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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104683
(43)【公開日】2022-07-11
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 17/00 20200101AFI20220704BHJP
   B62J 23/00 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
B62J17/00
B62J23/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219791
(22)【出願日】2020-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】今関 崇一朗
(57)【要約】
【課題】鞍乗型車両において、簡単な構造でダウンフォースを発生させる。
【解決手段】鞍乗型車両は、車体フレームと、フロントカバーと、ダクトと、整流部材とを備える。車体フレームは、ヘッドパイプを含む。フロントカバーは、ヘッドパイプの前方に配置される。ダクトは、ヘッドパイプの前方に配置される。ダクトは、フロントカバーに設けられ前方からの走行風を導入する開口と、開口から後方に延びる走行風通路とを含む。整流部材は、前方からの走行風によりダウンフォースを発生させる。整流部材は、フロントカバーの先端下部かつ車両正面視で開口の下方に配置された中央部と、中央部から開口よりも車幅方向外側に延びフロントカバーと車両上下方向に隙間を隔てて配置された側部と、一部が前記開口の下端よりも前方に配置され前下がりに傾斜した形状を有する前縁とを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプを含む車体フレームと、
前記ヘッドパイプの前方に配置されたフロントカバーと、
前記フロントカバーに設けられ前方からの走行風を導入する開口と、前記開口から後方に延びる走行風通路とを含み、前記ヘッドパイプの前方に配置されたダクトと、
前記フロントカバーの先端下部かつ車両正面視で前記開口の下方に配置された中央部と、前記中央部から前記開口よりも車幅方向外側に延び前記フロントカバーと車両上下方向に隙間を隔てて配置された側部と、一部が前記開口の下端よりも前方に配置され前下がりに傾斜した形状を有する前縁とを含み、前方からの前記走行風によりダウンフォースを発生させる整流部材と、
を備えた、鞍乗型車両。
【請求項2】
前記整流部材は、前記フロントカバーに着脱可能に取り付けられている、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記ヘッドパイプに回転可能に支持されたフロントフォークと、
前記フロントフォークに回転可能に支持された前輪と、
をさらに備え、
前記整流部材は、前記前輪の車軸よりも前方に配置されている、
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記開口の下端は、前記開口の上端よりも後方に配置されており、
前記整流部材の前記中央部は、前記開口の下端の前方に配置されるとともに後端が前記開口の下端と連なるように配置されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記中央部は、前記側部よりも前方に突出して配置され、下面に少なくとも1つのリブが設けられている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記フロントカバーは、前記リブに係合して前記フロントカバーに対して前記整流部材を位置決めする係合部を有する、
