IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オルガノ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-複合吸収体及び高分子吸収剤 図1
  • 特開-複合吸収体及び高分子吸収剤 図2
  • 特開-複合吸収体及び高分子吸収剤 図3
  • 特開-複合吸収体及び高分子吸収剤 図4
  • 特開-複合吸収体及び高分子吸収剤 図5
  • 特開-複合吸収体及び高分子吸収剤 図6
  • 特開-複合吸収体及び高分子吸収剤 図7
  • 特開-複合吸収体及び高分子吸収剤 図8
  • 特開-複合吸収体及び高分子吸収剤 図9
  • 特開-複合吸収体及び高分子吸収剤 図10
  • 特開-複合吸収体及び高分子吸収剤 図11
  • 特開-複合吸収体及び高分子吸収剤 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104711
(43)【公開日】2022-07-11
(54)【発明の名称】複合吸収体及び高分子吸収剤
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/26 20060101AFI20220704BHJP
   C08F 8/12 20060101ALI20220704BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
B01J20/26 B
C08F8/12
A61F13/53 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219829
(22)【出願日】2020-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】高田 仁
(72)【発明者】
【氏名】岩浦 竜太
【テーマコード(参考)】
3B200
4G066
4J100
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA01
3B200BA02
3B200BB17
3B200CA08
3B200CA11
3B200DB02
3B200DB15
4G066AA13D
4G066AA34D
4G066AA37D
4G066AB06D
4G066AC14D
4G066AC16B
4G066AC35B
4G066BA07
4G066BA09
4G066BA23
4G066BA24
4G066BA25
4G066BA38
4G066DA07
4G066EA05
4G066FA08
4G066FA11
4J100AL08P
4J100AS11Q
4J100CA04
4J100FA03
4J100FA20
4J100HA08
4J100HB25
4J100HB29
4J100HB39
4J100HC05
4J100HE05
4J100JA50
4J100JA67
(57)【要約】
【課題】細孔容積に比して吸液量が低下することを抑制することができ、吸収性能に優れた衛生用品用の複合吸収体を提供する。
【解決手段】液体を吸収するための衛生用品用の複合吸収体(4)は、親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤を含んでいる。その高分子吸収剤において、細孔半径が1μm以上の細孔による細孔容積の割合は、全細孔の細孔容積の90%以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吸収するための複合吸収体であって、
親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤を含み、
前記高分子吸収剤において、細孔半径が1μm以上の細孔による細孔容積の割合は、全細孔の細孔容積の90%以上であることを特徴とする、
複合吸収体。
【請求項2】
前記高分子吸収剤において、細孔半径が0.005μm以下の細孔による細孔容積の割合は、全細孔の細孔容積の10%未満であることを特徴とする、
請求項1に記載の複合吸収体。
【請求項3】
前記高分子吸収剤において、細孔容積の最大値での細孔半径は、500μm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の複合の複合吸収体。
【請求項4】
前記高分子吸収剤において、細孔半径が1μm以上の細孔における、細孔分布の変動係数は1.4以下であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合吸収体。
【請求項5】
前記高分子吸収剤において、細孔半径が1μm以上の細孔において、細孔分布の変動係数は1.4超であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合吸収体。
【請求項6】
前記高分子吸収剤において、細孔分布を示す曲線における細孔容積の極大値に対応する細孔半径に対して、細孔半径が小さい側の部分よりも細孔半径が大きい側の部分がブロードであるであることを特徴とする、請求項5に記載の複合吸収体。
【請求項7】
前記高分子吸収剤において、細孔分布を示す曲線における細孔容積の極大値に対応する細孔半径に対して、細孔半径が大きい側の部分よりも細孔半径が小さい側の部分がブロードであることを特徴とする、請求項5に記載の複合吸収体。
【請求項8】
前記高分子吸収剤において、細孔分布を示す曲線における細孔容積の極大値は、少なくとも二つ存在することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合吸収体。
【請求項9】
前記高分子吸収剤において、細孔分布を示す曲線における細孔容積の二つの極大値は、相対的に小さい細孔半径の極大値の方が、相対的に大きい細孔半径の極大値よりも大きいことを特徴とする、請求項8に記載の複合吸収体。
【請求項10】
前記高分子吸収剤において、細孔分布を示す曲線における細孔容積の二つの極大値は、相対的に小さい細孔半径の極大値の方が、相対的に大きい細孔半径の極大値よりも小さいことを特徴とする、請求項8に記載の複合吸収体。
【請求項11】
前記高分子吸収剤において、全細孔容積は0.9mL/g以上であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の複合吸収体。
【請求項12】
前記高分子吸収剤において、嵩密度が0.07~0.6g/cmであることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の複合吸収体。
【請求項13】
前記高分子吸収剤は、モノリス状の吸収剤であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の複合吸収体。
【請求項14】
前記高分子吸収剤は、(メタ)アクリル酸エステルと、一分子中に2個以上のビニル基を含有する化合物の架橋重合体の加液体成分解物であり、且つ、少なくとも1個以上の-COONa基を含有することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の複合吸収体。
【請求項15】
親水性の連続骨格及び連続空孔を備え、
細孔半径が1μm以上の細孔による細孔容積の割合は、全細孔の細孔容積の90%以上であることを特徴とする、
高分子吸収剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合吸収体及び高分子吸収剤に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶液等の液体の吸収に用いられる吸収体としてスポンジ材料等の多孔質材料を含むものが知られている。例えば、特許文献1には、相互連結された連続気泡の親水性可撓性構造物からなる高分子フォーム材料を含有する吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3231320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本件の発明者の検討によれば、特許文献1の高分子フォーム材料のような多孔質材料では、比較的小さい細孔半径の細孔が多い。ところが、多孔質の構造体では、液体成分は、比較的大きい細孔半径の細孔に引き込まれ易い傾向にある。そのため、上記のような、小さい孔径の細孔が多い多孔質材料では、吸液時に、液体成分が小さい孔径の細孔に入り込まず、細孔容積に比して吸液量が低下してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、細孔容積に比して吸液量が低下することを抑制することができ、吸収性能に優れた複合吸収体及び高分子吸収剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様(態様1)は、液体を吸収するための衛生用品用の複合吸収体であって、親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤を含み、前記高分子吸収剤において、細孔半径が1μm以上の細孔による細孔容積の割合は、全細孔の細孔容積の90%以上であることを特徴とする、複合吸収体である。
【0007】
本態様の複合吸収体は、高分子吸収剤において細孔半径が1μm以上の細孔による細孔容積の割合が全細孔の細孔容積の90%以上である。それゆえ、吸液時に、細孔半径が1μm未満のような比較的小さい細孔半径の細孔に液体が入り込み難く、入り込めなくても、細孔半径が1μm以上の細孔に液体が入り込むことができ、十分な吸液量を確保できる。よって、細孔容積に比して吸液量が低下することを抑制でき、優れた吸収性能を得ることができる。
