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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104692
(43)【公開日】2022-07-11
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/02 20060101AFI20220704BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220704BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
G03G15/02 102
G03G21/00 510
G03G15/00 651
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219804
(22)【出願日】2020-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 亮太
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸征
(72)【発明者】
【氏名】山路 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】濱谷 政士
【テーマコード(参考)】
2H035
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H035CA07
2H035CZ01
2H200FA11
2H200GA13
2H200GA23
2H200GA28
2H200GA30
2H200GA34
2H200GB22
2H200GB25
2H200HA12
2H200HA20
2H200HA29
2H200HA30
2H200HB03
2H200HB28
2H200HB48
2H200JA02
2H200JA28
2H200JA29
2H200JA30
2H200JB10
2H200NA02
2H200NA09
2H200NA14
2H200NA16
2H200NA17
2H200NA23
2H200NA25
2H200PA03
2H200PA06
2H200PA27
2H200PA30
2H200PB02
2H200PB05
2H200PB26
2H270LA03
2H270LA04
2H270LA07
2H270LD05
2H270MA02
2H270MA25
2H270MB27
2H270MG01
2H270NE01
2H270QB07
2H270RA11
2H270RB04
2H270RB09
2H270RC18
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】感光体ドラムとグランドとの接続不良を検知する画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、帯電ワイヤ(29a)とグリッド(29b)とを有する帯電器(29)と、帯電電圧(Vchg)を生成する第1電圧出力回路(63)と、帯電電圧(Vchg)に応じた検出信号(S2)を出力する第1フィードバック電圧出力回路(64)と、帯電ワイヤ(29a)とグリッド(29b)との間に流れるグリッド電流(Igr)に応じたグリッドフィードバック信号(S3)を出力するグリッド信号出力回路(84)と、接地電極(201)と接続される感光体ドラム(27)と、CPU(61)とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムと、
前記感光体ドラムと接続される接地電極と、
帯電ワイヤとグリッドとを有し、前記感光体ドラムを帯電させる帯電器と、
前記帯電器に帯電電圧を印加する第1高圧電源回路であって、入力される第1制御信号に応じて前記帯電電圧を生成する第1電圧出力回路と、前記帯電器に印加された前記帯電電圧に応じた第1フィードバック電圧を出力する第1フィードバック電圧出力回路と、を有する第1高圧電源回路と、
前記帯電電圧に応じて前記帯電ワイヤと前記グリッドとの間に流れるグリッド電流を検出するためのグリッド信号を出力するグリッド信号出力回路と、
前記第1フィードバック電圧と、前記グリッド信号とを検出する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1制御信号を変更して前記グリッド信号に基づくグリッド電流の値を目標値とする制御を行い、前記グリッド電流の値が前記目標値となった段階で、前記第1フィードバック電圧を検出し、前記第1フィードバック電圧の値が目標とする帯電電圧に応じた値でなければ、前記感光体ドラムと前記接地電極との接続不良を検知するエラー解析モードに入ることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記目標とする帯電電圧は、前記目標値であるグリッド電流の値と前記感光体ドラムと前記接地電極に流れるドラム電流との和に対して、前記帯電ワイヤと前記グリッドとの間の絶縁抵抗値を乗算した電圧値であると予め定められ、
前記制御部は、
前記エラー解析モードにおいて、
前記第1フィードバック電圧の値が、前記目標とする帯電電圧に応じた値よりも前記ドラム電流と前記絶縁抵抗値を乗算した電圧値に応じた値分だけ低い場合、前記感光体ドラムと前記接地電極との接続不良であると判断し、
前記第1フィードバック電圧の値が前記目標とする帯電電圧に応じた値よりも予め定められた値だけ高い場合は、帯電電圧が過電圧であると検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記感光体ドラムに対向して配置される転写ローラと、