請求項5に記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両前方からの走行風をダクトに導入するために、フロントカバーに開口を設けた鞍乗型車両が知られている。例えば、特許文献1に開示された鞍乗型車両では、開口からダクトに導入した走行風が、吸気通路を通ってエアクリーナに導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-227103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フロントカバーに走行風を取り入れるための開口を設けた鞍乗型車両において、車両側部に翼形状の整流フィンなどを設けてダウンフォースを発生させる場合は、構造が複雑化するとともに、車両が大型化するおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、鞍乗型車両において、簡単な構成でダウンフォースを発生させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る鞍乗型車両は、車体フレームと、フロントカバーと、ダクトと、整流部材とを備える。車体フレームは、ヘッドパイプを含む。フロントカバーは、ヘッドパイプの前方に配置される。ダクトは、ヘッドパイプの前方に配置される。ダクトは、フロントカバーに設けられ前方からの走行風を導入する開口と、開口から後方に延びる走行風通路とを含む。整流部材は、前方からの走行風によりダウンフォースを発生させる。整流部材は、フロントカバーの先端下部かつ車両正面視で開口の下方に配置された中央部と、中央部から開口よりも車幅方向外側に延びフロントカバーと車両上下方向に隙間を隔てて配置された側部と、一部が前記開口の下端よりも前方に配置され前下がりに傾斜した形状を有する前縁とを含む。
【0007】
本態様に係る鞍乗型車両では、整流部材の前縁が前下がりに傾斜した形状を有しており、前方からの走行風が整流部材に当たることで、ダウンフォースが発生する。このため、例えば、車両側部に翼形状の整流フィンなどを設けてダウンフォースを発生させる構成に比べて、簡単かつコンパクトな構成でダウンフォースを得ることできる。また、整流部材の側部がフロントカバーと車両上下方向に隙間を隔てて配置されているので、走行風が側部に当たることによってもダウンフォースを得ることができる。また、整流部材が、空気の圧力が高い車両前方の位置に配置されることになるので、整流部材を他の場所に配置した場合に比べて大きなダウンフォースを得ることができる。さらに、整流部材の前縁の一部が開口の下端よりも前方に配置されているので、整流部材によって走行風が整流されて、開口に走行風が導かれ易くなる。これにより、ダクトを通る風量を増加させることができる。
【0008】
整流部材は、フロントカバーに着脱可能に取り付けられてもよい。この場合は、整流部材の交換が簡単にできる。また、走行コースに適した整流部材に交換することが可能になるので、ダウンフォースの量を簡単に変更できる。
【0009】
鞍乗型車両は、ヘッドパイプに回転可能に支持されたフロントフォークと、フロントフォークに回転可能に支持された前輪とをさらに備えてもよい。整流部材は、前輪の車軸よりも前方に配置されてもよい。この場合は、整流部材によって得られるダウンフォースによって、前輪に積極的に荷重をかけることができる。
【0010】
開口の下端は、開口の上端よりも後方に配置されてもよい。整流部材の中央部は、開口の下端の前方に配置されるとともに後端が開口の下端と連なるように配置されてもよい。この場合は、中央部によってダクトに走行風がより導かれ易くなる。また、中央部に位置する前縁が開口部の一部となるので、開口の面積を大きくできる。
【0011】
整流部材の中央部は、整流部材の側部よりも前方に突出して配置され、下面に少なくとも1つのリブが設けられてもよい。この場合は、空気の圧力の負荷が大きい整流部材の中央部をリブで補強することができる。
【0012】
フロントカバーは、リブに係合してフロントカバーに対して整流部材を位置決めする係合部を有してもよい。この場合は、リブによって整流部材の位置決めが容易にできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、乗鞍型車両において、簡単な構造でダウンフォースを発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】鞍乗型車両の左側面図である。
図2】車体フレーム周辺を上方から見た図である。
図3】鞍乗型車両の部分正面図である。
図4】フロントカバー周辺の斜視図である。
図5図3のV-V線断面図である
図6図3のIV-IV線断面図である
図7図3のIIV-IIV線断面図である
図8】整流部材周辺を前下方から見た斜視図である。