【0008】
また、本発明の別の態様(態様2)では、上記態様1の複合吸収体において、前記高分子吸収剤において、細孔半径が0.005μm以下の細孔による細孔容積の割合は、全細孔の細孔容積の10%未満であることを特徴とする。
【0009】
本態様の複合吸収体は、細孔半径が0.005μm以下であるような、細孔半径が非常に小さく吸液が困難な細孔による細孔容積の割合が非常に小さく、細孔半径が1μm以上であるような、細孔半径が大きく吸液が可能な細孔による細孔容積の割合が大きい。それにより、高分子吸収剤の細孔を吸液に有効に利用でき、十分な吸液量を確保できる。
【0010】
本発明の更に別の態様(態様3)では、上記態様1又は2の複合吸収体において、前記高分子吸収剤において、細孔容積の最大値での細孔半径は、500μm以下であることを特徴とする。
【0011】
本態様の複合吸収体は、細孔容積の最大値での細孔半径を500μm以下とすることで、吸液時に、高分子吸収剤の連続骨格の構造が壊れる(潰れる)ことを抑制でき、優れた吸収速度が得られやすくなり、安定的に、十分な吸液量を確保できる(細孔容積の最大値での細孔半径が500μm以上の場合、吸液時に連続骨格の構造が維持しきれず潰れるおそれがある)。
【0012】
本発明の更に別の態様(態様4)では、上記態様1~3のいずれか一項に記載の複合吸収体において、前記高分子吸収剤において、細孔半径が1μm以上の細孔における、細孔分布の変動係数は1.4以下であることを特徴とする。
【0013】
本態様の複合吸収体は、細孔分布の変動係数が1.4以下であるので、細孔半径の平均値に対する細孔半径のばらつきが小さく、細孔半径の平均値付近でその細孔分布の示すピークがシャープになる。したがって、高分子吸収剤は、液体を、全方向・全表面から概ね均一に吸収することができる。それにより、高分子吸収剤の細孔を吸液に有効に利用でき、十分な吸液量を確保できる。
【0014】
本発明の更に別の態様(態様5)では、上記態様1~3のいずれか一項に記載の複合吸収体において、前記高分子吸収剤において、細孔半径が1μm以上の細孔において、細孔分布の変動係数は1.4超であることを特徴とする。
【0015】
本態様の複合吸収体は、細孔分布の変動係数が1.4超であるので、細孔半径の平均値に対する細孔半径のばらつきが大きく、細孔半径の平均値付近でその細孔分布が示すピークがブロードになる。すなわち、高分子吸収剤には、細孔半径の小さい細孔と大きい細孔とが存在している。そのため、細孔半径の小さい細孔では、毛細管力が働き易く、よって吸液速度が速くなり易くなり、細孔半径の大きい細孔では、吸液容積が大きくなり易くなる。それゆえ、二つの相乗効果により、高分子吸収剤は、細孔の内部に瞬時に多量の液体を吸収することができる。
【0016】
本発明の更に別の態様(態様6)では、上記態様5に記載の複合吸収体において、前記高分子吸収剤において、細孔分布を示す曲線における細孔容積の極大値に対応する細孔半径に対して、細孔半径が小さい側の部分よりも細孔半径が大きい側の部分がブロードであるであることを特徴とする。
【0017】
本態様の複合吸収体は、高分子吸収剤が上記の構成、すなわち、細孔半径の小さい細孔よりも細孔径の大きい細孔の方が多く存在するような構成を有している。細孔半径の大きい細孔が多いことにより、吸液容積がより大きくなり易く、細孔の内部により多量の液体を吸収することができる。
【0018】
本発明の更に別の態様(態様7)では、上記態様5に記載の複合吸収体において、前記高分子吸収剤において、細孔分布を示す曲線における細孔容積の極大値に対応する細孔半径に対して、細孔半径が大きい側の部分よりも細孔半径が小さい側の部分がブロードであることを特徴とする。
【0019】
本態様の複合吸収体は、高分子吸収剤が上記の構成、すなわち、細孔半径の大きい細孔よりも細孔径の小さい細孔の方が多く存在するような構成を有している。細孔半径の小さい細孔が多いことにより、毛細管力がより働き易く、よって吸液速度がより速くなり易くなり、細孔の内部により瞬時に液体を吸収することができる。
【0020】
本発明の更に別の態様(態様8)では、上記態様1~3のいずれか一項に記載の複合吸収体において、前記高分子吸収剤において、細孔分布を示す曲線における細孔容積の極大値は、少なくとも二つ存在することを特徴とする。
【0021】
本態様の複合吸収体では、高分子吸収剤が上記の構成、すなわち、所定の小さな細孔半径及びその近傍の細孔半径を有する細孔と、所定の大きな細孔半径及びその近傍の細孔半径を有する細孔とが存在している。そのため、相対的に小さい細孔半径の細孔では、毛細管力が働き易く、よって吸液速度が速くなり易くなり、相対的に大きい細孔半径の細孔では、吸液容積が大きくなり易くなる。それゆえ、二つの相乗効果により、高分子吸収剤は、細孔の内部に瞬時に多量の液体を吸収することができる。
【0022】
本発明の更に別の態様(態様9)では、上記態様8に記載の複合吸収体において、前記高分子吸収剤において、細孔分布を示す曲線における細孔容積の二つの極大値は、相対的に小さい細孔半径の極大値の方が、相対的に大きい細孔半径の極大値よりも大きいことを特徴とする。
【0023】
本態様の複合吸収体では、高分子吸収剤が上記の構成、すなわち、細孔半径の大きい細孔よりも細孔径の小さい細孔の方が多く存在している。細孔半径の小さい細孔が多いことにより、毛細管力がより働き易く、よって吸液速度がより速くなり易くなり、細孔の内部により瞬時に液体を吸収することができる。
【0024】
本発明の更に別の態様(態様10)では、上記態様8に記載の複合吸収体において、前記高分子吸収剤において、細孔分布を示す曲線における細孔容積の二つの極大値は、相対的に小さい細孔半径の極大値の方が、相対的に大きい細孔半径の極大値よりも小さいことを特徴とする。
【0025】
本態様の複合吸収体では、高分子吸収剤が上記の構成、すなわち、細孔半径の小さい細孔よりも細孔径の大きい細孔の方が多く存在している。細孔半径の大きい細孔が多いことにより、吸液容積がより大きくなり易く、細孔の内部により多量の液体を吸収することができる。
【0026】
本発明の更に別の態様(態様11)では、上記態様1~10のいずれか一項に記載の複合吸収体において、前記高分子吸収剤において、全細孔容積は0.9mL/g以上であることを特徴とする。
【0027】
本態様の複合吸収体では、高分子吸収剤において、全細孔容積は0.9mL/g以上であるので、高分子吸収剤に十分な細孔容積を確保でき、したがって、十分な吸液量を確保できる。また、多孔質体の吸収対象液である液体を取り込むための空間(空孔)を吸収時に潰れ難くでき、吸液量及び吸液速度を低下し難くできる。
【0028】
本発明の更に別の態様(態様12)では、上記態様1~11のいずれか一項に記載の複合吸収体において、前記高分子吸収剤において、嵩密度が0.07~0.6g/cmであることを特徴とする。
【0029】
本態様の複合吸収体では、高分子吸収剤において、嵩密度が0.07~0.6g/cmであるので、吸液速度(DW)性能を6mL/30sec.以上とすることができる。すなわち、吸液速度が速くなるので、高分子吸収剤は、細孔の内部により瞬時に液体を吸収することができる。
【0030】
本発明の更に別の態様(態様13)では、上記態様1~12のいずれか一項に記載の複合吸収体において、前記高分子吸収剤は、モノリス状の吸収剤であることを特徴とする。
【0031】
本態様の複合吸収体は、高分子吸収剤がモノリス状の吸収剤であるため、液体を素早く吸収することができる。
【0032】
本発明の更に別の態様(態様14)では、上記態様1~13のいずれか一項に記載の複合吸収体において、前記高分子吸収剤は、(メタ)アクリル酸エステルと、一分子中に2個以上のビニル基を含有する化合物の架橋重合体の加水分解物であり、且つ、少なくとも1個以上の-COONa基を含有することを特徴とする。
【0033】
本態様の複合吸収体は、高分子吸収剤が上記特定の構成を備えていることで、液体を吸収する時に、親水性の連続骨格が伸長しやすく、連続空孔も広がりやすいため、より多くの液体をより素早く連続空孔に取り込むことができ、吸収体として更に優れた吸収性能を発揮することができる。
【0034】
また、本発明の更に別の態様(態様15)は、親水性の連続骨格及び連続空孔を備え、細孔半径が1μm以上の細孔による細孔容積の割合は、全細孔の細孔容積の90%以上であることを特徴とする、高分子吸収剤である。
【0035】
本態様の高分子吸収剤は、細孔半径が1μm以上の細孔による細孔容積の割合が全細孔の細孔容積の90%以上なので、吸液時に、細孔半径が1μm未満のような比較的小さい細孔半径の細孔に液体が入り込まなくても、十分な吸液量を確保できる。それにより、細孔容積に比して吸液量が低下することを抑制でき、優れた吸収性能を得ることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、細孔容積に比して吸液量が低下することを抑制することができ、吸収性能に優れた複合吸収体、及びそれを有する衛生用品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、本発明の一実施形態である複合吸収体1の分解斜視図である。
図2図2は、本発明の別の実施形態である複合吸収体1’の分解斜視図である。
図3図3は、高分子吸収剤の一例である吸収剤Aの製造過程について説明する図である。
図4図4は、吸収剤Aの拡大倍率50倍のSEM写真である。