前記転写ローラに転写バイアス電圧を印加する第2高圧電源回路であって、入力される第2制御信号に応じて前記転写バイアス電圧を生成する第2電圧出力回路と、前記転写ローラに印加された前記転写バイアス電圧に応じた第2フィードバック電圧を出力する第2フィードバック電圧出力回路と、を有する第2高圧電源回路と、
前記転写ローラに前記転写バイアス電圧を印加することにより生じる転写電流を出力する転写電流出力回路と、を更に備え、
前記制御部は、
第2制御信号を変更して前記転写電流の値を目標値とする制御を行い、前記転写電流の値が前記目標値となった段階で、前記第2フィードバック電圧を検出し、前記第2フィードバック電圧の値が目標とする前記転写バイアス電圧に応じた値でなければ、前記エラー解析モードに入ることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像表示部を更に備え、
前記制御部は、
前記画像表示部に前記感光体ドラムの前記接地電極の接続不良を表示する報知信号を送信することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記感光体ドラムと前記接地電極とを接続する端子を更に備え、
前記端子は、高い抵抗値の抵抗素子を介して前記接地電極と接続されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の画像形成装置は、帯電ワイヤとグリッドとを有する帯電器と、帯電電圧を生成する帯電電圧印加回路と、帯電器によって帯電電圧が印加される感光体ドラムと、を備える。特許文献1の画像形成装置の感光体ドラムはグランドに接続されている。特許文献1の画像形成装置は、帯電ワイヤとグリッドとの間に流れるグリッド電流が一定値となるように、帯電電圧印加回路が出力する帯電電圧を制御している。グリッド電流が一定値となると、感光体ドラムからグランドに流れる電流も一定値とすることができ、感光体ドラムの表面に一様に帯電させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-237625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、感光体ドラムとグランドを接続する端子が、非接触になっていたり、端子の腐食や端子接点の不働態被膜の形成により高い接触抵抗になっていたりすると感光体ドラムとグランドが接続不良となる。すると、感光体ドラムからグランドに電流が流れなくなり、感光体ドラムが帯電しないため、感光体ドラムの表面に一様に帯電させることができず、印字不良が生じるという問題があった。
【0005】
本発明は、感光体ドラムとグランドとの接続不良を検知する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る画像形成装置は、感光体ドラムと、前記感光体ドラムと接続される接地電極と、帯電ワイヤとグリッドとを有し、前記感光体ドラムを帯電させる帯電器と、前記帯電器に帯電電圧を印加する第1高圧電源回路であって、入力される第1制御信号に応じて前記帯電電圧を生成する第1電圧出力回路と、前記帯電器に印加された前記帯電電圧に応じた第1フィードバック電圧を出力する第1フィードバック電圧出力回路と、を有する第1高圧電源回路と、前記帯電電圧に応じて前記帯電ワイヤと前記グリッドとの間に流れるグリッド電流を検出するためのグリッド信号を出力するグリッド信号出力回路と、前記第1フィードバック電圧と、前記グリッド信号とを検出する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1制御信号を変更して前記グリッド信号に基づくグリッド電流の値を目標値とする制御を行い、前記グリッド電流の値が前記目標値となった段階で、前記第1フィードバック電圧を検出し、前記第1フィードバック電圧の値が目標とする帯電電圧に応じた値でなければ、前記感光体ドラムと前記接地電極との接続不良を検知するエラー解析モードに入ることを特徴とする。
【0007】
上記構成では、グリッド電流の値が目標値となった段階で第1フィードバック電圧を検出する。グリッド電流の値が目標値となった段階では、感光体ドラムと接地電極との接続不良が無ければ、第1フィードバック電圧の値は、帯電器に印加された帯電電圧に応じた値となる。上記構成によれば、制御部が第1フィードバック電圧を検出し、当該第1フィードバック電圧の値が帯電電圧に応じた値でなければ、感光体ドラムと接地電極との接続不良を検知するエラー解析モードに入る。それゆえ、上記構成によれば、感光体ドラムとグランドとの接続不良を検知することができる。
【0008】
また、本発明の態様2に係る画像形成装置は、態様1において、前記目標とする帯電電圧は、前記目標値であるグリッド電流の値と前記感光体ドラムと前記接地電極に流れるドラム電流との和に対して、前記帯電ワイヤと前記グリッドとの間の絶縁抵抗値を乗算した電圧値であると予め定められ、前記制御部は、前記エラー解析モードにおいて、前記第1フィードバック電圧の値が、前記目標とする帯電電圧に応じた値よりも前記ドラム電流と前記絶縁抵抗値を乗算した電圧値に応じた値分だけ低い場合、前記感光体ドラムと前記接地電極との接続不良であると判断し、前記第1フィードバック電圧の値が前記目標とする帯電電圧に応じた値よりも予め定められた値だけ高い場合は、帯電電圧が過電圧であると検知することを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、第1フィードバック電圧の値と目標とする帯電電圧に応じた値とを比較することによって、感光体ドラムと接地電極との接続不良であるのか、感光体ドラムに印加される帯電電圧が過電圧であるのかを判断することができる。
【0010】
