(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104684
(43)【公開日】2022-07-11
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 17/00 20200101AFI20220704BHJP
B62J 6/026 20200101ALI20220704BHJP
B62J 6/027 20200101ALI20220704BHJP
B62J 6/055 20200101ALI20220704BHJP
B62J 23/00 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
B62J17/00
B62J6/026
B62J6/027
B62J6/055
B62J23/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219792
(22)【出願日】2020-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】今関 崇一朗
(57)【要約】
【課題】ダクトの内側にヘッドライトを配置した鞍乗型車両において、前方から走行風をダクトに取り込み易くするとともに、ヘッドライトの漏光の増加を抑制する。
【解決手段】鞍乗型車両は、ヘッドパイプを含む車体フレームと、フロントカバーと、ダクトと、ヘッドライトと、整流部材とを備える。フロントカバーは、車幅方向における車両中央に配置され前方からの走行風を導入する開口を含む。ダクトは、ヘッドパイプの前方に配置される。ダクトは、開口から後方に延びる走行風通路を含む。ヘッドライトは、単一である。ヘッドライトは、車両正面視で前記ヘッドパイプと重なり、車幅方向における車両中央で開口よりも後方かつダクトの内側に配置される。整流部材は、ヘッドライトの左右の側方を覆うようにヘッドライトに隣接して配置され、前方からの走行風を車幅方向においてヘッドパイプから離れる方向に整流する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプを含む車体フレームと、
前記ヘッドパイプの前方に配置されたフロントカバーと、
前記フロントカバーにおいて車幅方向における車両中央に設けられ前方からの走行風を導入する開口と、前記開口から後方に延びる走行風通路とを含み、前記ヘッドパイプの前方に配置されたダクトと、
車両正面視で前記ヘッドパイプと重なり、前記車幅方向における車両中央で前記開口よりも後方かつ前記ダクトの内側に配置された単一のヘッドライトと、
前記ヘッドライトの左右の側方を覆うように前記ヘッドライトに隣接して配置され、前方からの前記走行風を前記車幅方向において前記ヘッドパイプから離れる方向に整流する整流部材と、
を備えた、
鞍乗型車両。
【請求項2】
前記ヘッドライトは、ヘッドライトバルブと、前記ヘッドライトバルブの前方を覆うレンズとを含み、
前記整流部材は、前記ヘッドライトの下方に配置される底壁部を含み
前記底壁部は、車両側面視において、前記レンズと車両上下方向に重なる、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記整流部材は、前記開口よりも後方に配置されている、
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記整流部材は、前記ヘッドライトの左側方を覆う左壁部と、前記ヘッドライトの右側方を覆う右壁部とを含み、
前記左壁部及び前記右壁部は、車両正面視で前端が後端よりも前記車幅方向における車両中央に位置している、
請求項1から3のいずれか1項に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記整流部材は、前記ヘッドライトの上方に配置される上壁部を含み、
前記上壁部の前端は、前記ヘッドライトよりも前方に突出している、
請求項1から4のいずれか1項に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記整流部材は、前記ヘッドライトと一体移動可能に前記車体フレームに支持されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記整流部材及び前記ヘッドライトは、車両上下方向において、前記ダクトの下面及び前記ダクトの上面との間に隙間が設けられている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