図5図5は、吸収剤Aの拡大倍率100倍のSEM写真である。
図6図6は、吸収剤Aの拡大倍率500倍のSEM写真である。
図7図7は、吸収剤Aの拡大倍率1000倍のSEM写真である。
図8図8は、吸収剤Aの拡大倍率1500倍のSEM写真である。
図9図9は、吸収剤Aの細孔の細孔半径と累積細孔容積との関係を示すグラフである。
図10図10は、吸収剤Aの細孔の細孔半径と差分細孔容積との関係を示すグラフである。
図11図11は、吸収剤Aにおける嵩密度と吸収性能(DW)との関係を示すグラフである。
図12図12は、無加圧DW法で用いられる測定装置を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の好適な実施形態について、一実施形態である複合吸収体1を用いて、詳細に説明する。
なお、本明細書においては、特に断りのない限り、「展開状態で水平面上に置いた対象物(例えば、複合吸収体等)を、垂直方向の上方側から対象物の厚さ方向に見ること」を、単に「平面視」という。
【0039】
[複合吸収体]
図1は、本発明の一実施形態である複合吸収体1の分解斜視図である。
図1に示す複合吸収体1は、平面視にて略矩形状の外形形状を有しており、厚さ方向において、複合吸収体1の一方側の表面を形成する第1の保持シート2と、複合吸収体1の他方側の表面を形成する第2の保持シート3と、これらのシートの間に位置し且つ高分子吸収剤4を含む吸液性部材とを、備えている。
【0040】
そして、複合吸収体1における吸液性部材は、第1の保持シート2と第2の保持シート3の間に位置する、親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤4によって、第1の保持シート2を透過してきた液体を吸収・保持し得るように構成されている。
さらに、上述の高分子吸収剤4は、液体を吸収する際に、液体を連続骨格に取り込んだ後に連続空孔に取り込むという特有の吸液挙動を示す。
【0041】
上述の高分子吸収剤4は、水溶液等の液体を吸収する際に、親水性の連続骨格が液体を浸透圧によって瞬時に取り込んで膨張することで、連続空孔の容積を拡大し、さらにその拡大した連続空孔内に液体を取り込むことができるため、多量の液体を瞬時に吸収することができ、さらにその吸収した液体を保水能力の高いSAPへ受け渡して、SAP内で着実に保持することができる。
したがって、このような高分子吸収剤4を含む複合吸収体1は、吸収体として高い吸収性能を発揮することができる。
【0042】
なお、本発明において、吸液性部材は上述の実施形態の複合吸収体1の態様に限定されず、吸液性部材は、少なくとも上記特有の吸液挙動を示す高分子吸収剤を含むものであれば、その他の吸液性材料を含んでいても、含んでいなくてもよい。例えば、図2に示す本発明の別の実施形態の複合吸収体1’のように、第1の保持シート2と第2の保持シート3との間に位置する吸液性部材が、高分子吸収剤4と高吸収性ポリマー5(SAP)との混合物によって構成されていてもよい。
【0043】
また、本発明においては、複合吸収体の構成も上述の実施形態の複合吸収体1の態様に限定されず、複合吸収体は、例えば、図2に示す本発明の別の実施形態の複合吸収体1’のように、第1の保持シート2と吸液性部材(すなわち、高分子吸収剤4及び高吸収性ポリマー5)との間に位置する親水性繊維シート6を有していてもよい。
【0044】
本発明において、複合吸収体の外形形状や各種寸法、坪量等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、各種用途や使用態様等に応じた任意の外形形状(例えば、円形状、長円形状、多角形状、砂時計形状、デザイン形状など)や各種寸法、坪量等を採用することができる。
【0045】
以下、本発明の複合吸収体の各種構成部材について、図1に示す実施形態の複合吸収体1を例示的に用いて更に詳細に説明する。
【0046】
(保持シート)
図1に示す複合吸収体1において、当該複合吸収体1の一方側の表面を形成する第1の保持シート2は、平面視にて複合吸収体1の外形形状と同様の略矩形状の外形形状を有している。かかる第1の保持シート2は、複合吸収体1に供給された液体を透過させて、内側の吸液性部材に吸収・保持させることができる、液透過性のシート状部材によって形成されている。
【0047】
第1の保持シート2は、内側に配置される吸液性部材に比べて(すなわち、高分子吸収剤4等の吸液性材料の配置領域に比べて)、全体的にやや大きいサイズを有しており、周縁部において、複合吸収体1の厚さ方向の他方側に位置する第2の保持シート3と、任意の接着剤または熱融着手段等によって接合されている。
【0048】
一方、複合吸収体1の他方側の表面を形成する第2の保持シート3は、平面視にて複合吸収体1の外形形状と同様の略矩形状の外形形状を有している。かかる第2の保持シート3は、内側の吸液性部材に吸収・保持されなかった液体や吸液性部材から滲出した液体が複合吸収体1の外部へ漏出するのを防ぐ、液不透過性のシート状部材によって形成されている。
【0049】
本発明において、第1の保持シート及び第2の保持シートとして用い得る各々のシート状部材は、上述の実施形態のものに限定されず、本発明の複合吸収体は、第1の保持シート及び第2の保持シートのうちの少なくとも一方の保持シートが液透過性のシート状部材によって形成されていればよい。すなわち、本発明の複合吸収体は、第1の保持シート及び第2の保持シートのうちのいずれか一方の保持シートが液不透過性のシート状部材によって形成されていてもよい。
【0050】
なお、保持シートとして液透過性のシート状部材を用いる場合、その液透過性のシート状部材は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、各種用途や使用態様等に応じた任意の液透過性のシート状部材を採用することができる。そのような液透過性のシート状部材の例としては、親水性を有するエアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布等の不織布や織布、編布、多孔の樹脂フィルムなどが挙げられる。
【0051】
さらに、液透過性のシート状部材として親水性の不織布や織布、編布等(以下、これらを総称して「繊維シート」と称する。)を用いる場合、これらの繊維シートは、単層構造を有していても、2層以上の多層構造を有していてもよい。かかる繊維シートの構成繊維の種類も特に制限されず、例えばセルロース系繊維や親水化処理を施した熱可塑性樹脂繊維などの親水性繊維が挙げられる。これらの繊維は単独で用いても、二種類以上の繊維を併用してもよい。
繊維シートの構成繊維に用い得るセルロース系繊維としては、例えば、天然セルロース繊維(例えば、コットン等の植物繊維など)や再生セルロース繊維、精製セルロース繊維、半合成セルロース繊維などが挙げられる。また、繊維シートの構成繊維に用い得る熱可塑性樹脂繊維としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、6-ナイロン等のポリアミド系樹脂などの公知の熱可塑性樹脂からなる繊維が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いても、二種類以上の樹脂を併用してもよい。
【0052】
また、保持シートとして液不透過性のシート状部材を用いる場合、その液不透過性のシート状部材は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、各種用途や使用態様等に応じた任意の液不透過性のシート状部材を採用することができる。そのような液不透過性のシート状部材の例としては、任意の疎水性の熱可塑性樹脂繊維(例えば、PE、PP等のポリオレフィン系繊維、PET等のポリエステル系繊維、芯鞘型等の各種複合繊維など)によって形成された疎水性不織布;PEやPP等の疎水性の熱可塑性樹脂によって形成された有孔又は無孔の樹脂フィルム;該樹脂フィルムに不織布を貼り合わせた積層体;SMS不織布等の積層不織布などが挙げられる。
【0053】
本発明において、保持シートの外形形状や各種寸法、坪量等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、各種用途や使用態様等に応じた任意の外形形状(例えば、円形状、長円形状、多角形状、砂時計形状、デザイン形状など)や各種寸法、坪量等を採用することができる。
【0054】
(吸液性部材)
図1に示す複合吸収体1において、吸液性部材は、上述のとおり第1の保持シート2と第2の保持シート3の間に位置する、親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた高分子吸収剤4によって、第1の保持シート2を透過してきた液体を吸収・保持し得るように構成されている。
【0055】
なお、複合吸収体1においては、吸液性部材の高分子吸収剤4は、上述の第1の保持シート2及び第2の保持シート3の各々と、ホットメルト型接着剤等の任意の接着剤によって接合されているが、本発明の複合吸収体において、高分子吸収剤は保持シートと接合されていなくてもよい。
【0056】
そして、本発明において吸液性部材は、上述のとおり親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた上記特有の吸液挙動を示す高分子吸収剤を含んでいる。高分子吸収剤については後述する。
【0057】