図9】走行風の流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一態様に係る鞍乗型車両の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、「前後」、「上下」、「左右」等の方向を示す用語は、鞍乗型車両を運転する時の運転者から見た方向を基準として説明する。したがって、左右方向は、車幅方向と一致する。また、車幅方向外側とは、車幅方向において鞍乗型車両の車幅方向の中心から遠い側を意味する。車幅方向内側とは、車幅方向において鞍乗型車両の車幅方向の中心に近い側を意味する。
【0016】
図1は、鞍乗型車両1の左側面図である。鞍乗型車両1は、車体フレーム2と、ステアリング装置3と、前輪4、後輪5と、エンジン6と、燃料タンク7と、シート8と、車体カバー9とを備える。
【0017】
車体フレーム2は、ヘッドパイプ12と、メインフレーム13とを含む。ヘッドパイプ12は、車両側面視で上端から下端に向かって前方かつ下方に延びている。ヘッドパイプ12は、車幅方向における車両中央に配置されている。
【0018】
メインフレーム13は、ヘッドパイプ12に接続されており、ヘッドパイプ12から後方に延びている。なお、「接続」とは、直接的な接続に限らず、間接的な接続も含む。また、「接続」とは、別体の部材が互いに固定されていることに限らず、一体の部材において複数の部分が連続していることも含む。
【0019】
図2は、車体フレーム2周辺を上方から見た図である。図2では、エンジン6、燃料タンク7及びシート8などの図示を省略している。メインフレーム13は、タンク支持フレーム13aと、エンジン支持フレーム13bと、リアフレーム13cとを含む。
【0020】
タンク支持フレーム13aは、ヘッドパイプ12から後方に延びている。タンク支持フレーム13aは、車幅方向における車両中央かつ燃料タンク7の下方に配置されており、燃料タンク7を支持している。エンジン支持フレーム13bは、タンク支持フレーム13aよりも下方に配置されている。エンジン支持フレーム13bは、ヘッドパイプ12から左右に分岐して後方に延びている。エンジン支持フレーム13bの後端は、タンク支持フレーム13aの後端に接続されている。リアフレーム13cは、タンク支持フレーム13aの後端から左右に分岐して後方に延びている。
【0021】
ステアリング装置3は、フロントフォーク14と、ハンドル部15とを含む。フロントフォーク14は、ヘッドパイプ12に回転可能に支持されている。図3は、鞍乗型車両1の部分正面図である。フロントフォーク14は、左右一対のフロントサスペンション14L,14Rを含む。左右一対のフロントサスペンション14L,14Rは、車両側面視で上端から下端に向かって前方かつ下方に延びている。ハンドル部15は、フロントフォーク14の上部に固定されている。
【0022】
前輪4は、フロントフォーク14に回転可能に支持されている。前輪4は、左右一対のフロントサスペンション14L,14Rの下端に連結されている。後輪5は、エンジン6の後方に配置されるスイングアーム18に回転可能に支持されている。
【0023】
エンジン6は、車体フレーム2に支持されている。エンジン6は、メインフレーム13のエンジン支持フレーム13bに取り付けられている。エンジン6は、燃料タンク7の下方に配置されている。
【0024】
燃料タンク7は、ヘッドパイプ12の後方に配置されている。燃料タンク7は、タンク支持フレーム13a及びリアフレーム13cの上方に配置されている。
【0025】
シート8は、燃料タンク7の後方に配置されている。シート8は、リアフレーム13cの上方に配置されており、リアフレーム13cに支持されている。
【0026】
車体カバー9は、フロントカバー21と、フロントサイドカバー22,23、リアサイドカバー24,25とを含む。
【0027】
フロントカバー21は、ヘッドパイプ12の前方に配置されている。フロントカバー21は、車幅方向における車両中央に配置されている。
【0028】
図4は、フロントカバー21周辺の斜視図である。フロントカバー21は、カバー本体部28と、アウターカバー29とを含む。アウターカバー29は、カバー本体部28の前方に配置されている。アウターカバー29は、カバー本体部28の一部を前方から覆うようにカバー本体部28に固定されている。アウターカバー29の上部には、ウィンドシールド30が取り付けられている。
【0029】