また、本発明の態様3に係る画像形成装置は、態様1または2において、前記感光体ドラムに対向して配置される転写ローラと、前記転写ローラに転写バイアス電圧を印加する第2高圧電源回路であって、入力される第2制御信号に応じて前記転写バイアス電圧を生成する第2電圧出力回路と、前記転写ローラに印加された前記転写バイアス電圧に応じた第2フィードバック電圧を出力する第2フィードバック電圧出力回路と、を有する第2高圧電源回路と、前記転写ローラに前記順転写バイアス電圧を印加することにより生じる転写電流を出力する転写電流出力回路と、を更に備え、前記制御部は、第2制御信号を変更して前記転写電流の値を目標値とする制御を行い、前記転写電流の値が前記目標値となった段階で、前記第2フィードバック電圧を検出し、前記第2フィードバック電圧の値が目標とする前記転写バイアス電圧に応じた値でなければ、前記エラー解析モードに入ることを特徴とする。
【0011】
上記構成では、転写電流の値が目標値となった段階で第2フィードバック電圧を検出する。転写電流の値が目標値となった段階では、感光体ドラムと接地電極との接続不良が無ければ、第2フィードバック電圧の値は、転写バイアス電圧に応じた値となる。上記構成によれば、制御部が第2フィードバック電圧を検出し、当該第2フィードバック電圧の値が転写バイアス電圧に応じた値でなければ、感光体ドラムと接地電極との接続不良を検知するエラー解析モードに入る。それゆえ、上記構成によれば、感光体ドラムとグランドとの接続不良を検知することができる。
【0012】
また、本発明の態様4に係る画像形成装置は、態様1から3のいずれかにおいて、画像表示部を更に備え、前記制御部は、前記画像表示部に前記感光体ドラムの前記接地電極の接続不良を表示する報知信号を送信することを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、画像形成装置の画像表示部に感光体ドラムの接地電極の接続不良を表示してユーザに知らせることができる。
【0014】
また、本発明の態様5に係る画像形成装置は、態様1から4のいずれかにおいて、前記感光体ドラムと前記接地電極とを接続する端子を更に備え、前記端子は、高い抵抗値の抵抗素子を介して前記接地電極と接続されていることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、感光体ドラムと接地電極を接続する端子に、高い抵抗値の抵抗素子を接続して高い電圧を接地電極に印加することができる。これにより、接地電極に形成された不働態被膜を飛ばすことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、感光体ドラムとグランドとの接続不良を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1に係る画像形成装置の内部構成を示す側断面図である。
図2】感光体ドラムに帯電電圧を印加したときの概略図である。
図3】実施形態1に係る高電圧印加回路の概略回路図である。
図4】実施形態1に係る感光体ドラム接地検知処理のフローチャートである。
図5】実施形態2に係る高電圧印加回路の概略回路図である。
図6】実施形態2に係る感光体ドラム接地検知処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ以下に説明する。実施形態1に係る画像形成装置1は、用紙3に画像を形成する装置である。
【0019】
<画像形成装置1の概要>
図1は、実施形態1に係る画像形成装置1の内部構成を示す側断面図である。図1において、画像形成装置1は、画像形成装置1の装置本体としての本体フレーム2内に、記録媒体の一例である用紙3を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。なお、画像形成装置1は、例えば、レーザプリンタ、LEDプリンタ、ファクシミリ装置、あるいはコピー機能及びスキャナ機能等を備えた複合機も本発明の画像形成装置1に含まれる。
【0020】
フィーダ部4は、本体フレーム2内の底部に設けられ、給紙トレイ6、給紙トレイ6の一端側端部の上方に設けられる給紙ローラ8、給紙ローラ8に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられるレジストローラ12等を含む。
【0021】
なお、図1において、紙面右側を前側、紙面左側を後側とする。
【0022】
給紙トレイ6の最上位にある用紙3は、給紙ローラ8の回転によって1枚毎に給紙される。給紙された用紙3は、レジストローラ12に送られる。レジストローラ12は、用紙3をレジスト後に、画像形成位置に送る。なお、画像形成位置は、感光体ドラム27と転写ローラ30との接触位置とされる。
【0023】
画像形成部5は、スキャナ部16、プロセスカートリッジ17および定着部18を含む。
【0024】
スキャナ部16は、本体フレーム2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー19、反射鏡22,23等を含む。レーザ発光部から発光される、画像データに基づくレーザビームは、鎖線で示すように、ポリゴンミラー19、反射鏡22、23等を介して、感光体ドラム27の表面上に高速走査にて照射される。
【0025】
プロセスカートリッジ17は、スキャナ部16の下方に設けられ、ドラムユニット51と、ドラムユニット51に収容される現像カートリッジ28とを含む。現像カートリッジ28は、ドラムユニット51に対して着脱自在に収容されており、例えば、現像ローラ31、供給ローラ33、およびトナーホッパ34等を含む。
【0026】
トナーホッパ34内には、例えば正帯電性のトナーが充填されている。トナーホッパ34の後方位置には、供給ローラ33が設けられており、また、この供給ローラ33に対向して、金属製のローラ軸31aを有する現像ローラ31が設けられている。現像時に、ローラ軸31aには所定の現像バイアス電圧が印加される。トナーホッパ34から放出されるトナーは、供給ローラ33の回転により、現像ローラ31に供給され、この時、供給ローラ33と現像ローラ31との間で正に摩擦帯電される。