前記ヘッドライトに接続され、前記ヘッドライトを制御するコントロールユニットをさらに備え、
前記ダクトは、前記走行風通路から上方に突出する突出部をさらに含み、
前記コントロールユニットは、前記突出部の後方に配置されている、
請求項1から7のいずれか1項に記載の鞍乗型車両。
【請求項9】
前記フロントカバーに支持され、前記開口よりも前記車幅方向における車両中央から離れた位置かつ車両正面視で前記ヘッドライトと左右方向に重なる位置に配置された一対のポジションライトをさらに備えた、
請求項1から8のいずれか1項に記載の鞍乗型車両。
【請求項10】
前記一対のポジションライトは、車両正面視において略水平方向に細長い形状を有している、
請求項9に記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前方からの走行風を取り入れるための開口をフロントカバーに設けた鞍乗型車両が知られている。例えば、特許文献1に開示された鞍乗型車両では、開口に接続されたダクトから走行風が後方に導かれる。ダクトの内側には、左右に並ぶ一対のヘッドライトが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された鞍乗型車両では、ヘッドライトが開口の一部よりも前方に配置されているので、開口に取り込まれる走行風がヘッドライトによって遮られてしまう。そこで、ヘッドライトを開口よりも後方に配置することが考えられるが、その場合は、ヘッドライトの漏光の増加や、ダクトの内部が部分的に強く照らされてしまい、視認性が低下するといった問題がある。
【0005】
本発明の課題は、ダクトの内側にヘッドライトを配置した鞍乗型車両において、前方から走行風をダクトに取り込み易くするとともに、ヘッドライトの漏光の増加を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る鞍乗型車両は、車体フレームと、フロントカバーと、ダクトと、ヘッドライトと、整流部材とを備える。車体フレームは、ヘッドパイプを含む。フロントカバーは、ヘッドパイプの前方に配置される。フロントカバーは、車幅方向における車両中央に配置され前方からの走行風を導入する開口を含む。ダクトは、ヘッドパイプの前方に配置される。ダクトは、開口から後方に延びる走行風通路を含む。ヘッドライトは、単一である。ヘッドライトは、車両正面視で前記ヘッドパイプと重なり、車幅方向における車両中央で開口よりも後方かつダクトの内側に配置される。整流部材は、ヘッドライトの左右の側方を覆うようにヘッドライトに隣接して配置され、前方からの走行風を車幅方向においてヘッドパイプから離れる方向に整流する。
【0007】
本態様に係る鞍乗型車両では、前方からの走行風をダクトに導入するための開口よりも後方かつダクトの内側にヘッドライトが配置される。このため、ダクトの内側で開口の少なくとも一部よりも前方にヘッドライトを配置した場合に比べて、前方からの走行風が開口からダクトに取り込まれ易くなる。また、ダクトを通る走行風は、整流部材によってヘッドパイプを避ける方向に整流されるので、前方からの走行風を後方に効率よく案内できる。さらに、整流部材は、ヘッドライトの左右の側方を覆うようにヘッドライトに隣接して配置されるので、整流部材によってヘッドライトの漏光の増加を抑制することができる。また、単一のヘッドライトを用いることで、左右のヘッドライトで配光を調整する場合に比べて、ヘッドライトの配光の調整が容易になる。
【0008】
ヘッドライトは、ヘッドライトバルブと、ヘッドライトバルブの前方を覆うレンズとを含んでもよい。整流部材は、ヘッドライトの下方に配置される底壁部を含んでもよい。底壁部は、車両側面視において、レンズと車両上下方向に重なってもよい。この場合は、底壁部によってヘッドライトがダクトの下面を強く照らし過ぎることを抑制できる。
【0009】
整流部材は、開口よりも後方に配置されてもよい。この場合は、開口の少なくとも一部よりも前方に整流部材を配置した場合に比べて、前方からの走行風が開口に取り込まれ易くなる。
【0010】
