフレーム21と第2メインフレーム22との間の距離よりも大きい。
【0051】
第2補強部品52は、第2下補強部材74と第2上補強部材75とを含む。第2下補強部材74と第2上補強部材75とは、互いに別体である。第2下補強部材74は、着脱可能にピボット支持部20に接続される。第2下補強部材74は、着脱可能に横部材36に接続される。従って、第1補強部品51と第2補強部品52とは、横部材36によって互いに接続されている。また、第1補強部品51と第2補強部品52とは、ピボット軸30によって互いに接続されている。第1補強部品51と第2補強部品52とは、ボルト60によってピボット軸30に接続されている。
【0052】
第2上補強部材75は、第2下補強部材74の上方に配置される。第2上補強部材75は、着脱可能に第2リアフレーム19に接続される。第2上補強部材75は、着脱可能に第2下補強部材74に取り付けられる。第2下補強部材74は、第1下補強部材57と同様の構造を有している。第2上補強部材75は、第1上補強部材58と同様の構造を有している。
【0053】
図6に示すように、鞍乗型車両1は、リアブレーキ76とブレーキホース77とを含む。リアブレーキ76は、後輪7を制動する。リアブレーキ76は、スプロケット13に向かい合って配置される。ブレーキホース77は、リアブレーキ76に接続されている。ブレーキホース77は、第2リアアーム38に沿って配置されている。ブレーキホース77は、第2リアフレーム19よりも前方まで延びている。ブレーキホース77は、図示しない液圧制御ユニットに接続されている。ブレーキホース77は、左右方向において第2補強部品52の内方を通る。ブレーキホース77は、車両左右方向において第2上補強部材75の内方を通る。ブレーキホース77は、車両側面視で、第2上補強部材75と重なる。
【0054】
鞍乗型車両1は、第2ステー81と、第2フットレスト82と、ブレーキペダル83とを含む。第2ステー81は、第2補強部品52に取り付けられている。第2フットレスト82とブレーキペダル83とは、第2ステー81に取り付けられている。第2フットレスト82とブレーキペダル83とは、第2ステー81から左右方向における外方へ突出している。ブレーキペダル83には、リアブレーキ76のマスタシリンダ84が接続されている。マスタシリンダ84は、図示しない接続ホースを介して、上述した液圧制御ユニットに接続されている。
図9に示すように、車両正面視で、第2フットレスト82とブレーキペダル83とは、左右方向において第2補強部品52の外方に配置されている。
【0055】
以上説明した本実施形態に係る鞍乗型車両1では、第1補強部品51が、第1リアアーム37の外方を通って、ピボット支持部20と第1リアフレーム18とに接続されている。また、第2補強部品52が、第2リアアーム38の外方を通って、ピボット支持部20と第2リアフレーム19とに接続されている。それにより、車体フレーム10の剛性が向上する。また、製造時に、第1補強部品51と第2補強部品52とを設けないことで、大きな剛性を必要としないモデルにも、車体フレーム10を共通に適用できる。それにより、複数のモデルでのフレームの共用が容易である。
【0056】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0057】
鞍乗型車両1は、カウルを有さない、いわゆるネイキッド型のモータサイクルであってもよい。鞍乗型車両1は、ストリート型のモータサイクル、オフロード型のモータサイクル、或いはアドベンチャー型のモータサイクルであってもよい。
【0058】
車体フレーム10の構造は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、メインフレーム17の形状が変更されてもよい。リアフレーム18,19の形状が変更されてもよい。ピボット支持部20の形状が変更されてもよい。
【0059】
第1補強部品51の構造は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、第1上補強部材58と第1下補強部材57とは、互いに一体であってもよい。第1補強部品51は、ピボット軸30を介さずに、ピボット支持フレーム29に接続されてもよい。第2補強部品52の構造は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、第2上補強部材75と第2下補強部材74とは、互いに一体であってもよい。第2補強部品52は、ピボット軸30を介さずに、ピボット支持フレーム29に接続されてもよい。第1補強部品51と第2補強部品52とは、金属に限らず、樹脂などの他の材料製であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、鞍乗型車両に要求される剛性を満たしながら、鞍乗型車両の複数のモデルにおいて車体フレームを容易に共通化することができる。
【符号の説明】
【0061】
7:後輪, 10:車体フレーム, 13:スプロケット, 14:チェイン, 16:ヘッドパイプ, 17:メインフレーム, 18:第1リアフレーム, 19:第2リアフレーム, 20:ピボット支持部, 29:ピボット支持フレーム, 30:ピボット軸, 36:横部材, 37:第1リアアーム, 38:第2リアアーム, 51:第1補強部品, 52:第2補強部品, 57:第1下補強部材, 58:第1上補強部材, 60:ボルト, 68:補強リブ, 74:第2下補強部材, 75:第2上補強部材, 76:リアブレーキ, 77:ブレーキホース