フロントサイドカバー22は、車幅方向における車両中央よりも左側に配置されている。フロントサイドカバー22は、フロントフォーク14の一部を左側方から覆う。フロントサイドカバー22は、車両側面視で燃料タンク7の下方まで延びている。フロントサイドカバー22は、前端22aを含む。前端22aは、車両正面視で車幅方向に延びている。前端22aは、アウターカバー29の下方に配置され、カバー本体部28の左側下部を前方から覆うようにカバー本体部28に固定されている。
【0030】
フロントサイドカバー23は、フロントサイドカバー22と左右対称形状である。フロントサイドカバー23は、車幅方向における車両中央よりも右側に配置されている。フロントサイドカバー23は、フロントフォーク14の一部を右側方から覆う。フロントサイドカバー23は、前端23aを含む。前端23aは、カバー本体部28の右側下部を前方から覆うようにカバー本体部28に固定されている。
【0031】
図1に示すように、リアサイドカバー24は、フロントサイドカバー22の後方に配置されている。リアサイドカバー24は、車両側面視で燃料タンク7及びシート8の下方に配置されている。リアサイドカバー24は、リアフレーム13cを左側方から覆う。
【0032】
リアサイドカバー25は、リアサイドカバー24と左右対称形状である。リアサイドカバー24は、リアフレーム13cを右側方から覆う。
【0033】
鞍乗型車両1は、エアクリーナ32をさらに備えている。エアクリーナ32は、車両側面視で、フロントサイドカバー22の後方に配置されている。エアクリーナ32は、車両側面視で、リアサイドカバー24の下方に配置されている。
【0034】
エアクリーナ32は、燃料タンク7及びリアフレーム13cの下方に配置されている。エアクリーナ32は、エンジン6に接続されている。エアクリーナ32は、後方に向かって開口する吸気口32aを含む。吸気口32aは、タンク支持フレーム13aの後方に配置されている。
【0035】
図3及び図4に示すように、鞍乗型車両1は、ダクト40と、ヘッドライト50と、整流部材60とをさらに備えている。ダクト40は、ヘッドパイプ12の前方に配置されている。ダクト40は、開口42と、走行風通路43とを含む。開口42は、前方からの走行風を導入する。開口42は、フロントカバー21に設けられている。開口42は、フロントカバー21において、車幅方向における車両中央の先端に設けられている。開口42は、前方に向かって開口している。
【0036】
開口42は、車両正面視で、略等脚台形状である。開口42は、上端42aと、下端42bと、左側端42cと、右側端42dとを含む。
【0037】
図5は、図3のV-V線断面図である。図6は、図3のIV-IV線断面図である。図7は、図3のVII-VII線断面図である。上端42aは、前下がりに傾斜した形状を有している。図3に示すように、上端42aは、略左右方向に延びている。上端42aは、車両正面視で、車幅方向内側に向かって下方に傾斜している。上端42aは、中央部分が下方に向かって凸状となるように形成されている。上端42aは、中央部分が上端42aの両端よりも前方に配置されている。
【0038】
下端42bは、左右方向に延びている。図5及び図6に示すように、下端42bは、上端42aよりも後方に配置されている。左側端42c及び右側端42dは、略上下方向に延びている。図3及び図4に示すように、左側端42c及び右側端42dは、下部が上部よりも車幅方向内側かつ前方に配置されている。左側端42c及び右側端42dは、それぞれの下部が上端42aよりも前方に配置されている。なお、本実施形態では、上端42a、左側端42c及び右側端42dは、フロントカバー21のアウターカバー29に形成されており、下端42bは、フロントカバー21のカバー本体部28に形成されている。
【0039】
走行風通路43は、開口42から後方に延びており、後方に向かって開口している。本実施形態では、走行風通路43は、フロントカバー21のカバー本体部28に形成されている。走行風通路43は、開口42に連なって形成されている。このため、開口42から導入された車両前方からの走行風は、走行風通路43によって車両後方へ案内される。
【0040】
ダクト40は、上面44と、下面45と、左側面46と、右側面47とを含む。上面44、下面45、左側面46及び右側面47は、カバー本体部28に形成されており、走行風通路43を構成している。上面44は、開口42の上端42aよりも上方に配置されている。下面45は、前端が上面44の前端よりも後方に配置されている。下面45の前端は、開口42の下端42bを構成している。左側面46及び右側面47は、上面44及び下面45よりも前方に延びている。左側面46及び右側面47は、下部が上部よりも車幅方向内側に配置されている。左側面46及び右側面47は、後部が前部よりも車幅方向内側に配置されている。