整流部材は、ヘッドライトの左側方を覆う左壁部と、ヘッドライトの右側方を覆う右壁部とを含んでもよい。左壁部及び右壁部は、車両正面視で前端が後端よりも車幅方向における車両中央に位置していてもよい。この場合は、整流部材によって前方からの走行風がヘッドパイプを避ける方向に整流され易くなる。
【0011】
整流部材は、ヘッドライトの上方に配置される上壁部を含んでもよい。上壁部の前端は、ヘッドライトよりも前方に突出してもよい。この場合は、ヘッドライトが上方を強く照らし過ぎることを上壁部によって抑制できる。
【0012】
整流部材は、ヘッドライトと一体移動可能に車体フレームに支持されていてもよい。この場合は、光軸調整をするときにおいて、整流部材を移動させる作業を省くことができる。
【0013】
整流部材及びヘッドライトは、車両上下方向において、ダクトの下面及びダクトの上面との間に隙間が設けられてもよい。この場合は、光軸調整するためのスペースを確保できる。また、ヘッドライト或いは整流部材の上部及び下部からも走行風が後方に流れるので、ヘッドライト或いはその周辺に配置される部材を走行風によって冷却することができる。
【0014】
鞍乗型車両は、フロントカバーに支持され、開口よりも車幅方向における車両中央から離れた位置かつ車両正面視でヘッドライトと左右方向に重なる位置に配置された一対のポジションライトをさらに備えてもよい。この場合は、ポジションライトの配置の自由度が高くなる。
【0015】
一対のポジションライトは、車両正面視において略水平方向に細長い形状を有してもよい。この場合は、一対のポジションライトの被視認性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ダクトの内側にヘッドライト配置した鞍乗型車両において、前方から走行風をダクトに取り込み易くするとともに、ヘッドライトの漏光の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一態様に係る鞍乗型車両の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、「前後」、「上下」、「左右」等の方向を示す用語は、鞍乗型車両を運転する時の運転者から見た方向を基準として説明する。したがって、左右方向は、車幅方向と一致する。また、車幅方向外側とは、車幅方向において鞍乗型車両の車幅方向の中心から遠い側を意味する。車幅方向内側とは、車幅方向において鞍乗型車両の車幅方向の中心に近い側を意味する。
【0019】
図1は、鞍乗型車両1の左側面図である。鞍乗型車両1は、車体フレーム2と、ステアリング装置3と、前輪4、後輪5と、エンジン6と、燃料タンク7と、シート8と、車体カバー9とを備える。
【0020】
車体フレーム2は、ヘッドパイプ12と、メインフレーム13とを含む。ヘッドパイプ12は、車両側面視で上端から下端に向かって前方かつ下方に延びている。ヘッドパイプ12は、車幅方向における車両中央に配置されている。
【0021】
メインフレーム13は、ヘッドパイプ12に接続されており、ヘッドパイプ12から後方に延びている。なお、「接続」とは、直接的な接続に限らず、間接的な接続も含む。また、「接続」とは、別体の部材が互いに固定されていることに限らず、一体の部材において複数の部分が連続していることも含む。
【0022】
図2は、車体フレーム2周辺を上方から見た図である。
図2では、エンジン6、燃料タンク7及びシート8などの図示を省略している。メインフレーム13は、タンク支持フレーム13aと、エンジン支持フレーム13bと、リアフレーム13cとを含む。
【0023】
タンク支持フレーム13aは、ヘッドパイプ12から後方に延びている。タンク支持フレーム13aは、車幅方向における車両中央かつ燃料タンク7の下方に配置されており、燃料タンク7を支持している。エンジン支持フレーム13bは、タンク支持フレーム13aよりも下方に配置されている。エンジン支持フレーム13bは、ヘッドパイプ12から左右に分岐して後方に延びている。エンジン支持フレーム13bの後端は、タンク支持フレーム13aの後端に接続されている。リアフレーム13cは、タンク支持フレーム13aの後端から左右に分岐して後方に延びている。
【0024】
ステアリング装置3は、フロントフォーク14と、ハンドル部15とを含む。フロントフォーク14は、ヘッドパイプ12に回転可能に支持されている。