本発明において、第1の保持シート及び第2の保持シートの間に位置する吸液性部材は、少なくとも上記の高分子吸収剤を含むものであれば、その他の吸液性材料を含んでいても、含んでいなくてもよい。すなわち、吸液性部材は、吸液性材料として上述の高分子吸収剤のみを含むものであっても、上述の高分子吸収剤のほかに、当分野において公知の吸液性材料を更に含むものであってもよい。そのような吸液性材料としては、例えば、親水性繊維や高吸収性ポリマーなどが挙げられ、更に具体的には、パルプ繊維(例えば、粉砕パルプ等)、コットン、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維;アクリル酸ナトリウムコポリマー等の高吸収性ポリマー(SAP)からなる粒状物;これらを任意に組み合わせた混合物などが挙げられる。
例えば、図2に示す本発明の別の実施形態の複合吸収体1’では、第1の保持シート2と第2の保持シート3の間に位置する吸液性部材は、親水性の連続骨格及び連続空孔を備え且つ上記特定の粒子径を有する粒子状の高分子吸収剤4のほかに、高吸収性ポリマー5を含んでいる。
【0058】
なお、本発明において、吸液性部材の外形形状(吸液性材料の配置領域の平面視形状)や各種寸法、坪量等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、所望の吸液性や柔軟性、強度等に応じた任意の外形形状や各種寸法、坪量等を採用することができる。
【0059】
(親水性繊維シート)
本発明においては、複合吸収体は、例えば、図2に示す別の実施形態の複合吸収体1’のように、第1の保持シート2と吸液性部材(すなわち、高分子吸収剤4及び高吸収性ポリマー5)との間に、親水性繊維シート6を有していてもよい。
【0060】
本発明において、複合吸収体に用い得る親水性繊維シートは、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、各種用途や使用態様等に応じた任意の親水性繊維シートを採用することができる。そのような親水性繊維シートの例としては、親水性を有する不織布や織布、編布などが挙げられる。なお、親水性繊維シートは、単層構造を有していても、2層以上の多層構造を有していてもよい。
【0061】
かかる親水性繊維シートの構成繊維の種類も特に制限されず、例えばセルロース系繊維や親水化処理を施した熱可塑性樹脂繊維などの親水性繊維が挙げられる。これらの繊維は単独で用いても、二種類以上の繊維を併用してもよい。
さらに、親水性繊維シートの構成繊維に用い得るセルロース系繊維としては、例えば、天然セルロース繊維(例えば、コットン等の植物繊維など)や再生セルロース繊維、精製セルロース繊維、半合成セルロース繊維などが挙げられる。また、親水性繊維シートの構成繊維に用い得る熱可塑性樹脂繊維としては、例えば、PE、PP等のオレフィン系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、6-ナイロン等のポリアミド系樹脂などの公知の熱可塑性樹脂からなる繊維が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いても、二種類以上の樹脂を併用してもよい。
【0062】
本発明において、親水性繊維シートの外形形状や各種寸法、坪量等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、各種用途や使用態様等に応じた任意の外形形状や各種寸法、坪量等を採用することができる。
【0063】
以下、本発明の複合吸収体に用いられる高分子吸収剤について、更に詳細に説明する。
【0064】
[高分子吸収剤]
本発明において高分子吸収剤は、親水性の連続骨格及び連続空孔を備え、液体を吸収する際に、液体を上述の連続骨格に取り込んだ後に連続空孔に取り込むという特有の吸液挙動を示すものであれば特に限定されない。そのような高分子吸収剤としては、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルを含む2個以上のモノマーの架橋重合体の加水分解物であり、官能基に少なくとも1個以上の親水基を有する高分子化合物が挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリル酸エステルと、一分子中に2個以上のビニル基を含有する化合物の架橋重合体の加水分解物であり、少なくとも-COONa基を有する高分子化合物が挙げられる。かかる高分子吸収剤は、一分子中に少なくとも1個以上の-COONa基を有する有機多孔質体であり、さらに、-COOH基を有していてもよい。多孔質体の骨格中には、-COONa基が略均一に分布している。
【0065】
高分子吸収剤がこのような(メタ)アクリル酸エステルと、一分子中に2個以上のビニル基を含有する化合物の架橋重合体の加水分解物であり、且つ、少なくとも1個以上の-COONa基を含有するものであると、後述するように、水溶液等の液体を吸収する時に親水性の連続骨格が伸長しやすくなり(すなわち、膨張しやすくなり)、連続空孔も広がりやすくなるため、より多くの液体をより素早く連続空孔に取り込むことができる。したがって、このような高分子吸収剤を含む複合吸収体は、吸収体として更に優れた吸収性能を発揮することができる。
【0066】
なお、本明細書において(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルをいう。
【0067】
このような(メタ)アクリル酸エステルと、ジビニルベンゼンとの架橋重合体の加水分解物によって形成される高分子吸収剤においては、少なくとも-COONa基を有する有機ポリマーによって親水性の連続骨格が形成され、骨格間に液体の吸収場となる連通孔(連続空孔)を有している。
なお、加水分解処理は、架橋重合体の-COOR基(すなわち、カルボン酸エステル基)を-COONa基又は-COOH基にするものであるため(図2を参照)、高分子吸収剤は-COOR基を有していてもよい。
【0068】
親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中の-COOH基及び-COONa基の存在は、赤外分光光度法及び弱酸性イオン交換基の定量法で分析することで確認できる。
【0069】
ここで、図3は、高分子吸収剤の一例である吸収剤Aの製造過程について説明する図である。この図3において、上図は重合の構成原料を示し、中図は(メタ)アクリル酸エステルとジビニルベンゼンとの架橋重合体であるモノリスAを示し、下図は中図のモノリスAに加水分解及び乾燥処理をして得られる吸収剤Aを示している。
【0070】
以下、高分子吸収剤の一例である、(メタ)アクリル酸エステルと、ジビニルベンゼンとの架橋重合体の加水分解物によって形成される吸収剤Aを用いて説明する。
【0071】
なお、高分子吸収剤としては、このような吸収剤Aに限られず、(メタ)アクリル酸エステルと、一分子中に2個以上のビニル基を有する化合物の架橋重合体の加水分解物、或いは、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルを含む2種類以上のモノマーの架橋重合体の加水分解物などであってもよい。
但し、高分子吸収剤がモノリス状の吸収剤であると、液体を素早く吸収することができる上、当該高分子吸収剤に一時的に保持した液体をより着実にSAPへ受け渡すことができるという利点がある。
【0072】
なお、以下の説明において、「モノリスA」とは、加水分解処理がなされる前の(メタ)アクリル酸エステルとジビニルベンゼンとの架橋重合体からなる有機多孔質体であり、「モノリス状有機多孔質体」と称することがある。
また、「吸収剤A」は、加水分解処理及び乾燥処理がなされた後の(メタ)アクリル酸エステルとジビニルベンゼンとの架橋重合体(モノリスA)の加水分解物である。なお、以下の説明において、吸収剤Aは乾燥状態のものをいう。
【0073】
まず、吸収剤Aの構造について説明する。
吸収剤Aは、上述のとおり親水性の連続骨格と連続空孔を有している。親水性の連続骨格を有する有機ポリマーである吸収剤Aは、図3に示すように、重合モノマーである(メタ)アクリル酸エステルと、架橋モノマーであるジビニルベンゼンとを架橋重合し、得られた架橋重合体(モノリスA)を更に加水分解することにより得られる。
【0074】
親水性の連続骨格を形成する有機ポリマーは、構成単位として、エチレン基の重合残基(以下、「構成単位X」と称する。)と、ジビニルベンゼンの架橋重合残基(以下、「構成単位Y」と称する。)と、を有する。
さらに、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中のエチレン基の重合残基(構成単位X)は、カルボン酸エステル基の加水分解により生成する-COONa基、又は-COOH基と-COONa基の両方の基を有する。なお、重合モノマーが(メタ)アクリル酸エステルである場合、エチレン基の重合残基(構成単位X)は、-COONa基、-COOH基及びエステル基を有する。
【0075】
吸収剤Aにおいて、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中の、ジビニルベンゼンの架橋重合残基(構成単位Y)の割合は、全構成単位に対し、例えば0.1~30モル%であり、好ましくは0.1~20モル%である。例えば、メタクリル酸ブチルを重合モノマーとし、ジビニルベンゼンを架橋モノマーとした吸収剤Aにおいては、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中の、ジビニルベンゼンの架橋重合残基(構成単位Y)の割合は、全構成単位に対し、例えば約3%であり、好ましくは0.1~10モル%であり、より好ましくは0.3~8モル%である。