【0027】
ドラムユニット51は、感光体ドラム27、帯電器29、および転写ローラ30等を備えている。感光体ドラム27は、現像ローラ31と対向配置され、筒状のドラム本体と、そのドラム本体の軸心に、接地された金属製のドラム軸27aとを含む。ドラム本体の表面には、正帯電性の感光層が形成されている。また、感光体ドラム27の上方には、レーザビームの通路として露光窓が設けられている。
【0028】
帯電器29は、感光体ドラム27の上方に、感光体ドラム27に接触しないように所定間隔を隔てて対向配置されている。帯電器29は、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとを含み、帯電ワイヤ29aからの放電によって、グリッド29bを介して感光体ドラム27の表面を一様に例えば、正極性約700Vに帯電させる。帯電ワイヤ29aには例えば、5kV~8kVの帯電電圧Vchgが、第1高圧電源回路62から印加される。
【0029】
感光体ドラム27の表面は、感光体ドラム27の回転に伴って、まず、帯電器29により一様に正帯電される。その後、帯電表面は、スキャナ部16からのレーザビームの高速走査により露光され、画像データに基づく静電潜像が形成される。次いで、現像ローラ31の回転により、現像ローラ31の表面上に担持されかつ正極性に帯電されているトナーが、感光体ドラム27の表面上の静電潜像に供給され、静電潜像が現像される。
【0030】
転写ローラ30は、金属製のローラ軸30aを有し、感光体ドラム27の下方において、感光体ドラム27に対向配置される。ローラ軸30aには、例えば導電性のゴム材料からなるローラが被覆されている。
【0031】
接地電極201は、鉄板などの部材によって構成され、グランド(地面)に接続されている。接地電極201と感光体ドラム27とは、金属線200を介して電気的に接続されている。
【0032】
定着部18は、図1に示すように、プロセスカートリッジ17の後方下流側に設けられ、加熱ローラ41、加熱ローラ41を押圧する押圧ローラ42を含む。そして、定着部18では、用紙3上に転写されたトナーが、用紙3が加熱ローラ41と押圧ローラ42との間を通過する間に熱定着される。その後、用紙3は、排紙ローラ45に送られて、その排紙ローラ45によって排紙トレイ46上に排紙される。
【0033】
<感光体ドラム27と接地電極201との接続不良の検知原理>
図2に、感光体ドラム27と接地電極201とが接続不良であるときの、接続不良検知の原理図を示す。上記の接続不良とは、本実施形態では以下の場合をいう。
・感光体ドラム27のドラム軸27aと接地電極201とが接触していない場合、
・ドラム軸27aと接地電極201とは接触しているものの、ドラム軸27aに接触する接地電極201の端子の腐食によって、ドラム軸27aと接地電極201との間の接触抵抗が高抵抗になっている場合、
・上記の端子に不働態被膜が形成されることによって、上記の接触抵抗が高抵抗になっている場合。
【0034】
感光体ドラム27と接地電極201とが接続不良である場合には、画像形成時に、トナーが用紙3に付着しにくくなり、その結果、印字不良を引き起こす。
【0035】
帯電器29は、感光体ドラム27に帯電電圧Vchg(図3参照)を印加する。帯電電圧Vchgは、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとの間の電圧である。帯電ワイヤ29aとグリッド29bとの間の空気の絶縁抵抗Rと帯電電流Ichgを用いて、帯電電圧Vchgを表現すると、帯電電圧Vchg=絶縁抵抗R×帯電電流Ichgとなる。
【0036】
帯電器29は、感光体ドラム27に帯電電圧Vchgを印加すると、感光体ドラム27と接地電極201との間と、グリッド29bと接地電極201との間に電流が流れる。感光体ドラム27と接地電極201との間に流れるドラム電流Idrum、グリッド29bと接地電極201との間に流れるグリッド電流Igrとする。帯電電流Ichgは、ドラム電流Idrumとグリッド電流Igrとの和で表現される。帯電電圧Vchg=絶縁抵抗R×(ドラム電流Idrum+グリッド電流Igr)となる。
【0037】
後述するように、グリッド電流Igrが所定値となる定電流制御を行うと、ドラム電流Idrumとグリッド電流Igrとが、それぞれ一定の電流が流れ、感光体ドラム27の表面を一様に帯電させることができる。
【0038】
ここで、感光体ドラム27と接地電極201とが接続不良である場合、感光体ドラム27と接地電極201に流れるドラム電流Idrumは、接地電極201に流れることができない。感光体ドラム27の表面が一様に帯電しないため、感光体ドラム27にトナーが付着しづらくなり、印字不良が生じる。
【0039】
帯電電圧Vchg=絶縁抵抗R×グリッド電流Igrとなり、ドラム電流Idrumが流れない分の電圧(絶縁抵抗R×ドラム電流Idrum分の電圧値)が減少することになる。感光体ドラム27と接地電極201とが接続不良である場合、帯電器29が感光体ドラム27に印加する帯電電圧Vchgが低くなる。そこで、帯電電圧Vchgに対応した後述する第1フィードバック電圧を検出して、帯電電圧Vchgに応じた値よりも絶縁抵抗R×ドラム電流Idrum分の電圧値分だけ低い場合は、感光体ドラム27のドラム軸27aと接地電極201が接続不良であると判断する。
【0040】
<第1高圧電源回路62>