図3は、鞍乗型車両1の部分正面図である。フロントフォーク14は、左右一対のフロントサスペンション14L,14Rを含む。左右一対のフロントサスペンション14L,14Rは、車両側面視で上端から下端に向かって前方かつ下方に延びている。ハンドル部15は、フロントフォーク14の上部に固定されている。
【0025】
前輪4は、フロントフォーク14に回転可能に支持されている。前輪4は、左右一対のフロントサスペンション14L,14Rの下端に連結されている。後輪5は、エンジン6の後方に配置されるスイングアーム18に回転可能に支持されている。
【0026】
エンジン6は、車体フレーム2に支持されている。エンジン6は、メインフレーム13のエンジン支持フレーム13bに取り付けられている。エンジン6は、燃料タンク7の下方に配置されている。
【0027】
燃料タンク7は、ヘッドパイプ12の後方に配置されている。燃料タンク7は、タンク支持フレーム13a及びリアフレーム13cの上方に配置されている。
【0028】
シート8は、燃料タンク7の後方に配置されている。シート8は、リアフレーム13cの上方に配置されており、リアフレーム13cに支持されている。
【0029】
図3は、鞍乗型車両1の部分正面図である。
図1から
図3に示すように、車体カバー9は、フロントカバー21と、フロントサイドカバー22,23、リアサイドカバー24,25とを含む。
【0030】
フロントカバー21は、ヘッドパイプ12の前方に配置されている。フロントカバー21は、車幅方向における車両中央に配置されている。
【0031】
図4は、フロントカバー21周辺の斜視図である。
図5は、
図3のV-V線断面図である。
図3から
図5に示すように、フロントカバー21は、カバー本体部28と、アウターカバー29と、整流板30とを含む。カバー本体部28は、
図5に示すように、ヘッドパイプ12から前方に延びるステー31に支持されている。アウターカバー29は、カバー本体部28の前方に配置されている。アウターカバー29は、カバー本体部28の一部を前方から覆うようにカバー本体部28に固定されている。アウターカバー29の上部には、ウィンドシールド32が取り付けられている。
【0032】
整流板30は、前方からの走行風によりダウンフォースを発生させる。整流板30は、フロントカバー21の下方に配置されている。整流板30は、フロントカバー21のカバー本体部28の下部に取り付けられている。整流板30は、前側が円弧状に形成された略半円状の形状を有している。整流板30は、左右一対のフロントサスペンション14L,14Rよりも車幅方向外側に延びている。
【0033】
整流板30は、中央部30aと、左側部30bと、右側部30c、前縁30dとを含む。中央部30aは、車幅方向における車両中央に配置されている。中央部30aは、カバー本体部28及びアウターカバー29の先端下部に配置されている。中央部30aは、左側部30b及び右側部30cよりも前方に突出している。中央部30aは、左側部30b及び右側部30cよりも上方に配置されている。左側部30bは、中央部30aから左方に延びている。右側部30cは、左側部30bと左右対称形状であり、中央部30aから右方に延びている。左側部30b及び右側部30cは、カバー本体部28及びアウターカバー29と上下方向に隙間を隔てて配置されている。前縁30dは、前下がりに傾斜した形状を有する。中央部30aと、左側部30bと、右側部30cは、前縁30dを含む。
【0034】
フロントサイドカバー22は、車幅方向における車両中央よりも左側に配置されている。フロントサイドカバー22は、フロントフォーク14の一部を左側方から覆う。フロントサイドカバー22は、車両側面視で燃料タンク7の下方まで延びている。フロントサイドカバー22は、前端22aを含む。前端22aは、車両正面視で車幅方向に延びている。前端22aは、アウターカバー29の下方に配置され、カバー本体部28の左側下部を前方から覆うようにカバー本体部28に固定されている。前端22aは、整流板30の左側部30bと上下方向に隙間を隔てて配置されている。
【0035】