なお、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中のジビニルベンゼンの架橋重合残基の割合が0.1モル%以上であると、吸収剤Aの強度が低下しにくくなり、また、このジビニルベンゼンの架橋重合残基の割合が30モル%以下であると、吸収対象となる液体の吸液量が低下しにくくなる。
【0076】
また、吸収剤Aにおいて、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマーは、構成単位X及び構成単位Yのみからなるものであってもよいし、或いは、構成単位X及び構成単位Yに加えて、構成単位X及び構成単位Y以外の構成単位、すなわち(メタ)アクリル酸エステル及びジビニルベンゼン以外のモノマーの重合残基を有していてもよい。
【0077】
構成単位X及び構成単位Y以外の構成単位として、例えばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、(メタ)アクリル酸グリシジル、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のモノマーの重合残基が挙げられる。
【0078】
なお、親水性の連続骨格を形成する有機ポリマー中の、構成単位X及び構成単位Y以外の構成単位の割合は、全構成単位に対し、例えば0~50モル%であり、好ましくは0~30モル%である。
【0079】
また、吸収剤Aは、親水性の連続骨格の厚みが0.1~100μmであることが好ましい。吸収剤Aの親水性の連続骨格の厚みが0.1μm以上であると、多孔質体における液体を取り込むための空間(空孔)が吸収時に潰れにくくなり、吸液量が低下しにくくなる。一方、親水性の連続骨格の厚みが100μm以下であると、優れた吸収速度が得られやすくなる。
【0080】
なお、吸収剤Aの親水性の連続骨格の細孔構造は、連続気泡構造であるため、連続骨格の厚みの測定は、電子顕微鏡測定用の試験片に現れる骨格断面を厚みの評価箇所とする。連続骨格は、加水分解後の脱水・乾燥処理で取り除かれる水(水滴)同士の間隔で形成されるため、多角形の形状であることが多い。そのため、連続骨格の厚みは、多角形断面に外接する円の直径(μm)の平均値とする。また、稀に多角形の中に小さな穴が開いている場合もあるが、その場合は、小さな穴を囲んでいる多角形の断面の外接円を測定する。
【0081】
さらに、吸収剤Aは、連続空孔の平均直径が1~1000μmであることが好ましい。吸収剤Aの連続空孔の平均直径が1μm以上であると、多孔質体における液体を取り込むための空間(空孔)が吸収時に潰れ難くなり、吸収速度が低下し難くなる。一方、連続空孔の平均直径が1000μm以下であると、優れた吸収速度が得られ易くなる。
【0082】
なお、吸収剤Aの連続空孔の平均直径(μm)は、水銀圧入法によって測定することができ、かかる水銀圧入法によって得られた細孔分布曲線の最大値を採用する。連続空孔の平均直径の測定用試料については、吸収剤Aのイオン形によらず、50℃の温度に設定した減圧乾燥器で18時間以上乾燥させたものを試料として用いる。なお、最終到達圧力は0Torrとする。
【0083】
ここで、図4は、吸収剤Aの拡大倍率50倍のSEM写真であり、図5は、吸収剤Aの拡大倍率100倍のSEM写真であり、図6は、吸収剤Aの拡大倍率500倍のSEM写真であり、図7は、吸収剤Aの拡大倍率1000倍のSEM写真であり、さらに、図8は、吸収剤Aの拡大倍率1500倍のSEM写真である。
これら図4図8に示す吸収剤Aは、メタクリル酸ブチルを重合モノマーとし、ジビニルベンゼンを架橋モノマーとする吸収剤の一例であり、それぞれ2mm角の立方体の構造を有している。
【0084】
図4図8に示す吸収剤Aは、多数の気泡状のマクロポアを有しており、さらに、これら気泡状のマクロポア同士が重なる部分を有している。吸収剤Aは、このマクロポア同士が重なる部分が共通の開口(メソポア)となる連続気泡構造を有している、すなわち、連続気泡構造体(連続マクロポア構造体)となっている。
【0085】
このマクロポア同士が重なる部分は、乾燥状態の平均直径が1~1000μm、好ましくは10~200μm、特に好ましくは20~100μmである共通の開口(メソポア)となっており、その大部分がオープンポア構造となっている。メソポアの乾燥状態の平均直径が1μm以上であると、吸収対象となる液体の吸収速度がより良好なものとなる。一方、メソポアの乾燥状態の平均直径が1000μm以下であると、吸収剤Aが脆化しにくくなる。
なお、このようなマクロポア同士の重なりは、1個のマクロポアで1~12個程度、多くのものは3~10個程度である。
【0086】
また、吸収剤Aがこのような連続気泡構造を有することにより、マクロポア群やメソポア群を均一に形成することができるとともに、特開平8-252579号公報などに記載されているような粒子凝集型多孔質体に比べて、細孔容積や比表面積を格段に大きくすることができるという利点がある。
【0087】
吸収剤Aが備える連続空孔は、互いに連通した複数の細孔(空孔)である。その吸収剤Aの細孔(空孔)の全細孔容積は0.5~50mL/gが好ましく、0.9~40mL/gがより好ましく、2~30mL/gが更により好ましい。吸収剤Aの全細孔容積が0.5mL/g以上であることで、吸収剤Aに十分な細孔容積を確保でき、したがって、十分な吸液量を確保できる。また、多孔質体における液体を取り込むための空間(空孔)を吸収時に潰れ難くでき、吸液量及び吸液速度を低下し難くできる。一方、吸収剤Aの全細孔容積が50mL/g以下のとき、吸収剤Aの強度を低下し難くできる。
【0088】
なお、全細孔容積は、水銀圧入法で測定することができる。全細孔容積の測定用試料は、吸収剤Aのイオン形によらず、50℃の温度に設定した減圧乾燥器で18時間以上乾燥させたものを用いる。最終到達圧力は0Torrとする。その水銀圧入法により、累積(積算)細孔容積分布(細孔半径と累積細孔容積との関係)やlog微分細孔容積分布(細孔半径とlog微分細孔容積との関係)などが得られ、全細孔容積(mL/g)、平均細孔半径(μm)、最大細孔半径(μm)、所定の細孔半径以上(/以下)の細孔の細孔容積(mL/g)及び割合(%)、細孔容積の変動係数などを算出できる。なお、最大細孔径(μm)は、細孔容積の最大値を示す細孔の細孔半径をいう。また、各細孔半径における細孔容積(mL/g)は、log微分細孔容積分布におけるlog微分細孔容積(mL/g)を採用する。
【0089】
ここで、吸収剤Aの細孔(空孔)では、細孔半径が1μm以上の細孔による細孔容積の割合は、全細孔の細孔容積(全細孔容積)の90%以上であり、93%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。細孔半径が1μm以上の細孔の細孔容積の割合が90%以上であることで、吸液時に、細孔半径が1μm未満のような比較的小さい細孔半径の細孔に液体成分が入り込み難く、入り込めなくても、十分な吸液量を確保できる。それゆえ、細孔容積に比して吸液量が低下することを抑制でき、優れた吸収性能を得ることができる。
【0090】
吸収剤Aの細孔では、細孔半径が0.005μm以下の細孔による細孔容積の割合が、全細孔の細孔容積(全細孔容積)の10%未満が好ましく、細孔半径が0.05μm以下の細孔による細孔容積の割合が、全細孔の細孔容積(全細孔容積)の10%未満がより好ましい。吸収剤Aでは、細孔半径が0.005μm以下であるような、細孔半径が非常に小さく吸液が困難な細孔による細孔容積の割合が非常に小さく、細孔半径が1μm以上であるような、細孔半径が大きく吸液が可能な細孔による細孔容積の割合が大きい(90%以上)。それにより、吸収剤Aの細孔を吸液に有効に利用でき、十分な吸液量を確保できる。
【0091】
また、吸収剤Aの細孔では、細孔容積の最大値を示す細孔における細孔半径が(0.5μm以上、)500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、150μm以下がより好ましい。細孔容積の最大値での細孔半径を500μm以下とすることで、吸液時に、吸収剤Aの連続骨格の構造が壊れる(潰れる)ことを抑制でき、優れた吸収速度が得られやすく、安定的に、十分な吸液量を確保できる。細孔容積の最大値での細孔半径が500μm以上の場合、吸液時に連続骨格の構造が維持しきれず潰れるおそれがある。
【0092】
また、吸収剤Aの細孔では、細孔半径が1μm以上の細孔における、細孔分布(細孔容積)の変動係数は1.4以下であってもよい。細孔分布の変動係数が1.4以下の場合、細孔半径の平均値に対する細孔半径のばらつきが小さく、細孔半径の平均値付近でその細孔分布の示すピークがシャープになる。したがって、吸収剤Aは、液体を、全方向・全表面から概ね均一に吸収することができる。それにより、高分子吸収剤の細孔を吸液に有効に利用でき、十分な吸液量を確保できる。
【0093】
一方で、吸収剤Aの細孔では、細孔半径が1μm以上の細孔における、細孔分布(細孔容積)の変動係数は1.4超であってもよい。その場合、細孔分布の変動係数が1.4超であるので、細孔半径の平均値に対する細孔半径のばらつきが大きく、細孔半径の平均値付近でその細孔分布が示すピークがブロードになる。すなわち、吸収剤Aには、細孔半径の小さい細孔と大きい細孔とが存在している。そのため、細孔半径の小さい細孔では、毛細管力が働き易く、よって吸液速度が速くなり易くなり、細孔半径の大きい細孔では、吸液容積が大きくなり易くなる。それゆえ、二つの相乗効果により、吸収剤Aは、細孔の内部に瞬時に多量の液体を吸収することができる。