図3は、CPU61と、第1高圧電源回路62と、グリッド信号出力回路84と、プロセスカートリッジ17との関係を示した概略回路図である。CPU61は、帯電電圧Vchgを生成し出力する第1高圧電源回路62と、接続ライン90、帯電ワイヤ29aおよびグリッド29bを介して流れるグリッド電流Igrに応じたグリッドフィードバック信号S3を出力するグリッド信号出力回路84とが接続されている。CPU61は、制御部の一例である。第1高圧電源回路62は、接続ライン90を介してプロセスカートリッジ17に接続されている。
【0041】
ここで、グリッド信号出力回路84は、例えば2つの分圧抵抗84aおよび分圧抵抗84bによって構成される。グリッド信号出力回路84は、その分圧比に応じて、グリッドフィードバック信号S3を検出する。
【0042】
第1高圧電源回路62は、CPU61のPWM(Pulse Width Modulation)制御によって、グリッド電流Igrが一定の電流となるように定電流制御される。また、CPU61にはメモリ100が接続されている。このメモリ100には、第1高圧電源回路62を制御するプログラムが格納されている。
【0043】
第1高圧電源回路62は、PWM信号平滑回路70、トランスドライブ回路71、昇圧・平滑整流回路72、および補助巻線電圧検出回路73を含む。第1高圧電源回路62は、高電圧発生回路の一例である。
【0044】
PWM信号平滑回路70は、CPU61のPWMポート61aからのPWM信号である第1制御信号S1を平滑し、平滑された第1制御信号S1をトランスドライブ回路71に提供する。トランスドライブ回路71は、平滑された第1制御信号S1に基づき、昇圧・平滑整流回路72の1次側巻線75bに発振電流を流す。
【0045】
昇圧・平滑整流回路72は、トランス75、ダイオード76、平滑コンデンサ77等を備えている。トランス75は、2次側巻線75a,1次側巻線75bおよび補助巻線75cを備えている。2次側巻線75aの一端は、ダイオード76を介して接続ライン90に接続されている。一方、2次側巻線75aの他端は、接地されている。また、平滑コンデンサ77および抵抗78がそれぞれ2次側巻線75aに並列に接続されている。
【0046】
このような構成によって、1次側巻線75bの電圧は、昇圧・平滑整流回路72において昇圧および整流され、第1高圧電源回路62に接続された帯電器29の帯電ワイヤ29aに帯電電圧Vchgとして印加される。
【0047】
補助巻線電圧検出回路73は、昇圧及び平滑整流回路72のトランス75の補助巻線75cと、CPU61とに接続されている。補助巻線電圧検出回路73は、第1高圧電源回路62による帯電動作時において、補助巻線75cに発生する第1フィードバック電圧Vdを整流して、第1フィードバック電圧Vdである検出信号S2を検出する。そして、補助巻線電圧検出回路73は、検出信号S2をCPU61のA/Dポート61bに出力する。
【0048】
CPU61は、感光体ドラム27のドラム軸27aが接地電極201と接続不良であると判断した場合、感光体ドラム27のドラム軸27aが接地電極201と接続不良であることを報知するための報知信号S4を生成する。そして、CPU61は、報知信号S4を、例えば、画像形成装置1の前側に設けられた表示装置10に提供し、表示装置10に接続不良の情報を表示させる。それによって、より確実に、ユーザに感光体ドラム27が接続不良であることを報知することができる。なお、報知信号S4の生成および報知信号S4の表示装置10への提供は任意である。
【0049】
なお、第1高圧電源回路62は、第1電圧出力回路63と、第1フィードバック電圧出力回路64に分けることができる。
【0050】
第1電圧出力回路63は、PWM信号平滑回路70と、トランスドライブ回路71と、補助巻線75cを除く昇圧及び平滑整流回路72と、抵抗78とを構成する。第1電圧出力回路63は、帯電電圧Vchgを帯電器29に出力する。
【0051】
第1フィードバック電圧出力回路64は、昇圧及び平滑整流回路72の補助巻線75cと、補助巻線電圧検出回路73とを構成する。第1フィードバック電圧出力回路64は、帯電電圧Vchgに対応する検出信号S2をCPU61に出力する。
【0052】
<実施形態1に係る感光体ドラム接地検知処理>
図4に、実施形態1に係る感光体ドラム接地検知処理のフローチャートを示す。
【0053】
ステップS101:CPU61は、ユーザからの印刷命令を受信する。印刷命令は、印刷準備処理または印刷処理の開始を指示する命令である。次に、ステップS102に進む。
【0054】
ステップS102:CPU61は、第1制御信号S1を第1高圧電源回路62に送信する。第1高圧電源回路62は、第1制御信号S1に基づいて帯電器29に帯電電圧Vchgを印加する。次に、ステップS103に進む。
【0055】
ステップS103:CPU61は、グリッドフィードバック信号S3をA/Dポート61cから読み取るとともに、グリッドフィードバック信号S3の値をデジタル信号値に変換する。例えば、アナログ信号値の最小値から最大値のレンジ幅を1024段の分解能を有するデジタル信号値に変換する。次に、ステップS104に進む。
【0056】
ステップS104:CPU61は、グリッドフィードバック信号S3に基づくグリッド電流Igrの値が目標値か否かを判断する。グリッド電流Igrの値が目標値以下であった場合、CPU61は、感光体ドラム27に帯電電圧Vchgが十分印加されていないと判断する。また、グリッド電流Igrの値が目標値以上であった場合には、CPU61は、感光体ドラム27に帯電電圧Vchgが印加されすぎている判断する。グリッド電流Igrの値が目標値であった場合(ステップS104でYES)、ステップS106に進む。それ以外の場合(ステップS104でNO)、ステップS105に進む。
【0057】
ステップS105:CPU61は、グリッド電流Igrの値が目標値でないため、PWM信号である第1制御信号S1のデューティ比を変更する。これにより、グリッド電流Igrの値を目標値に制御することができる。次に、ステップS103に戻る。