フロントサイドカバー23は、フロントサイドカバー22と左右対称形状である。フロントサイドカバー23は、車幅方向における車両中央よりも右側に配置されている。フロントサイドカバー23は、フロントフォーク14の一部を右側方から覆う。フロントサイドカバー23は、前端23aを含む。前端23aは、カバー本体部28の右側下部を前方から覆うようにカバー本体部28に固定されている。前端23aは、整流板30の右側部30cと上下方向に隙間を隔てて配置されている。
【0036】
図1に示すように、リアサイドカバー24は、フロントサイドカバー22の後方に配置されている。リアサイドカバー24は、車両側面視で燃料タンク7及びシート8の下方に配置されている。リアサイドカバー24は、リアフレーム13cを左側方から覆う。
【0037】
リアサイドカバー25は、リアサイドカバー24と左右対称形状である。リアサイドカバー24は、リアフレーム13cを右側方から覆う。
【0038】
鞍乗型車両1は、エアクリーナ33をさらに備えている。エアクリーナ33は、車両側面視で、フロントサイドカバー22の後方に配置されている。エアクリーナ33は、車両側面視で、リアサイドカバー24の下方に配置されている。
【0039】
エアクリーナ33は、燃料タンク7及びリアフレーム13cの下方に配置されている。エアクリーナ33は、エンジン6に接続されている。エアクリーナ33は、後方に向かって開口する吸気口33aを含む。吸気口33aは、タンク支持フレーム13aの後方に配置されている。
【0040】
鞍乗型車両1は、ダクト40と、ヘッドライトユニット50と、整流部材60と、ポジションライト71,72とをさらに備えている。ポジションライト71,72は、一対のポジションライトの一例である。
【0041】
ダクト40は、ヘッドパイプ12の前方に配置されている。ダクト40は、車幅方向における車両中央に配置され、車両側面視で前後方向に延びている。ダクト40は、開口42と、走行風通路43とを含む。開口42は、前方からの走行風を導入する。開口42は、フロントカバー21において車幅方向における車両中央の先端に設けられている。開口42は、前方に向かって開口している。開口42は、前輪4の車軸4aよりも前方に配置されている。
【0042】
開口42は、車両正面視で、略等脚台形状である。開口42は、上端42aと、下端42bと、左側端42cと、右側端42dとを含む。上端42aは、前下がりに傾斜した形状を有している。
図3に示すように、上端42aは、略左右方向に延びている。上端42aは、車両正面視で、車幅方向内側に向かって下方に傾斜している。上端42aは、中央部分が下方に向かって凸状となるように形成されている。上端42aは、中央部分が上端42aの両端よりも前方に配置されている。
【0043】
下端42bは、左右方向に延びている。
図5に示すように、下端42bは、上端42aよりも前方に配置されている。左側端42c及び右側端42dは、略上下方向に延びている。左側端42c及び右側端42dは、下部が上部よりも車幅方向内側かつ前方に配置されている。左側端42c及び右側端42dは、それぞれの下部が上端42aよりも前方に配置されている。なお、本実施形態では、上端42a、左側端42c及び右側端42dは、フロントカバー21のアウターカバー29に形成されており、下端42bは、フロントカバー21の整流板30の中央部30aにおける前縁30dによって構成されている。
【0044】
走行風通路43は、開口42から後方に延びており、後方に向かって開口している。本実施形態では、走行風通路43は、整流板30の一部とフロントカバー21のカバー本体部28とによって構成されている。走行風通路43は、開口42に連なって形成されている。このため、開口42から導入された車両前方からの走行風は、走行風通路43によって車両後方へ案内される。
【0045】
ダクト40は、上面44と、下面45と、左側面46と、右側面47とを含む。上面44、下面45、左側面46及び右側面47は、走行風通路43を構成している。本実施形態では、上面44、左側面46及び右側面47は、カバー本体部28に形成されており、下面45は、整流板30の中央部30aとカバー本体部28とに形成されている。
【0046】
上面44は、
図5に示すように、開口42の上端42aよりも上方に配置されている。下面45は、整流板30の中央部30aの上面と、カバー本体部28において整流板30の中央部30aの上面の後方に配置される底面28aとによって構成されている。下面45の前端は、開口42の下端42bであり、上面44の前端よりも前方に配置されている。左側面46及び右側面47は、上面44よりも前方に延びている。左側面46及び右側面47は、下部が上部よりも車幅方向内側に配置されている。左側面46及び右側面47は、後部が前部よりも車幅方向内側に配置されている。