【0094】
ここで、吸収剤Aの細孔では、細孔分布が示すピークがブロードの場合、細孔分布を示す曲線における細孔容積の極大値に対応する細孔半径に対して、細孔半径が小さい側の部分よりも細孔半径が大きい側の部分がブロードであるであってもよい。その場合、吸収剤Aは、細孔半径の小さい細孔よりも細孔径の大きい細孔の方が多く存在するような構成を有している。そのため、細孔半径の大きい細孔が多いことにより、吸液容積がより大きくなり易く、細孔の内部により多量の液体を吸収することができる。
【0095】
一方、吸収剤Aの細孔では、細孔分布が示すピークがブロードの場合でも、細孔分布を示す曲線における細孔容積の極大値に対応する細孔半径に対して、細孔半径が大きい側の部分よりも細孔半径が小さい側の部分がブロードであってもよい。その場合、吸収剤Aは、細孔半径の大きい細孔よりも細孔径の小さい細孔の方が多く存在するような構成を有している。細孔半径の小さい細孔が多いことにより、毛細管力がより働き易く、よって吸液速度がより速くなり易くなり、細孔の内部により瞬時に液体を吸収することができる。
【0096】
更に、吸収剤Aの細孔では、細孔分布を示す曲線における細孔容積の極大値は、少なくとも二つ存在してもよい。その場合、吸収剤Aでは、所定の小さな細孔半径及びその近傍の細孔半径を有する細孔と、所定の大きな細孔半径及びその近傍の細孔半径を有する細孔とが存在している。そのため、相対的に小さい細孔半径の細孔では、毛細管力が働き易く、よって吸液速度が速くなり易くなり、相対的に大きい細孔半径の細孔では、吸液容積が大きくなり易くなる。それゆえ、二つの相乗効果により、高分子吸収剤は、細孔の内部に瞬時に多量の液体を吸収することができる。
【0097】
ここで、吸収剤Aの細孔では、細孔容積の極大値が二つ存在する場合、細孔分布を示す曲線における細孔容積の二つの極大値は、相対的に小さい細孔半径の極大値の方が、相対的に大きい細孔半径の極大値よりも大きくてもよい。その場合、吸収剤Aでは、細孔半径の大きい細孔よりも細孔径の小さい細孔の方が多く存在している。細孔半径の小さい細孔が多いことにより、毛細管力がより働き易く、よって吸液速度がより速くなり易くなり、細孔の内部により瞬時に液体を吸収することができる。
【0098】
一方、吸収剤Aの細孔では、細孔容積の極大値が二つ存在する場合でも、細孔分布を示す曲線における細孔容積の二つの極大値は、相対的に小さい細孔半径の極大値の方が、相対的に大きい細孔半径の極大値よりも小さくてもよい。その場合、吸収剤Aでは、細孔半径の小さい細孔よりも細孔径の大きい細孔の方が多く存在している。細孔半径の大きい細孔が多いことにより、吸液容積がより大きくなり易く、細孔の内部により多量の液体成分を吸収することができる。
【0099】
また、吸収剤Aの細孔では、嵩密度が0.07~0.6g/cmであることが好ましく、0.1~0.4g/cmであることがより好ましく、0.15~0.35g/cmであることがさらに好ましい。その場合、後述されるように、吸液速度(DW)性能を6mL/30sec.以上とすることができ、より好ましくは10mL/30sec.以上とすることができ、さらに好ましくは12mL/30sec.以上とすることができる。すなわち、吸液速度が速くなるので、高分子吸収剤は、細孔の内部により瞬時に液体を吸収することができる。
【0100】
<吸液速度(DW)の測定方法>
吸収剤の吸液速度は、無加圧DW(Demand Wettability)法によって測定する。図12は、無加圧DW法で用いられる測定装置を示した模式図である。このような測定装置としてDW装置(DemandWettability装置、大洋クリエイト株式会社製)11を使用する。図示されるように、DW装置11は、ビュレット12(目盛容量50ml、長さ86cm、内径1.05cm)と、ゴム栓13と、空気流入細管(先端内径3mm)14と、コック15と、コック16と、測定台17と、液出口(内径3mm)18と、円筒19と、試験液20と、を備える。ビュレット12から測定台17までには、導管(内径7mm)が取り付けられている。試験液として、0.9%塩化ナトリウム水溶液を使用する。測定は、25℃×50%湿度RH雰囲気内(恒温恒湿室内)で実施する。
【0101】
測定手順はいかのとおりである。
(1)DW装置11の両方のコック15、16を閉じた状態で、試験液20を0点(ビュレット12目盛の一番上(0mlライン))以上に入れビュレット12上部にゴム栓13をし、密閉する。
(2)測定台17の液出口18に濾紙を置いた後、両方のコック15、16を開け、濾紙で液出口18から出る液を吸い取りながら、液面を0点に合わせる。調整後、コック15、16を閉じる。
(3)測定台17上に、液出口18が中心になるように木材パルプ100%のティッシュ(目付15±1gsm、不織布厚み計で測定圧3g/cm2時の厚みが0.1±0.02mm)を載せる。
(4)ティッシュの中心部に直径30mmの円筒19を載せ、その中に、液出口18を中心に試験対象物(高分子吸収剤)を置く。試験対象物は、円筒19に入れられ、その周りが当該円筒19により拘束される。
(5)コック15、16を開き、試験対象物が試験液20を吸収し始め、空気流入細管14から導入された一つ目の泡がビュレット12内の試験液20の水面に到達した時点(ビュレット12内の試験液20の水面が下がった時点)を測定開始時間とする。
(6)継続的に、ビュレット12内の試験液20の減少量(試験対象物が吸収した試験液20の量)M(ml)を読み取る。
(7)吸液開始から所定時間経過後(本実施の形態では、30秒経過後)における試験対象物の吸収量を、DW法による吸収量(ml/g)=M(ml)/(試験対象物(高分子吸収剤)の重量(g))により求める。
【0102】
以下、吸収剤Aと液体が接触した場合の様子について説明するが、吸収剤Aを含む吸液性部材ないし複合吸収体4液体が接触した場合についても同様である。また、吸収された液体の質量は、液体量に略比例するため、以下の説明においては、液体の質量を単に「液体量」と称することがある。
【0103】
まず、図4図8に示す吸収剤Aが備える連続空孔は、複数の細孔(空孔)が互いに連通している空孔であり、外観からも空孔が多数設けられていることを肉眼で視認することができる。液体がこのような多数の空孔を備えた吸収剤Aに接触すると、まず親水性の連続骨格が一部の液体を浸透圧によって瞬時に取り込んで伸長する(すなわち、膨張する)。この連続骨格の伸長は、ほぼ全方位にわたって生じる。このようにして一定量の液体を吸収して大きくなった吸収剤Aは、毛細管現象によって、更に所定量の液体を拡大した連続空孔内に吸収することができるようになる。このように吸収剤Aは、液体を吸収する際に、液体を親水性の連続骨格に取り込んだ後に連続空孔に取り込んで吸収するという特有の吸液挙動を示す。
【0104】
なお、吸収剤Aの親水性の連続骨格内に吸収された液体は連続骨格から放出されにくい(すなわち、離液しにくい)一方、連続空孔内に吸収された液体は放出されやすいため、複合吸収体内においては、この連続空孔内に吸収された液体が離液して、保液能力の高い高吸収性ポリマー(SAP)へ受け渡され、SAP内で着実に保持されることとなる。
ここで、吸収剤Aの連続骨格内に吸収された液体量と、連続空孔内に吸収された液体量は、吸収剤Aが吸収した全液体量のうち、遠心処理(150G/90秒間)にて吸収剤Aから放出された液体量(離液量)が連続空孔内に吸収された液体量となり、その他の液体量(すなわち、遠心処理にて吸収剤Aから離液しなかった液体量)が連続骨格内に吸収された液体量となる。
【0105】
また、吸収剤Aに吸収された液体は、親水性の連続骨格内に吸収される液体よりも、空孔内に留まる液体の方が多くなっている。吸収剤Aによる液体の吸収の大部分は、毛細管現象によって空孔内に液体を留めることによって行われるため、空孔の空隙の体積(全細孔容積)の割合である空隙率(吸収剤Aの体積に対する空孔の空隙の体積)が大きいほど、より多くの液体を吸収できる。なお、この空隙率は85%以上であることが好ましい。
【0106】
例えば、上述の図4図8に示す吸収剤Aの空隙率を求めると、以下のようになる。
まず、水銀圧入法によって得られた吸収剤Aの比表面積は400m/gであり、細孔容積は15.5mL/gである。この細孔容積15.5mL/gは、1gの吸収剤Aの中にある細孔の容積が15.5mLであることを意味する。
吸収剤Aの比重を仮に1g/mLと仮定すると、1gの吸収剤Aの中で細孔が占める体積、すなわち細孔容積は15.5mLとなり、1gの吸収剤Aの体積は1mLとなる。
そうすると、1gの吸収剤Aの全容積(体積)は、15.5+1(mL)となり、そのうちの細孔容積の比率が空隙率となるため、吸収剤Aの空隙率は、15.5/(15.5+1)×100≒94%となる。
【0107】
そして、本発明においては、このような親水性の連続骨格及び連続空孔を備えた吸収剤A、すなわち高分子吸収剤が、例えば、粒子状やシート状等の形態で、複合吸収体に適用される。
さらに、この高分子吸収剤は、上述のとおり、液体を吸収する際に、液体を親水性の連続骨格に取り込んだ後に連続空孔に取り込むという特有の吸液挙動を示すものであるので、多量の液体を瞬時に吸収することができ、さらにその吸収した液体(主に連続空孔に吸収された液体)を保水能力の高いSAPへ受け渡して、SAP内で着実に保持することができる。したがって、このような高分子吸収剤を適用した複合吸収体は、吸収体として高い吸収性能を発揮することができる。