【0058】
ステップS106:CPU61は、検出信号S2をA/Dポート61bから読み取るとともに、検出信号S2をデジタル信号値に変換する。例えば、アナログ信号値の最小値から最大値のレンジ幅を1024段の分解能を有するデジタル信号値に変換する。次に、ステップS107に進む。
【0059】
ステップS107:CPU61は、検出信号S2が目標とする帯電電圧に応じた値かを判断する。検出信号S2が目標とする帯電電圧に応じた値である場合(ステップS107でYES)、ステップS108に進む。それ以外の場合、ステップS109に進む。例えば、検出信号S2のデジタル信号値680が、目標とする帯電電圧に応じた値であった場合に、A/Dポート61bから読み取った検出信号S2のデジタル信号値が680であったときは、目標とする帯電電圧に応じた値であると判断する。
【0060】
目標とする帯電電圧は、目標値であるグリッド電流Igrの値と感光体ドラム27と接地電極201に流れるドラム電流Idrumとの和に対して、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとの間の絶縁抵抗Rを乗算した電圧値であると予め定められる。
【0061】
ステップS108:検出信号S2が目標とする帯電電圧に応じた値であるため、感光体ドラム27は、接地されているとCPU61は判断する。この場合、CPU61は、印刷命令により指示された、印刷準備処理または印刷処理を開始する。
【0062】
ステップS109:CPU61は、検出信号S2の値が、目標とする帯電電圧に応じた値でないため、エラー解析モードに移行する。エラー解析モードでは、A/Dポート61bから読み取った検出信号S2のデジタル信号値に基づいて解析を行う。例えば、CPU61は、A/Dポート61bから読み取った検出信号S2のデジタル信号値からエラーの種別を解析する。検出信号S2のデジタル信号値が800以上であった場合には過電圧であると解析する。検出信号S2のデジタル信号値が650であった場合、接続不良であると解析する。検出信号S2のデジタル信号値が380であった場合には、帯電ワイヤ29aが切断していると解析する。検出信号S2のデジタル信号値が90以下であった場合には第1高圧電源回路62が故障していると解析する。
【0063】
特に、検出信号S2のデジタル信号値が、目標とする帯電電圧に応じた値から予め定められた値だけ低いときに、CPU61は、感光体ドラム27と接地電極201との接続不良と解析する。例えば、目標とする帯電電圧に応じた値から予め定められた値だけ低い値は、検出信号S2のデジタル信号値に換算すると30から40程度低い値である。
【0064】
また、検出信号S2のデジタル信号値が、目標とする帯電電圧に応じた値から予め定められた値だけ高いときにCPU61は、帯電器29の過電圧と解析する。例えば、目標とする帯電電圧に応じた値から予め定められた値だけ高い値は、検出信号S2のデジタル信号値に換算すると、100から120程度高い値である。次にステップS110に進む。
【0065】
ステップS110:CPU61は、エラーの解析結果に対応した報知信号S4を表示装置10に送信してユーザにエラーの解析結果を報知する。この場合、CPU61は、印刷命令により指示された、印刷準備処理または印刷処理を開始しない。
【0066】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0067】
実施形態2は、感光体ドラム27と接地電極201との接続不良を、転写ローラ30に印加する第2高圧電源回路62Aにより検知する方法である。
【0068】
<感光体ドラム27とグランドとの接続不良の検知原理>
図2に示すように、感光体ドラム27は、用紙3を挟んで転写ローラ30と対向した位置にある。転写ローラ30には、順転写バイアス電圧Vtp(転写バイアス電圧)が印加される。感光体ドラム27が接地電極201と接続不良である場合、上述したように、感光体ドラム27に電流が流れないので、感光体ドラム27から転写ローラ30に電流は流れなくなる。その結果、転写ローラ30に流れる転写電流の値が低くなり、転写ローラ30に印加される順転写バイアス電圧Vtpの値が低くなる。この順転写バイアス電圧Vtpに対応する第2フィードバック電圧VdAを検出して、第2フィードバック電圧VdAが、順転写バイアス電圧Vtpに応じた値と等しい、または、順転写バイアス電圧Vtpに応じた値よりも予め定められた値だけ低い場合は、感光体ドラム27のドラム軸27aと接地電極201とが接続不良であると判断する。
【0069】
<第2高圧電源回路62A>
図5に、転写ローラ30に対して順転写バイアス電圧Vtpを印加する第2高圧電源回路62Aの概略回路図を示す。
【0070】
転写ローラ30のローラ軸30aには、図5に示されるように、回路基板52に実装された第2高圧電源回路62Aが接続されている。そして、転写位置において現像ローラ31に担持されたトナー像を用紙3に転写するための転写動作時には、転写ローラ30のローラ軸30aに、第2高圧電源回路62Aから、例えば-6kVの順転写バイアス電圧Vtpが印加される。
【0071】
より具体的には、第2高圧電源回路62Aは、転写ローラ30に対して、順転写動作時に順転写バイアス電圧Vtpを印加する。一方、第2高圧電源回路62Aは、残存トナー除去時には逆バイアス電圧を印加する。ここでは、順転写動作時の動作時から感光体ドラム27の接続不良を検知するため、逆バイアス電圧を印加する回路およびその説明は省略する。
【0072】
CPU61は、メモリ100と、順転写バイアス電圧Vtpを生成する第2高圧電源回路62Aと、接続ライン90Aに流れる転写電流に応じたフィードバック信号S3Aを出力する転写電流出力回路84Aとに接続されている。第2高圧電源回路62Aは、転写ローラ30のローラ軸30aに接続される接続ライン90Aと接続されている。また、CPU61は、第2高圧電源回路62Aの制御の他に、画像形成に係る画像形成装置1の各部の制御も行う。