【0047】
ダクト40は、
図5に示すように、突出部49をさらに含む。突出部49は、走行風通路43から上方に突出している。詳細には、突出部49は、ダクト40の上面44の後端から上方に延びている。
【0048】
ヘッドライトユニット50は、ゴムなどの弾性部材を介してステー31に取り付けられている。ヘッドライトユニット50は、ダクト40に対して上下方向及び左右方向に離れている。ヘッドライトユニット50は、ヘッドライト52と、コントロールユニット53とを含む。
【0049】
ヘッドライト52は、車両正面視でヘッドパイプ12と重なる。ヘッドライト52は、単一であり、車幅方向における車両中央に配置されている。ヘッドライト52は、開口42よりも後方かつダクト40の内側に配置されている。ヘッドライト52は、上下方向において、ダクト40の上面44及び下面45との間に隙間が設けられている。ヘッドライト52は、左右方向において、ダクト40の左側面46及び右側面47との間に隙間が設けられている。ヘッドライト52は、車両側面視において、視認不能である。ヘッドライト52は、整流部材60よりも後方に配置されている。ヘッドライト52は、車両正面視で、ポジションライト71とポジションライト72の間に配置されている。
【0050】
ヘッドライト52は、例えばLEDを光源とするヘッドライトバルブ52aと、ヘッドライトバルブ52aの前方を覆うレンズ52bとを含む。レンズ52bは、車両側面視で、前方に向かって凸状に湾曲している。
【0051】
コントロールユニット53は、ヘッドライト52を制御する。コントロールユニット53は、ケーブル55を介してヘッドライト52に電気的に接続されている。コントロールユニット53は、ダクト40の突出部49の後方に配置されている。コントロールユニット53は、ヘッドライト52の上方に配置されている。
【0052】
整流部材60は、前方からの走行風を車幅方向においてヘッドパイプ12から離れる方向に整流する。整流部材60は、ヘッドライト52と一体移動可能に車体フレーム2に支持されている。整流部材60は、ヘッドライトユニット50に取り付けられている。整流部材60は、開口42よりも後方かつダクト40の内側に配置されている。整流部材60は、ダクト40に対して、上下方向及び左右方向に離れている。詳細には、整流部材60は、上下方向において、ダクト40の上面44及び下面45との間に隙間が設けられている。整流部材60は、左右方向において、ダクト40の左側面46及び右側面47との間に隙間が設けられている。整流部材60は、車両側面視において、視認不能である。
【0053】
整流部材60は、ヘッドライト52の左右の側方を覆うようにヘッドライト52に隣接して配置されている。詳細には、
図6に拡大して示すように、整流部材60は、左壁部61と、右壁部62とを含む。左壁部61は、ヘッドライト52の左側方を覆う。左壁部61は、ダクト40の左側面46と左右方向に離れている。右壁部62は、左壁部61と左右方向に対向して配置され、ヘッドライト52の右側方を覆う。右壁部62は、ダクト40の右側面47と左右方向に離れている。
【0054】
左壁部61及び右壁部62のそれぞれは、ヘッドライト52よりも前方に突出している。左壁部61の前端61a及び右壁部62の前端62aは、ヘッドライト52よりも前方に配置されている。左壁部61の前端61a及び右壁部62の前端62aのそれぞれは、下部が上部よりも車幅方向内側に配置されている。左壁部61は、前端61aが後端61bよりも車幅方向における車両中央に位置している。右壁部62は、前端62aが後端62bよりも車幅方向における車両中央に位置している。
【0055】
整流部材60は、上壁部63と、底壁部64とを含む。上壁部63は、ヘッドライト52の上方を覆うようにヘッドライト52に隣接して配置されている。上壁部63は、
図5に示すように、ダクト40の上面44及び突出部49と上下方向に離れている。上壁部63は、左壁部61と右壁部62の間に配置されている。上壁部63は、左壁部61及び右壁部62よりも後方に配置されている。上壁部63の前端63aは、ヘッドライト52よりも前方に突出している。上壁部63の前端63aは、開口42の上端42aよりも下方に配置されている。上壁部63は、車両側面視で、前方から後方に向かって後ろ上がりに延びている。