【0108】
ただし、高分子吸収剤の吸液量は以下の<高分子吸収剤の吸液量の測定方法>に従って測定できる。
【0109】
<高分子吸収剤の吸液量の測定方法>
(1)測定用の試料(高分子吸収剤)1gを10cm四方に切断したメッシュ袋((株)NBCメッシュテック製、N-NО255HD 115(規格巾:115cm、255メッシュ/2.54cm、オープニング:57μm、線径:43μm、厚さ:75μm))に封入する。なお、メッシュ袋は、予め質量(g)を測定しておく。また、本測定方法は、温度25℃、湿度60%の条件下で行う。さらに、測定用の試料(高分子吸収剤)を衛生用品の製品から回収して用いる場合は、後述する<測定用の試料(高分子吸収剤)の回収方法>に従って得ることができる。
(2)試料を封入したメッシュ袋を0.9%塩化ナトリウム水溶液に1時間浸漬する。
(3)メッシュ袋を5分間吊るして液切りした後の質量(g)を測定する。
(4)上記(3)で測定した水切り後のメッシュ袋の質量から試料の質量(=1g)及びメッシュ袋の合計質量を差し引くことにより試料の吸液量(g)を算出し、さらにこの吸液量を試料の質量(=1g)で除することにより試料(高分子吸収剤)の単位質量当たりの吸液量(g/g)を得る。
【0110】
なお、測定用の試料(高分子吸収剤)を複合吸収体の製品から回収して用いる場合は、次の<測定用の試料(高分子吸収剤)の回収方法>に従って得ることができる。
【0111】
<測定用の試料(高分子吸収剤)の回収方法>
(1)複合吸収体の製品から保持シート等を剥がして、吸液性部材を露出させる。
(2)露出させた吸液性部材から測定対象物(高分子吸収剤)を落下させ、(粒子状の)測定対象物以外のもの(例えば、パルプや合成樹脂繊維等)を、ピンセット等を用いて取り除く。
(3)拡大観察手段として顕微鏡又は簡易ルーペを使用し、SAPとの違いを認識できる倍率又は多孔質体の空孔を視認できる倍率で観察しながら、ピンセット等を用いて測定対象物を回収する。なお、簡易ルーペの倍率は、多孔質体の空孔を視認できる倍率であれば特に限定されず、例えば25倍~50倍の倍率が挙げられる。
(4)このようにして回収した測定対象物を各種測定方法における測定用の試料とする。
【0112】
以下、このような高分子吸収剤の製造方法を、上述の吸収剤Aを例に詳細に説明する。
【0113】
[高分子吸収剤の製造方法]
上述の吸収剤Aは、図3に示すように、架橋重合工程と加水分解工程を経ることにより得ることができる。以下、これらの各工程について説明する。
【0114】
(架橋重合工程)
まず、架橋重合用の油溶性モノマーと、架橋性モノマーと、界面活性剤と、水と、必要に応じて重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルションを得る。この油中水滴型エマルションは、油相が連続相となって、その中に水滴が分散したエマルションである。
【0115】
そして、上述の吸収剤Aにおいては、図3の上図に示すように、油溶性モノマーとして、(メタ)アクリル酸エステルであるメタクリル酸ブチルを用い、架橋性モノマーとして、ジビニルベンゼンを用い、界面活性剤としてソルビタンモノオレエートを用い、さらに重合開始剤としてイソブチロニトリルを用いて架橋重合させ、モノリスAを得る。
【0116】
具体的には、吸収剤Aにおいては、図3の上図に示すように、まず、油溶性モノマーとしてのメタクリル酸t-ブチル9.2gと、架橋性モノマーとしてのジビニルベンゼン0.28gと、界面活性剤としてのソルビタンモノオレエート(以下、「SMO」と略す。)1.0gと、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.4gとを混合し、均一に溶解させる。
次に、メタクリル酸t-ブチル/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)の混合物を180gの純水に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて減圧下で撹拌し、油中水滴型エマルションを得る。
【0117】
さらに、このエマルションを速やかに反応容器に移して密封し、静置下で60℃、24時間の条件で重合させる。重合終了後に内容物を取り出し、メタノールで抽出した後、減圧乾燥して、連続マクロポア構造を有するモノリスAを得る。なお、モノリスAの内部構造をSEMにより観察した結果、モノリスAは、連続気泡構造を有しており、連続骨格の厚みは5.4μmであった。また、水銀圧入法により測定した連続空孔の平均直径は36.2μm、全細孔容積は15.5mL/gであった。
【0118】
なお、全モノマーに対するジビニルベンゼンの含有量は、0.3~10モル%であることが好ましく、0.3~5モル%であることがより好ましい。また、メタアクリル酸ブチルとジビニルベンゼンの合計に対するジビニルベンゼンの割合が0.1~10モル%であることが好ましく、0.3~8モル%であることがより好ましい。なお、上述の吸収剤Aにおいては、メタアクリル酸ブチルとジビニルベンゼンの合計に対するメタアクリル酸ブチルの割合が97.0モル%であり、ジビニルベンゼンの割合が3.0モル%である。
【0119】
界面活性剤の添加量は、油溶性モノマーの種類及び所望のエマルション粒子(マクロポア)の大きさに応じて設定することができ、油溶性モノマーと界面活性剤の合計量に対して約2~70%の範囲とすることが好ましい。
【0120】
なお、モノリスAの気泡形状やサイズなどを制御するために、メタノール、ステアリルアルコール等のアルコール;ステアリン酸等のカルボン酸;オクタン、ドデカン、トルエン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルなどを重合系内に共存させてもよい。
【0121】
また、油中水滴型エマルションを形成させる際の混合方法は特に制限されず、例えば各成分を一括して一度に混合する方法、油溶性モノマー、界面活性剤及び油溶性重合開始剤である油溶性成分と、水や水溶性重合開始剤である水溶性成分とを別々に均一溶解させた後、それぞれの成分を混合する方法などの任意の混合方法を採用することができる。
【0122】
さらに、エマルションを形成させるための混合装置も特に制限されず、所望のエマルション粒径に応じて、通常のミキサーやホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等の任意の装置を採用することができ、さらには、被処理物を混合容器に入れ、該混合容器を傾斜させた状態で公転軸の周りに公転させながら自転させることにより被処理物を攪拌混合する、いわゆる遊星式攪拌装置なども用いることができる。
【0123】
また、混合条件についても特に制限されず、所望のエマルション粒径に応じて、攪拌回転数や攪拌時間等を任意に設定することができる。なお、上記の遊星式攪拌装置では、W/Oエマルション中の水滴を均一に生成させることができ、その平均径を幅広い範囲で任意に設定することができる。
【0124】
油中水滴型エマルションの重合条件は、モノマーや開始剤の種類等に応じて様々な条件を採用することができる。例えば、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム等を用いる場合は、不活性雰囲気下の密封容器内において、30~100℃の温度で1~48時間加熱重合すればよく、重合開始剤として過酸化水素-塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム-酸性亜硫酸ナトリウム等を用いる場合は、不活性雰囲気下の密封容器内において、0~30℃の温度で1~48時間重合すればよい。
【0125】
なお、重合終了後は、内容物を取り出して、イソプロパノール等の溶剤でソックスレー抽出を行うことにより未反応モノマーと残留界面活性剤を除去し、図3の中図に示すモノリスAを得ることができる。
【0126】
(加水分解工程)
続いて、モノリスA(架橋重合体)を加水分解して、吸収剤Aを得る工程(加水分解工程)について説明する。
【0127】
まず、モノリスAを、臭化亜鉛を加えたジクロロエタンに浸漬させ40℃で24時間撹拌し、メタノール、4%塩酸、4%水酸化ナトリウム水溶液及び水にこの順で接触させ加水分解を行った後、乾燥させてブロック状の吸収剤Aを得る。更に、このブロック状の吸収剤Aを所定の大きさに粉砕して粒子状の吸収剤Aを得る。なお、この吸収剤Aの形態は粒子状に限定されず、例えば、乾燥させる際に又は乾燥後にシート状に成形してもよい。
【0128】
また、モノリスAの加水分解の方法は特に制限されず、種々の方法を採用することができる。例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、テトラヒドロフランやイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、メタノールやエタノール等のアルコール系溶媒、酢酸やプロピオン酸等のカルボン酸系溶媒または水を溶媒として、水酸化ナトリウム等の強塩基と接触させる方法、或いは、塩酸等のハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等のブレンステッド酸または臭化亜鉛、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化チタン(IV)、塩化セリウム/ヨウ化ナトリウム、ヨウ化マグネシウム等のルイス酸と接触させる方法などが挙げられる。
【0129】