【0073】
また、第2高圧電源回路62Aは、接続ライン90Aに流れる転写電流に応じたフィードバック信号S3Aを出力する転写電流出力回路84Aを含む。以後、フィードバック信号S3Aを転写電流S3Aと記す。なお、第2高圧電源回路62Aは、その他の高電圧、例えば帯電電圧Vchg等を印加するための回路を含むが、その図示は省略されている。また、第2高圧電源回路62Aと、転写電流出力回路84Aと、CPU61は、図1に示される回路基板52上に配置されている。
【0074】
第2高圧電源回路62Aは、CPU61のPWM制御によって定電流制御される。また、CPU61にはメモリ100が接続されている。このメモリ100には、第2高圧電源回路62Aを制御するプログラムが格納されている。
【0075】
第2高圧電源回路62Aは、負電圧の高電圧発生回路であり、順転写PWM信号平滑回路70A、順転写トランスドライブ回路71A、順転写昇圧及び平滑整流回路72A、および順転写出力電圧検出回路73Aを含む。
【0076】
順転写PWM信号平滑回路70Aは、CPU61のPWMポート61dからのPWM信号である第2制御信号S1Aを平滑し、平滑された第2制御信号S1Aを順転写トランスドライブ回路71Aに提供する。順転写トランスドライブ回路71Aは、平滑された第2制御信号S1Aに基づき、順転写昇圧・平滑整流回路72Aの1次側巻線75bAに発振電流を流す。
【0077】
順転写昇圧・平滑整流回路72Aは、トランス75A、ダイオード76A、平滑コンデンサ77A等を備えている。トランス75Aは、2次側巻線75aA,1次側巻線75bA及び補助巻線75cAを備えている。2次側巻線75aAの一端は、ダイオード76Aを介して接続ライン90Aに接続されている。一方、2次側巻線75aAの他端は、転写電流出力回路84Aと、CPU61のA/Dポート61fに共通接続されている。また、平滑コンデンサ77A及び抵抗78Aがそれぞれ2次側巻線75aAに並列に接続されている。
【0078】
このような構成により、1次側巻線75bAの電圧は、順転写昇圧及び平滑整流回路72Aにおいて昇圧及び整流され、第2高圧電源回路62Aの出力端Pに接続された転写ローラ30のローラ軸30aに順転写バイアス電圧Vtpとして印加される。
【0079】
順転写出力電圧検出回路73Aは、順転写昇圧及び平滑整流回路72Aのトランス75Aの補助巻線75cAと、CPU61とに接続されている。順転写出力電圧検出回路73Aは、第2高圧電源回路62Aによる順転写動作時において、補助巻線75cAの間で発生する第2フィードバック電圧VdAを検出して、その検出信号である検出信号S2AをCPU61のA/Dポート61eに出力する。CPU61は、検出信号S2Aに基づいて、順転写バイアス電圧Vtpを検出する。
【0080】
以上により、CPU61は、順転写動作時には、第2制御信号S1Aを第2高圧電源回路62Aに与えて駆動させつつ、接続ライン90Aに流れる電流値に応じた転写電流S3Aに基づきこの電流値が転写目標電流値になるように、デューティ比を適宜変更したPWM信号である第2制御信号S1Aを順転写PWM信号平滑回路70Aに出力する定電流制御を実行する。
【0081】
CPU61は、感光体ドラム27のドラム軸27aが接地電極201と接続不良であると判断した場合、感光体ドラム27のドラム軸27aが接地電極201と接続不良であることを報知するための報知信号S4Aを生成する。そして、CPU61は、報知信号S4Aを、例えば、画像形成装置1の前側に設けられた表示装置10に提供し、表示装置10に接続不良の情報を表示させる。それによって、より確実に、ユーザに感光体ドラム27が接続不良であることを報知することができる。なお、報知信号S4Aの生成および報知信号S4の表示装置10への提供は任意である。
【0082】
なお、第2高圧電源回路62Aは、第2電圧出力回路63Aと、第2フィードバック電圧出力回路64Aに分けることができる。
【0083】
第2電圧出力回路63Aは、順転写PWM信号平滑回路70Aと、順転写トランスドライブ回路71Aと、補助巻線75cAを除く順転写昇圧及び平滑整流回路72Aと、抵抗78Aとを構成する。第2電圧出力回路63Aは、順転写バイアス電圧Vtpを転写ローラ30に出力する。
【0084】
第2フィードバック電圧出力回路64Aは、順転写昇圧及び平滑整流回路72Aの補助巻線75cAと、順転写出力電圧検出回路73Aとを構成する。第2フィードバック電圧出力回路64Aは、順転写バイアス電圧Vtpに対応する検出信号S2AをCPU61に出力する。
【0085】
<実施形態2に係る感光体ドラムの接続不良検知処理>
図6は、実施形態2に係る感光体ドラム接続不良検知処理のフローチャートを示す。
【0086】
ステップS201:CPU61は、ユーザからの印刷命令を受信する。印刷命令は、印刷準備処理または印刷処理を指示する命令である。次に、ステップS202に進む。
【0087】
ステップS202:CPU61は、PWM信号である第1制御信号S1を第1高圧電源回路62に送信する。第1高圧電源回路62は、第1制御信号S1に基づいて帯電器29に帯電電圧Vchgを印加する。次に、ステップS203に進む。
【0088】
ステップS203:CPU61は、PWM信号である第2制御信号S1Aを第2高圧電源回路62Aに送信する。第2高圧電源回路62Aは、転写ローラ30に順転写バイアス電圧Vtpを印加する。ステップS204に進む。
【0089】
ステップS204:CPU61は、転写電流S3Aの値をA/Dポート61fから読み取るとともに、転写電流S3Aの値をデジタル信号値に変換する。例えば、転写電流S3Aの値を、アナログ信号値の最小値から最大値のレンジ幅を1024段の分解能を有するデジタル信号値に変換する。次に、ステップS205に進む。