【0041】
ヘッドライト50は、ダクト40の内側に配置されている。ヘッドライト50は、図6に示すように、上下方向において、上面44及び下面45との間に隙間が設けられている。ヘッドライト50は、図3に示すように、左右方向において、左側面46及び右側面47との間に隙間が設けられている。
【0042】
整流部材60は、前方からの走行風によりダウンフォースを発生させる。整流部材60は、フロントカバー21の下方に配置されている。整流部材60は、フロントカバー21のカバー本体部28の下部に取り付けられている。図8は、整流部材60周辺を前下方から見た斜視図である。図8に示すように、整流部材60は、前側が円弧状に形成された略半円状の形状を有している。
【0043】
整流部材60は、フロントカバー21の下方に配置されている。整流部材60は、車両正面視で開口42及び走行風通路43と上下方向に重なる。整流部材60は、車両側面視で、開口42及び走行風通路43と上下方向に重なる。整流部材60は、左側端42c及び右側端42dのそれぞれの下部よりも後方に配置されている。整流部材60は、前輪4の車軸4aよりも前方に配置されている。整流部材60は、左右一対のフロントサスペンション14L,14Rよりも車幅方向外側に延びている。整流部材60は、フロントカバー21のカバー本体部28に着脱可能に取り付けられている。より詳細には、整流部材60は、フロントカバー21のカバー本体部28にフロントサイドカバー22,23が取り付けられた状態において、フロントカバー21のカバー本体部28に着脱可能に取り付けられている。
【0044】
整流部材60は、図8に示すように、中央部61と、後部62と、左側部63と、右側部64と、前縁65と、少なくとも1つのリブ66と、挿入孔67とを含む。中央部61は、フロントカバー21のカバー本体部28の先端下部かつ車両正面視で開口42の下方に配置されている。中央部61は、左側部63及び右側部64よりも前方に突出している。中央部61は、左側部63及び右側部64よりも上方に配置されている。中央部61は、開口42の上端42aよりも前方に配置されている。中央部61は、開口42の左側端42c及び右側端42dよりも後方に配置されている。中央部61は、開口42の下端42bの前方に配置されている。中央部61は、後端が開口42の下端42bと連なるように配置されている。中央部61は、上面がダクト40の下面45と連なるように配置されている。
【0045】
後部62は、中央部61の後方に配置されている。後部62の上面は、ダクト40の下面45と連なるように配置されている。
【0046】
左側部63は、開口42よりも車幅方向外側に延びている。左側部63は、中央部61及び後部62から左方に延びている。左側部63は、フロントカバー21とフロントサイドカバー22とに着脱可能に取り付けられている。本実施形態体では、左側部63は、例えば、ボルト締結によって前側がフロントカバー21のカバー本体部28に固定され、樹脂リベットによって後側がフロントサイドカバー22に固定されている。左側部63は、フロントカバー21のカバー本体部28に固定される部分を除いて、フロントカバー21と上下方向に隙間を隔てて配置されている。左側部63は、フロントサイドカバー22の前端22aと上下方向に隙間を隔てて配置されている。なお、左側部63は、フロントカバー21のカバー本体部28のみに着脱可能に取り付けられていてもよいし、他の着脱手段で、フロントカバー21のカバー本体部28に取り付けられてもよい。
【0047】
右側部64は、左側部63と左右対称形状である。右側部64は、開口42よりも車幅方向外側に延びている。右側部64は、中央部61及び後部62から右方に延びている。右側部64は、左側部63と同様の着脱手段でフロントカバー21のカバー本体部28とフロントサイドカバー23とに固定されている。右側部64は、フロントカバー21のカバー本体部28に固定される部分を除いてフロントカバー21と上下方向に隙間を隔てて配置されている。右側部64は、フロントサイドカバー23の前端23aと上下方向に隙間を隔てて配置されている。
【0048】