また、吸収剤Aの親水性の連続骨格を形成する有機ポリマーの重合原料のうち、(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に制限されないが、(メタ)アクリル酸のC1~C10(すなわち、炭素数1~10)のアルキルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸のC4(すなわち、炭素数4)のアルキルエステルが特に好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸のC4のアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸t-ブチルエステル、(メタ)アクリル酸n-ブチルエステル、(メタ)アクリル酸iso-ブチルエステルが挙げられる。
【0130】
また、架橋重合に用いるモノマーは、(メタ)アクリル酸エステル及びジビニルベンゼンのみでもよいし、(メタ)アクリル酸エステル及びジビニルベンゼンに加えて、(メタ)アクリル酸エステル及びジビニルベンゼン以外の他のモノマーを含有していてもよい。
後者の場合、他のモノマーとしては、特に限定されないが、例えばスチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシル、イソブテン、ブタジエン、イソブレン、クロロプレン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
なお、架橋重合に用いる全モノマー中の、(メタ)アクリル酸エステル及びジビニルベンゼン以外の他のモノマーの割合は、0~80モル%が好ましく、0~50モル%がより好ましい。
【0131】
また、界面活性剤は、上述のソルビタンモノオレエートに限定されず、架橋重合用モノマーと水とを混合した際に、油中水滴型(W/O)エマルションを形成し得るものであればよい。そのような界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレン基ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン基ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン基ソルビタンモノオレエート等の非イオン界面活性剤、オレイン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等の陰イオン界面活性剤、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は一種類を単独で用いても、二種類以上を併用してもよい。
【0132】
また、重合開始剤は、熱及び光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。さらに、重合開始剤は、水溶性でも油溶性でもよく、例えば、アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素-塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム-酸性亜硫酸ナトリウム、テトラメチルチウラムジスルフィドなどが挙げられる。ただし、場合によっては、重合開始剤を添加しなくても加熱のみや光照射のみで重合が進行する系もあるため、そのような系では重合開始剤の添加は不要である。
【実施例0133】
以下、実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。
【0134】
(A)試料
(a)細孔分布について
上記の製造方法で製造された本発明の高分子吸収剤を実施例1~5の試料とし、Infinity粒子体を比較例1~2の試料として準備した。ただし、実施例1~5の試料は、製造方法における油中水滴型エマルションを形成させるときの、界面活性剤/モノマー比(wt%)及び攪拌時間(分)を変化させた。また、Infinity粒子体とは、P&G社製の吸収剤であり、高分子吸収剤と似た構造(発泡構造)を有しているものの、高分子吸収剤とは異なり、吸液して膨張する機能は有していない。
(b)嵩密度と吸液速度との関係について
上記実施例の試料に関し、エタノール浸漬及び乾燥の条件を変更することにより、種々の嵩密度を有する試料を準備した。具体的には、乾燥した高分子吸収体を40%エタノール水溶液に充分浸漬したのち、上澄み液の除去、エタノール添加を繰り返すことで所定濃度のエタノール水溶液に調整、充分浸漬後、湿潤状態の高分子吸収体をろ過し、50℃一晩減圧乾燥することで嵩密度の異なる高分子吸収体を得た。
【0135】
(B)評価
(a)細孔分布について
水銀圧入法で、各試料について、累積(積算)細孔容積分布(細孔半径と累積細孔容積との関係)やlog微分細孔容積分布(細孔半径とlog微分細孔容積との関係)を求め、全細孔容積(mL/g)、平均細孔半径(μm)、最大細孔半径(μm)、所定の細孔半径以上(以下)の細孔の細孔容積(の割合)、及び細孔容積変動係数などを算出した。
(b)嵩密度と吸液速度との関係について
吸液速度(DW)の測定で、各試料の嵩密度と吸液速度(DW)との関係を調べた。
【0136】
(C)評価結果
(a)細孔分布について
測定結果を図9及び図10に、それらをまとめた内容を表1に示す。ただし、図9は、得られた累積(積算)細孔容積分布、すなわち細孔半径(横軸)と累積細孔容積(縦軸)との関係を示し、図10は、得られたlog微分細孔容積分布、すなわち細孔半径(横軸)とlog微分細孔容積(縦軸)との関係を示している。なお、図9及び図10において、実施例1は破線(太線)であり、実施例2は一点鎖線(細線)であり、実施例3は破線(細線)であり、実施例4は点線であり、実施例5は実線(細線)であり、比較例1は実線(太線)であり、比較例2は一点鎖線(太線)である
【0137】
【表1】
*細孔半径1μm以上
【0138】
実施例1~5の試料では、以下のことを確認できた。
細孔半径が1μm以上の細孔による細孔容積の割合は、全細孔の細孔容積の90%以上であった。細孔半径が0.005μm以下の細孔による細孔容積の割合は、全細孔の細孔容積の10%未満であった。細孔容積の最大値での細孔半径は、500μm以下であった。細孔半径が1μm以上の細孔における、細孔分布の変動係数は1.4以下である場合があった(実施例3)。細孔半径が1μm以上の細孔において、細孔分布の変動係数は1.4超である場合があった(実施例4、5)。細孔分布を示す曲線における細孔容積の極大値に対応する細孔半径に対して、細孔半径が小さい側の部分よりも細孔半径が大きい側の部分がブロードである場合があった(実施例5)。細孔分布を示す曲線における細孔容積の極大値に対応する細孔半径に対して、細孔半径が大きい側の部分よりも細孔半径が小さい側の部分がブロードである場合があった(実施例4)。細孔分布を示す曲線における細孔容積の極大値は、少なくとも二つ存在する場合があった(実施例1、2)。細孔分布を示す曲線における細孔容積の二つの極大値は、相対的に小さい細孔半径の極大値の方が、相対的に大きい細孔半径の極大値よりも大きい場合があった(実施例2)。細孔分布を示す曲線における細孔容積の二つの極大値は、相対的に小さい細孔半径の極大値の方が、相対的に大きい細孔半径の極大値よりも小さい場合があった(実施例1)。全細孔容積は0.9mL/g以上であった。一方、比較例1,2では、少なくとも、細孔半径が1μm以上の細孔による細孔容積の割合は、全細孔の細孔容積の90%未満であった。
【0139】
(b)嵩密度と吸液速度との関係について
測定結果を図11に示す。図11は、得られた嵩密度(横軸)と吸液速度(縦軸)との関係を示すグラフである。図に示されるように、嵩密度を0.07~0.6g/cmとすることで、吸液速度(DW)性能を6mL/30sec.以上にできることが確認できた。更に、嵩密度を0.1~0.4g/cmとすることで、吸水速度(DW)性能を10mL/30sec.以上にできることが確認できた。更に、嵩密度を0.15~0.35g/cmとすることで、吸液速度(DW)性能を12mL/30sec.以上にできることが確認できた。
【0140】
なお、本発明の複合吸収体は、特に限定されないが、例えば、結露防止シートや簡易土壌等の土木・建築資材、医薬品等の基材、漏出液体の吸収用資材などの様々な分野の複合吸収体に適用することができる。したがって、複合吸収体の吸収対象となる液体も特に限定されず、例えば、水や水溶液(例えば、海水など)、酸(例えば、塩酸など)、塩基(例えば、水酸化ナトリウムなど)、有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン等のエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)など)が挙げられる。なお、これらの液体は、2種類以上の液体の混合物であってもよい。
【0141】
また、本発明は、上述の実施形態等に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組み合わせや代替、変更等が可能である。なお、本明細書において、「第1」、「第2」等の序数は、当該序数が付された事項を区別するためのものであり、各事項の順序や優先度、重要度等を意味するものではない。
【符号の説明】
【0142】
1 複合吸収体
2 第1の保持シート
3 第2の保持シート
4 高分子吸収剤
5 高吸収性ポリマー(SAP)
6 親水性繊維シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12