【0090】
ステップS205:CPU61は、転写電流S3Aの値が目標値かを判断する。転写電流S3Aの値が目標値以下であった場合、CPU61は、転写ローラ30に順転写バイアス電圧Vtpを十分印加されていないと判断する。また、転写電流S3Aの値が目標値以上であった場合には、CPU61は、転写ローラ30に順転写バイアス電圧Vtpを印加されすぎていると判断する。転写電流S3Aの値が目標値であった場合(ステップS205でYES)、ステップS207に進む。それ以外の場合(ステップS205でNO)、ステップS206に進む。
【0091】
ステップS206:転写電流S3Aの値が目標値でないため、CPU61は、第2制御信号S1Aのデューティ比を変更して100%であるかを判断する。デューティ比が100%であった場合(ステップS206でYES)、ステップS211に進む。それ以外に場合(ステップS206でNO)、ステップS204に戻る。
【0092】
ステップS207:CPU61は、検出信号S2Aの値をA/Dポート61eから読み取るとともに、検出信号S2Aの値をデジタル信号値に変換する。例えば、検出信号S2Aの値を、アナログ信号値の最小値から最大値のレンジ幅を1024段の分解能を有するデジタル信号値に変換する。次に、ステップS208に進む。
【0093】
ステップS208:CPU61は、検出信号S2Aの値が目標とする転写バイアスに応じた値かを判断する。目標とする転写バイアスに応じた値である場合(ステップS208でYES)、ステップS209に進む。それ以外の場合(ステップS208でNO)、ステップS210に進む。例えば、検出信号S2Aの値の目標とする転写バイアスに応じた値がデジタル信号値である420であった場合、A/Dポート61eから読み取った検出信号S2Aのデジタル信号値が420であったとき、目標とする転写バイアスに応じた値であると判断する。
【0094】
ステップS209:A/Dポート61eから読み取った検出信号S2Aの値が目標とする転写バイアスに応じた値であるため、感光体ドラム27は接地されているとCPU61は判断する。この場合、CPU61は、印刷命令により指示された、印刷準備処理または印刷処理を開始する。
【0095】
ステップS210:CPU61は、エラー解析モードに移行する。そして、エラー解析モードでは、感光体ドラム27が接続不良であると判断する。次に、ステップS214に進む。例えば、A/Dポート61eから読み取った検出信号S2Aのデジタル信号値が350以下であった場合は、感光体ドラム27は接続不良であると判断する。
【0096】
ステップS211:CPU61は、検出信号S2AをA/Dポート61eから読み取るとともに、検出信号S2Aをデジタル信号値に変換する。次に、ステップS212に進む。
【0097】
ステップS212:CPU61は、A/Dポート61eから読み取った検出信号S2Aのデジタル信号値が100より小さいかを判断して、100より小さい場合(ステップS212でYES)、ステップS213に進む。それ以外の場合(ステップS212でNO)、ステップS208に進む。
【0098】
ステップS213:CPU61は、第2高圧電源回路62Aが故障していると判断する。次に、ステップS215に進む。
【0099】
ステップS214:CPU61は、エラー解析結果を報知する。エラー解析結果として、感光体ドラム27の接続不良情報に対応した報知信号S4Aを表示装置10に送信してユーザに感光体ドラム27の接続不良を報知する。この場合、CPU61は、印刷命令により指示された、印刷準備処理または印刷処理を開始しない。
【0100】
ステップS215:CPU61は、第2高圧電源回路62Aの故障情報に対応した報知信号S4Aを表示装置10に送信してユーザに第2高圧電源回路62Aの故障を報知する。この場合、CPU61は、印刷命令により指示された、印刷準備処理または印刷処理を開始しない。
【0101】
〔その他実施形態〕
感光体ドラム27のドラム軸27aと接地電極201とが接続される端子は、高抵抗の抵抗素子を介して接地電極201と接続されていてもよい。高抵抗の抵抗素子が端子に接続されることにより、端子の電位が高くなるため、端子に付着している不働態被膜を飛ばすことができる。
【0102】
感光体ドラム27の帯電電圧Vchgを制御により高くすることでドラム軸27aと接地電極201との間の電位差を高くし、不働態被膜を飛ばすこともできる。
【0103】
これにより、ドラム軸27aと接地電極201とが接続される端子が、不働態被膜によって高抵抗になって、接続不良を引き起こす原因を解消することができる。
【0104】
〔ソフトウェアによる実現例〕
画像形成装置1の制御部は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0105】
後者の場合、画像形成装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0106】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
1 画像形成装置
27 感光体ドラム
27a ドラム軸
29 帯電器
29a 帯電ワイヤ
29b グリッド
30 転写ローラ
61 CPU(制御部)
62 第1高圧電源回路
62A 第2高圧電源回路
63 第1電圧出力回路
63A 第2電圧出力回路
64 第1フィードバック電圧出力回路
64A 第2フィードバック電圧出力回路
84 グリッド信号出力回路
84A 転写電流出力回路
100 メモリ
S1 第1制御信号
S1A 第2制御信号
S2、S2A 検出信号
S3 グリッドフィードバック信号
S3A 転写電流
図1
図2
図3
図4
図5
図6