前縁65は、一部が開口42の下端42bよりも前方に配置されている。中央部61、左側部63及び右側部64は、前縁65を含む。本実施形態では、前縁65は、中央部61に位置する部分と、左側部63において中央部61に近接する部分と、右側部64において中央部61に近接する部分とが、開口42の下端42bよりも前方に配置されている。前縁65は、前下がりに傾斜した形状を有する。
【0049】
少なくとも1つのリブ66は、中央部61の下面に形成されている。少なくとも1つのリブ66は、中央部61の下面から下方に突出している。少なくとも1つのリブ66は、板状であり、厚み方向が左右方向と一致する。本実施形態では、整流部材60は、複数のリブ66を含む。複数のリブ66は、互いに左右方向に間隔を隔てて配置されている。
【0050】
挿入孔67は、上下方向に貫通する孔であり、中央部61と後部62との間に形成されている。フロントカバー21は、挿入孔67に挿入される係合部28aを含む。係合部28aは、カバー本体部28に形成されている。係合部28aは、前方から後方に向かって凹んだ形状を有している。係合部28aは、リブ66に係合してフロントカバー21に対して整流部材60を位置決めする。詳細には、係合部28aを上方から挿入孔67に挿入した後で、係合部28aをリブ66に係合させることで、整流部材60がフロントカバー21のカバー本体部28に対して位置決めされる。なお、係合部28aは、複数のリブ66において、車幅方向における車両中央に位置するリブ66に係合する。
【0051】
次に、図2及び図9を参照して、開口42からダクト40に導入された走行風の流れについて説明する。図2及び図9では、走行風の流れを2点鎖線で示している。図2に示すように、開口42からダクト40に導入された走行風は、ヘッドパイプ12及びタンク支持フレーム13aの側方を通り、吸気口32aまで流れる。また、図9に示すように、開口42からダクト40に導入された走行風は、ヘッドパイプ12の側方を通り、燃料タンク7の図示しないタンク本体部とタンクカバーとの隙間を抜けて、吸気口32aまで流れる。また、整流部材60の左側部63及び右側部64とフロントカバー21との隙間を流れる走行風は、整流部材60の左側部63及び右側部64とによって図示しないラジエータに向けて案内される。
【0052】
本態様に係る鞍乗型車両1では、整流部材60の前縁65が前下がりに傾斜した形状を有しており、前方からの走行風が整流部材60に当たることで、ダウンフォースが発生する。このため、例えば、車両側部に翼形状の整流フィンなどを設けてダウンフォースを発生させる構成に比べて、簡単かつコンパクトな構成でダウンフォースを得ることできる。また、整流部材60の左側部63及び右側部64がフロントカバー21と車両上下方向に隙間を隔てて配置されているので、走行風が左側部63及び右側部64に当たることによってもダウンフォースを得ることができる。また、整流部材60が、空気の圧力が高い車両前方の位置に配置されることになるので、整流部材60を他の場所に配置した場合に比べて大きなダウンフォースを得ることができる。さらに、整流部材60の前縁65の一部が開口42の下端42bよりも前方に配置されているので、整流部材60によって走行風が整流されて、開口42に走行風が導かれ易くなる。これにより、ダクト40を通る風量を増加させることができる。
【0053】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0054】
前記実施形態では、整流部材60がフロントカバー21に着脱可能に取り付けられていたが、必ずしも着脱可能に取り付けられていなくてもよい。また、整流部材60は、前輪4の車軸4aよりも後方に配置されてもよい。前記実施形態において、係合部28aが省略されてもよいし、リブ66が省略されてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 鞍乗型車両
2 車体フレーム
4 前輪
4a 車軸
12 ヘッドパイプ
14 フロントフォーク
21 フロントカバー
28a 係合部
40 ダクト
42 開口
42a 開口の上端
42b 開口の下端
66 リブ
43 走行風通路
60 整流部材
61 中央部
63 左側部(側部の一例)
64 右側部(側部の一例)
65 前縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9