【0056】
底壁部64は、ヘッドライト52の下方を覆うようにヘッドライト52に隣接して配置されている。底壁部64は、前端が上壁部63よりも後方に配置されている。底壁部64は、車両側面視において、ヘッドライト52のレンズ52bと上下方向に重なる。本実施形態では、底壁部64は、レンズ52bの先端よりも後方に配置されている。底壁部64は、ダクト40の下面45と上下方向に離れている。
【0057】
ポジションライト71,72は、開口42よりも車幅方向における車両中央から離れた位置かつ車両正面視でヘッドライト52と左右方向に重なる位置に配置されている。ポジションライト71は、車両正面視で、フロントカバー21とフロントサイドカバー22の間に配置されている。ポジションライト71は、フロントサイドカバー22の前端22aの上方に配置されている。ポジションライト71は、フロントカバー21のカバー本体部28に支持されている。
【0058】
ポジションライト71は、車両正面視において略水平方向に細長い形状を有している。ポジションライト71は、車両側面視において、略水平方向に細長い形状を有している。本実施形態では、ポジションライト71は、車両側面視において、前端から後端に向かって上方かつ後方に延びている。
【0059】
ポジションライト72は、ポジションライト71と左右対称形状である。ポジションライト72は、車両正面視で、フロントカバー21とフロントサイドカバー23の間に配置されている。
【0060】
次に、
図2及び
図7を参照して、開口42からダクト40に導入された走行風の流れについて説明する。
図2及び
図7では、走行風の流れを2点鎖線で示している。
図2に示すように、開口42からダクト40に導入された走行風は、ダクト40内で整流部材60の左壁部61及び右壁部62によってヘッドパイプ12を避ける方向に整流されて、ヘッドパイプ12及びタンク支持フレーム13aの側方を通り、吸気口33aまで流れる。また、
図7に示すように、開口42からダクト40に導入された走行風は、ヘッドパイプ12の側方を通り、燃料タンク7の図示しないタンク本体部とタンクカバーとの隙間を抜けて、吸気口33aまで流れる。
【0061】
本態様に係る鞍乗型車両1では、前方からの走行風をダクト40に導入するための開口42よりも後方かつダクト40の内側にヘッドライト52が配置される。このため、ダクト40の内側で開口42の少なくとも一部よりも前方にヘッドライト52を配置した場合に比べて、前方からの走行風が開口42からダクト40に取り込まれ易くなる。また、ダクト40を通る走行風は、整流部材60によってヘッドパイプ12を避ける方向に整流されるので、前方からの走行風を後方に効率よく案内できる。さらに、整流部材60は、ヘッドライト52の左右の側方を覆うようにヘッドライト52に隣接して配置されるので、整流部材60によってヘッドライト52の漏光の増加を抑制することができる。また、単一のヘッドライト52を用いることで、左右のヘッドライトで配光を調整する場合に比べて、ヘッドライト52の配光の調整が容易になる。
【0062】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0063】
前記実施形態では、フロントカバー21が整流板30を含んでいたが、整流板30は省略されてもよい。この場合、例えば、フロントカバー21のカバー本体部28の底面28aをヘッドライト52よりも前方に延ばして、底面28aの前端が開口42の下端42bとなるように構成してもよい。
【0064】
ポジションライト71,72は、フラッシャーであってもよいし、ポジションライト71,72がフラッシャーを兼ねる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 鞍乗型車両
2 車体フレーム
12 ヘッドパイプ
21 フロントカバー
40 ダクト
42 開口
43 走行風通路
49 突出部
52 ヘッドライト
52a ヘッドライトバルブ
52b レンズ
53 コントロールユニット
60 整流部材
61 左壁部
62 右壁部
63 上壁部
64 底壁部
71,72 一対のポジションライト